タイトル: | 再公表特許(A1)_粒状界面活性剤およびその製造方法 |
出願番号: | 2001009721 |
年次: | 2004 |
IPC分類: | 7,C11D17/06,A61K7/50 |
西川 理 山口 義道 飛田 和彦 JP WO2002038721 20020516 JP2001009721 20011107 粒状界面活性剤およびその製造方法 味の素株式会社 000000066 特許業務法人特許事務所サイクス 110000109 西川 理 山口 義道 飛田 和彦 JP 2000340442 20001108 JP 2001212121 20010712 7 C11D17/06 A61K7/50 JP C11D17/06 A61K7/50 EP(AT,BE,CH,CY,DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,LU,MC,NL,PT,SE,TR),JP,KR,US 再公表特許(A1) 20040318 2002542039 21 技術分野本発明は、粒状界面活性剤およびその製造方法に関する。さらに詳しくは、溶解性に優れ、また、粉立ちが少なく、流動性が高い粒状界面活性剤およびその製造方法に関する。背景技術界面活性剤は、各種の洗浄剤や化粧料等の原料成分として用いられるものであるが、その性質や用途に応じ、液体状または固体状のものが使用されている。そして、固体状の界面活性剤としては、製造が容易であることのみならず、包装した場合にかさばらず、また、使用時には適度な流動性を有し、水に溶解して使用する場合には、溶解時間が短いこと等が要求される。さらに、使用に際しては、微細な界面活性剤の粉末が飛散するいわゆる粉立ちを生じないことが求められる。固体状の界面活性剤を製造する方法としては、スプレードライヤーにより製造するもの(Ullmann,”Encyklopadie der technischen Chemie”,4Ahfl.,Band24,S.117,Verlag Chemie(1983)〈日本化化学会編「化学便覧応用化学編」,P.1209(1986)〉より引用)が一般的である。その他、スプレードライ法と流動造粒法を組み合わせて製造する方法(前坂ら,粉体と工業,21,10,P.32(1989))や、ドラムドライヤーにより製造する方法(亀井三郎,「化学機械の理論と計算(第2版)」,P.367,産業図書(1975))が知られている。しかし、スプレードライヤーにより製造した場合、粉立ちの原因となる微細な粉末が生じ、また、溶解時にいわゆるダマになりやすく溶解に時間がかかるという問題があり、さらには比重が軽いためにかさばるという問題があった。また、スプレードライヤーにより得られたものをさらに流動造粒したものは、粉立ちの問題は解決されるものの、依然として比重が軽く、溶解時に水面に浮くために溶けにくく、また、かさばるという問題は解決されない。また、ドラムドライヤーにより製造した場合は、製品はフレーク形状になるために、ホッパー・排出部で詰まり易いという流動性の問題があり、また、粒度が不均一のため細かいもののみが容器の底に溜まってしまうという取り扱い上の問題がある。さらに、ドラムドライヤーは、大型機がないのに加え、界面活性剤溶液をドラムにきわめて薄く乗せることを必要とするため、生産性が低く、大量生産には向かないという問題があった。一方、常圧下、20〜40℃において液状ないしペースト状の形態で存在する界面活性剤を無機固体等の添加剤を加えて造粒する方法が開示されているが(特表平6−510070)、この方法は、界面活性剤とともにビルダー等の各種の成分を配合した洗濯洗剤等の製造にかかるものである。従って、本来的にこれらの添加剤が界面活性剤に混入するため、化粧品等の原料として用いる界面活性剤そのものを得ることができないという問題があった。またさらに、ここでは、常圧下、25℃において固体である界面活性剤を製造する方法については、開示されていない。また、転動造粒や撹拌造粒法を利用して製造する方法が知られているが(米国特許第3886098号、特開平2−232299号公報、特開平2−232300号公報、特開平2−222498号公報、特開平2−222499号公報、中村 昌允,粉体と工業,Vol.28,No.6,P.63(1996)、伊佐 弘,油脂,Vol.48,No.4,P.77(1995)など)、この方法を無機固体等の添加物のない状態で界面活性剤に適用しようとすると、造粒・乾燥時に粒子表面の粘着性が強くなり、粒子が団子状となってしまうか、若しくは、粒子同士が凝集して比重の軽いものとなってしまい、この方法は適用できない。さらに、洗顔フォーム等のように界面活性剤を比較的高濃度に配合する場合にあっては、界面活性剤の溶解時に泡が立ってしまい(起泡性)、また、泡が溶解液に巻き込まれ、溶解に時間がかかるだけでなく、真空釜等での脱気の際に泡が膨張し脱気作業が困難であるといった問題があった。発明の開示本発明の課題は、製造が容易であり、水に対する溶解性に優れ、粉立ちが少なく、流動性を有する粒状界面活性剤を提供することにある。また、本発明の別の課題は、界面活性剤を溶解して洗顔フォーム等の洗浄剤組成物を調製する際に、水に対する溶解性、粉だち、流動性の改善に加え、溶解時の起泡性や泡の巻き込みを改善する粒状界面活性剤を提供することにある。本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、一定の粒度分布、一定の嵩密度、一定の嵩密度と真密度の比を有する粒状界面活性剤または一定の製造方法により得られた粒状界面活性剤を提供することにより上記課題を解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、粒径0.1mm以下の粒子の重量割合が2.0wt%以下であり、メジアン径が0.17mm以上である粒状界面活性剤に関する。また、本発明は、該粒状界面活性剤のうち嵩密度が300kg/m3以上および/または嵩密度と真密度の比(嵩密度/真密度)が0.25以上である粒状界面活性剤に関する。また、本発明は、界面活性剤の全部または1部を水または温水に溶解させた溶液または分散させたスラリーを熱風を導入した流動床上部に噴霧することにより造粒と乾燥を同時に行い、上記工程により得られた粒子を分級して低粒径側の粒子を取り除いて得られる粒状界面活性剤に関する。さらに、本発明は、界面活性剤の全部または1部を水または温水に溶解させた溶液または分散させたスラリーを、熱風を導入した流動床上部に噴霧することにより、造粒と乾燥を同時に行い、得られた粒子を分級して低粒径側の粒子を取り除くことを特徴とする粒状界面活性剤の製造方法に関する。発明を実施するための最良の形態本発明に用いる界面活性剤としては、特に制限はないが、1気圧、25℃において固体である界面活性剤が、保存中に凝集固化するいわゆるケーキングを起こしにくい点で好ましい。また、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤などのイオン性界面活性剤やノニオン界面活性剤のいずれも用いることができるが、一般的にクラフト点が高くケーキングが少ないイオン性界面活性剤が好ましく、なかでもアニオン界面活性剤が粉立ちが大幅に改善されることから好ましい。また、クラフト点が40℃以上のイオン性界面活性剤が、ケーキングを起こしにくい点で好ましい。この場合、クラフト点が40℃以上であれば特に上限はないが、100℃以下であるものが使用しやすい。アニオン界面活性剤としては、カルボン酸型、硫酸エステル型、スルホン酸型、リン酸エステル型のものを用いることができ、フリー体の他、対イオンとしては、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、マグネシウム、アルギニン、リジン等が用いられる。親油部(親油基)は種々なものが挙げられるが、アルキル基、イソアルキル基等がおもなもので、加えて構造中に酸アミド結合、エステル結合、エーテル結合などを含むものがある。親油基の鎖長としては、炭素原子数8〜22のものが一般的であり、炭素原子数10〜18のものが好ましい。アニオン界面活性剤の具体例としては、脂肪酸、アシルアミノ酸、アルキル硫酸、アルキルスルホン酸、アルキルリン酸、アルキルスルホコハク酸およびこれらの塩などを挙げることができる。このなかで、N−アシルアミノ酸およびその塩がケーキング、粉立ちを大幅に改善できる点で好ましい。中でも、N−アシルグルタミン酸、N−アシルグリシン、N−アシルアラニンおよびこれらの塩がより好ましく、N−アシルグルタミン酸、N−アシルグリシンおよびこれらの塩が特に好ましい。これらの具体例としては、ラウロイルグルタミン酸およびそのナトリウム、カリウムのモノまたはジ塩、ミリストイルグルタミン酸およびそのナトリウムまたはカリウムのモノまたはジ塩、パルミトイルグルタミン酸およびそのナトリウムまたはカリウムのモノまたはジ塩、ステアロイルグルタミン酸およびそのナトリウムまたはカリウムのモノまたはジ塩、ココイルグルタミン酸およびそのナトリウムまたはカリウムのモノまたはジ塩、ラウロイルグリシンおよびそのナトリウムまたはカリウム塩、ミリストイルグリシンおよびそのナトリウムまたはカリウム塩、パルミトイルグリシンおよびそのナトリウムまたはカリウム塩、ステアロイルグリシンおよびそのナトリウムまたはカリウム塩、ココイルグリシンおよびそのナトリウムまたはカリウム塩、ラウロイルアラニンおよびそのナトリウムまたはカリウム塩、ミリストイルアラニンおよびそのナトリウムまたはカリウム塩、パルミトイルアラニンおよびそのナトリウムまたはカリウム塩、ステアロイルアラニンおよびそのナトリウムまたはカリウム塩、ココイルアラニンおよびそのナトリウムまたはカリウム塩などを挙げることができる。カチオン界面活性剤としては、第4級アンモニウム塩、アミン誘導体、塩基性アミノ酸誘導体等が挙げられる。また、親油基としては、上述のアニオン界面活性剤と同様のもを挙げることができる。カチオン界面活性剤の具体例としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アミドアミン塩などを挙げることができる。両性界面活性剤してはカルボベタイン型両性界面活性剤、アミドベタイン型両性界面活性剤、スルホベタイン型両性界面活性剤、ヒドロキシスルホベタイン型両性界面活性剤、アミドスルホベタイン型両性界面活性剤、ホスホベタイン型両性界面活性剤、イミダゾリン型両性界面活性剤等の両性界面活性剤等が挙げられる。また、親油基としては、上述のアニオン界面活性剤と同様のものを挙げることができる。ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレン型、多価アルコールエステル型、エチレンオキシド・プロピレンオキシドブロック共重合型等が挙げられ、構造中に水酸基、エーテル結合、酸アミド結合、エステル結合等を含むものがある。親油基はアニオン性界面活性剤とほぼ同じである。また、親油基としては、上述のアニオン界面活性剤と同様のものを挙げることができる。ノニオン界面活性剤の具体例としては、グリセリンモノアルキルエーテル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルなどを挙げることができる。本発明により、ビルダー等の添加物を加えることなく、粒状界面活性剤を得ることができるが、本発明に用いる界面活性剤は必ずしも単一成分である必要はなく、本発明の効果を阻害しない範囲においては、塩類その他の無機物質や有機物質などの他の成分を含んでいても良い。これらの他の成分の許容濃度は、界面活性剤の性質にもよるが、一般的には、20重量%以下であれば差し支えない。本発明の粒状界面活性剤の用途としては、ボディシャンプー、ヘアシャンプー、ハンドソープ、洗顔フォーム、洗顔パウダー、固形石鹸等の洗浄剤等が挙げられる。本発明の粒状界面活性剤は、粒径0.1mm以下の粒子の重量割合が2.0wt%以下であり、メジアン径が0.17mm以上である。粒径0.1mm以下の粒子の重量割合が2.0wt%を超える場合、またはメジアン径が0.17mm未満の場合は粉立ちがひどくなる。なお、メジアン径の上限は特にないが、3.0mm以下であることが好ましい。メジアン径が3.0mmを超える場合は、溶解性や流動性が悪くなる場合がある。特に、液状洗浄剤等に用いる場合のように界面活性剤を20%未満の割合で溶解させる場合には、メジアン径は、1.2mm以下であることが好ましい。1.2mmを越えると単位重量あたりの表面積が減少するため溶解性が悪くなる場合がある。また、洗顔フォーム等に用いる場合のように界面活性剤を15%以上配合する場合には、メジアン径は、0.85mm以上であることが好ましい。0.85mm未満では投入時にすぐに凝集を生じ、大きな塊となってしまい溶解しにくくなる場合がある。また、この場合のメジアン径の上限は特にないが、3.0mm以下であることが好ましい。3.0mm以上では単位重量あたりの表面積が小さくなり、溶解性が悪くなる場合がある。本発明の粒状界面活性剤の嵩密度としては、300kg/m3以上のもが好ましい。嵩密度が300kg/m3未満では、包装時のかさが大きくなり、また、溶解時に浮遊し溶解性が悪くなる場合がある。特に、洗顔フォーム等に用いる場合のように界面活性剤を15%以上配合する場合には、嵩密度は490kg/m3以上であることが好ましい。嵩密度が490kg/m3未満の場合、溶解釜への投入時に界面活性剤が浮遊しやすく泡が発生する場合がある。泡の発生により、溶解速度が遅くなるだけでなく、晶析時に泡を巻き込むため最終形態がムース状になり好ましくない。なお、嵩密度の上限は特にないが、800kg/m3以下であることが好ましい。800kg/m3を越えると、粒径が大きくなりやすく、単位重量あたりの表面積が極端に小さくなるため、溶解性が悪くなる場合がある。本発明の粒状界面活性剤の嵩密度と真密度の比(嵩密度/真密度)は、0.25以上が好ましい。この比が0.25より小さいと造粒の際に隙間がたくさんできていることになり、溶解時に浮遊しやすく、また充填包装の際にかさばって不利になる場合がある。嵩密度と真密度の比の上限は特にないが、0.6以下であることが好ましい。0.6を越えるものは、隙間ができないように非常にゆっくりと丁寧にコーティング造粒する必要があり、生産能力が低下する場合がある。なお、本発明における嵩密度とは、100ccの嵩密度測定容器(50.3mmφ×50.3mmH)を使用し、粉体を上方から均一に分散するように、30cm上方からフィード速度50g/min程度でフィードし、上面をすり切って重量を測定した粗充填嵩密度をいう。本発明における粒径分布は、篩い分け法により、0.1mmから1.7mmまでの各種篩いをRctsch製の振動器を用い振幅2.0mmで15分間振動させて分級し、各篩い上質量を測定した質量基準の粒径分布を意味する。また、メジアン径は、累積の質量基準粒径分布よりプロット間を直線近似してその時の累積50%の粒径を意味する。本発明における真密度とは、次のように測定される。即ち、micromeritics製のPycnometer、AccuPyc1330を使用して、測定前に窒素パージを5回行い、定常と見なす平衡時間を0.01psig/minと設定し、約2gのサンプルを用いて25℃で測定し、3回の測定結果の相加平均値を真密度という。本発明の粒状界面活性剤は、以下の方法により製造することができる。即ち、界面活性剤の全部または1部を水または温水に溶解させた溶液または分散させたスラリーを、熱風を導入した流動床上部に噴霧することにより、造粒と乾燥を同時に行い、得られた粒子を分級して低粒径側の粒子を取り除くことにより製造することができる。原料となる界面活性剤は、水又は温水に溶解させて用いるが、完全溶解液でも一部溶解液(以下併せて「原料液」という。)でも噴霧ノズルにつまらない程度であれば差し支えない。流動床からの熱風風量は、粉体が充分に流動する速度であれば特に限定はないが、目皿入口給気速度が0.5〜3.0m/sであることが好ましい。目皿入口給気速度とは熱風の風量を流動床面積で除した値を意味する。熱風の温度は、用いる界面活性剤の性質により適宜決定され、乾燥を促進し、しかも界面活性剤が溶解せず、また缶壁にへばりついて運転がしにくくならないなどの条件を考慮して決められるが、一般的には70〜180℃の範囲が好ましい。流動粉体層内への噴霧は、通常噴霧ノズル(メインノズル)により行われるが、ノズル位置は流動する粉に原料液が吹きかかる場所であれば特に限定はないが、流動粉体層中に上向きに噴霧するように取り付けることが好ましい。なお、噴霧ノズルにより噴霧される原料液により、コーティングだけでなく新たに核となる微粉も同時に生成することとなるが、噴霧ノズルと流動粉体面の位置関係を変化させることにより、コーティングされる量と微粉が生成される量の割合や造粒品の粒径を調整することができ、その位置関係は、用いる原料液の性質により適宜決定される。ノズルを流動粉体層内の上部に位置させると微粉が生成する割合が増え、ノズルを流動粉体層内の下部に位置させるとコーティングされる割合が増える傾向がある。この場合メインノズルの噴霧速度は、用いる原料液の性質により適宜決定される。また、流動粉体層の外側上部(排気部)にさらに別の噴霧ノズル(サブノズル)を設けると、比較的上部をずっと舞い続けている軽い微粉にもコーティングを促進する事ができるので望ましい。サブノズルの噴霧速度は、用いる原料液の性質により適宜決定される。製品の粒径制御法として、コーティングの割合が増え、粒子が大きくなりすぎた場合は篩分して大粒子を粉砕し、核として系内にリサイクルすることもできる。噴霧ノズルは、メインノズル、サブノズルのいずれか一方または双方とも、細かい液滴を発生させるために2流体ノズルであることが好ましい。2流体ノズルからのエアー流量を変化させることにより、噴霧により生じた液滴径、液滴が付着する微粉量、核となる微粉へのコーティングの厚さ、造粒物の密度などを調整することができ、そのエアー流量は、原料液の粘度、表面張力など用いる界面活性剤の性質等によって適宜決定される。粒状界面活性剤の製造においては、排気部に二次エアーとして熱風を導入することにより乾燥を促進することができる。二次エアーの温度は系内バランスを考え、流動床からの熱風と同程度もしくは若干低い程度が望ましい。製造に際して、バッチ式、連続式のいずれでも可能であるが、分級工程を導入する関係上、連続式が好ましい。連続式で製造する場合、排出されてきた粒子の中で粒径の小さいものは、何らかの分級機構で系内に戻し核として更に成長させ、適切な大きさに成長したもののみを製品として取り出すこととなる。これにより、粉立ちの原因となる微粉を製品から除去することができる。この場合の分級方法は、粒径の小さい流体を取り除くことができるものであれば、とくに限定はないが、重力に対する向流のエアーで分級する向流重力分級器が好ましい。向流重力分級器により分級する場合の分級風速は、用いる界面活性剤の性質により適宜決定されるものであるが、0.5m/s〜3.0m/sが好ましい。本製造方法は、造粒と乾燥を同時に行う流動コーティング造粒法であり、ここで、コーティング造粒とは、乾燥しつつある界面活性剤粒体の粒と粒が凝集して成長するのではなく、乾燥した界面活性剤粒子に原料液が薄くコーティングされ乾燥することを繰り返して徐々に球状のまま成長する造粒法を意味する。このような成長をすることにより、3.0mm以下の小さな粒径でも、重質な顆粒を得ることができるものである。実施例以下、実施例を用いてさらに詳細に本発明を説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。使用した装置の流動床面積は0.1m2であり、第1図に示すように、流動層内に上向きの2流体ノズル(メインノズル)が設置されており、更に排気部に上向きの2流体ノズル(サブノズル)を設置できる機構を有している。粒状界面活性剤の排出は、流動層内の粒子重量がほぼ一定となるように流動床の差圧を一定に保ちながら排出スクリューで連続的に排出する事ができるようになっている。またスクリューから排出された粒状界面活性剤の中で、粒径の小さいものは、第2図に示すような重力と向流の分級エアーによって流動層に戻す機構を持っている。なお原料液は30wt%溶液を60℃に昇温し、完全に溶解した状態で連続的に供給した。<実施例1>ココイルグリシンナトリウム塩を用いた粒状界面活性剤の製造▲1▼核となる種材として後述の比較例1のスプレードライ法により別途得られたココイルグリシンナトリウム約2kgをあらかじめ流動させた後、原料液を噴霧し、表1に示す条件により造粒、乾燥を行った。得られた粒体のメジアン径、篩い分けによる粒径分布、嵩密度、嵩密度/真密度、溶解時間を表2に示す。以下の実施例の製造条件および測定結果も、表1、2に併せて示す。<実施例2>ココイルグリジンナトリウム塩を用いた粒状界面活性剤の製造▲2▼実施例1と同じ装置で層内に粒子が存在しない状態から60℃の液を噴霧し、核を作ることから始め、徐々に造粒させた。<実施例3>ココイルグリシンナトリウム塩を用いた粒状界面活性剤の製造▲3▼実施例1と同じ装置で層内に実施例2で得られたココイルグリシンナトリウム約5.4kgをあらかじめ流動させた後、60℃の原料液を噴霧した。<実施例4>ココイルグリシンナトリウム塩を用いた粒状界面活性剤の製造▲4▼実施例1と同じ装置で層内にメジアン径600μm、嵩密度400kg/m3のココイルグリシンナトリウム約10kgをあらかじめ流動させた後、60℃の原料液を噴霧した。<実施例5>ココイルグリシンナトリウム塩を用いた粒状界面活性剤の製造▲5▼実施例1と同じ機構を持ち、流動層面積が0.017m2の装置で比較例1のスプレードライ法により別途得られたココイルグリシンナトリウム約1kgをあらかじめ流動させた後、原料液を噴霧し、表1に示す条件により造粒、乾燥を行った。<実施例6、7>ココイルグリシンナトリウム塩を用いた粒状界面活性剤の製造▲6▼、▲7▼実施例1と同じ装置の排気部に、2流体のサブノズルを上向きに設置し、種材なしで60℃の原料液を両方から供給した。<実施例8>ココイルグリシンナトリウム塩を用いた粒状界面活性剤の製造▲8▼実施例6と同じ装置を使用し、更に排気部に45度上向きに乾燥風(2次エアー)を導入し種材なしで原料液を供給した。<実施例9>ココイルグリシンナトリウム塩を用いた粒状界面活性剤の製造▲9▼実施例8と同じ装置で、得られた造粒物を更に425μmの篩いで分級し425μm以上のみを製品として取り出した。<実施例10>ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム塩を用いた粒状界面活性剤の製造▲1▼実施例1と同じ装置を用いて同様に約2kgの種材を流動させてから原料液を供給した。<実施例11>ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム塩を用いた粒状界面活性剤の製造▲2▼種材として実施例10の製品を約2kg使用した。<実施例12>ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム塩を用いた粒状界面活性剤の製造▲3▼実施例1と同じ装置を用いて種材なしで原料液を供給した。<実施例13、14、15>ミリスチングルタミン酸モノカリウム塩、ラウリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウムを用いた粒状界面活性剤の製造実施例12と同様の方法で、ミリスチングルタミン酸モノカリウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウムを種材なしで原料液を供給した。本発明の粒状界面活性剤の比較例として、以下に示す従来の製造方法による製品物性を表3に示す。<比較例1>スプレードライヤーによるココイルグリシンナトリウム塩の製造アトマイザータイプのスプレードライヤー(6200φ×10500H)を用い、以下の運転条件にて製造した。原料濃度 30wt%給液流量 350L/hrエアー温度 135℃エアー風量 470m3/min<比較例2>ドラムドライヤーによるココイルグリシンナトリウム塩の製造ドラム面積 24.8m2のドラムドライヤーを用い、以下の運転条件にて製造した。原料濃度 30wt%給液流量 77.4L/hrドラム温度 134℃乾燥時間 25sec<比較例3>スプレードライヤーによるラウロイルグルタミン酸モノナトリウム塩の製造アトマイザータイプのスプレードライヤー(6200φ×10500H)を用い、以下の運転条件にて製造した。原料濃度 30wt%給液流量 350L/hrエアー温度 137℃エアー風量 470m3/min<比較例4>ドラムドライヤーによるラウロイルグルタミン酸モノナトリウム塩の製造ドラム面積 24.8m2のドラムドライヤーを用い、以下の運転条件にて製造した。原料濃度 30wt%給液流量 120L/hrドラム温度 134℃乾燥時間 25sec<比較例5>スプレードライヤーによるミリスチングルタミン酸モノカリウム塩の製造アトマイザータイプのスプレードライヤー(6200φ×10500H)を用い、以下の運転条件で製造した。原料濃度 30wt%給液流量 200L/hrエアー温度 115℃エアー風量 470m3/min<比較例6>ドラムドライヤーによるミリスチングルタミン酸モノカリウム塩の製造ドラム面積 24.8m2のドラムドライヤーを用い、以下の運転条件にて製造した。原料濃度 30wt%給液流量 56.6L/hrドラム温度 134℃乾燥時間 25sec<比較例7>ドラムドライヤーによるラウリン酸ナトリウムドラムドライヤーで製造された市販のラウリン酸ナトリウム(日本油脂製「ノンサールLN−1」)をそのまま用いた。<比較例8>スプレードライヤー乾燥後、流動造粒によるラウリル硫酸ナトリウムスプレードライヤーで乾燥後、流動造粒により得られた市販のラウリル硫酸ナトリウム(花王製「エマール10」)をそのまま用いた。<試験例1:液体洗浄料調製時の溶解時間の測定>液体洗浄料調製時の溶解時間として、50ccビーカーに60℃の温水を27g張り込み、2cm片のマグネットスターラーを300rpmで回転させた状態で、サンプル3.0gを投入し、目視にて完全に溶解するまでの時間を測定し、3回平均値を溶解時間とした。結果を溶解時間▲1▼として、表2、3に併せて示す。<試験例2:洗顔フォーム調製時の溶解時間の測定>洗顔フォーム調製時の溶解時間として、3L真空乳化釜に精製水735gおよびグリセリン450g、クエン酸一水和物15gを投入し、70℃に加温した状態で、サンプル300gを投入し、目視にてサンプルが完全に溶解するまでの時間を測定した。結果を溶解時間▲2▼として、表2、3に併せて示す。<試験例3:洗顔フォーム調製時の起泡性の評価>洗顔フォーム調製時の起泡性の評価は、3L真空乳化釜に精製水735gおよびグリセリン450g、クエン酸一水和物15gを投入し70℃に加温した状態にサンプル300gを投入し、専門パネル2名により、下記の評価基準により観察を行い、2名の評価点の平均点を算出した。評価基準は、1点以上2点未満を×、2点以上3点未満を△、3点以上4点未満を○、4点を◎とした。結果を、表2、3に併せて示す。1点:非常に泡が多い2点:やや泡が多い3点:ほとんど泡がない4点:全く泡がない<試験例4:粉立ちの評価>粉立ちの評価は、50gのサンプルを50cmの高さから落とした時の状態を評価した。専門パネル2名により、下記の評価基準により官能評価により行い、2名の評価点の平均点により、1点以上2点未満を×、2点以上4点未満を△、4点以上を○とした。結果を、表2、3に併せて示す。1点:非常に粉立ちする。2点:やや粉立ちする3点:粉立ちする4点:ほとんど粉立ちしない5点:全く粉立ちしない<試験例5:流動性の評価>流動性の評価は、漏斗にサンプルを供給し、漏斗からのサンプルの流出状態を観察して以下のように評価した。漏斗は、出口径1.5cm、長さ2cmのものを使用し、約50g/minで供給した。結果を、表2、3に併せて示す。× 初めから閉塞し全く流出しない△ 途中で閉塞することがある○ 閉塞することなく流出する表1〜3より、本発明の製造方法により得られた粒状界面活性剤は、水に対する溶解性に優れ、粉立ちが少なく、流動性を有し、洗顔フォームを調製するときの泡立ちが少ないことがわかる。本発明の実施例1で得られた粒状界面活性剤の光学顕微鏡写真を第3図に示す。なお、写真に示されているスケールの数字は、ミリメートル単位を表す。同様に、比較例1(スプレードライヤーにより得られたもの),比較例8(スプレードライヤーによる乾燥後、流動造粒をしたもの),比較例4(ドラムドライヤーにより得られたもの)の光学顕微鏡写真を第4図〜第6図にそれぞれ示す。第3図〜第6図より、本発明の製造方法により得られた粒状界面活性剤は、球状の均一な粒子である一方、従来の製造方法により得られたものは、粒径が均一でなく、細かい粒子が混在しているため粉立ちが生じやすく、また、球状でないため、流動性が悪いことが裏付けられる。また、ドラムドライヤーにより得られたものは球状ではなく、崩壊性の強い形状であるため、輸送等の衝撃により容易に崩壊し、粉立ちの原因となる微粉が生じると考えられる。産業上の利用可能性本発明によれば、製造が容易であり、水に対する溶解性に優れ、粉立ちが少なく、流動性を有する粒状界面活性剤を得ることができる。また、ビルダー等の添加剤を加えることなく粒状界面活性剤を得ることができる。【図面の簡単な説明】第1図は、実施例で用いた装置の概略を表す。第2図は、分級機構の概略を示す。第3図は、実施例1で得られた粒状界面活性剤の光学顕微鏡写真を示す。第4図は、比較例1で得られた界面活性剤の光学顕微鏡写真を示す。第5図は、比較例8で得られた界面活性剤の光学顕微鏡写真を示す。第6図は、比較例4で得られた界面活性剤の光学顕微鏡写真を示す。 粒径0.1mm以下の粒子の重量割合が2.0wt%以下であり、メジアン径が0.17mm以上である粒状界面活性剤。 粒径0.1mm以下の粒子の重量割合が2.0wt%以下であり、メジアン径が0.17mm以上かつ1.2mm以下である粒状界面活性剤。 粒径0.1mm以下の粒子の重量割合が2.0wt%以下であり、メジアン径が0.85mm以上である粒状界面活性剤。 嵩密度が300kg/m3以上である請求の範囲第1項ないし第3項記載の粒状界面活性剤。 嵩密度が490kg/m3以上である請求の範囲第1項ないし第3項記載の粒状界面活性剤。 嵩密度と真密度の比(嵩密度/真密度)が0.25以上である請求の範囲第1項ないし第5項記載の粒状界面活性剤。 界面活性剤の全部または1部を水または温水に溶解させた溶液または分散させたスラリーを熱風を導入した流動層内で噴霧することにより造粒と乾燥を同時に行い、上記工程により得られた粒子を分級して低粒径側の粒子を取り除いて得られる粒状界面活性剤。 界面活性剤が1気圧、25℃において固体であることを特徴とする請求の範囲第1項ないし第7項記載の粒状界面活性剤。 界面活性剤がアニオン界面活性剤であることを特徴とする請求の範囲第1項ないし第8項記載の粒状界面活性剤。 界面活性剤のクラフト点が40℃以上であることを特徴とする請求の範囲第1項ないし第9項記載の粒状界面活性剤。 界面活性剤がN−アシルアミノ酸またはその塩であることを特徴とする請求の範囲第1項ないし第10項記載の粒状界面活性剤。 界面活性剤がN−アシルグルタミン酸、N−アシルグリシン、N−アシルアラニンまたはこれらの塩であることを特徴とする請求の範囲第1項ないし第11項記載の粒状界面活性剤。 ビルダーを含有しない請求の範囲第1項ないし第12項記載の粒状界面活性剤。 界面活性剤の全部または1部を水または温水に溶解させた溶液または分散させたスラリーを熱風を導入した流動層内で噴霧することにより造粒と乾燥を同時に行い、得られた粒子を分級して低粒径側の粒子を取り除くことを特徴とする粒状界面活性剤の製造方法。 溶液またはスラリーを流動層内で上向きに噴霧することを特徴とする請求の範囲第14項記載の粒状界面活性剤の製造方法。 溶液またはスラリーを複数段に設けた噴霧ノズルから噴霧することを特徴とする請求の範囲第14項または第15項記載の粒状界面活性剤の製造方法。 噴霧ノズルの少なくとも1つを流動粉体層内部に、少なくとも1つを流動粉体層の外側上部(排気部)に設けて溶液またはスラリーを噴霧することを特徴とする請求の範囲第14項ないし第16項記載の粒状界面活性剤の製造方法。 分級により除かれた低粒径の粒子を流動層内に戻すことを特徴とする請求の範囲第14項ないし第17項記載の粒状界面活性剤の製造方法。 例えば、界面活性剤の全部または1部を水または温水に溶解させた溶液または分散させたスラリーを熱風を導入した流動層内で噴霧することにより造粒と乾燥を同時に行い、上記工程により得られた粒子を分級して低粒径側の粒子を取り除いて得られる粒状界面活性剤。典型的には、粒径0.1mm以下の粒子の重量割合が2.0wt%以下であり、メジアン径が0.17mm以上である。この粒状界面活性剤は製造が容易であり、水に対する溶解性に優れ、粉立ちが少なく、流動性を有する。