タイトル: | 特許公報(B2)_銅/アミンオキシド木材防腐剤 |
出願番号: | 2000619600 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | A01N 59/20,A01N 33/04,A01N 33/16,A01P 3/00,B27K 3/52,C07C 291/04 |
ウォーカー、リー、イー JP 4223688 特許公報(B2) 20081128 2000619600 20000524 銅/アミンオキシド木材防腐剤 ロンザ インコーポレイテッド 592233462 浅村 皓 100066692 浅村 肇 100072040 安藤 克則 100107504 赤澤 太朗 100110803 ウォーカー、リー、イー US 60/135,539 19990524 20090212 A01N 59/20 20060101AFI20090122BHJP A01N 33/04 20060101ALI20090122BHJP A01N 33/16 20060101ALI20090122BHJP A01P 3/00 20060101ALI20090122BHJP B27K 3/52 20060101ALI20090122BHJP C07C 291/04 20060101ALN20090122BHJP JPA01N59/20 ZA01N33/04A01N33/16A01P3/00B27K3/52 CB27K3/52 AC07C291/04 A01N 59/00 A01N 33/00 特開平08−039514(JP,A) 米国特許第04382105(US,A) 国際公開第97/001423(WO,A1) 西独国特許出願公開第03743821(DE,A) 特表平10−504811(JP,A) 特表平07−500092(JP,A) 26 US2000014371 20000524 WO2000071311 20001130 2003500371 20030107 17 20040427 冨永 保 【0001】本願は、1999年5月24日に出願された米国特許出願Serial No.60/135,539の特典を主張するものである。【0002】(技術分野)本発明は、アミンオキシド及び水性銅アミン錯体を含有する木材防腐性及び防水性組成物に関する。【0003】(背景技術)クロム酸塩化(chromated)砒酸銅は、一般に木材防腐剤として用いられている。クロムは木材を酸化し、木材に銅及び砒素を固定する部位を発生する。銅は極めて効果的な木材防腐剤であるが、或る真菌はその殺生物活性に対し抵抗力を有する。砒素は、銅に対し耐性を有する真菌を防除するのに役立ち、木材を破壊する昆虫から木材を保護する働きをする。【0004】しかし、最近、クロム及び砒素による環境汚染に関する多くの問題が起きてきている。クロム酸塩化砒酸銅及びハロゲン化物で処理した木材の廃棄に関する問題も大きくなってきている。【0005】その結果、クロム、砒素、又はハロゲンを含まず、環境に優しく、然も、クロム酸塩化砒酸銅と同様な木材防腐性を有する銅含有木材防腐剤が求められている。【0006】(発明の開示)本出願人は、アミンオキシドが木材防腐剤としての水性銅アミン錯体の性能を高め、防水性を与えることを見い出した。本発明は、アミンオキシド及び水性銅アミン錯体を含有する組成物を提供する。【0007】本発明の別の態様は、前記組成物と木材基体とを接触させることにより、木材基体を防腐及び(又は)防水する方法にある。【0008】更に別の態様は、木材基体と本発明の組成物とからなる物品にある。【0009】この組成物は、褐色菌核病及び腐敗病のような銅耐性真菌を含めた真菌に対し大きな効力を有する。また、この組成物は、ポリアミン又は従来技術で知られている他の安定化剤を必要とすることなく、高い濃度で相安定性を有する。この組成物中のアミンオキシドは、防水性を与えることができる。本発明の組成物は、典型的にはハロゲン化物イオン、特に塩化物イオンを含まず、環境に優しいものである。【0010】(本発明の詳細な説明)本発明は、アミンオキシド及び水性銅アミン錯体を含有する組成物を与える。【0011】アミンオキシドは、トリアルキルアミンオキシド、N−アルキル化環式アミンオキシド、ジアルキルピペラジンジ−N−オキシド、アルキルジ[ポリ(オキシアルキレン)]アミンオキシド、ジアルキルベンジルアミンオキシド、脂肪アシルアミノプロピルジメチルアミンオキシド、ジアミンジオキシド、トリアミントリオキシド、及びそれらのいずれかの組合せでもよい。【0012】好ましいトリアルキルアミンオキシドは、式、R1R2R3N→O(式中、R1は直鎖、分岐鎖、環式、又はそれらの組合せのC6〜C40飽和又は不飽和基であり、R2及びR3は、独立に直鎖、分岐鎖、又はそれらの組合せのC1〜C40飽和又は不飽和基である)を有する。R1、R2、及びR3は、独立にアルキル、アルケニル、又はアルキニル基でもよい。R1は、C8〜C40基であるのが好ましい。より好ましくは、R1は直鎖、分岐鎖、環式、又はそれらの組合せのC8〜C22飽和又は不飽和基であり、例えば、ココ、水素化タロー、ソイア(soya)、デシル、及びヘキサデシルであり、R2及びR3は、独立に直鎖、分岐鎖、又はそれらの組合せのC1〜C22飽和又は不飽和基であり、例えば、ココ、水素化タロー(これは典型的には約70〜75重量%のC18アルキル、約20〜25重量%のC16アルキル、及び微量のより低級の誘導体である)、ソイア、デシル、及びヘキサデシルである。【0013】好ましいトリアルキルアミンオキシドは、式、R1R2CH3N→O(式中、R1及びR2は上で定義した通りである)を有するジアルキルメチルアミンオキシドである。別の好ましいトリアルキルアミンオキシドは、式、R1(CH3)2N→O(式中、R1は、上で定義した通りである)を有するアルキルジメチルアミンオキシドである。適当なアルキルジメチルアミンオキシドには、C10アルキルジメチルアミンオキシド、C12〜C14アルキルジメチルアミンオキシド、C16〜C18アルキルジメチルアミンオキシド、及びそれらのいずれかの組合せが含まれるが、それらに限定されるものではない。【0014】好ましいN−アルキル化環式アミンオキシドは、式R4R5R6N→O(式中、R4は、上記R1と同じに定義され、R5及びR6は結合して環式基を形成している)を有する。環式基は約4〜約10個の炭素原子を有するのが典型的であり、場合により酸素、硫黄、窒素、又はそれらのいずれかの組合せを含有していてもよい。一層好ましいN−アルキル化環式アミンオキシドには、アルキルモルホリンN−オキシド、ジアルキルピペラジンジ−N−オキシド、及びそれらのいずれかの組合せが含まれるが、それらに限定されるものではない。【0015】好ましいアルキルモルホリンN−オキシドは、式:【0016】【0017】(式中、R7は、上記R1と同じに定義される。)を有する。【0018】好ましいジアルキルピペラジンジ−N−オキシドは、式:【0019】【0020】(式中、R8は上記R1と同じに定義され、R9は上記R2と同じに定義される。)を有する。【0021】好ましいアルキルジ[ポリ(オキシアルキレン)]アミンオキシドは、式:【0022】【0023】(式中、R10は上記R1と同じに定義され、R11及びR12は、独立にH又はCH3であり、m及びnは、独立に約1〜約10の整数である。)を有する。【0024】好ましいジアルキルベンジルアミンオキシドは、式、R10R11R12N→O(式中、R10は上記R1と同じに定義され、R11は上記R2と同じに定義され、R12はベンジルである)を有する。一層好ましいジアルキルベンジルアミンオキシドには、式、R10R12CH3N→O(式中、R10及びR12は上で定義した通りである)を有するアルキルベンジルメチルアミンオキシドが含まれるが、それらに限定されるものではない。【0025】好ましい脂肪アシルアミノジメチルプロピルアミンオキシドは、式:【0026】【0027】(式中、R13は上記R1と同じに定義される。)を有する。【0028】好ましいジアミンオキシドは、式:【0029】【0030】(式中、R14は上記R1と同じに定義され、mは約1〜約10の整数である。)を有する。【0031】好ましいトリアミントリオキシドは、式:【0032】【0033】(式中、R15は上記R1と同じに定義され、m及びnは、独立に約1〜約10の整数である。)を有する。【0034】長鎖(C16以上)アミンオキシド、例えば、ヘキサデシルアミンオキシド、オクタデシルジメチルアミンオキシド、及び水素化タローアミンオキシドは、組成物に防水性を与えるのに特に好ましい。短鎖(C14以下)アミンオキシド、例えば、デシルジメチルアミンオキシド、ドデシルジメチルアミンオキシド、及びテトラデシルジメチルアミンオキシドは、水性銅アミン錯体及び長鎖アミンオキシドを可溶化するのに役立ち、効果的な安定化剤である。【0035】組成物は、防水性を与えるためのC16〜C18長鎖アミンオキシドと、長鎖アミンオキシドを可溶化するためのC10〜C14短鎖アミンオキシドとの混合物を含有するのが好ましい。典型的には、そのような混合物は、全アミンオキシド100重量%に基づき、少なくとも50重量%の長鎖アミンオキシドを含有する。【0036】長鎖及び短鎖アミンオキシドの混合物も、本発明の一つの態様として考慮されている。長鎖アミンオキシドは、短鎖アミンオキシドと約1:10〜10:1の比で混合し、ここに記載するような安定な防腐剤溶液を生成させることができる。例えば、好ましい態様として、長鎖(例えば、C16)及び短鎖(例えば、C12)アミンオキシドの、約1:1〜約5:1の比率、特に5:2の比の混合物は、銅アミン錯体の希望する溶解を与え、安定な溶液を与える。長鎖対短鎖のアミンオキシドの適当な比率は、当業者であれば、溶解度及び溶液の安定性を試験するここに与える方法を用いて、容易に決定することができる。【0037】銅アミン錯体は、一般に水溶性アミンを含有する。適当な銅アミン錯体には、アンモニウム/銅錯体、エタノールアミン/銅錯体、ジエタノールアミン/銅錯体、トリエタノールアミン/銅錯体、ジエチルアミン/銅錯体、エチレンジアミン/銅錯体、又はそれらのいずれかの組合せが含まれるが、それらに限定されるものではない。【0038】組成物中の銅(酸化銅として表す)対アミンオキシドの重量比は、一般に約1:0.01〜約1:50の範囲、好ましくは約1:0.5〜約1:2の範囲にある。少なくとも二種類のアミンオキシドを含有する組成物の態様では、銅(酸化銅として表す)対全アミンオキシドの重量比は、約1:1〜約1:2の範囲にあるのが好ましい。【0039】組成物の木材防腐及び防水性能を更に向上させるため、組成物は少なくとも一種類のC8〜C40アルキル基を有する脂肪アミンを更に含有していてもよい。適当な脂肪アミンには、ジアルキルメチルアミン;アルキルジメチルアミン、特に(C8〜C18)アルキルジメチルアミン;ジアルキルアミン(即ち、第二級アミン);アルキルプロピレンジアミン;及びそれらのいずれかの組合せ;が含まれるが、それらに限定されるものではない。適当なジアルキルメチルアミンの例は、N,N−ジオクチル−N−メチルアミンであるが、それに限定されるものではない。適当なアルキルジメチルアミンの例には、N−ラウリル−N,N−ジメチルアミン、N−ドデシル−N,N−ジメチルアミン、N−ヘキサデシル−N,N−ジメチルアミン、N−オクタデシル−N,N−ジメチルアミン、ココジメチルアミン、水素化タロージメチルアミン、及びそれらのいずれかの組合せが含まれるが、それらに限定されるものではない。ジアルキルアミンの例は、N,N−ジオクチルアミンであるが、それに限定されるものではない。適当なアルキルプロピレンジアミンの例には、N−ドデシルプロピレンジアミン、N−ココプロピレンジアミン、及びそれらのいずれかの組合せが含まれるが、それらに限定されるものではない。脂肪アミンを含有する殆どの従来技術の銅組成物は、相安定性が低く、相安定性を増大するためポリアミン及び他の助剤を必要とするが、脂肪アミンを含有する本発明の組成物は、大きな相安定性を有し、ポリアミン又は他の助剤は不必要である。【0040】組成物中のアミンオキシド対脂肪アミンの重量比は、約4:1〜約1:4の広い範囲にある。本発明の好ましい態様は、約1:1のココジメチルアミンオキシド対ココジメチルアミン又はN−ドデシルプロパンジアミンの重量比を有する。そのような態様の場合、銅(酸化銅として表す)対アミンオキシド対脂肪アミンの好ましい重量比は、約2:1:1である。【0041】組成物は実質的にハロゲン化物イオンを含まないのが典型的であり、ハロゲン化物イオンの含有量が約10ppm(w/w)より少ないのが好ましい。これとは対照的に、木材処理溶液中のアンモニア銅クオッツ(quats)は、一般に約500ppmのハロゲン化物イオンを含有する。【0042】組成物は、水混和性溶媒のような溶媒(水のほかに)を含有していてもよく、それらには、エタノール及びグリコール(例えば、エチレングリコール)のようなアルコール;エステル;エチルエーテルのようなエーテル;ポリエーテル;アミン;及びそれらの組合せが含まれるが、それらに限定されるものではない。【0043】濃厚状態にした場合の組成物は、全組成物100重量%に基づき、好ましくは約5〜30重量%、より好ましくは約10〜20重量%のアミンオキシドと銅アミン錯体(水を除く)との組合せを含有する。【0044】濃厚物は、木材を処理するために約0.1〜約5%の範囲に希釈することができる。使用される組成物の希釈物は、殺生物に有効な量の銅アミン錯体及び防腐性向上及び(又は)防水性に有効な量のアミンオキシドを含有するのが典型的である。使用される希釈物は、全組成物100重量%に基づき、約0.5〜約5.0重量%のアミンオキシド及び約0.05〜約1.0重量%の銅(酸化銅として表す)を含有するのが好ましい。【0045】組成物中に、当業者に知られているような他の助剤を含有させてもよい。組成物中に他の殺生物剤、殺真菌剤、及び殺虫剤を含有させてもよい。アミンオキシド水溶液によって可溶化することができる有機殺虫剤又は殺真菌剤は、本発明の組成物に用いるのに適している。適当な殺虫剤には、クロロピリホス(chloropyrifos)、ホルペット(folpet)、キャプタホル(captafol)、キャプタン(captan)、パイレトロイド(pyrethroid)、及びそれらのいずれかの組合せが含まれるが、それらに限定されるものではない。適当な殺真菌剤には、カルバミン酸ヨードプロパギルブチル、酸化トリブチル錫、2−(トリシアノメチルチオ)ベンゾチアゾール、ヨードスルホン、アゾール、イソチアザロン、及びそれらのいずれかの組合せが含まれるが、それらに限定されるものではない。【0046】一つの態様によれば、アミンオキシド対殺生物剤、殺真菌剤、又は殺虫剤の重量比は、約1:0.01〜約1:0.25の範囲にあり、好ましくは約1:0.1である。例えば、組成物はココジメチルアミンオキシド及びクロロピリホスを約1:0.1の重量比で含有していてもよい。【0047】本発明の組成物は、水性銅アミン錯体、アミンオキシド、溶媒、及び助剤を混合することにより製造することができる。混合物は、例えば約50〜約60℃の温度へ加熱してもよく且つ(又は)混合を促進するため撹拌してもよい。【0048】組成物を製造する好ましい方法は、濃厚銅アミン錯体とアミンオキシドとを混合し、次に混合物が均一になるまで撹拌し、場合により暖めることにより行う。アルコール、グリコール、エーテル等のような水混和性溶媒を用いて成分の溶解を促進するようにしてもよい。【0049】銅アミン錯体は、当分野で既知の方法により製造することができる。例えば、米国特許第4,622,248号明細書には、炭酸水素アンモニウムの存在下でアンモニア中に酸化銅を溶解することにより銅アミン錯体を形成することが記載されている。米国特許第4,622,248号明細書には、エタノールアミン及び水中に炭酸銅と水素化銅との混合物を溶解することにより銅アミン錯体を製造する別の方法も記載されている。アミンと銅とを錯化するためには、4対1(モル)の化学量論性に適合するように導入する必要があり、従って、反応物の重量比は夫々錯化するアミンにより異なるであろう。エチレンジアミンのように一つより多くのアミン基を有するアミンの場合、各アミン基を計算に入れることになるであろう。【0050】本発明の別の態様は、木材基体と本発明の組成物とを接触させることにより、木材基体を防腐及び(又は)防水する方法にある。組成物は当業者に知られているどのような木材処理法により適用してもよく、それらにはブラシ掛け、浸漬、吸収、真空含浸(例えば、二重真空法)、及び種々の工程を用いた加圧処理が含まれるが、それらに限定されるものではない。【0051】(実施例)次の実施例は本発明を例示するものであり、それを限定するものではない。全ての部及び%は、別に指示しない限り、重量による。実施例中のアミンオキシドは、別に指示しない限り、全てジメチルアミンオキシドである。【0052】例1(I) 27gのアンモニア、17gの炭酸アンモニウム、及び46gの水の中に10gの酸化銅(CuO)を混合し、撹拌して100gの10重量%CuO濃厚物を生成させることにより、アンモニア性炭酸銅の水溶液を調製した。(II) ウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチ・ケミカル社(Aldrich Chemical Co.)から入手した14gの炭酸銅/水酸化銅〔CuCO3・Cu(OH)2〕(塩基性炭酸銅としても知られている)を、30gのエタノールアミン及び56gの水の中に溶解し、撹拌して100gの10%CuO濃厚物を生成させることにより、銅エタノールアミン錯体の水溶液を調製した。【0053】種々のアミンオキシド及び脂肪アミンを用いた混合物中のアンモニア性炭酸銅又は銅エタノールアミンの最大濃度を決定した。調製した銅混合物(I)又は(II)の一方と、表1に列挙したアミンオキシド及び助剤とを混合することにより溶液を調製した。成分の混合を促進するため、場合により高温水道水及び(又は)撹拌を用いた。【0054】比較のため従来技術に示される組合せも試験した。米国特許第4,929,454号明細書に記載されているように、アミン(又はアンモニア)銅クォッツ(ACQs)(即ち、表1の最初の五つの混合物)を調製した。【0055】次に溶液を観察して溶液中の相の数を決定した。暗い溶液の場合、溶液の少量の試料を取り、細い管へ移し、光の中に置いて観察した。もし一つより多くの相が観察されたならば、少しずつ水を溶液へ添加し、溶液を加温し、振盪し、再び観察した。この手順を、溶液が室温で透明な単一相になるまで繰り返した。結果を下の表1に示す。【0056】【0057】第四級アンモニウム化合物を含有する従来技術の試験溶液を調製し、最大銅濃度を上述のように決定した。結果を下の表2に示す。表1に示した結果は、種々の種類のアミンオキシドを種々の比率で用い、10%に等しいか又はそれより大きな銅の濃度を有する溶液は、透明で安定な濃厚溶液を生ずることができることを示している。これとは対照的に、銅第四級アンモニウム化合物を大きな濃度で含む溶液(従来技術の系)では、うまく得ることができなかった。【0058】例2次の実験は、本発明の組成物の木材処理性を決定するために行なった。次の溶液を調製した。【0059】(A) 銅アンモニア/ドデシルジメチルアミンオキシド処理溶液例1のようにして調製したアンモニア性炭酸銅濃厚液〔即ち、溶液(I)〕480gを、ニュージャージー州フェアローンのロンザ社(Lonza, Inc.)から入手されたドデシルジメチルアミンオキシドの30%(w/w)水溶液であるバーロックス(Barlox)(登録商標名)12の160gと混合し、濃厚溶液を生成させた。この溶液を7360gの脱イオン水で希釈し、0.6%(w/w)の酸化銅及び0.6%のドデシルジメチルアミンオキシドを含有する得られた溶液を用いて、加圧シリンダー中で木材を処理した。【0060】(B) 銅アンモニア/ドデシルジメチルアミンオキシド/ヘキサデシルジメチルアミンオキシド処理溶液ロンザ社から入手されたヘキサデシルジメチルアミンオキシドの30%(w/w)水溶液であるバーロックス16Sの267g;107gのバーロックス12(32gのドデシルジメチルアミンオキシド);及び500gの脱イオン水を混合することにより、アミンオキシド水溶液を調製した。例1のようにして調製したアンモニア性炭酸銅濃厚液〔即ち、溶液(I)〕480gを、アミンオキシド水溶液と混合して、濃厚溶液を生成させた。この溶液を6650gの脱イオン水で希釈し、得られた溶液(0.6%の酸化銅、1.0%のヘキサデシルジメチルアミンオキシド、及び0.4%のドデシルジメチルアミンオキシドを含有)を用いて、加圧シリンダー中で木材を処理した。【0061】(C) 銅エタノールアミン/ドデシルジメチルアミンオキシド/ヘキサデシルジメチルアミンオキシド処理溶液例1のようにして調製した銅エタノールアミン溶液〔即ち、溶液(II)〕480gを、例2(B)で調製したアミンオキシド(前駆物質)水溶液と混合して、濃厚溶液を生成させた。この溶液を6650gの脱イオン水で希釈し、得られた溶液(0.6%の酸化銅、1.0%のヘキサデシルジメチルアミンオキシド、及び0.4%のドデシルジメチルアミンオキシドを含有)を用いて、加圧シリンダー中で木材を処理した。【0062】(D) 銅アンモニア/ドデシルジメチルアミンオキシド/脂肪アミン処理溶液例1のようにして調製したアンモニア性炭酸銅濃厚液〔溶液(I)〕480gを、80gのバーロックス12(24gのドデシルジメチルアミンオキシド)及び24gのバーレン(Barlene)(登録商標名)12C(これは8〜18個の炭素原子を有する或る範囲のアルキル基を含有するココジメチルアミン100%であり、ロンザ社から入手することができる)と混合し、濃厚溶液を生成させた。この溶液を7400gの脱イオン水で希釈し、0.5%の酸化銅、0.3%のドデシルアミンオキシド、及び0.3%のココジメチルアミンを含有する溶液を生成させた。この溶液を用いて加圧シリンダー中で木材を処理した。【0063】(E) 木材中の昆虫を防除するための銅アンモニア/ドデシルジメチルアミンオキシド処理溶液4.8gの工業用(精製されていない)クロロピリホス固体を、160gのバーロックス12(48gのドデシルジメチルアミンオキシド)中に溶解した。この溶液を、例1のようにして調製したアンモニア性炭酸銅濃厚液〔溶液(I)〕480gと混合し、濃厚溶液を生成させた。この濃厚溶液を7360gの脱イオン水で希釈し、0.6%の酸化銅、0.6%のドデシルジメチルアミンオキシド、及び0.06%のクロロピリホスを含有する得られた溶液を用いて加圧シリンダー中で木材を処理した。【0064】エポキシペイントで末端被覆した、キルン乾燥#1級南方松(北米産)の2フィート×2インチ×4インチの板に対し、加圧処理実験を行なった。処理工程は、−90kPaで30分、試験溶液の注入、950kPaへ30分間加圧、圧力解放、溶液排出、次に−90kPaの最終的真空度へ30分間減圧することを含んでいた。分析は、これらの処理溶液中の全ての成分が効果的に木材中に浸透したことを示していた。【0065】例3銅耐性及び腐敗病真菌に対する効力寒天平板法〔アーチェル(Archer)その他、Forest Products Journal, 1995, 45:1〕を用いて、木材上の真菌増殖に対する木材防腐剤化合物の性能を検定した。試験の原理は、防腐剤で処理した寒天上の試験有機体の遅延を検定することにある。この方法では、種々の含有量での試験化合物を含浸させた寒天媒体上での真菌の増殖速度を比較する。どのような特定の化学的組合せが、天然媒体上での真菌増殖を遅延させるかに関連した用量応答が得られる。特定の真菌の増殖が50%遅延する濃度を、IC50として定義する。なお、これは防腐剤系を比較するのに有用な値である。【0066】下の表3中の組成物を、銅耐性褐色菌核病真菌であるP. placenta及び腐敗病真菌であるC. globosumに対し、この方法に従い試験した。結果を下の表3に示す。【0067】【0068】結果は、本発明の銅アミンオキシド組成物が、銅耐性褐色菌核病真菌P.placenta及び腐敗病真菌C.globosumの両方に対し特に効果的であったことを示している。【0069】銅だけを含有する組合せでは、高濃度の場合でしかこれらの真菌を防除できない。表3は、銅だけの系は、これらの真菌のいずれかを防除するのに150ppmの銅(酸化銅として表す)を必要としたことを示している。更に、ハロゲン化物イオンを含まない本発明の組成物は、少なくともDDACを含有する従来技術のアミン銅クォッツと同様な性能を有している。【0070】例4次の実験は、本発明の組成物の防水性を評価するために行なった。【0071】1/4″×3/4″×6″ポンデロサ・パイン(ponderosa pine)木口板を、二重真空法を用いて例1で調製した試験溶液で処理した。各木材試料を真空デシケーター中で約−80kPa圧まで減圧にした。試験溶液を室内に注入し、空気により真空を解除した。過剰の溶液を木材試料から吸い取り、その木材をデシケーターへ戻し、小さな棚の上に乗せた。再び真空に引き、木材から液体(「キックバック(kickback)」溶液)を除去した。風化にかける試料は、平らな表面を外側にして配置し、環境の自然気候条件に90日間曝した。結果を表4に示す。【0072】【0073】上で言及した全ての特許、出願、論文、刊行物、及び試験方法は、参考のためここに入れてある。【0074】上の詳細な記述を考慮することにより、当業者によって本発明の多くの変更が示唆されるであろう。そのような容易に想到される変更は、全て特許請求の範囲で意図される範囲内に入るものである。 (a)アミンオキシドと(b)水性銅アミン錯体とを含んでなる木材防腐用組成物であって、(a)アミンオキシドが、(i)式、R1R2R3N→O(式中、R1は、直鎖、分岐鎖、環式、又はそれらの組合せのC6〜C40のアルキル基であり、R2及びR3は、独立に直鎖、分岐鎖、又はそれらの組合せのC1〜C40アルキル基である。)を有するトリアルキルアミンオキシド、(ii)下記の化学式(1)(式中、R7は、直鎖、分岐鎖、環式、又はそれらの組合せのC6〜C40アルキル基である。)を有するアルキルモルホリンN−オキシド、及び下記の化学式(2)(式中、R8は、直鎖、分岐鎖、環式、又はそれらの組合せのC6〜C40アルキル基であり、R9は、直鎖、分岐鎖、又はそれらの組合せのC1〜C40アルキル基である。)を有するジアルキルピペラジンジ−N−オキシドから選択されるN−アルキル化環式アミンオキシド、(iii)下記の化学式(3)(式中、R10は、直鎖、分岐鎖、環式、又はそれらの組合せのC6〜C40アルキル基であり、R11とR12は、独立にH又はCH3であり、m及びnは、独立に1〜10の整数である。)を有するアルキルジ[ポリ(オキシアルキレン)]アミンオキシド、(iv)式、R13R14R15N→O(式中、R13は、直鎖、分岐鎖、環式、又はそれらの組合せのC6〜C40のアルキル基であり、R14は、直鎖、分岐鎖、又はそれらの組合せのC1〜C40のアルキル基であり、R15は、ベンジルである。)を有するジアルキルベンジルアミンオキシド、(v)下記の化学式(4)(式中、R16は、直鎖、分岐鎖、環式、又はそれらの組合せのC6〜C40アルキル基である。)を有する脂肪アシルアミノジメチルプロピルアミンオキシド、(vi)下記の化学式(5)(式中、R17は、直鎖、分岐鎖、環式、又はそれらの組合せのC6〜C40のアルキル基であり、pは、1〜10の整数である。)を有するジアミンジオキシド、及び(vii)下記の化学式6(式中、R18は、直鎖、分岐鎖、環式、又はそれらの組合せのC6〜C40のアルキル基であり、q及びrは、独立に1〜10の整数である。)を有するトリアミントリオキシド、から選択され、(b)水性銅アミン錯体が、アンモニア/銅錯体、エタノールアミン/銅錯体、ジエタノールアミン/銅錯体、トリエタノールアミン/銅錯体、ジエチルアミン/銅錯体、エチレンジアミン/銅錯体、又はそれらのいずれかの組み合わせから選択されることを含んでなる、上記木材防腐用組成物。 トリアルキルアミンオキシドが、式、R1R2CH3N→O(式中、R1は、直鎖、分岐鎖、環式、又はそれらの組合せのC6〜C40飽和又は不飽和基であり、R2及びR3は、独立に直鎖、分岐鎖、環式、又はそれらの組合せのC1〜C40飽和又は不飽和基である)を有する、請求項1に記載の組成物。 R1が、直鎖、分岐鎖、環式、又はそれらの組合せのC8〜C22飽和又は不飽和基であり、R2及びR3が、独立に直鎖、分岐鎖、環式、又はそれらの組合せのC1〜C22飽和又は不飽和基である、請求項2に記載の組成物。 トリアルキルアミンオキシドが、式、R1(CH3)2N→O(式中、R1は直鎖、分岐鎖、環式、又はそれらの組合せのC6〜C40飽和又は不飽和基である)を有するアルキルジメチルアミンオキシドである、請求項2に記載の組成物。 R1が、直鎖、分岐鎖、環式、又はそれらの組合せのC8〜C22飽和又は不飽和基である、請求項4に記載の組成物。 R1が、C12〜C14飽和又は不飽和、直鎖、分岐鎖、環式、又はそれらの組合せのアルキル基である、請求項5に記載の組成物。 R1が、C16〜C18飽和又は不飽和、直鎖、分岐鎖、環式、又はそれらの組合せのアルキル基である、請求項5に記載の組成物。 R1が、C10飽和又は不飽和、直鎖、分岐鎖、環式、又はそれらの組合せのアルキル基である、請求項5に記載の組成物。 銅アミン錯体が、水溶性アミンを含む、請求項1に記載の組成物。 アミンが、アンモニア、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチルアミン、及びエチレンアミンからなる群から選択されている、請求項9に記載の組成物。 組成物が、防腐性増大又は防水性に有効な量のアミンオキシド又はそれらの組合せを含有する、請求項1に記載の組成物。 銅アミン錯体が、全組成物100重量%に基づき、0.05〜5.0重量%の銅(酸化銅と表して)を含有する、請求項1に記載の組成物。 組成物が、殺生物に有効な量の銅アミン錯体を含有する、請求項1に記載の組成物。 銅アミン錯体が、全組成物100重量%に基づき、0.5〜1.0重量%の酸化銅を含有する、請求項1に記載の組成物。 酸化銅対アミンオキシドの重量比が、1:0.1〜1:5の範囲にある、請求項1に記載の組成物。 酸化銅対アミンオキシドの重量比が、1:0.5〜1:2の範囲にある、請求項15に記載の組成物。 脂肪アミンを更に含有する、請求項1に記載の組成物。 脂肪アミンが少なくとも一つのC8〜C40アルキル基を有する、請求項17に記載の組成物。 脂肪アミン基が、(C8〜C18)アルキルジメチルアミン、ココジメチルアミン、水素化タロージメチルアミン、ジオクチルアミン、N−ドデシルプロピレンジアミン、N−ココプロピレンジアミン、N−ココプロパンジアミン、及びそれらのいずれかの組合せからなる群から選択されている、請求項18に記載の組成物。 アミンオキシド対脂肪アミンの重量比が4:1〜1:4の範囲にある、請求項17に記載の組成物。 更に、殺虫剤、殺真菌剤、又はそれらの組合せを含有する、請求項1に記載の組成物。 更に溶媒を含む、請求項1に記載の組成物。 溶媒が、アルコール、グリコール、又はエーテルである、請求項22に記載の組成物。 木材基体と、請求項1に記載の組成物とを接触させることを含む、木材基体防腐方法。 木材基体と、請求項1に記載の組成物とを接触させることを含む、木材基体防水する方法。 (A) 木材基体、及び (B) 請求項1に記載の組成物、を含む物品。