タイトル: | 特許公報(B2)_新規なアリル基の触媒的脱保護方法 |
出願番号: | 2000520396 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | C07B 51/00,C07C 29/132,C07C 33/22,C07C 35/12,C07C 35/37,C07C 41/26,C07C 43/13,C07C 43/178,C07C 43/23,C07C 209/62,C07C 211/27,C07C 211/45,C07C 211/46,C07C 211/48,C07C 231/08,C07C 233/05,C07C 233/07,C07C 233/65,C07C 233/73,C07C 233/75,C07C 303/40,C07C 311/15,C07D 207/323,C07D 209/08,C07D 209/86,C07D 217/04,C07D 233/58,C07D 493/04,C07J 9/00,B01J 31/24 |
小笠原 國郎 谷口 孝彦 JP 4292712 特許公報(B2) 20090417 2000520396 19981109 新規なアリル基の触媒的脱保護方法 チッソ株式会社 000002071 舟橋 榮子 100083714 小笠原 國郎 谷口 孝彦 JP 1997325222 19971111 20090708 C07B 51/00 20060101AFI20090618BHJP C07C 29/132 20060101ALI20090618BHJP C07C 33/22 20060101ALI20090618BHJP C07C 35/12 20060101ALI20090618BHJP C07C 35/37 20060101ALI20090618BHJP C07C 41/26 20060101ALI20090618BHJP C07C 43/13 20060101ALI20090618BHJP C07C 43/178 20060101ALI20090618BHJP C07C 43/23 20060101ALI20090618BHJP C07C 209/62 20060101ALI20090618BHJP C07C 211/27 20060101ALI20090618BHJP C07C 211/45 20060101ALI20090618BHJP C07C 211/46 20060101ALI20090618BHJP C07C 211/48 20060101ALI20090618BHJP C07C 231/08 20060101ALI20090618BHJP C07C 233/05 20060101ALI20090618BHJP C07C 233/07 20060101ALI20090618BHJP C07C 233/65 20060101ALI20090618BHJP C07C 233/73 20060101ALI20090618BHJP C07C 233/75 20060101ALI20090618BHJP C07C 303/40 20060101ALI20090618BHJP C07C 311/15 20060101ALI20090618BHJP C07D 207/323 20060101ALI20090618BHJP C07D 209/08 20060101ALI20090618BHJP C07D 209/86 20060101ALI20090618BHJP C07D 217/04 20060101ALI20090618BHJP C07D 233/58 20060101ALI20090618BHJP C07D 493/04 20060101ALI20090618BHJP C07J 9/00 20060101ALI20090618BHJP B01J 31/24 20060101ALN20090618BHJP JPC07B51/00 FC07C29/132C07C33/22C07C35/12C07C35/37C07C41/26C07C43/13 BC07C43/178 BC07C43/23 BC07C209/62C07C211/27C07C211/45C07C211/46C07C211/48C07C231/08C07C233/05C07C233/07C07C233/65C07C233/73C07C233/75C07C303/40C07C311/15C07D207/323C07D209/08C07D209/86C07D217/04C07D233/58C07D493/04C07J9/00B01J31/24 X C07B 51/00 B01J 31/24 C07C C07D C07J CAplus(STN) REGISTRY(STN) 特開平8−325167(JP,A) 特表平8−508986(JP,A) 特開平8−53412(JP,A) 6 JP1998005029 19981109 WO1999024381 19990520 10 20050912 藤森 知郎 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、医薬、農薬、天然有機化合物、あるいは液晶化合物等の各種有機化合物を製造する過程において、有機化合物の水酸基、またはアミノ基を保護する場合に有用な、アリル基の脱保護方法に関する。【0002】【従来の技術】有機化合物の水酸基、またはアミノ基を保護する場合、アリル基は酸性条件あるいは塩基性条件などの幅広い反応条件下で保護基として使用できる大変有用な骨格である。一般に、アリル基で保護された基を水酸基またはアミノ基に戻す方法(いわゆる脱保護する方法)は、塩基性条件下で或いはロジウム等の遷移金属で処理することにより異性化してエノルエーテル骨格あるいはエナミン骨格に変換した後、水銀塩の存在下に酸加水分解するという2段階法が用いられてきた。したがって、保護基としての有用性は有るものの、脱保護法の不便さがその利用範囲を狭めていた。近年、1段階で脱保護する方法が幾つか報告されている(アキヤマら、Tetrahedron Letters, 1991, 32, 1321-1324、エスパネら、Tetrahedron Letters, 1992, 33, 2485-2488、ナカヤマら、Chem. Pharm. Bull. 1992, 40, 1718-1720、イトウら、J. Org. Chem. 1993, 58, 774-775、ブージェルマン、Tetrahedron Letters, 1994, 35, 4349-4350)が、いずれも実用性に乏しく工業的に用いることができない。また、これらの方法は、対象とする化合物に酸性条件下で不安定な置換基や骨格が存在すれば適用できないという限定も存在する。【0003】【発明が解決しようとする課題】本発明は、穏和な条件下で且つ1段階で容易に反応が進む、アリル基で保護された基を水酸基あるいはアミノ基に戻す方法を提供することを目的とする。【0004】【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課題の解決のため鋭意研究の結果、一般式(1)【0005】【化3】【0006】(式中、R1は有機残基を示し、Aは酸素または−NR2を示し、R2は水素または有機残基を示す。)で表されるアリル誘導体をニッケルジクロロビス(ジフェニルホスフィノ)プロパンの存在下に、還元剤で処理することにより、一般式(2)【0007】【化4】【0008】(式中、R1は有機残基を示し、Aは酸素または−NR2を示し、R2は水素または有機残基を示す。)で表される化合物に変換できるることを知り、本発明を完成するに至った。【0009】【発明の実施の形態】本発明の方法を適用する一般式(1)で表される化合物の出発物質としては、水酸基或いはアミノ基を有する有機化合物であればよく、格別の制限はない。具体的には、テルペン類、ステロイド類、糖類、インドール類、マクロリドのアグリコン部、プラスタグランジン類、キノロン類、などの前駆体或いは誘導体を例示できる。これらの出発物質とアリルハライドとを、塩基性条件下で処理することにより、一般式(1)で表される化合物(アリル誘導体)が容易に得られる。アリル化の別法としては、イバーソンら J. Chem. Soc. Chem. Commun.,1240(1981)、ギイブら Tetrahedron Letters, 22, 3591(1981)、サトウら Tetrahedron Letters, 29, 4097(1988)、ラクミリら Tetrahedron Letters, 30, 4669(1989)、アニスザーマンら Carbohydr. Res., 174,(1988) の方法を利用できる。以上のようにして得られたアリル基を保護基として用い、様々な反応を経て出発物質を所望の骨格に導いた後、本発明の脱保護方法に従って水酸基あるいはアミノ基に戻すことができる。アリル誘導体を溶媒に溶解し、アリル誘導体に対し1〜5モル%のニッケルジクロロ(ジフェニルホスフィノ)プロパン((dppp) NiCl2)を加え、攪拌する。溶媒としては、アリル誘導体を溶解するものであればいずれも使用できるが、好ましい溶媒としてジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、ジクロロメタン、THF/エタノール混合溶媒を例示できる。アルゴン、又は窒素雰囲気下、−10〜40℃(好ましくは0〜5℃)でこの溶液に、アリル誘導体に対し1.0〜1.5当量(好ましくは1.5当量)のジイソブチルアルミニウムヒドリド、水素化硼素ナトリウムまたはトリアルキルアルミニウムを徐々に添加する。ジイソブチルアルミニウムヒドリド或いはトリアルキルアルミニウムはニートでもよいが、トルエン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、THF、ジクロロメタンなどの溶媒に溶解して用いることもできる。水素化硼素ナトリウムは粉末で、あるいはTHF/エタノール混合溶媒に懸濁させたものを用いる。同温度で5〜10分間攪拌した後、10〜40℃で2〜10時間攪拌する。その後、反応液を希釈し、水を添加し更に1〜2時間攪拌する。セライトなどの濾過助剤を用いて固形物を濾別した後、溶媒を溜去する。得られた残さに、カラムクロマトグラフィーあるいは再結晶などの通常の精製操作を施して、目的とする一般式(2)で表される化合物が得られる。【0010】【実施例】以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。実施例1 1−アリルオキシ−4−メトキシベンゼンの脱保護1−アリルオキシ−4−メトキシベンゼン(100mg、0.6mmol)およびニッケルジクロロビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(3mg、6μmol)をジエチルエ−テル(2ml)に溶解し、0℃に冷却し、アルゴン雰囲気下に、ジイソブチルアルミニウムヒドリドの1.5Mトルエン溶液(600μl、0.9mmol)を添加し、同温度を保ちながら5分間攪拌した。反応液を室温まで昇温し2時間攪拌した後、ジエチルエ−テル(3ml)を加えて希釈し、これに水(600μl)を加え、さらに1時間攪拌した。反応液を無水硫酸マグネシウム上で乾燥させた後、セライトを添加して濾過し、減圧下に濾液から溶媒を溜去した。得られた残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:ジエチルエ−テル/ヘキサン=1/1)に付して、4−メトキシフェノール(68mg、収率90%)を得た。実施例2〜8各種のアリルエ−テルを用い、実施例1に準じた方法で脱保護反応を行った結果を表1に示した。【0011】【化5】【0012】【表1】【0013】実施例9還元剤のジイソブチルアルミニウムヒドリドに代えて水素化硼素ナトリウム(1.5当量)を用い、溶媒のジエチルエ−テルに代えてTHF/エタノール(4/1)混合溶媒を用いた以外は実施例1と同様にして、4−メトキシフェノール(62mg、収率82%)を得た。実施例10〜15、19、20各種のアリルエ−テルを用い、実施例1に準じた方法で脱保護反応を行った結果を表2に示した。表中のPhはフェニル基を表し、Bnはベンジル基を表す。実施例16〜18各種のアリルエ−テルを用い、実施例9に準じた方法で脱保護反応を行った結果を表2に示した。【0014】【化6】【0015】【表2】【0016】実施例21、22各種のアリルエ−テルを用い、実施例1に準じた方法で脱保護反応を行った結果を表3に示した。【0017】【化7】【0018】【表3】【0019】実施例23〜27各種のアリルエ−テルを用い、実施例1に準じた方法で脱保護反応を行った結果を表4に示した。【0020】【化8】【0021】【表4】【0022】実施例28N−アリル−メチルアニリン(100mg、680mmol)およびニッケルジクロロビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(15mg、27mmol)の無水トルエン溶液(2ml)に、氷冷下、水素化ジイソブチルアルミニウム(1.5Mトルエン溶液、689ml、1。0mmol)を加え、室温にて1時間攪拌した。反応終了後、氷冷下、ジエチルエーテル(3ml)および0.5N水酸化ナトリウム水溶液(680ml)を加えて、室温にて1時間攪拌した。反応液を無水硫酸マグネシウム上で乾燥させた後、セライトを添加して濾過し、減圧下に濾液から溶媒を溜去した。得られた残さをシリカゲルクロマトグラフィー(溶出溶媒:ジエチルエーテル/n−ヘキサン=1/5、v/v)に付して、N−メチルアニリン(66mg、収率91%)を得た。実施例29N−アリル−N−ベンゾイルアニリン(100mg、422mmol)およびニッケルジクロロビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン(9mg、17mmol)の無水トルエン溶液(2ml)に、氷冷下、トリメチルアルミニウム(0.98Mn−ヘキサン溶液、1.3ml、1.3mmol)を加え、7時間加熱環流した。反応終了後、氷冷下、ジエチルエーテル(3ml)および0.5N水酸化ナトリウム水溶液(1.3ml)を加え、室温にて2時間攪拌した。反応液を無水硫酸マグネシウム上で乾燥させた後、セライトを添加して濾過し、減圧下に濾液から溶媒を溜去した。得られた残さをシリカゲルクロマトグラフィー(溶出溶媒:ジエチルエーテル/n−ヘキサン=1/5、v/v)に付して、N−ベンゾイルアニリン(61mg、収率73%)を得た。実施例30〜42各種アリル誘導体を用い、実施例28に準じた方法で脱保護反応を行った結果を表5に示した。【0023】【化9】【0024】【表5】【0025】実施例43〜475員環骨格を有する各種アリル誘導体を用い、実施例28に準じた方法で脱保護反応を行った結果を表6に示した。【0026】【表6】【0027】実施例48〜51各種アリル誘導体を用い、実施例28に準じた方法で脱保護反応を行った結果を表7に示した。【0028】【化10】【0029】【表7】【0030】実施例52〜57各種アリル誘導体を用い、実施例29に準じた方法で脱保護反応を行った結果を表8に示した。【0031】【化11】【0032】【表8】【0033】産業上の利用の可能性本発明より、中性条件下の1段階反応で、効率よく進行するアリル基の脱保護方法が提供された。 一般式(1)(式中、R1は有機残基を示し、Aは酸素または−NR2を示し、R2は水素または有機残基を示す。)で表されるアリル誘導体をニッケルジクロロビス(ジフェニルホスフィノ)プロパンの存在下に、還元剤で処理することにより、一般式(2)(式中、R1は有機残基を示し、Aは酸素または−NR2を示し、R2は水素または有機残基を示す。)で表される化合物に変換することを特徴とするアリル基で保護された基から触媒的に保護基を除く方法。 還元剤がジイソブチルアルミニウムヒドリドである請求項1に記載の方法。 還元剤が水素化硼素ナトリウムである請求項1に記載の方法。 還元剤がトリアルキルアルミニウムである請求項1に記載の方法。 一般式(1)において、R1がアルキル、アリ−ル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、モノシクロアルキル、ビシクロアルキル、トリシクロアルキル、モノシクロアリール、ビシクロアリール、トリシクロアリ−ル、ヘテロアルキル、またはヘテロ環骨格の何れかである、請求項1に記載の方法。 一般式(1)および一般式(2)において、R2がアルキル、アリ−ル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、モノシクロアルキル、ビシクロアルキル、トリシクロアルキル、ヘテロアルキル、モノシクロアリール、ビシクロアリール、トリシクロアリ−ル、アルキルスルホニル、アリールカルボニルまたはアリールスルホニル骨格の何れかである、請求項1に記載の方法。