生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_細胞の培養方法
出願番号:2000616338
年次:2011
IPC分類:C12N 15/09,C12N 15/02,C12N 5/10


特許情報キャッシュ

尾嵜 恭子 小石原 保夫 海宝 晋一 JP 4721522 特許公報(B2) 20110415 2000616338 20000510 細胞の培養方法 中外製薬株式会社 000003311 石田 敬 100077517 鶴田 準一 100092624 福本 積 100087871 西山 雅也 100082898 樋口 外治 100081330 尾嵜 恭子 小石原 保夫 海宝 晋一 JP 1999128614 19990510 20110713 C12N 15/09 20060101AFI20110627BHJP C12N 15/02 20060101ALI20110627BHJP C12N 5/10 20060101ALI20110627BHJP JPC12N15/00 AC12N15/00 CC12N5/00 102 C12N 15/00-15/90 C12N 5/00-5/28 CA/BIOSIS/MEDLINE/WPIDS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) PubMed 特開平10−155494(JP,A) 特開平03−046562(JP,A) Immunology,1987年,vol.60, no.2,pp.187-193 J. Immunol. Methods,1991年,vol.145, no.1-2,pp.119-125 J. Immunol. Methods,1997年,vol.205, no.2,pp.211-212 Molecular Cloning(2nd Ed.),1989年,pp.16.32-16.36 14 JP2000002997 20000510 WO2000068371 20001116 10 20070322 戸来 幸男 技術分野本発明は、細胞の培養方法に関する。また、本発明は細胞のクローニング方法に関する。さらに本発明は、細胞培養によりタンパク質を製造する方法に関する。背景技術単一の細胞から増殖した細胞群は、細胞群を構成するひとつひとつの細胞が全く同一の形質を有すると考えられており、このような均質な細胞群を得る為のシングルセルクローニングは、学術的にも商業的にも重要な技術となっている。例えば、均質な製品を生産することが必要な医薬品の製造、特に均質なタンパク質製剤を製造する為には、当該タンパク質を産生する単一の細胞を選択、分離し、そして増殖させることで、当該タンパク質を産生する均質な細胞群を構築する必要がある。従って、タンパク質、特に組換えタンパク質を生産するにあたっては、シングルセルクローニングは欠かせない技術となっている。これまで、シングルセルクローニングを必要とするモノクローナル抗体の作製に際しては、抗原で免役した動物から得られる脾臓細胞と不死化したミエローマ細胞とを細胞融合によりハイブリドーマを作製し、作製された不均質なハイブリドーマ細胞群のひとつひとつの細胞を、フィーダー細胞と共に培養する、いわゆる限界希釈法が用いられてきた。この際、フィーダーとしては、マイトマイシン処理あるいは放射線処理することで増殖能を欠如させた脾臓細胞等が用いられてきた。また、培養が困難な場合には、IL−6等の増殖因子を培養系にさらに添加することが行われてきた。しかしながら、これらの方法で用いられるフィーダー細胞は均一の細胞群ではなく、実験操作によるばらつきがおおきいこと、増殖能を欠如させる為の前処理が必要なこと等の不都合があった。さらには、細胞によっては、フィーダー細胞の添加、さらには増殖因子やウシ胎児血清の添加を行っても、単一の細胞から増殖させることが困難な場合もあった。発明の開示本発明は、従来の限界希釈法の欠点を有しない、1個の細胞の培養方法、又は細胞のクローニング方法を提供すると共に、細胞培養によりタンパク質を得る方法を提供する。本発明者は、鋭意研究の結果、タンパク質を産生する形質転換細胞あるいはハイブリドーマ細胞1個を、その親細胞と共培養することにより、効率よく均質な細胞群を構築することができることを見出した。発明の実施の形態本発明において、「“1個”の形質転換細胞を培養する」、とは、1個の細胞から培養を開始することを意味し、その培養の過程で1個の細胞から増加した複数の細胞を培養することをも含むことは言うまでもない。形質転換細胞とは、遺伝子操作細胞及びハイブリドーマ細胞を含み、構成的、すなわちタンパク質を産生するように操作された細胞であって、そのタンパク質の産生を誘導する必要がない細胞である。遺伝子操作細胞とは、所望のタンパク質を構成的に産生する形質を与えるために、該タンパク質をコードするDNAを導入した形質転換細胞を意味する。遺伝子操作細胞は、所望のタンパク質をコードするDNAを適切な発現ベクターと連結し、得られた発現ベクターを通常使用される方法により細胞に導入して作製される。このような遺伝子操作細胞には、該DNAが形質転換した細胞内部の染色体に挿入されている細胞や染色体外部に維持されている細胞を含む。遺伝子操作細胞の調製に適した細胞として、全ての種類の宿主細胞が含まれるが、好ましくは真核細胞が挙げられる。真核細胞としては、動物細胞、例えば哺乳動物細胞、酵母細胞、昆虫細胞等が挙げられる。哺乳類細胞としては、好ましくはCHO,COS、ミエローマ、BHK(baby hamster kidney)、HeLa,Vero等が挙げられる。CHO細胞としては、特にdhfr遺伝子を欠損したCHO細胞であるdhfr−CHO(Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1980)77,4216−4220),CHOK−1(Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1968)60,1275)あるいはCHODG44(Urlaub,Get al.,Cell(1983)33(2)405−412)を好適に使用することができる。ハイブリドーマ細胞とは、所望のタンパク質を構成的に産生する細胞、例えば免疫グロブリン産生細胞とそれに適合性を有する不死化細胞、例えば骨髄腫細胞(P3K,YB2/0,U266)を融合させることにより作製されるハイブリッド細胞を意味する。その他に、ハイブリドーマ細胞として、所望のタンパク質を産生する細胞を、不死化させる手段、例えばEpstein−Barrウィルス(EBV)の使用等により得られる不死化細胞も含む。ハイブリドーマ細胞の作製に供せられる所望のタンパク質を産生する細胞は、動物細胞、例えばマウス、ラット、ヒト等の細胞が使用される。親細胞とは、タンパク質を産生する細胞と同じ株(strain)の形質転換される前の細胞を意味する。親細胞としては、特にタンパク質を産生する細胞の調製に用いた細胞が好ましい。遺伝子操作細胞の親細胞は、例えば形質転換細胞の作製に際し、所望のタンパク質をコードするDNAを導入する為に用いた細胞であり、形質転換していない細胞である。ハイブリドーマ細胞の親細胞は、例えば免疫グロブリンを産生する細胞と融合する為に用いられる不死化細胞である。 選択マーカー遺伝子とは、所望のタンパク質を産生する細胞のみ選択的に生存させる形質を与える遺伝子を意味する。本発明において、タンパク質を産生する形質転換細胞は、好ましくは選択マーカー遺伝子を含んでいる。親細胞は、好ましくは選択マーカー遺伝子を含んでいない。遺伝子操作細胞に使用される選択マーカー遺伝子として、アミノグリコシドトランスフェラーゼ(APH)遺伝子、チミジンキナーゼ(TK)遺伝子、大腸菌キサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT)遺伝子、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)遺伝子等が挙げられる。従って、タンパク質を生産する形質転換細胞を生存させ、かつ親細胞を死滅させる為には、選択マーカー遺伝子が発現されないと生存できない条件下で細胞を培養すればよい。このような条件として、G418、メトトレキセートの添加、等が挙げられる。ハイブリドーマ細胞に使用される選択マーカー遺伝子として、HPRT等が挙げられる。融合に付される不死化細胞に選択マーカー遺伝子を導入するか、すでに選択マーカー遺伝子を含む不死化細胞を使用し、この細胞と所望のタンパク質を産生する細胞とを融合すればよい。選択マーカー遺伝子を含む細胞を選択マーカー遺伝子が発現されないと生存できない条件下で培養すればよい。このような条件として、ヒポキサンチン−チミジン不含培地による培養、等が挙げられる。細胞が産生するタンパク質は、有用タンパク質あるいは生理活性タンパク質であればいずれのものであってよく、好ましくはヒトタンパク質である。このようなタンパク質としては、ホルモン(下垂体ホルモン放出因子、オキシトシン、バソプレッシン、副甲状腺ホルモン(PTH)、副甲状腺ホルモン関連ペプチド(PTHrP)、成長ホルモン(GH)、プロラクチン、ガストリン、セクレチン、コレシストキニン、インスリン、グルカゴン、カルシトニン)、酵素(例えば、グルコースオキシダーゼ)、酵素阻害剤(例えば、キモスタチン)、リンフォカインあるいはサイトカイン(例えば、インターロイキン−1(IL−1),IL−2,IL−3,IL−4,IL−5,IL−6,IL−7,IL−8,IL−9,IL−10,IL−11,IL−12,IL−13,IL−15腫瘍壊死因子(TNF)、インターフェロンα(IFNα)、インターフェロンβ、インターフェロンγ、インターフェロンω、インターフェロンτ)、造血因子(例えば、エリスロポエチン(EPO)、トロンボポエチン(TPO)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、血液幹細胞増殖因子(SCF))、成長因子あるいは増殖因子(例えば、血管上皮成長因子(VEGF)、神経成長因子(NGF)、繊維芽細胞増殖因子(FGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、トランスフォーミング増殖因子β(TGF−β)、白血球遊走阻止因子(LIF)、毛様体神経栄養因子(CNTF)、オンコスタチンM(OSM))、免疫グロブリン(例えば、ヒト抗体、キメラ抗体、ヒト型化抗体又はそれらの断片、Fv,scFv(single chain Fv),scFvダイマー)等が挙げられる。タンパク質はまた、細胞がハイブリドーマ細胞である場合、特に免疫グロブリンである。細胞の培養又はクローニングは、通常使用される条件を用いればよい。はじめに所望のタンパク質を産生する細胞を適切な培養液に懸濁する。培養液は、通常使用される培養液でよく、例えばDMEM,MEM,RPMI1640,IMDM等を使用することができる。培養液には血清補液、例えば牛胎児血清(FCS)等の血清補液を併用することもできるし、あるいは血清を含有しない培養液を用いてもよい。培養液のpHは約6〜8であるのが好ましい。細胞は、好ましくは対数増殖期にある細胞を用いる。細胞がクラスターを形成している場合、適切な口径のシリンジを用いてシリンジングすることにより細胞をほぐすことができる。得られた細胞懸濁液を適宜希釈し、細胞培養用プレートに細胞1個/ウエルとなるように播種する。親細胞も同様にして調製し、約1,000〜20,000個、好ましくは約3,000〜10,000個、より好ましくは約5,000〜10,000個の親細胞を目的の細胞1個が含まれるウエルに添加する。そして、適切な条件下で培養すればよい。培養は通常約30〜40℃で約96〜120時間行い、必要に応じて適切な二酸化炭素濃度下で、培地の交換、通気、撹拌を加える。培養される細胞は好ましくは選択マーカー遺伝子を含み、親細胞はそれを含んでいないため、選択マーカー遺伝子が発現する条件にすることで親細胞は死滅し、目的の細胞が生き残る。選択マーカー遺伝子が発現する条件は、例えば選択マーカー遺伝子がdhfrである場合、メトトレキセートを培養液に添加すればよい。選択マーカー遺伝子が発現された後、適切な時間培養を続け、検鏡、例えば顕微鏡下で観察することにより生き残った細胞のコロニー形成を確認する。コロニー形成が確認されれば、細胞群を適宜より大きな細胞培養器に移し、拡大培養をすることができる。得られたコロニーは1個の細胞に由来するため、コロニー形成が確認されれば細胞のクローニングがなされたことを意味する。得られたコロニーの培養を続け、適宜継代及び/又は拡大培養し、産生された所望のタンパク質を培養上清または細胞から回収することにより、均質なタンパク質を得ることができる。得られたタンパク質は、適宜、カラムクロマトグラフィー等を組み合わせて用いて、当業者に公知の方法で精製し、所望により保存して使用することができる。シングルセルを拡大培養することで得られるタンパク質は均質であることから、その後の精製も容易であり、より純度の高いタンパク質を高収量で取得できる。従って医薬品の生産においては特に生産コストの削減に有用である。アフィニティーカラムクロマトグラフィーに用いるカラムとしては、例えば、タンパク質に対する抗体を結合させたアフィニティーカラムクロマトグラフィーを用いることができる。また、タンパク質が抗体であれば、プロテインAカラム、プロテインGカラムを用いることができる。具体的には、プロテインAを用いたカラムとしては、Hyper D,Sepharose F.F.(Pharmacia)等が挙げられる。イオン交換カラムクロマトグラフィー、逆相カラムクロマトグラフィー、ゲル濾過カラムクロマトグラフィー等も好適に組み合わせて用いられる(Strategies for Protein Purification and Characterization:A Laboratory Course Manual.Ed.Daniel R.Marshak et al.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,1996)。また、カラムクロマトグラフィー以外にも、限外濾過膜法、硫化アンモニウム沈殿法を用いて粗精製する方法も用いることができる。本発明のシングルセルクローニング法でクローニングされ、生産されたタンパク質は、特に、医薬組成物として用いることができる。投与方法は、タンパク質の活性によるが、非経口的に全身あるいは局所的に投与することができる。例えば、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、腹腔投与を選択することができ、患者の年齢、症状により適宜投与方法を選択できる。また、医薬組成物は、投与経路次第で医薬的に許容される担体や添加物を共に含むものであってもよい。特に、医薬添加物として許容される界面活性剤、等張剤、安定化剤、緩衝剤、溶解補助剤、無痛化剤、含硫還元剤、酸化防止剤を添加することができる。以下に実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明の範囲を限定するものではない。実施例1.親細胞との共培養親細胞であるCHO DG44細胞は、1% HT supplement(GIBCO−BRL社製)添加CHO−S−SFMIIDPM培地(GIBCO−BRL社製)の培地を用いて継代および培養し、対数増殖期にあるCHO DG44細胞を用いた。ヒト型化抗HM1.24抗体をコードする遺伝子を組み込んだCHO DG44細胞は、国際公開番号WO 98/14580に記載された方法により調製した。得られたヒト型化抗HM1.24抗体産生CHO細胞(ヒト型化抗HM1.24抗体H鎖発現ベクターHEF−RVHs−AHM−gγ1(FERM BP6127)とヒト型化抗HM1.24抗体L鎖発現ベクターHEF−RVLa−AHM−gκ(FERM BP5645)とを用いてCHO細胞を同時形質転換したもの)を形質転換細胞として用いた。ヒト型化抗HM1.24抗体産生CHO細胞の調製は、国際公開番号WO 98/14580と同様の方法により行い、このヒト型化抗HM1.24抗体産生CHO細胞は、640μg/mL G418(GIBCO−BRL社製)、50nM MTXおよび8mM L−グルタミン添加CD−CHO培地(GIBCO−BRL社製)にて継代したものを用いた。これらの細胞は若干細胞クラスターを形成していたため、23G針でシリンジング処理を行うことで細胞をほぐした。ヒト型化抗HM1.24抗体産生CHO細胞は、継代に用いた培地で洗浄したのち、1個/ウエルとなるように該培地を用いて細胞濃度を調製することで細胞懸濁液250mL(20個/mL)とした。親細胞であるCHO DG44細胞は、100個/ウエル、1,000個/ウエル、10,000個/ウエルとなるように同じ培地を用いて細胞濃度を調製することでCHO DG44細胞懸濁液150mL(各々1×103個/mL、1×104個/mL、1×105個/mL)とした。ヒト型化抗HM1.24抗体産生CHO細胞懸濁液を0.05mLおよびCHO DG44細胞懸濁液を0.1mLづつ96ウエルプレートに播種した。従って、各ウエルにはヒト型化抗HM1.24抗体産生CHO細胞が1個づつ存在する。同様の96ウエルプレートを各々15枚づつ作製し、合計、各々1440サンプルの培養を行った。37℃、5%CO2インキュベーターにて合計14日間培養した後検鏡を行い、コロニー形成の確認されたウエルから細胞を採取し、さらに同じ培地を用いて24ウエルプレート(1mL)に拡大培養することで細胞の安定増殖を確認した。検鏡により細胞のコロニーが確認されたウエルの数を表1に示した。表1において、(a)は、検鏡時(14日後)に選択したコロニー数(すなわち、24ウエルに継代したコロニー数)を示し、(b)は24ウエルプレートから、6ウエルプレートに拡大したコロニー数を示す。100個/ウエルのCHO DG44細胞と共培養したウエルからはヒト型化抗HM1.24抗体産生CHO細胞のコロニー形成は全く得られなかったが、1,000個/ウエルもしくは10,000個/ウエルのCHO DG44細胞と共培養した場合には各々6個、30個づつのコロニー形成が確認された。従って、1,000個/ウエルもしくは10,000個/ウエルの親細胞と共培養することで、1個/ウエルの細胞濃度でも形質転換細胞は増殖し、シングルクローンを得ることが可能であることが示され、親細胞との共培養を利用した方法により、これまで不可能と考えられていたシングルセルクローニングが可能となった。24ウエルプレートを用いた拡大培養で安定増殖を示したコロニーは、640μg/mLのG418および50nMのMTX存在下で培養し、目的とする均質なヒト型化抗HM1.24抗体産生CHO細胞を取得した。実施例2.拡大培養拡大培養したヒト型化抗HM1.24抗体産生CHO細胞1×105個を、Primatone 10g/L添加CHO S−SFMII培地(6L×3台)にて、pH7.2、DO60%空気飽和、60rpmの条件下で11日間培養した。3台の培養上清を合わせ、ザルトブランPHカプセル(ザルトリウス)にて濾過し、rProtein A FF カラム(Pharmacia)に負荷、1M NaCl/10mMクエン酸リン酸緩衝液pH7.5及び10mMクエン酸リン酸緩衝液pH7.5で洗浄後、2.5mM HCl pH2.7の溶出条件にて溶出した。エンドトキシンを除去するために、得られたProtein A溶出画分にクリムーバー(栗田工業)を直接投入し、4℃から10℃にて6時間撹拌した。セルロースアセテートフィルター0.2μm(コーニング)を用いて濾過することで、ヒト型化抗HM1.24抗体溶液2.65Lを得た。得られたヒト型化抗HM1.24抗体は、逆相HPLC分析でほぼ均質であることが確認された。実施例3.ヒト型化抗HM1.24抗体産生CHO細胞と、ヒト型化抗PTHrP抗体産生CHO細胞を用いて、親細胞であるCHO DG44細胞との共培養法によるシングルセルクローニングと、その他の方法(コンディションメディウム(CM)法、血清添加法、cell lysate添加法)によるシングルセルクローニングを比較した。ヒト型化抗PTHrP抗体をコードする遺伝子を組み込んだCHO DG44細胞は、国際公開番号98/13388に記載された方法により調製した。得られたヒト型化抗PTHrP抗体産生CHO細胞(ヒト型化抗PTHrP抗体H鎖発現ベクターhMBC1HcDNA/pUC19(FERM BP−5629)とヒト型化抗PTHrP抗体L鎖発現ベクターhMBC1Lq λ cDNA/pUC19(FERM BP−5630)とを用いてCHO細胞を同時形質転換したもの)を形質転換細胞として用いた。また、ヒト型化抗HM1.24抗体産生CHO細胞の新鮮培地としてGIBCO CHO−S−SFMII改変/CD−CHO培地(ハーフ培地)を、ヒト型化抗PTHrP抗体産生CHO細胞の新鮮培地としてGIBCO CHO−S−SFMII培地を用いた。(1)親株との共培養法培養1日目のヒト型化抗HM1.24抗体産生CHO細胞あるいは、ヒト型化抗PTHrP抗体産生CHO細胞を、0.2mlあたり1個の細胞が存在するように新鮮培地により希釈し、これに5,000,000個の親株細胞であるDG44CHO細胞を加えて懸濁した。この細胞懸濁液を96ウエルプレート5枚に対し、1ウエルあたり0.2ml播種した。(2)コンディションメディウム(CM)法培養1日目の形質転換細胞培養液の遠沈上清を0.2μmフィルターで濾過した。この濾液に、培養1日目の形質転換細胞500個相当量の懸濁液を添加し、全量を100mlとした。この懸濁液を96ウエルプレート5枚に対し、1ウエルあたり0.2ml播種した。3日目の培養液を用いる方法では、培養3日目の形質転換細胞培養液の遠沈上清をもちいて同様の操作により行った。(3)血清添加法培養1日目の形質転換細胞培養液を1cell/200μlになるように新鮮培地に希釈した。この希釈液90mlに対し、10mlのFBS(Fetal Bovine Serum I.S.C at #3000 Lot #300050933)を加え懸濁し、96ウエルプレート5枚に対し、1ウエルあたり0.2ml播種した。(4)cell lysate添加法培養1日目の形質転換細胞培養液を1cell/200μlになるように新鮮培地に希釈した。この希釈液に、cell lysateの沈殿を懸濁し、96ウエルプレート5枚に対し、1ウエルあたり0.2ml播種した。尚、cell lysateの調製は以下の様に行った。すなわち、培養3日目の親株細胞5,000,000個を遠心後、無菌水10mlに懸濁した。マイナス80度での凍結、ついで37度での融解を2回繰り返した後、3500回転で60分遠心し、沈殿を無菌水10mlでリンス後、再度3500回転で60分遠心することでcell lysateとした。結果各方法におけるヒト型化抗HM1.24抗体産生CHO細胞とヒト型化抗PTHrP抗体産生CHO細胞のコロニー出願を、播種後20日後あるいは21日後に観察し、プレートあたりのコロニー出現頻度を表2に示した。この結果、いずれの細胞の場合も親株細胞との共培養によりシングルセルクローニングが可能であった。また、ヒト型化抗HM1.24抗体の場合に観察されたように、他の方法でシングルセルクローニングすることができない場合に、親株細胞と共培養するシングルセルスクリーニングは効果のあることが示された。尚、コントロールとして、形質転換細胞のみウエルあたり1個、3個、10個、30個、100個播種した場合、いずれの形質転換細胞の場合もウエルあたり30個あるいは100個の細胞を播種した場合にはコロニーが形成されたが、10個以下の形質転換細胞を播種した場合にはコロニーの形成は観察されなかった。産業上の利用可能性本発明により、所望のタンパク質を産生する1個の細胞を培養又はクローニングすることが可能となった。 タンパク質を産生する細胞の培養方法であって、構成的に該タンパク質を産生することができる1個の形質転換細胞を、該細胞の親細胞と共培養することを特徴とする方法、ここで、親細胞とは、タンパク質を産生する細胞と同じ株の形質転換される前の細胞をいうが、該形質転換細胞がタンパク質を産生する細胞と不死化細胞とを融合させることにより作製されたハイブリドーマ細胞の場合には該不死化細胞をいう。 タンパク質を産生する細胞のクローニング方法であって、構成的に該タンパク質を産生することができる、1個の形質転換細胞を、該細胞の親細胞と共培養することを特徴とする方法、ここで、親細胞とは、タンパク質を産生する細胞と同じ株の形質転換される前の細胞をいうが、該形質転換細胞がタンパク質を産生する細胞と不死化細胞とを融合させることにより作製されたハイブリドーマ細胞の場合には該不死化細胞をいう。 形質転換細胞がハイブリドーマ細胞又は遺伝子操作細胞である請求項1又は2に記載の方法。 ハイブリドーマ細胞又は遺伝子操作細胞が選択マーカー遺伝子を含む細胞である、請求項3に記載の方法。 遺伝子操作細胞が産生するタンパク質が生理活性物質である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。 生理活性物質がホルモン、酵素、リンホカイン、サイトカイン、成長因子、増殖因子もしくは転写因子またはこれらの誘導体あるいは阻害剤である、請求項5に記載の方法。 ハイブリドーマ細胞又は遺伝子操作細胞が産生するタンパク質が免疫グロブリンまたは免疫グロブリン誘導体である、請求項3に記載の方法。 免疫グロブリンがマウス抗体、ラット抗体、キメラ抗体、ヒト型化抗体又はヒト抗体である、請求項7に記載の方法。 ヒト型化抗体がヒト型化抗HM1.24抗体である請求項8に記載の方法。 免疫グロブリン誘導体がFab, F (ab′)2又は一本鎖Fvである、請求項7に記載の方法。 形質転換細胞が哺乳動物細胞、酵母細胞又は昆虫細胞である請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。 哺乳動物細胞がCHO 細胞である請求項11に記載の方法。 共培養する親細胞の数が1,000〜10,000である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。 タンパク質を製造する方法であって、 (1)該タンパク質を構成的に産生することができる様に遺伝子操作した形質転換細胞を作製する工程、 (2)該形質転換細胞を一個づつ該形質転換細胞の親細胞と共培養し、所望の特性を有する形質転換細胞を選択する工程、 (3)工程2で選択した形質転換細胞を継代及び/又は拡大培養する工程、 (4)培養上清または細胞から該タンパク質を回収する工程、を含む方法、ここで、親細胞とは、タンパク質を産生する細胞と同じ株の形質転換される前の細胞をいうが、該形質転換細胞がタンパク質を産生する細胞と不死化細胞とを融合させることにより作製されたハイブリドーマ細胞の場合には該不死化細胞をいう。


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