タイトル: | 特許公報(B2)_油中水型乳化組成物およびこれを用いた乳化化粧料 |
出願番号: | 2001005769 |
年次: | 2008 |
IPC分類: | A61K 8/25,A61K 8/92,A61K 8/894,A61K 8/73,A61K 8/64,A61K 8/06 |
中村 忠司 高須 恵美子 金田 勇 JP 4046313 特許公報(B2) 20071130 2001005769 20010112 油中水型乳化組成物およびこれを用いた乳化化粧料 株式会社資生堂 000001959 長谷川 洋子 100098800 中村 忠司 高須 恵美子 金田 勇 20080213 A61K 8/25 20060101AFI20080124BHJP A61K 8/92 20060101ALI20080124BHJP A61K 8/894 20060101ALI20080124BHJP A61K 8/73 20060101ALI20080124BHJP A61K 8/64 20060101ALI20080124BHJP A61K 8/06 20060101ALI20080124BHJP JPA61K8/25A61K8/92A61K8/894A61K8/73A61K8/64A61K8/06 A61K 8/00 - 8/99 A61K 1/00 - 99/00 C09K 3/00 B01J 13/00 特開平10−212227(JP,A) 特開平10−120525(JP,A) 特開平11−005712(JP,A) 特開平02−191540(JP,A) 4 2002212028 20020731 14 20060607 天野 貴子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は油中水型乳化組成物およびこれを用いた乳化化粧料に関する。さらに詳しくは、良好な乳化状態を呈し、温度や経時による変化がなく、安定性に優れ、かつ、べたつき感のない、さっぱりとした良好な使用感触を有する油中水型乳化組成物およびこれを用いた乳化化粧料に関する。【0002】【従来の技術】従来、油中水型(W/O型)乳化組成物は、外相(油相)に固形・半固形型油分を多配合し粘度を高くすることで安定性向上を図っていたため、油っぽく、べたつく使用感となり、化粧料としての評価は低かった。【0003】【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような課題を解決して、安定性に優れ、かつ、べたつき感のない、さっぱりとした良好な使用感触を有する油中水型乳化組成物およびこれを用いた乳化化粧料を提供することを目的とする。【0004】【課題を解決するための手段】 上記課題を解決するために本発明は、((a)有機変性粘土鉱物を0.1〜20重量%、(b)油分を10〜70重量%、(c)HLBが7以下の乳化剤を0.01〜10重量%、および(d)ゲル化能を有する親水性化合物を水または水性成分に溶解した後、放置冷却して固化させてゲルを形成し、次いで該ゲルを粉砕して得られる、平均粒径0.1〜1,000μmで、粘度2,000〜1,000,000mPa・s(B型粘度計、25℃)のミクロゲルを0.1〜85重量%、とを含有する油中水型乳化組成物を提供する。【0005】ここで、上記(d)成分において、ゲル化能を有する親水性化合物が、寒天、カラギーナン、カードラン、ゼラチン、ジェランガム、アルギン酸の中から選ばれる1種または2種以上であるのが好ましい。【0006】また(d)成分のミクロゲルの平均粒径は1〜300μmが好ましい。【0007】また本発明は、上記の油中水型乳化組成物を含む乳化化粧料を提供する。【0008】【発明の実施の形態】以下、本発明について詳述する。【0009】(a)成分としての有機変性粘土鉱物は、一般に化粧品等において用いられ得るものであれば特に制限されるものでなく任意に使用することができる。本発明では、水膨潤性粘土鉱物を第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤で処理したカチオン変性粘土鉱物が好適に用いられる。【0010】ここで上記水膨潤性粘土鉱物としては、例えばスメクタイド属に属する層状ケイ酸塩鉱物で一般に下記一般式(I)【0011】【化1】(X,Y)2-3(Si,Al)4O10(OH)2Z1/3・nH2O (I)【0012】(式中、XはAl、Fe(III)、Mn(III)またはCr(III)を表し;YはMg、Fe(II)、Ni、Zn、LiまたはMn(II)を表し;ZはK、Na、1/2Caまたは1/2Mgを表す)で表される三層構造を有するコロイド性含水ケイ酸アルミニウム等の粘土鉱物が好ましいものとして挙げられる。具体的には、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト等の天然または合成品〔この場合、式(I)中の(OH)基がフッ素で置換されたもの〕のモンモリロナイト群〔市販品では、ビーガム(バンダービルド社製)、クニピア(クニミネ工業社製)、ラポナイト(ラポルテ社製)等がある〕、およびナトリウムシリリックマイカやナトリウムまたはリチウムテニオライトの名で知られる合成雲母〔市販品では、ダイモナイト(トピー工業社製)等がある〕などがあり、これらを好適に用いることができる。水膨潤性粘土鉱物は1種または2種以上を用いることができる。【0013】上記水膨潤性粘土鉱物を処理する第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤は、下記一般式(II)【0014】【化2】【0015】(式中、R1は炭素原子数10〜22のアルキル基またはベンジル基を表し;R2はメチル基または炭素原子数10〜22のアルキル基を表し;R3とR4はそれぞれ独立に、炭素原子数1〜3のアルキル基またはヒドロキシアルキル基を表し;Xはハロゲン原子またはメチルサルフェート残基を表す)で表される化合物である。具体的には、例えばドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ミリスチルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、アルキルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、ミリスチルジメチルエチルアンモニウムクロリド、セチルジメチルエチルアンモニウムクロリド、ステアリルジメチルエチルアンモニウムクロリド、アルキルジメチルエチルアンモニウムクロリド、ベヘニルジメチルエチルアンモニウムクロリド、ミリスチルジエチルメチルアンモニウムクロリド、セチルジエチルメチルアンモニウムクロリド、ステアリルジエチルメチルアンモニウムクロリド、アルキルジエチルメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルジエチルメチルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルミリスチルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルセチルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルベヘニルアンモニウムクロリド、ベンジルメチルエチルセチルアンモニウムクロリド、ベンジルメチルエチルステアリルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジベヘニルジヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、および上記各化合物のクロリドに代えてブロミド化合物としたもの等、さらにジパルミチルプロピルエチルアンモニウムメチルサルフェート等が挙げられる。これら第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤は1種または2種以上を任意に選択して用いることができる。【0016】上記水膨潤性粘土鉱物を第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤で処理してカチオン変性粘土鉱物を得る方法としては、例えば、水、アセトン、あるいは低級アルコール等の低沸点溶媒中で、上述の水膨潤性粘土鉱物と第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤を分散攪拌処理し、低沸点溶媒を除去することによって得ることができる。また、水膨潤性粘土鉱物と第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤を配合し、処方中で有機変性させることも可能であり、このようにして得たものも好適に用いることができる。なお、所望により、第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤と非イオン性界面活性剤とを併用してもよい。【0017】第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤の使用量は、水膨潤性粘土鉱物100gに対して60〜140ミリ等量(meq)であることが望ましい。また非イオン界面活性剤を併用する場合、その使用量は、水膨潤粘土鉱物100gに対して5〜100gが好ましく、さらに好ましくは15〜50gである。【0018】水膨潤性粘土鉱物を第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤で処理したカチオン変性粘土鉱物の代表的なものとしては、ジメチルアンモニウムヘクトライト、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムヘクトライト、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム処理ケイ酸アルミニウムマグネシウム等が挙げられる。市販品としては、ベントン38(ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド処理モンモリナイト:ナショナルレッド社製)等がある。【0019】(a)成分の配合量は、油中水型乳化化粧料全量中、0.1〜20重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜10重量%である。0.1重量%未満では十分な安定性を得るのが難しく、一方、20重量%までの配合量で十分な安定性が得られ、それ以上配合すると使用性上固くなるとともに、安定性も低下するため、好ましくない。(a)成分は1種または2種以上を用いることができる。【0020】(b)成分としての油分は、外相をなすものであり、一般に化粧品等において用いられ得るものであれば特に制限されるものでなく、例えば液体油脂、固体油脂、ロウ類、炭化水素油、高級脂肪酸、高級アルコール、合成エステル油、シリコーン油など、任意に使用することができる。【0021】液体油脂としては、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン等が例示される。【0022】固体油脂としては、カカオ脂、ヤシ油、馬脂、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、硬化牛脂、パーム核油、豚脂、牛骨脂、モクロウ核油、硬化油、牛脚脂、モクロウ、硬化ヒマシ油等が例示される。【0023】ロウ類としては、ミツロウ、カンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル等が例示される。【0024】炭化水素油としては、流動パラフィン、オゾケライト、スクワレン、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等が例示される。【0025】高級脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン(ベヘニン)酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ウンデシレン酸、トール酸等が例示される。【0026】高級アルコールとしては、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等が例示される。【0027】合成エステル油としては、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12−ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジ−2−エチルヘキシル酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキシル酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキシル酸ペンタンエリスリトール、トリ−2−エチルヘキシル酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2−エチルヘキサノエート、2−エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オイル、セトステアリルアルコール、アセトグリセライド、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、セバチン酸ジイソプロピル、コハク酸2−エチルヘキシル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、クエン酸トリエチル等が例示される。【0028】シリコーン油としては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等の鎖状シリコーン油;ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、テトラメチルテトラハイドロジェンポリシロキサン等の環状シリコーン油等が例示される。【0029】(b)成分の配合量は、油中水型乳化化粧料全量中、10〜70重量%が好ましい。【0030】(c)成分としての乳化剤は、HLBが7以下のものである。HLBが7を超えるものでは親水性が高く、安定な油中水型乳化組成物を得るのが難しい。【0031】本発明では、このHLBは下記数1【0032】【数1】HLB=7+11.7・log(MW/MO)【0033】(ただし、MWは親水基部の分子量を表し、MOは親油基部の分子量を表す)で表される川上式により算出される。【0034】HLB7以下の乳化剤としては、例えば界面活性剤のソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類;グリセロールモノステアレート、グリセロールモノオレエート等のグリセリン脂肪酸エステル類;POE(5)硬化ヒマシ油、POE(7.5)硬化ヒマシ油、POE(10)硬化ヒマシ油等のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油;ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤、ジメチコンポリオールなどが挙げられる。【0035】(c)成分の配合量は、本発明乳化組成物全量中0.01〜10重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5重量%である。配合量が少なすぎると安定な乳化物が得られず、一方、配合量が多すぎるとべたつき、みずみずしくない等の使用性上の問題がある。(c)成分は1種または2種以上を任意に選択して用いることができる。【0036】なお、この(c)成分は、(b)成分である有機変性粘土鉱物に吸着された状態で本発明組成物中に含まれていてもよい。すなわち、本発明油中水型乳化組成物または乳化化粧料を製造する際、有機変性粘土鉱物を、(c)成分となり得るHLB7以下の界面活性剤で処理して、HLB7以下の乳化剤を有機変性粘土鉱物に吸着させた状態で(c)成分を配合することも可能である。【0037】外相(油相)には、上記必須成分のほか、本発明の効果を損なわない範囲で任意に添加成分を配合することができる。例えば通常、化粧品、医薬部外品等に用いられる成分として他の油性成分、油溶性高分子、粉末、高分子顆粒等を配合することができる。【0038】(d)成分としてのミクロゲルは、平均粒径0.1〜1,000μmで、ゲル化能を有する親水性化合物を水または水性成分に溶解した後、放置冷却して固化させてゲルを形成し、次いで該ゲルを粉砕して得られる。かかる(d)成分は内相(水相)に含有される。【0039】上記(d)成分において、ゲル化能を有する親水性化合物としては、ゲル化能を有する水溶性化合物であって、化粧料、医薬品分野で用いられ得るものであれば特に限定されるものではない。具体的には、ゼラチン、コラーゲンなどのゲル化能を有する親水性タンパク質や、寒天、カードラン、スクレログルカン、シゾフィラン、ジェランガム、アルギン酸、カラギーナン、マンナン、ペクチン、ヒアルロン酸等の親水性多糖類等が例示される。なかでも、ゼラチン、寒天、カードラン、ジェランガム、アルギン酸、カラギーナンが特に好ましく用いられる。ゲル化能を有する親水性化合物は1種または2種以上を用いることができる。【0040】続いて、これらゲル化能を有する親水性化合物を、水または水性成分に溶解した後、ゲルを形成する。上記化合物の水または水性成分への溶解は、混合、加熱等によって行うことができる。またゲル化は、溶解後、加熱を止めてゲル化温度(固化温度)より低温となるまで放置(徐冷)するなど、常法により行うことができる。【0041】水性成分としては、化粧料、医薬品分野において用いられ得る水性成分であれば特に限定されるものではなく、例えば、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類や、メタノール、エタノール、プロパノール等の低級アルコールのほか、一般に化粧料の水相成分として配合される成分を含有することができる。具体的には、メタリン酸塩、エデト酸塩等のキレート剤や、pH調整剤、防腐剤が例示されるが、これら例示に限定されるものではない。【0042】上記ゲルのゲル強度は、ゲル自体がその形状を維持でき、または次工程のミクロゲルを得ることができる程度のものであれば特に限定されるものではない。本発明では、例えばゼリー強度30g/cm2(日寒水式測定)程度のかなり弱いゲル強度でもミクロゲルを得ることができる。【0043】次いで、上記形成されたゲルをホモジナイザー、ディスパー、メカニカルスターラー等により破砕し、望みのミクロゲルを得る。ミクロゲルの平均粒径は0.1〜1,000μmであり、好ましくは1〜300μm程度、より好ましくは10〜200μm程度である。破砕の度合いは、得られるミクロゲルの平均粒径が上記本発明での範囲を逸脱しない程度において、目的に応じて調節可能であり、より滑らかな使用性が必要とされる場合には高速攪拌により十分に破砕し、細かな粒径のミクロゲルとし、一方、ミクロゲル自体の触感を必要とする場合には軽い攪拌により破砕の度合いを弱めてやや大き目の粒径のミクロゲルとする。【0044】このようにして得られるミクロゲルの粘度は、例えば、ゲル化能を有する親水性化合物として寒天を用いた場合、寒天濃度0.5〜2%程度で、B型粘度計(回転数0.6rpm、25℃)による測定で2,000〜1,000,000mPa・s程度のものが好ましい。ミクロゲルの粘度を上記範囲のものとすることにより、なめらかさ、うるおい感(保湿性)の点において優れた使用感を得ることができる。粘度が低すぎるとなめらかさ、うるおい感(保湿性)に劣りがちになる。【0045】(d)成分の配合量は、本発明乳化組成物全量中0.1〜85重量%が好ましく、より好ましくは1〜80重量%である。配合量が少なすぎるとみずみずしい使用感が得られず、一方、配合量が多すぎるとべたつき感がみられる等の使用性上の問題がある。(d)成分は1種または2種以上を任意に選択して用いることができる。【0046】なお、本発明の油中水型乳化組成物を、例えば乳化化粧料に用いる場合、上記必須成分の他に、本発明の目的を損なわない程度で、必要に応じて、通常化粧料に配合される他の成分を任意に配合してもよい。このような成分としては、例えば、ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール等の保湿剤;L−アラニン、β−アラニン、L−アルギニン塩酸塩、L−アスパラギン酸1水和物、L−アスパラギン酸ナトリウム1水和物、L−アスパラギン酸カリウム2水和物、L−アスパラギン酸、L−チトルリン、L−グルタミン酸、L−グルタミン酸塩酸塩、L−グルタミン酸ナトリウム1水和物、L−グルタミン酸カリウム1水和物、L−グルタミン、グリシン、トリメチルグリシン、L−ヒスチジン、L−ヒスチジン塩酸塩1水和物、L−ハイドロキシプロリン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リジン、L−リジン塩酸塩、L−オルニチン塩酸塩、L−プロリン、L−フェニルアラニン、L−セリン、L−スレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、L−バリン、L−ドーパー、L−αアミノ酪酸等のL−アミノ酸やその塩若しくはその水和物;エタノール等の低級アルコール;ブチルヒドロキシトルエン、トコフェロール、フィチン等の酸化防止剤;安息香酸、サリチル酸、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸アルキルエステル(エチルパラベン、ブチルパラベン等)、ヘキサクロロフェン等の抗菌・防腐剤;パラアミノ安息香酸(PABA)、PABAモノグリセリンエステル、N,N−ジプロポキシPABAエチルエステル、N,N−ジエトキシPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAブチルエステル等の安息香酸系紫外線吸収剤;ホモメンチル−N−アセチルアントラニレート等のアントラニル酸系紫外線吸収剤;アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p−イソプロパノールフェニルサリシレート等のサリチル酸系紫外線吸収剤;オクチルシンナメート、エチル−4−イソプロピルシンナメート、メチル−2,5−ジイソプロピルシンナメート、エチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、メチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、プロピル−p−メトキシシンナメート、イソプロピル−p−メトキシシンナメート、イソアミル−p−メトキシシンナメート、オクチル−p−メトキシシンナメート、2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナメート、2−エトキシエチル−p−メトキシシンナメート、シクロヘキシル−p−メトキシシンナメート、エチル−α−シアノ−β- フェニルシンナメート、2−エチルヘキシル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、グリセリルモノ−2−エチルヘキサノイル−ジパラメトキシシンナメート、3,4,5−トリメトキシケイ皮酸3−メチル−4−[メチルビス(トリメチルシリキシ)シリル]ブチル等のケイ皮酸系紫外線吸収剤;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メチルベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸塩、4−フェニルベンゾフェノン、2−エチルヘキシル−4’−フェニル−ベンゾフェノン−2−カルボキシレート、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシ−3−カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤;3−(4’−メチルベンジリデン)−d,l−カンファー、3−ベンジリデン−d,l−カンファー、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチルエステル、2−フェニル−5−メチルベンゾキサゾール、2,2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニルベンゾトリアゾール、ジベンザラジン、ジアニソイルメタン、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン、5−(3,3−ジメチル−2−ノルボルニリデン)−3−ペンタン−2−オン、テレフィタリリデンジカンファースルホン酸等の紫外線吸収剤;アシルサルコシン酸(例えばラウロイルサルコシンナトリウム)、グルタチオン、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸等の有機酸;ビタミンAおよびその誘導体、ビタミンB6塩酸塩、ビタミンB6トリパルミテート、ビタミンB6ジオクタノエート、ビタミンB2およびその誘導体、ビタミンB12、ビタミンB15およびその誘導体等のビタミンB類、アスコルビン酸、アスコルビン酸硫酸エステル(塩)、アスコルビン酸リン酸エステル(塩)、アスコルビン酸ジパルミテート等のビタミンC類、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン等のビタミン類;ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル、γ−オリザノール、アラントイン、グリチルリチン酸(塩)、グリチルレチン酸およびその誘導体、ヒノキチオール、ビサボロール、ユーカルプトーン、チモール、イノシトール、サイコサポニン、ニンジンサポニン、ヘチマサポニン、ムクロジサポニン等のサポニン類、パントテニルエチルエーテル、エチニルエストラジオール、トラネキサム酸、アルブチン、セファランチン、プラセンタエキス等の各種薬剤;ギシギシ、クララ、コウホネ、オレンジ、セージ、ノコギリソウ、ゼニアオイ、センブリ、タイム、トウキ、トウヒ、バーチ、スギナ、ヘチマ、マロニエ、ユキノシタ、アルニカ、ユリ、ヨモギ、シャクヤク、アロエ、クチナシ、サワラ等の植物の抽出物;色素;モノラウリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキセチレンソルビタン、ポリエチレングリコールモノオレート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリグリコールジエーテル、ラウロイルジエタノールアマイド、脂肪酸イソプロパノールアマイド、マルチトールヒドロキシ脂肪酸エーテル、アルキル化多糖、アルキルグルコシド、シュガーエステル等の非イオン性活性剤;ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン性界面活性剤;パルミチン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル、ロート油、リニアドデシルベンゼン硫酸、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油マレイン酸、アシルメチルタウリン等のアニオン性界面活性剤;両性界面活性剤;香料;顔料;精製水等が挙げられる。【0047】なお、本発明の油中水型乳化化粧料としては、例えばメーキャップ化粧料、毛髪化粧料、スキンケア化粧料、サンケア化粧料等が挙げられるが、これら例示に限定されるものでない。【0048】【実施例】 本発明について以下に実施例を挙げて詳述するが、本発明はこれにより限定されるものではない。なお、配合量は重量%である。実施例5は欠番とする。【0049】実施例に先立ち、各実施例、比較例で用いた試験方法、評価基準について説明する。【0050】<使用性官能試験>男女各30名(計60名)のパネルに、各実施例、比較例で得た各試料を実際に使用してもらい、なめらかさ、みずみずしさ、べたつき感につき、それぞれ下記の評価基準に基づいて評価した。【0051】[肌のなめらかさの評価基準]◎: 肌のなめらかさを感じたパネルが30名以上○: 肌のなめらかさを感じたパネルが10〜29名△: 肌のなめらかさを感じたパネルが5〜9名×: 肌のなめらかさを感じたパネルが4名以下【0052】[肌のみずみずしさの評価基準]◎: 肌のみずみずしさを感じたパネルが30名以上○: 肌のみずみずしさを感じたパネルが10〜29名△: 肌のみずみずしさを感じたパネルが5〜9名×: 肌のみずみずしさを感じたパネルが4名以下【0053】[肌のべたつき感の評価基準]◎: 肌のべたつきのなさを感じたパネルが30名以上○: 肌のべたつきがなさを感じたパネルが10〜29名△: 肌のべたつきがなさを感じたパネルが5〜9名×: 肌のべたつきがなさを感じた人が4名以下【0054】<乳化性>実施例、比較例で得た各試料の乳化性を下記評価基準により評価した。【0055】○: 油中水型(W/O型)への乳化が均一に行われた△: 油中水型(W/O型)への乳化に一部水浮きや油浮きが認められた(乳化不良)×: 油中水型(W/O型)への乳化ができなかった【0056】<安定性>実施例、比較例で得た各試料を、それぞれ0℃、室温(25℃)、37℃、50℃の温度条件下で30日間保存したときの安定性を、下記評価基準により評価した。【0057】○: 分離が全く認められなかった△: 分離が認められた×: 著しい分離が認められた【0058】(水相パーツの調製)水相パーツ1〜3: 下記表1に示す水相パーツ1〜3の各成分を混合し、次いで90℃に加熱、溶解した後、放置冷却(徐冷)し、ゲルを形成した。このゲルをホモジナイザーを用いて粉砕し、ミクロゲル(平均粒子径100μm)を得た。【0059】水相パーツ4、5: 下記表1に示す水相パーツ4、5の各成分を混合した後、常温でそのまま12時間放置して水相パーツを調製した。なお、水相パーツ4で用いたカルボキシビニルポリマー、水相パーツ5で用いたキサンタンガムは、いずれもゲル化能をもたない増粘性化合物である。【0060】【表1】【0061】(実施例1〜4)下記表2に示すように、(2)〜(5)を混合した油相パーツに(1)を加えて均一に分散を行ったものに、(6)あるいは(7)の水相パーツを徐添加し、ディスパーミキサーにて均一に乳化分散を行い、油中水型乳化組成物を得た。なお、表2中、「有機変性粘土鉱物(*)」は「ベントン38」(ナショナル・レッド社製)を用いた。【0062】実施例1〜4で得た試料を、上述の試験方法、評価基準に基づき、使用性(なめらかさ、うるおい感、べたつき感)、乳化性、安定性について評価した。結果を表2に示す。【0063】【表2】【0064】(比較例1〜4、参考例1) 下記表3に示すように、(2)〜(5)を混合した油相パーツに(1)を加えて均一に分散を行ったものに、(6)〜(10)のいずれかの水相パーツを徐添加し、ディスパーミキサーにて均一に乳化分散を行い、油中水型乳化組成物を得た。なお、表3中、「有機変性粘土鉱物(*)」は「ベントン38」(ナショナル・レッド社製)を用いた。【0065】比較例1〜4、参考例1で得た試料を、上述の試験方法、評価基準に基づき、使用性(なめらかさ、うるおい感、べたつき感)、乳化性、安定性について評価した。結果を表3に示す。【0066】【表3】【0067】(実施例6:保湿クリーム)(配 合 成 分) (重量%)(1)有機変性粘土鉱物(「ベントン38」;ナショナル・レッド社製) 2.0(2)ジグリセリンジイソステアリン酸 1.0(3)デカメチルシクロペンタシロキサン 10.0(4)ワセリン 5.0(5)スクワラン 15.0(6)寒天 1.0(7)ジプロピレングリコール 5.0(8)メチルパラベン 0.2(9)アルギニン 0.1(10)アスコルビン酸リン酸マグネシウム 2.0(11)ビタミンA 0.1(12)香料 適 量(13)イオン交換水 残 余(製法)(4)、(5)、(11)、(12)を混合し、50℃に加温溶解した後、(1)を加えて均一に分散を行った(油相パーツ)。一方、これとは別に、(13)に(6)〜(10)を加えて90℃に加温溶解し、冷却固化後、ディスパーミキサーにて粉砕して平均粒径100μmのミクロゲルとした(水相パーツ)。この水相パーツ(ミクロゲル)を前記油相パーツ中へ徐添しながらディスパーミキサーで分散して、保湿クリームを得た。【0068】(実施例7:サンスクリーン)(配 合 成 分) (重量%)(1)有機変性粘土鉱物(「ベントン38」;ナショナル・レッド社製) 2.0(2)ジメチコンコポリオール 2.0(3)デカメチルペンタシロキサン 10.0(4)トリメチルシロキシケイ酸 5.0(5)疎水化酸化チタン 5.0(6)オクチル−p−メトキシシンナメート 10.0(7)寒天 1.5(8)L−アルギニン塩酸塩 1.0(9)1,3−ブチレングリコール 5.0(10)メチルパラベン 0.2(11)月見草油 0.3(12)球状ポリエチレン 1.0(13)アスコルビン酸グリコシド 2.0(14)酢酸トコフェロール 0.3(15)ビタミンAアセテート 0.1(16)香料 適 量(17)イオン交換水 残 余(製法)(1)〜(6)、(11)、(12)、(14)〜(16)を均一分散し油相パーツを調製した。一方、これとは別に、(17)に(7)〜(10)、(13)を加えて混合し、90℃に加温溶解し、冷却固化後、ディスパーミキサーにて粉砕して平均粒径60μmのミクロゲルとした(水相パーツ)。この水相パーツ(ミクロゲル)を前記油相パーツ中へ徐添しながらディスパーミキサーで分散して、サンスクリーンを得た。【0069】【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、良好な乳化状態を呈し、温度や経時による変化がなく、安定性に優れ、かつ、べたつき感のない、さっぱりとした良好な使用感触を有する油中水型乳化組成物およびこれを用いた乳化化粧料を提供することができる。 (a)有機変性粘土鉱物を0.1〜20重量%、(b)油分を10〜70重量%、(c)HLBが7以下の乳化剤を0.01〜10重量%、および(d)ゲル化能を有する親水性化合物を水または水性成分に溶解した後、放置冷却して固化させてゲルを形成し、次いで該ゲルを粉砕して得られる、平均粒径0.1〜1,000μmで、粘度2,000〜1,000,000mPa・s(B型粘度計、25℃)のミクロゲルを0.1〜85重量%、とを含有する油中水型乳化組成物。 (d)成分のミクロゲルの平均粒径が1〜300μmである、請求項1記載の油中水型乳化組成物。 (d)成分において、ゲル化能を有する親水性化合物が、寒天、カラギーナン、カードラン、ゼラチン、ジェランガム、アルギン酸の中から選ばれる1種または2種以上である、請求項1または2記載の油中水型乳化組成物。 請求項1〜3のいずれか1項に記載の油中水型乳化組成物を含む乳化化粧料。