タイトル: | 特許公報(B2)_セボサイト、セボサイト細胞株及びその使用方法 |
出願番号: | 2000597413 |
年次: | 2010 |
IPC分類: | C12N 5/10,A61K 35/24,A61P 17/08,A61P 17/10,C12N 15/09,C12Q 1/02,C12R 1/91 |
ズブリス・クリストス JP 4514963 特許公報(B2) 20100521 2000597413 19991215 セボサイト、セボサイト細胞株及びその使用方法 ズブリス・クリストス 501306368 江崎 光史 100069556 三原 恒男 100092244 奥村 義道 100093919 鍛冶澤 實 100111486 ズブリス・クリストス DE 199 03 920.8 19990201 20100728 C12N 5/10 20060101AFI20100708BHJP A61K 35/24 20060101ALI20100708BHJP A61P 17/08 20060101ALI20100708BHJP A61P 17/10 20060101ALI20100708BHJP C12N 15/09 20060101ALI20100708BHJP C12Q 1/02 20060101ALI20100708BHJP C12R 1/91 20060101ALN20100708BHJP JPC12N5/00 102A61K35/24A61P17/08A61P17/10C12N15/00 AC12Q1/02C12N5/00 102C12R1:91 C12N 5/10 C12N 15/09 CA/BIOSIS/MEDLINE/WPIDS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) PubMed CiNii 国際公開第98/008089(WO,A1) ZOUBOULIS C C,DERMATOLOGY,1998年,V196N1,P21-31 BRYAN TRACY M,CRITICAL REVIEWS IN ONCOGENESIS,1994年,V5N4,P331-357 15 DSM ACC2383 EP1999009988 19991215 WO2000046353 20000810 2002535984 20021029 16 20061129 太田 雄三 本発明は、皮膚及び粘膜(またセボサイト(Sebocyte) と呼ぶ)の脂肪含有及び皮脂産生細胞に関する。特に、本発明は皮脂腺細胞及び多数回の継代によって連続的に培養することができる性質を有する皮脂腺細胞株に関する。セボサイトは、有用な適用、たとえばヒト又は動物の皮脂腺の生理学又は病態生理学の検査に、ニキビ及び( 又は) 脂漏症及び( 又は) その他の疾患の発生の検査に、種々の物質の及び薬剤の効果のテストに、三次元細胞集合(three-dimentional cell assemblies) 又は器官様構造を主体とする細胞培養システムの発生のために、これらの細胞に由来する生成物の調製に特に適している。【0001】ますます増える徴候は、セボサイトが病態生理学的過程及び皮脂腺/髪複合体の疾患において、特にニキビにおいて重要な役割を果たすことを示唆させる(Gollnick等、J.Dermatol1,1991; 18: 489-499; Brown及びShalita 、Lancet 1998;351:1871-1876; Cuniffe. Dermatology 1998, 196: 9-15, Strauss. Dermatology 1998; 196: 489-499) 。皮脂腺の生理学又は病態生理学に対する我々の理解の大部分は、動物実験モデルに由来する(Pochi, "In Models Dermatology", Vol.2, N. Lowe及び H. Maibach, editors, Basel, 1985; 70-75) 。しかしながら、動物モデルは、ヒトにおける抗ニキビ薬剤の効果を判定するのに満足のいく予測をさせないことが分かった(Geiger, Dermatology 1995; 1991: 305-310) 。ニキビがヒトのみに生じるという事実及び皮脂腺の分泌活性が著しく種特異的であるという事実(Nikkari, J. Invest.Dermatol. 1974; 257-267) から、ヒトモデルに対する検査が必要とされた。これらの欠点を回避するための予備研究はヒト皮膚サンプルを用いて行われ、このサンプルは試験管内で培養されるか(Hsia等, Proc.Soc. Exp. Biol.Med. 1970; 135: 285-291; Cooper 等, Br.J. Dermatol. 1976; 94:156-172; Sharp 等, J. Endrocrinol. 1976; 70: 491-499)又は裸のマウス(nudemice)に移植された(Petersen等, J. Clin. Invest. 1984; 74: 1358-1365) 。ヒトセボサイト及びその調節の活性に関する基本的研究は、この10年で始めて可能になった。というのは生存能力のある皮脂腺が単離され(Kealey等, Br. J. Dermatol. 1989; 93:315-321)、そしてヒトセボサイトの培養モデルを試験管内で調製することができた(Xia 等, J. Invest. Dermatol. 1989;93: 315-321)からである。【0002】Xia 等(1989)による培養方法の変化によって、試験管内でのヒトセボサイトの培養の再生産性の点で近年、改善が達成された。したがってZouboulis 等(Skin. Pharmacol .1991; 4:74-83)はヒト血清の添加によって培養培地中のヒドロコルチゾルを除去した。Lee (in Epithelia: Advances in Cell Physiology and Cell Culture; C.J. Jones, editors: Kluwer, Dordrecht, 1990; 333-350)は添加物で富化された血清不含培地中で皮脂腺を培養する前にコラーゲンで皮脂腺を処理した。また、第一セボサイト培養は、付着塩基相として提供される3T 3フィブロブラスト細胞相を除くことによって得られた(Akamatsu等, J. Invest.Dermatol. 1992; 99: 509-511)。第二培養は、リピド不含血清が補充された培地中に(Zouboulis 等、 J. Invest.Dermatol. 1993; 101: 628-633)及び血清不含セラチノサイトを含有する、添加物不含基本培地中に(Akamatsu等、J. Invest.Dermatol. 1992; 99: 509-511)維持された。更に、ケラチノサイト発育因子(KGF)は、ヒトセボサイトの収量及び増殖を著しく増加させることが示された(Chen等, J. Invest.Dermatol. 1998; 110: 84-89) 。【0003】これらの技術上の改善にもかかわらず、更なる発展は、単離されたヒト皮脂腺から得られた大多数のセボサイトの培養が困難であるということによって著しく妨害されている。特に、長い間培養液に細胞材料を保つことが困難である。この理由として、セボサイトが分化し、自然発生的細胞膜の破裂、ついでその内容物の放出を経て死に至る傾向がると考えられる。今のところ達成された最良の結果はフジエ(Fujie )等(Arch. Dermatol. Res. 1996; 288: 703-708)によるものいであり、これはキア(Xia )等(1989)の方法に基づいて皮脂腺を単離し、分散された細胞培養の方法により細胞付着相不含の、血清不含ケラチノサイト増殖培地中で6回継代することによってセボサイトを培養した。【0004】本発明の課題は、より多くの継代を経て培養液中に維持することができるセボサイトを調製することにある。その際、その調製されたセボサイトは、その形態学的、表現型及び機能的特徴の外観において生存能力のある、正常ヒトセボサイト(mormal human sebocytes) の外観と、これらが細胞モデル又は細胞培養モデルとして脂肪含有、皮脂産生細胞に及び特に生理学的、病態生理学的及び薬学的検査に良好に適するような程度まで少なくとも近づいていなければならない。【0005】本発明はこの課題を不死化されているセボサイトを調製することによって解決する。有用な適用が極めて重要なことであるので、本発明の細胞はヒトに由来するのが好ましい。この種のセボサイトはヒト皮脂腺細胞株SZ95中にある。この細胞は微生物及び細胞培養物のドイツコレクションG mbH (DSMZ) に寄託番号 DSM ACC2383で寄託されている。【0006】以下に、本発明を図面にしたがって詳細に説明する。図1及び図2は、本発明によって調製され、不死化されたセボサイトSZ95が(この場合ヒトに)由来する第一正常セボサイトの上皮性多形の外観を維持したことを示す。さらに、調製され、不死化されたセボサイト及びそのクローン(クローンは確かに単一細胞に由来する細胞を意味する。)は、特有の94−KD−巨大SV−40−巨大T−抗原───これをコードするDNA 配列を用いてトランスフェクションが行われた───を、その後の継代においてさえも発現する。図1は(a)第二継代の正常のヒトセボサイトであり、調製され、不死化されたセボサイトはこれに由来し、(b)第一継代から得られた不死化されたセボサイトによって提供された付着セボサイト培養、そして(c)調製され、不死化されたセボサイト(クローンの第50回継代)。すべての細胞は、類似の上皮性多形構造を示す。図2は(a)調製され、不死化されたセボサイトの細胞遠心分離されたサンプル及び(b)陽性コントロール(positive control) として提供される外皮細胞培養細胞HMEC−1の細胞遠心分離されたサンプルを示し、双方ともヒトSV−40巨大T−抗原に対するモノクロナール抗体によって標識されている。この2つのサンプルは陽性に標識され、そしてヒトSV−40巨大T−抗原が主に細胞核に、一部はまた細胞の細胞質に局在することを示す。(c)において、調製され、不死化されたセボサイト中でのヒトSV−40巨大T−抗原の発現はウエスタンブロット分析によって実証される。ヒトSV−40巨大T−抗原は、トランスフェクションされていない、正常のヒトセボサイトで(レーン1)及び正常のヒト内皮性ケラチノサイトで(レーン2)検出されなかったが、特有の94−KD巨大蛋白質は第34回継代において(レーン3)及び3個の単離されたクローンにおいて(レーン4、5及び6)調製され、不死化されたセボサイトの蛋白質抽出物中で測定された。【0007】本発明の不死化されたセボサイトはヒト起源であるのが好ましい。“セボサイト”なる用語の意味は、最も広い意味において、すなわち事実上脂肪を含有し、皮脂を産生するすべての細胞のことである。皮脂(sebum)は主に種々の脂肪から成る。その際、細胞の脂肪内容物は脂肪分画によって及び脂肪分画の含量によって変化することができる。一般に、細胞の脂肪内容物は遊離脂肪酸、トリグリセリド、ロウ、スクワレン、遊離コレステリン、コレステリンエステル、ジヒドロキシコレステリン及びその他のステロイド並びにその他の炭化水素を含む。特にヒト皮脂腺細胞に由来するような不死化されたセボサイトが好ましい。セボサイトが顔面皮脂腺細胞に由来する場合、医療目的に特に好ましい傾向を生じる。【0008】本発明のセボサイトの重要な特徴は、その不死化にある。本発明の範囲において不死化とは多数回の継代(subculture)にわたる生存期間の根本的な維持を意味する。本発明の不死化されたセボサイトSZ95は培養で50回より多い継代にわたって約4 1/2年の繰り返し観察期間で維持することができた。これに対して正常のヒトセボサイトは、これらが死滅する前に3〜6回の継代にわたってしか増殖できない。【0009】 本発明の不死化されたセボサイトを得ることができる。一方、正常セボサイト−好ましい実施態様でヒト起源及び特にヒト皮脂腺からのもの−は、DNAで継代され、増殖阻害遺伝子との安定で不活性な複合体(complex)を生じる。特別の有効な不死化は本発明の範囲で正常のヒトセボサイト、特に顔面皮脂腺に由来するセボサイトをSV−40の巨大−T−蛋白質をコードするDNA配列を含むDNAでトランスフェクションすることによって得られる。SV−40−巨大−T−抗原(蛋白質)の不死化作用、及びヒト細胞のトランスフェクションにコードづけDNA配列(the coding DNA sequences)の対応する使用はそれ自体公知である。したがって不死化された細胞系は、たとえば上皮起源(Tohyama等、Tohoku.J.Exp.Med.1997;182:75−82;Bae等、Prostate 1998;34;275−282 参照) 及び外皮起源(Ades等、J.Invest.Dermatol.1992;99:683−690及びWO−A−92/17569 参照)のその他の細胞からSV−40TをコードするDNA でトランスフェクションすることによって得られる。【0010】セボサイト−トランスフェクションはカチオンリピド(LIPOFECTION-Reagens;これはカチオンリピドDOTMA [1,2-ジオリルオキシプロピル-3- トリメチルアンモニウムクロライド]及びDOPE[ジオリルホスファチジルエタノールアミン]の1:1(w/w)リポソーム形成物を膜濾過された水(1mg/ml)中に保持する。)を用いて遺伝子継代法(a gene transfer method)にしたがって調製される。この場合、異種DNA をカチオン性リピド−DNA −複合体を介して細胞中でエンドサイトーシスによって取り込み(Wang等,In.Vitro.Cell.Dev. Biol.1991;27A: 63-74; Staedel 等,J.Invest.Dermatol.1994;102:768-772 参照)、そして有効な結果は不死化において生じる。この場合トランスフェクション混合物は、好ましくは0.25〜2.0容量%及び特に2.0容量%LIPOFECTIN−試薬及び0.05〜0.5重量%及び特に0.5重量%異種DNA を適当なトランスフェクション緩衝液中に含有する。異種DNA 、たとえばSV−40−巨大−T−蛋白質をコードするDNA は、この際常法で適当なベクターに挿入され、この場合SV−40−巨大−T−蛋白質の発現を好ましくはプロモーター及びエンハンサー配列を用いて増加させる。正常ヒトセボサイトを好ましい実施態様でSV−40−巨大−T−蛋白質をコードするDNA で継代させる場合、調製されたセボサイトは効果のあるトランスフェクション及び不死化後にSV−40の巨大−T−抗原を発現することが予想されうる。これは本発明の調製され、不死化されたセボサイトに関して免疫細胞化学的にかつウエスタンブロット分析によってSV−40−巨大−T−抗原に対するモノクロナール抗体の使用下で確認される。【0011】得られた、不死化されたセボサイトは好ましくは細胞株(Zellinie) の形で存在し、この形で使用目的に対して優れた方法で使用することができる。【0012】本発明の不死化されたセボサイトは、血清不含培地に適応させた後非継代の正常ヒトセボサイトに比べて良好に増殖する。そしてこれは皮脂腺−特異的リピドを合成するその能力を保持する。これは血清不含培地に維持された非継代の正常ヒトセボサイトと対照的である。したがって本発明の不死化されたセボサイトは常に再生可能なかつ増殖可能な細胞株として使用することができ、そして限定された培地中で増殖することができる。【0013】本発明の特に価値ある不死化されたセボサイトは、形態学的、表現型の及び機能的観点で非継代の正常及び分化されたセボサイトの特徴を有することである。したがって本発明の不死化されたセボサイトは、生理学的、病態生理学的及び薬学的研究モデルとして十分に提供することができる。同時にヒト起源の通常の培養された正常セボサイトの限定された生存能力の欠点は回避される。したがって、本発明の不死化されたセボサイトは実質上正常セボサイトの表現型を維持することができ、そして機能的観点で顔面の非継代正常ヒトセボサイトのように振る舞うことができる。【0014】本発明者は、本発明の不死化されたセボサイト又はセボサイト株(セボサイト細胞株)が非継代正常ヒトセボサイトの外観に似た多形の上皮外観を示すことを見出した。細胞培養で細胞は、細胞成熟の種々の段階で示される種々の大きさ及び細胞内構造で増殖する。したがって融合増殖と共に平均5−倍又は6−倍の大きさまでの種々の大きさの細胞が観察される。これは本質的に試験管内で進行性分化による非継代の正常ヒトセボサイトの細胞増殖の増加に相当する(平均4−倍又は5.5−倍の大きさの相違)。更に、本発明の不死化されたセボサイトは非継代正常ヒトセボサイトにおけるように、細胞質中のリピド粒子の脂肪物質中に豊富あでることが分かった。正常ヒトセボサイトとして通常である特有な皮脂腺リピドスクワレン及びロウエステルの合成は、本発明の範囲で実験によって確認される。更に、本発明の不死化されたセボサイトは遊離脂肪酸───この酸は再度試験管内で非継代正常ヒトセボサイトに関する知見と相互に関係する───を合成し、しかもこれは多大の継代の後でさえも起こる。【0015】また、セボサイト起源を認識し、そして生菌分化(a viable differentiation) を示す発現マーカーは本発明の不死化されたセボサイト又はセボサイト細胞株のセボサイトのための典型的な標識として認めらる。したがって不死化されたセボサイト又はセボサイト細胞株は抗原を発現する。この抗原はヒト多形の上皮粘膜蛋白質群にとって典型的であり、たとえば皮脂腺抗原、ヒトミルク脂肪グロブリン1及び2、ヒト上皮シアロムシン(sialomusine)、トムセン−フリーデンライヒ抗原、ムシン(mucin)様カルシノーゲン関連抗原及び上皮膜抗原である。これは本発明の範囲で免疫細胞化学法によって及びウエスタンブロット分析によって確認される。さらに、本発明の不死化されたセボサイト又はセボサイト細胞株は非継代正常ヒトセボサイトに典型的なケラチン抗原、たとえばサブクラス7、13及び19の抗原を発現する。したがって抗原表現型はセボサイト起源及びセボサイトの分化を裏付ける。【0016】さらに、機能的観点から、本発明の不死化されたセボサイト又はセボサイト細胞株は非継代正常ヒトセボサイトに類似する。したがって本発明の不死化されたセボサイトはその試験管内増殖を増加させることで、たとえば5α−ジヒドロテストステロンによるアンドロゲンの作用に応答する。さらに、本発明の不死化されたセボサイト又はセボサイト細胞株はレチノイドの作用、特に非芳香族型レチノイド( たとえば13−シス−レチノン酸、すべてのトランス−レチノン酸)によってその増殖を変化させる能力を有する。【0017】好ましい本発明の実施態様は、不死化されたセボサイト、好ましくはヒトセボサイトをクローン化させることである。これは利点である。というのは不死化されたセボサイト又はこれから生じるセボサイト細胞株が唯一のゲノムベース(genomic basis)によって十分に限定され、そして特異的に特徴づけられるからである。クローン化及び不死化されたセボサイト細胞株は、好ましくは培養容器1個あたりたった1個の細胞の細胞分裂が新たに開始されるまでの間、培養容器中で不死化されたセボサイトを徐々に希釈することによって得られる。これは顕微鏡観察によって観察され、そして調節することができる。【0018】したがって本発明の範囲で、得られた不死化されたヒトセボサイト又はこれから得られたセボサイト細胞株は本質的に非継代正常ヒトセボサイトに比べてセボサイト独自性を維持することが分かった。これは特有な測定及び機能テスト(functional test)によって確認される。【0019】本発明の上記利点を統合する表示 SZ95 を有するセボサイト細胞株は、寄託番号ACC2383でDSMZに寄託されている皮脂腺細胞(セボサイト)株で表わされる。【0020】したがって本発明の不死化されたセボサイト又はセボサイト細胞株は有用な適用に卓越した可能性を提供する。一般に、本発明のセボサイト又はセボサイト細胞株は、診断用途に、治療用途に、化粧用途に使用することができる。特に、上記セボサイト又はセボサイト細胞株は、リピド含有、皮脂産生細胞、特にヒト又は動物の皮脂腺細胞の生理学又は病態生理学の発展及び研究に、皮膚の病態生理学的プロセス及びたとえばニキビのような皮膚疾患でのその役割を提供することができる。本発明のよれば、ニキビ及び( 又は) 脂漏症及び( 又は) その他の疾患、特に皮膚疾患(これは皮脂腺機能が関与するか又は関与する可能性がある。)の発生が研究されている。更に、本発明の対象は、抗ニキビ化合物及び( 又は) 抗脂漏性化合物又は治療剤、しかもまた疾患、特に皮膚疾患(これは皮脂腺機能が関与するか又は関与する可能性がある。)に対する治療剤を試験するための又は評価するための優れたモデルとして提供される。臨床実験、たとえば薬剤の薬理性質に関する試験管内実験の実施が特に有用である。【0021】更に、上記の本発明のセボサイト又はセボサイト細胞株は, 別の細胞培養システムを確立することができる利点を有する。これは単一及び複合細胞培養システムの開発(development) を含む。単一細胞培養システムは一般に二次元一相又は多相付着培養又は不付着培養を意味し、たとえばその他の細胞種に上記セボサイトを添加することに又は半透過性膜又は不透過性膜を通してこれを別々に培養することによって形成される(Schwartz 等, J. Surg. Res. 1998; 76: 79-85; Nackman等, Surgery. 1998; 124: 353-361)。複合細胞培養システムは一般に一相又は多相培養の三次元培養を意味し、そしてたとえば球面として、球面上で、コラーゲン中に又はその他のゲル調合物中で又は人工皮膚様構造中で細胞を培養することによって形成される(Korff and Augustin, J. Cell. Biol. 1998; 143:1341-1352; Hamamoto 等; J. Biochem. (Tokyo) 1998; 24:972-979; Desoize 等、Anticancer. Res. 1998; 18. 4147-4158; Hamilton, Cancer. Lett. 1998; 131:29-34; Niemann等, J. Cell. Biol. 1998; 143 : 533-545; Awata 等, J. Gastroenterol. Hepatol. 1998; 13Suppl: S55-61; Voura 等, Microsc. Res. Tech. 1998; 43:265-275; Pipili-Synetos等, Br. J. Pharmacol. 1998; 125:1252-1257; Vasile 等., J. Histochem. Cytochem. 1999; 47:159-168; Michalopoulos等、 Hepatology. 1999; 29:90-100; Trent and Kirsner., Int. J. Clin. Pract. 1998; 52:408-413; Fransson 等, Br. J. Dermatol. 1998; 139:598-604; Konstantinova 等, Arch. Dermatol. Res. 1998; 290:610-614; Black 等, FASEB J. 1998; 12.1331-1340; Zhao 等, Biochem. Biophys. Res. Commun. 1999; 254:45-53) 。【0022】特に有用な適用は、本発明の三次元細胞集合、又はセボサイト又はセボサイト細胞株を主体とする器官様構造の構成体又は再構成体に関する。この目的に、セボサイトを単独で使用するが、好ましくは別の皮膚再生細胞のほかに、特にケラチノサイト、フィブロブラスト、メラノサイト、外皮細胞、ランケルハンス細胞及び( 又は) 毛胞を生じる細胞と共に使用される。三次元細胞集合又は器官様構造の構成体又は再構成体の再生のために、コラーゲン又はその他のゲル調合物で及び( 又は) 不活性な組織の部分で支えられたサポートを先ず提供し、ついで上記細胞を支えられたサポート中に又はそれ上に適用する。この方法は当業者に基本的に知られおり、サンプルは市場で入手できる(Trent及び Kirsner, Int. J. Clin. Pract. 1998; 52:408-413; Fransson 等, Br. J. Dermatol. 1998; 139:589-604; Konstantinova 等, Arch. Dermatol. Res. 1998; 290:610-614; Black 等, FASEB. J. 1998; 12: 1331-1340; Zhao 等, Biochem. Biophys. Res. Commun. 1999; 254:49-53) 。“人工皮膚”又は皮膚代替物は、移植又は薬品移植に、損傷された皮膚域、たとえば火傷を負った皮膚の再構成に、又は皮膚病変の治療に優れた可能性を提供する。本発明によれば、たとえば“人工皮膚”は十分な量でリピド/皮脂を合成することができる。その場合本発明のセボサイトはこの構造中に取り込まれる。【0023】有用な適用の別の分野は、本発明のセボサイト又はセボサイト細胞株に由来する生成物の製造に関する。これは細胞物質、たとえばリピド、蛋白質、DNA及び( 又は) RNAの単離及び精製を含む。細胞が不死化されているので、これらはこのような細胞物質に対する連続的起源として自由に使用される。したがってこの方法でこれらの細胞から得ることができる極めて使用可能な物質の特別の例は、局所剤及び薬剤中にこれらを使用するためのスキンリピド、セボサイトの表現型特徴と関係のある以下の例3に記載される抗原蛋白質及びまたプラスミドDNA又はベクターDNAの発生を含む。プラスミドDNA又はベクターDNAの発生は当業者に周知の遺伝子工学によって行われる。したがってたとえばリピド産生を誘発する遺伝子を回収することができる。特にウイルスベクターの発生も考慮に入れて、このような適当なプラスミド及びベクター構造によって、再度その他の細胞又は微生物を修飾又はトランスフェクションすることができる。【0024】本発明を以下の例にしたがって詳細に説明するが、本発明はこれによって限定されない。【0025】【実施例】以下に記載する実施例のために、材料および方法に関する以下の実施態様を使用する。しかしながらこれらの実施例は本発明を限縮するものではない。【0026】細胞培養:他に明記しない限り、全ての細胞は、2mmolのN−アセチル−L−アラニル−L−グルタミンを含有する変性されたDMEM/Ham’s F12−培地(1:1)(Biochrom, ベルリン、ドイツ国から入手) よりなる媒体中に付着性培養物として媒体中に保持した。この培地に10%の熱活性化された胎児凝乳血清(FCS;バイオクロム)並びに50μg/mLのゲンタマイシン(Gibco-BRL 、Karlsruhe,ドイツ国から入手) を補充する。この培養は、5%のCO2 を含有する湿った大気中で37℃で続けそして培地は2〜3日毎に交換した。【0027】正常のヒトセボサイトの分離および培養:正常のセボサイトは、Xia 等によって説明されている(J.Invest.Dermatol.1989;93;315-321) 様に手術を受けた87才の女性患者の顔面皮膚から採取した。採取された皮脂腺は9ng/mLの上皮増殖因子(EGF)、9ng/mLのケラチノサイト増殖因子(KGF)(両方とも Boehringer Mannheim, ドイツ国から入手) 、0.4μg/mLのヒドロコルチゾン( Sigma, Deisenhofe, ドイツ国から入手) 並びに10-9Mのコレラトキシン(Chlbiochem: Bad soden 、ドイツ国) が補充された正常培地で付着細胞層なしで培養した。一次標準セボサイトの培養物は顔面皮脂小裂片の周辺から増殖物として得られた。【0028】免疫細胞化学的試験:準融合性の正常のセボサイト培養物の分散細胞を細胞遠心分離によってガラス製スライドに付着させた。この試料を空気乾燥させ、そして冷たいアセトンによって10分間に固定する。このプレパラートを次いで個々のモノクロナール抗体または対照抗体を用いて室温で30分培養する。結合した抗体は、家うさぎ−/抗マウス−IgG(H+L)およびアルカリ性ホスファターゼ/抗−アルカリ性ホスファターゼ−錯塩(Dianova,ハンブルグ、ドイツ国から入手)よりなるモノクロナール抗体結合体の1:100希釈物と室温で30分間結合させることによって検出される。一次および二次モノクロナール抗体を10%のRPMI−1640および10%FCSを7.4のpHで含有する溶液状態の希釈した。洗浄段階はCa2+およびMg2+を含まないPBS−緩衝液(Biochromから入手) で3度実施する。このプレパラートを30分の間に緩衝化液(pH8.8)中に付着剤としてのノイフコシン(Neufuchsin) および結合剤としてのナフトール塩(両方ともSigma から入手) で着色し、Mayer’s Haemalum(Merk, ダルムシュタット、ドイツ国) で対照染色し、被いそして光学顕微鏡で評価する。【0029】蛋白質の分離および定量化:細胞蛋白質を単離するために、細胞培養物をPBSで2度洗浄し、培養容器中で50ミリモルのHEPES、1%濃度Nonidet P−40(ICN, Aurora,オハイオ州、米国から入手) 、150ミリモルのNaCl並びにプロテアーゼ抑制剤(Complete (R)Mini;Boehringer 、マンハイムから入手) より成る冷たい溶液によって直接的に細胞溶解し、次いで掻き取りそして小さい遠心分離容器中で繰り返す。得られる物質を超音波作用によって均一化し、遠心分離処理しそして上澄みを氷の上で保存する。ビシンコニン酸(BCA−蛋白−分析:Pierce, Rochford, イリノイ州、米国から入手) を、全部の蛋白を視認できるようにするために、添加しそして蛋白質濃度を550nmでの吸収を測定することによって定量化した。【0030】ウエスタンブロット分析:分離した蛋白質のアリコール(20μg)を15分間、95℃に加熱する。一次元SDS/PAGE−電気泳動を各試料に関して7.5%ゲル上で実施する。次いで蛋白質を転写膜(PVDF製のImmobilon-P:Millipore, Escoborn ドイツ国から入手) の上に正常ブロットシステム(Bio-Rad, ミュンヘン、ドイツ国から入手) を用いて転写させる。このブロットを一次モノクロナール抗体を用いて室温で60分間培養し、次いで西洋ワサビペルオキシダーゼが結合したヤギ/抗−マウス−モノクロナール抗体あるいはヤギ/抗−うさぎ−モノクロナール抗体(Oncogene Scienceから入手) を用いて0.2μg/mLの希釈状態で室温で60分培養する。十分に洗浄した後に標準分析(ECL,Amersham, Braunschweigから入手) の使用下にX線感性フィルム(XAR5;Kodak,Rochester, ニューヨーク、米国から入手) 上に化学的発光法によってシグナルを視認し、その際に沢山の照射間隔を調整した。【0031】オイルレッド−およびナイルレッド−着色:チェンバー- スライド(Kammerobjekttraeger)で成長した細胞を、オイルレッド(Sigma) を60%濃度のイソプロパノールに溶解した0.6%濃度溶液を用いるかまたは1μg/mLのナイルレッド染料(Kodak から入手) を用いてXia 等によって説明されている(1989)様に室温で15分培養する。次いでこの培養物を、( オイルレッド着色の後に) 光学顕微鏡でまたは528nm以上での光放射による450〜500nmの帯域励起フィルターを使用して(ナイルレッド着色の後で)観察する。【0032】フローサイトメトリー:分散されたマーク付なしの細胞を細胞の大きさを測定するために慣用の分別器で分別し、他方、ナイルレッド着色剤(Kodak から入手) でマークを付けた細胞は脂質含有量を測定するためにフローサイトメトリーにより蛍光をベースとして測定する。試料当り10,000個の細胞を検査した。【0033】脂質のマーク付けおよび抽出:細胞培養物を培地に2日間保持し、次いで放射線活性パルスで[2−14C]−醋酸のナトリウム塩(45〜60mCi/mmol;Dupond-NEN、ボストン、マサチューセッツ州、米国から入手)上で処理し、これに2ミリモルのL−グルタミン、10%熱活性化FCS,100 IU/mLのペニシリンおよび100μg/mLのストレプトマイシンを混入する。その後に更に24時間培養する。脂質を培養された細胞および上澄み培地から単離しそして中性の脂質、脂肪酸および燐脂質に分離する(Seifert 等、J.Invest.Dermatol. 1997;108:375 参照) 。【0034】分別による大きさ分けおよび中性脂質および遊離脂肪酸の視認化を高性能薄層クロマトグラフィー(HPTLC)によって行う。この高性能薄層クロマトグラフィーは20×10cm2 の大きなシリカーゲル被覆されたガラス板(Merk、ダルムシュタット、ドイツ国から入手) 上で実施する。この板をn−ヘキサンで予備処理しそして24時間乾燥する。試料を自動的な脂質アプリケーター(Linomat IV; Camag, ベルリン、ドイツ国) によって載せる。中性脂質のクロマトグラムはn−ヘキサン/ジエチルエーテル溶液(9:1)中で9cmに展開し、乾燥しそしてクロロホルム/ジエチルエーテル/エチル醋酸(80:4:16)の溶液中で4.5cmに後展開する。照射するために照射アーク装置(2040 S、Fuji, 東京、日本から入手) を使用し、次いでこれを解像装置("BAS 1000 Bio-Imaging Analyser" 、Fuji) を用いて走査処理した。脂質標準を比較試料として使用する。【0035】増殖挙動の検査:細胞を96ウエル(Well)- 培養板に0.5〜4×103 細胞/ウエルの濃度で接種する。細胞増殖は4−メチルウムベリフェリル(Methylumbelliferyl)- ヘプタノエート−蛍光分析によって評価しそして自動的に測定する(Zuboulis等、Melanoma.Res. 1991;1:91-95) 。【0036】この目的のために評価の日に培地を取り除き、細胞をPBSで二度洗浄しそしてPBSに4−メチルウムベリフェリル- ヘプタノエート(Sigma, Deisenhofen 、ドイツ国) を溶解した100μg/mL濃度溶液100μLを各ウエル(well)に添加する。次いで板を37℃で30分間培養しそして発生する蛍光を適当な蛍光測定装置(Titertec Fluoroscan II;Flow, Meckenheim, ドイツ国) で測定する。蛍光単位は355nmの励起フィルターおよび460nmの発光フィルターで得られる。【0037】5α−ジヒドロテストステロンおよびレチノイド類での処理:5α−ジヒドロテストステロン(5α−DHT ;Sigma)をDMSOに溶解し、次いで2ミリモルのn−アセチル−L−アラニル−L−グルタミンを含有する血清(serum)- およびフェノール不含の変性DMEN/Ham’s F12−培地(1:1)(Gibco-BRL)に入れる。この培地は5ng/mLのEGF、50μg/mLの牛の下垂体抽出物、1mg/mLの脂肪酸不含牛血清アルブミン(Boehringer, マンハイム) および50μg/mLのゲンタマイシンと混合し、10-6Mの5α−DHと0.1%DMSOの最終濃度が得られている。0.1%DMSO単独を対照として使用する。細胞(ウエル当り0.5〜2×103 個)を5α−DHTで18日間処理した。【0038】レチノイドで処理するためにオール−トランス−レチン酸、13−シス−レチン酸およびアシトレチン(Acitretin)をDMSOに溶解し、次いで2nMのN−アセチル−L−アラニル−L−グルタミン含の血清不含の変性DME−培地/Ham’s F12−培地(1:1)中に導入する。この培地は5ng/mLのEGF、50μg/mLの牛下垂体抽出物、1mg/mLの脂肪酸不含牛血清アルブミンおよび50μg/mLのゲンタマイシンと混合されて、10- 7 Mのレチノイドおよび0.1%DMSOの最終濃度が得られている。0.1%DMSO単独を対照として使用する。レチノイドは暗くした黄色の光の下で取り扱う。細胞(ウエル当り0.5〜1×103 個)をレチノイド類で9日間処理した。【0039】静的分析:成長の研究は96ウエル−板に6つの区分の付着物に基づいて評価する。他の全ての実験は三つ組の付着物で実施する。【0040】実施例1正常のヒトセボサイトのトランスフェクション正常のヒトセボサイトのトランスフェクションのために使用するpSVTと称するベクターは、SV−40の巨大T−蛋白のための配列を有するPBR322を基礎とするプラスミド構造である。この場合蛋白質の発現はラウス肉腫ウイルス(Rous Sarcoma Virus) の長い末端反復配列によって進める(Dutt. 等、Orcogene, 1990;5;195〜200; Wang 等、In.Vitro.Cell. Dev.Biol. 1991;27A:63〜74) 。正常のヒトセボサイトの第二の二次培養は35mmの培養容器(Becton Dickinson, Plymouth, 英国) 中で50%の融合で成長させそしてトランスフェクションのために使用する。このトランスフェクションはカチオン性脂質を使用して遺伝子伝達法(Gentransfermethode) に基づいて実施する。この目的のために、カチオン性脂質DOTMA(1,2−ジオリルオキシプロピル−3−トリメチルアンモニウムクロライド)およびDOPE(ジオリルホスフェートイジルエタノールアミン)の1:1(重量/重量)のリポソーマル(loposomale)調製物を膜濾過された水(1mg/mL)中に含むLIPOFECTIN−剤を使用する。この目的のために、培養細胞を血清不含培地(Gibco-BRL のOpti-MEM) で洗浄しそしてこの培地中で4時間培養した培養培地を除く。次いでこの培地を、適量のLIPOFECTIN剤(Gibco-BRL; 5〜30μL,最高1.5 容量%) 、並びに0.5mLのPBS(DNA-末端濃度; 最高0.5 重量%) を含有する溶液の状態の適量のpSVT−DNA(1〜10μg)を含有する抗生物質不含量ノオプチ(Opti)-MEM−培地(1.5mL)より成るトランスフィクション混合物に交換する。【0041】培養は5%のCO2 を含有する湿った雰囲気で37℃で24時間培養する。培養を次いで培地を用いて二度洗浄しそして上記の様に更にセボサイト培地に保持する。【0042】トランスフェクション処理の後にpSVT処理したセボサイト類の劇的に減少した生存力が4週間の間に観察される。最適量のLIPOFECTIN剤およびpSVT−DNAを使用した場合に増殖性セボサイト類コロニーが生じる。これらの細胞(SZ95)は50時間より多い日数を超え今日まで培養することができた。このものは4.5年の観察期間に渡って依然として生きている。【0043】実施例2:不死化したヒトセボサイトのコロニー化:こうして不死化したヒトセボサイトSZ95を96ウエル−培養板で、最初のシリーズで1×102 個(細胞)の幾何学的に下向きの細胞数の希釈物シリーズを用いて接種する(Zouboulis 等、“Das maligne Melanom der Haut" 、C.E.Organos およびC.Garbe(著者)Zuckschwerdt 、ミュンフェン、ドイツ国:1990;158 〜168)。この細胞を5mg/mLのEGFおよび3ng/mLのKGFを補充した標準培養培地に保持する。細胞の成長は、光学顕微鏡検査によって観察することができる各ウエル毎の単一細胞から誘導される場合にはコロニーとして見る。それ故にコロニー化したSZ95細胞が得られる。【0044】実施例3:不死化したヒトセボサイトの特徴:SV−40の巨大T−抗原の検出:不死化したセボサイト中のSV−40の巨大−抗原の発現は、免疫細胞学的におよびマウス血清から得られるモノクロナールのアンチ−ヒトSV−40の巨大T−抗原体(Oncogene Science, Cambridge, マサチューセッツ州、米国) を用いてウエスタンブロット分析によって検出される。その際−抗原体は免疫細胞学的分析のために1:1000に希釈しそしてウエスタンブロット分析のためには1:100に希釈する。ヒトの正常な表皮ケラチノサイト類、皮膚のフィブロプラストおよびSV−40の巨大T−抗原体によって不死化したポジティブな対照内皮細胞HMEC−1を比較物として使用する。【0045】実施例1に従う不死化したセボサイトの、SV−40の巨大T−抗原に対するモノクロナール抗原での免疫細胞学的実験で、強い染色、大抵は核の染色、一部は細胞質染色が得られる(図2a参照)。正常のケラチノサイト類および腺維芽細胞は、SV−40の巨大T−蛋白質に対して殆ど核染色、一部は細胞質染色を示すポジティブ−コントロールとしてのSV−40の巨大T−蛋白質およびHMEC−1細胞を均一でネガティブなvis−a−visである(図2b参照)。【0046】実施例2cはトランスフェクションしてない正常のヒトセボサイト(1のレーン)、正常のヒトの表皮ケラチノサイト(2のレーン)、本発明に従う不死化したセボサイト類(34番目の二次培養:3のレーン)並びに本発明に従う種々のコロニー化したセボサイト類(4、5および6のレーン)におけるSV−40の巨大T−抗原発現のウエスタンブロット分析の結果を示している。94kDでのバンドは不死化したセボサイトの線並びにSV−40の巨大T−蛋白質の発現を確認させるそれのコロニーであることを確認させる(Harlow等、J.Virol. 1981; 39:861 〜869 参照) 。【0047】本発明に従って不死化したセボサイトの表現特性:実施例1に従う不死化したセボサイトSZ95の形態は上皮であり色々な大きさの細胞を有する多形細胞外観を示し、細胞質中に沢山の小滴が観察できる(図1bおよび1c参照)。【0048】個々の交替で本発明に従って不死化したセボサイト類の免疫細胞学的実験は、脂腺抗原に対してモノクロナール抗体によって着色していない正常の表皮ケラチノサイトと反対に脂腺抗原に対してポジティブな結果が得られる(図3参照)。図3は本発明に従う不死化したセボサイトの細胞遠心分離プレパラート(a)並びに正常のヒトの表皮ケラチノサイト(b)における免疫細胞学的結果を示している。このプレパラートは脂腺抗原に対してモノクロナール抗原で着色されている。本発明の不死化したセボサイト類はポジティブな細胞質着色を示すが、正常のヒト表皮ケラチノサイトは着色されない。【0049】更に、ケラチン7、13および19並びに不死化されたセボサイト中のヒトの多形上皮ムチン群の種々の蛋白質がウエスタンブロット分析によって検出され、他方、ケラチノサイトはケラチン13だけしか発現しない(図4参照)。本発明の不死化されたセボサイト類の全蛋白質を抽出した図4に従うウエスタンブロット分析(34番目の二次培養;1のレーン)においては、本発明に従う不死化されたコロニー化した種々のセボサイト(2、3および4のレーン)並びに正常のヒト表皮ケラチノサイト(5のレーン)を、ヒトの上皮シアロムシン(sialomucin)(ESM)(>400 kD) 、ヒトの脂肪乳グロブリン-1(HMFG-1)(400 kD)、ヒトの脂肪乳グロブリン-2(HMFG-2) (80〜400 kD) 、ムチンの種類の発癌関連抗原(MCA)(350 kD) 、上皮膜抗原(EMA)(250 〜400 kD) 、トムセン・フレンドリッヒ (Thomsen−Friedenreich) 抗原(TF抗原)(155 kD) 、ケラチン 7 (54 kD)、ケラチン 13 (54 kD) 、ケラチン 19 (40 kD) ならびにタイプ1(5α−レッド1)(21〜27 kD)の発現の同定のために適用する。本発明に従う不死化した細胞線およびそれのコロニーは、試験した全ての蛋白質を発現しており、一方、ケラチノサイト類はケラチン13およびタイプ1の 5α- レダクターゼだけを発現している。【0050】脂質合成:ナイルレッドでの着色および発光顕微鏡による評価は細胞の細胞質中に脂質が存在することを示している。中性脂質に向けられたナイルレッド発光染料で着色した本発明の不死化されたセボサイトSZ95(図5参照)において、セボサイト類の細胞質中に場合によっては分散されている個々のまたは群化した脂質小滴が得られる。本発明に従う不死化されたセボサイト類は、血清含有培地中での細胞当たり510の発光単位(平均値)から、ナイルレッドで着色され発光細胞実験により検出される血清不含培地における細胞当たり429の発光単位(平均値:即ち−16%)に減少する。【0051】実施例1の本発明に従う不死化されたセボサイトは、典型的な脂腺スクワレンおよびワックスエステル並びにトリグリセリド類、コレステロール、コレステロールエステル、ジグリセリド類、ラノステロール(lanosterol)および遊離脂肪酸を含有する中性脂質の色々な分画を合成する。これは25〜40の二次培養を通して観察される。これを図6に示す。図6では、放射線でマークした酢酸ナトリウムのパルス吸収後に、二種類の選択され、不死化されそしてコロニー化されたセボサイト培養物の場合に放射線像評価の上でHPTLC−分別した脂質が検出される(3および4のレーン並びに5および6のレーンのそれぞれを参照)。レーン3、4および5によって示される様に、この細胞はスクワレン(Sq)、ワックスエステル(WE)並びにトリグリセリド(Tg)、コレステロール(Cho)、コレステロールエステル(ChE)、ジグリセリド(Dg)、ラノステロール(Lan)並びに遊離の脂肪酸(FEA)を含有する中性脂質の多重フラクションを合成する。全ての中性脂質は細胞外上澄み中により少ない程度でしか含まれていない(6のレーン参照)。比較するために、細胞から抽出された1のレーンの脂質標準、2のレーンのヒト血清および4のレーンの遊離脂肪酸をプロットした。更に比較する様に、7および8のレーンはケラチノサイトの結果を示しており、他方、レーン7は細胞中にコレステロールおよびトリグリセリドが主として存在することを示しており、上澄みから(8のレーン)は主としてコレステリンが測定される。【0052】増殖の研究:本発明に従う不死化したセボサイトの対数的増殖パターンが、もとの培養細胞密度から独立する52.4±1.6の二倍の母集団を用いて標準培養条件のもとで検出される。この関係で図7は、セボサイト培地中で18日に渡り不滅化されコロニー化したセボサイト細胞ライン(SZ95)の増殖があることを示している。【0053】不死化したセボサイト類の増殖は血清不含培地の添加後に減少するが、5α−DHTの添加後は回復する。これは、細胞の増殖(2000/ウエルの接種)を血清不含有培地(対照)並びに10-6Mの5α−DHTを補充した血清不含培地で18日間観察する。8日目の後、5α−DHTは細胞の増殖が著しく増加し、確認された母集団の倍増時間は136時間(対照)および53.7時間(5α−DHT処理した細胞(*;P<0.05;**:P<0.01)であった。【0054】不死化した細胞のレチノイドの影響は増殖挙動の分化したレスポンスを示す。幾つかのコロニーは、増殖がレチノイドにより抑制されることを示しており(一般に13−シス−レチン酸>オール−トランス−レチン酸>>アシトレチン(Acitretin) の順序で特別に顕著である) 、別のコロニーは正常のヒト上皮ケラチノサイトの増殖レスポンスに相応して( 例えばオール- トランス- レチン酸および13−シス−レチン酸によって)増殖が刺激される。このことは図9に示されている(*;P<0.05;**:P<0.01;***:p<0.001)【0055】 SV−40の巨大−T−蛋白質をコードするDNA配列を含むDNAでトランスフェクションすることによって得られる、不死化された、そしてヒト皮脂腺細胞系SZ95(寄託番号DSMACC2383)に由来するセボサイトにおいて、このセボサイトが、正常の、非継代のかつ分化するセボサイトの特徴を有する、上記セボサイト。 皮脂腺細胞が顔面皮脂腺細胞である、請求項1記載のセボサイト。 細胞株の形で存在する、請求項1又は2のいずれかに記載のセボサイト。 SV−40の巨大−T−抗原を発現させる、請求項1〜3のいずれか1つに記載のセボサイト。 その増殖をアンドロゲン及び/又はレチノイドを用いて変えることができる、請求項1〜4のいずれか1つに記載のセボサイト。 クローン化される、請求項1〜5のいずれか1つに記載のセボサイト。 診断用調合物、治療調合物又は化粧料の調製への、請求項1〜6のいずれか1つに記載のセボサイトの使用。 ヒト又は動物の皮脂腺の生理学又は病態生理学の検査への、請求項1〜6のいずれか1つに記載のセボサイトの使用。 ニキビ及び/又は脂漏症及び/又はその他の疾患の発生の検査への、請求項1〜6のいずれか1つに記載のセボサイトの使用。 検査すべきその他の疾患が、皮脂腺機能が関与するか又は関与する可能性のある皮膚疾患である、請求項9記載のセボサイトの使用。 抗ニキビ−及び/又は抗脂漏症−化合物又は−剤の試験への、請求項1〜6のいずれか1つに記載のセボサイトの使用。 疾患に対する化合物又は剤の試験への、請求項1〜6のいずれか1つに記載のセボサイトの使用。 疾患が、皮脂腺作用が関与するか又は関与する可能性のある皮膚疾患である、請求項12記載のセボサイトの使用。 単一又は複合細胞培養システムの開発への、請求項1〜6のいずれか1つに記載のセボサイトの使用。 三次元細胞集合又は器官様構造の構成体の形成への又はこれ中への使用への、請求項1〜6のいずれか1つに記載のセボサイトの使用。