タイトル: | 特許公報(B2)_廃水からの弗素化アルカン酸の回収方法 |
出願番号: | 2000552073 |
年次: | 2005 |
IPC分類: | 7,C07C51/47,B01J41/04,C02F1/42,C07C53/21,C08F6/14 |
フェーリクス・ベルント ズルツバッハ・ラインハルト フューラー・シュテファン カイザー・トーマス クニープ・ハーゲン ブーデスハイム・アルミーン JP 3678651 特許公報(B2) 20050520 2000552073 19990527 廃水からの弗素化アルカン酸の回収方法 ダイネオン・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンディトゲゼルシャフト 500507227 アクシバ・ゲゼルシヤフト・ミト・ベシユレンクテル・ハフツング 500184235 江崎 光史 100069556 三原 恒男 100092244 奥村 義道 100093919 鍛冶澤 實 100111486 フェーリクス・ベルント ズルツバッハ・ラインハルト フューラー・シュテファン カイザー・トーマス クニープ・ハーゲン ブーデスハイム・アルミーン DE 198 24 614.5 19980602 20050803 7 C07C51/47 B01J41/04 C02F1/42 C07C53/21 C08F6/14 JP C07C51/47 B01J41/04 J C02F1/42 B C07C53/21 C08F6/14 7 C07C 51/47 B01J 41/04 C02F 1/42 C07C 53/21 B01D 15/00 特表2002−516885(JP,A) 特開昭61−215346(JP,A) 特開昭55−104651(JP,A) 特開平07−053465(JP,A) 米国特許第03882153(US,A) 9 EP1999003672 19990527 WO1999062858 19991209 2002516892 20020611 6 20020625 星野 紹英 【0001】【発明の利用分野】本発明は、廃水から弗素化アルカン酸を回収する方法に関する。【0002】【従来の技術】弗素化アルカン酸はテロゲンの性質を有していないので、水性分散物中で弗素化モノマーを重合するために乳化剤として使用される。中でも過弗素化−または部分弗素化アルカンカルボン酸または−スルホン酸の塩、好ましくはアルカリ金属塩またはアンモニウム塩が使用される。これらの化合物は電気的弗素化によってまたは弗素化モノマーのテロマー化によって製造されるが、これには多大な費用が掛かる。それ故に、これらの価値ある物質を廃水から回収する試みが尽くされて来た。【0003】米国特許出願(A)第5,442,097号明細書からは汚染された出発物質から弗素化カルボン酸を使用可能な状態で回収する方法が公知である。この場合にはこれらの物質から水性媒体中において十分に強い酸を用いて弗素化カルボン酸を必要な場合には遊離させ、これを適当なアルコールと反応させそして生じるエステルを留出させている。この場合には出発物質として重合液、特に、弗素化ポリマーが比較的に多量の乳化剤を含有するコロイド粒子の状態で製造されるいわゆる乳化重合からのそれを使用することができる。この方法は非常に良好であることが実証されているが、一定濃度の弗素化カルボン酸が出発物質中に必要とされる。米国特許第4,369,266号明細書からは、弗素化された安定化乳化剤を含有する弗素化ポリマー分散物の限外濾過からの浸透液を塩基性イオン交換樹脂に通し、そこに弗素化乳化剤を留めそして次いで溶離することによって回収することが公知である。【0004】ドイツ特許出願公開(A)第2,044,986号明細書からは、希薄溶液からペルフルオロカルボン酸を回収する方法が公知であり、この場合にはペルフルオロカルボン酸の希薄溶液を弱塩基性アニオン交換樹脂と吸着接触させ、それによって該溶液中に含まれるペルフルオロカルボン酸をアニオン交換樹脂に吸着させ、そのアニオン交換樹脂をアンモニア水溶液で溶離処理しそしてそれと共に、吸着されているペルフルオロカルボン酸を溶離剤中に移しそして最後に該酸を溶出液から得ている。しかしながら完全に溶離するためには比較的に多量の薄いアンモニア溶液が必要とされ、更にこの方法は相当な時間を消費する。この欠点は、米国特許第4,282,162号明細書によって公知の、塩基性アニオン交換体に吸着された弗素化乳化剤酸(Emulgatorsaeure)を溶離する方法で克服されている。この方法の場合には吸着された弗素化乳化剤酸をアニオン交換体から希薄鉱酸と有機溶剤との混合物で溶離している。この方法では酸を使用することによって交換樹脂の再生を同時に実現している。【0005】【発明の構成】本発明者は、処理される廃水が、しばしば従来には妨害することが知られていなかったかまたは少なくとも知られていなかった非常に微細な固体物質を含有している場合に、最後に挙げた方法が中でも実際の運転の際に問題を提起すことを見出した。この場合にはアニオン交換樹脂を使用した装置をこれらの固体物質が多かれ少なかれ速やかに閉塞させてしまい、このことが明らかに流れ抵抗を増加させかつ性能を低下させる。この場合には一般に提案されるフィルターまたは濾過器は有効でない。【0006】更に本発明者等は、これらの困難は、微細な固体物質が乳化剤酸によって比較的に安定なコロイド状に微細分散した状態に維持されることに起因していることを見出した。これらの酸をアニオン交換樹脂によって系から除いた場合に、この比較的に安定な微細分散状態が壊れ、固体が沈殿しそしてイオン交換樹脂を閉塞させる。更に、アニオン交換樹脂と接触させる前に廃水からこれらの固体物質を除いた場合に、米国特許第4,282,162号明細書から知られる方法の性能を著しく高めることができそして微細な固体を含有する廃水の処理にも適していることを見出した。【0007】本発明の別の長所は、既に存在する固体を除くだけでなく、固体に変わる他の妨害成分も除くことができることにある。かゝる妨害成分は、同様にイオン交換樹脂に結合しておりそして従ってイオン交換体の能力を拘束するだけでなく場合によっては乳化剤酸の溶離の際および/または後に特別な予防処理を必要とする他の酸あるいはそれの塩であり得る。【0008】この種の妨害性酸の例には、緩衝剤としてしばしば使用される蓚酸がある。カルシウムイオンを化学量論量でまたは過剰量であるいは不足量で例えば塩化物または水酸化物として使用することによって蓚酸は全部または一部分が難溶性蓚酸塩として沈殿し、有利には時として存在する他の妨害性微細物質があるればそれと一緒に沈殿する。【0009】従って、本発明は、廃水からの弗素化乳化剤酸の回収方法において、微細な固体および/または固体に変わり得る物質を最初に廃水から除去し、次いで弗素化乳化剤酸をアニオン交換樹脂に結合させそしてそのイオン交換樹脂から弗素化乳化剤酸を溶離させることを特徴とする、上記弗素化乳化剤酸の回収法に関する。別のカテゴリーの本発明および特に有利な実施態様を以下に詳細に説明する。【0010】廃水としては、界面活性のある弗素化アルカン酸を含有するプロセス廃水が適している。この方法は、弗素化モノマーを穏やかな攪拌下にかつ比較的に高濃度の弗素化乳化剤酸の使用下に、微細分散コロイド状態で存在する微細ポリマーに転化するいわゆる乳化重合法による弗素化モノマーの重合からの廃水に特に適しており、この方法では所望の固形分濃度が達成された後にこうして得られたラテックスを例えば激しい攪拌によって凝固させて、ポリマーを微細粉末として沈殿させている。【0011】本発明者は、公知の方法の場合には中でも比較的低分子量のポリマー成分が困難をもたらし、この重合法で広い分子量分布を得ようとする場合に、この低分子量ポリマーのマイナスの影響が特に著しくなることを発見した。かゝる“問題のある”廃水の場合にも本発明の方法はその能力を発揮する。【0012】微細な固体の除去はその場その場の状況に左右される:酸性の廃水の場合には、水酸化カルシウムの様な適当な塩基で(場合によっては部分的に)中和すれば十分であり、この場合コロイド(および場合によって存在する蓚酸塩イオンの様な沈殿性物質)は沈殿するが、乳化剤酸またはその塩は溶液状態のままである。【0013】妨害になるコロイドを沈殿させる他の可能な方法は、適当な金属塩、例えばアルミニウム塩、例えば塩化アルミニウムおよび硫酸アルミニウム、カルシウム塩、例えば塩化カルシウム、マグネシウム塩、例えば塩化マグネシウムおよび硫酸マグネシウム、塩化鉄(II)−または−鉄(III )および硫酸鉄を添加することを本質とする。酸性廃水の場合には適当な金属、例えばアルミニウム、鉄またはマグネシウムを添加することも可能である。凝集を改善するためには少量の凝集剤を添加してもよい。【0014】妨害になるコロイドを沈殿させる更に別の可能な方法は、電気的凝固を本質とするものである。この場合にはコロイド粒子を凝固させるために廃水に電場が印加される。粒子は不活性電極(例えばチタン)の場合にはその表面に付着する。可溶性電極(例えば鉄および/またはアルミニウム)の場合には、大きな電荷−および直径比を有する金属カチオンが溶液中に導入され、そしてこれが金属塩を添加した場合と同様に凝固を実現させる。電気的凝固の場合には、有利なことにアニオン、例えば塩化物または硫酸塩を追加的に導入することが回避される。凝集を改善するために更に少量の凝集助剤を添加してもよい。【0015】微細な固体物質を除く適する機械的方法は、(例えば膜類、遠心分離を用いる)交差流濾過、ディープベッド濾過(例えばサンド・ベット濾過)、または濾過助剤(例えばセルロース、パーライト、珪藻土)を添加するプレコート濾過がある。【0016】沈殿する固体は自体公知の方法、例えば場合によっては濾過助剤を用いる濾過、デカンテーション、フローテーションまたは沈降法によって分離することができる。【0017】イオン交換樹脂への乳化剤酸の吸着は自体公知の方法で行なうことができる。特に強塩基性アニオン交換樹脂、例えば登録商標名の(R) AMBERLITE IRA−402、(R) AMBERJET 4200(両方とも Rohm & Haas社製) 、(R) PUROLITE A845(Purolite GmbH 社製) または(R) LEWATIT MP−500 (Bayer AG製) で市販されているものが適している。【0018】吸着は自体公知の方法で行なうことができ、この場合には例えばイオン交換樹脂が通例の装置、例えば廃水が貫流する管または塔に配置されている。【0019】結合した乳化剤酸の溶離も同様に自体公知の方法で行なう。この場合には米国特許第4,282,162号明細書に記載の方法が特に有利である。【0020】重合で使用するのに必要な高純度の乳化剤酸を得るためには例えば上述の米国特許第5,442,097号明細書に従う方法または米国特許第5,312,935号明細書に記載の方法が適している。この方法では溶出液は最初に十分に水不含状態とされ、次いで酸化剤で処理される。【0021】乳化剤酸を吸着した後に残る廃水はその他の物質の含有量次第で公知の方法で処理するかまたは元の工程に戻す。所望の場合には弗素化乳化剤酸の残留成分を通例の吸着剤、例えば活性炭で除いてもよい。【0022】本発明を以下の例で更に詳細に説明する。【0023】【実施例】例1:出発物質として、乳化剤として9:1のモル比でn−およびイソ−ペルフルオロオクタン酸(PFOS)のアンモニウム塩を使用しているテトラフルオロエチレン(TFE)とペルフルオロ(n−プロピルビニルエーテル)(PPVE)との共重合からの廃水を使用する。廃水中のPFOS濃度は1200mg/Lであり、蓚酸濃度は1600mg/Lである。【0024】攪拌機付き容器中で14Lの廃水を10重量%濃度塩化アルミニウム溶液と混合しそして激しく攪拌する。生じる沈殿物を濾別する。【0025】約50mLの市販の強塩基性イオン交換樹脂((R) AMBERLITE IRA−402、製造元: Rohm & Haas社;スチレン−ジビニルベンゼン−タイプ、アニオン:塩化物、ゲル、総合能力 1.3eq/L、嵩密度 710g/L)をガラス製フリットを備えた円筒状ガラス製カラム(長さ25cm、直径16mm)に導入し、水で洗浄する。イオン交換樹脂を負荷するために、前処理した液をポンプによって1m/hの線速度でカラムを上昇させ、カラムから流出する水を集めそしてPFOS濃度を物質収支について測定する。負荷後にカラムを100mLの水で洗浄する。【0026】イオン交換体を再生するために89重量%のメタノール、7重量%の濃硫酸および4重量%の水よりなる150mLの混合物を0.5m/時の線速度でカラムに通しそして溶出液を集める。次いでカラムを100mLの水で洗浄する。【0027】溶出液は廃水中に含まれる乳化剤酸の85%および3900mg/Lの濃度の蓚酸を含有している。【0028】例2:例1と同じ廃水14Lを攪拌機付容器中で1.5g/Lの10重量%濃度塩化アルミニウム溶液と混合しそして激しく攪拌する。次いで10重量%濃度石灰乳溶液で7.5のpH値に調整する。生じる沈殿物を濾別し、溶液のpH値を希硫酸でpH4に調整する。【0029】イオン交換樹脂のセットアップおよび負荷および再生の操作は例1と同様に行なう。【0030】この場合には、溶出液は廃水中に含まれる乳化剤酸の95%および1mg/Lの濃度の蓚酸を含有している。【0031】例3:弗素含有ポリマーのポリマー加工段階からの16Lの廃水を攪拌機付容器中に最初に導入する。重合の際に乳化剤としてPFOSのアンモニウム塩を使用する。PFOS濃度は1200mg/Lである。この溶液に2gの10重量%濃度塩化アルミニウム溶液を添加しそして激しく攪拌する。次いで10重量%濃度石灰乳溶液で7.5のpH値に調整し、3mg/Lの凝集助剤((R) PRAESTOL A3015L、製造元: Stockhausen GmbH & Co. KG;ポリアクリルアミド) を添加する。生じる沈殿物を濾別し、pH値を硫酸でpH4に調整する。【0032】イオン交換樹脂の負荷および再生は例1と同様に行なう。【0033】この場合には、溶出液は廃水中に含まれる乳化剤酸の91%を含有している。【0034】比較例:出発物質として、乳化剤としてPFOSのアンモニウム塩を使用するTFEとPPVEとの共重合からの母液を使用する。PFOS濃度は1200mg/Lである。【0035】例1に記載した約50mLの強塩基性イオン交換樹脂をガラス製フリットを備えた円筒状ガラス製カラム(長さ25cm、直径16mm)に導入し、水で洗浄する。イオン交換樹脂を負荷するために、未処理の廃水をポンプによって触媒床を通って上の方にポンプ搬送する。イオン交換床上の圧力損失はマノメータで測定する。負荷実験は400mLの廃水を通した後に沈殿するポリマーのためにイオン交換樹脂が閉塞されてしまい、中止しなければならなかった。 廃水からの弗素化乳化剤酸の回収方法において、弗素化モノマーの重合の廃水から微細な固体および/または固体に変わり得る物質を最初に廃水から除去し、次いで弗素化乳化剤酸をアニオン交換樹脂に結合させそしてそのイオン交換樹脂から弗素化乳化剤酸を溶離させることを特徴とする、上記弗素化乳化剤酸の回収法。 微細な固体を沈殿させる請求項1に記載の方法。 微細な固体を機械的に除く請求項1に記載の方法。 固体に変わり得る物質を沈殿させる請求項1に記載の方法。 沈殿物質を沈降によって分離除去する請求項1、2および4のいずれか一つに記載の方法。 沈殿物質をフローテーションによって分離する請求項1、2および4のいずれか一つに記載の方法。 非常に低い蓚酸含有量の純粋な弗素化乳化剤酸を回収するために、廃水をアルミニウム塩溶液と激しい混合下で処理し、次いで石灰乳溶液で6〜7.5のpH値に調整し、生じる沈殿物を濾去しそして硫酸でpH値を7以下に調整した溶液をイオン交換体に通すことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一つに記載の方法。 使用するアニオン交換樹脂が強塩基性である請求項1〜7のいずれか一つに記載の方法。 薄い鉱酸と有機溶剤との混合物を用いてアニオン交換体から弗素化乳化剤酸を溶離する請求項1〜8のいずれか一つに記載の方法。