タイトル: | 特許公報(B2)_抽出によるアロインの製造方法 |
出願番号: | 2000615630 |
年次: | 2011 |
IPC分類: | C07D 309/10,C07B 63/00 |
アブラハム、コーエン JP 4698841 特許公報(B2) 20110311 2000615630 19990428 抽出によるアロインの製造方法 パクサ、ナムローゼ、フェンノートシャップ 502448454 PAXA N.V. 勝沼 宏仁 100117787 中村 行孝 100091487 横田 修孝 100107342 伊藤 武泰 100111730 アブラハム、コーエン 20110608 C07D 309/10 20060101AFI20110519BHJP C07B 63/00 20060101ALI20110519BHJP JPC07D309/10C07B63/00 BC07B63/00 E C07D 309/10 C07B 63/00 C07H 1/06 A61K 35/78 CA/REGISTRY(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) 特開平11−035431(JP,A) 特開平10−120576(JP,A) 特開昭61−109708(JP,A) 特開平08−208495(JP,A) 欧州特許出願公開第00374890(EP,A1) 米国特許第04602004(US,A) 特表昭63−501221(JP,A) Chem. Abstr., 抄録番号第51:2698e-i, 2699a-b,1957年,Vol.51, No.3-4,Hay, J. Evelyn,"Aloins. I. Structure of barbaloin", Journal of the Chemical Society, 1956,p.3141-3147 9 IB1999000771 19990428 WO2000066601 20001109 2002543211 20021217 6 20051220 安藤 倫世 【0001】本発明は、アロインの製造方法、更に詳しくは、産業上有用であって、申し分のない収率で高純度の最終生成物を与える、アロエ汁液または誘導物からアロインを抽出するための方法に関する。【0002】アロインは、古典的手法で、アロエゲルから出発する抽出により得られる天然物質である。それは、多様な薬物療法で有用ないくつかの誘導体の薬理学的性質のために、高度に興味深い物質である。例えば、アロインから得られるレインは、治療に有用な緩下、抗リウマチ、抗関節症および抗関節炎の性質を有している。【0003】長年にわたり最も一般的に用いられてきた方法は、硬質ガム、即ち、大気圧下外気中で単純に加熱して汁液を濃縮したときに得られる硬化残留物から出発する抽出から一般的になる。抽出でアロインを得るが、これは適切な溶媒での再結晶化により精製しうる。【0004】特許EP‐A‐374890は、親水性溶媒で植物または植物エキスからアロインおよびアロエエモジンの抽出、濾過および蒸発によりシロップを得て、それが数回の抽出、次いで再結晶化に付される方法について記載している。用いられる溶媒はアルコール、アセトン、酢酸エチルおよび水である。【0005】アロインの一般化学名は10‐グルコピラノシル‐1,8‐ジヒドロキシ‐3‐ヒドロキシメチル‐9(10H)‐アントラセノンである。アロインは2種の異性体AおよびBの形で存在するが、これらはアントロンベースでグルコース基の位置が異なっており、それらの割合は植物の起源および用いられる抽出方法に応じて変わりやすい。異性体A含有率の高いアロインが通常好ましい。【0006】本出願人により行われた研究および試験では、抽出を容易にし、ひいては精製を改善しうる添加物を用いることで、古典的抽出方法を有意に改善することが可能であることを示した。特に、本発明による方法は、その方法が工業規模で行われる条件下において、抽出選択性の改善、および精製に用いられる溶媒の量の大きな減少をもたらす。【0007】本発明によりアロインを製造する方法は、低分子量の脂肪族ジオールまたはトリオールの存在下における、アロエの滲出液、特に、aloe、例えばaloe barbadensisまたはaloe capensisの黄色汁液、または誘導物の抽出、その後結晶化による精製から本質的になる。【0008】好ましい態様によると、低分子量の脂肪族ジオールまたはトリオールは第一のステップで黄色アロエ汁液に加えられ、濃縮が行われて、その後抽出が第二のステップで行われる。この第一ステップはもちろん汁液のアロイン含有誘導物、例えば硬質ガムで行ってもよいが、黄色汁液を直接用いることが好ましく、その場合には物質がさほど分解されない。【0009】抽出の後に、エタノール、n‐プロパノール、イソプロパノール、n‐ブタノール、tert‐ブタノールおよびイソブタノールの中から選択されるアルコールからの再結晶化を行う。【0010】本発明によれば、“低分子量の脂肪族ジオールまたはトリオール”という表現は、その炭素鎖に15以下の炭素原子、好ましくは10以下の炭素原子を有するジオールまたはトリオールを表している。本発明で用いられる低分子量の脂肪族ジオールまたはトリオールには、例えばグリコールまたはグリセロールがある。グリコールは、好ましくはエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリプロピレングリコールおよびトリエチレングリコールから選択される。脂肪族ジオールまたはトリオールは、出発物質として用いられる黄色汁液の重量に対して、5〜25重量%、好ましくは7〜15%の量で用いられる。【0011】上記のように、脂肪族ジオールまたはトリオールの存在下で黄色汁液を濃縮した後、好ましくは酢酸エチルおよびアセトンの中から選択される溶媒で抽出を行う。【0012】申し分のない収率のためには、選択される抽出溶媒が重要である。比較試験によると、酢酸エチルが用いられたときには、出発物質中に存在するアロインに対する総収率が約50%であるのに対して、クロロホルムまたは石油エーテルが用いられたときには抽出率が低く、即ち10%以下であることを示した。抽出後における生成物の純度、即ちそのアロイン含有率も、酢酸エチルまたはアセトンがクロロホルムに置き換えられたときに10%以下である。【0013】本発明の方法は古典的方法にまさる重要な改善を抽出選択性でもたらすが、その理由は、精製前における抽出物のアロイン含有率が60%程度であるのに対して、常法による抽出の場合には約50%だからである。【0014】得られるアロインの品質およびその総収率は、アルコールからの再結晶化による精製中に水分が調整されたとき、最良となれる。そのため、本発明の有利な面によると、再結晶化による精製は媒質総重量に対して0.5〜5重量%、好ましくは0.5〜2%の水の存在下で行われる。水の量は、その含有率が低いときは水を加えて、またはそれが高いときは共沸蒸留で、いつもどおりに調整しうる。【0015】本発明による方法では、精製中の水分が調整される場合には、80%超、通常85〜90%、更には90%超ものアロイン含有率を有する生成物が得られる。工業規模でその方法を行うときに適用しうる条件下で、出発物質(黄色アロエ汁液または誘導物)中に存在するアロインに対する総収率は50%より高い。【0016】本発明の方法の別な利点は、抽出後の精製ステップで用いられるアルコールの量に関して、かなりの減少をもたらすことである。例えば、イソブタノールでの再結晶化の場合、アルコールの量は媒質中に存在するアロイン1容量部当たり10〜20容量部であるのに対して、常法では40〜60容量部である。【0017】本発明の方法により得られるアロインは、関節症、関節炎および様々な炎症を治療する上で用いられる、レインまたは誘導体をベースにした薬剤を製造するために用いることができる。【0018】下記例は本発明を更に詳細に説明するためのものであって、その制限のためではない。別記されないかぎり、部およびパーセンテージは重量で示されている。【0019】例1比較例として、アロインを下記方法により製造する。1Lの蒸発フラスコで、aloe veraの黄色汁液200gを、約55℃に加熱された水浴で約4の圧力(103Pa)で濃縮する。水の75%の除去後、その濃縮物を30分間にわたり激しく攪拌しながら55〜60℃の温度で酢酸エチル600mlに溶解させる。デカント後、有機上澄を取り出し、水性残渣を50〜60℃の温度で酢酸エチルで3回抽出する。抽出液を合わせ、温度を45〜50℃に維持しながら真空下で濃縮する。こうして約45〜50%のアロイン含有率を有する褐橙色固体物を得、これを70℃でイソブタノール640ml(即ち、存在するアロインに対してイソブタノール40容量部)に再溶解する。イソブタノール溶液を5℃に冷却し、この温度で約4時間保つ。結晶化したアロインをBuchner漏斗で濾取し、フィルターケークをイソブタノール20mlで洗浄する。乾燥後に、クロマトグラフィー(HPLC)で測定すると86%のアロイン含有率を有する黄褐色粉末の形で生成物を得る。出発物質として用いられた黄色汁液中のアロインに対する純粋アロインの収率は40%である。【0020】例2本発明による方法は例1で記載された抽出原理に従うが、但し下記のように修正する。1Lの蒸発フラスコで、例1で用いられたものと同一であるが、エチレングリコール20gが前もって加えられた、aloe veraの黄色汁液200gを入れて、約4の圧力(103Pa)で濃縮する。水の75%の除去後、その濃縮物を例1と同一の条件下で酢酸エチル600mlに溶解させる。デカント後、有機上澄を取り出し、水性残渣を酢酸エチルで3回抽出し、その後抽出液を合わせ、温度を45〜50℃に維持しながら、真空下で濃縮する。こうして約55〜60%のアロイン含有率を有する油状褐色生成物を得、これを70℃でイソブタノール240ml(即ち、存在するアロインに対してイソブタノール15容量部)に再溶解する。イソブタノール溶液を、例1のように5℃に冷却し、この温度で約4時間保つ。結晶化したアロインをBuchner漏斗で濾取し、イソブタノール20mlで洗浄および乾燥した後、クロマトグラフィー(HPLC)で測定すると87%のアロイン含有率を有する黄褐色粉末の形で生成物を得る。アロインA対アロインBの比率は約3/1である。出発物質として用いられた黄色汁液中のアロインに対する純粋アロインの収率は53%である。【0021】例3例2で示されたように行ったが、但しエチレングリコールを同量のジエチレングリコールに代えた。こうして52%の収率で純度87%アロインを得る。【0022】例4例2で示されたように行ったが、但しエチレングリコールを同量のグリセロールに代えた。こうして48%の総収率で、87%のアロイン含有率を有する生成物を得る。【0023】例5例2で示されたように行ったが、但し酢酸エチルで抽出後、得られた抽出物をイソブタノール240mlに溶解しながら、水の量を媒質総重量に対して1%に調整する。こうして56%の総収率で、90%のアロイン含有率を有する生成物を得る。 その炭素鎖に15以下の炭素原子を有する脂肪族ジオールまたはトリオールの存在下で、酢酸エチルおよびアセトンの中から選択される溶媒でアロエの黄色汁液またはその硬質ガムの抽出を行うことで特徴づけられる、抽出および結晶化での精製によりアロエ含有物からアロインを製造するための方法。 その炭素鎖に15以下の炭素原子を有する脂肪族ジオールまたはトリオールがアロエの黄色汁液に加えられ、その後濃縮が抽出前に行われる、請求項1に記載の方法。 抽出後に、アルコール中で再結晶化が行われる、請求項1または2に記載の方法。 アルコールが、エタノール、n‐プロパノール、イソプロパノール、n‐ブタノール、tert‐ブタノールおよびイソブタノールの中から選択される、請求項3に記載の方法。 抽出がaloe vera、aloe barbadensisまたはaloe capensisの汁液で行われる、請求項1に記載の方法。 その炭素鎖に15以下の炭素原子を有する脂肪族ジオールまたはトリオールがグリコールまたはグリセロールである、請求項1に記載の方法。 グリコールが、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリプロピレングリコールおよびトリエチレングリコールの中から選択される、請求項6に記載の方法。 その炭素鎖に15以下の炭素原子を有する脂肪族ジオールまたはトリオールの量が、出発物質として用いられる黄色汁液の重量に対して5〜25重量%である、請求項4〜7のいずれか一項に記載の方法。 再結晶化が、媒質総重量に対して0.5〜5重量%の水の存在下で行われる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。