生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_結晶化によるイソフタル酸の精製方法
出願番号:2000547062
年次:2011
IPC分類:C07C 51/43,C07C 63/24


特許情報キャッシュ

リー、フー − ミン ラムシン、ウィストン ウィッチャリイ、ランディ、ライト JP 4729173 特許公報(B2) 20110422 2000547062 19990420 結晶化によるイソフタル酸の精製方法 ジーティーシー テクノロジー エルピー 508338809 浅村 皓 100066692 浅村 肇 100072040 浅野 裕一郎 100122655 安藤 克則 100107504 リー、フー − ミン ラムシン、ウィストン ウィッチャリイ、ランディ、ライト US 60/084,426 19980506 US 09/229,789 19990113 20110720 C07C 51/43 20060101AFI20110630BHJP C07C 63/24 20060101ALI20110630BHJP JPC07C51/43C07C63/24 C07C 51/43 C07C 63/24 特表平08−506571(JP,A) 国際公開第96/040612(WO,A1) 特開平07−126212(JP,A) 特開平07−017901(JP,A) 特開平07−002732(JP,A) 米国特許第02949483(US,A) 20 US1999008800 19990420 WO1999057090 19991111 2002513778 20020514 8 20060420 水島 英一郎 【0001】(発明の技術分野)本発明は、メタキシレンからイソフタル酸(IPA)を製造する方法と装置に関する。本発明は、また、イソフタル酸と、少量の3−カルボキシベンズアルデヒド(3−CBA)、m−トルイル酸及びその他の少量の不純物との混合物を含有している酸化反応器の流出物を精製して、統合プロセスにおいて精製されたインフタル酸を製造する方法と装置に関する。イソフタル酸は、繊維、フィルム、びん、およびガラス繊維のような他の材料で強化されていることが多いポリエステル樹脂構造物を製造するための共重合プロセスで有用である。【0002】(発明の概要)本発明によれば、統合プロセスにおいてメタキシレンから精製されたイソフタル酸を製造する方法と装置が提供される。一つの面において、この方法は、メタキシレンの酸化による粗製イソフタル酸の生成を含む。その酸化工程では、イソフタル酸だけでなく、不完全な酸化により3−CBA、m−トルイル酸、並びに他の痕跡量の酸およびアルデヒドの異性体が生成する。酸化工程で生成せしめられる生成物は、未反応の出発物質、使用されていたならばその全ての溶媒、副反応生成物、特に直上で述べたもの、および得ようとしている精製イソフタル酸には所望とされない他の物質を含んでいる液体分散液である。【0003】反応器の流出物は、反応溶媒、好ましくは酢酸を圧力の低下により蒸発させることによってイソフタル酸の結晶を成長させるために、一連の晶析装置に供給される。最後の晶析装置からのスラリーを濾過、洗浄する。濾過された結晶を次に乾燥して、その溶媒を0.25%未満の粗製IPA結晶中レベルまで除去する。濾過からの母液を溶媒脱水装置に供給して、水からその溶媒(酢酸)を酸化装置に再循環するために回収する。【0004】本発明によれば、さらに、酸化区画の乾燥機からの粗製IPAは選択性結晶化溶媒に再溶解され、次いで一つまたは好ましくは二つの結晶化段階でその選択性結晶化溶媒から結晶化される。溶解温度は、約50〜約200℃であることが好ましい。本発明の(共溶媒を含みまたは含まない)溶媒から結晶化され、そして順次さらに精製されたIPAには、それを分離する方策も取られる。最後に得られた精製IPAのフィルターケーキを本発明の他の溶媒で洗浄、ソーキングして、色および選択性結晶化溶媒の最後の痕跡をIPA生成物から除去する。【0005】本発明は、また、結晶化と洗浄、および最後のソーキングの各段階において本発明の溶媒を再生し、再循環させる工程も意図するものである。また、環境に好ましくないいかなる物質の解放も完全に抑制する工程が採用される。【0006】一つの重要な面において、本発明は、再結晶化工程と分離工程を通じて粗製IPAの精製を成し遂げるのに有効な溶媒に関する発見に基づく。これらの発見は、その概要を、次のとおり、幾つかの方法でまとめることができる。【0007】本発明の実施に有用な選択性結晶化溶媒は、(a)IPAから分離されることが望まれる不純物が、IPAを含有する溶媒が取り扱われるべき温度の所望とされる範囲内の実質的にあらゆる温度において、その溶媒にIPAよりも相対的によく溶け、そして(b)昇温下ではIPAの方がより可溶性であるが、より低い温度、または降温下では可溶性がより小さいものである。用語「選択性結晶化溶媒」は、上記され、そして下記においてさらに詳細に説明され、かつ図1に示されるIPAの選択的結晶化に有用な溶媒を意味すべく意図されていることを了解されるべきである。【0008】本発明によれば、第一に好ましい選択性結晶化溶媒は、以下において議論される幾つかの理由から、また性能が優れている点から、N−メチルピロリドン(NMP)である。それは、非水性であり、熱的に安定であり、毒性がなく(環境上安全であり)、非腐食性であり、そして商業的に入手可能である。図1に示されるように、その溶解度対温度曲線は、IPAはこれを昇温下でNMPに溶解することができ、そしてより低い温度でNMPから沈殿または結晶化させることができることを示している。(4−CBAで示される)CBAおよび(p−トルイル酸で示される)トルイル酸のような主要不純物は、NMP中溶解度が全ての温度においてIPAよりもはるかに高い。従って、温度を下げることによって、IPAだけがその溶液から結晶化または沈殿して、精製されたIPA結晶を形成する傾向がある。【0009】NMPが最も好ましい選択性結晶化溶媒であるけれども、本発明によれば、粗製IPAを精製するための他の好ましい選択性結晶化溶媒は、限定されることを意図するものではないが、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−ホルミルピペリジン、(N−エチルピロリドンのような)N−アルキル−2−ピロリドン、(N−メルカプトエチル−2−ピロリドンのような)N−メルカプトアルキル−2−ピロリドン、(N−メチル−2−チオピロリドンのような)N−アルキル−2−チオピロリドン、(N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドンのような)N−ヒドロキシアルキル−2−ピロリドン、(モルホリンおよびN−ホルミルモルホリンのような)モルホリン類、カルビトール類、C1〜C12アルコール類、エーテル類、アミン類、アミド類、エステル類およびそれらの混合物を含めて各種の極性有機溶媒から選択できることを理解すべきである。【0010】最終IPA生成物の結晶中に取り込まれている残留溶媒を除去するために、洗浄されたIPAを、そのIPA結晶を一部または完全に溶解するのに水が用いられる高温ソーキング装置(soaker)に供給するのが好ましい。IPA結晶を再び沈殿させるか、さもなければソーキング水から分離させるとき、その残留溶媒はその水の中に残る。水(これが好ましい)に加えて、選択性結晶化溶媒を置換するのに、メチルエチルケトンおよびアセトンを含めて他の溶媒も利用することができる。精製されたIPAのケーキは、これを約150〜約280℃の温度において水中でソーキングし、または水に再溶解して最後の痕跡量の結晶化溶媒を除去し、望ましいIPAの粒度と形状を得るようにすることが好ましい。【0011】次の実施例は、本発明の原理と特長を例証するものである。【0012】実施例1冷却結晶化による粗製IPAの精製350gのNMP(溶媒)、207.9gのイソフタル酸(IPA)、2.1gの3−CBAおよび0.2gのm−トルイル酸を、加熱マントル、熱電対、凝縮器および塔頂攪拌器を具えた晶析装置に加えた。この混合物を、その固体が攪拌下で完全に溶解するまで125℃に昇温、加熱し、そしてその溶液を冷却開始前に125℃で約1時間保持した。この溶液を2〜4時間掛けて40℃までゆっくり冷却してIPAの結晶を成長させた。そのスラリーを、次に、晶析装置から取り出し、45〜50℃で濾過した。濾過されたケーキ(210g)をIPAで飽和された630gのNMP溶液(この溶液はNMP100gにつき25gのIPAを含んでいた)で洗浄して、そのケーキから取り込まれていた母液を除去した。洗浄にはきれいなNMPを使用してもよいが、ケーキの洗浄に因る損失を最小限に抑えるために、IPAで飽和されたNMPを用いるのが好ましい。洗浄されたケーキの半量を、再び、室温において等量の飽和NMP溶液(NMP100g当たり11gのIPA)で洗浄した。きれいなまたは飽和NMPの外に、p−キシレン、メタノール、アセトンおよびメチルエチルケトンを含めて他の溶媒を洗浄に用いることができる。【0013】洗浄された結晶を乾燥し、そしてガスクロマトグラフィーで組成について分析した。結果を下記にまとめて示す。【0014】【0015】注:(a)実験2は実験1の二重反復実験であった。(b)“a”は飽和NMPにより3:1比で40℃において洗浄された結晶の分析であり、そして“b”は“a”からの結晶の室温における1:1比でのもう1回の追加洗浄による分析であった。【0016】実験1において、1段階結晶化により、3−CBAは実質的に1.00%から39ppmまで減少せしめられ、またm−トルイル酸は0.10%から2ppm(実験検出限界)未満まで減少せしめられた。実験2において、1段階結晶化により、3−CBAは1.00%から27ppmまで減少せしめられ、またm−トルイル酸は0.10%から2ppm未満まで減少せしめられた。従って、(1%の3−CBAと0.1%のm−トルイル酸を含んでいる)粗製IPAを40ppm未満の3−CBAと2ppmのm−トルイル酸を含むIPA生成物に精製するのに、溶媒としてNMPを用いた1段階結晶化しか必要とされないと結論された。【0017】溶液の温度はこれを約5〜約100℃から低下させるのが好ましく、約10〜約45℃から低下させるのが特に好ましい。【0018】実施例24−CBAおよびp−トルイル酸からのIPAの分離3−CBAを4−CBAに代え、そしてm−トルイル酸をp−トルイル酸に代えて実施例1の実験操作を繰り返した。この実験は、粗製IPA中の4−CBAおよびp−トルイル酸のような他の不純物の少量が、精製されたIPAを製造する本発明の方法にいかなる問題も引き起こさないことを確認するために行われた。精製IPAのガスクロマトグラフ分析を以下に与える。この場合も、精製に、溶媒としてのNMPによる1段階結晶化が用いられた。【0019】【0020】注:生成物結晶は全て飽和NMPにより40℃において3:1の溶媒対固体比で洗浄された。【0021】この場合も、生成物の分析は、4−CBA(1.00%)とp−トルイル酸(0.10%)は、NMPを溶媒として使用して1段階結晶化でppmレベルまで効果的に低下せしめられ得ることを示した。 反応溶媒中でメタキシレンを酸化して生成されるリキッドディスパージョンから粗製イソフタル酸を精製する方法であって、 前記ディスパージョンを濾過して、粗製イソフタル酸フィルターケーキを生成させ、 フィルターケーキを選択性結晶化溶媒中で50〜200℃の高温において溶解して、溶液を生成させ、前記選択性結晶化溶媒は、選択的に前記イソフタル酸を結晶化させ、N−アルキル−2−ピロリドン、N−エチルピロリドン、N−メルプカトアルキル−2−ピロリドン、N−メルカプトエチル−2−ピロリドン、N−アルキル−2−チオピロリドン、N−メチル−2−チオピロリドン、N−ヒドロキシアルキル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、及びこれらの混合物からなる群から選択される溶媒であって、 溶液の温度を下げることにより、又は溶液の圧力をイソフタル酸から溶媒がフラッシュ蒸留するのに充分となるまで下げることにより、前記溶液から精製したイソフタル酸を結晶化させ、 溶液から結晶化した精製イソフタル酸を分離し、 精製イソフタル酸ケーキを、N−メチルピロリドン、p−キシレン、メタノール、アセトン、及びメチルエチルケトン、並びにイソフタル酸で飽和されたこれらの溶媒からなる群から選択される洗浄溶媒又はイソフタル酸飽和溶媒で洗浄して、母液及び色物質を置換し、そして 洗浄したイソフタル酸ケーキを水中において高温で再溶解させるかソーキングさせる、工程を含む前記方法。 前記ディスパージョンが3−カルボキシベンズアルデヒド及びm−トルイル酸を含む、請求項1記載の方法。 前記溶液の温度を5〜100℃にまで下げる、請求項1記載の方法。 前記溶液の温度を10〜45℃にまで下げる、請求項3記載の方法。 前記選択性結晶化溶媒がN−メチルピロリドンである、請求項1記載の方法。 洗浄溶媒が、N−メチルピロリドン又はイソフタル酸飽和N−メチルピロリドンである、請求項5記載の方法。 精製イソフタル酸を結晶化する前記工程と該結晶化した精製イソフタル酸を分離する工程との間に、水、メタノール、メチルエチルケトン及びアセトンからなる群から選択される置換溶媒で前記選択性結晶化溶媒を置換する工程を更に含む、請求項1記載の方法。 前記置換溶媒が水である、請求項7記載の方法。 精製イソフタル酸ケーキの再溶解又はソーキングを180〜280℃の温度で行い、最後の痕跡量の結晶化溶媒を取り除き、イソフタル酸を得る、請求項1記載の方法。 反応溶媒中でメタキシレンを酸化して、これのリキッドディスパージョンを生成させ(ここで、該ディスパージョンは、未反応出発物質、混入した反応溶媒、副反応生成物又はその他の望ましくない物質から選ばれる不純物を含んでいる)、 前記ディスパージョンを濾過して、粗製イソフタル酸フィルターケーキを生成させ、 フィルターケーキを選択性結晶化溶媒中で50〜200℃の高温において溶解して、溶液を生成させ、前記選択性結晶化溶媒は、選択的に前記イソフタル酸を結晶化させ、N−アルキル−2−ピロリドン、N−エチルピロリドン、N−メルプカトアルキル−2−ピロリドン、N−メルカプトエチル−2−ピロリドン、N−アルキル−2−チオピロリドン、N−メチル−2−チオピロリドン、N−ヒドロキシアルキル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、及びこれらの混合物からなる群から選択される溶媒であって、 溶液の温度を下げることにより、又は溶液の圧力をイソフタル酸から溶媒がフラッシュ蒸留するのに充分となるまで下げることにより、前記溶液から精製したイソフタル酸を結晶化させ、 溶液から結晶化した精製イソフタル酸を分離し、 精製イソフタル酸ケーキを、N−メチルピロリドン、p−キシレン、メタノール、アセトン、及びメチルエチルケトン、並びにイソフタル酸で飽和されたこれらの溶媒からなる群から選択される洗浄溶媒又はイソフタル酸飽和溶媒で洗浄して、母液及び色物質を置換し、 洗浄したイソフタル酸ケーキを水中において高温で再溶解させるかソーキングさせる、工程を含むイソフタル酸の製造方法。 前記メタキシレンが酸化される溶媒が酢酸である、請求項10記載の方法。 前記ディスパージョンが3−カルボキシベンズアルデヒド及びm−トルイル酸を含む、請求項10記載の方法。 前記溶液の温度を5〜100℃にまで下げる、請求項10記載の方法。 前記溶液の温度を10〜45℃にまで下げる、請求項13記載の方法。 前記選択性結晶化溶媒がN−メチルピロリドンである、請求項10記載の方法。 前記精製イソフタル酸ケーキの洗浄工程において、N−メチルピロリドン、p−キシレン、メタノール、アセトン、及びメチルエチルケトン、並びにイソフタル酸で飽和されたこれらの溶媒からなる群から選択される洗浄溶媒が用いられる、請求項10記載の方法。 洗浄溶媒が、N−メチルピロリドン又はイソフタル酸飽和N−メチルピロリドンである、請求項16記載の方法。 精製イソフタル酸を結晶化する前記工程と該結晶化した精製イソフタル酸を分離する工程との間に、水、メタノール、メチルエチルケトン及びアセトンからなる群から選択される置換溶媒で前記選択性結晶化溶媒を置換する工程を更に含む、請求項10記載の方法。 前記置換溶媒が水である、請求項18記載の方法。 精製イソフタル酸ケーキの再溶解又はソーキングを180〜280℃の温度で行い、最後の痕跡量の結晶化溶媒を取り除き、イソフタル酸を得る、請求項10記載の方法。


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