タイトル: | 特許公報(B2)_皮膚科学におけるPPAR−γアクチベーターの使用 |
出願番号: | 2000527234 |
年次: | 2006 |
IPC分類: | A61K 31/423,A61K 31/4439,A61K 31/5578,A61P 17/00,C07D 263/56,C07D 417/12 |
ミシェル・リヴィエ イリナ・サフォノヴァ セルジュ・ミシェル JP 3773790 特許公報(B2) 20060224 2000527234 19981228 皮膚科学におけるPPAR−γアクチベーターの使用 ガルデルマ・リサーチ・アンド・デヴェロップメント・エス・エヌ・セ 599045604 志賀 正武 100064908 ミシェル・リヴィエ イリナ・サフォノヴァ セルジュ・ミシェル FR 97/16808 19971231 20060510 A61K 31/423 20060101AFI20060413BHJP A61K 31/4439 20060101ALI20060413BHJP A61K 31/5578 20060101ALI20060413BHJP A61P 17/00 20060101ALI20060413BHJP C07D 263/56 20060101ALN20060413BHJP C07D 417/12 20060101ALN20060413BHJP JPA61K31/423A61K31/4439A61K31/5578A61P17/00C07D263/56C07D417/12 A61K 45/00 A61K 31/423 A61K 31/4439 A61K 31/5578 A61P 17/00 A61P 17/02 A61P 17/04 A61P 17/06 A61P 17/08 A61P 17/12 A61P 35/00 A61P 43/00 C07D263/56 C07D417/12 BIOSIS(STN) CAPLUS(STN) MEDLINE(STN) REGISTRY(STN) EMBASE(STN) 国際公開第95/035108(WO,A1) 国際公開第97/025042(WO,A1) Bioorganic & Medical Chemistry Leters,1996, Vol.6, No.17 ,pp.2121-2126 8 FR1998002894 19981228 WO1999034783 19990715 2002500179 20020108 12 20000623 瀬下 浩一 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、製薬学的組成物の調製のためのPPAR−γ型のレセプターの少なくとも一つのアクチベーターの使用に関し、該組成物は、表皮細胞の分化の異常に関する皮膚疾患を治療することを企図する。【0002】【従来の技術】表皮細胞の分化の異常に関する多くの皮膚疾患が存在する;例として、乾癬、湿疹、皮膚炎、一般的な挫瘡、魚鱗癬を含む角質症、及び皮膚ガンが挙げられる。表皮細胞の分化の異常は一般的に、表皮細胞の過剰増殖に伴って生じる。これらの疾患を治療するために、各種の製薬学的アプローチが考慮されている。しかしながら、現時点で完全に満足する治療は存在しない。かくして存在する治療を改良する必要性が存する。【0003】ペルオキシソームは、ミトコンドリアに緊密に関連し、過酸化水素の代謝に特徴的である一連の酵素(カタラーゼ、ウレートオキシダーゼ、D-アミノ酸オキシダーゼ)、及び脂肪酸β−酸化酵素を含む小器官である。ペルオキシソーム増殖因子は、主にクロフィブレートのような低脂血症因子、除草剤、及びフタル酸エステルのような工業プラスチックを含む化学的産物の群である。これらのペルオキシソーム増殖因子は、PPARと称され、ステロイド核レセプタースーパーファミリーの一部であるレセプターを活性化する、非遺伝子毒性発ガン因子である。これらのレセプターは、ペルオキシソーム増殖因子によって活性化でき、また天然の脂肪酸によっても活性化でき、それ故ペルオキシソーム及びミトコンドリアのβ−酸化に関与する酵素をコードする、または代わりにP450−4A6脂肪酸β−ヒドロキシラーゼをコードする遺伝子の発現を刺激する。【0004】一連の参考文献は、脂質の代謝の調節及びホメオスタシスにおけるPPARの役割を示唆する。【0005】PPARレセプターは、レチノイドXレセプター(RXRと称される)とのヘテロダイマーの形態において、ペルオキシソーム増殖因子応答エレメント(PPRE)と称されるDNA配列エレメントに対する結合によって転写を活性化する。【0006】ヒトPPARの3種のサブタイプが同定され記載されている:PPARα、PPARγ及びPPARδ(またはNUC1)。【0007】特許出願WO 96/33724において、プロスタグランジンJ2またはD2のようなPPARγに対して選択的な化合物が、肥満症および糖尿病を治療するための潜在的な活性剤であることが記載されている。【0008】さらに、特許出願WO 95/35108において、チアゾリジンジオン、とりわけシグリタゾン(ciglitazone)が、ケラチノサイトの増殖を阻害することによって乾癬の治療において活性を有することが記載されている。【0009】【発明が解決しようとする課題】本出願人は、ヒトケラチノサイトの分化が、高カルシウム濃度で誘導された場合、PPAR、とりわけPPARγの発現のレベルが増大することを発見した。また本出願人は、乾癬病変皮膚において、PPAR、とりわけPPARγの発現のレベルが、非病変皮膚のそれに対して顕著に減少することを観察した。【0010】【課題を解決するための手段】かくして、本発明の主題は、製薬学的組成物の調製のためのPPAR−γ型のレセプターの少なくとも一つのアクチベーターの使用であり、該組成物は、表皮細胞の分化の異常に関する皮膚疾患を治療することを企図する。【0011】【発明の実施の形態】製薬学的組成物は、好ましくは皮膚科学的組成物である。【0012】本発明に従って、「PPAR−γ型のレセプターのアクチベーター」は、Kliewer等, Nature 358, 771-774, 1992に記載されたトランス活性化試験において、1μM以下のPPAR−γに関するAC50を有するいずれかの化合物を意味するように企図される。【0013】好ましくは、PPAR−γ型のレセプターのアクチベーターは、200nM以下、有利には50nM以下のPPAR−γに関するAC50を有する。【0014】好ましくは、PPAR−γ型のレセプターのアクチベーターは特異的である、即ち、10-1以下である、PPARαに関するAC50に対するPPAR−γに関するAC50の比R1を有する。好ましくは、R1は0.05以下であり、より有利には0.02以下である。【0015】AC50は、PPARレセプターの一つ、とりわけPPAR−αまたはPPAR−γ型を介した「アクチベーター」化合物による活性化のレポーターである酵素活性(ルシフェラーゼ)の50%を与えるのに必要な「アクチベーター」化合物の濃度である。【0016】本発明においてとり分け使用される化合物は、以下のものである:5-{4-[2-(メチルピリド-2-イルアミノ)エトキシ]ベンジル}チアゾリジン-2,4-ジオン;3-{4-[2-(ベンゾオキサゾール-2-イルメチルアミノ)エトキシ]フェニル}-2-エトキシプロピオン酸;(+)-3-{4-[2-(ベンズオキサゾール-2-イルメチルアミノ)エトキシ]フェニル}-2-エトキシプロピオン酸;(-)-3-{4-[2-(ベンズオキサゾール-2-イルメチルアミノ)エトキシ]フェニル}-2-エトキシプロピオン酸;15-デオキシ-Δ12,14-プロスタグランジンJ2(15−d PGJ2)。【0017】5-{4-[2-メチルリピド-2-イルアミノ)エトキシ]ベンジル}チアゾリジン-2,4-ジオン、及び15−d PGJ2のような本発明において使用される化合物のいくつかは、ケラチノサイトの増殖に対する弱い阻害活性を有する、または全くその阻害活性を有さないので、本発明において使用される化合物が、この型の皮膚疾患を治療することは、全くより驚くべきことである。【0018】好ましくは、使用されるPPAR−γ型のレセプターのアクチベーターは、100nM以下の濃度で使用される場合、20%以下のケラチノサイト増殖の阻害のパーセントを有する(以下の実施例参照)。【0019】本発明に従った製薬学的組成物は、生理学的に許容可能な媒体を含む。【0020】本発明の他の特徴、態様、主題及び利点は、以下に続く記載、並びにそれを説明することを企図した非制限的である各種の具体的な実施例を読むことで、より明らかとなるであろう。【0021】表皮細胞、とりわけケラチノサイトの分化の異常に関連した疾患としては、とりわけ乾癬、湿疹、扁平苔癬、狼瘡と関連する皮膚病変、アトピー性、脂漏性または日光皮膚炎のような皮膚炎、脂漏性角化症、老年性、化学線性、光誘発性または小胞性角化症のような角化症、一般的な挫瘡、ケロイド、母斑、いぼ、魚鱗癬及び皮膚ガンが挙げられる。【0022】表皮細胞の分化の異常に関連した疾患としては、アトピー性皮膚炎、湿疹及び乾癬のような障壁機能の異常が好ましくは挙げられる。【0023】本発明に従った組成物の投与は、腸内の、全身的なまたは局所的な経路を経て実施できる。好ましくは、製薬学的組成物は、局所的な経路を経た適用に適した形態で実装される。【0024】腸内経路を経て、該組成物、とりわけ製薬学的組成物は、錠剤、ゼラチンカプセル、糖衣錠、シロップ、懸濁液、溶液、パウダー、顆粒、エマルション、ミクロスフェア若しくはナノスフェア、または制御された放出が可能である脂質性若しくはポリマー状ベシクルの形態で存在し得る。全身経路を経て、該組成物は、点滴または注射のための溶液または懸濁液の形態で存在し得る。【0025】本発明に従って使用される化合物は一般的に、約0.001mg/体重のkgから100mg/体重のkgの一日の投与量で、1から3回の投与の取り込みで投与される。【0026】局所的経路を経て、本発明に従った製薬学的組成物は、とりわけ皮膚及び粘膜の治療のために企図され、ペースト状軟膏、クリーム、乳液、クリーム状軟膏、パウダー、しみ込ませたパッド、溶液、ゲル、スプレー、ローションまたは懸濁液の形態で存在し得る。それはまた、制御された放出を可能にするミクロスフェア、若しくはノナスフェア、または脂質性若しくはポリマー状ベシクルまたはポリマー状パッチ及びヒドロゲルの形態で存在し得る。この局所的経路組成物は、無水形態または水性形態の何れでも存在し得る。【0027】該組成物は、該組成物の全重量に対して、一般的に0.001から10重量%の間、好ましくは0.01から1重量%の間の濃度で局所的経路を経て使用される。【0028】上述の組成物は、もちろん不活性な若しくは薬力学的に活性な添加剤、またはこれらの添加剤の組み合わせをも含むことができ、上記添加剤は特に、湿潤剤;ヒドロキノン、アゼライン酸、コーヒー酸またはコウジ酸のような脱色素剤;皮膚軟化剤;グリセリン、PEG−400、チアモルホリノン及びそれらの誘導体、または代わりに尿素のような水和剤;S-カルボキシメチルシステイン及びS-ベンジルシスタミン及びそれらの塩若しくは誘導体、または過酸化ベンゾイルのような抗脂漏剤または抗挫瘡剤;ケトコナゾールまたはポリ-4,5-メチレン-3-イソチアゾリドンのような抗真菌剤;抗細菌剤、カロテノイド及び特にβ−カロチン;アントラリン及びその誘導体のような抗乾癬剤;エイコサ-5,8,11,14-テトライン酸及びエイコサ-5,8,11-トリイン酸、それらのエステル及びアミド、並びに最後にレチノイドである。【0029】これらの組成物はまた、芳香剤、パラ-ヒドロキシ安息香酸エステルのような防腐剤、安定剤、保湿剤、pH調節剤、浸透圧調節剤、乳化剤、UV−A及びUV−Bスクリーン剤、並びにα-トコフェロール、ブチルヒドロキシアニゾールまたはブチルヒドロキシトルエンのような抗酸化剤を含むことができる。【0030】もちろん、当業者は、本発明に固有に備わった有利な特性が、考慮される添加剤によって改変されない、または実質的に改変されないように、これらの組成物に加えられる最適な化合物を選択するのに注意を払うであろう。【0031】本発明を説明することを企図し、制限するものではないいくつかの実施例が与えられるであろう。【0032】【実施例】実施例1上述のPPARγ活性化産物のAC50及びR1AC50を測定するために使用した方法は、Kliewer等, Nature 358, 771-774, 1992に記載されたものである。かくして、HeLa細胞を、これらのレセプターをコードする発現ベクター、及びSV40ウイルスプロモーターとルシフェラーゼ遺伝子の断片の上流にクローン化されたPPRE応答エレメントを含むレポータープラスミドを使用して共存トランスフェクションするトランス活性化試験によって、PPARγまたはPPARαを経た分子の活性化力を評価できる。共存トランスフェクションされた細胞を、試験分子で24時間処理し、ルシフェラーゼ活性をルミネッセンスによって測定する。【0033】表1は、その結果を集積する。各分子について、結果はAC50値によってnMで表され、それは最大の活性の50%を与える試験分子の濃度を表す。【表1】化合物A:5-{4-[2-(メチルピリド-2-イルアミノ)エトキシ]ベンジル}チアゾリジン-2,4-ジオン;化合物B:3-{4-[2-(ベンゾオキサゾール-2-イルメチルアミノ)エトキシ]フェニル}-2-エトキシプロピオン酸;化合物C:(+)-3-{4-[2-(ベンズオキサゾール-2-イルメチルアミノ)エトキシ]フェニル}-2-エトキシプロピオン酸;化合物D:(-)-3-{4-[2-(ベンズオキサゾール-2-イルメチルアミノ)エトキシ]フェニル}-2-エトキシプロピオン酸;化合物E:15-デオキシ-Δ12,14-プロスタグランジンJ2(15−d PGJ2)。【0034】実施例2ケラチノサイト増殖の測定使用されるケラチノサイトは、整形外科手術で生じた皮膚標本から得た。それらは第二節で使用される。【0035】10%胎児ウシ血清(FCS)、0.4μg/mlのヒドロコルチゾン、10ng/mlのEGF、及び10-9Mのコレラ毒素を含むMEM培地において、ミトシン(mitocyne)で処理された3T3フィブロブラストの存在下で、Rheinwald及びGreenの方法に従って湿潤環境(5%CO2)中で37℃で、ケラチノサイトを培養する。ケラチノサイトを蒔く24時間前に、10cm2クラスターウェル中にcm2当たり15,000細胞の割合で3T3細胞を蒔く。次いでケラチノサイトを、cm2当たり4000細胞の割合で蒔く。【0036】該細胞を、DMSOで希釈した産物で、蒔いたケラチノサイト当たり4時間処理する。培養培地中のDMSOの最終濃度は、0.2%(v/v)を越えない。培養の3日後、1/100に希釈した5-ブロモ-2'-デオキシウリジン(BrdU、Boehringer ref 1 674629から得た細胞増殖キット)の溶液を、培養培地に加える。【0037】DNAの変性後、抗BrdU−POD(ペルオキシダーゼ)抗体を、製造者の説明書に従って加える。インキュベーションの1時間後、基質溶液を加え、光学密度の読み取りをELISAリーダーにおいて370nMで実施する。【0038】かくして、実施例1で記載された化合物A及びEは、100nM以下の濃度で使用された場合、20%以下のケラチノサイト増殖の阻害の%を示す。【0039】実施例3材料及び方法細胞培養条件正常なヒトケラチノサイト(NHK)を、整形外科手術の後に得られたヒト皮膚から単離し、Rheinwald及びGreenの方法によって培養した(Rheinwald J.G.及びGreen, H. Serial cultivation of strains of human epidermal keratinocytes : the formation of keratinizing colonies from single cells. Cell, 1975, 6, 331-343)。該細胞を、0.5mMのCaCl2を含む完全培地(MCDB153)で培養した。MCDB153完全培地は、0.4%(v/v)ウシ脳下垂体抽出物、5μg/mlのインスリン、及び10ng/mlの上皮増殖因子(EGF)を加えた基底培地(KBM、Clonetics, San Diego, CA)より成る。細胞が約60%の集合体に到達したときに(0日目)、培地を0.15mM CaCl2(低カルシウム培地)または1.15mM CaCl2(高カルシウム培地)のそれぞれを含むMCDB153完全培地に交換する。該培地は二日おきに交換する。【0040】1型コラーゲンの皮膚等量物上で再構成した表皮整形外科手術の後に得られたヒト乳の皮膚から単離された成人内部小胞(interfollicular)表皮細胞を増幅し(Rheinwald J.G. 及びGreen, H. Serial cultivation of strains of human epidermal keratinocytes : the formation of keratinizing colonies from single cells. Cell, 1975, 6, 331-343)、 液体窒素中で貯蔵した。細胞を解凍し、1型コラーゲンの皮膚等量物上に蒔いた(Asselineau, D., Bernard, B.D.及びDarmon, M. Three-dimensional culture of human keratinocytes on a dermal equivalent. A model to study epidermal morphogenesis and differentiation in vitro. In: Maibach, H., Lowe, N. (編) Models in Dermatology. Karger, Basle, 1987, 1987, 1-7)。培養物は、まず最初に、一層の集合体を得るために一週間培養培地中で漬けられ(0日目)、次いで層状化し角質化した表皮を生産するために、気体−液体界面に配置された。培養培地は、10%(v/v)胎児ウシ血清、EGF(10ng/ml)、ヒドロコルチゾン(0.4μg/ml)及びコレラ毒素(10-9M)を加えた最小必須培地(MEM)より成った。培地を一週間に三回交換した。【0041】再構成された皮膚の形態を、ヘマラン−フロキシン−サフロン(hemalum-phloxin-saffron)で垂直方向のパラフィン切片を染色することによって評価した。【0042】生体組織片生体組織片を、患者の同意の後に、関与した及び関与していない乾癬皮膚から得た。生体組織片を、RNA抽出溶液(4M グアニジンチオシアン酸)に迅速に浸した。次いでそれを液体窒素で凍結し、使用まで−80℃で維持した。【0043】RNAの単離培養物中のケラチノサイト、または再構成された皮膚から生じた全てのRNAを、製造者の方法に従ってTrizol(Gibco BRL)法を使用して単離し、使用まで−80℃で保存した。皮膚生体組織片から生じた全てのRNAを、Chomczynski及びSaachiによって記載されたように調製した(Chromczynski, P.及びSaachi, N. Single-step method of RNA isolation by acid guanidium thiocyanate-phenol-chloroform extraction. Anal. Biochem., 1987, 162, 156-159)。【0044】RT−PCR及び半定量的PCRPCRオリゴヌクレオチドをGibco BRL(France)によって合成し、それらは以下に記載の配列を有する:GAPDHセンスオリゴヌクレオチド(5'-AATCCCATCACCATCTTCCA-3')及びアンチセンスオリゴヌクレオチド(5'-GTCATCATATTTGGCAGGTT-3');PPARαに対するセンスオリゴヌクレオチド(5'-TCATCAAGAAGACGGAGTCG-3')及びアンチセンスオリゴヌクレオチド(5'-CGGTTACCTACAGCTCAGAC-3');PPARγに対するセンスオリゴヌクレオチド(5'-ATGACAGCGAACTTGGCAATA-3')及びアンチセンスオリゴヌクレオチド(5'-CGAACTGGAAGAAGGGAAAT-3');ケラチン1に対するセンスオリゴヌクレオチド(5'-AGTTCCAGCGTGAGGTTTGT-3')及びアンチセンスオリゴヌクレオチド(5'-GGGACTGAGATTGCCACTGA-3');ロリクリン(loricrin)に対するセンスオリゴヌクレオチド(5'-ACCACGGAGGCCGAAGGAGTT-3')及びアンチセンスオリゴヌクレオチド(5'-CTGGGGTTGGGAGGAGGTAGTTG-3');トランスグルタミナーゼタイプI(TGI)に対するセンスオリゴヌクレオチド(5'-GCGGCAGGAGTATGTTCTTA-3')及びアンチセンスオリゴヌクレオチド(5'-AGGGATGTGTCTGTGTCGTG-3')。増幅された生成物は、GAPDHについて558bp、PPARα、δ及びγについてそれぞれ211,287及び341bp;ケラチン1について250bp;ロリクリンについて189bp;及びTGIについて444bpに等しい。【0045】培養細胞、再構成された皮膚、または皮膚生体組織片から抽出された5μgのRNAを使用して、RT−PCRを実施した。70℃で10分間のピロカルボン酸ジエチル処理された水における変性の後、42℃で50分、20μlの全緩衝液容量に対して(20mM Tris−HCl、pH8.4,50mM KCl、1.5m=mM MgCl2,1mM dNTP、10mM DTT及び20ユニットのRNアーゼインヒビター)、「SuperScript II RNアーゼH−逆転写キット」(10ユニット/反応, Gibco BRL)及びプライマーとして0.5μgのオリゴ(dT)を使用して、RNAをcDNAに逆転写した。該混合物を70℃で15分不活性化し、37℃で20分RNアーゼHで処理した。各場合において、逆転写酵素を含まないサンプル(陰性対照)を含んだ。94℃で1分間の変性後、以下の条件の下で、PCR増幅をPTC225機(MJ Research)を使用して実施した;94℃で30秒の変性、55℃で30秒のアニーリング、及び72℃で30秒の伸長、全部で30サイクル。【0046】反応混合物は、20mM Tris−HCl、pH8.4、50mM KCl、1.5mM MgCl2、0.1μM オリゴヌクレオチドプライマー、100μM dNTP、0.5ユニットのTaq DNAポリメラーゼP及び1/100に希釈された5μlのcDNA混合物を含む。最終生成物を、72℃で3分加熱した。各場合において、RTに対する陽性対照(PPARをコードするcDNAを含む)及びPCR陰性対照(DNAを含まない)を含んだ。PCR生成物を、1μg/mlの臭化エチジウムを含む2%アガロースゲル上での電気泳動によって分離し、写真を撮り、それらの同一性をサザンブロットによって確認した。【0047】dNTPの濃度が、100μMのdATP、dGTP、dTTP、10μMのdCTP、0.5μCiの[32P]dCTPである点を除いて、上記記載のように半定量的PCRを実施した。次いでPCR生成物を、6%(重量/v)のアクリルアミドゲルを使用して分離した。各バンドの放射性活性を、ホスホルイメージング法によって定量した。スクリーンを、FUJI BAS 2000を使用してスキャンし、シグナルを、イメージ分析プログラム(Tina)を使用してPST(光刺激ルミネッセンス)単位において定量した。その結果を、GAPDHのそれとバンドの強度を比較して各サンプルについて分析した。PCRサイクルの最適な数は、直線状増幅領域において決定された。cDNA混合物の10倍の連続的な希釈物を、放射性活性シグナルの強度と、DNAの初期量の間の直線的相関関係を制御するために作製した。【0048】結果培養物におけるNHKから生じた全RNAのノーザンブロット分析を使用する第一の実験は、PPARδが未分化および分化したケラチノサイトにおいてほぼ等量で存在する一方で、PPARα及びγは検出されないことを示した。【0049】PPARの発現を分析するために、PPARサブタイプに特異的であるオリゴヌクレオチドを使用してRT−PCRを実施した。PPARα、δ及びγに相当するそれぞれ211bp、287bp及び341bpのPCR生産物が、電気泳動の後得られた。PCR生産物の特異性は、PPARをコードするcDNAを含むプラスミドを使用して変化した。さらに、PCR生産物を同定するためにサザンブロット分析を実施した。3種のPPARサブタイプは、低カルシウム培地において60%の集合体で得られた未分化NHKにおいても、高カルシウム培地において4日間の培養の後得られた分化したNHKにおいても検出された。【0050】次に、低カルシウム培地または高カルシウム培地において培養されたNHKにおけるPPARサブタイプの発現のレベルを比較するために、半定量的PCR分析を実施した。PPARα遺伝子の発現は、低カルシウム培地(1.7倍)及び高カルシウム培地(2.6倍)において、0日目から4日目でゆっくりと増大する。4日後、PPARδ遺伝子の発現は、低カルシウム及び高カルシウム培地の両者において増大した(それぞれ4.5及び5.8倍)。PPARγ遺伝子の発現のレベルは、低カルシウム培地において4日間で変化しないままである一方で、該細胞を高カルシウム培地で培養した後、3日目及び4日目の間で驚くべきことに増大する(4.5倍)。【0051】ケラチノサイト分化は、浸した培養条件の下で不完全であるために、我々は、PPARの発現を研究するために、表皮のより完全な層状化及び角質化を示す再構成した皮膚をin vitroで使用した。出現の2日後、わずかに2または3層のケラチノサイトが存在する;2日後、ケラチノサイトは薄い複数の層の上皮を構成し、一方で7日後、表皮は正常なヒトの表皮のように見える上皮より成る。免疫学的蛍光による研究により、インボルクリン、フィラグリン及びTGI(トランスグルタミナーゼI)のような分化マーカーが、Asselineau, D., Bernard, B.D., 及びDarmon, M. Three-dimensional culture of human keratinocytes on a dermal equivalent. A model to study epidermal morphogenesis and differentiation in vitro. In: Maibach, H., Lowe, N. (編) Models in Dermatology. Karger, Basle, 1987, 1-7に記載されているように発現し位置することが示された。【0052】上皮の再構成の間の3種のPPARサブタイプの発現のレベルは、以下のようなものである:PPARα RNAは、出現の7日後でわずかに増大する(2倍)。PPARδのレベルは、0日目から7日目で一定に維持される。これに対して、PPARγの発現は、0日目と7日目の間で7倍に増大する。【0053】皮膚の再構成の間のPPARサブタイプの発現の態様を、ケラチノサイト分化マーカーのそれと比較した。ケラチン1,ロリクリン、及びTGIの最大の発現は、出現の7日後に観察された。【0054】ヒト皮膚におけるPPARサブタイプの発現を分析するために、全RNAを、非病変または病変乾癬表皮から調製し、RT−PCR半定量的分析にかけた。PPARαの発現は、病変皮膚においてわずかにのみ減少する一方で、PPARγの発現は、顕著に減少する(約3.5倍)。しかしながら、PPARδの発現は、非病変表皮に対して病変表皮において増大する。【0055】議論3種のPPARサブタイプは、両生類、齧歯類及びヒトにおいて記載されている。(Issemann, I. 及びGreen, S. Activation of a member of the steroid hormone receptor superfamily by peroxisome proliferators. 1990, Nature, 347, 647-650 - Sher, T., Yi, H.-F., McBride, O.W.及びGonsalez, F.J. cDNA cloning, chromosomal mapping, and functional characterization of the human peroxisome proliferator activated receptor. Biochemistry, 1993, 32, 5598-5604 - Zhu, Y., Alvares, K., Huang, Q., Rao, H.S. 及びReddy, J.K. Cloning of a new member of the peroxisome proliferator-activated receptor gene family from mouse liver. J. Biol. Chem., 1993, 268, 26817-26820 - Greene, M.E., Blumberg, B. McBride, O.W., Yi, H.F., Kronquist, K., Kwan, K., Hsieh, L., Greene, G. 及びNimer, S.D. Isolation of the human peroxisome proliferator activated receptor gamma cDNA : expression in hematopoietic cells and chromosomal mapping. Gene Expression, 1995, 4, 281-299 - Elbrecht, A., Chen, Y., Cullinan, C.A., Hayes, N., Leibowitz, M.D., Moller, D.E., 及びBerger, J. Molecular cloning, expression and characterization of human 1 and γ2. Biochem. 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Biol. Chem., 1995, 270, 12953-13956 - Braissant, O., Foufelle, F., Scotto, C., Dauca, M.及びWahli, W. Differential expression of proxisome proliferator-activated receptor (PPARs) : tissue distribution of PPAR-α, -β and -γ in the adult rat, Endocrinology, 1996, 137, 354-366 - Tontonoz, P., Hu, E., Graves, R.A., Budavari, A.I. 及びSpiegelman, B.M. mPPARγ2n tissue-specific regulator of an adipocyte enhancer. Genes Dev., 1994, 8, 1224-1234)。3種のPPARサブタイプの組織特異的配置は、それらの異なる生理学的機能を説明するであろう。PPARα及びPPARγは、脂質ホメオスタシスの二つの部門、即ちそれぞれ脂肪酸代謝及び脂質生成を調節するようである。一方でPPARδの遍在的な発現は、一般的であるが未だ未知の生物学的機能を示唆する。【0056】表皮のケラチノサイトの分化の工程は、表皮の障壁機能の形成に関与する特異的な脂質の蓄積を伴う。しかしながら、表皮におけるPPARサブタイプの発現のレベルまたは役割については、ほとんど未知である。最近の研究により、マウスの表皮の基底上の細胞におけるPARαのドミナントネガティブ突然変異体の構成的な発現が、皮膚の減少した障壁機能を引き起こすことが示されている(Imakado, S., Bickenbach, J.R., Bundman, D.S., Rothnagel, J.A., Attar, P.S., Wany, X.-J., Walczak, V.R., Wisniewski, S., Pote,J., Gordon, J.S., Heyman, R.A., Evans, R.M.,及びRoop, D.R., Targeting expression of a dominant-negative retinoic acid receptor mutant in the epidermis of trangenic mice results in loss of barrier fuction. Genes Dev., 1995, 9, 317-329)。突然変異PARαは、RXRを引き離すことが可能であり、それはPPAR−RXRヘテロダイマーの形成に必要である(Keller, H., Dreyer, C., Medin, J., Mahfoudi, A., Ozato, K.及びWahli, W. Fatty acids and retinoids control lipid metabolism through activation of peroxisome proliferator-activated receptor - retinoid X receptor heterodimers. Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1993; 90; 2160-2164 - Issemann, I., Prince, R.A. Tugwood, J.D.及びGreen, S. The retinoid X receptor enhances the function of the peroxisome proliferator activated receptor. Biochimie, 1993, 75, 251-256)。これは、PPARαの不活性化が、トランスジェニックマウスにおける表皮の障壁機能の損失に部分的に関与していることを示す。【0057】かくして我々は、3種のPPARサブタイプが、ヒトケラチノサイトにおいて発現されることをここで示す。PPARδは最も高いレベルの発現を示す一方で、PPARα及びPPARγは低レベルで発現される。ラットの内部小胞ケラチノサイトで報告されているPPAR遺伝子の発現の存在しないこと(Braissant, O., Foufelle, F., Scott, C., Dauca, M. 及びWahli, W. Differential expression of proxisome profirator-activated receptor (PPARs) : tissue distribution of PPAR-α, -β and -γ in the adult rat, Endocrinology, 1996, 137, 354-366)は、ハイブリダイゼーション法の不十分な感受性、及び/または研究された種における差異のためであろう。【0058】我々の研究は、PPARγの発現、及びある程度のPPARαの発現が、ケラチノサイトの分化に関与することを示す。高カルシウム培地において4日間培養されたNHKにおけるPPARγの発現は、著しく増大する。【0059】この観察は、PPARγの発現が表皮の層状化及び角質化の間で増大する再構成された皮膚のモデルを使用して確認された。PPARの発現を、正常な表皮の基底上の区画において通常発現される各種のマーカー(ケラチン1,TGI及びロリシン)における増大と比較した。これは、PPAR−γの発現が、ヒト表皮の基底上の層で生じ、NHKの分化と関連することを強力に示唆する。【0060】PPARサブタイプの発現をまた、病変及び非病変乾癬表皮において測定した。PPARα及びPPARγのレベルの減少が、過剰増殖病変表皮において観察され、2種のサブタイプの発現が、表皮の分化状態に依存することをもう一度示す。PPARδの発現は、病変表皮において増大し、このことは、このサブタイプの発現が、ケラチノサイト増殖と関連するであろうという示唆を導く。【0061】結論として、しみ込ませたまたは空気にさらした培養物を使用して、PPARα及び−γ遺伝子の発現が、ケラチノサイト分化の間で増大する一方で、PPARδの発現は、改変されないことを、我々は示した。過剰増殖乾癬表皮において、PPAR−γの発現は減少し、それはこのタイプが、ケラチノサイト分化に関与することを示す。 活性成分として、5-{4-[2-(メチルピリド-2-イルアミノ)エトキシ]ベンジル}チアゾリジン-2,4-ジオン;3-{4-[2-(ベンゾオキサゾール-2-イルメチルアミノ)エトキシ]フェニル}-2-エトキシプロピオン酸;(+)-3-{4-[2-(ベンズオキサゾール-2-イルメチルアミノ)エトキシ]フェニル}-2-エトキシプロピオン酸;(-)-3-{4-[2-(ベンズオキサゾール-2-イルメチルアミノ)エトキシ]フェニル}-2-エトキシプロピオン酸;15-デオキシ-Δ12,14-プロスタグランジンJ2(15−d PGJ2)から選択される、PPAR−γ型のレセプターの少なくとも一つのアクチベーターを含む、ケラチノサイトの分化の活性化剤。 PPAR−γ型のレセプターのアクチベーターが、200nM以下の、PPAR−γに関するAC50を有することを特徴とする請求項1記載の活性化剤。 PPAR−γ型のレセプターのアクチベーターが、特異的であることを特徴とする請求項2記載の活性化剤。 PPAR−γ型のレセプターのアクチベーターが、0.05以下のPPARαに関するAC50に対する、PPAR−γに関するAC50の比R1を有することを特徴とする請求項3記載の活性化剤。 使用されるPPAR−γ型のレセプターのアクチベーターが、100nM以下の濃度で使用された場合、20%以下のケラチノサイト増殖の阻害のパーセントを有することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載の活性化剤。 局所的経路を経た適用に適した形態で存在することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項記載の活性化剤。 PPAR−γ型のレセプターのアクチベーターが、該活性化剤の全重量に対して、一般的に0.001から10重量%の間の濃度で含まれていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の活性化剤。 PPAR−γ型のレセプターのアクチベーターが、該活性化剤の全重量に対して、一般的に0.01から1重量%の間の濃度で含まれていることを特徴とする請求項7に記載の活性化剤。