生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_多価抗体構築物
出願番号:2000547118
年次:2010
IPC分類:C07K 16/00,C12N 15/09


特許情報キャッシュ

リトル,メルヴィン キプリヤノフ,セルゲイ JP 4431277 特許公報(B2) 20091225 2000547118 19990505 多価抗体構築物 ドイチェス クレブスフォルシュンクスツェントルム スチフトゥング デス エッフェントリヒェン レヒツ 500030655 細田 芳徳 100095832 リトル,メルヴィン キプリヤノフ,セルゲイ DE 198 19 846.9 19980505 20100310 C07K 16/00 20060101AFI20100218BHJP C12N 15/09 20060101ALI20100218BHJP JPC07K16/00C12N15/00 A C07K 1/00-19/00 C12N 15/00-15/90 G01N 33/48-33/98 PubMed MEDLINE/CAplus/BIOSIS/WPIDS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) 特開平06−128297(JP,A) 特開2000−201678(JP,A) 特表2001−521496(JP,A) GRUBER M,JOURNAL OF IMMUNOLOGY,1994年 6月 1日,V152N11,P5368-5374 MACK M,THE NATIONAL ACADEMY OF SCIENCES OF USA,1995年 7月18日,V92N15,P7021-7025 KURUCZ I,JOURNAL OF IMMUNOLOGY,1995年 5月 1日,V154N9,P4576-4582 DE JONGE J,MOLECULAR IMMUNOLOGY,1995年12月 1日,V32N17-18,P1405-1412 12 DSM 12149 DSM 12151 DE1999001350 19990505 WO1999057150 19991111 2002513805 20020514 30 20060426 佐々木 大輔 【0001】本発明は、多価FV 抗体構築物、それらをコードする発現プラスミド、およびFV 抗体構築物の産生方法ならびにそれらの使用に関する。【0002】天然の抗体は、ダイマーであり、それゆえ、二価と呼ばれる。それらは、4個の可変ドメイン、すなわち2個のVH ドメインおよび2個のVL ドメインを有する。可変ドメインは、抗原に対する結合部位として働き、結合部位は、VH ドメインおよびVL ドメインから形成される。天然の抗体は、各々1つの抗原を認識し、その結果、それらはまた、単一特異性と呼ばれる。さらに、それらはまた、天然の抗体に安定性を付加する定常ドメインを有する。他方で、それらはまた、種々の動物種の天然の抗体が相互に投与される場合に生じる所望されない免疫応答に対して同時応答である。【0003】かかる免疫応答を回避するために、定常ドメインを欠失する抗体が構築される。詳細には、これらは、可変ドメインのみを含む抗体である。かかる抗体は、FV 抗体構築物と称される。それらは、互いにペアとなる単鎖モノマーの形態でしばしば入手可能である。【0004】しかし、このことは、FV 抗体構築物がわずかな安定性しか有さないことを示した。それゆえ、治療目的に関するそれらの有用性は、強固に限定されている。【0005】従って、本発明の目的は、所望されない免疫応答が回避され得る抗体を提供することである。さらに、この抗体は、抗体を治療使用に有用であるようにする安定性を有するだろう。【0006】本発明により、このことは請求の範囲に規定される主題によって達成される。【0007】それゆえ、本発明の主題は、大きな安定性を有する多価FV 抗体構築物に関する。かかる構築物は診断および治療目的に適切である。【0008】本発明は、4個の可変ドメインが3個のペプチドリンカーによって互いに連結さている単鎖ダイマーの形態でFV 抗体構築物が存在する場合、FV 抗体構築物の安定性が増大するという出願人の見識に基づく。出願人はまた、中央のペプチドリンカーが約10〜30個のアミノ酸の長さを有する場合に、FV 抗体構築物が、それ自身で折り畳まれることを認識していた。出願人はまた、多量体、すなわち、多価のFV 抗体構築物が得られるように、中央のペプチドリンカーが、約10個のアミノ酸までの長さを有する場合、他のFV 抗体構築物で折り畳まれることを認識していた。出願人はまた、FV 抗体構築物が多重特異性であり得ることを理解した。【0009】本発明により、出願人の見識は、ペプチドリンカー1、2および3によって互いに連結されている少なくとも4個の可変ドメインを含有してなる多価FV 抗体構築物を提供するために利用される。【0010】表現「FV 抗体構築物」とは、可変ドメインを有するが定常ドメインを有さない抗体をいう。【0011】表現「多価FV 抗体構築物」とは、数個、少なくとも4個の可変ドメインを有するFV 抗体をいう。これは、単鎖FV 抗体構築物が、4個の可変ドメインを生じるためにそれ自身で折り畳まれるか、または他の単鎖FV 抗体構築物で折り畳まれる場合に達成される。後者の場合、8個、12個、16個などの可変ドメインを有するFV 抗体構築物が得られる。4個または8個の可変ドメインを有すること、すなわち、二価または四価であることが、FV 抗体構築物にとって好ましい(図1を参照のこと)。さらに、可変ドメインは、互いに等しくてもよいし、異なっていてもよく、その結果、抗体構築物は、1つまたは数個の抗原を認識する。抗体構築物は、好ましくは1つまたは2つの抗原を認識し、すなわち、それはそれぞれ単一特異性および二重特異性である。かかる抗原の例は、タンパク質CD19およびCD3である。【0012】表現「ペプチドリンカー1、3」とは、FV 抗体構築物の可変ドメインを互いに連結するのに適合したペプチドリンカーをいう。ペプチドリンカーは、任意のアミノ酸を含み得、アミノ酸グリシン(G)、セリン(S)およびプロリン(P)が好ましい。ペプチドリンカー1および3は、互いに等しくてもよいし、異なっていってもよい。さらに、ペプチドリンカーは、約0〜10個のアミノ酸の長さを有し得る。前者の場合、ペプチドリンカーは、一方の可変ドメインのCOOH残基からのペプチド結合および他方の可変ドメインのNH2 残基からのペプチド結合のみである。ペプチドリンカーは、好ましくはアミノ酸配列GGを含む。【0013】表現「ペプチドリンカー2」とは、FV 抗体構築物の可変ドメインを互いに連結するのに適合したペプチドリンカーをいう。ペプチドリンカーは、任意のアミノ酸を含み得、アミノ酸グリシン(G)、セリン(S)およびプロリン(P)が好ましい。ペプチドリンカーはまた、単鎖FV 抗体構築物が他の単鎖FV 抗体構築物で折り畳まれることを達成するために働く、約3〜10個のアミノ酸の長さ、詳細には5個のアミノ酸、そして最も詳細には、アミノ酸配列GGPGSを有し得る。ペプチドリンカーはまた、単鎖FV 抗体構築物がそれ自身で折り畳まれることを達成するために働く、約11〜20個のアミノ酸の長さ、詳細には15〜20個のアミノ酸、そしてより詳細にはアミノ酸配列(G4 S)4 を有し得る。【0014】本発明によるFV 抗体構築物は、一般的な方法によって産生され得る。ペプチドリンカーが可変ドメインを互いに連結し、得られるDNA分子が、発現プラスミド中に発現されるように、ペプチドリンカー1、2および3をコードするDNAが、FV 抗体構築物の4個の可変ドメインをコードするDNAと連結されている方法が好ましい。実施例1〜6を参照されたい。表現「FV 抗体構築物」および「ペプチドリンカー」に関しては、上記説明および追加として、Maniatis,T.ら、Molecular Cloning、A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory 1982を参照のこと。【0015】本発明によるFV 抗体構築物をコードするDNAはまた、本発明の主題を表す。さらに、かかるDNAを含む発現プラスミドはまた、本発明の主題を表す。好ましい発現プラスミドは、pDISC3×19−LL、pDISC3×19−SL、pPIC−DISC−LL、pPIC−DISC−SL、pDISC5−LLおよびpDISC6−SLである。最初の4つは、DSMZ(Deutsche Sammlung fuer Mikroorganismen und Zellen)[German−type collection for micro−organisms and cells]に1998年4月30日に、各々DSM12150、DSM12149、DSM12152およびDSM12151という名称で寄託された。【0016】本発明の別の主題は、(a)本発明によるFV 抗体構築物、および/または(b)本発明による発現プラスミド、および(c)従来の補助薬剤、例えば、緩衝液、溶媒および対照、を含むキットに関する。【0017】個々の成分の1つまたは数個の代表が示され得る。【0018】本発明は、可変ドメインがペプチドリンカーによって互いに連結されている多価FV 抗体構築物を提供する。かかる抗体構築物は、それが所望されない免疫反応を導き得る部分を含まない点でそれ自身を区別する。さらに、それは大きな安定性を有する。それはまた、数個の抗原に同時に結合し得る。それゆえ、本発明によるFV 抗体構築物は、診断目的用だけでなく治療目的用における使用に完全に適合する。かかる目的は、任意の疾患、詳細にはウイルス性、細菌性または腫瘍性の疾患に関して見られ得る。【0019】本発明は、下記の実施例によって説明される。【0020】実施例1:細菌における、二価、二重特異性および/または四価、二重特異性FV 抗体構築物の発現のためのプラスミドpDISC3×19−LLおよびpDISC3×19−SLの構築。ヒトCD19に特異的であるハイブリドーマHD37(Kipriyanovら、1996、J.Immunol.Meth.196、51〜62)およびヒトCD3に特異的であるハイブリドーマOKT3(Kipriyanovら、1997、Protein Eng.10、445〜453)のそれぞれに由来するscFvフラグメントをコードするプラスミドpHOG−αCD19およびpHOG−dmOKT3を、単鎖FV 抗体構築物に対する発現プラスミドの構築のために使用した。抗CD19のVH ドメインのPCRフラグメント1、それに続くGlyGlyリンカーをコードするセグメントを、プライマーDP1、5’−TCACACAGAATTC−TTAGATCTATTAAAGAGGAGAAATTAACC、およびDP2、5’−AGCACACGATATCACCGCCAAGCTTGGGTGTTGTTTTGGCを用いて作成した(図2を参照のこと)。PCRフラグメント1を、EcoRIおよびEcoRVにより切断し、EcoRI/EcoRV線状化プラスミドpHOG−dmOKT3と連結して、ベクターpHOG19−3を作成した。抗CD19のVL ドメインのPCRフラグメント2、それに続くc−mycエピトープおよびヘキサヒスチジニル尾部をコードするセグメントを、プライマーDP3、5’−AGCACACAAGCTTGGCGGTGATATCTTGCTCACCCAAAC−TCCAおよびDP4、5’−AGCACACTCTAGAGACACACAGATCTTTAGTGATGGTGATGGTGATGTGAGTTTAGGを用いて作成した。PCRフラグメント2を、HindIIIおよびXbaIにより切断し、そしてHindIII/XbaI線状化プラスミドpHOG−dmOKT3と連結して、ベクターpHOG3−19を得た(図2を参照のこと)。プラスミドpHOG3−19中のハイブリッドscFv−3−19をコードする遺伝子を、プライマーBi3sk、5’−CAGCCGGCCATGGCGCAGGTGCAACTGCAGCAG、および長い可動性(Gly4 Ser)4 インターscFvリンカーの生成のためのLi−1、5’−TATATACTGCAGCTGCACCTGGCTACCACCACCACCGGAGCCGCCACCACCGCTACCACCGCCGCCAGAACCACCACCACCAGCGGCCGCAGCATCAGCCCG(PCRフラグメント3、図2を参照のこと)または短く強固なGGPGSリンカーの生成のためのLi−2、5’−TATATACTGCAGCTGCACCTGCGACCCTGGGCCACCAGCGGCCGCAGCATCAGCCCG(PCRフラグメント4、図2を参照のこと)のいずれかを用いるPCRによって増幅した。発現プラスミドpDISC3×19−LLおよびpDISC3×19−SLを、pHOG19−3(ベクターフレームワークおよびNcoI/PvuII切断PCRフラグメント3および4それぞれを含む)に由来するNcoI/PvuII制限フラグメントを連結することによって構築した(図3、4を参照のこと)。二価および四価のFV 抗体構築物の完全なヌクレオチドおよびタンパク質配列を、それぞれ図5および図6に示す。【0021】実施例2:酵母における、二価、二重特異性および/または四価、二重特異性FV 抗体構築物の発現のためのプラスミドpPIC−DISC−LLおよびpPIC−DISC−SLの構築(A)pPIC−DISC−SLの構築酵母ピヒアパストリス(Pichia pastoris)における、組換えタンパク質の発現および分泌のためのベクターpPICZαA(Invitrogen BV、Leek、Netherlands)を、開始物質として使用した。これは、サッカロミセスセレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)α因子分泌シグナルをコードする遺伝子、それに続いてポリリンカーを含む。このベクターの分泌は、ピヒアおよび大腸菌の両方において二機能性である優性選択マーカー、ZeocinTMに基づく。四価FV 抗体構築物(scDia−SL)をコードする遺伝子を、プライマー5−PIC、5’−CCGTGAATTCCAGGTGCAACTGCAGCAGTCTGGGGCTGAACTGGCおよびpSEXBn 5’−GGTCGACGTTAACCGACAAACAACAGATAAAACGを用いてテンプレートpDISC3×19−SLによってPCRを用いて増幅した。得られるPCR産物を、EcoRIおよびXbaIによって切断し、EcoRI/XbaI線状化pPICZαAに連結した。発現プラスミドpPIC−DISC−SLを得た。四価FV 抗体構築物のヌクレオチドおよびタンパク質配列を、図7に示す。【0022】(B)pPIC−DISC−LLの構築pPIC−DISC−LLの構築を、pPICZαA(Invitrogen BV、Leek、Netherlands)およびpDISC3×19−LL(図3を参照のこと)に基づいて行った。プラスミドDNA pPICZαAをEcoRIによって切断した。突出した5’末端を大腸菌 DNAポリメラーゼIのクレノウフラグメントを用いて埋めた。得られたDNAをXbaIによって切断し、pPICベクターを含む大きいフラグメントを単離した。同様に、pDISC3×19−LLのDNAを、NcoIにより切断し、クレノウフラグメントで処理した。XbaIを用いた切断の後に、二価FV 抗体をコードする遺伝子を含む小さなフラグメントを単離した。pPIC由来ベクターDNAとのライゲーションにより、プラスミドpPIC−DISC−LLを得た。二価FV 抗体構築物のヌクレオチドおよびタンパク質配列を図8に示す。【0023】実施例3:細菌における、四価および/または二価FV 抗体構築物の発現発現プラスミドpDISC3×19−LLおよびpDISC3×19−SLそれぞれで形質転換した大腸菌XL1−blue細胞(Strategene,La Jolla,CA)を、50μg/mlアンピシリンおよび100mMグルコースを有する2×YT培地(2×YTGA)中で37℃にて一晩培養した。2×YTGAにおける一晩培養物の1:50希釈物を、200rpmで振盪しながら37℃でフラスコ培養物として培養した。培養物が0.8のOD600 値に達したときに、細菌を1500gで20℃での10分間の遠心分離によりペレット化し、50μg/mlアンピシリンおよび0.4Mショ糖を含有する同容量の新鮮な2×YT培地に再懸濁した。IPTGを、0.1mMの最終濃度まで添加し、増殖を室温(20〜22℃)で18〜20時間続けた。細胞を、5000gで4℃での10分間の遠心分離によって収集した。培養上清を保持し、氷上で保存した。可溶性の周辺質タンパク質を単離するために、ペレット化細菌を、最初の容量の5%の氷冷50mM Tris−HCl、20%ショ糖、1mM EDTA、pH8.0に再懸濁した。時折撹拌しながらの氷上での1時間のインキュベーションの後に、スフェロプラストを、30,000gで4℃にて30分間遠心分離し、可溶性周辺質抽出物を上清として得、不溶性周辺質物質を有するスフェロプラストをペレットとして得た。培養上清および可溶性周辺質抽出物を組み合わせ、さらなる遠心分離(30,000g、4℃、40分間)によって明澄化した。組換え産物を、硫酸アンモニウム沈殿によって濃縮した(最終濃度70%飽和)。タンパク質沈殿物を、遠心分離(10,000g、4℃、40分)によって得、最初の容量の10%の50mM Tris−HCl、1M NaCl、pH7.0に溶解させた。固定化金属アフィニティークロマトグラフィー(IMAC)を、Cu2+で荷電し、50mM Tris−HCl、1M NaCl、pH7.0(開始緩衝液)で平衡化したキレートセファロースの5mlカラム(Pharmacia)を用いて4℃で行った。カラムを通過させることによってサンプルをロードした。次いで、20カラム容量の開始緩衝液で洗浄し、続いて溶出物の280nmでの吸収が最小になるまで、50mMイミダゾールを有する開始緩衝液で洗浄した(約30カラム容量)。吸収された物質を、50mM Tris−HCl、1M NaCl、250mM イミダゾール、pH7.0で溶出させた。【0024】タンパク質濃度を、Bio−Rad(Munich、Germany)タンパク質アッセイキットを用いて、Bradford染料結合試験(1976、Anal.Biochem.72、248〜254)で測定した。精製された四価および二価のFV 抗体構築物の濃度を、吸光係数ε1mg/ml=1.96および1.93それぞれを用いて、A280 値から決定した。【0025】実施例4:酵母ピヒアパストリスにおける、四価および/または二価抗体構築物の発現コンピテントなP.パストリスGS155細胞(Invitrogen)を、SacIで線状化したpPIC−DISC−LLおよびpPIC−DISC−SLそれぞれの10μgのプラスミドDNAの存在下でエレクトロポレートした。形質転換体を、100μg/ml ZeocinTMを含有するYPDプレート上での30℃で3日間について選択した。二価および/または四価FV 抗体構築物を分泌するクローンを、抗c−myc−mAk 9E10(IC Chemikalien、Ismaning、Germany)を用いたプレートスクリーニングによって選択した。【0026】二価FV 抗体構築物および四価FV 抗体構築物それぞれの発現のために、クローンを、撹拌しながら、振盪フラスコ中のYPD培地中で30℃にて2日間培養した。細胞を遠心分離し、メタノールを含有する同じ容量の培地中に再懸濁し、撹拌しながら、30℃でさらに3日間インキュベートした。上清を遠心分離後に得た。組換え産物を、硫酸アンモニウム沈殿により単離し、続いて上記のようなIMACを行った。【0027】実施例5:四価FV 抗体構築物および二価FV 抗体構築物それぞれの特徴付け(A)サイズ排除クロマトグラフィーFV 抗体構築物の分析用ゲル濾過を、superdex200−HR10/30カラム(Pharmacia)を用いてPBS中で行った。サンプル容量および流速は、それぞれ200μl/分および0.5ml/分であった。カラムを高分子および低分子ゲル濾過キャリブレーションキット(Pharmacia)を用いて較正した。【0028】(B)フローサイトメトリーヒトCD3+ /CD19- 急性T細胞白血病株ジャーカットおよびCD19+ /CD3- B細胞株JOK−1を、フローサイトメトリーのために使用した。10% FCSおよび0.1% アジ化ナトリウムを補充した50μlのRPMI1640培地(GIBCO BRL、Eggestein、Germany)(完全培地と呼ぶ)中の5×105 の細胞を、100μlのFV 抗体調製物とともに氷上で45分間インキュベートした。完全培地を用いた洗浄の後に、細胞を同一の緩衝液中で100μlの10μg/ml抗c−myc−Mak 9E10(IC Chemikalien)とともに氷上で45分間インキュベートした。第2の洗浄サイクルの後、細胞を、上記と同じ条件下で100μlのFITC標識ヤギ−抗マウス−IgG(GIBCO BRL)とともにインキュベートした。次いで、細胞を再び洗浄し、死細胞を排除した完全培地中の100μlの1μg/mlヨウ化プロピジウム溶液(Sigma、Deisenhofen、Germany)中に再懸濁した。染色細胞の比較蛍光を、FACScanフローサイトメーター(Becton Dickinson、Mountain View、CA)を用いて測定した。【0029】(C)細胞傷害性試験CD19発現バーキット(Burkitt)リンパ腫細胞株RajiおよびNamalwaを、標的細胞として使用した。細胞を、10%熱不活化FCS(GIBCO BRL)、2mMグルタミンおよび1mMピルビン酸を補充したRPMI1640(GIBCO BRL)中で、37℃で7.5%CO2 を有する加湿した雰囲気下でインキュベートした。細胞傷害性T細胞試験を、10%FCS、10mM HEPES、2mMグルタミン、1mMピルビン酸および0.05mM 2−MEを補充したRPMI−1640培地中で行った。細胞傷害性活性を、標準的な[51Cr]放出試験を用いて評価した;2×106 標的細胞を200μCiのNa[51Cr]O4 (Amersham−Buchler、Braunschweig、Germany)で標識し、そして4回洗浄し、次いで2×105 /mlの濃度で培地中に再懸濁した。エフェクター細胞を5×106 /mlの濃度に調整した。100μl中の漸増する量のCTLを、50μl中の104 標的細胞/ウェルまたは腔に対して滴定した。50μlの抗体を、各ウェルに添加した。全体の試験を3回調製し、37℃で4時間インキュベートした。100μlの上清を収集し、ガンマカウンターにおいて[51Cr]放出について試験した(Cobra Auto Gamma;Canberra Packard、Dreieich、Germany)。最大放出を、10%SDS中での標的細胞のインキュベーションによって測定し、自然放出を培地単独中での細胞のインキュベーションによって測定した。特異的溶解(%)を、(実験の放出−自然放出)/(最大放出−自然放出)×100として計算した。【0030】実施例6:高細胞密度発酵による、細菌における二価、二重特異性および/または四価、二重特異性FV 抗体構築物の発現のためのプラスミドpDISC5−LLおよびpDISCS5−SLの構築組換え抗体のより大きな産生のためのhok/sokプラスミド非含有細胞自殺系およびSkp/OmpH周辺質因子をコードする遺伝子を含む発現ベクターを調製した。skp遺伝子を、プラスミドpGAH317(HolckおよびKleppe、1988、Gene 67、117〜124)を用いて、プライマーskp−1、5’−CGA ATT CTT AAG ATA AGA AGG AGT TTA TTG TGA AAA AGT GGT TAT TAG CTG CAG Gおよびskp−2、5’−CGA ATT AAG CTT CAT TAT TTA ACC TGT TTC AGT ACG TCG Gを用いるPCRにより増幅した。得られたPCRフラグメントを、AflIIおよびHindIIIによって切断し、AflII/HindIII線状化プラスミドpHKK(Hornら、1996、Appl.Microbiol.Biotechnol.46、524〜532)に挿入し、ベクターpSKKを得た。プラスミドpDISC3×19−LL中およびpDISC3×19−SL中に得られ、そしてscFv抗体構築物をコードする遺伝子を、プライマーfe−1、5’−CGA ATT TCT AGA TAA GAA GGA GAA ATT AAC CAT GAA ATA CCおよびfe−2、5’−CGA ATT CTT AAG CTA TTA GTG ATG GTG ATG GTG ATG TGA Gによって増幅した。XbaI/AflII−切断PCRフラグメントをskp挿入物の前にpSKK中に挿入し、発現プラスミドpDISC5−LLおよびpDISC6−SLそれぞれを得た。これらは、lacプロモーター/オペレーター系の調節下でトリ−シストロンオペロンを含む(図9、10を参照のこと)。【図面の簡単な説明】【図1】 図1は、本発明によるFV 抗体構築物(A)の遺伝学的機構および二価(B)または四価FV 抗体構築物(C)を形成するための模式図を示す。Ag:抗原;His6 :6個のC末端ヒスチジン残基;停止:停止コドン(TAA);VH およびVL :重鎖および軽鎖の可変領域。【図2】 図2は、プラスミドpDISC3×19−LLおよびpDISC3×19−SLの構築のための模式図を示す。c−myc:抗体9E1によって認識されるエピトープをコードする配列、His6 :6個のC末端のヒスチジン残基をコードする配列;PelB:細菌性ペクチン酸リアーゼのシグナルペプチド配列(PelBリーダー);rbs:リボソーム結合部位;停止:停止コドン(TAA);VH およびVL :重鎖および軽鎖の可変領域。【図3】 図3は、発現プラスミドpDISC3×19−LLの図を示す。6×His:6個のC末端のヒスチジン残基をコードする配列;bla:アンピシリン耐性を担うβ−ラクタマーゼをコードする遺伝子;bp:塩基対;c−myc:9E10抗体によって認識されるエピトープをコードする配列;ColE1:DNA複製の起点;f1−IG:バクテリオファージf1の遺伝子間領域;Lac P/O:wt lac−オペロンプロモーター/オペレーター;リンカー1:VH およびVL ドメインに連結したGlyGlyジペプチドをコードする配列;リンカー2:ハイブリッドscFvフラグメントを連結する(Gly4 Ser)4 ポリペプチドをコードする配列;Pel−Bリーダー:細菌性ペクチン酸リアーゼのシグナルペプチド配列;rbs:リボソーム結合部位;VH およびVL :重鎖および軽鎖の可変領域。【図4】 図4は、発現プラスミドpDISC3×19−SLの図を示す。6×His:6個のC末端ヒスチジン残基をコードする配列;bla:アンピシリン耐性を担うβ−ラクタマーゼをコードする遺伝子;bp:塩基対;c−myc:9E10抗体によって認識されるエピトープをコードする配列;ColE1:DNA複製の起点;f1−IG:バクテリオファージf1の遺伝子間領域;lac P/O:wt lac−オペロンプロモーター/オペレーター:リンカー1:VH およびVL ドメインを連結するGlyGlyジペプチドをコードする配列;リンカー3:ハイブリッドscFvフラグメントを連結するGlyGlyProGlySerオリゴペプチドをコードする配列;Pel−Bリーダー:細菌性ペクチン酸リアーゼのシグナルペプチド配列;rbs:リボソーム結合部位;VH およびVL :重鎖および軽鎖の可変領域。【図5】 図5は、発現プラスミドpDIS3×19−LLによってコードされる二価FV 抗体構築物の核酸配列およびそれに由来するアミノ酸配列を示す。c−mycエピトープ:抗体9E10によって認識されるエピトープをコードする配列;CDR:相補性を決定する領域;フレームワーク:フレームワーク領域;His6尾部:6個のC末端のヒスチジン残基をコードする配列;PelBリーダー:細菌性ペクチン酸リアーゼのシグナルペプチド配列;RBS:リボソーム結合部位;VH およびVL :重鎖および軽鎖の可変領域。【図6】 図6は、発現プラスミドpDISC3×19−SLによってコードされる四価FV 抗体構築物の核酸配列およびそれに由来するアミノ酸配列を示す。c−mycエピトープ:9E10抗体によって認識されるエピトープをコードする配列;CDR:相補性を決定する領域;フレームワーク:フレームワーク領域;His6尾部:6個のC末端のヒスチジン残基をコードする配列;PelBリーダー:細菌性ペクチン酸リアーゼのシグナルペプチド配列;RBS:リボソーム結合部位;VH およびVL :重鎖および軽鎖の可変領域。【図7】 図7は、ピヒア発現プラスミドpPIC−DISC−SL中のα因子リーダー配列をコードする遺伝子と四価FV 抗体構築物をコードする遺伝子との間の連結のヌクレオチド配列および由来するアミノ酸配列を示す。α因子シグナル:サッカロミセスセレビシエ−α因子分泌シグナルのリーダーペプチド配列;VH :重鎖の可変領域。菱形はシグナル切断部位を示す。【図8】 図8は、ピヒア発現プラスミドpPIC−DISC−LL中のα因子リーダー配列をコードする遺伝子と二価FV 抗体構築物をコードする遺伝子との間の連結のヌクレオチド配列および由来するアミノ酸配列を示す。α因子シグナル:サッカロミセスセレビシエ−α因子分泌シグナルのリーダーペプチド配列;VH :重鎖の可変領域。菱形はシグナル切断部位を示す。【図9】 図9は、発現プラスミドpDISC5−LLの図を示す。6×His:6個のC末端ヒスチジン残基をコードする配列;bla:アンピシリン耐性を担うβ−ラクタマーゼをコードする遺伝子;bp:塩基対;c−myc:9E10抗体によって認識されるエピトープをコードする配列;hok−sok:プラスミド安定化DNA部位;LacI:Lacリプレッサーをコードする遺伝子;LacP/O:wt lac−オペロン−プロモーター/オペレーター;LacZ’:β−ガラクトシダーゼのα−ペプチドをコードする遺伝子;リンカー1:VH およびVL ドメインを連結するGlyGlyジペプチドをコードする配列;リンカー2:ハイブリッドscFvフラグメントを連結する(Gly4 Ser)4 ポリペプチドをコードする配列;M13 IG:M13バクテリオファージの遺伝子間領域;pBR322ori:DNA複製の起点;Pel−Bリーダー:細菌性ペクチン酸リアーゼのシグナルペプチド配列;rbs:大腸菌lacZ遺伝子(lacZ)、バクテリオファージT7遺伝子10(T7g10)または大腸菌skp遺伝子(skp)に由来するリボソーム結合部位;skp:細菌の周辺質の因子Skp/OmpHをコードする遺伝子;tHP:強い転写ターミネーター;tIPP:転写ターミネーター;VH およびVL :重鎖および軽鎖の可変領域。【図10】 図10は、発現プラスミドpDISC6−SLの図を示す。6×His:6個のC末端のヒスチジン残基をコードする配列;bla:アンピシリン耐性を担うβ−ラクタマーゼをコードする遺伝子;bp:塩基対;c−myc:9E10抗体によって認識されるエピトープをコードする配列;hok−sok:プラスミド安定化DNA部位;LacI:Lacリプレッサーをコードする遺伝子;LacP/O:wt lac−オペロン−プロモーター/オペレーター;LacZ’:β−ガラクトシダーゼのα−ペプチドをコードする遺伝子;リンカー1:VH およびVL ドメインを連結するGlyGlyジペプチドをコードする配列;リンカー3:ハイブリッドscFvフラグメントを連結するGlyGlyProGlySerオリゴペプチドをコードする配列:M13 IG:M13バクテリオファージの遺伝子間領域;pBR322ori:DNA複製の起点;Pel−Bリーダー:細菌性ペクチン酸リアーゼのシグナルペプチド配列;rbs:大腸菌lacZ遺伝子(lacZ)、バクテリオファージT7遺伝子10(T7g10)または大腸菌skp遺伝子(skp)に由来するリボソーム結合部位;skp:細菌の周辺質の因子Skp/OmpHをコードする遺伝子;tHP:強い転写ターミネーター;tIPP:転写ターミネーター;VH およびVL :重鎖および軽鎖の可変領域。【配列表】 8個の可変ドメインを有する、多量体である四価のFv 抗体構築物であって、ここで単鎖Fv 抗体構築物が別の単鎖Fv 構築物で折り畳まれ、かつ各単鎖Fv 構築物が、ペプチドリンカー1、2および3によって互いに連結されている4個の可変ドメインを有し、ここでペプチドリンカー1および3が0〜10個のアミノ酸を有し、中央のペプチドリンカー2が10個までのアミノ酸の長さを有する、Fv 抗体構築物。 ペプチドリンカー1および3がアミノ酸配列GGを有してなるものである、請求項1記載のFv 抗体構築物。 ペプチドリンカー2が3〜10個のアミノ酸を有してなるものである、請求項1または2記載のFv 抗体構築物。 ペプチドリンカー2がアミノ酸配列GGPGSを含有してなるものである、請求項3記載のFv 抗体構築物。 Fv 抗体構築物が二重特異性である、請求項1〜4いずれか記載のFv 抗体構築物。 Fv 抗体構築物が単一特異性である、請求項1〜4いずれか1つに記載のFv 抗体構築物。 Fv 抗体構築物が、CD3およびCD19からなる群より選択される抗原に対して特異的である、請求項1〜6いずれか記載のFv 抗体構築物。 ペプチドリンカーが可変ドメインを互いに連結し、得られるDNA分子が発現プラスミド中に発現されるように、ペプチドリンカー1、2および3をコードするDNAが、単鎖Fv 構築物の4個の可変ドメインをコードするDNAと連結されているものである、請求項1〜7いずれか1つに記載の多量体である四価のFv 抗体構築物の産生方法。 請求項1〜7いずれか1つに記載の多量体である四価のFv 抗体構築物をコードする発現プラスミド。 DSM 12149としてDSMZに寄託された、請求項9記載の発現プラスミド。 DSM 12151としてDSMZに寄託された、請求項9記載の発現プラスミド。 配列番号:4に示されるアミノ酸配列を有する、請求項7記載のFv抗体構築物。


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