タイトル: | 特許公報(B2)_老化防御効果を示すテトラペプチド、これを基にした薬理学的物質、及びその利用法 |
出願番号: | 2000616229 |
年次: | 2007 |
IPC分類: | C07K 5/103,A61K 38/00,A61P 11/06,A61P 19/00,A61P 39/06,A61P 43/00 |
カビンソン、ウラジミール・カツケレビッチ JP 3902406 特許公報(B2) 20070112 2000616229 20000120 老化防御効果を示すテトラペプチド、これを基にした薬理学的物質、及びその利用法 オブスチェストボ・エス・オグラニチェノイ・オトベツトステベノスチユ“クリニカ・インスチツカ・ビオレグリアツイー・ゲロントロギー” 500586613 鈴江 武彦 100058479 村松 貞男 100084618 橋本 良郎 100092196 白根 俊郎 100095441 カビンソン、ウラジミール・カツケレビッチ RU 99108841 19990511 20070404 C07K 5/103 20060101AFI20070315BHJP A61K 38/00 20060101ALI20070315BHJP A61P 11/06 20060101ALI20070315BHJP A61P 19/00 20060101ALI20070315BHJP A61P 39/06 20060101ALI20070315BHJP A61P 43/00 20060101ALI20070315BHJP JPC07K5/103A61K37/02A61P11/06A61P19/00A61P39/06A61P43/00 105A61P43/00 111 C12N 15/00-90 C07K 14/00-16/46 A61k 31/00-48/00 A61P 1/00-43/00 PubMed、MEDLINE(STN) BIOSIS/WPI(DIALOG)、 CA 19 RU2000000012 20000120 WO2000068255 20001116 2003526622 20030909 27 20041122 斎藤 真由美 【0001】【発明の分野】本発明は、医薬の分野に関し、生物の早発性老化(premature ageing)を防止するための老化防御物質として使用し得る。【0002】生物の老化の主たる機序には、フリーラジカルによって引き起こされた分子的な損傷の増加、抗酸化防御系の機能的な障害、骨端の生理的機能の疾患などがあることが知られている(1,2,3)。【0003】【発明の背景】 特許請求の範囲に記載された本発明のテトラペプチドは、生物活性、すなわち老化防御活性を示すので、同様の用途を有する物質として、抗酸化特性を有する一群の化合物を挙げなければならない。周知のラジカルプロセスの阻害剤である、イオノール(Ionol)食物サプリメント(2、6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール)は、老化の進行が早いことが特徴であるマウスの系統LAF1の寿命の増大を促進した(4)。しかしながら、2、6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール(ジブノール)に基づく医薬品は、塗布剤の形で製造されており、多くは、泌尿器科の癌患者の治療に用いられている(5)。食餌にエトキシヒン(ethoxyhin)抗酸化剤(サントヒン)を加えると、CH3系統のマウスの寿命が延びた(6)。ビタミンB6の構造類縁体であり、低毒性の水溶性抗酸化剤である、2−エチル−6−メチル−3−オキシピリジンクロルハイドレートによっても、実験動物の寿命の増加が促進される(7,8)。2−メルカプトエタノールアミン、ブチルヒドロキシトルオール(butyl hydroxytoluol)、システイン、3−ヒドロキシピリジン、セントロフェノキシン、乳酸、グルコン酸、及びグルタチオンによっても、実験動物の寿命の僅かな延びが促進された(9,10)。しかしながら、これらの化合物は薬学的調製物ではなく、老化防御物質として医薬には用いられていない。ビタミンA、C、Eの投与によっても、実験動物の寿命が延びた(11,12,13)。しかしながら、動物がこれらのビタミンを過剰摂取すると、臓器とシステムの機能に好ましくない影響を及ぼし、ビタミン過剰症の著しい進行が引き起こされ得る。ビタミンと野菜の物質から組成される調製物であるβ−カテコールは、抗酸化活性を示すことが知られている(14)。老化の促進を示すSAM−P8系統のマウスに該調製物を投与することによって、前記動物の生存率が増加した。しかしながら、その老化防御作用の機序は、未だ十分に研究されていないので、臨床試験への導入は制限されている。早老性のSAM系統のマウスに、カルノシン(β−Ala−His)を増量した食餌を7ヶ月間与え続けると、それらの死亡率が減少した(15)。しかしながら、カルノシンは薬学的調製物ではないので、その老化防御特性は未だ十分に研究されていない。骨端ホルモンであるメラトニンの付与により、マウスの平均寿命が若干増加した(16)。メラトニンの効果にはその抗酸化特性が関連している(17)。しかしながら、高い胚死亡率に関して選択されたキイロショウジョウバエ(HEM株)にメラトニンを与えても、抗酸化効果を伴うにもかかわらず、老化防御効果を得ることはできなかった。メラトニンは薬学的調製物ではなく、生物的に活性な食物添加物の形で製造される。【0004】ノボカイン含有薬物であるジェロバイタルは、老化防御物質として使用される。この調製物の副作用は、心臓血管系機能に対して生じ得る負の影響、そのアレルギー効果、場合によっては、睡眠障害、不安感、筋肉及び関節の痛みに存する。【0005】【発明の開示】特許請求に記載の発明は、老化防御活性を示し得る、ペプチド由来の新規生物活性化合物を得ることを目的とする。【0006】特許請求に記載のペプチド化合物(テトラペプチド)には、構造的類縁体は存在しない。【0007】 本発明では、一般式L−Ala−L−Glu−L−Asp−GlyのテトラペプチドL−アラニル−L−グルタミル−L−アスパルチル−グリシンの権利が請求されている。【0008】 本発明によれば、以下のアミノ酸配列L−Ala−L−Glu−L−Asp−Glyを有するテトラペプチドL−アラニル−L−グルタミル−L−アスパルチル−グリシンは、抗酸化防御系の指標の刺激によって、及び拡散性神経内分泌系の構造体におけるメラトニンの合成過程によって、生物活性、すなわち、老化防御活性を示す。【0009】前記ペプチドは、溶液中での古典的なペプチド合成法によって得られる(19)。【0010】L−Ala−L−Glu−L−Asp−Glyテトラペプチドの老化防御活性を、実験的な試験に記載した。ラットで松果体外のメラトニンの合成を調べることによって、及びキイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)で抗酸化防御の指標、寿命、及び生殖期間の長さを分析することによって、老化防御活性の研究を行った。【0011】 本発明において、老化防御活性を示し得る前記薬学的物質は、その活性主成分として、有効量の式L−アラニル−L−グルタミル−L−アスパルチル−グリシン(L−Ala−L−Glu−L−Asp−Gly)のテトラペプチド又はその塩を含有する。【0012】本発明において、老化防御活性を示し得る前記薬理学的物質は、アミノ基の塩(酢酸塩、塩酸塩、及びシュウ酸塩)又はカルボキシル基の塩(金属塩−ナトリウム、カリウム、カルシウム、リチウム、亜鉛、マグネシウムの塩、並びにその他の有機及び無機の陽イオン−アンモニウム、トリエチルアンモニウム)を含有し得る。【0013】本発明において、薬理学的物質とは、非経口、鼻内、経口投与、又は局所適用のためのものを意味する。【0014】老化防御活性を示す特許請求の範囲に記載の薬理学的物質は、抗酸化防御系の指標、及び拡散性神経内分泌系の構造体におけるメラトニンの合成過程を刺激し、それによって老化プロセスを阻害し、寿命の増加を促進することができる。【0015】本願で使用する「老化防御物質」という概念は、早発性老化を防止することによって老化を阻害し、寿命を延長せしめる物質であって、抗酸化防御系を刺激し、拡散性神経内分泌系の構造体における代謝過程の調節に影響を及ぼすことを必要とする物質を意味する。【0016】本願で使用する「薬理学的物質」という概念は、早発性老化における老化防御物質として予防及び/又は治療の目的で医薬に使用し得る前記テトラペプチド又はその塩を含有する任意の剤形の使用を意味する。【0017】本願で使用する「有効量」という概念は、その活性と毒性の量的指標に応じて、また、入手し得る知見との関連で、当該剤形において有効であるはずの活性主成分の量を用いることを意味する。【0018】本願で使用する「薬学的組成物」という概念は、前記調製物の様々な剤形を意味する。【0019】本発明に適合する薬学的組成物を得るためには、薬剤学で受容されている調合方法に従って、活性成分として、提示した前記テトラペプチド又はその薬学的に適用可能な誘導体と薬学的担体とを撹拌する。【0020】前記担体は、投与(例えば、非経口、鼻内、又は経口)に好適な調製物の剤形に応じて様々な形態であり得る。【0021】経口投与に好ましい用量で組成物を調製するために、公知の薬理学的成分を全て使用し得る。【0022】非経口(鼻内)投与の場合には、安定させ、又は無菌性を維持するのに役立つ他の成分を含んでもよいが、前記担体は滅菌水を含有するのが通常である。【0023】本発明において、前記方法は、予防又は治療のために、0.01〜100mg/kg体重の用量で、病気の経過の特徴と重症度に応じて、治療効果が得られるのに必要な期間(10〜40日)、少なくとも1日1回、特許請求の範囲に記載の薬理学的物質を患者に与えることを包含する。【0024】本発明において、前記テトラペプチドは、病気の経過の特徴と重症度に応じて、0.01〜100mg/kg体重の用量で投与すると活性を示すが、より少ない(より多い)用量も使用し得る。【0025】【産業上の適用】 式:L−アラニル−L−グルタミル−L−アスパルチル−グリシン(L−Ala−L−Glu−L−Asp−Gly)のテトラペプチドの合成例(例1)によって、前記テトラペプチドの毒性及び生物活性の試験例(例2〜8)によって、さらに前記テトラペプチドの臨床適用の結果を示して、その薬理学的特性を実証し、且つ予防及び/又は治療的効果を達成し得ることを立証する例(例9,10)によって、本発明を説明する。 例1.L−Ala−L−Glu−L−Asp−Glyテトラペプチドの合成例1.産物名:L−アラニル−L−グルタミル−L−アスパルチル−グリシン。2.構造式:H−Ala−Glu−Asp−Gly−OH【化1】【0026】3.分子式(イオン対なし):C4H22N4094.分子量(イオン対なし):3905.イオン対:アセテート6.外観:無臭の白色非晶質粉末7.合成方法:以下のスキームに従って、古典的な合成法により、前記ペプチドを溶液中に得る。【0027】【化2】【0028】Z−ベンジルオキシカルボニル基;BOC−tert−ブチロキシカルボニル基;OSu−N−オキシスクシンイミドエステル;OBzl−ベンジルエステル;DCC−N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド;HOBT−N−オキシベンゾトリアゾール溶媒として、N,N’−ジメチルホルムアミドを用いた。アスパラギン酸の付加によって、トリエチルアミンを用いる塩化法によるα−COOH基の保護が与えられた。BOC保護基の除去は、トリフルオロ酢酸(TFA)の溶液によって行い、Z保護基の除去は接触水素化によって行った。前記産物の抽出と精製は、調製用の逆相高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)カラム法によって実施した。【0029】既製産物の特性:【0030】合成例1.BOC−Glu(OBzl)−Asp(OBzl)−OH(I)、N−tert−ブチルオキシカルボニル−(γ−ベンジル)グルタミル(β−ベンジル)アスパラギン酸塩N−tert−ブチルオキシカルボニル−(γ−ベンジル)グルタミン酸のN−オキシスクシンイミドエステル(BOC−Glu(OBzl)−OSu)4.3g(0.0100mol)を、20mLのジメチルホルムアミド中に溶解し、1.72mL(0.0125mol)のトリエチルアミン及び2.80g(0.0125mol)のβ−ベンジルアスパラギン酸塩を添加する。室温で、24時間以内の間、該混合物を撹拌する。その後、0.5N(150mL)の硫酸で産物を沈殿させ、酢酸エチル(3×33mL)で抽出し、0.5Nの硫酸(2×20mL)、水、5%の重炭酸ナトリウム溶液(1×20mL)、水、0.5Nの硫酸(2×20mL)、水で洗浄し、該溶液を無水Na2SO4上で乾燥する。酢酸エチルをろ過し、真空中40℃で除去する。P2O5上真空中で残渣を乾燥させる。その結果、5.68g(〜100%)のオイルを得る。Rf=0.42(ベンゾール−アセトン 2:1、Sorbifil板、8〜12μmのシリカゲル、UVと塩素/ベンジジンで展開)。【0031】2.TFA H−Glu(OBzl)−Asp(OBzl)−OH(II)、(γ−ベンジル)グルタミル−(β−ベンジル)アスパルテート トリフルオロ酢酸20mLのジクロロメタン−トリフルオロ酢酸混合液(3:1)に、5.68g(〜0.01mol)のN−tert−ブチルオキシカルボニル−(γ−ベンジル)グルタミル(β−ベンジル)アスパラギン酸塩(I)を溶解する。2時間したら、溶剤を40℃下で除去し、別のジクロロメタン(2×10mL)を添加してこれを繰り返し、NaOH上真空中で残渣を乾燥する。5.80g(〜100%)のオイルを得る。Rf=0.63(n−ブタノール−ピリジン−酢酸−水、15:10:3:12)。【0032】3.Z−Ala−Glu(OBzl)−Asp(OBzl)−OH(III)、N−カルボベンゾキシアラニル−(γ−ベンジル)グルタミル(β−ベンジル)アスパラギン酸塩10mLのジメチルホルムアミドに、5.65g(0.01mol)の(γ−ベンジル)グルタミル−(β−ベンジル)アスパラギン酸塩トリフルオロ酢酸(II)を溶解し、2.80mL(0.02mol)のトリエチルアミン及びN−カルボベンゾキシアラニルのN−オキシスクシンイミドエステル4.14g(0.013mol)を添加する。室温で、24時間以内の間、該反応混合物を撹拌する。0.5Nの硫酸(150mL)で産物を沈殿し、酢酸エチル(3×30mL)で抽出し、0.5Nの硫酸(2×20mL)、水、5%の重炭酸ナトリウム溶液(1×20mL)、水、0.5Nの硫酸(2×20mL)、水で洗浄し、無水Na2SO4上で該溶液を乾燥させる。酢酸エチルをろ過し、真空中40℃下で除去し、酢酸エチル/ヘキサン系の中で残渣を再結晶化する。産物をろ過し、P2O5上真空中で乾燥する。収率は、4.10g(66%)である。融点(Tml)は154℃である。Rf=0.48(ベンゾール−アセトン、1:1)、Rf=0.72(n−ブタノール−ピリジン−酢酸−水、15:10:3:12)。【0033】4.Z−Ala−Glu(OBzl)−Asp(OBzl)−Gly−OBzl(IV)、N−カルボベンゾキシアラニル(γ−ベンジル)グルタミル−(β−ベンジル)アスパルチルグリシンベンジルエステルグリシントシル酸TosOH’H−Gly−OBzlのベンジルエステル1.01g(3mmol)を、15mLのテトラヒドロフラン中に懸濁し、撹拌しながら0.4mL(3mmol)のトリエチルアミンを添加した後5分してから、1.28g(2mmol)のN−カルボベンゾキシアラニル−(γ−ベンジル)グルタミル−(β−ベンジル)アスパラギン酸塩(III)と0.27g(2mmol)のN-オキシベンゾトリアゾールを添加する。該混合物を0℃に冷却する。その後、テトロヒドロフラン5mL中のN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド0.42g(2mmol)の0℃に冷却した溶液を添加する。この温度で2時間以内の間、該混合物を撹拌し、一晩室温で放置する。ジシクロヘキシル尿素の残渣をろ過して除去し、溶剤を真空中で除去し、30mLの酢酸エチル中に残渣を溶解する。1Nの硫酸、水、5%の重炭酸ナトリウム溶液、水、1Nの硫酸、水で溶液を洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥する。溶媒を真空中で除去し、酢酸エチル/ヘキサン系の中で産物を再結晶化する。収率は1.30g(82%)である。Tml=146〜148℃。Rf=0.75(ベンゾール−アセトン、2:1)。【0034】5.H−Ala−Glu−Asp−Gly−OH(V)、アラニル−グルタミル−アスパルチル−グリシン1.25gのN−カルボベンゾキシアラニル−(γ−ベンジル)グルタミル(β−ベンジル)アスパルチルグリシンベンジルエステル(III)を、メタノール−水−酢酸系(3:1:1)中、Pd/C上で水素化する。ベンゾール−アセトン(2:1)とアセトニトリル−酢酸−水(5:1:3)系の中でのTLC法によって、反応の進行をモニターする。反応終了後、触媒をろ過し、ろ過物を真空中で除去し、水−メタノール系の中で残渣を再結晶化する。KOH上真空中で産物を乾燥させる。収率は520mg(95%)である。Rf=0.73(アセトニトリル−酢酸−水、5:13)。精製のため、4mLの0.01%トリフルオロ酢酸の中に、390mgの産物を溶解し、50×250mm Diasorb−130−C16T 7μmの逆相HPLCカラムにかける。使用したクロマトグラフはBeckman System Gold,126 Solvent Module,168 Diode Array Detector Moduleである。クロマトグラフィーの条件は、A:0.1%TFA;B:50%MeCN/0.1%TFA、勾配は80分でB0→5%。サンプルの容量は5mLであり、検出は215nmで行い、190〜600nmで走査し、流速は10mL/分である。54.0〜66.0分以内に、画分を選択する。真空中、40℃を超えない温度で、溶媒を除去し、10mLの10%酢酸溶液を用いて、これを複数回(5回)繰り返す。最後に、20mLの脱イオン水中に残渣を溶解し、凍結乾燥する。結果として、無臭の非晶質白色粉末形態の精製産物が290mg得られる。IRA陰イオン体で、又は(OH−)型の類似物質で処理することによって、得られた酢酸塩の形態のペプチドは、遊離型に転換させる。その後、引き続き、等量の対応する酸(塩酸又はシュウ酸)を添加することによって、アミノ基の塩を得る。得られた水溶液を凍結乾燥し、既製産物(ready product)として分析する。【0035】対応するカルボキシル基の塩を得るためには、算出した量の対応する金属の水酸化物(NaOH、KOH、Zn(OH)2、LiOH、Ca(OH)2、Mg(OH)2、NH40H)の水溶液を遊離のテトラペプチドに加える。トリエチルアンモニウム塩を得るために、トリエチルアミンを塩基として用いて、同じように該処理を行う。【0036】6.既製産物の分析・ペプチド含有量は、Surelco LC−18−DBカラム、4.6x250mm、勾配LC−18−DB、A:0.1%TFA;B:50%MeCN/0.1%TFA;勾配は30分でB0→20%のHPLC法によって確定する。流速は1mL/分である。220nmで検出、190〜600nmで走査、サンプル容量は20μLである。ペプチド含量は98.45%。・アミノ酸分析は、テスターAAA“T−339”Prague上で実施する。6NのHCl中、125℃で、24時間以内の間、加水分解を行う。Glu Asp Ala Gly1.02 1.00 1.01 1.00・TLC:単一、Rf=0.73(アセトニトリル−酢酸−水、5:1:3)。Sorbfil板、8〜12μmシリカゲル、塩素/ベンジジンで展開。・水分含量:5%(乾燥による質量減少による重量分析による、100℃で20mg)。・0.001%溶液のpH:4.37(電位差測定よる)。・比旋光度:[α]ρ22:−32°(c=1、H20)、“Polamat A”,Carl Zeiβ Jena。【0037】例2.L−Ala−L−Glu−L−Asp−Glyテトラペプチドの毒性試験L−Ala−L−Glu−L−Asp−Glyテトラペプチドの一般毒性の試験は、“薬理学的物質の安全性についての前臨床評価に関する規則”(GLP)に従って実施した。【0038】試験の目的は、許容され得る前記調製物の毒性を明らかにし、生物の様々な臓器及びシステムにおける病理的変化の段階及び特徴を評価すること、並びに毒性量に関連する効果と薬物投与期間との相関関係を同定することに存する。【0039】L−Ala−L−Glu−L−Asp−Glyテトラペプチドの急性毒性は、Kerberに従って決定した。標準的な管理体制下で飼育し、動物施設の条件下において標準的な食料を与えられた20〜23gの体重を有する66匹の雄の白色非近交系マウスに対して、前記調査を実施した。各々11匹になるように、前記動物を無作為に6つの同じグループに分配した。前記薬物を、1mg/kg、2mg/kg、3mg/kg、4mg/kg、5mg/kgの用量(臨床検査に推奨される治療的用量を数千倍超過する用量)で0.25mL、前記動物の筋肉内に単回投与した。対照動物には、同量の塩化ナトリウムを投与した。【0040】72時間以内に、さらに、その後14日経過しても、何れのグループの動物も死亡しなかった。前記動物の一般的な状態、行動、運動活性、毛及び皮膚外皮、又は生理的分泌物の変化は記録されなかった。【0041】従って、臨床試験に推奨される治療的用量を数千倍超える用量のL−Ala−L−Glu−L−Asp−Glyテトラペプチドは、急性毒性反応を引き起こさず、このことから、該調製物を広く治療に適用できることが確認される。【0042】L−Ala−L−Glu−L−Asp−Glyテトラペプチドの亜急性毒性試験は、150〜250mgの体重を有する60匹の白色非近交系ラットに対して実施した。0.5mLの塩化ナトリウム溶液中、1μg/kg、0.3mg/kg、3mg/kgの用量で、90日間、実験動物に前記薬物を毎日単回投与した。対照動物群には、同量の塩化ナトリウムを投与した。【0043】全試験期間中、前記動物を毎日監視した。前記動物の行動、食料及び水の消費、毛髪性外皮及び粘膜の状態を記録した。前記動物の体重を毎週測定した。薬物投与の前、30日目、60日目、及び90日目に、末梢血の形態的組成と特性を調べた。実験の終了時に、血液の生化学的指標と凝固学的指標を調査した。【0044】特許請求の範囲に記載の方法によって得られるL−Ala−L−Glu−L−Asp−Glyテトラペプチドの慢性毒性は、これを体重150〜250mgのラットに長期投与することによって調べた。0.5mLの塩化ナトリウム溶液中、1μg/kg、0.1mg/kg、1mg/kgの用量で、6ヶ月の間、前記動物の筋肉内に前記薬物を毎日単回投与した。前記動物の行動、それらの食料及び水の消費、毛髪性外皮及び粘膜の状態を記録した。実験の最初の3ヶ月間は毎日、その後は1月に一度、動物の体重を測定した。薬剤投与の開始から3ヶ月後と実験の終了時に、血液学的及び生化学的研究を行った。心臓血管系、肝臓、膵臓、腎臓、副腎の機能を計測した。前記薬物投与の最後に、脳及び脊髄、心臓、大動脈、肺、肝臓、腎臓、内分泌及び免疫系の臓器の様々な切片の状態を計測する目的で、数匹の動物を病理形態学的な検査に供した。【0045】前記動物の一般的な状態、末梢血の形態的及び生化学的指標、内臓の形態的状態、心臓血管系及び呼吸器系の状態、肝臓及び腎臓の機能の評価は、病理的なの変化を全く示さなかった。【0046】L−Ala−L−Glu−L−Asp−Glyテトラペプチドの亜急性及び慢性毒性試験によって、治療的用量の100〜1000倍を超える用量で前記薬剤を長期投与する場合でも、副作用がないことが確認される。【0047】例3.高い胚死亡率に関して選択されたHEM株のキイロショウジョウバエにおける老化速度とフリーラジカルプロセスに対するL−Ala−L−Glu−L−Asp−Glyテトラペプチドの影響高い老化速度に関して選択された第2齢のHEM株のキイロショウジョウバエの幼生に、L−Ala−L−Glu−L−Asp−Glyテトラペプチドを与えた(20)。HEM株は、その胚段階での特有の死亡率の動態を特徴とし、これには、卵が孵化した初日での65%から4日目には95%にまで至る初期の胚の致死的な結果の増大、平均寿命の短縮(29日)、及び過酸化脂質酸化強度の上昇などが存する。【0048】L−Ala−L−Glu−L−Asp−Glyテトラペプチドは、培地重量の0.00001%の割合という極めて低い用量で加えた。キイロショウジョウバエに対する様々な物質の影響に関する文献に記載されている用量は、通常0.001〜0.01%の範囲であった。これより低い用量では、通常いかなる効果も生じない。【0049】生化学的なパラメーターは、14日齢のハエで調べた。それらのカタラーゼ活性と組織の化学発光強度を分析した(21,22,23)。カタラーゼは抗酸化防御の基本的な酵素である。その活性の程度は、生物の耐酸化的ストレス能の指標となる。過酸化水素によって誘導されるルミノール依存性化学発光は、組織中の活性酸素形態の段階を反映する。このため、化学発光強度の減少は、生物の耐酸化的ストレス能の増加を示す。【0050】得られた結果を表1に示す。調べた指標は、性別によって著しく異なることが明らかとなったので、雌と雄のデータを別個に示す。【0051】示されているデータは、L−Ala−L−Glu−L−Asp−Glyテトラペプチドが、対照と比較して、実験用の雄及び雌のハエにおけるカタラーゼ活性の著しい上昇を促進することを示す。【0052】化学発光の程度によって決定される組織の総抗酸化活性は、L−Ala−L−Glu−L−Asp−Glyテトラペプチドの影響下において、雌だけで増大した。【0053】【表1】【0054】表2は、異なる実験群での寿命分析の結果を示している。【0055】【表2】【0056】表2に示されているように、L−Ala−L−Glu−L−Asp−Glyテトラペプチドは、顕著な老化防御効果を与える。雌では、これは、平均寿命を有意に伸長し(P<0.001)、老化速度(R)を低下させる(P<0.001)。雄では、老化速度を僅かに減少させる(P<0.05)。【0057】例4.高い胚死亡率に関して選択されたHEM株のキイロショウジョウバエの生殖機能に対するL−Ala−L−Glu−L−Asp−Glyテトラペプチドの影響培地重量の0.00001%の用量(およそ0.015mg/100mLになる)で前記調製物を培地に加えることによって、第2〜第3幼生期の段階で、キイロショウジョウバエに対するL−Ala−L−Glu−L−Asp−Glyテトラペプチドの影響が発揮された。1日目に孵化したハエを5対ずつ試験管の中に入れ、3〜6日毎に新鮮な培地に移し変えた。【0058】以下の因子を考察した。・生きた雌を含む(最初の量の)試験管の割合(表3では、生きた培養物の割合)。・子孫が得られた(生きた培養物の数の)試験管の割合(表3では、生殖力のある培養物の割合)。【0059】各実験用変異種につき、75対の親を分析した。稔性指数間の差異は、2x2調整表についてのFischerの正確な基準によって確定した(24)。【0060】前記実験の結果を表3に示す。各実験用変異種につき、生きた培養物と生殖力のある培養物の割合が示されている。該表に示されているように、テトラペプチドで処理された生殖力のある培養物の割合は、19日目から、対照についての同様の割合と比べて高くなる。L−Ala−L−Glu−L−Asp−Glyテトラペプチド誘導体変異種中での生殖力のある培養物の割合は、32日齢の対照と比較して明白に高くなる(P<0.05)ことが実証されている。【0061】直線回帰の係数を表4に示す。該表に示されているように、対照の回帰直線の係数は、実験用のものとは有意に異なる。【0062】対照の係数「a」(直線の傾きを反映している)は、実験用変異種の回帰係数より1.8倍高い。【0063】このように、対照変異種では、生殖力のある培養物の割合は、L−Ala−L−Glu−L−Asp−Glyテトラペプチド変異種と比較して2倍早く減少することが実証されている。テトラペプチドを与えていない培養物では生殖期間は30日となり、前記調製物で処理した培養物では47日であった。L−Ala−L−Glu−L−Asp−Glyテトラペプチドは、生殖期間を1.5倍延長することが記されている。【0064】寿命について得られたデータを、同様に分析した。回帰分析のデータを表5に示す。【0065】該表からわかるように、生きた培養物(すなわち、生きた雌が存在する培養物)の割合は、対照に比べて、平均1.5倍早く減少する。算出された寿命の中央値(すなわち50%の個体が死亡する齢)と実際に得られた寿命(すなわち、異なる実験条件での最大寿命)を表6に示す。【0066】該表に示されているように、L−Ala−L−Glu−L−Asp−Glyテトラペプチドで処理した変異種では、寿命の中央値の増加と並んで、(老化速度が高いキイロショウジョウバエの系統において)100日という最高記録を破る寿命の延びが達成された。【0067】【表3】【0068】【表4】【0069】【表5】【0070】【表6】【0071】 例5.性的活性が低い雄に関して選択された低活性(LA)株のキイロショウジョウバエにおける老化速度とフリーラジカルプロセスに対するL−Ala−L−Glu−L−Asp−Glyテトラペプチドの影響 LA株のキイロショウジョウバエで、L−Ala−L−Glu−L−Asp−Glyテトラペプチドによってもたらされるカタラーゼ活性、過酸化脂質酸化(LPO;lipid peroxide oxidation)の産物の含量、寿命、及び老化速度に対する影響を研究した。1日齢のハエを試験管に入れた(性が同一の個体を各試験管に10匹)。死亡した個体の数を考慮に入れて、2日毎に、それらを新鮮な培地に移した。平均寿命と最大寿命を決定した。老化速度は、Gomperz式のパラメーターによって算出した。【0072】培地重量の0.00001%の用量で(約0.015mg/100mLに相当)、第3期の幼生にL−Ala−L−Glu−L−Asp−Glyテトラペプチドを与えた。一般的に認められている方法によって、14日齢の成体のハエのホモジネート中のカタラーゼ活性を概算した。続けて繰り返しながら、実験を行った。【0073】統計的な処理の基本的手法として、回帰及び分散分析を用いた。差の信頼性は、最少関連多様性の方法によって確認した。【0074】雌では、L−Ala−L−Glu−L−Asp−Glyテトラペプチドは、平均寿命に何ら変化をもたらさないが、最大寿命(LSmax)を増加させることが記された。同時に、該物質は、雄のALSを有意に伸長した。生存率曲線とゴンペルツチャートの解析によって、雌では、L−Ala−L−Glu−L−Asp−Glyテトラペプチドが、第1のタイプの老化防御物質(対照と比べてALSとLSmaxが増加するが、老化速度は変化しなかった)として役立つことが示された。しかしながら、雄では、第3のタイプの老化防御物質(ALSは増加したが、LSMAXは変化せず、これに加えて、老化速度の増加傾向が観察された)として作用した。同時に、それらの性差を考慮せずに、ハエの生存率を解析することによって、L−Ala−L−Glu−L−Asp−Glyテトラペプチドの影響下では、LSmaxは顕著に伸長することが証明された。【0075】雄にL−Ala−L−Glu−L−Asp−Glyテトラペプチドを与えると、カタラーゼ活性が有意に増加したのに対して、雌では、LPO産物の含量が顕著に減少した。性差の抑制によって、L−Ala−L−Glu−L−Asp−Glyテトラペプチドの高い抗酸化活性が確かめられた。【0076】【表7】【0077】【表8】【0078】このように、ハエにL−Ala−L−Glu−L−Asp−Glyテトラペプチドを与えると、老化阻害効果を示した。【0079】【表9】【0080】例6 環境に対する低適応性に関して選択された環境適応(EA)株のキイロショウジョウバエにおける老化速度とフリーラジカルプロセスに対するL−Ala−L−Glu−L−Asp−Glyテトラペプチドの影響EA株のキイロショウジョウバエを、カタラーゼ活性、組織化学発光、及び寿命に対するL−Ala−L−Glu−L−Asp−Glyテトラペプチドの影響を研究するためのモデルとした。【0081】1日齢のハエを試験管に入れた(性が同一の個体を各試験管に10匹)。死亡した個体の数を考慮に入れて、5〜7日毎に、それらを新鮮な培地に移した。平均寿命と最大寿命を決定した。老化速度は、ゴンペルツ式のパラメーターによって算出した。【0082】培地重量の0.00001%の用量で(約0.015mg/100mLに相当)、第3期の幼生にL−Ala−L−Glu−L−Asp−Glyテトラペプチドを与えた。一般的に認められている方法によって、7日齢の成体のハエのホモジネート中のカタラーゼ活性と化学発光の強度を概算した。続けて繰り返しながら、実験を行った。【0083】統計的な処理の基本的手法として、回帰及び分散分析を用いた。差の信頼性は、最少関連多様性の方法によって確認した。【0084】調査の結果が表10〜13に示されている。【0085】【表10】【0086】L−Ala−L−Glu−L−Asp−Glyテトラペプチドは、ルミノール依存性の化学発光に対して影響を与えることが記されている(表14)。この指標の減少は、ハエの抗酸化防御系の活性化の証左となる。この場合、組織の抗酸化防御強度の上昇は、おそらく、グルタチオン、トコフェロールなどの低分子内在性抗酸化物の活性化を伴う。【0087】平均寿命と最大寿命の伸長は、生存性が減少し、老化が加速した対照の場合のみに観察された。表記のデータが示しているように、これは、まさに調べたテトラペプチドが正確な老化防御効果を発揮するケースである。【0088】【表11】【0089】【表12】【0090】【表13】【0091】【表14】【0092】例7 「野生型」Canton−S株のキイロショウジョウバエの寿命に対するL−Ala−L−Glu−L−Asp−Glyテトラペプチドの影響本研究では、「野生型」Canton−S株のキイロショウジョウバエを用いた。【0093】50〜60℃まで冷やした、昆虫を増殖するための培地の中に、溶液形態のL−Ala−L−Glu−L−Asp−Glyテトラペプチドを導入した後、注意深く攪拌し、試験管の中に入れた。【0094】対照と実験用集団の発育をともに同一の条件にするために、対照用の培地中には、L−Ala−L−Glu−L−Asp−Glyテトラペプチド溶液に使用したのと同じ量の塩化ナトリウムを加えた。用いた全ての物質の濃度は、生殖用に与えた培地の重量に対する比率によって計算した。【0095】4日齢の雌のハエを、72時間、雄とランダムに選択して交配させた後(各試験管当たり1つのつがい)、親のつがいを試験管から取り除いた。新しい世代の形成には全て、50〜80のつがいの子孫を使用した。【0096】研究用集団(それぞれ、90個体の両性からなる)の寿命(LS)を調べた。孵化後直ちに、ハエを試験管の中にランダムに入れた。【0097】慣用的な方法によって算出した平均値(ALS)と標準誤差を、寿命分布パラメーターとして用いた。スチューデントのt基準を適用して、平均値を相互に比較した。【0098】表15は、全ての実験及び対照群に対する寿命分布特性(平均値及びこれらの平均値の標準誤差)の結果を示している。【0099】実験的研究には、6つの濃度のL−Ala−L−Glu−L−Asp−Glyテトラペプチド:培地重量の0.01×、0.1×、1×、5×、7.5×、及び12.5×10−6%を選択した。【0100】雄に与えたL−Ala−L−Glu−L−Asp−Glyテトラペプチドは、4つの低い方の濃度(0.01〜5×10−6%)で、有意な老化防御効果を発揮した。実験群のALSは、統計的に有意な上昇を示した。雄のALSの相対的伸長度は、3.3〜10.8%であった。【0101】雌に対して行った実験では、L−Ala−L−Glu−L−Asp−Glyテトラペプチドは、0.01×10−6%と0.1×10−6%の濃度のみで、老化防御効果が得られ、それぞれ、13.4%(P<0.004)と11.8%(P<0.03)だけ、ALSが有意に増加した。【0102】極低濃度で与えられたL−Ala−L−Glu−L−Asp−Glyテトラペプチドの効果は、得られたデータによって示されているように、前例がない。キイロショウジョウバエにL−Ala−L−Glu−L−Asp−Glyテトラペプチドを与えても、それらの段階における発育の持続期間は変化しないことが認められるはずであり、これは、一般的に、調べた前記物質によって、老化毒性効果がもたらされないことを反映していた。【0103】【表15−1】【0104】【表15−2】【0105】例8 骨端切除後のラットでのメラトニンの松果体外合成に対するL−Ala−L−Glu−L−Asp−Glyテトラペプチドの影響本研究は、体重130〜140gの雄のWistarラットに対して行った。全ての数の動物(23)を5つのグループに分けた。第1のグループ(対照)は、無処置の動物からなった。第2〜5のグループの動物には、骨端切除(EE;epiphysectomy)を施した。手術から3週間後(21日目)に、第2と第3のグループの動物は、その後の10日間、0.5mLの用量で塩化ナトリウムを皮下注射した。第4と第5グループの動物には、同一のスキームに従って、0.5μgの用量のL−Ala−L−Glu−L−Asp−Glyテトラペプチドを投与した。【0106】動物の屠殺とそれらの臓器の単離は、ネンブタール麻酔(50mg/kg)を使用して、日中、午前10時から正午12時までに行った。第1、第2、及び第4グループの動物は、最後の薬物投与から3日目(手術後及び実験の開始から33日目)に屠殺したのに対して、第3及び第5グループの動物は、12日目(骨端切除から42日目)に屠殺した。調べたのは、拡散性神経内分泌系(DNES)の主要臓器:胃、甲状腺、及び膵臓であった。【0107】手術(骨端切除)は、考案した手法に従って、エーテル麻酔下で行った。頭の正中線に沿って、1〜1.5cm長の切開を行った。頭蓋冠を剥がし、直径0.5cmの中空の錐(本実験用の特別の金属のチューブで作成されている)で、洞交会部上に穴を開けた。眼用鉗子によって、頭蓋の開口部から骨端を抽出した。骨断片によって冠状鋸の穴を被覆した。皮膚の切開は、絹の糸で縫合した。【0108】光学顕微鏡観察のために、抽出した臓器の断片をブエン酸性液で24時間固定し、電子顕微鏡のためにカルノフスキー法に従って固定した。光学顕微鏡のための試料の脱水とパラフィン充填、及び超微細構造検査用のイーポン混合液は、一般的に認められている手法に従って調製した。ポリ−L−リシンフィルム(Sigma)で覆われた顕微鏡のスライド上に、パラフィン切片(7μm)を置いた。ウラニル酢酸とクエン酸鉛で、LKB−7Aマイクロトーム(LKB)によって作成した極めて薄い切片(100nm)を対比染色した。【0109】組織学的及び免疫組織化学的検査は、Jenamed−2顕微鏡(Zeizz)で行った。電子顕微鏡による検査は、電子JEM−100S顕微鏡(JEOL)で行った。【0110】染色のために、ヘマトキシリン−エオシンを与えた。グリメリウスの組織化学的銀メッキ法(25)に従って、幽門及び胃底切片中に存在するAPUD細胞の全集団を顕現させた。【0111】腸クロム親和性細胞(EC細胞)の免疫組織化学的暴露は、セロトニンに対するマウスの単クローナル抗体(Dako、1:15の力価)を与えることによって行った。マウスの免疫血清グロブリンを顕現させるために、アビジン−ビオチン−ペルオキシダーゼ(ABP)法(Vectastain kit)に従って、単クローン抗体を同定した。【0112】定量的研究は、立体学と形態計測の基本原則に従い(26)、MorphostarとColquant(Imstar)の許可を得た応用コンピュータープログラムを使用して、顕微鏡のインプリントのコンピューター解析システムによって行った。【0113】10の視野において、腸内分泌(END)の定量的密度(NEND/1mm2)とセロトニン陽性細胞(Nser/1mm2)を概算した。試験領域(S)は、5mm2であった。【0114】得られたデータの統計的な処理には、Mann/WhitneyによるノンパラメトリックU基準を用いた。【0115】L−Ala−L−Glu−L−Asp−Glyテトラペプチドを与えられた骨端切除ラットで行ったDNESの機能的な形態学的研究の結果は、前記調製物が組織及び細胞の代謝を刺激することを示した。【0116】L−Ala−L−Glu−L−Asp−Glyテトラペプチドの投与は、骨端切除を行った動物中のDNES細胞の構造的及び機能的な組織化に対して補償的な効果を示すことが記載された。該効果は、骨端切除の影響を完全に抑制することによって、薬物投与の終了から3日以内に発現され、12日間、すなわち、調べた全ての臓器に関して実験を終えるまで持続した。【0117】得られたデータは、L−Ala−L−Glu−L−Asp−Glyテトラペプチドの効用の主要点は胃のEC細胞(L−Ala−L−Glu−L−Asp−Glyテトラペプチドは、ここでセロトニンとメラトニンの松果体外合成を促進する(表16))であり、このように、実際に、抽出された骨端を完全に補償することを確認している。【0118】従って、実験的な本研究の結果は、L−Ala−L−Glu−L−Asp−Glyテトラペプチドが全く毒性を示さず、抗酸化防御指標を正常化し、様々な組織のメラトニン産生構造体中の代謝プロセスを制御することを証明した。【0119】【表16】【0120】前臨床実験で明らかとなったL−Ala−L−Glu−L−Asp−Glyテトラペプチドの特性は、老化防御物質として、その証明された予防的及び/又は治療的な用途を提供する。【0121】前記提示されたテトラペプチドの臨床試験で得られた結果の例は、その薬理学的な特性を実証し、本発明を医学的に実施し得ることを確認している。【0122】例9 抗酸化防御系に障害を有する患者における早発性老化を防止するためのL−Ala−L−Glu−L−Asp−Glyテトラペプチドを含有する薬理学的物質の付与の効力加齢と関連する病気(高血圧疾患、虚血性心疾患、慢性胃炎、非インスリン依存性糖尿病)、及び血中の抗酸化防御指標の減少を有する14人の患者(34〜69才)に、調査すべき薬理学的物質を与えた。【0123】注射溶液の形態で、10日間、1注射当たり10μgの単回1日用量で、L−Ala−L−Glu−L−Asp−Glyテトラペプチドを含有する物質を筋肉内投与した。【0124】薬物を投与した場合、スーパーオキサイドディスムターゼ活性の著しい上昇と脂質過酸化産物の含量の減少が観察された(表17)。【0125】【表17】【0126】治療の結果は、L−Ala−L−Glu−L−Asp−Glyテトラペプチドを含有する薬理学的物質が生物体の抗酸化防御系を回復させる効果を有することを証明している。【0127】例10 メラトニン合成の障害を有する患者における早発性老化を防止するために与えられたL−Ala−L−Glu−L−Asp−Glyテトラペプチドを含有する薬理学的物質の効力アスピリン気管支喘息を患っている39〜63才の患者11人に、前記薬理学的物質を与えた。本疾病の主たる特徴は、アセチルサリチル酸及び他の非ステロイド系抗炎症物質への不寛容による窒息性発作に存する。N−アセチル−5−メトキシキヌレナミン(N−AMK)(アセチルサリチル酸の化学構造の類縁体)は、生物中で、骨端ホルモンであるメラトニンの代謝過程において形成されることが知られている。メラトニン合成、従って、内在性のN−AMKのレベルは、アスピリン気管支喘息の患者では著しく減少しており、これは、基礎的なメラトニン代謝物である6−サルファトオキシメラトニンの尿への排泄が低くなることによって確認される。【0128】これは、L−Ala−L−Glu−L−Asp−Glyテトラペプチドを含有する薬理学的物質を用いて生物中のメラトニン含量を補正することによって、アスピリン気管支喘息を治療する新しい病原性アプローチを具体化した。【0129】注射用溶液の形態で、10日間毎朝、10μgの用量で、前記物質を筋肉内投与した。【0130】グルココルチコイドの吸入及び経口投与を含む永続的な抗喘息療法に伴う悪化の減退又は病気の回復期にある患者を治療した。【0131】治療前、治療中、及びその後毎月、患者は、咳、痰の排出、激しい息づかい、胸詰まり、喘鳴、窒息性発作、身体的活動の不能、冷気、及び臭いに対する不寛容のような徴候によって、その健康状態を主観的に評価した。治療直後とその後7ヶ月、患者によって報告された分析(彼らの健康状態の動態、作業の可否、心理状態、睡眠障害、服用した抗喘息薬の1日の用量に関するデータが含まれる)に基づいて、前記調製物によってもたらされた臨床的効果を評価した。【0132】治療開始前と薬物の最終投与直後に、以下のパラメーター:肺活量(VBC)、1回換気量(TV)、総肺容量(TLC)、努力呼吸容量(FVBC)、最大容量呼気率(MVexhR)、最大容量呼気率/50%及び75%努力VBC(VBC50及びVBC75)、努力呼気容量/秒(FEV1)を参照して、全ての患者で、外部呼吸機能を評価した。これらのパラメーターは、初期値に対する百分率として測定した。さらに、cm水中で表した気管支樹の比伝導性を測定した。ベロテックを用いた吸入後15分以内に、テスト全体を繰り返した。ベロテック吸入後のMVR、VBC50、及びVBC75の動態を、初期値の百分率で評価した。治療前の全患者のFEV1指数は、正常値の80%未満であった。【0133】「DRG Instrument GmbH」キット(Marburg、Germany)を用い、免疫発酵法に従って、治療前、治療直後、及び治療後10日以内に、日中(午前9時〜午後21時)と夜(午後21〜午前9時)に採取した尿中の6−サルファトオキシメラトニン(基礎的なメラトニンの代謝物)含量を測定した。【0134】調査の結果、検査を行った薬理学的物質で治療された患者の圧倒的多数で、治療の終わりまでに臨床状態の改善が観察されることが確認された。日中の喘息症状、身体的作業の不能、強い臭い、及び冷気に対する不寛容の頻度の減少、並びに睡眠の回復も記録された。患者の主観的な検査によって、気管支閉塞の徴候である肺の喘鳴が減少し、又は完全に消失することが明らかとなった。治療終了直後の外部呼吸機能の検査によっては、VBC、MVexhR、FEV1、TV/TLCに本質的な変化は全く示されなかった。しかしながら、テトラペプチドを含有する薬理学的物質を与えられた患者は、末梢気管支のレベルで、ベロテックに対する反応の改善を示した。尿中への6−サルファトオキシメラトニンの排出が増加し、夜だけでなく、昼間にもメラトニンの産生が増加することが証明された。【0135】【参考文献−1】【0136】【参考文献−2】【0137】 一般式L−Ala−L−Glu−L−Asp−GlyのテトラペプチドL−アラニル−L−グルタミル−L−アスパルチル−グリシン。 老化防御効果を与える物質としての、一般式L−Ala−L−Glu−L−Asp−GlyのテトラペプチドL−アラニル−L−グルタミル−L−アスパルチル−グリシン。 活性主成分と薬理学的に許容される担体とを含有する老化防御効果を与える薬理学的組成物であって、前記活性主成分が、有効量のL−Ala−L−Glu−L−Asp−Glyテトラペプチド又はその塩を含有する組成物。 請求項3に記載の組成物であって、前記塩が、アミノ基の塩を含有する組成物。 請求項4に記載の組成物であって、前記塩が、酢酸塩、塩酸塩およびシュウ酸塩からなる群から選択される組成物。 請求項3に記載の組成物であって、前記塩が、カルボキシ基の塩である組成物。 請求項6に記載の組成物であって、前記塩が、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、リチウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩、およびトリエチルアンモニウム塩からなる群から選択される組成物。 請求項3〜7の何れか1項に記載の組成物であって、非経口投与に適した形態である組成物。 請求項3〜7の何れか1項に記載の組成物であって、鼻内投与に適した形態である組成物。 請求項3〜7の何れか1項に記載の組成物であって、経口投与に適した形態である組成物。 請求項1もしくは2に記載のテトラペプチドまたは請求項3〜10の何れか1項に記載の組成物の使用であって、医薬を製造するための使用。 請求項1もしくは2に記載のテトラペプチドまたは請求項3〜10の何れか1項に記載の組成物の使用であって、早発性老化を防止するための医薬を製造するための使用。 請求項12に記載の使用であって、前記防止は、スーパーオキシドディスムターゼ活性の増大、脂質過酸化物参加生成物の減少、およびメエラトニン産生の増大を含んでなる使用。 請求項1もしくは2に記載のテトラペプチドまたは請求項3〜10の何れか1項に記載の組成物の使用であって、アスピリン誘導性気管支喘息の治療のための医薬の製造における使用。 請求項11〜14の何れか1項に記載の使用であって、前記組成物が前記テトラペプチドの塩を含有し、該塩がアミノ基の塩である使用。 請求項15に記載の使用であって、前記塩が、酢酸塩、塩酸塩および蓚酸塩からなる群から選択される使用。 請求項15に記載の使用であって、前記塩がカルボキシ基の塩である使用。 請求項15に記載の使用であって、前記塩が、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、リチウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩、およびトリエチルアンモニウム塩からなる群から選択される使用。 局所投与に適した形態である、請求項3〜7の何れか1項に記載の組成物。