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タイトル:特許公報(B2)_重合可能な親水性紫外線吸収モノマー
出願番号:2000548311
年次:2009
IPC分類:C08F 20/36,A61L 27/00,C07D 249/20,C08F 226/00,G02C 7/04


特許情報キャッシュ

リャオ,シウガオ リー,ギン−シー ツォウ,スティーブン キュー. JP 4347523 特許公報(B2) 20090724 2000548311 19990505 重合可能な親水性紫外線吸収モノマー ファーマシア アンド ウプヨーン グロニンゲン ベスローテン フェンノートシャップ 500522334 青木 篤 100099759 石田 敬 100077517 古賀 哲次 100087413 永坂 友康 100111903 小林 良博 100102990 出野 知 100128495 リャオ,シウガオ リー,ギン−シー ツォウ,スティーブン キュー. US 09/075,753 19980511 20091021 C08F 20/36 20060101AFI20091001BHJP A61L 27/00 20060101ALI20091001BHJP C07D 249/20 20060101ALI20091001BHJP C08F 226/00 20060101ALI20091001BHJP G02C 7/04 20060101ALI20091001BHJP JPC08F20/36A61L27/00 DC07D249/20 502C08F226/00G02C7/04 C08F 20/00-40 特開昭63−185969(JP,A) 特開平09−235309(JP,A) 特開平09−194536(JP,A) 特開平09−118720(JP,A) 特開平08−151415(JP,A) 特開平06−082962(JP,A) 特開昭60−038411(JP,A) 特開平11−286569(JP,A) 特開平11−049824(JP,A) 23 US1999009961 19990505 WO1999058507 19991118 2002514662 20020521 14 20040716 守安 智 【0001】発明の背景発明の分野本発明は、親水性紫外線吸収モノマーに関する。詳細には、本発明は、コモノマーとして他の重合可能なモノマー及びコポリマーと重合可能な紫外線吸収モノマーに関する。一態様において、本発明は、コモノマーとして他の好適な親水性モノマーと、眼内レンズ及びコンタクトレンズの加工用に特に有効な、光学的に透明な、屈折率の高いヒドロゲルに重合可能な紫外線吸収モノマーに関する。【0002】関連分野の説明眼内レンズやコンタクトレンズの形態の光学デバイスはこの数十年市販入手可能であった。コンタクトレンズについては、その主要な用途は装着者の視力を向上させるためであった。これは、角膜の表面に少量のジオブトリーパワーを添加もしくは除去することによって達成される。さらに、コンタクトエンズは乱視を矯正する。コンタクトレンズは水性環境において体温以下の温度で安定であり、毒性がなく、かつ浸出性の化合物を含まないべきである。【0003】眼内レンズについては、その主要な用途は、けが及び/又は白内障のために失われたヒトもしくは他の哺乳類の水晶体の代替物である。天然水晶体は、ほぼ20ジオプトリーの高い光学パワーを有する、幅6〜13mmの両凸レンズである。従って、コンタクトレンズとは異なり、ダメージを受けた水晶体の交換は実質的により大きな、厚い、眼内移植レンズを用いることが必要である。コンタクトレンズと同様に、眼内レンズは水性環境において体温で安定であり、毒性がなく、かつ浸出性化合物を含まないべきである。【0004】従来、眼内レンズ及びコンタクトレンズ製造用の材料はアクリレート及びメタクリレート、特にポリメチルメタクリレートであった。これらの材料は、所望の光学補正用に容易に成形できる硬いガラス状のレンズを形成する。これらの化合物はコンタクトレンズとして成功しており、「ハード」コンタクトレンズとして一般に知られている。【0005】これらの硬い、ガラス状のポリマーは眼内レンズとして機能するためには6〜13mmの直径を有することが必要である。このレンズは硬いため、対応する等しい幅に目を切開することが必要である。しかし、ダメージを受けたレンズを取り除くための従来の手術法では大きく切開しているが、このような大きな切開は重大な欠点であることは認識されていなかった。そのような大きな切開は多くの合併症を引き起こし、治癒時間を長引かせる。2〜3mm以下に切開を小さくする、天然レンズを取り除くための手術方法が開発された。従って、より小さな切口を通して挿入することのできる眼内レンズとして用いるための好適な材料を見出す研究が行われている。【0006】ポリメチルメタクリレートのようなポリアクリレートを用いることの欠点を軽減するため、ロールにしたり、折り畳んだり、又は変形することができかつ弾性のある様々なヒドロゲル及びエラストマーシリコーンが開発された。折り畳んだり変形した場合、2〜3mmの切り口を通して目にレンズを挿入する。この材料の弾性はこのレンズに、挿入後に当初の両凸光学形状を復元する。このソフトレンズに用いられる材料は、十分な屈折率を有する光学的に透明なレンズを確実に与え、小さな切開サイズを達成するに必要な折り畳み、変形もしくはロール工程に耐えるに十分な強度もしくは耐久性を有する。この材料の折り畳み、変形もしくはロール能は目に対する衝撃を低下させ、手術後の治癒を向上させ、合併症を抑制する点において、患者に対して大きな改良である。【0007】柔軟性及び弾性のみが求められている改良ではない。他の求められている改良は紫外線保護である。紫外線暴露についての研究が進歩したため、紫外線暴露の多くの有害な作用についての我々の理解もふかまった。紫外線の有害な作用を抑制するもしくは防ぐための製品が続々と開発されている。コンタクトレンズ及び眼内レンズの紫外線吸収は日焼け止めにみられる皮膚用の紫外線吸収と同程度に重要である。天然レンズが与える紫外線保護はそれが取り除かれると失われ、紫外線への暴露による網膜への危険性が増大する。コンタクトレンズ又は眼内レンズに紫外線吸収剤を与えることにより、目に対する紫外線保護が高められる。【0008】コンタクトレンズ及び眼内レンズに用いるためのヒドロゲルに紫外線吸収剤を用いると、他の問題が生ずる。コンタクトレンズ又は眼内レンズに適した光学ヒドロゲルは透明性、優れた光学パワー、安定性及び弾性が要求される。コンタクトレンズ及び眼内レンズ、特に眼内レンズは長期にわたって使用されるため、紫外線吸収化合物はコポリマー内に留められるべきである。紫外線吸収剤が浸出すると、周囲の組織が化学物質にさらされる危険性がある。また、時間の経過によって紫外線吸収能が低下した場合に紫外線暴露の危険性が増加する。【0009】ヒドロゲルに用いる紫外線吸収剤はヒドロゲル中でコモノマーとして重合可能であるべきである。ベンゾフェノンをベースとする紫外線吸収剤は重合可能であるが、得られるポリマーは熱的に安定ではなく、特に水和した場合に安定ではない。紫外線吸収部位が開裂し、ポリマーが浸出する。【0010】さらに、この紫外線吸収剤は疎水性であり、親水性ヒドロゲルコモノマーおよびコポリマーにほとんど溶解しない。これらの化合物は親水性コモノマー及びコポリマーといくらか可溶であるが、ヒドロゲルにより水和した場合に、微細な相の分離状態から凝集する傾向にある。この凝集は材料を曇らせ、レンズとして用いることが好ましくないものになる。【0011】他の紫外線吸収剤の種類は、フェニルベンゾトリアゾール類、例えば2-(2'-ヒドロキシ-5'-メタクリルオキシエチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール及びその誘導体である。この誘導体は重合可能であり、加水分解に対して安定であり、フェノールをベースとする紫外線吸収剤と同様に、この化合物は疎水性である。この疎水性は微細な相に分離し、曇る傾向にある。【0012】紫外線吸収剤の疎水性はまた、ヒドロゲルに吸収される水の量を低下させる。この水吸収の低下はヒドロゲル材料を硬くし、弾性を低くする。これらの欠点を補うため、紫外線吸収剤の量はヒドロゲルを弾性にし、光学的に透明にするに最小限に保たれる。従って、現在、光学的に透明な材料における疎水性紫外線吸収剤の使用は、実質的に紫外線吸収性を有するヒドロゲルを与えていない。今日の環境規制において、実質的な紫外線吸収とは、372nm以下の波長における紫外線吸収率が90%以上をいう。【0013】従って、本発明の目的は、親水性の高い、安定な、重合可能な紫外線吸収モノマーを提供することである。本発明の他の目的は、実質的に紫外線を吸収しつつ、光学的透明性を有する、安定な、親水性の高い紫外線吸収ヒドロゲルを提供することである。本発明の他の目的及び利点は以下の記載より明らかになるであろう。【0014】発明の概要本発明は、他のコモノマー及びコポリマーとの共重合に適した新規親水性、重合可能な紫外線吸収組成物を提供することにより上記目的を達成する。本発明のコポリマーは架橋し水和すると、光学透明性が高く、水含量が高く、屈折率が高く、安定で弾性が高く、かつ400nm以下の波長の入射紫外線の少なくとも90%を吸収するヒドロゲルを提供する。ここで、光学的に透明とは可視スペクトルの波長の光のうち90%以上を透過することを意味する。このヒドロゲルは毒性がなく、生体内への移植に適している。特に、このヒドロゲルは紫外線吸収性コンタクトレンズ及び眼内レンズとしての使用に適している。【0015】新規親水性紫外線吸収組成物は2-(2'-ヒドロキシ-5'-アクリルオキシアルコキシアルキルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾールを含む。この新規親水性紫外線吸収組成物は2-(2'-ヒドロキシ-5'-メタクリルオキシエチルオキシメチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾールが例示される。エチレンオキシド基は線状の繰り返し単位であってもよく、エチレンオキシド基の数は10以下である。【0016】ベンゾトリアゾールベース紫外線吸収剤は、他の紫外線吸収組成物と同様に、通常疎水性であり、水に不溶である。本発明の新規組成物の親水性はこのエチレノキシド繰り返し単位に起因する。繰り返し疎水性メチレン基とともに、エチレンオキシドの繰り返し単位の数を調節することにより、この新規紫外線吸収剤の親水性が様々な用途に対して調整される。【0017】一例としての化合物、2-(2'-ヒドロキシ-5'-メタクリルオキシアルコキシアルキルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾールは、対応する2-(2'-ヒドロキシ-5'-ヒドロキシアルコキシアルキルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾールをメタクリロイルと、0〜10℃においてエチルエーテル及びジクロロメタンの共溶媒中でピリジンの存在下で反応させて合成される。【0018】本発明のヒドロゲルに用いるための他のコモノマーの選択は、アクリル酸の誘導体、例えばアクリレート、メタクリレート、アクリルアミドもしくはメタクリルアミド、ビニル置換アミド、又は不飽和側鎖、例えばビニルもしくはアクリロイル側鎖で置換した窒素含有複素環化合物のいずれかであってよい。【0019】本発明のヒドロゲル材料は少なくとも1種の親水性もしくは水溶性モノマーより形成されたコポリマーを含む。他の追加コモノマーは疎水性であっても親水性であってもよい。具体例は、様々なアクリレート及びアクリルアミド化合物、例えば2-ヒドロキシエチルメタクリレート、N,N-ジメチルアクリルアミド、及びN-ベンジル-N-メチルアクリルアミドと架橋性化合物、例えばエチレングリコールジメタクリレートとのコポリマーである。これらの化合物は十分に架橋され、約15%〜約65%の平衡水分含量及び1.41〜1.52の屈折率nD20を有するまで水和される。このコモノマーは約1%〜約5%の本発明の親水性重合可能な紫外線吸収コモノマーと重合し、安定な毒性のない、400nm以下の波長の光を少なくとも90%吸収する紫外線吸収を示すヒドロゲルを与える。この光学的に透明な紫外線吸収ヒドロゲルは眼内レンズ、コンタクトレンズ及び他の関連用途において有用である。【0020】具体的態様の詳細な説明本発明は、ヒドロゲルの形成に適した親水性紫外線吸収ポリマー材料を提供する、新規な親水性の紫外線吸収性重合可能な組成物を提供する。この紫外線吸収組成物はヒドロゲル内において加水分解安定であり、浸出しない。本発明のヒドロゲルは光学的に透明な紫外線吸収性の架橋したポリマー及びコポリマーである。ヒドロゲル及びその形成方法は文献に詳細に記載されている。【0021】紫外線吸収ヒドロゲル形成ポリマーの具体例は、比較的高い水和した平衡水分含量まで水和する架橋したポリマー及びコポリマーを含む。しかし、上記のように、水分含量の高い紫外線吸収ヒドロゲルは、疎水性紫外線吸収剤の微細相分離が困難であり、ヒドロゲルの光学的透明性を大きく低下させる。疎水性紫外線吸収剤の含量を低下させると、微細相分離の問題は解消するが、紫外線吸収性が低下してしまう。本発明のヒドロゲルポリマー及びコポリマーの水平衡含量は15%以上である。本発明のヒドロゲルポリマーの屈折率は少なくとも1.41である。本発明のヒドロゲルポリマーは、光学的透明性を失うことなく400nm以下の入射紫外線の少なくとも90%を吸収するに十分な含有量の親水性紫外線吸収剤を有する。【0022】 本発明は下式【化5】で表される2-(2'-ヒドロキシ-5'-アクリルオキシ(アルキルオキシ)nアルキルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾールを有する新規の親水性重合可能な紫外線吸収組成物を提供する。式中のアルキル部分はメチレンであるか又はメチレンの繰り返し単位であり、疎水性である。式中のnで表されるこの化合物のアルキルオキシ部分はアルキレンオキシドであるか又はアルキレンオキシド、例えばエチレンオキシドもしくはプロピレンオキシドの繰り返し単位であり、親水性である。親水性アルキレンオキシド繰り返し単位と共に疎水性メチレン繰り返し単位の存在が、この新規の紫外線吸収剤の独特な特性の一部に寄与している。【0023】この種の紫外線吸収剤の親水性度は、繰り返しメチレン及びアルキレンオキシド繰り返し単位の数を調整することによって調節される。この調整は様々な用途において使用するための望ましい範囲の親水性を可能にする。本発明の具体的化合物は、2-(2'-ヒドロキシ-5'-メタクリルオキシエトキシメチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール及び2-(2'-ヒドロキシ-5'-メタクリルオキシエトキシエチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾールを含む。【0024】この2-(2'-ヒドロキシ-5'-アクリルオキシ(アルコキシ)nアルキルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾールは、0〜10℃においてエチルエーテル及びジクロロメタンの共溶媒中でピリジンの存在下で、メタクリロイルクロリドとの反応により2-(2'-ヒドロキシ-5'-ヒドロキシ(アルコキシ)nアルキルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾールより合成される。2-(2'-ヒドロキシ-5'-アクリルオキシ(アルコキシ)nアルキルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾールは、コモノマーとして様々なコモノマーと重合し、ポリマー及びコポリマーを形成することができる。【0025】架橋及び水和により、この親水性コモノマーは、高い水分含量、高い屈折率nD20/nD37、及び優れた強度、弾性及び安定性を有する。ヒドロゲル中で約1wt%〜約5wt%の量で用いた場合、2-(2'-ヒドロキシ-5'-アクリルオキシ(アルコキシ)nアルキルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾールは400nm以下の光の少なくとも90%を吸収する紫外線吸収性を有するヒドロゲルを与える。【0026】ヒドロゲルの形成に現在用いられているモノマー及びポリマーの多くは本発明の紫外線吸収ヒドロゲルの形成に適している。通常、ヒドロゲルを形成するポリマーは水溶性もしくは親水性モノマーの架橋したポリマーであるか又は水溶性モノマーと水不溶性モノマーのコポリマーである。本発明において用いることのできるコモノマーを以下に示す。【0027】アルキルアクリレート(アルキル=1〜6炭素)、フェニルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、グリセロールモノアクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート、2-N-モルホリノエチルアクリレート、2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート、2-(N,N-ジメチルアミノ)エチルアクリレート、3-(N,N-ジメチルアミノ)プロピルアクリレート、アルキルメタクリレート(アルキル=1〜6炭素)、フルフリルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、グリセロールモノメタクリレート、2-フェノキシエチルメタクリレート、2-N-モルホリノエチルメタクリレート、2-(N,N-ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、3-(N,N-ジメチルアミノ)プロピルメタクリレート、2-ピロリジノニルエチルメタクリレート、N-アルキルアクリルアミド(アルキル=1〜8炭素)、N-(n-オクタデシルアクリルアミド)、3-(N,N-ジメチルアミノ)プロピルアクリルアミド、アリルアクリルアミド、ヒドロキシメチルジアセトンアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、N-エチル-N-メチルアクリルアミド、N-メチルメタクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド、N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド、N-4-(ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、N-(3-ピコリル)メタクリルアミド、3-ビニルピリジン、4-ビニルピリジン、N-ビニルピロリジノン、ビニルピラジン、2-メチル-5-ビニルピラジン、4-ビニルピリミジン、ビニルピリダジン、N-ビニルイミダゾール、N-ビニルカルバゾール、N-ビニルスクシンイミド、4-メチル-5-ビニルチアゾール、N-アクリロイルモルホリン、N-メチル-N-ビニルアセトアミド。【0028】本発明のヒドロゲルの製造に用いることのできる架橋剤の例は、1,3-プロパンジオールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサメチレンジアクリレート、1,4-フェニレンジアクリレート、グリセロールトリス(アクリルオキシプロピル)エーテル、エチレングリコールジメタクリレート、1,3-プロパンジオールジメタクリレート、1,6-ヘキサメチレンジメタクリレート、1,10-デカンジオールジメタクリレート、1,12-ドデカンジオールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、グリセロールトリメタクリレート、N,N'-オクタメチレンビスアクリルアミド、N,N'-ドデカノメチレンビスアクリルアミド、N,N'-(1,2-ジヒドロキシエチレン)ビスアクリルアミド、アリルメタクリルアミド、ジビニルピリジン、4,6-ジビニルピリミジン、2,5-ジビニルピラジン、1,4-ジビニルイミダゾール、1,5-ジビニルイミダゾール、及びジビニルベンゼンを含む。この架橋剤は約0.01wt%〜1.0wt%の量で用いてよい。【0029】ヒドロゲル材料の製造に用いられる様々なコモノマー及び他の反応体の相対量は、所望の強度、最終水分含量、屈折率、及び最終用途にヒドロゲルを適用するために必要な弾性によってきまる。本発明の2-(2'-ヒドロキシ-5'-アクリルオキシ(アルコキシ)nアルキルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾールを用いて製造されるヒドロゲルは、高い紫外線吸収性、強度、親水性及び長期安定性を必要とするヒドロゲルにおける紫外線吸収用の様々な用途に用いるに望ましい特性を有する。【0030】本発明によれば、紫外線吸収ヒドロゲルコポリマーの例は、N,N-ジメチルアクリルアミドと重合した2-ヒドロキシエチルメタクリレート及びエチレングリコールジメタクリレートにより架橋した2-(2'-ヒドロキシ-5'-メタクリルオキシエトキシメチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾールである。ヒドロゲルコポリマーの他の例は、N,N-ジメチルアクリルアミドと重合した2-ヒドロキシエチルメタクリレート及びエチレングリコールジメタクリレートにより架橋した2-(2'-ヒドロキシ-5'-メタクリルオキシエトキシエチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾールである。以下の実施例は本発明を説明するものであり、制限するものではない。【0031】実施例12-(2'-ヒドロキシ-5'-メタクリルオキシエトキシメチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾールの合成180mlのメチレンクロリドを、30gの2-(2'-ヒドロキシ-5'-ヒドロキシエトキシメチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾールを含む三口フラスコに入れ、出発材料が溶解するまで攪拌した。この反応系に13.5gのピリジン及び120mlの無水エチルエーテルを順次加えた。60mlの無水エチルエーテル中の15.3gのメタクリロイルクロリドを添加漏斗に入れた。氷水上で反応容器を0〜10℃に冷却した。添加漏斗からの溶液を攪拌しながら反応混合物に45分かけて落下させた。この温度において2〜3時間攪拌を続けた。【0032】この反応混合物を室温まで温めた後、12〜24時間攪拌を続けた。濾過によって固体塩を除去し、液体溶液を分液漏斗に移した。この溶液150mlの2NのHCl溶液で洗浄した。明確に分離しない場合には150mlの水を加えた。水層を150mlのメチレンクロリドで抽出し、有機層を合わせた。この有機層を150mlの飽和炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、次いで硫酸マグネシウムで乾燥させた。次いで溶媒を除去した。【0033】残留物を150mlのエタノールに溶解させ、冷凍庫中で−20〜−45℃に12〜24時間冷却し、沈殿を形成させた。白色の粉末状沈殿を低温において濾過し、真空中、室温において乾燥させた。この乾燥させた粉末を150mlのエタノールとメタノールの混合物(3:2)に溶解させ、濾過して残留不純物を除去し、約20gの2-(2'-ヒドロキシ-5'-メタクリルオキシエトキシメチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾールを得た。【0034】実施例22-(2'-ヒドロキシ-5'-メタクリルオキシエトキシエチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾールの合成出発物質として2-(2'-ヒドロキシ-5'-ヒドロキシエトキシエチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾールを用いて以下のようにして実施例1の方法を繰り返した。180mlのメチレンクロリドを、30gの2-(2'-ヒドロキシ-5'-ヒドロキシエトキシエチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾールを含む三口フラスコに入れ、出発材料が溶解するまで攪拌した。この反応系に13.5gのピリジン及び120mlの無水エチルエーテルを順次加えた。60mlの無水エチルエーテル中の15.3gのメタクリロイルクロリドを添加漏斗に入れた。氷水上で反応容器を0〜10℃に冷却した。添加漏斗からの溶液を攪拌しながら反応混合物に45分かけて落下させた。この温度において2〜3時間攪拌を続けた。【0035】この反応混合物を室温まで温めた後、12〜24時間攪拌を続けた。濾過によって固体塩を除去し、液体溶液を分液漏斗に移した。この溶液150mlの2NのHCl溶液で洗浄した。明確に分離しない場合には150mlの水を加えた。水層を150mlのメチレンクロリドで抽出し、有機層を合わせた。この有機層を150mlの飽和炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、次いで硫酸マグネシウムで乾燥させた。次いで溶媒を除去した。【0036】残留物を150mlのエタノールに溶解させ、冷凍庫中で−20〜−45℃に12〜24時間冷却し、沈殿を形成させた。白色の粉末状沈殿を低温において濾過し、真空中、室温において乾燥させた。この乾燥させた粉末を150mlのエタノールとメタノールの混合物(3:2)に溶解させ、濾過して残留不純物を除去し、約20gの2-(2'-ヒドロキシ-5'-メタクリルオキシエトキシエチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾールを得た。以下の実施例は、2-(2'-ヒドロキシ-5'-アクリルオキシ(アルコキシ)nアルキルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾールと様々な他のモノマーとの重合を説明する。【0037】実施例3合計4種のコポリマーを製造し、ヒドロゲル形成材料としての使用について評価した。用いた様々な成分の略語を表1に示す。重合混合物の各成分及び用いた架橋剤の比率を表2に示す。コポリマーの特性を表3に示す。ヒドロゲルにより吸収される水の量は架橋度によって異なる。【0038】重合は、まず適当な量のモノマーと架橋剤を重合開始剤としての2,2'-アゾビスイソブチロニトリルと混合することにより行った。次いで各混合物を、トリメチルクロロシラン離型剤で予備処理しておいたアンプルに移した。次いで各アンプルを真空システムに接続し、液体窒素で冷却した。混合物が凍結した後、この混合物を真空下においた。一体の圧力に達した後、真空を止め、水槽内で温めることによって混合物を解かした。この凍結−解凍を2〜4回繰り返して混合物を十分に脱気した。最後に、各混合物を真空中もしくは不活性ガス、例えば窒素もしくはアルゴン中でアンプル中にシールし、60℃の温度において24時間、次いで135℃で10時間重合させた。【0039】重合した材料を冷却した後、各アンプルを開き、得られたポリマーロッドをブランクに切断した。各ブランクをその脱水状態で眼内レンズに加工した。この加工した脱水したレンズの直径は約6〜13mmであり、レンズの中心の厚さは約0.5〜2.0mmであった。【0040】各レンズを生理緩衝水溶液に8〜48時間浸し、その平衡水分含量まで水和させた。このレンズは当初の形状を保持しつつわずかに膨張することが観察された。【0041】【表1】【0042】【表2】【0043】こうして製造された各レンズについて、屈折率、ショアーA硬度、紫外線吸収、及び毒性について、当該分野において公知のANSI法を用いて測定した。水分含量は、水和したレンズの重量と乾燥したヒドロゲルレンズの重量の差を測定し、次いで水和した重量で割ることにより各レンズの水分含量パーセントをもとめた。レンズ光学透明性は、水和したレンズを水溶液に浸し、次いでこのレンズを通過する632nmのレーザーの入射光の透過率を測定することによりもとめた。この結果を表3に示す。【0044】【表3】【0045】本発明の親水性紫外線吸収モノマーは紫外線吸収ポリマー、コポリマーおよびヒドロゲルを与える。この生成物は様々な状況における様々な用途において有用である。この親水性紫外線吸収モノマーは、光学的透明性を失うことなく少なくとも90%の紫外線吸収性を与えつつ、親水性部分と組成物の疎水性部分との均衡を保つ。水分含量の高いヒドロゲルを用いる用途には、アルキレンオキシド基の数が多く、メチレン基が少ないものを本発明の紫外線吸収剤に用いる。所望の光学透明度は、紫外線吸収剤が微細相分離を起こさないような高い水分含量及び/又は高濃度の紫外線吸収剤において紫外線吸収剤が水和しているような親水性部分の存在のバランスをとることによって達成される。【0046】このように本発明の具体的態様を説明したが、これは単なる例示であり、本発明の範囲内で変更を行ってよい。【図面の簡単な説明】【図1】本発明の2-(2'-ヒドロキシ-5'-アクリルオキシ(アルコキシ)nアルキルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾールの一般式を示す。 下式を有するモノマー。(上式中、Xは水素又はハロゲンであり、 nは1〜10の数であり、 R1は炭素数1〜6の非分枝アルキル基であり、 R2は1〜5のアルキル基であり、 R3は水素又はメチル基である) 下式を有するモノマーを重合して得られるホモポリマー。(上式中、Xは水素又はハロゲンであり、 nは1〜10の数であり、 R1は炭素数1〜6の非分枝アルキル基であり、 R2は1〜10のアルキル基であり、 R3は水素又はメチル基である) 下式(上式中、Xは水素又はハロゲンであり、 nは1〜10の数であり、 R1は炭素数1〜6の非分枝アルキル基であり、 R2は1〜5のアルキル基であり、 R3は水素又はメチル基である)を有するモノマーと少なくとも1種の重合可能なコモノマーを含むモノマー混合物を重合して得られる架橋したコポリマーを含むヒドロゲル。 前記少なくとも1種の重合可能なコモノマーが、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、ビニル置換アミド、ビニル置換窒素含有複素環化合物、及びアクリロイル置換窒素含有複素環化合物からなる群より選ばれる、請求項3記載のヒドロゲル。 前記少なくとも1種の重合可能なコモノマーが、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、アミルアクリレート、ヘキシルアクリレート、フェニルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、グリセロールモノアクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート、2-N-モルホリノエチルアクリレート、2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート、2-(N,N-ジメチルアミノ)エチルアクリレート、3-(N,N-ジメチルアミノ)プロピルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、グリセロールモノメタクリレート、2-フェノキシエチルメタクリレート、2-N-モルホリノエチルメタクリレート、2-(N,N-ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、3-(N,N-ジメチルアミノ)プロピルメタクリレート、2-ピロリジノニルエチルメタクリレート、N-メチルアクリルアミド、N-エチルアクリルアミド、N-プロピルアクリルアミド、N-ブチルアクリルアミド、N-アミルアクリルアミド、N-ヘキシルアクリルアミド、N-ヘプチルアクリルアミド、N-オクチルアクリルアミド、N-(n-オクタデシルアクリルアミド)、3-(N,N-ジメチルアミノ)プロピルアクリルアミド、アリルアクリルアミド、ヒドロキシメチルジアセトンアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、N-エチル-N-メチルアクリルアミド、N-メチルメタクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド、N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド、N-4-(ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、N-(30ピコリル)メタクリルアミド、3-ビニルピリジン、4-ビニルピリジン、N-ビニルピロリジノン、ビニルピラジン、2-メチル-5-ビニルピラジン、4-ビニルピリミジン、ビニルピリダジン、N-ビニルイミダゾール、N-ビニルカルバゾール、N-ビニルスクシンイミド、4-メチル-5-ビニルチアゾール、N-アクリロイルモルホリン、及びN-メチル-N-ビニルアセトアミドからなる群より選ばれる、請求項3記載のヒドロゲル。 1,3-プロパンジオールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサメチレンジアクリレート、1,4-フェニレンジアクリレート、グリセロールトリス(アクリルオキシプロピル)エーテル、エチレングリコールジメタクリレート、1,3-プロパンジオールジメタクリレート、1,6-ヘキサメチレンジメタクリレート、1,10-デカンジオールジメタクリレート、1,12-ドデカンジオールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、グリセロールトリメタクリレート、N,N'-オクタメチレンビスアクリルアミド、N,N'-ドデカノメチレンビスアクリルアミド、N,N'-(1,2-ジヒドロキシエチレン)ビスアクリルアミド、アリルメタクリルアミド、ジビニルピリジン、4,6-ジビニルピリミジン、2,5-ジビニルピラジン、1,4-ジビニルイミダゾール、1,5-ジビニルイミダゾール、及びジビニルベンゼンからなる群より選ばれる架橋剤を含む、請求項3記載のヒドロゲル。 1,3-プロパンジオールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサメチレンジアクリレート、1,4-フェニレンジアクリレート、グリセロールトリス(アクリルオキシプロピル)エーテル、エチレングリコールジメタクリレート、1,3-プロパンジオールジメタクリレート、1,6-ヘキサメチレンジメタクリレート、1,10-デカンジオールジメタクリレート、1,12-ドデカンジオールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、グリセロールトリメタクリレート、N,N'-オクタメチレンビスアクリルアミド、N,N'-ドデカノメチレンビスアクリルアミド、N,N'-(1,2-ジヒドロキシエチレン)ビスアクリルアミド、アリルメタクリルアミド、ジビニルピリジン、4,6-ジビニルピリミジン、2,5-ジビニルピラジン、1,4-ジビニルイミダゾール、1,5-ジビニルイミダゾール、及びジビニルベンゼンからなる群より選ばれる架橋剤を含む、請求項4記載のヒドロゲル。 請求項2記載のホモポリマーより加工された眼内レンズ。 請求項3記載のヒドロゲルより加工された眼内レンズ。 請求項4記載のヒドロゲルより加工された眼内レンズ。 請求項5記載のヒドロゲルより加工された眼内レンズ。 請求項6記載のヒドロゲルより加工された眼内レンズ。 請求項7記載のヒドロゲルより加工された眼内レンズ。 15%〜65%の平衡水含量を有する、請求項3記載のヒドロゲル。 前記モノマー混合物が2-(2'-ヒドロキシ-5'-メタクリルオキシアルコキシアルキルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾールを1wt%〜5wt%含む、請求項3記載のヒドロゲル。 2-(2'-ヒドロキシ-5'-メタクリルオキシエトキシメチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾールを含む組成物。 2-(2'-ヒドロキシ-5'-メタクリルオキシエトキシエチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾールを含む組成物。 2-(2'-ヒドロキシ-5'-メタクリルオキシエトキシメチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール及び少なくとも1種の重合可能なコモノマーを含むコモノマーの混合物より製造された架橋されたコポリマーを含むヒドロゲル。 2-(2'-ヒドロキシ-5'-メタクリルオキシエトキシエチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール及び少なくとも1種の重合可能なコモノマーを含むコモノマーの混合物より製造された架橋されたコポリマーを含むヒドロゲル。 下式(上式中、Xは水素又はハロゲンであり、 nは1〜10の数であり、 R1は炭素数1〜6の非分枝アルキル基であり、 R2は1〜5のアルキル基であり、 R3は水素又はメチル基である)を有するモノマーを含む混合物を重合して得られるコポリマーを含む光学的に透明なヒドロゲル。 少なくとも15%の平衡水含量を有する、請求項20記載の光学的に透明なヒドロゲル。 前記混合物が2-(2'-ヒドロキシ-5'-メタクリルオキシエトキシエチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾールを含む、請求項20記載の光学的に透明なヒドロゲル。 前記混合物が2-(2'-ヒドロキシ-5'-メタクリルオキシエトキシメチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾールを含む、請求項20記載の光学的に透明なヒドロゲル。


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