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タイトル:特許公報(B2)_被分析物の蛍光ランタニドキレートによる検出
出願番号:2000535930
年次:2011
IPC分類:G01N 21/78,G01N 33/66


特許情報キャッシュ

エドウィン・エフ・ウルマン アレクサンドレ・ブイ・ニコライチック ジョージ・ワイ・ダニロフ デイビッド・パーカー アーサー・イー・コルビン アリストル・ジー・カリブレテノス JP 4625180 特許公報(B2) 20101112 2000535930 19990311 被分析物の蛍光ランタニドキレートによる検出 センサーズ・フォー・メディシン・アンド・サイエンス・インコーポレイテッド 500425068 田村 恭生 100068526 鮫島 睦 100100158 品川 永敏 100126778 森本 靖 100150500 山中 伸一郎 100156111 エドウィン・エフ・ウルマン アレクサンドレ・ブイ・ニコライチック ジョージ・ワイ・ダニロフ デイビッド・パーカー アーサー・イー・コルビン アリストル・ジー・カリブレテノス US 09/037,960 19980311 20110202 G01N 21/78 20060101AFI20110113BHJP G01N 33/66 20060101ALI20110113BHJP JPG01N21/78 CG01N33/66 B G01N 21/75-21/83 G01N 33/66 CA/REGISTRY(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) 特開平09−169772(JP,A) 特開昭59−068673(JP,A) David Parker et al.,Luminescent chemosensors for pH, halide and hydroxide ions based on kinetically stable, macrocyclic europium-phenanthridinium conjugates,Chem. Commun.,1997年,1777-1778 Tony D. James et al.,Novel Saccharide-Photoinduced Electron Transfer Sensors Based on the Interaction of Boronic Acid and Amine,J. Am. Chem. Soc.,1995年,117 (35),8982-8987 17 US1999005290 19990311 WO1999046600 19990916 2002506973 20020305 61 20060307 廣田 健介 【0001】関連出願についての相互参照この出願は、1998年3月11日に出願された米国特許出願番号09/037,960号の部分継続出願である。【0002】連邦政府により後援される研究、または、開発に関する申告適用されていない。【0003】発明の背景1.発明の分野本発明は、液体等の媒質中の被分析物(analyte)の存在、または、濃度を検出するための指示薬分子(indicator molecule)として有用な蛍光化合物、及び、そのような検出を成し遂げるための方法に関する。特に、本発明は、置換された配位子を含む蛍光ランタニド金属キレート錯体、及び、生物学的体液等の液体媒質を含む媒質中のグルコース、若しくは、シス-ジオール化合物等の被分析物の存在、または、濃度を検出するための指示薬分子としてのその使用に関する。【0004】2.関連技術の説明ある種の希土類金属キレートはUV光、及び、種々の形体の可視光(例えば、青紫または青の光)の照射により、キレート化されたカチオンにより特性付られる放射である可視光を放射する。ユーロピウム(Eu3+)、サマリウム(Sm3+)、テルビウム(Tb3+)、及び、より少ない割合でジスプロシウム(Dy3+)及びネオジム(Nd3+)等である幾つかのランタニドイオンは、特に適当な励起エネルギー媒介有機配位子にキレート化されている場合に、イオンにより特性付けられる独特の蛍光を示す。これら化合物の蛍光特性、即ち、長いストークス遷移、狭帯域型の輝線、及び、非常に長い蛍光寿命は、これらの化合物を蛍光免疫、並びに、時間分解蛍光測定技術における魅力的な候補としている。【0005】これらの蛍光ランタニドキレートの主要輝線は、超高感度遷移(hypersensitive transition)と呼ばれる遷移により形成され、Eu3+では約613〜615nm、Tb3+では545(及び490)nm、Sm3+では590及び643nm、そして、Dy3+では573nmである(Hemmila,Application of Fluorescence in Immunoassay,140〜42(1991年)、及び、Spectroscopy in Inorganic Chemistry,第2巻,第255〜85頁(Acadmic Press 1971年)参照)。配位子から中央の金属イオンへの分子内エネルギー遷移のため、有機配位子に特有の波長で放射はキレートにより一般的に吸収され、金属イオンに特有の線スペクトルとして放射される。有機配位子はエネルギーを吸収し、その一重項基底状態S0から、最初の一重項励起状態S1の振幅多重項のいずれかに高められるか、または、励起され、過剰な振幅エネルギーを迅速に失う。これについては、2つの可能性が存在する:S1〜S0遷移(配位子蛍光)による減退、または、三重項状態T1の1つへの項間交差である(E.P.Diamandisら、Analytical Chemistry,62(22)1149A(1990年);及び、Spectroscopy in Inorganic Chemistry,第2巻,第255〜85頁(Academic Press,1971年)。【0006】蛍光ユーロピウムキレートは、励起及び放射スペクトルの間で重複を生じることなく、大ストークス遷移(〜290nm)を615nmにおける非常に狭い(10〜nmバンド幅)放射スペクトルと共に示す。さらに、キレートの長い蛍光寿命(慣用の発色光団についてはナノセカンドの寿命が測定されるのに対し、マイクロセカンドで測定可能)はノイズ、及び、他の短い蛍光寿命を有する干渉を取り除くことを可能にする。従って、長い蛍光寿命は、キレートをマイクロセカンド時間-分解蛍光測定で使用することを可能にし、さらに、観察されるバックグラウンドシグナルを減少させる。ユーロピウムキレートを用いるさらなる利点には、ユーロピウムキレートが酸素により消光されないことが含まれる。【0007】Eu-ジベンゾイルメチド、及び、Eu-ベンゾイルアセトネートの2つのユーロピウム(Eu)キレートの線放射は、キレートをレーザーで用いる魅力的な候補とした(H.Samuelsonら、J.Chem.Physics,39(1):110〜12(1963年)参照)。Samuelsonらは、上記2つのユローピウムキレートの固体として、及び、液体中の、蛍光及び吸収について研究した。Samuelsonらは、種々の条件下におけるユーロピウムキレートの蛍光寿命を、他の化合物中のユローピウムの蛍光寿命と比較した。この比較に基づいて、Samuelsonらは、ユーロピウム化合物の2つのグループ間における寿命の違いは、ユーロピウムキレート内の配位子Eu相互作用の結果であると示唆している。特に、Samuelsonらは、Eu-ジベンゾイルメチドからの種々の放射線が、他のユーロピウム化合物中の蛍光寿命よりも明らかに大きい、480+/−50μsの蛍光寿命を示すことを測定した。【0008】Crosbyら(J.Chem.Physics,34:743(1961年))は、ユーロピウムジベンゾイルメチド及びユーロピウムベンゾイルアセトネートキレートを含む、希土類金属キレートからのイオン放射の感光における分子内エネルギー遷移の役割について、以前研究した。Whanら(J.Mol.Spectroscopy,8:315〜27(1962年))は、ランタニド金属イオン(Eu3+、Tb3+、Dy3+及びSm3+)グループのキレートからの放射は、個々の希土類金属イオンに特有の輝線スペクトルにより占められていると報告している。Whanらは、Eu3+及びTb3+のベンゾイルアセトネート、並びに、ジベンゾイルメチドの両方が特に明るいエミッターであり、これらのキレートの輝線放射、及び、低収量の燐光は、これらのキレートの配位子からEu3+及びTb3+イオンへの分子内エネルギー遷移が効率的に起こることを示唆することを発見した(Whanら、第324頁)。【0009】N.Filipescuら(J.Physical.Chem.,68(11):3324(1964年))は、ユーロピウム及びテルビウムβ-ジケトンキレートの蛍光スペクトルが、キレート内の有機配位子部分の置換基が変えられると変化することを報告している。Filipescueらは、置換基の性質、その位置、分子配置、及び、全体の分子内エネルギー遷移に関する、ユーロピウム及びテルビウムキレートの相対強度、分光分布、遷移、及び、蛍光線の分裂について議論している。Filipescuらは、イオンの全体的な蛍光強度特性は2つの要因に依存することを発見した:1)有機三重項において利用可能なエネルギー量、及び、2)イオンへのエネルギー遷移の効率。【0010】Filipescuらはまた、上記2つの要因が異なる置換基により変化することを見つけた。例えば、ユーロピウムジベンゾイルメチドキレートの、キレートのメタ位における電子供与メトキシ基による置換は、ユーロピウムイオンによる蛍光放射を増幅し、パラメトキシ置換は、ユーロピウム蛍光を減少させることが見つけられた。さらに、モノメトキシ置換ジベンゾイルメチドに比べて、ジメトキシ置換の効果の方がより著しいものであった。それに対して、ユーロピウムのニトロ置換ジベンゾイルメチドでは、逆の効果が観察された。パラまたはメタ位に結合された電子求引ニトロ基は、ユーロピウムの全体的なイオン放射を減少させることが見つけられた。さらに、モノ置換ジベンゾイルメチドよりもジ置換で効果はより著しかった。【0011】Filipescuらはさらに、ユーロピウム パラ-フェニルジベンゾイルメチドにより放射される強いイオン性の蛍光が、芳香系の大きさを増すことにより、ユーロピウムイオンへ遷移されるエネルギー量が増幅されることを示唆することを見つけた。この事実は、ジベンゾイルメチドキレートよりも実質的に高いイオン放射を有することが見つけられたナフチル置換ジケトンについて得られた放射結果により確認された(Filipescuら、第3328〜29頁)。【0012】F.Diamandisら(Analytical Chemistry,62(22):1149A(1990年))は、ユーロピウムキレートをどのように蛍光免疫分析、及び、DNAハイブリダイゼーション分析で標識として用いることができるかを記載する。蛍光免疫分析については、著者らは、ユーロピウムキレートを免疫学的標識として、競合または非競合分析の両方を含む、種々の分析の設定において用いることができることを記載する。【0013】米国特許第4,374,120号(Soiniら)には、蛍光ランタニドキレート錯体をマーカーとして用いた物質の検出方法が記載される。米国特許第4,374,120号にはまた、特にユーロピウム及びテルビウムのキレートである、ある種のランタニドキレートの強い蛍光特性を増進させる増幅配位子としてのβ-ジケトンの使用が記載される。【0014】Wallac(Turku,Finland)は、免疫分析を行うための放射タグの代わりとなる、以下の構造を有するランタニド金属キレートを開発した:【化19】Wallac分子は、希釈溶液中で非常に効率良く振舞うことが示された(Hemmila,Applications of Fluorescence in Immunoassay,第149頁(1991年)参照)。【0015】生物学的体液等の水溶液中でランタニド金属キレートを用いるには、特定の条件が必要とされる。例えば、キレートは、まず水溶液に溶解され、次にランタニドイオンの空の配位部位を満たす傾向がある水分子で消光されないようにしなければならない。しかしながら、ホスフィン、ホスフィンオキシド、若しくは、窒素複素環等の種々の付加物、または、ルイス酸が配位子構造に加えて、ランタニドイオンの周りに「絶縁シート」を形成し、錯体の内域に水分子が浸透するのを防ぐことにより蛍光を増幅するのに用いられてきた。例えば、水系中でのランタニドの蛍光測定決定のために開発された溶液(例えば、免疫分析)は、共力作用剤(synergistic agent)を形成する付加物としてβ-ジケトン、及び、酸化トリオクチルホスフィン(「TOPO」)、並びに、ミセルを形成し対応する錯体を可溶化するのを助ける界面活性剤(例えば、TritonX100)を含む(Applications of Fluorescence in Immunoassay,第146〜47頁参照)。【0016】ランタニド金属キレート錯体は、グルコース及び他のシス-ジオールを、キレート錯体中に含まれる1個若しくはそれ以上の配位子を介して検出するボロネート基等の独立した、特異的な認識要素の形体を用いることによる被分析物の敏活な検出を目的として試験、または、構築されたことはない。先に議論したように、ランタニド金属キレートは、レーザー色素、放射性同位体に代わる標識、及び、免疫分析における標識としての抗体付着物として用いるために主として研究されてきた。ランタニド金属キレートはまた、テトラサイクリンを検出する定性分析的手法で用いられてきた。【0017】グルコースは、生きた生物に不可欠の有機化合物であり、このような生物における情報伝達、エネルギー代謝、及び、構造形成に重要な役割を果たす。例えば、グルコース、そして中でもD-グルコースは、種々の器官を構成する多様な細胞において非常に重要なエネルギー源である。グルコースは肝臓では、エネルギー消費により必要に応じて体液中に放出されるグリコーゲンとして蓄えられる。グルコースの産生及び消費は、正常または健康な人間の体液中ではうまくバランスが取れており、体液中でのグルコース濃度は一定に保たれる。従って、血液中または尿中のグルコースのより低いレベル、若しくは、より高いレベルの検出は、糖尿病及び副腎機能不全等の病気の診断のための有用な情報を提供する。【0018】酵素(例えば、Yellow Springs Instruments(YSI),Ohio製造)を用いたグルコースセンサーは、グルコースを検出するのに最も良く知られた実用的な測定器として知られる。この技術は、グルコースを酵素(グルコースオキシダーゼ)で分解して、適当な手段(電極等により)を介して分解により産生された過酸化水素の量を測定することを含む。この方法はよく確立されているが、生体に由来する酵素の質は、時間と共に不可逆的に変化し、再利用のために再生することができない。さらに、グルコースは実際に検出反応において消費されるので、低レベルの被分析物の測定におけるグルコースセンサーの本来の能力は限られたものである。【0019】ホウ素酸含有化合物が、グルコースに結合することは周知である。以下のように、その機構はグルコース上の隣接した水酸基の、ボロネート部分の水酸基への結合により起こると考えられている:【化20】グルコースを含む炭水化物のフェニルホウ素酸との錯体形成は、昔から知られており、その相互作用の可逆性は、糖のクロマトグラフィーによる分離の基本原理となってきた。特に、1959年にLorand及びEdwardsは、フェニルホウ素酸の多くの飽和ポリオールとの水性会合の会合定数について報告しており、結合相互作用は非常に弱い(例えば、エチレングリコール、Kd=360mM)範囲から、中程度の強さ(例えば、グルコース、Kd=9.1mM)の範囲にわたった(J.Yoonら、Bioorganic and Medicinal Chemistry,1(4):267〜71(1993年)参照)。【0020】米国特許第5,503,770号(Jamesら)には、グルコースを含む糖類への結合により強い強度の蛍光を放射する蛍光ホウ素酸含有化合物が記載される。蛍光化合物は発色光団、少なくとも1つのフェニルホウ素酸部分、及び、ホウ素酸と分子内相互作用するよう窒素原子がフェニルホウ素酸分の付近に配置された、少なくとも1つのアミン供与窒素原子を含む分子構造を有する。このような相互作用はそれにより、化合物が糖類の結合により蛍光を放射するようにする。米国特許第5,503,770号には、該化合物が糖類を検出するのに適当であると記載される(また、T.Jamesら、J.Am.Chem.Soc.,117(35):8982〜87(1995年)も参照)。【0021】さらに、アントリルホウ素酸含有化合物を用いた、血中グルコースを検出するための蛍光センサーが公知である。例えば、J.Yoonら(J.Am.Chem.Soc.,114:5874〜5875(1992年))は、アントリルホウ素酸を、グルコースとフルクトースの結合を含む炭水化物の結合を示す蛍光化学センサーとして用い得ることを記載する。【0022】本発明の目的は、液体または気体等の媒質中の被分析物の存在、または、濃度を、キレート錯体の1個またはそれ以上のキレーターへの被分析物特異的認識要素を介した被分析物の結合により、ランタニド金属キレート錯体により放射される蛍光のいずれかの変化を測定することにより検出することである。【0023】本発明の別の目的は、被分析物特異的認識要素含有ランタニド金属キレート錯体を、液体等の媒質中のグルコース、若しくは、他のシス-ジオール化合物等の被分析物の存在、または、濃度を検出するための指示薬分子として提供することである。【0024】発明の簡単な説明本発明は、式:M(――Ch(−RX))Yを有する蛍光ランタニド金属キレート錯体を含む、被分析物の存在または濃度を検出するための指示薬分子に関する。式中、Mはランタニド金属イオンを表し;Chは、配位子を含むキレーター、好ましくはβ-ジケトン、若しくは、その窒素体アナログ、ジヒドロキシ、カルボキシ配位性複素環、エノール、大二環状クリプタイド(即ち、ケージ型配位子)、フェニルホスホン酸、または、ポリアミノ-ポリカルボキシル酸のいずれか1個、若しくは、それ以上を含み得る有機配位子を表す。Chの有機配位子はまた、窒素、硫黄の複素環、及び、結合されたカルボキシル基のいずれか1個またはそれ以上を含み得る。Chの有機配位子はさらに、好ましくは1〜10個の炭素原子を含むアルカン、またはアルケン基、同様に、ベンジル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、若しくは、テトラシル基を含む芳香族、炭素環式、または、複素環式部分のいずれか1個、若しくは、それ以上を含み得る。さらに、Mと結合された、1個またはそれ以上のキレーターは、同じもの、または、異なるキレーターの混合物(所謂、「混合配位子、または、三成分キレート(ternary chelates)」)であってもよい。【0025】Rは、被分析物特異的認識要素を表し、その1個またはそれ以上が、キレート錯体の1個またはそれ以上の配位子に結合するが、キレート錯体の全ての配位子に結合している必要はない。本発明の好ましい態様においては、Rは、グルコース若しくは他のシス-ジオール化合物を検出するためのボロネート(boronate)基、または、ボロネート基を含む化合物であり得る。【0026】Xは、1以上のキレーター各々に結合した認識要素Rの数を表す。Xは0〜8までの整数であり得、そして本発明の或る好ましい態様では、X=0〜4、または、X=0〜2である。さらに、1個またはそれ以上のキレーターについてX>0であるなら、1個またはそれ以上のキレーターの各々に結合した認識要素Rの数は同じであっても異なっていてもよい。Yは、Mと結合したキレーターの数を表し、1〜4までの整数であり得る。本発明の或る好ましい態様では、Y=1、Y=3またはY=4である。【0027】本発明はまた、上述のように、蛍光ランタニド金属キレート錯体に関する。【0028】本発明はさらに、上述の指示薬分子、及び、蛍光ランタニド金属キレート錯体を利用した、被分析物の存在または濃度の検出方法に関する。該方法は、上で定義した構造式を有する蛍光ランタニド金属キレート錯体を含む指示薬分子に試料を曝露し、ランタニド金属キレート錯体により放射される蛍光のいずれかの変化を測定し、そしてそれにより被分析物の存在または濃度を検出する工程を含む。【0029】本発明では、被分析物の存在または濃度は、1個またはそれ以上の被分析物特異的認識要素を介してのキレート錯体の1個またはそれ以上のキレーターへの被分析物の結合によりランタニド金属キレート錯体により放射される蛍光のいずれかの変化を測定することにより検出される。特に、グルコース若しくは他のシス-ジオール化合物等の被分析物の存在、または、濃度は、グルコース若しくは他のシス-ジオール化合物の検出の場合にはボロネート含有認識要素であるキレートの被分析物特異的認識要素への被分析物の結合により、蛍光金属イオンにより放射される蛍光の強度または寿命の変化(即ち、蛍光の減衰、増幅、または、波長の遷移)を観察、及び/または、測定することによる決定される。【0030】本発明は、十分な長さの蛍光寿命(ナノセカンドではなくマイクロセカンドで測定可能)、同じく長いストークス遷移を有することにより、被分析物検出の感度を減ずる全てのバックグラウンドノイズ、及び、他の干渉をも減らし、濃度により消光されない蛍光指示薬分子を用いることにより、被分析物特異的方法により液体若しくは気体等の媒質中で、グルコースまたは他のシス-ジオール化合物等の被分析物を検出できるという利点を提供する。【0031】図面の簡単な説明本発明の指示薬分子の好ましい態様は、添付の図面を参照として説明する。ここで:図1は、本発明のホウ素酸(boronic acid)含有ユーロピウムキレートを示す(判りやすくするため、1つの配位子のみを示す)。図2もまた、本発明のホウ素酸含有ユーロピウムキレートを示す。図3は、多数のホウ素酸含有配位子を含むユーロピウムキレート錯体の、トリオクチルホスフィン酸(「TOPO」)存在下の水溶液を示す。図4は、本発明のホウ素酸含有ユーロピウムキレートを含むエタノール溶液にカテコールを添加した効果を示す。図5は、ユーロピウムβ-ナフトイルトリフルオロアセテート(Eu-bNTA)を含むエタノール溶液へのカテコール添加の効果を示す。図6〜8は、Eu-NTA-ボロネートのメタノール中のグルコースによる滴定を示す。図9は、ユーロピウムジベンゾイルメタン(Eu(DBM))、及び、Eu(ホウ素酸化DBM)の、メタノール中のグルコース及びフルクトースによる滴定の比較を示す。図10は、Eu-NTAホウ酸塩の、メタノール中のグルコースによる滴定を示す。図11は、Eu-DBMホウ酸塩の、メタノール中のグルコース及びフルクトースによる滴定を示す。図12は、Eu(テオニル-4-ベンゾイルメタンホウ酸)の、メタノール中のグルコースおよびフルクトースによる滴定を示す。図13は、Eu(ベンゾイル-トリフルオロメチルアセトンホウ酸)の、メタノール中のグルコース及びフルクトースによる滴定を示す。【0032】発明の詳細な説明上述したように、本発明では、被分析物の存在または濃度が、指示薬分子中の1個またはそれ以上の被分析物特異的認識要素を介して被分析物に結合した後、蛍光指示薬分子により放射される蛍光の強度、若しくは、寿命の変化を観察、及び/または、測定することにより決定される。蛍光指示薬分子は、式:M(――Ch(−RX))Yを有するランタニド金属キレート錯体を含む。式中、Mはランタニド金属イオンを表し;Chは、β-ジケトン若しくはその窒素アナログ、ジヒドロキシ、カルボキシル配位性複素環、エノール、大二環状クリプタンド(即ち、ケージ型配位子)、フェニルホスフィン酸、シクレン(cyclen)(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカンのテトラ脂肪族カルボン酸塩またはホスホン酸塩)、または、ポリアミノ-ポリカルボキシル酸のいずれかを1個、若しくは、それ以上含む、好ましくは有機配位子である配位子を含むキレーターを表す。Chの有機配位子はまた、窒素、硫黄の複素環、及び、結合されたカルボキシル基のいずれかを1個若しくはそれ以上含んでもよい。【0033】Rは、被分析物特異的認識要素を表し、その1個またはそれ以上が、キレート錯体の1個またはそれ以上の配位子に結合しているが、キレート錯体の全ての配位子に結合している必要はない。本発明の好ましい態様においては、Rは、グルコース、または、他のシス-ジオール、または、シス-ジオール作用性化合物を検出するための基であり得る。このような基には、ボロネート、亜砒酸塩、及び、ゲルマニウム酸塩、並びに、これらの基を含む化合物が含まれる。代表的なボロネート含有化合物には、以下の一般的な構造を有するものが含まれる(各構造式において、R'及びR''は、各々独立して、融合されたアリール、脂肪族、第一級、第二級若しくは第三級アミン、アミド、カルボキシル、ケトン、エステル、アルコール、または、アルデヒドであり;Y及びZは、各々、独立して脂肪族、アルコキシ、または、アリールである):【化21】(式中、左側の構造式においてnは0または1であり、右側の構造式において0、1または2である);【化22】(式中、nは1である);【化23】(式中、nは0または1である);【化24】(式中、nは2である);【化25】(式中、mは0〜5であり、nは1または2である);及び、【化26】(式中、nは0または1であり、ホウ素酸及びアミン置換基は、1対として位置1及び10、3及び4、6及び7、7及び8、または、9及び10に位置される)。【0034】幾つかの特定のボロネート含有化合物には:【化27】【化28】【化29】【化30】【化31】【化32】が含まれる。グルコース以外のシス-ジオール被分析物化合物の例には、フルクトース及びグリセロール等の他の糖が含まれる。ドパミン、エピネフリン及びノルエピネフリンなどのホルモンを含むカテコール(o-ジヒドロキシベンゼン)及びカテコールアミンは、ボロネート認識要素との反応性に関して、シス-ジオールに良く似た隣接した(オルト)ヒドロキシル基を含む。【0035】ランタニド金属イオンMは、ユーロピウム(Eu3+)、サマリウム(Sm3+)、テルビウム(Tb3+)、ジスプロシウム(Dy3+)、またはネオジミウム(Nd3+)のものであり得、好ましく、ユーロピウム(Eu3+)、またはテルビウム(Tb3+)のイオンである。【0036】キレーターChの配位子はまた、好ましくは1〜10個の炭素原子を含むアルカンまたはアルケンの何れか1つ、または、それ以上を含む有機配位子であり得、そして同じように、ベンジル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、若しくは、テトラシル基を含む芳香族、炭素環式、または、複素環式部分であり得る。配位子はまた、配位子がさらに被分析物特異的認識要素Rが結合され得る部分を含む限り、望ましければ−CF3及びC2F5等の基を含んでもよい。さらに、キレート錯体のいずれかの配位子は、有機でなく無機であってもよい。【0037】Xは、1個またはそれ以上の各キレーターに結合した認識要素Rの数を表す。Xは0〜8までの整数であり得、そして本発明の或る好ましい態様では、X=0〜4、または、X=0〜2である。さらに、1個またはそれ以上のキレーターについてX>0であるなら、1個またはそれ以上のキレーターの各々に結合した認識要素Rの数は同じであっても異なっていてもよい。Yは、Mと結合したキレーターの数を表し、1〜4までの整数であり得る。本発明の或る好ましい態様では、Y=1、Y=3またはY=4である。【0038】本発明の或る種の態様においては、キレーターの1個またはそれ以上が被分析物特異的認識要素Rを含まない場合、ランタニド金属キレート錯体は異なるキレーターの混合物を含んでもよい。このような、三成分配位子キレートとしても知られる混合配位子キレートを用いる利点には、ポリアミノ-ポリカルボキシル酸等の有機配位子が、β-ジケトン等の他の配位子と比べて水溶性であることが含まれる。そのため、本発明の少なくとも1つの態様では、ランタニド金属キレート錯体は、第1に、1個またはそれ以上の被分析物特異的認識要素を含む1個またはそれ以上のβ-ジケトン、及び、第2に、ポリアミノ-ポリカルボン酸等のキレート錯体の水溶性を促進する、1個またはそれ以上の他の配位子を含み得る。【0039】本発明の他の態様では、キレート錯体の1個またはそれ以上のキレーターはさらに、−NH2基若しくは−OH基、または、キレート錯体がポリリシン若しくは他の固体担体等のリンカー若しくはポリマーに共有結合できるその他のいずれかの置換基を含み得る。【0040】錯体の光吸収部分からランタニド金属イオンへのエネルギー遷移を達成するために、光吸収部分の三重項エネルギーは好ましくは約230kJ/molより大きい。好ましい光吸収部分には、フェナントリジン(258kJ/mol)、ソラレン(262kJ/mol)、フェノキサジン(261kJ/mol)、フェナントレン(258kJ/mol)、トリフェニレン(280kJ/mol)、ベンゾフェノン(287kJ/mol)、カルバゾール(293kJ/mol)、及びクマリン(258kJ/mol)が含まれる。【0041】本発明のランタニド金属キレート錯体の蛍光は、1個またはそれ以上の認識要素Rを介した、1個またはそれ以上のキレート錯体のキレーターへの被分析物の結合により、被分析物特異的に変化する。【0042】本発明の蛍光指示薬分子は、被分析物特異的認識要素と反応性で、それにより特異的に検出され得る、種々の異なる可能な化学的被分析物を検出するのに用いることができる。本発明を用いて検出される好ましい被分析物は、グルコース、フルクトース、及び、その他のシス-ジオール化合物等の被分析物である。しかしながら、選択する認識要素に依存し、本発明の指示薬分子はその他多くの被分析物を検出においても有用である。例えば、以下の分子はpH指示薬として有用となる認識要素を有する(Lippitschら、Sensors and Actuators,B 38〜39(1997年)96〜102参照):【化33】さらに次のものは、亜鉛被分析物を結合するのに使用し得る認識要素を含む、多くの可能な化合物の1つである(例えば、Hustonら,JACS,110,4460(1988年)参照):【化34】示されるように、亜鉛の結合はこの指示薬分子、及び、他のこれと同様に類似の認識要素を含む指示薬分子の蛍光を増加させる。さらに次のものは、カリウム被分析物を検出するのに使用し得る認識要素を含む、多くの可能な化合物の1つである(例えば、Sousaら、ACS Symposium Series,538(1992年)第10〜24頁参照):【化35】この化合物では、カリウムイオンはクラウンエーテル部分内に配位され、分子のアニリン部分がフェナントリジン部分へと折り重なるような立体構造変化が起こり、蛍光が消光される。【0043】本発明の指示薬分子を用いて検出可能な化学的被分析物は、種々の異なる固体、気体、及び、液体形体で存在し得る。さらに、液体及び気体媒質の両方を含む種々の媒質中で、本発明の指示薬分子を用いて被分析物を検出し得る。【0044】本発明の蛍光化合物には、エネルギー、医薬、及び、農業の分野での指示薬分子としての使用を含む、多数の可能な有用性が存在する。例えば、蛍光化合物は血中または尿中のグルコースの、より低いレベル、または、より高いレベルを検出するのに使用でき、従って、糖尿病及び副腎機能不全等の病気の診断において有用な情報を提供する。医用/医薬のヒト治療へ適用するグルコースの産出は、モニタリング及び管理を必要とする。本発明の農業における可能な使用には、大豆、及び、他の農産物中のグルコース等の被分析物の量の検出が含まれる。ワイン用ブドウ等の高価な産物についての重大な収穫決定では、グルコースは注意深くモニターされなければならない。グルコースは、発酵工程で最も高価な炭素源及び供給原料であるので、最適の反応器への供給速度調整におけるグルコースのモニタリングは、大量アルコール生産では重要である。その製造に、国際的に最も大量のグルコース、及び、発酵可能な(シス-ジオール)糖が消費される清涼飲料、及び、発酵飲料の生産でも、反応器での混合、及び、グルコース濃度の調整が品質調整に重要である。【0045】本発明の蛍光化合物を使用し得る、種々の検出技術もまた公知である。例えば、本発明の蛍光化合物は蛍光検出装置(例えば、米国特許第5,517,313号)で用いることができ、また、視覚検査のための試験紙等のポリマー性材料に結合させ得る。この後者の技術により、例えば、リトマス紙の一片によるpHの決定に類似の方法によるグルコース測定が可能となる。本明細書中に記載される蛍光分子はまた、島津、日立、Jasco、Beckman及び、その他により製作される分光蛍光計、または、臨床分析器等の標準的な机上分析用機器類で用いる単純な試薬として使用され得る。これらの分子はまた、Ocean Optics(Clearwater,Florida)、または、Oriel Opticsにより製造されるファイバーオプティックを用いたセンサー、及び、分析蛍光器での被分析物特異的な化学的/光学シグナル変換を可能にする。【0046】本発明の好ましい態様においては、その1個またはそれ以上がランタニド金属イオンに錯体化され得る、種々の可能なキレーターは有機配位子を含み、それに1個またはそれ以上のボロネート基が被分析物特異的認識基Rとして結合されている。それらの例が以下に示される。【0047】A.β-ジケトン本発明のランタニド金属キレート錯体のキレーターChは、β-ジケトンをベースとする配位子であり得、その例が以下に示される。【化36】【0048】B.大二環状クリプタンド(ケージ型(cage-type)配位子)本発明の他の態様におけるキレーターChは、大二環状クリプタンド(またはケージ型配位子)であり得、その例が以下に示され、次のような形体を有する:【化37】【0049】本発明の別の態様におけるキレーターChは、以下の構造を有する大二環状(macrobicyclic)クリプタンドであり得る。【化38】【0050】C.窒素複素環、及び、カルボン酸配位配位子本発明のランタニド金属キレート錯体のキレーターChの態様にはまた、以下の窒素複素環、及び、カルボン酸配位配位子が含まれる。【化39】【化40】【0051】本発明の最も好ましい蛍光であるボロネート認識要素含有ランタニドキレートのいくつかは、以下の構造を含むユーロピウムキレート(判りやすくするため、1個の配位子のみを持つものを示す)を含む:ユーロピウム-p-ボロネートジベンゾイルメタン(II)【化41】ユーロピウム ジ-p-ボロネートジベンゾイルメタン(III)【化42】ユーロピウム ベンゾイルエチレン メタン-2-ボロネート(IV)【化43】【0052】本発明の好ましい態様では、グルコースまたは他のシス-ジオール化合物に被分析物特異的であるホウ酸酸塩含有認識要素を、蛍光ユーロピウム(テトラキス)β-ナフトイルトリフルオロアセテート(Eu-bNTA)キレートに結合した。キレートの有機配位子部分は、以下に描かれるようにランタニド金属イオン(例えば、ユーロピウム)の周りに殻を形成することが公知であった:【化44】【0053】さらに、ランタニド金属イオンの蛍光消失時間に種々の溶媒が影響する(例えば、水はユーロピウムイオンの蛍光を消失させる)ことがまた公知であった。従って、外殻の有機配位子の被分析物特異的認識要素(例えば、ボロネート含有認識要素)による変更が、ユーロピウムイオンの消失時間を、著しく不安定にするかどうかが研究された。以下のユーロピウムキレートである、ユーロピウム(テトラキス)ナフトイルトリフルオロメタン(Eu-bNTA)ボロネートを合成し、試験した。【化45】【0054】Eu-bNTAは、約340nmの励起波長、及び、他のユーロピウムキレートと同じ約613nmの放射波長を有することが見つけられた。【0055】グルコースを含むシス-ジオールの検出に好ましい他の化合物には、以下のものが含まれる。【化46】【化47】【化48】【化49】【化50】【化51】【化52】【化53】【0056】図4〜5に示されるように、本発明の利点をカテコール(o-ジヒドロキシベンゼン)の、エタノール溶液中のEu-bNTAの蛍光強度、及び、寿命の両方に対する効果を測定する好ましい態様により明らかにした。カテコールをEu-bNTAの存在下でエタノール溶液に添加した後で検出、及び、測定された蛍光強度の変化を図5に示す。ボロネート含有認識要素を含まないEu-bNTAの蛍光寿命は362μs±1μsであったのに対し、Eu-bNTAボロネートの蛍光寿命は270μs±4μsに減った。Eu-bNTAボロネートをカテコールに曝露した後、分子の蛍光寿命はさらに209μs±15μsに減った。【0057】カテコールのEu-bNTAボロネートの蛍光強度、及び、寿命への影響も水中で測定し、キレートのユーロピウムイオンの蛍光を消光することが示された。その後、トリオクチルホスフィン(「TOPO」)を、ユーロピウムキレート錯体の内殻上に位置する配位部位を水の消光効果から保護するために添加した。TOPOのEu-bNTAボロネートを含む水溶液への添加を図3に示す。【0058】Eu-NTAボロネートはまた、メタノール中のグルコースの存在を検出する能力も有していた。特に、Eu-NTAボロネートによるグルコース滴定をメタノール中で行った。グルコース滴定により得られたデータを図6〜8に示す。図6には、グルコースを濃度の増加に対するEu-NTAボロネート滴定を示す。図7には、図6に示される低い範囲のデータの拡大を示す。図7に示される結果は、Eu-NTAボロネートが、およそ4.7mMolの通常の生理的レベル以下の濃度におけるグルコースの存在を検出できることを明らかにする。図7中に表示されるデータより、グルコース濃度の違いは、約0.5mMolより少ない生理的範囲内で区別できることが示される。図7には、その.001mMolグルコースより下のデータ点がきわめて接近しているため、Eu-bNTAボロネートのグルコース濃度変化に対する低い方の側の感度が示されないが、図8には、図7の低範囲部分が、グルコース濃度対I/Iの半対数プロットとして表示される。【0059】図9には、ユーロピウムジベンゾイルメタン(Eu(DBM))及びEu(ホウ素酸塩化DBM)を別々に、メタノール中のグルコース、及び、フルクトースで滴定した結果を示す。特に、グルコース及びフルクトースの濃度は、.0005、.005、.05、1、5、10及び20mMとした。図9中のグルコースB及びフルクトースBについて表示されたデータは、Eu(ホウ素酸塩化DBM)についてのグルコース、及び、フルクトースの滴定を表す。図9の結果から、ホウ素酸塩化されたユーロピウムジベンゾイルメタンの蛍光強度が、約0.01mMより多い濃度のグルコース及びフルクトースに曝された場合、明らかに増加するのに対し、非ホウ素酸塩化Eu(DBM)では、グルコース及びフルクトースの添加により明らかな程には変化しないことが明らかである。特異的な認識要素(例えば、ボロネート)なしでは、ランタニド金属キレート錯体は、グルコース、フルクトースまたはその他のシス-ジオール化合物に対して反応しない。よって、本実施例ではボロネート基である被分析物特異的認識要素を含む本発明のランタニド金属錯体は、グルコース、フルクトース及びその他のシス-ジオール化合物の存在に対して感度を有し、従って、このような及び他の被分析物の存在、または、濃度を検出するのに利用され得る。【0060】図10〜13はさらに、本発明のランタニド金属キレート錯体の、試料中のグルコース及び/若しくはフルクトースの存在または濃度を検出する能力を明らかにする。【0061】上述のように、本発明の蛍光指示薬分子は、多くの異なる型の蛍光センサーで用いることができる。蛍光指示薬分子は、センサー中で、生物学的体液、特にはヒトの体液である液体試料を含む液体試料等の中の、グルコースまたは他のシス-ジオール化合物の存在、または、濃度を検出するのに用いることができる。例えば、本発明に関する蛍光指示薬分子は、グルコースまたは他のシス-ジオール化合物を透過できるポリマーマトリックスに分散され得る。液体媒質等の媒質中のグルコース、若しくは、他のシス-ジオール化合物の存在または濃度は、その後、グルコース若しくは他のシス-ジオール化合物への、1個若しくはそれ以上のボロネート含有認識要素を介した結合後、指示薬分子から放射される蛍光の強度または寿命の変化を測定することにより決定され得る。【0062】米国特許第5,517,313号には、本発明の蛍光指示薬分子を、液体媒質中のグルコース、または、他のシス-ジオール化合物等の被分析物の存在または濃度を決定するのに用い得る蛍光検出装置が記載されている。該特許の開示は、本明細書の一部を構成する。検出装置は、蛍光指示薬分子含有マトリックス(以下、「蛍光マトリックス」と呼ぶ)の層状アレイ、高域濾波器、及び、光検出器を含む。この装置では、好ましくは光放射ダイオード(「LED」)である光源が、少なくとも部分的に指示薬材料内に位置され、光源からの入射光により指示薬分子が蛍光を発するようにされる。高域濾波器は、放射された光が光検出器に達し、光源からの散乱された入射光を除くようにする。【0063】米国特許第5,517,313号に記載される装置で採用されている指示薬分子の蛍光は、グルコースまたは他のシス-ジオール化合物等の被分析物の局在により、例えば、減衰または増幅等の変調を受ける。【0064】米国特許第5,517,313号に記載のセンサーでは、指示薬分子を含む材料は、被分析物を透過できるものである。従って、被分析物は周りの試験媒質から材料中に拡散することができ、それにより指示薬分子より放射される蛍光に影響する。光源、指示薬分子含有材料、高域濾波器、及び、光検出器は、指示薬分子から放射された蛍光の少なくとも一部分が光検出器に影響を与え、取り巻く媒質中の被分析物(例えば、グルコース)の濃度を示す電気的シグナルを生じるように、作られている。【0065】本発明の蛍光指示薬分子を用いた他の態様に関して、共に出願中の米国特許出願第08/855,234号、第08/855,235号、及び、第08/855,236号にも蛍光検出装置が記載される。これら全てが、本明細書中の一部を構成する。【0066】本発明の蛍光指示薬分子は、当業者により、過度な実験をすることなく、以下に記載の一般的製造法と整合する、公知の反応機構及び試薬を用いて製造され得る。【0067】ホウ素酸塩化ユーロピウム テトラキス β-ジケトン錯体の製造法1.Frontier Scientific(Logan,Utah)から入手可能なナフタレン-1-ホウ素酸をトルエンに溶解する。【0068】2.以下に示されるように、ホウ素酸を最初に2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール(Aldrich Chemical Company)と反応させることにより保護(キャップ化)し、Dean-Starkトラップを用いて共沸により水を除き、2,2-ジメチルプロパン-1,3-ジイル 1-ナフチルボロネートを得る:【化54】【0069】3.キャップ化されたホウ素酸を、その後フリーデル-クラフツ反応により、ホウ素酸を、無水酢酸及び三塩化アルミニウムと無水二硫化炭素と反応させることによりアシル化し、2,2-ジメチルプロパン-1,3-ジイル 5-アセチル-1-ナフチルボロネートを製造する。典型的には、およそ70%収量の反応生成物が、粘性の液体として以下のように得られる:【化55】【0070】4.以下のように、その後β-ジケトンを形成し得、ボロネートを、(3)トリフルオロ酢酸エチル(Aldrich)との間で、ナトリウムメトキシド(乾燥エーテル中)を縮合剤として用いて、クライゼン縮合により脱キャップ化することができる:【化56】【0071】5.その後、中間生成物(4)である5-ナフトイル-トリフルオロアセトンホウ素酸を塩化メチレンに溶出することにより、予備シリカゲルTLCにより精製することができる。少なくとも1つの調製において、第3の溶出バンド(Rf=0.70〜0.85)をプレートから回収し、400MHzのプロトンNMRにより分析した。NMRスペクトルは、β-ジケトンのエノール形体に特有のパターンを示し、特に、シグマ6.69(単一)、及び、シグマ15.28(単一の広がった)にピークを示した。【0072】6.以下のように、被分析物特異的認識要素としてボロネート基を含む最終ユーロピウムテトラキス指示薬錯体を、β-ジケトン(4)を、ユーロピウムトリクロライドヘキサハイドレート(Aldrich)、及び、ピペリジンと無水エタノール中で反応させることにより製造した:【化57】【0073】その後、溶液を70℃に3時間加熱する。加熱後、得られた溶液は、手持ち長波UV源の照射により、特有のオレンジ-赤の放射を示した。さらに、島津製蛍光計による蛍光走査により、340ナノメーターの波長におけるピーク励起、及び、ユーロピウム錯体に特有の613ナノメーターのピーク放射波長が見られた。【0074】本発明で有用な化合物を製造するその他の合成方法が以下に示される。【化58】【化59】【化60】【化61】【化62】【化63】【化64】【化65】【化66】【化67】【化68】【0075】上述の合成反応式の局面に関するその他の詳細については以下の文献を参照。これらの文献の内容は、本明細書の一部を構成する:1. Walls,L.P.、JCS(1934年)104〜1092. Reese,C.B.、JCS(1958年)895〜9013. Muth,C.W.ら、J.Medicinal Chem.(1973年)第16巻第3号、19734. Badger,G.M.ら、J.C.S.(1951年)3207〜32115. Ishiyama,T.ら、J.Org.Chem.(1995年)60,7508〜75106. Forrester,A.R.ら、J.C.S.Perlin I,612〜6157. Petterson,R.C.ら、J.Org.Chem.(1974年)第39巻第13号,1841〜18458. Nagarajan,K.ら、Indian Journal of Chemistry,第11巻(1974年2月)112〜1149. Hollingsworth,B.L.ら、J.Chem.Soc.(1961年)3771〜377310.Finkelstein,J.ら、J.Amer.Chem.Soc.(1951年)第73巻,302〜30411.Parker,D.ら、J.Chem.Soc.,Chem.Commun.(1997年)1777〜7812.Stille,J.K.ら、Angew.Chem.Int.Ed.Engl.(1986年)第25巻,508〜52413.Sherry,A.D.ら、Inorganica Chimica Acta(1987年)第139巻,137〜13914.Bansal,N.ら、J.Magnetic resonance Imaging(1992年)第2巻,385〜39115.Sherry,A.D.ら、J.Magnetic Resonance(1988年)第76巻,528〜533【0076】本発明は、さらなる理解のため、以下の実施例により説明される。【0077】実施例Iグルコース及びフルクトースのEu(4-ジベンゾイルメタンホウ素酸)による検出25μlの6.5mM Eu(4-ジベンゾイルメタンホウ素酸)4PyClを、525μlのメタノールに添加し、ヴォルテックスにかけた。メタノール中の貯蔵液(4μM、400μM、4mM及び40mM)から、グルコース及びフルクトースの試料を別々に、2つの糖各々について、0.5μM、5μM、50μM、1mM、5mM、10mM、及び、20mMの濃度で調製した。図9に示される結果は、Euキレート錯体を必要とされる365nmの励起波長で励起した後に、Euキレート錯体の613nmの蛍光放射強度が、別々のグルコース及びフルクトースの試料各々についてモニターされた。【0078】実施例IIユーロピウム テトラキス-5-ナフトイル-トリフルオロアセトンホウ素酸の合成I.2,2-ジメチルプロパン-1,3-ジイル-1-ナフチルボロネート(1)の製造 前駆物質のボロネート基は、ユーロピウムキレート錯体の合成に伴う反応条件により起こる、いずれかの潜在的な逆効果からも、以下の方法によって保護される:Dean-Starkトラップを28時間用いて水を共沸により除きながら、ナフタレン-1-ホウ素酸(15.2グラム、0.0884モル)、及び、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール(10.0グラム、0.0960モル、1.1当量)を、トルエン(200ml)中で還流した。その後、トルエンを単純に蒸留により蒸発させ、続いて、吸引加圧蒸留しながら、約80℃の温度に達するまで2時間加熱した。その後、未反応2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオールを真空下(0.5mm)で除去しながら、60℃で1時間加熱する。2,2-ジメチルプロパン-1,3-ジイル-1-ナフチルボロネートの白色固体(20.94グラム、純度99%)を得た。生成物を1H NMR(CDCl3,400MHz)で確認した。【0079】II.フリーデル-クラフツアシル化:2,2-ジメチルプロパン-1,3-ジイル-5-アセチル-1-ナフチルボロネート(2)の製造 以下の工程に従って、前駆物質の芳香族構造にアセチル基を、ジケトンを形成するために導入した:2,2-ジメチルプロパン-1,3-ジイル-1-ナフチルボロネート(1)(21.0グラム,0.0878モル)を、氷水浴中の250mlの丸底フラスコ中で攪拌しながら、150mlの乾燥二硫化炭素に溶解した。アルミニウムトリクロライド(28.7グラム,0.215モル)を分けて、2時間にわたって添加した。その後、混合物を攪拌し、1時間にわたって、ゆっくりと室温まで温めた。粘着性の、濃い色の半固体がフラスコの内部に沈澱しているのが見られた。混合物を再び氷水浴中で冷却した後、フラスコに還流凝縮器を加えた。その後、無水酢酸(8.93グラム、0.0875モル)を2時間にわたって添加した。その後、反応を開始するために、混合物を40℃に温めた。無水酢酸の添加時、反応の間に起こり得るいずれかの発熱反応を調節するため、反応混合物を時折かきまわす(手回しにより)必要があった。【0080】2時間、反応混合物を室温で放置した後、混合物を1時間かけてゆっくりと50℃に加熱し、その温度で3時間保った。濃い色の固体が反応混合物中で形成するのが観察された。【0081】その後、800mlの氷水、15mlの濃塩酸、及び、250mlの塩化メチレンを、反応混合物をはっきりとした2層に分解、及び、抽出するために用いた。その後、底部の有機層を回収し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、減圧下で80℃で3時間蒸発させ、19.39gのジメチルプロパン-1,3-ジイル-5-アセチル-1-ナフチルボロネート(2)を半固体形体の、78%の収量で得た。【0082】III.クライゼン縮合:5-ナフトイル-トリフルオロアセトンホウ素酸(3)の製造 以下のように、β-ジケトン配位子を形成した:水素化ナトリウムの混合物を、10mlの乾燥エーテル中の2mlのメタノール(0.313グラム、0.01302モル)と反応させた。得られた溶液を減圧下、100℃で2時間乾燥し、固体形体のナトリウムメトキシドを得た。その後、ナトリウムメトキシドを45mlの乾燥エーテルで処置し、氷水浴中で冷却した。その後、トリフルオロ酢酸エチル(1.763グラム、0.0124モル)を添加し、10分後に、20mlの乾燥エーテル中のジメチルプロパン-1,3-ジイル-5-アセチル-1-ナフチルボロネート(2)(3.50グラム、0.0124モル)の溶液を、さらに10分間かけて適下により添加した。その後、混合物を室温で30分間攪拌し、70時間還流するまで加熱した。混合物を氷水浴中で攪拌しながら、25mlの水、及び、8mlの10%塩酸を、水層をpH1まで酸性化するために添加した。フラスコ内にはっきりとした2層が生じた。【0083】その後、エーテルを含んだ最上層を回収し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、そして、減圧下、60℃で1時間蒸発させ、β-ジケトンを濃い色の液体形体(4.36グラム)として得た。得られたβ-ジケトンを、予備(preparative)シリカゲルTLCで塩化メチレンにより抽出することにより精製した。3番目のバンド(Rf=0.70〜0.85)をTLCプレートから、収量25%の5-ナフトイル-トリフルオロアセトンホウ素酸(3)(1.20グラム)を回収した。【0084】生成物をプロトンNMR(400MHz)スペクトルで、シグマ6.69(単一)及びシグマ15.28(単一で広がっている)にピークを有するβ-ジケトンのエノール形体に特有のパターンを持つことにより確認した。【0085】IV.キレート化/錯体化:ユーロピウム-(β-ジケトンホウ素酸)テトラキス錯体(4)の形成 その後、以下のように、蛍光指示薬分子として用いるランタニドキレート錯体を製造した:0.5mlの無水エタノール中のユーロピウムトリクロライドヘキサハイドレート(0.7mg、0.0019ミリモル)の溶液を、0.5mlの無水エタノール中の5-ナフトイル-トリフルオロアセトンホウ素酸(3)(2.2mg、.0058ミリモル)、及び、ピペリジン(130mg)に添加した。この混合物を2時間にわたって、ゆっくりと70℃に加熱し、その温度にさらに3時間保ち、ユーロピウムテトラキス錯体(4)を形成した。【0086】得られた溶液は、手持ち長波UV源の照射により特有のオレンジ-赤の放射を示した。さらに、島津製蛍光計により測定された蛍光スペクトルは、340ナノメーターの波長でピーク励起を示し、613nmのユーロピウムキレート錯体に特有の放射パターンを示した。【0087】本発明を、或る好ましい態様に関連して説明してきた。当業者であれば、本発明の範囲内で変更、及び、改良し得ることを認識する。【図面の簡単な説明】【図1】 本発明のホウ素酸含有ユーロピウムキレートを示す(判りやすくするため1つの配位子のみを示す)。【図2】 本発明のホウ素酸含有ユーロピウムキレートを示す。【図3】 多数のホウ素酸含有配位子を含むユーロピウムキレート錯体の、トリオクチルホスフィン酸(「TOPO」)存在下の水溶液を示す。【図4】 カテコールを本発明のホウ素酸含有ユーロピウムキレートを含むエタノール溶液に添加した効果を示す。【図5】 ユーロピウムβ-ナフトイルトリフルオロアセテート(Eu-bNTA)を含むエタノール溶液へのカテコール添加の効果を示す。【図6】 Eu-NTA-ボロネートのメタノール中のグルコースによる滴定を示す。【図7】 Eu-NTA-ボロネートのメタノール中のグルコースによる滴定を示す。【図8】 Eu-NTA-ボロネートのメタノール中のグルコースによる滴定を示す。【図9】 ユーロピウムジベンゾイルメタン(Eu(DBM))、及び、Eu(ホウ素酸化の、メタノール中のグルコース及びフルクトースによる滴定の比較を示す。【図10】 Eu-NTAホウ酸塩の、メタノール中のグルコースによる滴定を示す。【図11】 Eu-DBMホウ酸塩の、メタノール中のグルコース及びフルクトースによる滴定を示す。【図12】 Eu(テオニル-4-ベンゾイルメタンホウ酸)の、メタノール中のグルコースおよびフルクトースによる滴定を示す。【図13】 Eu(ベンゾイル-トリフルオロメチルアセトンホウ酸)の、メタノール中のグルコース及びフルクトースによる滴定を示す。 ランタニド金属イオン、キレーター、ランタニド金属イオンへのエネルギー遷移のために使用される光吸収部分、およびグルコース−特異的認識要素を含有する蛍光ランタニド金属キレート錯体を含む、グルコースの存在またはその濃度を検出するための指示薬分子であって、ここで、 該キレーターはシクレン配位子を含み、 各ランタニド金属イオンと結合したキレーターの数は1であり; 該キレーターに結合した認識要素の数は1から4であって、該認識要素は該シクレンキレーターと共有結合し、 該ランタニド金属キレート錯体の認識要素が、ボロネートの基を含み;そして、 該錯体の該キレーターへの該認識要素を介したグルコースの結合は該ランタニド金属キレート錯体による蛍光発光の変化を生むことができる、該指示薬分子。 ランタニド金属イオンが、ユーロピウムイオンまたはテルビウムイオンである、請求項1に記載の指示薬分子。 1個またはそれ以上のキレーターがさらに、キレート錯体を固体担体に結合させるための置換基を含む、請求項1に記載の指示薬分子。 キレート錯体を固体担体に結合させるための置換基が、カルボキシル基、−NH2基、または−OH基である、請求項3に記載の指示薬分子。 式:並びに、その誘導体からなる群より選択されるボロネート含有化合物を含み、 ここで、上記全ての構造式において、当てはまる場合には、R'及びR''が各々独立して、融合されたアリール、脂肪族、第一級、第二級若しくは第三級アミン、アミド、カルボキシル、ケトン、エステル、アルコール、または、アルデヒドであり、Y及びZが、各々独立して脂肪族、アルコキシまたはアリールである、請求項1に記載の指示薬分子。 光吸収部分が230kJ/mol以上の三重項エネルギーを有する、請求項1〜5のいずれか1つに記載する指示薬分子。 該光吸収部分が、フェナントリジン、ソラレン、フェノキサジン、フェナントレン、トリフェニレン、ベンゾフェノン、カルバゾール、およびクマリンからなる群から選ばれる、請求項1〜6のいずれか1つに記載する指示薬分子。 ランタニド金属イオン、キレーター、ランタニド金属イオンへのエネルギー遷移のために使用される光吸収部分、およびグルコース−特異的認識要素を含有する、グルコースの存在またはその濃度を検出するための蛍光ランタニド金属キレート錯体であって、ここで、 該キレーターはシクレン配位子を含み、 各ランタニド金属イオンと結合したキレーターの数は1であり; 該キレーターに結合した認識要素の数は1から4であって、該認識要素は該シクレンキレーターと共有結合し、 該ランタニド金属キレート錯体の認識要素が、ボロネートの基を含み;そして、 該錯体の該キレーターへの該認識要素を介したグルコースの結合は該ランタニド金属キレート錯体による蛍光発光の変化を生むことができる、該蛍光ランタニド金属キレート錯体。 ランタニド金属イオンがユーロピウムイオンまたはテルビウムイオンである、請求項8に記載の蛍光ランタニド金属キレート錯体。 式:並びに、その誘導体からなる群より選択されるボロネート含有化合物を含み、 ここで、上記全ての構造式において、当てはまる場合には、R'及びR''が各々独立して、融合されたアリール、脂肪族、第一級、第二級若しくは第三級アミン、アミド、カルボキシル、ケトン、エステル、アルコール、またはアルデヒドであり、Y及びZが、各々独立して脂肪族、アルコキシまたはアリールである、請求項8に記載の蛍光ランタニド金属キレート錯体。 光吸収部分が230kJ/mol以上の三重項エネルギーを有する、請求項8〜10のいずれか1つに記載する蛍光ランタニド金属キレート錯体。 該光吸収部分が、フェナントリジン、ソラレン、フェノキサジン、フェナントレン、トリフェニレン、ベンゾフェノン、カルバゾール、およびクマリンからなる群から選ばれる、請求項8〜11のいずれか1つに記載する蛍光ランタニド金属キレート錯体。 以下の工程を含む、試料中のグルコースの存在またはその濃度を検出するための方法: a)試料を、ランタニド金属イオン、キレーター、ランタニド金属イオンへのエネルギー遷移のために使用される光吸収部分、およびグルコース−特異的認識要素を含有する蛍光ランタニド金属キレート錯体を含む指示薬分子に曝露する工程、ここで、 該キレーターはシクレン配位子を含み、 各ランタニド金属イオンと結合したキレーターの数は1であり; 該キレーターに結合した認識要素の数は1から4であって、該認識要素は該シクレンキレーターと共有結合し、 該ランタニド金属キレート錯体の認識要素が、ボロネートの基を含み;そして、 b)該錯体の該キレーターへの、グルコース−特異的認識要素を介したグルコースの結合により、ランタニド金属キレート錯体により放出される蛍光の変化を測定し、それによりグルコースの存在またはその濃度を検出する工程。 ランタニド金属イオンが、ユーロピウムイオンまたはテルビウムイオンである、請求項13に記載の方法。 式:並びに、その誘導体からなる群より選択されるボロネート含有化合物を含み、 ここで、上記全ての構造式において、当てはまる場合には、R'及びR''が各々、独立して融合されたアリール、脂肪族、第一級、第二級若しくは第三級アミン、アミド、カルボキシル、ケトン、エステル、アルコール、またはアルデヒドであり、Y及びZが、各々独立して脂肪族、アルコキシまたはアリールである、請求項13に記載の方法。 光吸収部分が230kJ/mol以上の三重項エネルギーを有する、請求項13〜15のいずれか1つに記載する方法。 該光吸収部分が、フェナントリジン、ソラレン、フェノキサジン、フェナントレン、トリフェニレン、ベンゾフェノン、カルバゾール、およびクマリンからなる群から選ばれる、請求項13〜16のいずれか1つに記載する方法。


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