タイトル: | 特許公報(B2)_相乗的鎮痛作用の得られるオピオイド鎮痛剤とシクロオキシゲナーゼ−2阻害剤との組合せ |
出願番号: | 2000511431 |
年次: | 2012 |
IPC分類: | A61K 31/485,A61K 9/22,A61K 9/52,A61K 31/18,A61K 31/341,A61K 31/381,A61K 31/415,A61K 31/5415,A61P 25/04,A61P 29/00 |
バーチ,ロナルド,エム. ゴールデンハイム,ポール,ディー. サックラー,リチャード,エス. JP 5077903 特許公報(B2) 20120907 2000511431 19980917 相乗的鎮痛作用の得られるオピオイド鎮痛剤とシクロオキシゲナーゼ−2阻害剤との組合せ ユーロ−セルティーク エス.エイ. 599108792 小林 浩 100092783 片山 英二 100095360 大森 規雄 100120134 杉山 共永 100110663 鈴木 康仁 100104282 バーチ,ロナルド,エム. ゴールデンハイム,ポール,ディー. サックラー,リチャード,エス. US 60/059,195 19970917 20121121 A61K 31/485 20060101AFI20121101BHJP A61K 9/22 20060101ALI20121101BHJP A61K 9/52 20060101ALI20121101BHJP A61K 31/18 20060101ALI20121101BHJP A61K 31/341 20060101ALI20121101BHJP A61K 31/381 20060101ALI20121101BHJP A61K 31/415 20060101ALI20121101BHJP A61K 31/5415 20060101ALI20121101BHJP A61P 25/04 20060101ALI20121101BHJP A61P 29/00 20060101ALI20121101BHJP JPA61K31/485A61K9/22A61K9/52A61K31/18A61K31/341A61K31/381A61K31/415A61K31/5415A61P25/04A61P29/00 A61K31/00-33/44 A61K45/00-45/08 CA(STN) REGISTRY(STN) MEDLINE(STN) BIOSIS(STN) EMBASE(STN) Eur J Pharmacol, 1997 Jul, Vol.330, No.2−3, p.199−204 J Pain Symptom Manage, 1996, Vol.12, No.5, p.283−9 Drugs, 1996, Vol.52 Suppl 3, p.27−38 Semin Arthritis Rheum, 1997, Vol.26, No.6 Suppl 1, p.21−7 14 US1998019516 19980917 WO1999013799 19990325 2001516699 20011002 31 20050915 2010006338 20100324 内藤 伸一 荒木 英則 渕野 留香 【0001】(技術分野)本発明は、オピオイド鎮痛剤およびシクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)阻害剤を含有する鎮痛用医薬組成物に関する。本発明はまた、そのような医薬組成物をヒトの患者に投与することを含む疼痛の治療法にも関する。【0002】(発明の背景)高い鎮痛効果をもたらすことができると同時に望ましくない作用が起こる可能性が低減された鎮痛薬剤は依然として必要とされている。イブプロフェン、ケトプロフェン、およびジクロフェナックなどの化合物を含む非ステロイド抗炎症剤(NSAID)は抗炎症活性を有するとともに、プロスタグランジンおよびその他の炎症のメディエーターの放出に伴う疼痛に有効である。例えばジクロフェナックは、鎮痛剤および抗炎症剤として極めて強力で有効であると考えられる。ジクロフェナックは、米国で、慢性関節リウマチ、変形性関節症、および強直性脊椎炎の長期対症療法用として承認されている。また、ジクロフェナックは、急性の筋骨格の外傷、急性肩痛、術後疼痛、および月経困難症の短期治療にも有用であると考えられる。しかし、ジクロフェナックなどのNSAIDには副作用があり、約20%の患者では投薬を中止する必要がある。副作用としては、例えば、胃腸出血、肝酵素の異常な上昇などが挙げられる。【0003】オピオイドは、主に中枢作用性鎮痛剤として用いられ、オピウムもしくはモルヒネ様の特性を有する一群の薬剤で、天然のものと合成のものがある(Gilmanら, 1980, GOODMAN AND GILMAN'S THE PHARMACOLOGICAL BASIS OF THERAPEUTICS, 第24章:494-534, Pergamon Press刊, これは参照により本明細書に含まれる)。オピオイドにはモルヒネおよびモルヒネ様相同体が含まれ、そのモルヒネ様相同体としては、そのような多くの誘導体の中でも例えば半合成誘導体コデイン(メチルモルヒネ)およびヒドロコドン(ジヒドロコデイノン)が挙げられる。モルヒネおよび関連オピオイドは中枢神経系またはCNS(脳および脊髄を意味する)のμオピオイド受容体でアゴニスト活性を示すとともに、δおよびκオピオイド受容体に対する親和性を示し、痛覚消失、嗜眠、気分の変化、精神混濁などの一連の作用を示す。モルヒネ関連オピオイドは、強力な鎮痛効果に加えて、例えば、呼吸低下、悪心、嘔吐、めまい、精神混濁、不快気分、かゆみ、便秘、胆管圧の上昇、尿閉、低血圧などの多くの望ましくない作用も引き起こし得る。オピオイド薬物に対する耐性の出現ならびにこれらの薬剤に対する化学的依存性および乱用のリスクも別の望ましくない作用である。【0004】モルヒネは、オピオイド鎮痛薬の基本型と考えられており、即時放出性経口剤形などの多くの剤形で利用されており、より最近では、12時間制御放出性製剤(例えば、MS Contin(登録商標)錠、Purdue Frederick Companyから市販されている)に製剤化されている。その他のオピオイド鎮痛剤は、ヒドロモルホン(例えばDilaudid(登録商標)、Knoll Pharmaceuticalsから市販されている)などの即時放出性経口剤形として利用されている。より最近では、別の制御放出性オピオイド鎮痛剤であるオキシコドンが入手可能になった (OxyContin(登録商標), Purdue Pharmaから市販されている)。当然のことながら、その他に多数の即時放出性および徐放性のオピオイド製剤が世界中で市販されている。【0005】既出の文献によれば、オピオイドを、NSAIDまたはアセチルサリチル酸もしくはアセトアミノフェンなどの鎮痛剤とを、相乗的な鎮痛効果によってNSAIDおよび鎮痛剤の双方の合計投与量の低減ができるように組合せることによって望ましくない作用を低減させつつ鎮痛効力を高めることができると報告されている。例えば、米国特許第4,569,937号(Bakerら, 1986年2月11日発行)では、オキシコドンとイブプロフェンの1:6から約1:400(オキシコドン/イブプロフェン)の比率の組合せについて述べている。米国特許第4,690,927号(Vossら, 1987年9月1日発行)では、NSAIDであるジクロフェナックとコデインとの、ジクロフェナックのコデインに対する重量比約1:1から約3:1までの組合せについて述べている。米国特許第5,190,947号(Riessら, 1993年3月2日発行)では、ジクロフェナック-コデイン塩([2-[2,6-ジクロロフェニル)-アミノ]-フェニル]-酢酸)について述べている。米国特許第4,844,907号(Elgerら, 1989年7月4日発行)では、別々の層として麻薬性鎮痛剤相とNSAID相を組合せた多相錠について述べている。米国特許第4,587,252号(Arnoldら, 1986年5月6日発行)では、ヒドロコドンとイブプロフェンの組合せを用いた疼痛治療法について述べている。【0006】非ステロイド抗炎症剤(NSAID)は、プロスタグランジンG/Hシンターゼ(シクロオキシゲナーゼとしても知られている)の阻害によって、その抗炎症、鎮痛および解熱活性のほとんどを生じ、かつホルモンによって誘導される子宮収縮およびある種の癌の増殖を抑制する。【0007】脂肪酸シクロオキシゲナーゼ(COX)は、プロスタグランジン、トロンボキサン、および各種のその他のアラキドン酸由来およびより不飽和度の高い脂肪酸由来の生物学的に活性なヒドロキシル化代謝産物の供給源として述べられている。1960年代末期を端緒として、B.Sammuelson, S.Bergstromおよび彼らの共同研究者らはシクロオキシゲナーゼの産物の生物学的活性を発見し、その構造を明らかにした。1960年代末期および1970年代初期に、J.Vaneはアスピリンとその他のNSAIDがシクロオキシゲナーゼを阻害することによってその主たる生物学的活性を発現することを見出した。COXはPGGおよびPGHの生成に直接関与しており、これらはPGD, PGE, PGF, PGIおよびTXA合成の中間体として働く。1970年代末期および1980年代初期までには、多数のホルモンおよびその他の生物学的に活性な物質がCOXの細胞内での活性を調節しているのであろうと考えられるようになった。最初は、COXの誘導はごくわずかの基質のターンオーバーの後に起こるCOXの酸化的不活化の単純な結果であろうと推定されていた。このことは基質中に分子状酸素を取り込む酵素に共通のものである、つまり、酸素が急速に酵素を分解する。そのような酵素はときに自殺酵素と呼ばれる。急速な(数秒以内)シクロオキシゲナーゼの不活化に応答して、そのメッセージが転写され、触媒作用によって失われたものを置換するためにその酵素が急速に誘導される。いくつかの研究グループによって、シクロオキシゲナーゼが失われた酵素を置換するために必要な程度よりはるかに多く誘導されることが示された。クローン化されたCOX-1酵素に対するオリゴヌクレオチドを用いて、低いストリンジェンシーのもとでのノーザンブロットで第2のバンドが同定された。この遺伝子はクローン化され、第2のCOX酵素であると同定され、COX-2と名付けられた。この遺伝子は基底状態の多くの細胞では存在が非常に低頻度であるが、数種のサイトカインおよび神経伝達物質によって急速に誘導されることが示された。この酵素の発現は、以前に観察されていた活性化細胞内での過剰のCOX活性の原因であることが示された。COX-1およびCOX-2の遺伝子は異なっており、COX-1の遺伝子は22kbで、メッセージサイズが2.8kbであるが、COX-2の遺伝子は8.3kbで、メッセージサイズが4.1kbである。COX-1プロモーターが認識される転写因子結合部位を含まないのに対し、COX-2プロモーターはNF-κB, AP-2, NF-IL-6および糖質コルチコイドと結合する部位を含んでいる(H.R.Herschman, Canc. Metas. Rev. 13:256, 1994)。2つの酵素の活性部位には若干の相異がある。アスピリンはCOX-1のシクロオキシゲナーゼ活性を阻害するが、COX-1のペルオキシダーゼ活性は無傷の状態を保ったが、アスピリンはCOX-2をシクロオキシゲナーゼから15-リポキシゲナーゼへ変換する(E.A.Meadeら, J.Biol.Chem. 268:6610,1993)。【0008】COX-1が多くの細胞で細胞内のプロスタグランジンの基底放出に関与しており、胃腸管の保全および腎血流の維持などのプロスタグランジンの生理機能に重要であるという説が提唱されている。COX-1の阻害は、凝固障害と関連する血小板凝集の阻害、ならびに潰瘍や出血の可能性のある胃腸管毒性などといった、いくつかの副作用を生ずる。胃腸管毒性は胃粘膜の細胞を保護するプロスタグランジンの生合成の減少によるものと考えられている。【0009】副作用の高発生率は歴史的に古典的シクロオキシゲナーゼ阻害剤の慢性的使用と関連づけられてきているが、これらの阻害剤はすべて、COX-1またはCOX-2に対してほぼ同等な効力を有するか、またはCOX-1選択的である。腎毒性が起こるが、それは通常腎不全をすでに示している患者において明らかになる(D.Kleinknecht, Sem, Nephrol. 15:228, 1995)。最も発生率が高く、病的状態を起こす毒性は胃腸管に対するものが断然高い。比較的毒性のないピロキシカムなどの薬剤でも4%もの患者がひどい出血および潰瘍を経験している(M.J.S.Langmanら, Lancet 343:1075, 1994)。米国では、ほぼ2000例の関節リウマチ患者と20000例の変形性関節症患者がCOX阻害剤の使用に関連する胃腸管の副作用によって毎年死亡していると推定されている。英国では、年4000例の潰瘍関連の死亡のうちの約30%がCOX阻害剤に起因するものとされている(Scrip 2162, p.17)。COX阻害剤は、上皮粘液産生および腎血流に関与する恒常的なプロスタグランジン合成の阻害によってそれぞれ胃腸管毒性および腎毒性を引き起こす。【0010】シクロオキシゲナーゼの第2の形であるCOX-2は、マイトジェン、エンドトキシン、ホルモン、サイトカイン、および成長因子などの多数の因子により急速かつ容易に誘導される。【0011】COX-2は炎症性物質、ホルモン、成長因子、およびサイトカインなどの因子に応答してCOX-2の急速な誘導が起こる際に現れるプロスタグランジンの病理学的作用の主たる原因となっていると提唱されている。従ってCOX-2の選択的阻害剤は、従来の非ステロイド抗炎症剤(NSAID)と同様の抗炎症、解熱および鎮痛特性を有するであろう。さらに、COX-2阻害剤はホルモンで誘導される子宮収縮を抑制し、抗癌作用をもつ可能性がある。COX-2阻害剤はNSAIDに比べて、作用機作に基づくいくつかの副作用の誘発能が低減されていることなどの利点を有するであろう。さらに、COX-2阻害剤は胃腸管毒性を生ずる可能性が低く、腎臓の副作用を生ずる可能性も低く、出血時間への影響が少なく、アスピリン過敏性喘息患者における喘息発作の誘発能が低いと考えられている。【0012】かくして、COX-1に対してよりもCOX-2に対する特異性が高い化合物は、従来のNSAIDに替わるものとしておそらく有用であろう。このことは特にNSAIDの使用が禁忌とされている患者、例えば胃潰瘍、胃炎、限局性腸炎、潰瘍性大腸炎、憩室炎もしくは再発性の胃腸管病変、胃腸管出血、貧血を含む凝固障害、低プロトロンビン血症、血友病もしくはその他の出血性異常、腎疾患、および手術直前もしくは抗凝固剤の投与を受けている患者において特に言いうることである。【0013】COX-2でなくCOX-1が胃腸管の上皮性プロスタグランジン産生に関与しており、腎臓でのプロスタグランジン合成に対する主たる寄与者であることが明らかとなったので、選択的COX-2阻害剤の探索は非常に活発に行われるようになった。このことによって、ニメスリドおよびDup-697を含む数種のCOX阻害剤、それらはほとんどもしくはまったく胃腸肝障害を起こさないことが知られているが、それらがCOX-2選択的であるということが急速に認識されるようになった。【0014】米国特許第5,409,944号(Blackら)では、ある種の新規なアルケン-スルホンアミド-インダノン誘導体が疼痛、発熱、炎症、関節炎、癌、およびその他の病状に有効であると述べている。その特許ではまた、そこに述べられている新規アルケン-スルホンアミドインダノン誘導体を、アセトアミノフェンまたはフェナセチンなどの鎮痛剤;カフェインなどの増強剤;H2-アンタゴニスト、水酸化アルミニウムもしくは水酸化マグネシウム、シメチコン、うっ血除去剤、例えばフェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、シュードフェドリン、オキシメタゾリン、エピネフリン、ナファゾリン、キシロネタゾリン、プロピルヘキセドリン、もしくはレボデソキシエフェドリン;コデイン、ヒドロコドン、カラミフェン、カルベタペンタン、もしくはデキストロメトルファンなどの鎮咳剤;利尿剤および/または鎮静剤もしくは非鎮静抗ヒスタミン剤と共に含む、シクロオキシゲナーゼ-2が介在する疾病を治療するための組成物についても述べている。Blackらは鎮咳有効量での2種のオピオイド鎮痛剤(コデインおよびヒドロコドン)の使用について述べてはいるが、彼らのCOX-2阻害剤を何らかのオピオイド鎮痛剤の鎮痛有効量での使用については開示も示唆もしていない。【0015】(本発明の概要)本発明の目的は、効果的な疼痛管理を提供しつつオピオイド鎮痛剤の血漿濃度を低減させることのできる方法および医薬製剤(医薬品)を提供することである。【0016】さらに本発明の目的は、疼痛患者に対するオピオイド鎮痛剤による治療において長期かつ効果的な疼痛管理を果たしつつ、同時にオピオイド鎮痛剤での長期の治療にあたって患者が経験する可能性のある副作用、依存性、および耐性を低減しうるような疼痛患者をオピオイド鎮痛剤で効果的に治療するための方法および医薬製剤(医薬品)を提供することである。【0017】本発明のまた別の目的は、COX-2阻害剤の鎮痛効果を増強することによって患者の疼痛を効果的に治療するための方法と医薬製剤(医薬品)を提供することである。【0018】本発明はオピオイド鎮痛剤とCOX-2阻害剤の併用投与によって得られる驚くべき相乗効果を目指したものである。【0019】本発明は、その一部において、COX-2阻害剤とオピオイド鎮痛剤とからなる鎮痛用医薬組成物に関する。オピオイド鎮痛剤とCOX-2阻害剤は、経口投与、埋め込み、非経口的、舌下、直腸投与、局所投与、吸入などで投与することができる。本発明の他の実施形態においては、COX-2阻害剤は、下記に詳述するとおり、オピオイド鎮痛剤とは別個に投与することができる。【0020】本発明によって、オピオイド鎮痛剤またはCOX-2阻害剤を、それぞれの薬剤が単独で用いられる場合に通常必要とされる量よりも低用量で用いることができるようになるか(「明瞭なワンウェイ相乗効果」と呼ぶ)、または両方の薬剤をともにより低用量で用いることができるようになる(「ツーウェイ相乗効果」と呼ぶ)。2つの薬剤のどちらか一方もしくは両方をより低用量で用いることにより、ヒトにおいて効果的な疼痛管理に伴う副作用が顕著に低減される。【0021】一定の好ましい実施形態においては、本発明は、その一部において、オピオイド鎮痛剤とともに治療効果を生じさせるのに十分な量のCOX-2阻害剤を用いて、オピオイド鎮痛剤を単独で用いた場合に得られる鎮痛効果の少なくとも約5倍(より好ましくは少なくとも約10倍)の効果を達成するような相乗的組合せを得ようとしたものだが、ただし、COX-2阻害剤がヒドロコドンもしくはコデインの鎮咳用量と組み合わされた場合を除く。一定の実施形態においては、相乗的な組合せによる鎮痛効果はオピオイド鎮痛剤の投与量を単独で用いた場合に得られる効果の約30ないし40倍にもなる。そのような実施形態においては、相乗的組合せはここで「明瞭なワンウェイ相乗作用」と呼ぶものを示し、それはCOX-2阻害剤のその投与量が相乗的にオピオイド鎮痛剤の効果を増強するが、そのときのオピオイド鎮痛剤の投与量はCOX-2阻害剤の効果を顕著に増強するとは考えられないものを意味する。一定の実施形態においては、その組合せは単一の剤形で投与される。他の実施形態においては、その組合せは別々の形で投与されるが、同時に投与されることが好ましい。一定の好ましい実施形態においては、COX-2阻害剤とオピオイド鎮痛剤とで示される相乗作用は、オピオイド鎮痛剤の投与量としてはCOX-2阻害剤を伴わずに投与された場合には治療効果を生ずる量未満であるようなものである。他の好ましい実施形態においては、本発明は、鎮痛治療有効量のオピオイド鎮痛剤を、オピオイド鎮痛剤の鎮痛効果を増大させるために有効な量のCOX-2阻害剤ととも含有する医薬組成物に関する。【0022】本発明の一定の実施形態は、明瞭な「ワンウェイ相乗作用」がある場合にCOX-2阻害剤をオピオイド鎮痛剤と相乗的に組合せようとしたものであるが、実際にはこれらの組合せはツーウェイ相乗作用、すなわちCOX-2阻害剤はオピオイド鎮痛剤の効果を増強し、オピオイド鎮痛剤はCOX-2阻害剤の効果を増強することを意味するが、そのような作用を示すものと考えられている。従って、本発明のその他の実施形態は、2薬剤間で示された相乗効果によって各薬剤の投与量を低減させてCOX-2阻害剤とオピオイド鎮痛剤を組合せることに関し、低減された投与量での薬剤の組合せに由来する鎮痛効果は驚くほど増強される。実際の投与においてはこのツーウェイ相乗作用はオピオイド鎮痛剤とCOX-2阻害剤の効力比のために常に容易に明らかであるとはかぎらない(すなわち、オピオイドは通常、はるかに強力な相対的鎮痛力を示すことを意味する)。【0023】一定の好ましい実施形態においては、本発明は治療効果を生じさせるのに十分な量のCOX-2阻害剤を、治療上有効な、もしくはそれ未満の量のオピオイド鎮痛剤であってアルフェンタニル(alfentanil)、アリルプロジン(allylprodine)、アルファプロジン、アニレリジン(anileridine)、ベンジルモルヒネ、ベジトラミド(bezitramide)、ブプレノルフィン、ブトルファノール、クロニタゼン(clonitazene)、シクラゾシン、デソモルヒネ、デキストロモルアミド(dextromoramide)、デゾシン(dezocine)、ジアンプロミド(diampromide)、ジアモルホン(diamorphone)、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルヒネ、ジメノキサドール(dimenoxadol)、ジメフェプタノール(dimepheptanol)、ジメチルチアンブテン(dimethylthiambutene)、酪酸ジオキサフェチル(dioxaphetylbutyrate)、ジピパノン、エプタゾシン、エトヘプタジン(ethoheptazine)、エチルメチルチアムブテン(ethylmethylthiambutene)、エチルモルヒネ、エトニタゼンフェンタニル(etonitazene fentanyl)、ヘロイン、ヒドロモルホン、ヒドロキシペチジン、イソメタドン、ケトベミドン(ketobemidone)、レバロルファン、レボルファノール、レボフェンアシルモルファン(levophenacylmorphan)、ロフェンタニル(lofentanil)、メペリジン、メプタジノール(meptazinol)、メタゾシン(metazocine)、メタドン、メトポン(metopon)、モルヒネ、ミロフィン(myrophine)、ナルブフェン(nalbuphine)、ナルセイン(narceine)、ニコモルヒネ(nicomorphine)、ノルレボルファノール(norlevorphanol)、ノルメタドン(normethadone)、ナロルフィン、ノルモルヒネ、ノルピパノン(norpipanone)、アヘン、オキシコドン、オキシモルホン、パパベレタム(papaveretum)、ペンタゾシン、フェナドキソン(phenadoxone)、フェノモルファン(phenomorphan)、フェナゾシン(phenazocine)、フェノペリジン(phenoperidine)、ピミノジン(piminodine)、ピリトラミド(piritramide)、プロフェプタジン(propheptazine)、プロメドール(promedol)、プロペリジン(properidine)、プロピラム(propiram)、プロポキシフェン(propoxyphene)、サフェンタニル、チリジン(tilidine)、トラマドール、およびそれらの塩、それらの複合体;上述のものの何らかの混合物、混合μアゴニスト/アンタゴニスト、μアンタゴニストの組合せ、それらの塩もしくは複合体、および類似のものからなる群から選択されたものと共に含有する医薬製剤を得ようとするものである。一定の好ましい実施形態においては、オピオイド鎮痛剤はμもしくはκオピオイドアゴニストである。一定の好ましい実施形態においては、本発明は治療効果を生じさせるのに十分な量のCOX-2阻害剤および治療上有効な、もしくはそれ未満の量のオピオイド鎮痛剤であってモルヒネ、ジヒドロコデイン、ヒドロモルホン、オキシコドン、オキシモルホン、それらの塩、および上述のもののいずれかの混合物からなる群から選択されたオピオイド鎮痛剤を含有する医薬製剤を得ようとするものである。【0024】一定の好ましい実施形態においては、本発明は、治療効果を生じさせるのに十分な量のCOX-2阻害剤と、COX-2阻害剤を伴わずに投与された場合にも鎮痛効果を生ずる量のコデインとを含有する医薬製剤を得ようとするものである。そのようなコデインの量として好ましいのは約30mg〜400mgである。【0025】一定の好ましい実施形態においては、本発明は、治療効果を生じさせるのに十分な量のCOX-2阻害剤と、COX-2阻害剤を伴わずに投与された場合にも鎮痛効果を生ずる量のヒドロコドンとを含有する医薬製剤を得ようとするものである。そのようなヒドロコドンの量は約5mg〜2000mgで、好ましくは少なくとも約15mgである。【0026】本発明はさらに、ヒト患者にCOX-2阻害剤の治療有効量をある量のオピオイド鎮痛剤とともに投与して、そのときのオピオイド鎮痛剤の投与量を単独で用いた場合に得られる鎮痛効果の少なくとも約5倍(好ましくは少なくとも約10倍)の鎮痛効果が得られるようにすることからなるヒトの疼痛を効果的に治療する方法に関する。一定の実施形態においては、相乗的組合せは、そのときのオピオイド鎮痛剤の投与量を単独で用いた場合の約30ないし40倍強い鎮痛効果を示す。一定の好ましい実施形態においては、COX-2阻害剤とオピオイド鎮痛剤の投与は経口的に行われる。さらにより好ましい実施形態においては、COX-2阻害剤とオピオイド鎮痛剤は単一の経口剤形で投与される。一定の好ましい実施形態においては、オピオイド鎮痛剤の投与量はCOX-2阻害剤を伴わずに投与された場合には治療効果を生ずる量未満である。他の好ましい実施形態においては、オピオイド鎮痛剤の投与量は鎮痛に有効な量であるが、その量を用いた場合に典型的に得られる鎮痛効果の少なくとも5倍の鎮痛効果が得られる。【0027】本発明はさらに、ヒトにおける効果的な疼痛管理を提供するためのCOX-2阻害剤とオピオイド鎮痛剤の薬学的組合せの使用に関する。【0028】本発明はさらに、COX-2阻害剤およびオピオイド鎮痛剤を含有する疼痛治療用の医薬製剤の製造におけるCOX-2阻害剤の使用に関する。【0029】本発明はさらに、COX-2阻害剤およびオピオイド鎮痛剤を含有する疼痛治療用の医薬製剤の製造におけるオピオイド鎮痛剤の使用に関する。【0030】本発明はまた、疼痛治療有効量もしくはそれ未満の量のオピオイド鎮痛剤を投与し;該オピオイド鎮痛剤によって提供される鎮痛効果を増強するために有効な量のCOX-2阻害剤を投与することからなるヒトにおける効果的な疼痛管理法を提供するための方法に関する。COX-2阻害剤は、その投与間隔がオピオイド鎮痛剤の投与間隔(もしくはその鎮痛効果)とオーバーラップするものである限りは、オピオイド鎮痛剤投与の前、同時、もしくは投与後に投与することができる。言い換えれば、本発明の方法に従って、一定の好ましい実施形態においては、COX-2阻害剤はオピオイド鎮痛剤と同じ投与剤形で投与する必要はなく、同じ投与経路で投与する必要すらない。むしろ、本発明の方法は、鎮痛に有効な量のオピオイド鎮痛剤がヒトに投与され、かつオピオイド鎮痛剤の投与間隔の前またはその最中、もしくはそのヒトが鎮痛効果を経験している間に、オピオイド鎮痛剤の鎮痛効果を増強するのに有効な量のCOX-2阻害剤を投与することによって驚くべき相乗および/または相加的効果をヒトにおいて得ようとするものである。COX-2阻害剤がオピオイド鎮痛剤の投与前に投与される場合には、これら2種の薬剤の投与間隔がオーバーラップすることが好ましい。すなわちオピオイド鎮痛剤の投与間隔の少なくとも1部分の鎮痛効果に少なくとも部分的にはCOX-2阻害剤が寄与することが好ましい。【0031】本発明のさらに別の方法としては、ヒトで得られた驚くべき相乗作用および/または相加作用の効果は、COX-2阻害剤の鎮痛効果を生ずる量をヒトに投与し、COX-2阻害剤の投与間隔の間、もしくはそのヒトがCOX-2阻害剤投与によって鎮痛作用を得ているときに、COX-2阻害剤の鎮痛効果を増強するのに有効なオピオイド鎮痛剤を投与する際に達成される。【0032】本発明のさらに別の実施形態においては、本発明は、鎮痛に有効な量のオピオイド鎮痛剤と、オピオイド鎮痛剤の効果を増強させる量のCOX-2阻害剤もしくは薬学的に許容しうるその塩とを含有する経口固形投与剤形からなる。【0033】任意で、経口固形投与剤形は胃腸液と接触した際にオピオイド鎮痛剤もしくはオピオイド鎮痛剤とCOX-2阻害剤の双方を徐々に放出させる徐放性担体を含有する。徐放性投与剤形は薬剤を含む複数の支持体からなることができる。その支持体はマトリクス球状物もしくは薬剤でコートされた不活性の製薬上許容しうるビーズからなる。次いで、薬剤でコートされたビーズは好ましくは徐放性担体からなる徐放性コーティングでオーバーコートされる。マトリクス球状物はそのマトリクス自体に徐放性担体を含むか、もしくはマトリクスが薬剤を保持する通常の放出マトリクスからなり、そのマトリクスの上に徐放性担体からなるコーティングが施される。また別の実施形態においては、経口固形投与剤形は通常の放出マトリクス中に薬剤を保持する錠剤コアを含み、その錠剤コアが徐放性担体からなる徐放性コーティングでコートされる。さらに別の実施形態においては、錠剤は徐放性担体からなる徐放性マトリクス中に薬剤を保持している。また別の実施形態においては、錠剤は徐放性マトリクス中にオピオイド鎮痛剤を保持し、COX-2阻害剤は錠剤中に即時放出層としてコートされている。【0034】本発明の多数の好ましい実施形態においては、ここに述べるCOX-2阻害剤およびオピオイド剤を含有する医薬組成物は経口的に投与される。そのような経口投与剤形はその2種の薬剤の一方もしくは双方を即時放出もしくは徐放性の形とすることができる。投与が容易となるように、その経口投与剤形は1つで双方の薬剤を含有していることが好ましい。経口投与剤形は錠剤、トローチ剤、ロゼンジ、水性もしくは油性懸濁液、分散しうる粉末もしくは顆粒剤、乳剤、多粒子製剤、シロップ剤、エリキシル剤、および類似のものなどとすることができる。【0035】ここに述べるCOX-2阻害剤および/またはオピオイド剤を含有する医薬組成物はまた別に微粒子状とすることもでき(例えばマイクロカプセル、マイクロスフェアおよび類似のもの)、それはヒトの患者の体内に注射もしくは埋め込むことができ、また当業者で公知のその他の埋め込み可能な投与剤形とすることができる。投与が容易となるように、その投与剤形は双方の薬剤を含有していることが好ましい。【0036】本発明で示される別の医薬組成物としてはさらに経皮投与剤形、座剤、吸入用粉末もしくはスプレー、およびバッカル錠が挙げられる。【0037】COX-2阻害剤とオピオイド鎮痛剤の組合せはさらに異なる投与経路でも投与することができる。【0038】本発明においては下記の用語は下記の意味を有することが理解されるべきである。【0039】「有効な鎮痛」という用語は、本発明では、ヒトの患者において疼痛の満足すべき低減もしくは排除が、許容される程度の副作用の過程とともに起こることと定義される。【0040】「有効な疼痛管理」という用語は、本発明では、鎮痛治療に対するヒト患者の反応(経験した疼痛対副作用)の医師による客観的評価、ならびに治療を受けた患者によるその治療法の主観的評価を意味する。当業者であれば有効な鎮痛が個々の患者間の相異などの多数の因子によって変わることが理解されるであろう。【0041】「オピオイド鎮痛剤」という用語は、本発明では、その薬剤の基本形または薬学的に許容しうる塩もしくはそれらの複合体と定義される。【0042】「COX-2阻害剤」という用語は、本発明では、その薬剤の基本形または薬学的に許容しうる塩もしくはそれらの複合体と定義される。【0043】「徐放性」という用語は、本発明では、経皮的製剤からの薬剤(オピオイド鎮痛剤)の放出が、血液(例えば血漿)濃度(レベル)が治療の範囲(最小有効鎮痛濃度つまり"MEAC"より高い値)にあるが、毒性レベルよりは低いレベルで約12時間以上の間維持されることと定義される。【0044】「定常状態」という用語は、ある薬剤の血漿濃度曲線が投与毎に実質的に繰り返されることを意味する。【0045】「最小有効鎮痛濃度」とは、本発明では、その薬剤の治療上有効な最小の血漿レベルで、ある患者においてはその濃度で少なくともある程度の疼痛軽減を行いうるものと定義される。医学領域の当業者には疼痛の測定が高度に主観的なものであり患者間で非常に大きな個人差があるものだということはよく理解されよう。【0046】(詳細な説明)本発明において有用なCOX-2阻害剤は、従来の非ステロイド抗炎症剤と比較すると類似の抗炎症性、解熱効果、および鎮痛性を有し、さらにそれはホルモン誘発子宮収縮を抑制しかつ抗癌作用をもつ可能性があるが、その作用機作に基づいた副作用を誘発する能力は低減されているであろう。とりわけ、そのようなCOX-2阻害剤は胃腸管毒性の可能性の低減、腎臓への副作用の可能性の低減、出血時間への影響の低減、およびアスピリン過敏性喘息患者における喘息発作を誘発する可能性の低減がなされているはずである。COX-2阻害剤は当業界では既に報告されており、多数の化学構造がシクロオキシゲナーゼ-2を阻害するものとして知られている。本発明では、「COX-2阻害剤」という用語は、COX-2阻害剤活性を持ち、好ましくはin vitroでも(例えばIC50測定で求められる)、in vivoでも(例えばED50測定で求められる)、COX-2阻害活性を有する、好ましくはCOX-1よりCOX-2に対する特異性が少なくとも9倍は強い活性を示す全ての化合物と定義される。このようなCOX-2阻害剤は本発明との関連において有用であり、添付の特許請求の範囲により包含されると考えられる。好ましくは、本発明に用いるCOX-2阻害剤はCOX-1対COX-2のin vitroでのIC50および/またはin vivoでのED50比が約20倍以上、より好ましくは100倍以上、一定の実施形態で最も好ましくは1000倍以上である。【0047】一定の好ましいCOX-2阻害剤としてはセレコキシブ(SC-58635)、DUP-697、フロスリド(CGP-28238)、メロキシカム(meloxicam)、6-メトキシ-2-ナフチル酢酸(6-MNA)、Vioxx(MK-966)、ナブメトン(nabumetone)(6-MNAのプロドラッグ)、ニメスリド、NS-398、SC-5766、SC-58215、T-614;もしくはそれらの組合せが挙げられる。【0048】1998年半ば現在、いくつかのCOX-2阻害剤が開発中である。それらのものとしてはメロキシカム(meloxicam)(英国において1996年からBoehringer Ingelheimから市販されている);ニメスリド(欧州で1985年にHesinnから上市);ナブメトン(nabumetone)(6-MNAは活性代謝物である)(米国でRelafin(商標名)として市販されている);セレコキシブ(celecoxib)(SC-58635)(SearleによるNDA申請は1998年9月と推定される);Vioxx(MK-966, L745337)(MerckによるNDA申請は1998年11月と推定される);D-1367(chiroscience; 英国で第I相試験中);T-614(富山化学;日本で第II相および英国で第I相試験中);ならびにSC-57666(Monsanto;米国で第I相試験中)が挙げられる。【0049】米国リウマチ学会の1996年度の年会で議論された試験において、セレコキシブは患者での有効性および健常人ボランティアで胃腸管への副作用がないことを示した(Scrip 2175, 1996年10月25日号, p15)。健常人ボランティアでの研究では128例がセレコキシブの100mgもしくは200mgを1日2回、またはナプロキセン、またはプラシーボの投与を1週間受けた。セレコキシブ群およびプラシーボ群では胃腸管の徴候もしくは症状はなかったが、それに対してナプロキセン群では20%の症例が胃腸管の徴候および症状がみられた。さらに健常人ボランティアではセレコキシブは血小板機能に変化をもたらさなかった。患者における試験では293例の変形性関節症患者がセレコキシブの40mg、100mgもしくは200mgまたはプラシーボの1日2回、1週間の投与を受けた。セレコキシブは症状を有意に改善し、高投与量群の脱落率はプラシーボ群より低かった。関節リウマチ患者はセレコキシブを100mg、200mgもしくは400mg、またはプラシーボの1日2回4週間の投与を受けた。変形性関節症患者と同様に、プラシーボ群と比べるとセレコキシブ群の患者では症状スコアは改善され、脱落率が低かった。当業界ではCOX-2阻害剤は既に報告されてきており、多数の化学構造がシクロオキシゲナーゼ-2を阻害するものとして知られている。【0050】COX-2阻害剤は米国特許第5,616,601号;第5,604,260号;第5,593;994号;第5,550,142号;第5,536,752号;第5,521,213号;第5,639,780号;第5,604,253号;第5,552,422号;第5,510,368号;第5,436,265号;第5,409,944号および第5,130,311号で述べられており、それらの全てをここに参照により組み入れる。化学的には多数のCOX-2阻害剤がアリルスルホンアミドであると述べられている。確かにセレコキシブとVioxxの双方とも、それらは「超選択的」とみなされるが、それらもアリルスルホンアミド、より特定して言えば、ベンゼンスルホンアミドである。これらの化合物は本発明の方法および組成物に有用である。しかし、当業界で同定されたその他の多数のCOX-2阻害剤が本発明の方法および組成物に有用であろうことは当業者であれば理解されるであろう。【0051】COX阻害剤を評価するにあたって構造-活性相関を用いることはCOX阻害剤が自殺酵素であるために問題がある。in vitroアッセイで分析するとIC50値は時間の経過とともに変わる。このため、公表されている一般的なCOX阻害剤のIC50は研究室間で2けた以上も異なる値が報告されている。このことはある研究室で得られたCOX-1阻害の値を別の研究室で得られたCOX-2阻害の値と比較することを困難にしている。(例えばD.E.GriswoldとJ.L.Adams, Med. Res. Rev. 16:181-206参照)。従って、COX阻害剤の相対的な活性を研究する際には、比較は同一の場所で同一のアッセイ法で得られた結果のみを用いて行うことが好ましい。既存のデータを用いる場合には、相対的な活性が測定できるように、1つの研究者グループで得られた数種の化合物のリストからデータを得ることが好ましい。下記の表1は代表的なNSAIDおよびいくつかのCOX-2阻害剤化合物の代表的なデータを示している。これらのデータは、数種の化合物を同一の論文で報告し、その他の研究室から得られたデータと比較的矛盾のないデータが含まれている参照文献を用いて、多数の異なるソースから集めたもので、利用可能な研究室からのものを選択した(すなわち自殺酵素として働くものの場合は、異なる研究室から得られた結果は3けたまでも変動しうるということを理解した上で合理的と考えられる範囲の変動)。表1に報告された値の大多数がin vitroアッセイによるもの(効力がmg/kgで報告されているものを除く)であることは留意すべきである。文献ではCOX-1/COX-2効力の比はin vivoで一般的に保たれていることが確認されるが、このことが常に真実というわけではない。例えば、インドメタシンはin vitroおよびin vivoで常にCOX-1選択的であるが、ナプロキセンはin vitroではCOX-1選択的であるが、in vivoではしばしば(常にではないが)COX-2選択的である。このことは、一部には、用いたin vitroアッセイ条件が高度に人工的なものであるためである。最初の2つの構造のシリーズは潰瘍発生性が非常に低いCOX阻害剤として知られている。それらの初期化合物としてはアリルスルホンアミドであるニメスリド、NS-398、およびCGP23238、ならびに1,2-ジアリルへテロ環であるDup-697およびSC-58125が挙げられる。GriswoldとAdamsは構造-活性相関についてある程度詳しく述べている(Med.Res.Rev. 16:282-206, 1996)。【0052】【表1】【0053】例えば、Famaey, JP, Inflamm Res 1997 Nov;46(11):437-446が報告しているとおり、抗炎症作用を有するスルホンアミド化合物であるニメスリドはCOX-2に選択的な阻害剤であることを示唆する薬理学的特徴を有している。精製COX-2およびCOX-1、またはCOX-1もしくはCOX-2を発現している細胞調製物(動物由来およびヒト由来双方)のどちらかを用いたいくつかのin vitroアッセイでは、11の研究グループのうち10グループがニメスリドはCOX-2を選択的に阻害することを示した。COX-2/COX-1の阻害活性の比はアッセイ時の調製によって異なる値が報告されており、その値は0.76から0.0004、すなわち1.3倍から2512倍COX-2に対する選択性がCOX-1に対するものより高いことが報告されている。さらにin vivo全血アッセイを健常人ボランティアについて行ったところ、ニメスリド00mgを1日2回、2週間投与された対象者ではCOX-1 TXB2産生には影響がなかったがCOX-2 PEG2産生は顕著に低下したのに対し、アスピリン(300mg 1日3回2週間)投与された対象者ではCOX-2 PGE2には影響がなくCOX-1 TXB2はほぼ完全に抑制された。従ってニメスリドは相対的にはCOX-2に選択的な阻害剤と考えられる。大規模オープン試験及び世界中での多数の比較対照試験及び非対照比較試験での評価によれば、ニメスリドは推奨投与量である100mg 1日2回で古典的なNSAID類と同等に有効な鎮痛および抗炎症剤であり、副作用が少なく耐性が良好である。【0054】本発明で用いることのできるオピオイド鎮痛剤としては、限定はされないが下記のものが挙げられる:アルフェンタニル(alfentanil)、アリルプロジン(allylprodine)、アルファプロジン、アニレリジン(anileridine)、ベンジルモルヒネ、ベジトラミド(bezitramide)、ブプレノルフィン、ブトルファノール、クロニタゼン(clonitazene)、コデイン、シクラゾシン、デソモルヒネ、デキストロモルアミド(dextromoramide)、デゾシン(dezocine)、ジアンプロミド(diampromide)、ジアモルホン(diamorphone)、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルヒネ、ジメノキサドール(dimenoxadol)、ジメフェプタノール(dimepheptanol)、ジメチルチアンブテン(dimethylthiambutene)、酪酸ジオキサフェチル(dioxaphetylbutyrate)、ジピパノン、エプタゾシン、エトヘプタジン(ethoheptazine)、エチルメチルチアンブテン(ethylmethylthiambutene)、エチルモルヒネ、エトニタゼンフェンタニル(etonitazene fentanyl)、ヘロイン、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、ヒドロキシペチジン、イソメタドン、ケトベミドン(ketobemidone)、レバロルファン、レボルファノール、レボフェンアシルモルファン(levophenacylmorphan)、ロフェンタニル(lofentanil)、メペリジン、メプタジノール(meptazinol)、メタゾシン(metazocine)、メタドン、メトポン(metopon)、モルヒネ、ミロフィン(myrophine)、ナルブフェン(nalbuphine)、ナルセイン(narceine)、ニコモルヒネ(nicomorphine)、ノルレボルファノール(norlevorphanol)、ノルメタドン(normethadone)、ナロルフィン、ノルモルヒネ、ノルピパノン(norpipanone)、アヘン、オキシコドン、オキシモルホン、パパベレタム(papaveretum)、ペンタゾシン、フェナドキソン(phenadoxone)、フェノモルファン(phenomorphan)、フェナゾシン(phenazocine)、フェノペリジン(phenoperidine)、ピミノジン(piminodine)、ピリトラミド(piritramide)、プロフェプタジン(propheptazine)、プロメドール(promedol)、プロペリジン(properidine)、プロピラム(propiram)、プロポキシフェン(propoxyphene)、サフェンタニル、チリジン(tilidine)、トラマドール、およびそれらの塩、それらの複合体;上述のものの任意の混合物、混合μアゴニスト/アンタゴニスト、μアンタゴニストの組み合わせ、それらの塩もしくは複合体、および類似のもの。一定の好ましい実施形態においては、オピオイド鎮痛剤はμもしくはκオピオイドアゴニストである。別の好ましい実施形態においては、オピオイド鎮痛剤は選択的κアゴニストである。【0055】一定の好ましい実施形態においては、オピオイド鎮痛剤は、コデイン、ヒドロモルホン、ヒドロコドン、オキシコドン、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルヒネ、ジアモルホン、モルヒネ、トラマドール、オキシモルホン、それらの塩、もしくはそれらの混合物から選択される。【0056】本発明はCOX-2阻害剤もしくはそれの製薬上許容しうる塩、およびオピオイド鎮痛剤もしくはそれの製薬上許容しうる塩の組み合わせを提供する経口投与用の鎮痛剤を提供する。【0057】オピオイド鎮痛剤との組み合わせにおけるCOX-2阻害剤の投与量は1kg体重あたり1日約0.005mgから約140mgが治療上有効である。別のやり方としては、COX-2阻害剤を一人の患者1日あたり約0.25mgから約7gをオピオイド鎮痛剤と組み合わせて投与する。例えば、炎症はCOX-2阻害剤を1日にkg体重あたり約0.005から50mg投与すること、または別のやり方として一人の患者1日あたり約0.25mgから約3.5g投与することにより効果的に治療することができる。【0058】COX-2阻害剤とオピオイド鎮痛剤の組み合わせて含有している単一の投与剤形を作るために、担体物質と組み合わせるCOX-2阻害剤の量は、患者によって、および投与方法によって異なる。例えば、ヒトへの経口投与を意図した剤形には適切かつ都合のよい量の担体物質、それは全組成中の約5%から約95%まで変えることができ、その担体物質と0.25mgから5gのCOX-2阻害剤を含有させることができる。ユニット投与量は通常は約0.5mgから約1500mgのCOX-2阻害剤を含有し、典型的には25mg, 50mg, 100mg, 200mg, 300mg, 400mg, 500mg, 600mg, 800mg, もしくは1000mgなどで1500mgまでである。【0059】ある実施形態においては、COX-2阻害剤は徐放性経口剤形で、約2mgから約64mgの量の塩酸ヒドロモルホンでヒドロモルホンを治療上活性のあるオピオイドとして用いて提供される。また別のやり方として、投与剤形はモル濃度で同量の他のヒドロモルホン塩もしくはヒドロモルホン塩基を含有することができる。別の実施形態においては、オピオイド鎮痛剤はモルヒネを含有し、本発明の徐放性経口剤形には重量で約2.5mgから約800mgのモルヒネを含んでもよい。また別の実施形態では、オピオイド鎮痛剤はオキシコドンを含有し、本発明の徐放性経口剤形には約2.5mgから約800mgのオキシコドンを含んでもよい。オピオイド鎮痛剤はヒドロコドンを含有し、徐放性経口剤形には1投与ユニットあたり約8mgから約50mgのヒドロコドンを含んでもよい。オピオイド鎮痛剤はトラマドールを含有し、徐放性経口剤形には1投与ユニットあたり約25mgから約800mgのトラマドールを含んでもよい。投与剤形は実質的に同じ治療効果を提供するために1種以上のオピオイド鎮痛剤を含むことができる。【0060】本発明の好ましい組み合わせは、表Iに示した比率の、ニメスリド、メロリカン(melorican)、およびフロスリドからなる群から選択されるCOX-2阻害剤の有効量と、並びにトラマドール、ヒドロモルホン、モルヒネ、オキシコドン、ヒドロコドンおよびジヒドロコデインからなる群から選択されるオピオイド鎮痛剤の有効量とを含有する。一定の好ましい実施形態では、前述のオピオイドと前述のCOX-2阻害剤の比率は表Iに示されたものである。【0061】【表2】【0062】言い換えれば、表Iはモルヒネ:セレコキシブの比率の試験を約0.001:1から約1:1、メサドンとフロスリドの比を約0.0001:1から約1:1、などで行うことを述べている。【0063】本発明による一定の好ましい実施形態においては、次のオピオイド/COX-2阻害剤の組み合わせを含む経口投与剤形が好ましい:モルヒネ40mg+フロスリド40mg;モルヒネ40mg+ニメスリド6mg;オキシコドン20mg+フロスリド20mg;オキシコドン40mg+ニメスリド4mg;ヒドロモルホン5mg+フロスリド20mg;もしくはヒドロモルホン5mg+ニメスリド4mg。【0064】投与される投与量は当然のことながら、公知の要素、例えばその組合せのうちの各剤の薬力学的特性および投与の方式と経路、ならびに患者の年齢、健康および体重に依存して変わる。投与量はまた、症状の性質および範囲、伴う治療(あるとしたら)、治療の頻度および所望する結果に依存する。オピオイド鎮痛剤とCOX-2阻害剤との上記した組合せの任意のものを含む組成物は、1日当たり2〜6回の範囲の分割した投与量で、または、所望の結果を達成するのに有効な放出速度を与える持続放出形態で投与することができる。【0065】COX-2阻害剤とオピオイド鎮痛剤との最適比は、オピオイドおよび鎮痛剤活性の測定のための当分野でよく知られている標準アッセイにより決定される。例えば、鎮痛剤の有効性を確立するために、フェニル-p-ベンゾキノン試験を使用することができる。マウスにおけるフェニル-p-ベンゾキノンが誘導する悶え試験(writhing test)(H.Blumbergら、1965、Proc. Soc. Exp. Med. 118:763-766、参照することにより本明細書に組入れられる;および公知のその変形)は、ヒトの鎮痛活性と良く相関して、異なる種類の鎮痛薬の鎮痛活性を検出し、比較するために使用することができる標準的な方法である。イソボログラムで表されたマウスについてのデータを、個々の化合物の経口的に有効な鎮痛剤投与量が知られているか、または見積ることができる他の種に翻訳することができる。この方法は、最も合うマウスのイソボログラムからの回帰分析曲線上の各投与量比についてパーセントED50投与量を読むこと、各成分に有効な種の投与量を掛けることおよび、次いでCOX-2阻害剤とオピオイド鎮痛剤との量の比を形成することからなる。鎮痛剤特性についてのこの基礎的な相関は、ヒトの有効性の範囲を見積もることを可能にする(E.W.Pelikan, 1959, The Pharmacologist 1:73;参照により組み込まれる)。【0066】等効果(equieffective)投与量置換モデルならびに、個々の化合物についてのすべてのデータおよび組合せについての種々の投与量比を用いる曲線の回帰分析の適用は、COX-2阻害剤とオピオイド鎮痛剤との組合せの予期しないほどに高められた鎮痛活性の存在を立証する。すなわち、得られる活性は、個々の成分の活性の和から期待される活性より大きい。【0067】本発明は、有効鎮痛量のCOX-2阻害剤とオピオイド鎮痛剤との組合せの即時放出剤形を含む。即時放出剤形は、錠剤またはカプセルに封入できる多粒子(multiparticulate)として製剤化され得る。当分野で公知の他の即時放出剤形が使用できる。【0068】本発明の組成物は、炎症をともなうまたは炎症をともなわない、穏やかな痛みからひどい痛みまでの痛みを除くための機会を与える。オピオイド鎮痛剤とCOX-2阻害剤との本発明の組合せにより提供される共同作用的および/または付加的効果の故に、COX-2阻害剤およびオピオイド鎮痛剤のそれぞれについて減じられた投与量を使用することが可能であり得る。より少ない量の他のまたは両方の薬剤を使用することによって、それぞれに関する副作用を、数および程度において減らすことができる。さらに、本発明の組合せは、患者によっては特に敏感である副作用を避ける。【0069】本発明は、非毒性の治療上有効な量のCOX-2阻害剤およびオピオイド鎮痛剤の本発明の組合せをそのような治療が必要な患者に投与することを含む、COX-2を阻害する方法およびCOX-2が媒介する疾病を治療する方法を含む。これらの疾病は、多くの異なる病因から生じる穏やかな痛みからひどい痛みまでの痛みを含み、これらに限定されないが、癌の痛みおよび術後の痛み、種々の状態の発熱および炎症(リウマチ性の熱を含む)、インフルエンザまたは他のウィルス感染に関連する症状、普通の風邪、下背部痛および頚痛、月経困難症、頭痛、歯痛、捻挫および挫傷、筋炎、神経痛、滑膜炎、関節炎(リウマチ様の関節炎を含む)、変性関節病(degenerative joint disease)(変形性関節症)、痛風および強直性脊椎炎、滑液包炎、火傷および外傷を含む。さらに、COX-2阻害剤とオピオイド鎮痛剤との組合せは、慣用の非ステロイド抗炎症剤または、NSAIDと他の薬剤との組合せ[特に、そのような非ステロイド抗炎症剤が、例えば、消化性潰瘍、胃炎、限局性腸炎、潰瘍性大腸炎、憩室炎を持つ患者または、胃腸の損傷;GI出血、凝固疾患(貧血例えば低プロトロンビン血症、血友病、もしくは他の出血の問題を含む);腎臓病の、再発病歴を持つ患者;手術の前の患者または抗凝固剤を服用している患者において禁忌を示されることがある場合]に対する代替物として有用である。【0070】本発明の持続放出剤形は一般に、伴う副作用(例えば、高血中濃度のオピオイド鎮痛剤にしばしば関連する吐き気、嘔吐または嗜眠状態)の強度および/または程度における有意の増加が実質的になく、治療水準を達成し、かつ維持する。また、本発明の剤形の使用は、薬剤の嗜癖の危険を減らすことを示唆する証拠がある。【0071】COX-2阻害剤と経口用オピオイド鎮痛剤との組合せを製剤化することにより、鎮静作用の持続が長期化し1日1回の投与を可能にする。これらの製剤は、慣用の即時放出薬剤の相当する毎日の投与量で、有害な薬剤反応の激烈さの発生率がより低いことに関連し、また痛みの制御を維持しながら、慣用の経口薬物より低い毎日の投与量で投与できる。【0072】COX-2阻害剤とオピオイド鎮痛剤との組合せは、慣用の賦形剤、例えば、経口、非経口、鼻、静脈内、皮下、腸内または、当業者に公知の任意の他の適当な投与形式のために適当な製薬上許容できる有機もしくは無機担体物質との混合物で使用できる。適当な製薬上許容できる担体としては、水、塩溶液、アルコール、アラビアゴム、植物油、ベンジルアルコール、ポリエチレングリコール、ゼラチン(gelate)、炭水化物例えばラクトース、アミロースもしくはでん粉、ステアリン酸マグネシウム タルク、ケイ酸、粘稠性パラフィン、香料油、脂肪酸モノグリセリドおよびジグリセリド、ペンタエリスリトール 脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン等を包含するが、これらに限定されない。薬剤調製物は滅菌することができ、所望なら、助剤、例えば滑剤、防腐剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧緩衝剤に影響を及ぼすための塩、着色剤、調味料および/または芳香物質等と混合することができる。また、所望なら、他の活性剤、例えば他の鎮痛剤と組合せることもできる。非経口適用のためには、油性もしくは水性の溶液ならびに懸濁液、エマルジョンまたはインプラント(implant)(坐剤を含む)が特に適当である。アンプルは、便利な単位投与量である。経口適用のためには、錠剤、糖衣錠、液体、ドロップ、坐剤またはカプセル、カプレット(caplet)およびゲルカップ(gelcap)が特に適当である。経口使用のために意図された組成物は、当分野で公知の任意の方法にしたがって製造でき、そのような組成物は、錠剤の製造のために適した、不活性な非毒性の製薬上の賦形剤から成る群より選ばれる1つ以上の剤を含むことができる。そのような賦形剤としては、例えば不活性希釈剤例えばラクトース;粒状化剤および崩壊剤、例えばコーンスターチ;結合剤、例えばでん粉;および滑剤、例えばステアリン酸マグネシウムを包含する。錠剤は、コーティングされていないことができ、または、優雅さのためもしくは活性成分の遅延放出のために、公知の技術によりコーティングされていることができる。経口使用のための製剤はまた、活性成分が不活性希釈剤と混合されている硬質ゼラチンカプセルとして提供されることができる。【0073】水性懸濁液は、上記した薬剤の組合せを含み、その混合物は、懸濁剤として適当な1つ以上の賦形剤、例えば製薬上許容できる合成ゴム例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースまたは天然ゴムを含む。油性懸濁液は、上記した薬剤の組合せを植物油または鉱油中に懸濁させることによって製剤化できる。油性懸濁液は、増粘剤、例えば蜜蝋またはセチルアルコールを含むことができる。甘味が付けられた賦形剤が使用される場合には、シロップ、エリキシル剤等を使用することができる。注射可能な懸濁液がまた調製でき、この場合には、適当な液体担体、懸濁剤等を使用することができる。活性化合物を凍結乾燥し、得られた凍結乾燥化合物を、例えば注射用製品の調製のために使用することがまた可能である。【0074】本発明の治療方法および製剤は、COX-2阻害剤およびオピオイド鎮痛剤の他にさらに1つ以上の薬剤を含むことができ、その追加の薬剤は、それらと共同作用的に働くか、または働かないことができる。そのような追加の薬剤の例としては、非ステロイド抗炎症剤を含み、イブプロフェン、ジクロフェナク、ナプロキセン、ベノキサプロフェン、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、フルブフェン(flubufen)、ケトプロフェン、インドプロフェン、ピロプロフェン(piropropfen)、カルプロフェン(carprofen)、オキサプロジン(oxaprozin)、プラモプロフェン(pramoprofen)、ムロプロフェン(muroprofen)、トリオキサプロフェン(trioxaprofen)、スプロフェン、アミノプロフェン、チアプロフェン酸(tiaprofenic acid)、フルプロフェン(fluprofen)、ブクロキシ酸(bucloxic acid)、インドメタシン、スリンダク、トルメチン、ゾメピラック、チオピナック(tiopinac)、ジドメタシン(zidometacin)、アセメタシン(acemetacin)、フェンチアザック(fentiazac)、クリダナック(clidanac)、オキシピナック(oxpinac)、メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、ニフルム酸(niflumic acid)、トルフェナム酸(tolfenamic acid)、ジフルリサル(diflurisal)、フルフェニサル(flufenisal)、ピロキシカム、スドキシカム(sudoxicam)またはイソキシカム等を含む。本発明の剤形に含まれることができる他の適当な追加の薬剤は、アセトアミノフェン、アスピリンおよび他の非オピオイド鎮痛剤を包含する。【0075】制御放出剤形COX-2阻害剤とオピオイド鎮痛剤との組合せは、当業者に公知の任意の適当な錠剤、コーティング錠剤または多粒子製剤での、制御放出もしくは持続放出の経口製剤として製剤化することができる。持続放出剤形は任意的に、オピオイドと一緒にマトリックス中へ組み込まれるかまたは持続放出コーティングとして施用される持続放出担体を含むことができる。【0076】持続放出剤形は、持続放出形態においてオピオイド鎮痛剤および、持続放出形態または即時放出形態においてCOX-2阻害剤を含むことができる。COX-2阻害剤は、オピオイドと一緒に持続放出マトリックス中に組込むことができ;持続放出コーティング中に組込むことができ;分離化した持続放出層もしくは即時放出層として組み込まれることができ;または、粉末、粒子等として、本発明の基体と共にゼラチンカプセル中に組み込むことができる。あるいは、持続放出剤形は、持続放出形態においてCOX-2阻害剤および、持続放出形態または即時放出形態でのオピオイド鎮痛剤を含むことができる。【0077】本発明の経口製剤は、たとえば細粒、球状物、ビーズ、ペレット(以後、まとめて「多粒子(multiparticulate)」と称する)および/または粒子として提供することができる。時間とともにオピオイドの所望の投与量を提供するのに有効な量の多粒をカプセルに入れることができ、または任意の他の適当な経口固体形態に組み込むことができる。【0078】本発明の1の好ましい態様においては、持続放出剤形は、粒子が約0.1〜約2.5 mm、好ましくは約0.5〜約2 mmの粒径を有する、活性成分を含むそのような粒子を含む。【0079】ある実施形態においては、粒子は、COX-2阻害剤と共にまたはそれなしに、オピオイド鎮痛剤を含む通常の放出マトリックスを含む。これらの粒子はその後、COX-2阻害剤が即時放出されるか、COX-2阻害剤を分離化した通常の放出マトリックス粒子に含むか、または、別の即時放出組成物で共に投与することができる(ゼラチンカプセル内に封入されるか、または別々に投与される)実施形態にて、持続放出担体でコーティングされる。他の実施形態においては、粒子は、COX-2阻害剤と共にまたはそれなしに、オピオイド鎮痛剤でコーティングされた不活性ビーズを含む。その後、持続放出担体を含むコーティングが、オーバーコートとしてビーズに施用される。【0080】粒子は好ましくは、水性媒体中持続した速度で、オピオイド(または塩)および、所望ならCOX-2阻害剤を放出することができる物質でフィルムコーティングされる。フィルムコートは、他の述べられた性質と組合せて、所望のin-vitro放出速度を達成するように選ばれる。本発明の持続放出コーティング製剤は、滑らかで優雅な、顔料および他のコーティング添加剤を支持することができ、非毒性で不活性かつ不粘着性の(tack-free)、強く連続したフィルムを製造することができなければならない。【0081】コーティング本発明の剤形は任意的に、放出の調節のために、または製剤の保護のために適当な1以上の物質でコーティングされることができる。1の実施形態においては、例えば胃腸液に暴露されるとき、pH依存性またはpH非依存性の放出を可能にするようにコーティングが提供される。pH依存性コーティングは、少なくとも約12時間、好ましくは24時間までの鎮痛作用を患者に提供することができる吸収プロフィールが提供されるようにして、胃腸(GI)路、例えば胃または小腸の所望の領域にオピオイドを放出するように働く。pH非依存性のコーティングが望ましいときには、周囲流体、例えばGI路におけるpH変化に関係ない最適放出を達成するようにコーティングが設計される。GI路の1つの所望の領域例えば胃において投与量の一部を放出し、GI路の別の領域、例えば小腸において投与量の残りを放出する組成物を製剤化することがまた可能である。【0082】pH依存性コーティングを使用して製剤を得る本発明の製剤はまた、繰り返し作用する効果を与えることができ、それによって、保護されていない薬剤が腸溶性コートの上にコーティングされ、胃の中で放出され、一方、腸溶性コーティングによって保護されている残りは、胃腸路の下流でさらに放出される。本発明に従って使用することができるpH依存性であるコーティングとしては、シェラック、セルロースアセテートフタレート(CAP)、ポリビニルアセテートフタレート(PVAP)、ヒドロキシプロピルメチルフタレートおよびメタクリル酸エステルコポリマー、ゼイン等を含む。【0083】ある好ましい実施形態においては、(COX-2阻害剤と共にまたはそれなしに)オピオイド鎮痛剤を含む基体(例えば、錠剤コアビーズ、マトリックス粒子)は、(i)アルキルセルロース;(ii)アクリルポリマー;または(iii)それらの混合物から選択される疎水性物質でコーティングされる。コーティングは、有機のまたは水性の溶液または分散液の形状で施用することができる。所望の持続放出プロフィールを得るために、コーティングを施与して、約2〜約25%の基体の重量増加を得ることができる。そのような製剤は、例えばU.S.Patent Nos. 5,273,760および5,286,493(本発明の譲渡人に譲渡されており、参照することにより本明細書に組入れられる)に詳細に記載されている。【0084】本発明に従って使用することができる持続放出製剤およびコーティングの他の例は、譲渡人のU.S.Patent Nos.5,324,351;5,356,467および5,472,712を含み、参照することにより、その全部が本明細書に組入れられている。【0085】アルキルセルロースポリマーセルロース物質およびポリマー(アルキルセルロースを含む)は、本発明に従ってビーズをコーティングするのに適した疎水性物質を提供する。単なる例としては、1つの好ましいアルキルセルロースポリマーは、エチルセルロースであるが、当業者は、本発明の疎水性コーティングの全部または一部として、他のセルロースおよび/またはアルキルセルロースポリマーが単独でまたは組合せて容易に使用できることを認識するであろう。【0086】1つの市販の入手可能なエチルセルロースの水性分散物は、Aquacoat(登録商標)(FMC Corp., Philadelphia, Pennsylvania, U.S.A.)である。Aquacoat(登録商標)は、エチルセルロースを水と混和できない有機溶媒中に分散させ、次いでこれを界面活性剤と安定剤の存在下で水中に乳化させることによって製造される。均質化してミクロン以下の液滴を生成した後、有機溶媒を真空下で蒸発させて擬似ラテックス(pseudolatex)を形成する。製造段階中に、可塑剤は擬似ラテックス中に組み入れられない。それゆえ、それをコーティングとして使用する前に、Aquacoat(登録商標)を、使用前に適当な可塑剤と完全に混合する必要がある。【0087】エチルセルロースの別の水性分散物が、Surelease(登録商標)(Colorcon, Inc., West Point, Pennsylvania, U.S.A.)として市販に入手可能である。この製品は、製造プロセス中に可塑剤を分散物中に組み入れることによって製造される。ポリマー、可塑剤(セバシン酸ジブチル)および安定剤(オレイン酸)のホットメルトは、均質混合物として製造され、これは次に、アルカリ溶液で希釈されて、基体に直接施用できる水性分散物が得られる。【0088】アクリルポリマー本発明の他の好ましい実施形態においては、制御放出コーティングを含む疎水性物質が、製薬上許容されるアクリルポリマーであり、アクリル酸およびメタクリル酸コポリマー、メチルメタクリレートコポリマー、エトキシエチルメタクリレート、シアノエチルメタクリレート、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、メタクリル酸アルキルアミドコポリマー、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリメタクリレート、ポリ(メチルメタクリレート)コポリマー、ポリアクリルアミド、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、ポリ(メタクリル酸無水物)およびグリシジルメタクリレートコポリマーを包含するが、これらに限定されない。【0089】ある好ましい実施形態においては、アクリルポリマーは、1つ以上のアンモニオメタクリレートコポリマーからなる。アンモニオメタクリレートコポリマーは当分野でよく知られており、NF XVIIに、低含量の第4級アンモニウム基を有する、アクリル酸およびメタクリル酸のエステルの完全に重合されたコポリマーとして記載されている。【0090】所望の溶解プロフィールを得るために、種々の物性(例えば、第4級アンモニウム基の中性(メタ)アクリル酸エステルに対する種々のモル比)を有する2つ以上のアンモニオメタクリレートコポリマーを組み込むことが必要であり得る。【0091】ある種のメタクリル酸エステルタイプのポリマーが、本発明に従って使用できるpH依存性コーティングを製造するために有用である。例えば、ジエチルアミノエチルメタクリレートおよび他の中性メタクリレートエステルから合成されるコポリマーの一族(メタクリル酸コポリマーまたはポリマーのメタクリレートとしても知られているRohm Tech, IncからEudragit(登録商標)として市販に入手可能)がある。いくつかの異なるタイプのEudragit(登録商標)がある。例えば、Eudragit(登録商標)Eは、酸性媒体中で膨潤し、溶解するメタクリル酸コポリマーの例である。Eudragit(登録商標)Lは、約pH<5.7で膨潤せず、約pH>6で可溶であるメタクリル酸コポリマーである。Eudragit(登録商標)Sは、約pH<6.5で膨潤せず、約pH>7で可溶である。Eudragit(登録商標)RLおよびEudragit(登録商標)RSは、水膨潤性であり、これらのポリマーに吸収される水の量は、pH依存性であるが、Eudragit(登録商標)RLおよびRSでコーティングされた製剤はpH非依存性である。【0092】ある好ましい実施形態においては、アクリルコーティングは、それぞれ商品名Eudragit(登録商標)RL30DおよびEudragit(登録商標)RS30Dの商品名でRohm Pharmaから市販されていて入手可能な2種のアクリル樹脂ラッカーの混合物を含む。Eudragit(登録商標)RL30DおよびEudragit(登録商標)RS30Dは、低含量の第4級アンモニウム基を有する、アクリル酸エステルとメタクリル酸エステルとのコポリマーであり、アンモニウム基対残留中性(メタ)アクリル酸エステルのモル比は、Eudragit(登録商標)RL30Dにおいて1:20であり、Eudragit(登録商標)RS30Dにおいて1:40である。平均分子量は、約150,000である。符号の呼称RL(高浸透性)およびRS(低浸透性)は、これらの剤の浸透性に帰する。Eudragit(登録商標)RL/RS混合物は、水に、かつ消化液に不溶である。しかしながら、これから形成されたコーティングは、水性溶液中および消化液中で膨潤性であり、浸透性である。【0093】本発明のEudragit(登録商標)RL/RS分散物は、所望の溶解プロフィールを有する持続放出製剤を最終的に得るために、任意の所望の比で共に混合することができる。例えば、100% Eudragit(登録商標)RL、50% Eudragit(登録商標)RLと50% Eudragit(登録商標)RS、および10%Eudragit(登録商標)RLと90% Eudragit(登録商標)RSから誘導される遅延コーティングから、所望の持続放出製剤を得ることができる。もちろん、当業者は、他のアクリルポリマー、例えばEudragit(登録商標)Lも使用できることを認識するであろう。【0094】可塑剤コーティングが疎水性物質の水性分散物を含む本発明の実施形態においては、疎水性物質の水性分散物中に有効量の可塑剤を含むことが、さらに持続放出コーティングの物性を改善する。例えば、エチルセルロースは、比較的高いガラス転移温度を持ち、普通のコーティング条件下では柔軟なフィルムを形成しないので、これをコーティング物質として使用する前に、エチルセルロースコーティング含有持続放出コーティングに可塑剤を組み込むことが好ましい。一般に、コーティング溶液に含まれる可塑剤の量は、フィルム形成剤の濃度に基づき、例えば最も多くの場合、フィルム形成剤の約1〜約50重量%である。しかし、可塑剤の濃度は、特定のコーティング溶液および施用の方法を用いて注意深く実験した後でのみ、適切に決定することができる。【0095】エチルセルロースのために適した可塑剤の例としては、非水溶性可塑剤、例えばセバシン酸ジブチル、フタル酸ジエチル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチルおよびトリアセチンを包含するが、他の非水溶性可塑剤(例えばアセチル化されたモノグリセリド、フタレートエステル、ひまし油等)がまた使用され得る。クエン酸トリエチルは、本発明のエチルセルロースの水性分散物のための特に好ましい可塑剤である。【0096】本発明のアクリルポリマーのために適当な可塑剤の例としては、クエン酸エステル、例えばクエン酸トリエチル、NF XVI、クエン酸トリブチル、フタル酸ジブチル、あるいは1,2-プロピレングリコールを包含するが、これらに限定されない。アクリルフィルム例えばEudragit(登録商標)RL/RSラッカー溶液から形成されるフィルムの弾性を増加させるのに適当であることがわかっている他の可塑剤としては、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、フタル酸ジエチル、ひまし油およびトリアセチンを包含する。クエン酸トリエチルは、本発明のエチルセルロースの水性分散物のために特に好ましい可塑剤である。少量のタルクの添加は、加工中に水性分散物がくっつく傾向を減らし、艶出し剤として働くことがさらにわかった。【0097】コーティングしたビーズの製造方法疎水性物質の水性分散物を使用して不活性な製薬用ビーズ(例えば、ヌ パリエル(nu pariel) 18/20ビーズ)をコーティングするときは、複数の得られた安定化された固体制御放出ビーズを、その後、周囲流体、例えば胃液または溶解媒体によって摂取され、接触されたとき有効な制御放出投与量を与えるのに十分な量で、ゼラチンカプセル中に入れることができる。【0098】本発明の安定化された制御放出ビーズ製剤は、胃液に、次いで腸液に摂取され、暴露されると、治療上活性な物質をゆっくりと放出する。本発明の製剤の制御放出プロフィールは、例えば疎水性物質の水性分散物でオーバーコートする量を変えること、可塑剤を疎水性物質の水性分散物に加えるやり方を変えること、疎水性物質に対する可塑剤の量を変えること、追加の成分または賦形剤を含むこと、製造方法を変えること等によって変えることができる。最終的生成物の溶解プロフィールをまた、例えば遅延コーティングの厚さを増加するかまたは減少することによって変更することができる。【0099】治療上活性な物質でコーティングした球状体またはビーズは、例えば治療上活性な物質を水に溶かし、次いでこの溶液を、ウスター インサート(Wuster inset)を用いて基体(例えば、ヌ パリエル(nu pariel) 18/20ビーズ)に噴霧することによって製造される。任意的に、オピオイドのビーズへの結合を補助するおよび/または溶液を着色する等のために、ビーズをコーティングする前に追加の成分をまた添加する。例えば、着色剤(例えば、Opadry(登録商標)、Colorcon, Inc.から市販されていて入手可能)を有するまたは有さない、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等を含む生成物を、ビーズに施用する前(例えば約1時間)に、溶液または混合された溶液に添加できる。得られるコーティングされた基体(この例ではビーズ)は次に、障壁剤(barrier agent)で任意的にオーバーコートされて、治療上活性な物質を疎水性の制御放出コーティングから分離することができる。適当な障壁剤の例は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含むものである。しかしながら、当分野で公知の任意のフィルム形成剤がまた使用できる。障壁剤が最終生成物の溶解速度に影響を与えないことが好ましい。【0100】ビーズは次に、疎水性物質の水性分散物でオーバーコートされることができる。疎水性物質の水性分散物は好ましくはさらに、有効量の可塑剤、例えばクエン酸トリエチルを含む。予め製剤化された、エチルセルロースの水性分散物、例えばAquacoat(登録商標)またはSurelease(登録商標)を使用できる。Surelease(登録商標)を使用するなら、可塑剤を別々に加える必要はない。あるいは、予め製剤化された、アクリルポリマーの水性分散物、例えばEudragit(登録商標)を使用できる。【0101】本発明のコーティング溶液は好ましくは、フィルム形成剤、可塑剤および溶媒系(例えば水)のほかに、優雅さを与え、生成物を識別するために着色剤を含む。疎水性物質の水性分散物に代えて、またはこの他に、治療上活性な物質の溶液に色を加えることができる。例えば、アルコールまたはプロピレングリコールベースの着色分散物、粉砕されたアルミニウムレーキおよび不透明化剤(opacifier)、例えば二酸化チタンを用いて、剪断力で水溶性ポリマー溶液に色を加え、次いで可塑化されたAquacoat(登録商標)に低い剪断力を用いることによって、色をAquacoat(登録商標)に加える。あるいは、本発明の製剤に色を与える任意の適当な方法を使用することができる。アクリルポリマーの水性分散物が使用されるときに、製剤に色を与えるのに適当な成分としては、二酸化チタンおよび着色顔料、例えば酸化鉄顔料を包含する。しかし、顔料の組込みはコーティングの遅延効果を増加させ得る。【0102】当分野で公知の適当な噴霧装置を用いて噴霧することによって、可塑化された、疎水性物質の水性分散物を、治療上活性な物質を含む基体に施用することができる。好ましい方法においては、アクリルポリマーコーティングを噴霧しながら、下方から注入される空気噴射がコア物質を流動化させ、乾燥を行う、ウルスター 流動床系(Wurster fluidized-bed system)を使用する。治療上活性な物質の物性、可塑剤の組込み方法等を考慮しながら、該コーティングされた基体が水性溶液、例えば胃液に暴露されたとき、該治療上活性な物質の所定の制御放出を得るのに十分な量の、疎水性物質の水性分散物を好ましくは施用する。疎水性物質でコーティングした後、さらにフィルム形成剤例えばOpadry(登録商標)のオーバーコートを任意的にビーズに施用することができる。このオーバーコートは、あったとしても、ビーズの塊状化を実質的に減らすために与えられる。【0103】本発明の制御放出製剤からの治療上活性な物質の放出はさらに、1つ以上の放出緩和剤(release modifying agent)の添加によって、またはコーティング中に1以上の通路を与えることによって影響され得る、すなわち所望の速度に調節され得る。疎水性物質対水溶性物質の比は、他の要素の中で、必要とされる放出速度および選ばれる物質の溶解特性によって決定される。【0104】孔形成剤(pore-former)として作用する放出緩和剤は、有機もしくは無機であることができ、溶解され、抽出され、または使用環境でコーティングから浸出されることができる物質を包含する。孔形成剤は、1つ以上の疎水性物質、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースを含むことができる。【0105】本発明の持続放出コーティングはまた、腐食促進剤、例えばでん粉およびゴムを含むことができる。本発明の持続放出コーティングはまた、使用環境で、微孔性薄層を作るのに有用な物質、例えばカルボン酸の線状ポリエステルからなるポリカーボネート(カーボネート基がポリマー鎖中に再び生じている)を含むことができる。【0106】放出緩和剤はまた、半浸透性ポリマーを含むことができる。ある好ましい実施形態においては、放出緩和剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ラクトース、ステアリン酸金属塩およびこれらの任意の混合物から選ばれる。【0107】本発明の持続放出コーティングはまた、少なくとも1つの通路、オリフィス等を含む出口手段を含むことができる。通路は、U.S.Patent Nos. 3,845,770; 3,916,889; 4,063,064;および4,088,864(そのすべてが、参照することにより、本明細書に組入れられる)に開示されたような方法によって形成することができる。通路は、任意の形、例えば円形、三角形、四角形、長円形、不規則な形等の形をとることができる。【0108】マトリックスビーズ製剤本発明の他の実施形態においては、制御放出製剤は、上記した制御放出コーティングを有するマトリックスによって達成される。本発明はまた、好ましい範囲内のオピオイドのin vitroでの溶解速度を与え、かつpH依存性またはpH非依存性のやり方でオピオイドを放出する制御放出マトリックスを使用することができる。制御放出マトリックスに含まれるのに適当な物質は、マトリックスを形成するのに使用される方法に依存する。【0109】例えば、オピオイド鎮痛剤および(任意的に)COX-2(阻害剤?)のほかに、マトリックスは、次のものを含むことができる:親水性および/または疎水性物質、例えばゴム、セルロースエーテル、アクリル樹脂、タンパク質誘導物質;このリストは、他を排除することを意味せず、活性剤の制御放出を与えることができ、かつ溶融する(または押出成形されるのに必要な程度まで軟化する)、任意の製薬上許容される疎水性物質または親水性物質を、本発明に従って使用することができる。【0110】消化できる長鎖(C8〜C50、特にC12〜C40)の置換または非置換の炭化水素、例えば脂肪酸、脂肪族アルコール、脂肪酸のグリセリルエステル、鉱油および植物油および蝋、およびステアリルアルコール;ならびにポリアルキレングリコール。【0111】これらのポリマーのうち、アクリルポリマー、特にEudragit(登録商標)RSPO、セルロースエーテル、特にヒドロキシアルキルセルロースおよびカルボキシアルキルセルロースが好ましい。経口剤形は、1〜80(重量)%の少なくとも1種の親水性もしくは疎水性物質を含むことができる。【0112】疎水性物質が炭化水素であるとき、炭化水素は好ましくは、25〜90℃の融点を有する。長鎖炭化水素物質のうちで、脂肪族アルコールが好ましい。経口剤形は、60(重量)%までの少なくとも1種の消化できる長鎖炭化水素を含むことができる。好ましくは、経口剤形は、60(重量)%までの少なくとも1種のポリアルキレングリコールを含む。【0113】疎水性物質は好ましくは、アルキルセルロース、アクリル酸およびメタクリル酸のポリマーおよびコポリマー、シェラック、ゼイン、水素化ひまし油、水素化植物油またはこれらの混合物からなる群より選択される。本発明のある好ましい実施形態においては、疎水性物質は、製薬上許容されるアクリルポリマーであり、アクリル酸とメタクリル酸のコポリマー、メチルメタクリレート、メチルメタクリレートコポリマー、エトキシエチルメタクリレート、シアノエチルメタクリレート、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、メタクリル酸 アルキルアミンコポリマー、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(メタクリル酸)(無水物)、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリ(メタクリル酸無水物)、およびグリシジルメタクリレートコポリマーを包含するが、これらに限定されない。他の実施形態においては、疎水性物質は、ヒドロキシアルキルセルロース例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびそれらの混合物のような物質から選ばれる。【0114】好ましい疎水性物質は、幾分断言された親水性および/または疎水性傾向を有して、水不溶性である。好ましくは、本発明において有用な疎水性物質は、約30〜約200℃、好ましくは約45〜約90℃の融点を有する。詳細には、疎水性物質は、天然もしくは合成の蝋、脂肪族アルコール(例えばラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、ステアリルアルコール、セチルアルコールまたは好ましくはセトステアリルアルコール)、脂肪酸を含むことができ、これらに限定されないが、脂肪酸エステル、脂肪酸グリセリド(モノ‐、ジ‐およびトリ‐グリセリド)、水素化した脂肪、炭化水素、普通の蝋、ステアリン酸、ステアリルアルコール、ならびに炭化水素主鎖を有する親水性物質および疎水性物質を包含する。適当な蝋としては、例えば蜜蝋、グリコワックス(glycowax)、ひまし油蝋(castor wax)およびカルナウバ蝋を包含する。本発明の目的のために、蝋様物質は、通常室温で固体であり、約30〜約100℃の融点を有する任意の物質として定義される。【0115】本発明に従い使用することができる適当な疎水性物質としては、消化できる長鎖(C8〜C50、特にC12〜C40)の置換または非置換の炭化水素、例えば脂肪酸、脂肪族アルコール、脂肪酸のグリセリルエステル、鉱油および植物油ならびに天然および合成の蝋を包含する。約25〜約90℃の融点を有する炭化水素が好ましい。長鎖炭化水素物質のうち、ある実施形態においては、脂肪族アルコールが好ましい。経口剤形は、60(重量)%までの少なくとも1種の消化できる長鎖炭化水素を含むことができる。【0116】好ましくは、2種以上の疎水性物質の組合せがマトリックス製剤に含まれる。追加の疎水性物質が含まれるなら、それは好ましくは、天然および合成の蝋、脂肪酸、脂肪族アルコールおよびそれらの混合物から選ばれる。例としては、蜜蝋、カルナウバ蝋、ステアリン酸およびステアリルアルコールを包含する。このリストは、他を排除することを意味しない。【0117】1つの特定の適当なマトリックスは、少なくとも1種の水溶性ヒドロキシアルキルセルロース、少なくとも1種のC12〜C36、好ましくはC14〜C22脂肪族アルコールおよび任意的に少なくとも1種のポリアルキレングリコールを含む。少なくとも1種のヒドロキキアルキルセルロースは好ましくは、ヒドロキシ(C1〜C6)アルキルセルロース、例えばヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルローおよび特に、ヒドロキシエチルセルロースである。本発明の経口剤形における少なくとも1種のヒドロキキアルキルセルロースの量は、とりわけ、必要とされるオピオイド放出の正確な速度によって決定される。少なくとも1種の脂肪族アルコールは、例えばラウリルアルコール、ミリスチルアルコールまたはステアリルアルコールであり得る。しかしながら、本発明の経口剤形の特に好ましい実施形態においては、少なくとも1種の脂肪族アルコールは、セチルアルコールまたはセトステアリルアルコールである。本発明の経口剤形における少なくとも1種の脂肪族アルコールの量は、上記のように、必要とされるオピオイド放出の正確な速度によって決定される。それはまた、経口剤形に少なくとも1種のポリアルキレングリコールが存在するか存在しないかにも依存する。少なくとも1種のポリアルキレングリコールが存在しない場合、経口剤形好ましくは、は20〜50(重量)%の少なくとも1種の脂肪族アルコールを含む。少なくとも1種のポリアルキレングリコールが経口剤形に存在するなら、そのときは、少なくとも1種の脂肪族アルコールと少なくとも1種のポリアルキレングリコールとを合せた重量は好ましくは、全投与量の20〜50(重量)%を構成する。【0118】1の実施形態においては、例えば少なくとも1種のヒドロキシアルキルセルロースまたはアクリル樹脂対少なくとも1種の脂肪族アルコール/ポリアルキレングリコールの比は、著しい範囲に、製剤からのオピオイドの放出速度を決定する。少なくとも1種のヒドロキシアルキルセルロース対少なくとも1種の脂肪族アルコール/ポリアルキレングリコールの比 1:2〜1:4が好ましく、1:3〜1:4の比が特に好ましい。【0119】少なくとも1種のポリアルキレングリコールは、例えばポリプロピレングリコールまたはポリエチレングリコールであることができ、ポリエチレングリコールが好ましい。少なくとも1種のポリアルキレングリコールの数平均分子量は、好ましくは1,000〜15,000、特に1,500〜12,000である。【0120】別の適当な制御放出マトリックスは、アルキルセルロース(特にエチルセルロース)、C12〜C36脂肪族アルコールおよび、任意的にポリアルキレングリコールを含む。別の好ましい実施形態においては、マトリックスは、少なくとも2種の疎水性物質の製薬上許容される組合せを含む。【0121】上記の成分の他に、制御放出マトリックスはまた、適当な量の、製薬分野で慣用である他の物質、例えば希釈剤、滑沢剤、バインダー、粒化助剤、着色剤、調味料および滑剤(glidant)を含むことができる。【0122】マトリックスに基づくビーズの製造方法本発明の固体制御放出経口用剤形の製造を容易にするために、当業者に公知のマトリックス製剤を製造するための任意の方法が使用できる。例えば、マトリックスへの配合(incorporation)は、例えば(a)少なくとも1種の水溶性ヒドロキシアルキルセルロースおよびオピオイドもしくはオピオイド塩を含む細粒(granules)を形成し;(b) 該ヒドロキシアルキルセルロース含有細粒を少なくとも1種のC12〜C36脂肪族アルコールと混合し;そして(c)場合によっては細粒を圧縮し成形することによって達成することができる。好ましくは、細粒は、ヒドロキシアルキルセルロース/オピオイドを水と共に湿式造粒(wet-granulating)することによって形成される。本発明の方法の特に好ましい実施形態においては、湿式造粒工程中に加えられた水の量が、オピオイドの乾燥重量の、好ましくは1.5〜5倍、特に1.75から3.5倍である。【0123】さらに別のもう1つの実施形態においては、活性成分と一緒に球状化剤(spheronizing agent)を球状化して球状体を形成することができる。微結晶セルロースが好ましい。適当な微結晶セルロースは、例えばAvicel PH 101(商標、FMC Corporation)として販売されている物質である。そのような実施形態においては、活性成分および球状化剤の他に、球状体はまた、バインダーを含むことができる。適当なバインダー、例えば低粘度の水溶性ポリマーは、製薬技術分野では当業者によく知られている。しかしながら、水溶性のヒドロキシ低級アルキルセルロース、例えばヒドロキシプロピルセルロースが好ましい。さらに(または、あるいは)、球状体は水不溶性ポリマー、特にアクリルポリマー、アクリルコポリマー、例えばメタクリル酸‐エチルアクリレートコポリマー、またはエチルセルロースを含むことができる。そのような実施形態においては、持続放出コーティングは一般に、疎水性物質、例えば(a)ロウを単独で、もしくは脂肪族アルコールとの混合物で、または (b) シェラックもしくはゼインを含む。【0124】溶融押出しマトリックス持続放出マトリックスはまた、溶融‐造粒法(melt-granulation)または溶融押出法によって製造できる。一般に、溶融‐造粒法は、普通固体の疎水性物質例えばロウを溶融し、それに粉末にした薬剤を混ぜ込むことを含む。持続放出性お剤形を得るために、追加の疎水性の物質、例えばエチルセルロースまたは水不溶性アクリルポリマーを、溶融したロウ疎水性物質中に混ぜ込むことが必要となろう。溶融‐造粒法により製造された持続放出製剤の例は、米国特許第4,861,598号(本発明の譲渡人に譲渡されており、その全部が、参照することによって本明細書に組入れられる)に見出される。【0125】追加の疎水性の物質は、1種以上の水不溶性ロウ様熱可塑性物質を、おそらくは該1種以上の水不溶性ロウ様物質より疎水性が低い1種以上のロウ様熱可塑性物質と混合させて含むことができる。一定の放出を達成するために、製剤中の個々のロウ様物質は、実質的に非分解性で、初期の放出段階中には胃腸液に不溶でなければならない。有用な水不溶性ロウ様物質は、約1:5,000(重量/重量)より低い水溶性を有するものであり得る。【0126】上記の成分の他に、持続放出マトリックスはまた、適当な量の、製薬分野で慣用である他の物質、例えば希釈剤、滑沢剤、バインダー、造粒助剤、着色剤、香味剤および滑剤(glidant)を含むことができる。これらの追加の物質の量は、所望の製剤に所望の効果を与えるのに十分な量である。【0127】上記の成分の他に、持続放出マトリックス組込み溶融押出多粒子はまた、所望により適当な量の、製薬分野で慣用である他の物質、例えば希釈剤、滑沢剤、バインダー、造粒助剤、着色剤、香味剤および滑剤(glidant)を、粒子の約50重量%までの量で含むことができる。【0128】経口用剤形を製剤化するために使用できる製薬上許容できる担体および賦形剤の具体的な例は、Handbook of Pharmaceutical Excipients, American Pharmaceutical Association (1986)に記載されており、参照することにより、本明細書に組入れられる。【0129】溶融押出多粒子本発明の適当な溶融押出マトリックスの製造は、例えばオピオイド鎮痛剤を少なくとも1種の疎水性物質および好ましくは追加の疎水性物質と一緒にブレンドして、均質な混合物を得る段階を含むことができる。その均質な混合物を次に、少なくとも押出すために十分な程度に混合物を軟化するのに十分な温度に加熱する。得られた均質な混合物を次に押出して、ストランドを形成する。押出物を好ましくは冷却し、当分野で公知の任意の手段によって多粒子に切断する。ストランドを冷却し、多粒子に切断する。次に、多粒子を単位用量(1回量)に分ける。押出物は好ましくは、約0.1〜約5 mmの直径を有し、約8〜約24時間の間にわたって治療上活性な物質の持続放出をもたらす。【0130】本発明の溶融押出物を製造するための任意の方法は、疎水性物質、治療上活性な物質および、場合によってはバインダーを押出機に直接計量供給すること;均質な混合物を加熱すること;均質な混合物を押出し、それによってストランドを形成すること;均質な混合物を含むストランドを冷却すること;ストランドを、約0.1 mm〜約12 mmの大きさを有する粒子に切断すること;ならびに該粒子を単位用量に分けることを含む。本発明のこの態様においては、比較的連続した製造手法が実現される。【0131】押出機の開口または出口の直径はまた、押し出されたストランドの厚さを変えるように調節することができる。さらに、押出機の出口部分は、円形である必要はなく;長方形、矩形等であることができる。押出されたストランドは、ホットワイヤカッター(hot wire cutter)、断裁機等を用いて粒子へと切り詰められる。【0132】溶融押出された多粒子系は、押出機の出口オリフィスに応じて、たとえば細粒、球状体もしくはペレットの形状であることができる。本発明の目的のために、「溶融押出された多粒子(multiparticulate(s))」または「溶融押出された多粒子系(multiparticulate system(s))」または「溶融押出された粒子」という語は、好ましくは類似の大きさおよび/または形の範囲内で、1種以上の活性物質および1種以上の賦形剤を含み、好ましくは本明細書中に記載した疎水性物質を含む複数の単位をいう。これに関して、溶融押出された多粒子は、約0.1 mm〜約12 mmの範囲の長さを有し、約0.1 mm〜約5 mmの直径を有する。さらに、溶融押出された多粒子は、この大きさの範囲内の任意の幾何学的形状であることができることが理解されるべきである。あるいは、押出物は、球状化段階の必要なしに、単に所望の長さに切断され、治療上活性な物質の単位用量に分けられることができる。【0133】1つの好ましい実施形態においては、経口用剤形は、有効量の溶融押出された多粒子をカプセル中に含むように製造される。例えば、複数の溶融押出された多粒子を、摂取されて胃液と接触した際に有効な持続放出用量を提供するのに十分な量で、ゼラチンカプセル中に入れることができる。【0134】別の好ましい実施形態においては、慣用の打錠装置を用い、標準的技術を用いて、適当な量の多粒子押出物を経口錠剤へと圧縮する。錠剤(圧縮および成形されたもの)、カプセル(硬質および軟質ゼラチン)および丸薬を作るための技術および組成はまた、Remington's Pharmaceutical Sciences, (Arthur Osol,編集者)、1553-1593(1980)(参照することによって本明細書に組入れられる)に記載されている。【0135】なお別の好ましい実施形態においては、押出物を、米国特許第4,957,681号(Klimeschら)(さらなる詳細は、先に記載されており、参照することによって本明細書に組入れられる)に示されたようにして錠剤へと成形することができる。【0136】場合により、持続放出コーティング、例えば上記した持続放出コーティングを用いて、持続放出性の溶融押出多粒子系または錠剤をコーティングすることができ、またはゼラチンカプセルをさらにコーティングすることができる。そのようなコーティングは好ましくは、約2〜約30パーセントの重量増加レベルを得るのに十分な量の疎水性物質を含むが、このオーバーコートは、中でも使用される特定のオピオイド鎮痛剤化合物の物性および所望の放出速度に応じてさらに多いものとすることができる。【0137】本発明の溶融押出した単位剤形はさらに、カプセル封入される前に、1種以上の先に開示した治療上活性な物質を含む溶融押出された多粒子の組合せを含むことができる。さらに、この単位剤形はまた、迅速な治療上の効果のために、ある量の即時放出の治療上活性な物質を含むことができる。即時放出の治療上活性な物質は、例えばゼラチンカプセル中に別々のペレットとして含めてもよいし、または剤形の製造後に多粒子の表面にコーティングされてもよい(例えば、制御放出コーティングまたはマトリックスをベースとする)ことができる。本発明の単位剤形はまた、制御放出ビーズとマトリックス多粒子との組合せを含んで、所望の効果を達成することができる。【0138】本発明の持続放出製剤は好ましくは、例えば、摂取されて胃液、次いで腸液にされされると、治療上活性な物質をゆっくりと放出する。本発明の溶融押出製剤の持続放出プロファイルは、例えば遅延剤、すなわち疎水性物質の量を変えること、疎水性物質に対する可塑剤の量を変えること、追加の成分または賦形剤を含めること、製造方法を変えること等によって、変えられることができる。【0139】本発明の他の実施形態においては、治療上活性な物質を含まずに溶融押出物質を製造し、その後で治療上活性な物質を該押出物に添加する。そのような製剤は典型的には、押し出されたマトリックス物質と一緒にブレンドされた治療上活性な物質を有し、次いで、混合物を錠剤化して徐放製剤とする。そのような製剤は、例えば製剤に含まれる治療上活性な物質が、疎水性物質および/または遅延物質を軟化するのに必要とされる温度に対して感受性である場合に有利であり得る。【0140】(好ましい実施形態の詳細な説明)以下の実施例は、本発明の種々の態様を説明するものである。これらの実施例は、いかなるやり方でも、特許請求の範囲を限定すると解釈されるべきではない。【0141】実施例1〜2モルヒネおよびナブメトン(Nabumetone)の組合せ(実施例1)ならびにモルヒネおよびメロキシカム(Meloxicam)の組合せ(実施例2)の評価実施例1〜2においては、フェニルキノン(PPQ)伸張(stretching)(悶え(writhing))試験において、ナブメトン(実施例1)およびメロキシカム(実施例2)を試験することによって、COX-2阻害剤‐アヘン剤(opiate)相乗作用を調べた。【0142】ナブメトンは本質的にCOX-2選択性ではないが、その使用には著しく低い潰瘍発生(ulcerogenesis)が伴うので、ナブメトンについてここで評価する。ナブメトンは、実際のCOX-2阻害剤、6-メトキシ-2-ナフチル酢酸(6-MNA)を生じさせるプロドラッグである(表1参照)。ナブメトンの潰瘍発生の可能性が低いのは、pH依存性の6-MNA形成のためであり得る。これは、低pH値、例えば胃の粘膜で見られるpHでは起こらない。かくして、COX-2選択性は機能的であると思われる。臨床試験において、ナブメトンは、非常に効能があり、ほとんど潰瘍発生を伴わないことがわかった。変形性関節症の患者における試験では、ナブメトンをジクロフェナクと比較した。ジクロフェナク(一日当たり1500mg必要とし、非常に無力である)と同等の効能であることが判ったが、ナブメトンを用いて治療した382人の患者のうち1人も胃腸毒性を経験しなかった(S.H.Rothら、J.Rheumatol. 21:1118, 1994)。ナブメトンを用いて治療した患者の1年の追跡調査報告において、潰瘍の発生率はたった0.5%であった(PDR 1995, p.2396)。【0143】方法:薬剤相互作用のイソボログラフ分析(isobolographic analysis)を、雄性ICRマウスで行った。時間=0に、メロキシカムもしくはナブメトンまたはビヒクルを経口投与した。時間(T)=9分に、モルヒネまたはビヒクルを経口投与した。T=29分に、PPQ(フェニル-p-ベンジルキノン)2mg/kgを腹腔内注射した。T=36分に、各マウスについて1分間、腹部の伸張の数を数えた。T=40分に、伸張を再び1分間数えた。1回投与当たり6〜8匹のマウスであった。【0144】投与‐応答に使用したモルヒネの濃度は、0.5、1、2および5 mg/kgとした。投与‐応答に使用したナブメトンの濃度は、20、50、100および300 mg/kgとした。投与‐応答に使用したメロキシカムの濃度は、1、3、10および50 mg/kgであった。【0145】PPQ伸張(悶え)試験の阻害率(%)を以下のように計算した:=1−{[薬剤を用いての2回の計測での全伸張数]/[ビヒクルを用いての2回の計測での全伸張数]}x100【0146】ED50(50%阻害を引き起こす薬剤の投与量)を、非線形回帰により求めた。モルヒネとメロキシカムもしくはナブメトンとの組合せを投与する際、その比率は常にそれぞれ1:10または1:1000に設定した。組合せの研究については、以下を使用した:モルヒネ/ナブメトンが0.036/36、0.072/72、0.1/100および0.144/144 mg/kgであり、モルヒネ/メロキシカムが、0.18/1.8、0.36/3.6、0.72/7.2および1.44/14.4 mg/kgであった。この組合せでの各薬剤についてのED50は、ED50組合せ投与での組合せにおけるそれぞれの量の単純計算により求めた。実施例1(ナブメトン)対モルヒネについてのED50の結果を以下に示す:【0147】ナブメトン:モルヒネED50=1.86 mg/kg 経口(信頼区間1.39〜2.5)ナブメトンED50=92.1 mg/kg 経口(わずかに外挿)モルヒネ:ナブメトン=1:1000を用いた組合せの投与‐応答についてED50モルヒネ=0.06(信頼区間は0.02〜0.17)ED50ナブメトン=64.5。【0148】ED50の結果からわかるように、ナブメトンは、モルヒネの薬効を有意に増加させた。モルヒネは、統計学的に有意な様式でナブメトンの薬効に影響を及ぼさなかったが、ナブメトン対モルヒネの比を増加させることによりツーウェイ相乗作用がもたらされ得ることを示唆する程度に、ED50の結果をシフトさせた。この結果にかんがみて、もっとずっと薬効があるCOX-2阻害剤(例えばセレコキシブ(celecoxib))の組合せは、統計学的に有意な相互的相乗作用を与えるであろう。そのような組合せでは、オピオイドは、セレコキシブの鎮痛薬効を有意に増強させることがわかる。【0149】実施例2(メロキシカム)についてのED50の結果を以下に示す:メロキシカム:モルヒネED50=1.86 mg/kg 経口メロキシカムED50=15.2 mg/kg 経口(わずかに外挿)モルヒネ:メロキシカム=1:10を用いた組合せの投与‐応答についてED50モルヒネ=0.62ED50メロキシカム=6.22。【0150】ED50の結果からわかるように、メロキシカムはモルヒネの薬効を有意に増加させ、一方、モルヒネはメロキシカムの薬効に影響を及ぼさなかった。しかしモルヒネは、メロキシカムがより良好な効験(阻害率が72%対45%)に達することを可能にした。【0151】実施例1〜2から得られたデータをさらに図1に示す。図1は、投与量(mg/kg)に対してプロットした阻害率(ED50)を示すグラフである。図1は、ナブメトン、メロキシカムおよびモルヒネのぞれぞれ単独についての投与‐応答データならびに、ナブメトン+モルヒネの組合せおよびメロキシカム+モルヒネの組合せについての投与‐応答データのプロットを含む。図1に示した結果からわかるように、モルヒネは、ナブメトンまたはメロキシカムについての投与‐応答をシフトさせなかった。しかし、ナブメトンおよびメロキシカムは共にモルヒネについての投与‐応答をシフトさせた(矢印で示した)。【0152】モルヒネとフルソリド(flusolide)との相互作用は、イソボログラムによって証明することができる(例えば、調製およびイソボログラムの基礎に関しては、S.Loewe、Pharm. Rev., 9; 237 (1957)参照;引用によって本明細書に組入れられる)。【0153】図2は、モルヒネとの相互作用におけるナブメトンについてのイソボログラムである(95%信頼区間が含まれる)。所与の2つの薬剤のED50値を結ぶ斜めの線は、それぞれ異なる成分比での効果の単純相加性を示す。曲線の下に落ちるED50値(線と原点との間)は、超相加性(superadditivity)を示す。図2からわかるように、ナブメトンとモルヒネとの組合せは、表IIに示したこれらの薬剤の組合せの比を支持する相乗作用を示した。【0154】図3は、モルヒネとの相互作用におけるメロキシカムについてのイソボログラムである(95%信頼区間が含まれる)。図3からわかるように、ナブメトンとモルヒネとの組合せは、表IIに示したこれらの薬剤の組合せの比を支持する相乗作用を示した。【0155】イソボログラムで表したようなマウスについてのデータは、個々の化合物の経口的に有効な鎮痛投与量が知られているかまたは見積ることができる他の種についても当てはまることが当分野では公知である。したがって、当業者であれば、鎮痛特性についてのこの基本的な相関関係から、ヒトの有効性の範囲を見積ることができることがわかるであろう。【0156】結論本発明の特定の好ましい実施形態について記載し説明してきたが、当業者であれば、本発明の精神および範囲から逸脱することなく自明な変更がなされ得ることがわかるであろう。例えば、有効な投与量および具体的な薬理学的応答は、使用される特定のオピオイドと特定のCOX-2阻害剤との比、ならびに製剤および投与様式によって変わり得る。そのような改変は、添付の特許請求の範囲内に含まれるものとする。【図面の簡単な説明】【図1】 投与量(mg/kg)に対してプロットした阻害率(ED50)を示すグラフである。図1は、ナブメトン、メロキシカムおよびモルヒネのぞれぞれ単独についての投与‐応答データならびに、ナブメトン+モルヒネの組合せおよびメロキシカム+モルヒネの組合せについての投与‐応答データのプロットを含む。【図2】 モルヒネとの相互作用におけるナブメトンについてのイソボログラムである(95%信頼区間が含まれる)。所与の2つの薬剤のED50値を結ぶ斜めの線は、それぞれ異なる成分比での効果の単純相加性を示す。曲線の下に落ちるED50値(線と原点との間)は、超相加性(superadditivity)を示す。【図3】 モルヒネとの相互作用におけるメロキシカムについてのイソボログラムである(95%信頼区間が含まれる)。 COX-2阻害剤と、モルヒネ、メタドン、メペリジン、レボルファノール、コデイン、ヒドロコドン、ジヒドロコデイン、ヒドロモルホン、オキシコドン、オキシモルホン、トラマドール、それらの塩、および上述のものの任意の混合物からなる群から選択されるオピオイド鎮痛剤との組合せ(ただし、COX-2阻害剤と鎮咳用量のヒドロコドンもしくはコデインの組合せを除く)を含む鎮痛用医薬組成物であって、 前記COX-2阻害剤が、in vitro(IC50測定で求められる)あるいはin vivo(ED50測定で求められる)において、COX-1よりCOX-2に対する特異性が少なくとも9倍は強い活性を示し、かつ、セレコキシブ(celecoxib)、DUP-697、フロスリド(flosulide)、メロキシカム(meloxicam)、MK-966、ニメスリド(nimesulide)、NS-398、それらの薬学的に許容しうる塩、およびそれらの混合物からなる群から選択され、 前記医薬組成物は、錠剤もしくはカプセル剤に製剤化した経口固形剤形であり、 前記経口固形剤形が、胃腸液と接触した場合に、前記オピオイド鎮痛剤とCOX-2阻害剤の双方を持続的に放出させる徐放性担体を含み、 前記徐放性担体が、アルキルセルロース;ヒドロキシアルキルセルロース;アクリルポリマー;脂肪酸;脂肪族アルコール;脂肪酸のグリセリルエステル;鉱油またはワックス;植物油またはワックス;ポリアルキレングリコール;シェラック;ゼインおよび上記のいずれかの混合物からなる群より選択され、 前記COX-2阻害剤が、前記オピオイド鎮痛剤と一緒に持続放出マトリックス中に組み込まれるか、あるいは持続放出コーティング中に組み込まれる、鎮痛用医薬組成物。 前記オピオイド鎮痛剤単独の投与量で得られる鎮痛効果の少なくとも5倍の鎮痛効果が達成される、請求項1に記載の鎮痛用医薬組成物。 前記オピオイド鎮痛剤の投与量が、前記COX-2阻害剤の不在下で投与される場合に治療効果を生ずる量より少ない量である、請求項1または2に記載の鎮痛用医薬組成物。 前記オピオイド鎮痛剤と前記COX-2阻害剤が舌下によって投与される、請求項1から3のいずれかに記載の鎮痛用医薬組成物。 錠剤である、請求項1から3のいずれかに記載の鎮痛用医薬組成物。 前記COX-2阻害剤がセレコキシブ、フロスリド、メロキシカム、MK-966、ニメスリド、NS-398、それらの薬学的に許容しうる塩、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から5のいずれかに記載の鎮痛用医薬組成物。 治療効果を生じさせるために十分な量の前記COX-2阻害剤と、COX-2阻害剤の不在下で投与される場合に鎮痛効果を生ずる投与量のヒドロコドンを含む、請求項1に記載の鎮痛用医薬組成物。 前記ヒドロコドンの投与量が15〜2000mgである、請求項7に記載の鎮痛用医薬組成物。 治療効果を生じさせるために十分な量の前記COX-2阻害剤と、COX-2阻害剤の不在下で投与される場合に鎮痛効果を生ずる用量のコデインを含む、請求項1に記載の鎮痛用医薬組成物。 前記コデインの投与量が30〜400mgである、請求項9に記載の鎮痛用医薬組成物。 前記オピオイド鎮痛剤が、モルヒネ、メタドン、メペリジン、レボルファノール、ヒドロモルホン、オキシコドン、ヒドロコドン、およびコデインからなる群から選択され、前記COX-2阻害剤が、セレコキシブ、フロスリド、メロキシカム、ニメスリド、およびMK966からなる群から選択される、請求項1に記載の鎮痛用医薬組成物。 前記経口固形剤形が、前記COX-2阻害剤と前記オピオイド鎮痛剤の粒子を含有する、請求項1に記載の鎮痛用医薬組成物。 前記粒子が、0.1〜2.5mmの粒径を有する、請求項12に記載の鎮痛用医薬組成物。 前記COX-2阻害剤に対する前記オピオイド鎮痛剤の比(オピオイド鎮痛剤:COX-2阻害剤)が、0.00001:1、0.0001:1、0.0002:1、0.001:1、0.004:1、0.01:1、0.001:4、0.001:20、0.001:50、0.005:1、0.001:5または1:100である、請求項11に記載の鎮痛用医薬組成物。