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タイトル:特許公報(B2)_ブタン−1,4−ジオール、ガンマ−ブチロラクトン及びテトラヒドロフランの製造方法
出願番号:2000521062
年次:2009
IPC分類:C07C 29/149,C07C 31/20,C07D 307/08,C07D 307/33


特許情報キャッシュ

マイケル・ウィリアム・マーシャル・タック マイケル・アンソニー・ウッド アンドリュー・ジョージ・ハイルス JP 4268335 特許公報(B2) 20090227 2000521062 19981102 ブタン−1,4−ジオール、ガンマ−ブチロラクトン及びテトラヒドロフランの製造方法 バスフ エスイー 500213960 古谷 聡 100087642 古谷 馨 100063897 溝部 孝彦 100076680 マイケル・ウィリアム・マーシャル・タック マイケル・アンソニー・ウッド アンドリュー・ジョージ・ハイルス GB 9724195.4 19971114 20090527 C07C 29/149 20060101AFI20090430BHJP C07C 31/20 20060101ALI20090430BHJP C07D 307/08 20060101ALI20090430BHJP C07D 307/33 20060101ALI20090430BHJP JPC07C29/149C07C31/20 BC07D307/08C07D307/32 F C07C 29/149 C07C 31/20 C07D 307/08 C07D 307/33 特表平09−508918(JP,A) 特開平02−000786(JP,A) 米国特許第04105674(US,A) 特開平04−352775(JP,A) 特開昭52−063892(JP,A) 特開平03−170468(JP,A) 国際公開第97/043234(WO,A1) 特開平02−233632(JP,A) 15 GB1998003257 19981102 WO1999025675 19990527 2001523656 20011127 10 20050603 松澤 優子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明はブタン−1,4−ジオール、γ−ブチロラクトン及びテトラヒドロフランの製造に関する。【0002】ブタン−1,4−ジオールは、可変量のγ−ブチロラクトン及びテトラヒドロフランと共に、マレイン酸の水素化分解によって製造され得る。ブタン−1,4−ジオールの主な用途はプラスチック産業における原料としてであり、特にポリブチレンテレフタレートの製造のための原料としてである。γ−ブチロラクトン及び重要な溶剤であるテトラヒドロフランの製造のための中間体としても、又、使用され得る。【0003】無水マレイン酸は、通常、部分酸化触媒の存在下で、ベンゼン、混合C4オレフィン、あるいはn−ブタンなどの炭化水素原料の気相酸化によって製造される。ベンゼンの部分酸化においては、MoO3、及び恐らくは他の促進剤で促進される、担持された五酸化バナジウム触媒が典型的に使用される。反応温度は約400℃から約455℃であり、反応圧力は約1バール(bar)から3バールであり、一方、理論量の約4倍の空気が、爆発限界外に留まるために使用される。接触時間は約0.1秒である。原料が混合C4オレフィン、即ち、混合ブテン原料、である場合、その際の部分酸化触媒は、アルミナ上に担持された五酸化バナジウムであってよい。典型的な反応条件は、約425℃から約485℃の範囲の温度、及び約1.70バールから約2.05バールの圧力を用いることを包含する。爆発限界より下に留まるために、空気のブテンに対する容積比は約75:1であってよい。あるいは、より現代的な実施法によれば、空気とブテン供給混合物が燃焼限界内にあるという事実にも関わらず、プラントの十分安全な操作が達成できるよう、設計することも可能である。原料がn−ブタンである場合、触媒は典型的に五酸化バナジウムであり、反応条件は、約350℃から約450℃の温度及び約1バールから約3バールの圧力を用いることを包含する。空気:n−ブタンの容積比は、例えこれが燃焼限界内ではあっても、約20:1であってよい。このような部分酸化反応用反応器の設計の1つは、反応温度を制御するために溶融塩がそこを通って循環される、ジャケット(jacket)で周囲を囲まれた垂直な管を含む。【0004】いずれの場合においても、反応器の出口端より、無水マレイン酸蒸気、水蒸気、酸化炭素類、酸素、窒素、及びその他の不活性ガス、更には、ギ酸、酢酸、アクリル酸などの有機不純物、及び不転化炭化水素原料を含む熱い蒸気状反応混合物が回収される。【0005】このような反応混合物から無水マレイン酸を回収する1つの方法としては、蒸気生成流(steam-producing stream)を使用して反応混合物を約150℃へ冷却し、その後さらに、無水マレイン酸の一部、典型的には存在する無水マレイン酸の約30%から約60%、を凝縮するために、水を用いて冷却することにより約60℃まで冷却する方法がある。流れ(stream)の残余はその後水でスクラビングされる(scrubbed)。【0006】【従来の技術】水、又は水性の溶液あるいはスラリーを用いてスクラビングする方法は、例えば、米国特許第2,638,481号に記載されている。このようなスクラビングにより、マレイン酸の溶液の生成が結果として生じる。マレイン酸の溶液は、その後、例えばキシレンで蒸留することによって脱水され、水を除去して無水物を再形成する。しかしながら、このような方法の欠点は、許容し得ない割合の生成物が気相中に残留することである。加うるに、マレイン酸のあるものが不可避的にフマル酸へと異性化される。副生成物であるフマル酸は、有用な無水マレイン酸の損失を意味し、また、この副生成物は、製造問題を生じさせる結晶塊(crystalline masses)を形成する傾向があるために、プロセス系からの回収が困難である。【0007】この異性化問題のために、様々なその他の無水スクラビング液が提案されてきた。例えば、スクラビング液(scrubbing liquid)としてジブチルフタレートが、GB-A-727,828、GB-A-763,339、及びGB-A-768,551の中で提案されている。10重量%までの無水フタル酸を含有するジブチルフタレートの使用が、米国特許第4,118,403号において提案されている。米国特許第3,818,680号は、部分酸化反応器を出た反応混合物から無水マレイン酸を吸収するために、分岐鎖C12-15アルケニル置換無水コハク酸の如き、通常は液体である分子内カルボン酸無水物の使用を教示している。この目的のため、FR-A-1,125,014ではリン酸トリクレシルが提案されている。また、この目的のため、ジメチルテレフタレートが特開昭32-8,408号で、マレイン酸ジブチルが特開昭35-7,460号で提案された。スクラビング溶媒として、高分子量のワックスが米国特許第3,040,059号で教示され、一方、米国特許第2,893,924号はジフェニルペンタクロリドを用いてスクラビングすることを提案している。150から400の間の分子量、及び、蒸気状反応混合物中の水の露点より高い温度に於いて、140℃を超える沸点を有する芳香族炭化水素溶媒、例えば、ジベンジルベンゼン、の使用がFR-A-2,285,386に提案されている。ジメチルベンゾフェノン中の蒸気状部分酸化反応混合物からの無水マレイン酸の吸収と引続く蒸留が米国特許第3,850,758号に開示されている。米国特許第4,071,540号によれば、その少なくとも一部分が少なくとも3つのメチル基を有するポリメチルベンゾフェノンが無水マレイン酸に対する液体吸収剤として使用され得る。C4からC8のアルキル基を有し、且つ、両方のアルキル基で合計10から14個の炭素原子を有するジアルキルフタレートエステルが、反応混合物からの無水マレイン酸の吸収用として、米国特許第3,891,680号において提案されている。ZA-A-80/1247において、環状脂肪族酸のエステル、例えば、ジブチルヘキサヒドロフタレート、が無水マレイン酸の吸収溶媒として提案されている。【0008】部分酸化反応器から出る反応混合物からの無水マレイン酸の直接濃縮(direct condensation)を行うことも又提案された。しかしながら、気相中に許容し得ない割合の無水マレイン酸が残存するため、この方法は効果的ではない。【0009】濃縮又はスクラビング、又は吸収及び蒸留の結果回収された無水マレイン酸生成物は、その後、米国特許代5,347,021号及びEP-B-0,373,947に記載されているように水素化分解に付され、ブタン−1,4−ジオールと、選択された水素化分解条件に依存する、様々な量のγ−ブチロラクトン及びテトラヒドロフランを生じさせることができ、前述の記載は参照としてここに組入れられる。【0010】【発明が解決しようとする課題】水素化による無水マレイン酸からのブタン−1,4−ジオール、γ−ブチロラクトン及びテトラヒドロフランの製造は、改善することが望ましいであろう。特に、このような設備の構築にかかる資本コストを低減し、且つ、そのランニングコストも低減することが望ましく、これにより、ブタン−1,4−ジオール、γ−ブチロラクトン及びテトラヒドロフランがより容易に利用し得る。【0011】従って、本発明の一つの目的は、無水マレイン酸からのブタン−1,4−ジオール、γ−ブチロラクトン及びテトラヒドロフランの製造を改善することである。【0012】【課題を解決するための手段】本発明によれば、ブタン−1,4−ジオール、γ−ブチロラクトン及びテトラヒドロフランから選択される少なくとも1つのC4化合物の製造方法が提供され、この方法は、不均一系水素化触媒の存在下での無水マレイン酸の気相における水素化工程を包含しており、これは以下の工程を含む:(a) 吸収ゾーンにおいて、溶媒としての高沸点エステルに無水マレイン酸蒸気、水蒸気、及び酸化炭素類を含む蒸気流(vaporous stream)を接触させ、これにより、無水マレイン酸の高沸点エステル中の溶液を形成し、該高沸点エステルは無水マレイン酸の沸点より少なくとも約30℃高い大気圧における沸点を有し、13個までの炭素原子を有するアルキルジカルボン酸のジ−(C1〜C4アルキル)エステル、マレイン酸、フマル酸、コハク酸のモノ−及びジ−(C10〜C18アルキル)エステル及びそれらの混合物、ナフタレンモノカルボン酸の(C1〜C4アルキル)エステル、芳香族トリカルボン酸のトリ−(C1〜C4アルキル)エステル、及びイソフタル酸のジ−(C1〜C4アルキル)エステルからなる群より選択され;(b) 吸収ゾーンから廃棄ガス流を回収し;(c) 無水マレイン酸の高沸点エステル溶液を、水素を含むガス流に接触させて、これにより、溶液から無水マレイン酸を取り除き、水素及び無水マレイン酸を含む蒸気流を生成し;(d) 上記工程(c)の蒸気流の物質を、水素化ゾーン中で水素化条件下、不均一系水素化触媒に接触させて、これにより、水素化によって無水マレイン酸を、ブタン−1,4−ジオール、γ−ブチロラクトン及びテトラヒドロフランから選択される少なくとも1つのC4化合物に転化し;及び(f) 水素化ゾーンより、該少なくとも1つのC4化合物を含む生成物流(product stream)を回収する。【0013】本発明の方法の工程(a)の蒸気流は、好ましくは、分子状酸素を、典型的には空気の形態で使用して、部分酸化触媒の存在下での炭化水素原料の部分酸化によって生成される。炭化水素原料は、ベンゼン、あるいは、混合C4オレフィン流であってよいが、最も好ましくはn−ブタンである。炭化水素原料としてn−ブタンを使用することは、ベンゼンやブテンより廉価な原料であるという理由から、現在コストの面で好ましい。従って、本発明の方法において、工程(a)の蒸気流を含む無水マレイン酸の製造に使用される原料は、最も好ましくは、n−ブタンであり、且つ、触媒としては五酸化バナジウムが好ましい。この場合における典型的な部分酸化の条件としては、約350℃〜約450℃の温度及び約1〜約3バール(bar)の圧力、約15:1〜約50:1の範囲、例えば、20:1、の空気対n−ブタンの比率、及び五酸化バナジウムを含む部分酸化触媒の使用が包含され、接触時間は、典型的には、約0.01秒から約0.5秒であり、例えば、約0.1秒である。【0014】炭化水素原料の部分酸化は、反応温度を制御するために溶融塩がそこを通って循環されるジャケット(jacket)により包囲された垂直な管からなる反応器中で都合良く行われる。部分酸化反応器からの蒸気流は、その後、蒸気を生じさせるために、ボイラ給水用水による外部からの冷却によって冷却することができ、又約60℃〜約160℃の範囲内まで、冷却水を用いて外部から更に冷却することも可能である。【0015】本発明の方法の工程(a)において、無水マレイン酸蒸気流は、無水マレイン酸の高沸点エステル溶液を生成するために、好ましくは、約60℃〜約160℃、より好ましくは約80℃〜約120℃の範囲内の温度、及び、約1バール〜約3バールの圧力において高沸点エステルと接触させられる。接触は高沸点エステル本体を通して蒸気流を泡立たせることにより遂行され得る。あるいは、又、蒸気流内に高沸点エステルを噴霧することもできる。例えば、充填スクラバー塔(packed scrubber tower)や、あるいは、トレイを備えたスクラバー塔などの、気−液接触装置中で、上昇してくる蒸気流を下降してくる高沸点エステルと接触させる、対向流接触装置(countercurrent contacting devices)も、又、採用され得る。この工程において、高沸点エステルは典型的には蒸気流よりも低い温度にあり、後者が冷却される様にする。【0016】得られた無水マレイン酸の高沸点エステル溶液において、高沸点エステル中の無水マレイン酸の濃度は約100g/lから約400g/lの範囲内であってよい。【0017】高沸点エステルは、大気圧下で、無水マレイン酸の沸点よりも少なくとも約30℃、好ましくは、少なくとも約60℃〜約70℃、高い沸点を有する。13個までの炭素原子を有するアルキルジカルボン酸のエステルの例としては、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、及び、トリデカン二酸の、ジメチルエステル、ジエチルエステル、ジ−n−プロピルエステル、またはジ−イソ−プロピルエステル、ジ−n−ブチルエステル、ジ−sec−ブチルエステル、ジ−イソ−ブチルエステルが挙げられ、これらの中から適切な高沸点エステルが選択され得る。これらのエステル中のアルキル部分(alkyl moiety)は、エステル化工程(c)で使用されるC1〜C4アルカノールと同じアルカノールから誘導されるものであることが好ましい。この場合、生起し得るいずれのエステル交換反応も付加的なエステルの原因にはならない。従って、使用されるアルカノールがメタノールであり、マレイン酸ジアルキルがマレイン酸ジメチルである場合、高沸点エステルとして使用されるエステルも、又、好ましくはセバシン酸ジメチルなどのジメチルエステルである。【0018】あるいは、又、高沸点エステルは、例えば、マレイン酸、フマル酸、コハク酸などのC4アルキルジカルボン酸のうちいずれか1つの、モノ−及びジ−(C10〜C18アルキル)エステル、及びこれらの混合物から選択され得る。このようなエステルの例としては、n−デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール及びエイコサノールから誘導されるエステル及びそれらの混合物が包含される。【0019】高沸点エステルは、あるいは又、メチルナフタレン−2−カルボキシレートなどのナフタレンモノカルボン酸の(C1〜C4アルキル)エステルから、トリメチルベンゼン-1,2,4-トリカルボキシレートなどの芳香族トリカルボン酸のトリ−(C1〜C4アルキル)エステルから、あるいはジメチルイソフタレートなどのイソフタル酸の(C1〜C4アルキル)エステルから選択され得る。【0020】工程(a)で使用される高沸点エステルは、水素ストリッピング(stripping)工程(c)の結果生じる物質を都合良く含む。【0021】但し、適切な条件を工程(a)に採用するならば、本発明の方法における工程(b)で回収されるガス流は、本質的に無水マレイン酸を含まない。【0022】本発明の製造法の工程(c)において、水素含有のガス流が、無水マレイン酸の溶液を通過させられる。【0023】水素ストリッピング工程は、好ましくは、実質的に水素化ゾーンへの入口圧力、あるいはそれより僅かに高い圧力で行われる。水素ストリッピング工程は、同様に好ましくは、実質的に水素化ゾーンへの所望の入口温度、あるいはそれより少し低い温度、例えば、この温度より約5℃〜約20℃低い温度、で行われる。その後、熱い水素含有ガスをさらに混合することにより所望の入口温度まで、温度を上げることができる。この水素含有ガスには蒸気エステル含有流を希釈するという追加の利点がある。この混合により、それがその露点より高い温度、好ましくは、その露点より少なくとも約5℃高い温度が確保される。【0024】水素化工程は、不均一系水素化触媒を用いて、気相中で有利に実施される。典型的な水素化触媒には、例えば、J. Org. Chem 150、第177〜185頁に記載されているタイプのCu/Zn/Mg/Cr触媒などの促進された銅ベース触媒(promoted copper-based catalysts)が包含される。【0025】触媒粒子は約0.5mm〜約5mmの範囲の粒径を有することが好ましい。粒子は都合の良い形状であればいずれの形状、例えば球形、ペレット、リングあるいはサドル形状などのものでもよい。触媒の固定層を使用する場合、反応器はジャケット付管形反応器(shell-and-tube reactor)であって良く、これは実質的に等温で作動させることができる。しかしながら、断熱反応器が好ましい。断熱反応器の使用は、その資本コストがジャケット付管形反応器に比較してかなり低く、且つ、選択された触媒を反応器に装填することが一般的にかなり容易であるため、有利である。【0026】水素化は、高められた温度、例えば、約150℃〜約300℃、より一般には約180℃〜約280℃、及び約5バール〜約100バール、好ましくは約10バール〜約70バールの圧力で実施される。【0027】水素化ゾーンからは、水素化生成物混合物が回収され、この混合物は、ブタン−1,4−ジオールに加えて、いくらかのテトラヒドロフランとγ−ブチロラクトンをも含む。目的とする主生成物がブタン−1,4−ジオールであってさえ、テトラヒドロフランとγ−ブチロラクトンの存在は不利ではない。なぜなら、これらの化合物は商業的に重要な化学品であるため、それらを純粋な形で回収するのが経済的だからである。所望であれば、γ−ブチロラクトンを水素化ゾーンにリサイクルして追加のブタン−1,4−ジオールを製造することができる。【0028】無水マレイン酸の気相水素化に関する更なる詳細については、Erdol und Kohle内のG. L. Castiglioniらによる文書、-Erdgas- Petrochemie vereinigt mit Brennstoff-Chemie、Bd. 48、Heft 4/5、1995年4月/5月の第174〜178頁における、表題"Wissenschaft & Technik (Science & Technology)"以下に参照することができる。引続く得られた水素化混合物の粗生成物の精製は、米国特許第4,584,419号、WO-A-86/03,189号、WO-A-88/0,937号、米国特許第4,767,869号、第4,945,173号、第4,919,765号、第5,254,758号、第5,310,954号及びWO-A-91/01,960に記載されている方法に類似した方法で実行することができる。【0029】【発明の実施の形態】本発明を明確に理解し、且つ容易に実行され得る様にするため、本発明による好ましいプロセスを用いてブタン−1,4−ジオール、並びにいくらかのテトラヒドロフランとγ−ブチロラクトンを製造するためのプラントが、プラントのフロー図である添付図面を参照して、単に実施例として詳述される。【0030】図面を参照すると、ライン1よりn−ブタンが、圧力約1バール〜約3バール及び温度約400℃で部分酸化プラント2に供給される。プラント2にはライン3より空気も又供給される。部分酸化プラント2は通常の設計によるものであり、且つ、温度制御目的のために溶融塩がそれを通って循環できるジャケットを有する管の中に充填される五酸化バナジウムを含む、部分酸化触媒が装填された管からなる部分酸化反応器を備えている。部分酸化反応器は、空気:n−ブタンの仕込比20:1で操作される。【0031】熱い蒸気状の部分酸化生成物流を、スチームを生じさせるためのボイラー給水に対する外部からの冷却によって冷却し、次いで温度を138℃まで低下させるために冷却水で冷却する。この生成物はプラント2からライン4で回収される。この生成物流は2.9%w/w無水マレイン酸、5.8%w/w水、1.3%w/w二酸化炭素、1.0%w/w一酸化炭素、0.01%w/w酢酸、0.01%w/wアクリル酸15.7%w/w酸素、及び本質的に窒素とその他の不活性ガスからなる残余を含む。スクラビング塔(洗浄塔)5の底部へこの生成物を供給し、これは、ライン6から温度約68℃で供給されるセバシン酸ジメチルの下降する噴霧に対向して、塔を上昇通過する。0.03%w/w無水マレイン酸を含む、スクラブされた廃ガス流が、スクラビング塔5の最上部からガス抜ライン7より排出され、廃ガスバーナーに移される。【0032】スクラビング塔5の底部からは、セバシン酸ジメチル中におおよそ15%w/w無水マレイン酸、0.1%酢酸及び0.04%w/wアクリル酸の溶液を含む液体流がライン8で回収される。この液体流は、180℃の温度及び580psia(40バール)の圧力において操作されるストリッピング塔9の頂部近くに供給される。塔9は、塔9からの塔頂留出物中のセバシン酸ジメチルの持ち越し(carryover)を低減する様に無水マレイン酸溶液の塔9内への注入点の上方に多数の蒸留トレイを有している。セバシン酸ジメチル中のマレイン酸ジメチルの溶液はストリッピング塔9を、ライン10からの水素の上昇流と対向して下降する。洗い出された(stripped)セバシン酸ジメチルは、ライン6により、ストリッピング塔9の底部からスクラビング塔5の頂部へとリサイクルされる。ストリッピング塔9の底部から、ライン11にほぼ飽和された、水素:無水マレイン酸の分子比が約400:1である、水素中に無水マレイン酸を含む蒸気混合物流が現れる。この蒸気混合物流は温度が約180℃〜約200℃であり、圧力が約40バールである。蒸気混合物流は、さらにライン12からの熱い水素により、約180℃〜約220℃の温度で更に希釈され、水素:無水マレイン酸の分子比が約450:1であり、且つ、その露点よりも少なくとも約5℃高い蒸気流が生じる。【0033】この蒸気混合物は、ライン13を通って水素化プラント14に進む。この水素化プラント14は、例えば、銅ベース触媒(例えば、促進された銅触媒)が充填された断熱反応器を含み、180℃の入口温度、565psia(39バール)の入口圧力、及び200℃の出口温度で操作される。無水マレイン酸の仕込速度は、0.1h-1の液体毎時空間速度に相当する。プラントは、又、精製セクションを備え、そこで粗製の水素化生成物混合物がいくつかのステージで蒸留されてライン15に於いて純粋なブタン−1,4−ジオールが生産される。γ−ブチロラクトンとテトラヒドロフランを別々に回収するためのラインをそれぞれ、16と17で指示する。新しいセバシン酸ジメチル溶媒を、ライン18の手段で添加することができ、一方、リサイクルされた溶媒流のパージ流をライン19で取り出すことができる。【0034】溶媒として使用されるセバシン酸ジメチルは、例えば、メチルナフタレン−2−カルボキシレート、トリメチルベンゼン−1,2,4−トリカルボキシレートまたはジメチルイソフタレートで置き換えることができる。あるいはまた、セバシン酸ジメチルは、高沸点エステルとして、マレイン酸、フマル酸又はコハク酸のジ−(C10〜C18アルキル)、あるいはそれら2つ又はより多くの混合物で置き換えることができる。これらは、任意に、対応するマレイン酸、フマル酸又はコハク酸のモノ−(C10〜C18アルキル)、あるいはそれら2つ又はより多くの混合物、及び/又は、対応する遊離酸あるいは酸混合物、例えば、マレイン酸、フマル酸、及び/又はコハク酸、との混合物である。このような場合における典型的な高沸点エステルは、僅か少量、典型的には、それぞれが約5モル%より少ない量、の対応するモノエステルあるいはモノエステル混合物及び/又は対応する酸あるいは酸混合物を伴って、主としてジエステルあるいはジエステル混合物からなる。このような高沸点エステルの例としてはマレイン酸ジラウリルが一例として挙げられ、これは約10モル%までのコハク酸ジラウリル、並びに、少量、好ましくは、それぞれが約5モル%より少ない量、さらに好ましくは約1モル%より少ない量、最も好ましくは約0.25モル%の、フマル酸ジラウリル、マレイン酸モノラウリル、フマル酸モノラウリル、コハク酸モノラウリルの1つ又はより多くを含んでもよい。更に、ライン6の再循環流は、少量、典型的にはそれぞれが約10モル%より少ない量、より好ましくはそれぞれが約5モル%より少ない量の無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸及び/又はコハク酸を含み得る。【図面の簡単な説明】【図1】 本発明の方法を実施するプラントの一例のフロー図である。 ブタン−1,4−ジオール、γ−ブチロラクトン及びテトラヒドロフランから選択される少なくとも1つのC4化合物を製造する方法であって、不均一系水素化触媒の存在下で無水マレイン酸の気相における水素化工程を含み、(a) 吸収ゾーンにおいて、溶媒としての高沸点エステルに無水マレイン酸蒸気、水蒸気、及び酸化炭素類を含む蒸気流を接触させて無水マレイン酸の高沸点有機溶媒溶液を生成し、前記高沸点エステルは、大気圧において無水マレイン酸の沸点より少なくとも30℃高い沸点を有し、13個までの炭素原子を有するアルキルジカルボン酸のジ−(C1〜C4アルキル)エステル、マレイン酸、フマル酸、コハク酸のモノ−及びジ−(C10〜C18アルキル)エステル及びそれらの混合物、ナフタレンモノカルボン酸の(C1〜C4アルキル)エステル、芳香族トリカルボン酸のトリ−(C1〜C4アルキル)エステル、及びイソフタル酸のジ−(C1〜C4アルキル)エステルからなる群より選択され;(b) 吸収ゾーンから廃棄ガス流を回収し;(c) 無水マレイン酸の高沸点エステル溶液を、水素を含むガス流に接触させて、これにより、溶液から無水マレイン酸を取り除き、水素及び無水マレイン酸を含む蒸気流を生成し;(d) 前記工程(c)の蒸気流の物質を、水素化ゾーン中で水素化条件下、不均一系水素化触媒に接触させて、これにより、水素化によって無水マレイン酸を、ブタン−1,4−ジオール、γ−ブチロラクトン及びテトラヒドロフランから選択される少なくとも1つのC4化合物に転化し;及び(e) 水素化ゾーンより、該少なくとも1つのC4化合物を含む生成物流を回収する、ことを含む方法。 前記工程(a)の蒸気流が、分子酸素を使用した部分酸化触媒の存在下で炭化水素原料を部分酸化することによって生成される、請求項1に記載の方法。 前記炭化水素原料がn−ブタンである、請求項2に記載の方法。 前記部分酸化触媒が五酸化バナジウムを含み、且つ、部分酸化条件が、350℃から450℃の温度及び1バール(bar)から3バールの圧力、15:1から50:1の空気対n−ブタンの割合、及び、0.01秒から0.5秒の接触時間を用いることを含む、請求項3に記載の方法。 前記工程(a)において、無水マレイン酸の高沸点エステル溶液を生成するために、60℃から160℃の範囲の温度及び1バールから3バールの圧力において、無水マレイン酸蒸気流を高沸点溶媒と接触させる、請求項1から4のいずれかに記載の方法。 前記接触させる工程が、気−液接触装置中で、上昇してくる蒸気流が下降してくる高沸点エステルにより接触される、対向流接触装置で行われる、請求項5に記載の方法。 前記高沸点エステルがメチルエステルである、請求項1から6のいずれかに記載の方法。 前記メチルエステルがセバシン酸ジメチルである、請求項7に記載の方法。 前記工程(a)で使用される前記高沸点エステルが、前記水素ストリッピング工程(c)で生じる再循環された物質を含む、請求項1から8のいずれかに記載の方法。 水素ストリッピング工程が、実質上水素化ゾーンへの入口圧力において行われる、請求項1から9のいずれかに記載の方法。 水素ストリッピング工程が、水素化ゾーンへの入口温度から水素化反応ゾーンへの入口温度より20℃低い温度の範囲の温度で行われる、請求項1から10のいずれかに記載の方法。 水素化工程が、150℃から300℃の温度及び5バールから100バールの圧力において、促進された銅触媒(promoted copper catalyst)を用いて気相中で行われる、請求項1から11のいずれかに記載の方法。 ブタン−1,4−ジオールに加えて、テトラヒドロフラン及びγ−ブチロラクトンも含む水素化生成物混合物が水素化ゾーンより回収される、請求項1から12のいずれかに記載の方法。 前記水素化生成物混合物が、テトラヒドロフラン、及びn−ブタノールを含む混合物の揮発性成分をオーバーヘッド(塔頂留出物)として分離するため、軽留分(light ends)コラムにおける蒸留を含む、1つ又はより多くのステージでの蒸留によって精製される、請求項13に記載の方法。 純粋なブタン−1,4−ジオールを生成するために、軽留分コラムからの底部生成物がさらに1つ又はより多くのステージにおける蒸留によりさらに精製される、請求項14に記載の方法。


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