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タイトル:特許公報(B2)_次亜塩素酸塩を酸化剤として使用するフェニレンジアミンからのキノンジイミンの製造
出願番号:2000517938
年次:2009
IPC分類:C07C 249/02,C07C 251/22


特許情報キャッシュ

ロダヤ,ジャヤント,エス. ロール,レイモンド,エー. フィールズ,ドナルド,エル.,ジュニア JP 4354113 特許公報(B2) 20090807 2000517938 19981027 次亜塩素酸塩を酸化剤として使用するフェニレンジアミンからのキノンジイミンの製造 フレクシス アメリカ エル. ピー. 500183618 松井 光夫 100085545 ロダヤ,ジャヤント,エス. ロール,レイモンド,エー. フィールズ,ドナルド,エル.,ジュニア US 60/063,764 19971029 US 09/089,551 19980603 20091028 C07C 249/02 20060101AFI20091008BHJP C07C 251/22 20060101ALI20091008BHJP JPC07C249/02C07C251/22 C07C 249/02 C07C 251/22 C07C 251/20 CAplus(STN) REGISTRY(STN) 特開昭60−242528(JP,A) 特開平04−235151(JP,A) 特開平07−048323(JP,A) 仏国特許出願公開第02659651(FR,A1) Bulletin de la Societe Chimique de France,1960年,p.55-59 Chemisch Weekblad,1960年,Vol.56, No.2,p.21-22 Journal of Organic Chemistry,1997年,Vol.62, No.7,p.2222-2229 10 US1998022803 19981027 WO1999021826 19990506 2001521021 20011106 12 20051027 福島 芳隆 【0001】【発明の属する技術分野】本出願は、1997年10月29日に出願された米国仮出願第60/063,764号の出願日に優先権を主張する。本発明は、次亜塩素酸塩を酸化剤として使用して対応するフェニレンジアミンからキノンジイミンを製造する方法に関する。【0002】【従来の技術】環式エノン(enone)の類は、有機化学で周知である。環式エノンの最もよく知られた例は、例えば、ベンゾキノン、ナフトキノン、アントラキノン、フェナントラキノンなどのキノンである。1,4−ベンゾキノンが通例、キノンと呼ばれる。キノンは一般に、明るく着色された化合物であり、化学合成において、生物学的用途において、レドックス材料として、および工業において幅広い用途がある。キノンの化学および用途に関するいくつかの概説があり、例えば、kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology, 第3版、Vol.19,pages 572-605, John Wiley & Sons,New York, 1982が挙げられる。【0003】キノンの合成は、文書によく記載されている。例えば、J. Cason,「酸化によるベンゾキノンの合成(Synthesis of Benzoquiones by Oxidation)」,Organic Synthesis, Vol. IV, page 305, John Wiley & Son, New York (1948)を参照。キノンは一般に、適切に二置換された芳香族炭化水素誘導体を酸化することにより製造され、ここで該置換基は、オルトまたはパラ位のヒドロキシルまたはアミノ基である。例えば1,4−ベンゾキノンは、ヒドロキノン、p−アミノフェノールまたはp−フェニレンジアミンの酸化によって、あるいはキナ酸から作ることができる。酸化のために一般に使用される試薬は、二クロム酸塩/硫酸混合物、塩化鉄(III)、酸化銀(II)または硝酸セリウム(IV)アンモニウムである。これらの場合、アミノ芳香族化合物の酸化は、対応するキノンへの加水分解によって行われる。いくつかの方法は、反応の完了に数時間を要し得る。【0004】すなわち、従来の方法のいくつかは、許容され得る反応速度を達成するために触媒試薬を使用し、一方、他の方法は、触媒無しで進行する。本発明に係る方法は、キノンジイミンの製造のために極めて高い転化率、高い選択性および速い反応速度を提供する次亜塩素酸塩試薬を使用する。【0005】キノンイミン化合物の製造において触媒を使用する従来の方法は、Desmursらによって米国特許第5,189,218号に開示されている。Desmursらの方法は、N−(4−ヒドロキシフェニル)アニリンをN−フェニルベンゾキノン−イミンに転化するものであり、酸化型反応での触媒として、マンガン、銅、コバルトおよび/またはニッケル化合物を使用する。【0006】金属触媒成分を使用するDesmursらの上記方法は、金属触媒を使用する他のあらゆる方法と共に、いくつかの欠点を有する。金属触媒は比較的高価であるだけでなく、それらは、重大な環境上の問題をもたらす。例えば、廃棄物流および生成物が金属によって汚染され得る。さらに、再利用のための触媒の回収は、極めて高価であり得る。【0007】フェニレンジアミンをその対応するキノンジイミンに転化するために酸化剤を使用する他の方法は、公知である。例えば、EP708,081(Bernhardtら)は、アルカリ/アルコール溶液中でのジアミンの酸化によるフェニレンジアミンのフェニレンジイミンへの転化を記載しており、該特許は、その背景において係る方法を一般的に記載している。EP’081法は、長い反応時間および低い収率などの種々の欠点を有する。さらなる酸化的転化法が、Wheelerによって米国特許第5,118,807号に、HaasらによってEP708,080に記載されている。しかし、ジイミノ化合物の高選択的収率を提供するためにジアミノ化合物の転化において酸化剤として次亜塩素酸塩を使用することは、今まで示唆されていない。【0008】【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、N,N’−二置換されたキノンジイミンを高収率および高純度で製造するための間単かつ経済的な方法を提供するという問題に基づく。【0009】フェニレンジアミン化合物が、ジアミンと次亜塩素酸塩酸化剤との反応によって極めて高い選択率で対応するキノンジイミンに転化され得ることが発見された。ほぼ定量的な収率が得られた条件が示される。【0010】従来技術と対照的に、本発明の利点は、フェニレンジアミンの対応するキノンジイミンへの転化がほぼ定量的であるということである。すなわち、反応完了時に、廃棄物質は極僅かしか残っていない。【0011】別の利点は、次亜塩素酸塩酸化剤の使用から生じる。次亜塩素酸塩酸化剤は、高コスト、生成物汚染および環境上の廃棄物の問題などの金属触媒に関連した欠点を回避する。【0012】さらに別の利点は、本明細書に記載された次亜塩素酸塩酸化剤が、極めて高い転化率、高い選択率および従来の方法と比較してより速いより完全な反応を提供するということである。【0013】本発明のさらに別の利点は、好ましい実施態様の以下の詳細な説明を読んで理解すると、当業者には明らかになるであろう。【0014】【課題を解決するための手段】本発明の目的は、フェニレンジアミンをその対応するキノンジイミン(QDI)へ転化するための有効な方法を提供することである。本発明の目的によれば、式Iに従うフェニレンジアミン(オルトまたはパラ)を、ケトン、アルコール、ニトリル、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、水およびそれらの混合物から選択される溶媒の存在下で、次亜塩素酸塩酸化剤と反応させる:【化5】ここで、R1、R2およびR3は、同じまたは異なり、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、アリール、アラルキル、アルカリール、シクロアルキル、ヘテロ環、アシル、アロイル、カルバミル、カルボン酸、エステル、エーテル、ケトン、アルコール、チオール、アルキルチオールおよびシアノから選択され、R3は水素であってもよい。【0015】【発明の実施の形態】反応は、式IIaまたはIIbに従う対応するキノンジイミンを生成する:【化6】ここで、R1、R2およびR3は、式Iに従う化合物におけるものと同じである。【0016】反応は、下記のように表される:【化7】【0017】R1、R2およびR3の満足のいく基の例は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシルなどの直鎖のまたは分岐したアルキル;フェニル、ナフチル、アントラシル、トリル、エチルフェニル、1−エチル−3−メチルペンチル、1−メチルヘプチルなどのアリール;シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチルなどのシクロアルキルである。他の例としては、アリルおよびイソブテニル;1,3,5−sym−トリアジニル、2−ベンゾチアゾリル、2−ベンズイミダゾリル、2−ベンゾキサゾリル、2−ピリジル、2−ピリミジニル、2,5−チアジアゾリル、2−ピラジニル、アジピル、グルタリル、スクシニル、マロニル、アセチル、アクリリル、メタクリリル、カプロイル、3−メルカプトプロピオニル、ベンゾイル、フタロイル、テレフタロイル、アミノカルボニル、カルベトキシ、カルボニル、ホルミルなどが挙げられる。これらは、単に例示した基であり、本発明の範囲を決して制限するものではない。【0018】次亜塩素酸塩試薬としては、それらに限定されないが、次亜塩素酸、塩素酸、過塩素酸の金属塩、ならびに次亜塩素酸t−ブチルなどの有機次亜塩素酸塩が挙げられる。上記に記載した反応図1では、Mはナトリウム(Na)、カリウム(K)およびカルシウム(Ca)などの種々の金属、またはアルキル、アリールなどの種々の有機基から選択される。次亜塩素酸塩は、フェニレンジアミン1当量につき0.1〜100、好ましくは0.3〜5当量の範囲の量で存在し得る。フェニレンジアミン1当量につき1当量未満の次亜塩素酸塩を使用すると、キノンジイミンおよび未反応のフェニレンジアミンの混合物を製造することができる。1当量より多い次亜塩素酸塩を使用すると、未反応の次亜塩素酸塩流の再循環が許容可能である。【0019】塩素を水酸化ナトリウム溶液に通すことによって次亜塩素酸ナトリウムがインシチューに(in situ)作られ得ることがさらに予期される。例えば、N−1,3−ジメチルブチル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン(Santoflex(商標)6PPD)および水酸化ナトリウムの反応体混合物を有し、次いで塩素ガスを既知量で反応器に添加し、次亜塩素酸ナトリウムをインシチューに(in situ)作ることができる。これは、次いで、Santoflex(商標)6PPDと反応して6QDIを生じる。【0020】本発明に係る反応は、溶媒系で起こり得る。種々の炭化水素に基づく溶媒および水を包含する種々の極性および非極性溶媒が酸化反応において使用され得る。本発明の方法で使用できる有機溶媒としては、それらに限定されないが、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、メチルイソブチルカルビノール、エチレングリコールなどのアルコール;アセトン、シクロヘキサノン、4−メチル−2−ペンタノン(メチルイソブチルケトン)、5−メチル−2−ヘキサノン、メチルエチルケトンなどのケトン;ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレンなどの脂肪族および芳香族炭化水素;アセトニトリルなどのニトリル;クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素などのハロゲン化溶媒;ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、スルホラン、ジメチルホルムアミドなどの水溶性溶媒;酢酸エチルなどのエステル;1,4−ジオキサンなどのエーテルおよびそれらの混合物が挙げられる。水も溶媒系において単独または有機溶媒との混合物として使用することができる。最初のフェニレンジアミン濃度は、1%〜100% w/vの量の範囲であり得る。極性溶媒は、反応速度を増加させるために、単独でまたは非極性溶媒との混合物で使用することができる。【0021】本発明の反応は、溶媒を何ら添加しない純粋系(neat system)でも起こり得る。純粋系では、フェニレンジアミン出発物質が溶融状態に加熱され、次亜塩素酸塩が添加され、反応の完了まで混合物が攪拌される。純粋系の使用は、溶媒の使用に関連する取扱いおよび可燃性の危険、特に、酸化反応で溶媒が使用されるときに存在する可燃性の危険を回避する。【0022】本発明の反応は、溶媒に応じて、−200℃〜150℃の温度、好ましくは0℃〜100℃の温度で起こり得る。【0023】水と混和しない溶媒の場合、本発明の方法において反応の速度を促進するために相移動触媒を使用することが有利である。本発明で使用できる相移動触媒としては、それらに限定されないが、水酸化テトラメチルアンモニウム、ハロゲン化テトラアルキルアンモニウム、テトラ−N−ブチルアンモニウムブロマイド、テトラ−N−ブチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライドなどの四級アンモニウム塩;ビス[トリス(ジメチルアミノ)ホスフィン]イミニウムクロライドなどのホスホニウム塩;クラウンエーテルおよびポリエチレングリコールが挙げられる。【0024】相移動触媒は、反応混合物に直接添加することができ、または次亜塩素酸ナトリウムまたはSantoflex(商標)6PPDなどの試薬の1つに溶解させることができる。相移動触媒は、反応物に添加する前に、プロセスで使用される溶媒、または水に溶解することもできる。【0025】反応速度が増加され得る別の手段は、反応での攪拌または混合速度を増加させることによる。攪拌または混合を増強させることにより、反応速度は、必要なときにより速い速度で進むために有効に調整され得る。【0026】過剰の次亜塩素酸ナトリウム(混合物に存在する場合)を中和するために、反応混合物を処理する前に亜硫酸ナトリウムなどの試薬または他の中和剤を添加することができる。【0027】【実施例】本発明は、下記実施例によってより明確に説明することができる。【0028】実施例1N−1,3−ジメチルブチル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン(Santoflex(商標)6PPD、60g、0.224モル)およびアセトニトリル(250ml)の混合物を室温で攪拌した。次いで、この混合物に次亜塩素酸ナトリウム(148g、濃度=約11.2%、0.23モル)を添加した。混合物を室温で1.5時間攪拌した後、出発物質の消費をHPLCによって分析した。分析は、Santoflex(商標)6PPDの消失および対応するキノンジイミンの生成を示した。種々の単離法を使用して生成物を単離することができる。使用された方法は、反応物の濃縮によるアセトニトリルの除去、続いて炭化水素(例えばトルエン300ml)および水による処理、続いて層分離、そして炭化水素層を濃縮して褐色液体を得ることにより構成された。生成物は、対応するN−1,3−ジメチルブチル−N’−フェニル−キノンジイミン(6QDI)であると同定された。6QDIは、ほぼ定量的収率で単離された。【0029】実施例2N−1,3−ジメチルブチル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン(Santoflex(商標)6PPD、5g、0.019モル)およびメタノール(200ml)の混合物を攪拌し、−70℃に冷却した。次いで、この混合物に次亜塩素酸ナトリウム(12g、濃度=約11.7%、0.020モル)を添加した。混合物を−70℃で攪拌し、出発物質の消費をHPLCによって約1時間で分析した。分析は、Santoflex(商標)6PPDの消失および対応するキノンジイミンの生成(HPLCによる97面積%)を示した。種々の単離法を使用して生成物を単離することができる。実施例1に記載されたものと同様の手順を使用して生成物をほぼ定量的収率で単離した。【0030】実施例3N−1,3−ジメチルブチル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン(Santoflex(商標)6PPD、60g、0.224モル)およびヘキサン(200ml)の混合物を攪拌し、45℃に加熱した。次いで、この混合物に次亜塩素酸ナトリウム(166g、濃度=約10.3%、0.23モル)を添加した。混合物を45℃で維持し、Santoflex(商標)6PPDの消失に関して、反応をHPLCでモニターした。結果を下記表にまとめる。【0031】【表1】【0032】分析は、Santoflex(商標)6PPDの消失および対応するキノンジイミンの生成を示した。種々の単離法を使用して生成物を単離することができる。本実施例で使用された方法は、層の分離、水による有機層の洗浄、および炭化水素層を濃縮して褐色液体を得ることにより構成された。液体は、対応するN−1,3−ジメチルブチル−N’−フェニル−キノンジイミン(6QDI)であると同定され、ほぼ定量的収率で単離された。上記と同様の反応において、反応の有効な混合/攪拌により、6PPDの6QDIへの完全な転化(100%)が5時間未満で得られた。これは、反応速度が、成分の混合を増強することにより有意に増加され得ることを示す。さらに、実施例3の方法においてより高い強度(濃度)の次亜塩素酸ナトリウムを使用すると、より低い濃度の次亜塩素酸ナトリウムの使用と比較して高められた反応速度が得られる。すなわち、次亜塩素酸ナトリウムの濃度の増加は、特許請求された方法の反応速度を有意に増加させ得る。【0033】実施例4実施例3に記載されたものと同様の方法を本実施例で使用したが、ただし、他の試薬全ての他に相移動触媒が使用された。使用された触媒は、テトラブチルアンモニウムブロマイドであった。N−1,3−ジメチルブチル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン(Santoflex(商標)6PPD、60g、0.225モル)、ヘキサン(200ml)およびテトラブチルアンモニウムブロマイド(1.2g、0.0037モル)の混合物を攪拌し、45℃に加熱した。次いで、この混合物に次亜塩素酸ナトリウム(166g、濃度=約10.3%、0.23モル)を添加した。混合物を45℃で維持し、Santoflex(商標)6PPDの消失に関して、反応をHPLCによりモニターした。結果を下記表にまとめる。【0034】【表2】【0035】分析は、Santoflex(商標)6PPDの消失および対応するキノンジイミンの生成を示した。種々の単離法を使用して生成物を単離することができる。本実施例で使用された方法は、層の分離、水による有機層の洗浄、および炭化水素層を濃縮して褐色液体を得ることにより構成された。液体は、対応するN−1,3−ジメチルブチル−N’−フェニル−キノンジイミン(6QDI)であると同定され、ほぼ定量的収率で単離された。【0036】実施例5500mlフラスコにN−1,3−ジメチルブチル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン(Santoflex(商標)6PPD、100g、0.373モル)を添加し、これを55℃に維持された水浴に浸した。次亜塩素酸ナトリウム(240g、濃度=約12.2%、0.39モル)を2.5時間にわたって添加しながら、反応を攪拌し、55℃で維持した。混合物を55℃で維持し、反応を、次亜塩素酸ナトリウムの添加後にサンプルを採取することによりモニターし、Santoflex(商標)6PPDの消失をHPLCによって分析した。3.25時間後には反応はほとんど完了して、対応するN−1,3−ジメチルブチル−N’−フェニル−キノンジイミン(6QDI)が得られた。種々の単離法を使用して生成物を単離することができる。本実施例で使用された方法は、水の添加、層の分離、および有機層を水で洗浄して褐色の液体を得ることにより構成された。液体は、対応するN−1,3−ジメチルブチル−N’−フェニル−キノンジイミン(6QDI)であると同定され、ほぼ定量的収率で単離された。【0037】実施例6実施例5と全く同じ手順に従って、実施例5に記載された同量の試薬および同じ添加時間を本実施例で使用したが、ただし、他の試薬全ての他に相移動触媒を使用した。使用された触媒は、テトラブチルアンモニウムブロマイド(2.0g、0.0062モル)であった。1.5時間後には反応はほとんど完了して、対応するN−1,3−ジメチルブチル−N’−フェニル−キノンジイミン(6QDI)が得られた。種々の単離法を使用して生成物を単離することができる。本実施例で使用された方法は、水の添加、層の分離、および有機層を水で洗浄して褐色の液体を得ることにより構成された。液体は、対応するN−1,3−ジメチルブチル−N’−フェニル−キノンジイミン(6QDI)であると同定され、ほぼ定量的収率で単離された。【0038】実施例7Santoflex(商標)134(5.0g、これは、N−1,3−ジメチルブチル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミンおよびN−1,4−ジメチルペンチル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミンの混合物である)およびアセトニトリル(50ml)の混合物を室温で攪拌した。次いで、次亜塩素酸ナトリウム(12g、濃度=約12.5%)をこの混合物に添加した。混合物を室温で2時間攪拌した後、出発物質の消費をHPLCによって分析した。分析は、Santoflex(商標)134の消失および対応するキノンジイミンの生成を示した。種々の単離法を使用して生成物を単離することができる。本実施例で使用した方法は、反応物の濃縮によるアセトニトリルの除去、続いて炭化水素(例えば、トルエン)および水による処理、続いて層の分離、および炭化水素層を濃縮して褐色の液体を得ることにより構成された。生成物は、対応するN−1,3−ジメチルブチル−N’−フェニル−キノンジイミン(6QDI、36面積%)およびN−1,4−ジメチルペンチル−N’−フェニル−キノンジイミン(7QDI,62面積%)であると同定され、ほぼ定量的収率で単離された。【0039】実施例8N−1,3−ジメチルブチル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン(Santoflex(商標)6PPD、5.0g、0.019モル)、アセトニトリル(200ml)、水酸化ナトリウム(25g、50%NaOH溶液)および水(250g)の混合物を攪拌し、0〜10℃に冷却した。この混合物に、制御された様式および制御された量で塩素を通し、混合物をHPLCによって分析した。結果を下記表にまとめる。【0040】【表3】【0041】混合物を攪拌した後、出発物質の消費をHPLCによって分析した。分析は、Santoflex(商標)6PPDの消失および対応するキノンジイミンの生成を示した。水酸化ナトリウムおよびSantoflex(商標)6PPDを含む溶液に、制御された量の塩素を通すことにより、対応するキノンジイミンが高選択率で製造され得ることが実証された。上記したように、種々の単離法を使用して生成物を単離することができる。次亜塩素酸ナトリウムを使用する方法の場合、6QDIおよびSantoflex(商標)6PPDの種々の組み合わせから成る生成物が製造され得る。この方法によれば、次亜塩素酸ナトリウムの充填を調整することにより、1.0%と少ないQDI〜100%QDIおよび99%6PPD〜0%6PPDを含む混合物を作ることができる。この方法は、反応物の量を制御することにより所望の組成物を設計することを可能にする。下記実施例は、この点をより明確に説明する。【0042】実施例9N−1,3−ジメチルブチル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン(Santoflex(商標)6PPD、10g、0.037モル)およびアセトニトリル(200ml)の混合物を室温で攪拌した。次いで、この混合物に次亜塩素酸ナトリウムを少しずつ添加し、混合物を室温で1.5時間後、出発物質の消費に関してHPLCにより分析した。全てのSantoflex(商標)6PPDが反応するまでその手順を繰り返した。分析は、Santoflex(商標)6PPDの消失および対応するキノンジイミンの高選択率での生成を示した。HPLC分析の結果を下記表にまとめる。【0043】【表4】【0044】種々の単離法を使用して生成物を単離することができる。本実施例で使用した方法は、反応物の濃縮によるアセトニトリルの除去、続いて炭化水素(例えば、トルエン300ml)および水による処理、続いて層の分離、および炭化水素層を濃縮して褐色の液体を得ることにより構成された。生成物は、対応するN−1,3−ジメチルブチル−N’−フェニル−キノンジイミン(6QDI)であると同定され、ほぼ定量的収率で単離された。下記実施例は、極性溶媒(t−ブチルアルコール)を非極性溶媒と混合して使用すると、実施例3におけるような非極性溶媒のみの使用と比較して反応速度が増加することを示す。【0045】実施例101,3−ジメチルブチル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン(Santoflex(商標)6PPD、25.0g、0.093モル)、2−メチル−2−プロパノール(t−ブチルアルコール、2.5g、0.034モル)およびヘプタン(60.0g)の混合物を攪拌し、48℃に加熱した。この混合物に、次亜塩素酸ナトリウム(56.0g、13.4%、0.100モル)を30分にわたって計量した。混合物の温度は48〜52℃に維持された。反応の進行を、Santoflex(商標)6PPDの消失に関してHPLCによりモニターした。結果を下記表にまとめる。【0046】【表5】【0047】他のフェニレンジアミン、例えば、Santoflex(商標)77PD[R1=R2=1,4−ジメチルペンチル、R3=水素]、Santoflex(商標)14[R1=フェニル、R2=1,4−ジメチルペンチル、R3=水素]、Santoflex(商標)IPPD[R1=フェニル、R2=イソプロピル、R3=水素]、Santoflex(商標)44PD[R1=R2=sec−ブチル、R3=水素]、4−アミノジフェニルアミン[R1=H、R2=フェニル、R3=水素]、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン[R1=R2=フェニル、R3=水素]およびN−シクロヘキシル−N’−フェニル −p−フェニレンジアミン[R1=シクロヘキシル、R2=フェニル、R3=水素]も本発明の方法に従って成功裡に十分製造された。【0048】上記の実施例で示されたように、反応は、アセトニトリルまたはメタノールなどの混和性溶媒中、またはヘキサンなどの非混和性溶媒中で行われることが示された。反応は、非常にクリーンであり、QDI最終生成物は、高い選択率を伴って非常に高い収率で得ることができる。反応速度を増加させるための種々の方法は、攪拌の増強、反応への極性溶媒の添加、および反応への相移動触媒の添加を包含する。【0049】本発明の方法によって製造されたキノンジイミンは、加硫されたエラストマーにおいて多様な活性を示す。これらの活性は、長時間にわたる酸化防止活性およびオゾン亀裂防止能を包含する。実際、これらの分解防止剤の酸化防止能は、加硫物が溶媒によって抽出された後ですら持続する。さらに、キノンジイミンは、工業にとって普通のp−フェニレンジアミン分解防止剤と一般的に関連するスコーチに負の影響を及ぼすことなくこれらの利点を提供する。ゴムにおけるこれらの化合物の活性の概要は、文献(Cain, M. E.ら、Rubber Industry, 216−226, 1975)に見ることができる。【0050】本発明を好ましい実施態様を参照して記載した。明らかなように、先の詳細な記載を読み、理解することによって、他の人に改変および変形が生じるであろう。本発明は、そのような改変および変形の全てを、それらが添付の特許請求の範囲またはその等価物の範囲内である限り、包含するものと解釈されることが意図される。 下記式Iのオルト−またはパラ−フェニレンジアミンここで、R1、R2およびR3は、同じまたは異なり、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、アリール、アラルキル、アルカリール、シクロアルキル、ヘテロ環、アシル、アロイル、カルバミル、カルボン酸、エステル、エーテル、ケトン、アルコール、チオール、アルキルチオールおよびシアノから選択され、R3は水素であってもよい、を、ケトン、アルコール、ニトリル、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、水およびそれらの混合物から選択される溶媒の存在下で、次亜塩素酸塩酸化剤と反応させて下記式IIaまたはIIbのキノンジイミンここで、R1、R2およびR3は、式Iの化合物におけるものと同じである、を得ることを含む方法。 次亜塩素酸塩が式M+OCl−(式中、Mは金属または有機基である)である、請求項1記載の方法。 R1=1,3−ジメチルブチル、R2=フェニルおよびR3=水素である、請求項1記載の方法。 フェニレンジアミンがパラ−フェニレンジアミンであり、得られるキノンジイミンがパラ−キノンジイミンである、請求項1記載の方法。 R1、R2およびR3が、イソプロピル、sec−ブチル、シクロヘキシル、フェニル、トリル、1,4−ジメチルペンチル、ナフチル、1−エチル−3−メチルペンチルおよび1−メチルヘプチルから選択され、R3は水素であってもよい、請求項4記載の方法。 溶媒が極性溶媒および非極性溶媒を含む、請求項1記載の方法。 反応に相移動触媒を添加することをさらに含み、該相移動触媒が、四級アンモニウム塩、ホスホニウム塩、クラウンエーテルおよびポリエチレングリコールから選択される、請求項1記載の方法。 反応物が一緒に混合され、または攪拌され、かつ、反応速度が、混合または攪拌速度の増加により増加され得る、請求項1記載の方法。 反応速度が、使用される次亜塩素酸塩の強度(濃度)の増加により増加され得る、請求項1記載の方法。 次亜塩素酸塩が次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)である、請求項2記載の方法。


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