タイトル: | 特許公報(B2)_2−アルキルアルカン−1−オールを有する芳香族ポリカルボン酸のエステル |
出願番号: | 2000508641 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | C07C 69/76,C10M 105/36,C10M 129/72 |
ヘルマン,アルベルト,トーマス フォール,ヨルク JP 4280961 特許公報(B2) 20090327 2000508641 19980807 2−アルキルアルカン−1−オールを有する芳香族ポリカルボン酸のエステル サゾル ジャーマニー ゲーエムベーハー 501186162 佐々木 宗治 100061273 小林 久夫 100085198 安島 清 100098604 木村 三朗 100060737 ヘルマン,アルベルト,トーマス フォール,ヨルク DE 197 37 793.9 19970829 20090617 C07C 69/76 20060101AFI20090528BHJP C10M 105/36 20060101ALI20090528BHJP C10M 129/72 20060101ALI20090528BHJP JPC07C69/76 ZC10M105/36C10M129/72 C07C 69/76 特開平09−208980(JP,A) 特開平01−272695(JP,A) 特開平01−182396(JP,A) 6 DE1998002343 19980807 WO1999011599 19990311 2001514241 20010911 8 20050308 木村 敏康 【0001】本発明は、分岐脂肪族アルコールを有するベンゼンポリカルボン酸のエステルに関連し、それらの、作動液、潤滑剤または化粧品添加物としての使用に関するものである。【0002】エステルは古くから潤滑剤として知られている。例えば、大きな規模で、航空機エンジンの潤滑油およびグリースとして用いられている。主として、オキソ合成、水素添加またはアルドール縮合で得られるものなど、単純なモノカルボン酸とC8からC10のアルコール混合物との反応生成物が用いられている。ジカルボン酸および/またはグリコールとのエステル化で得られる複雑なエステルを単純なエステル油に添加して、粘性、剪断安定性、潤滑挙動を改善する。エステル油は金属石鹸またはシリコーンなどの潤滑用グリースにも使用されている。【0003】エステル化に一般的に使用されるアルコールは例えばオキソ合成で得られる。これらのアルコールは化学的に均一ではなく、異性体混合物の形で存在する。エステル油の特徴は、蒸気圧が低く、酸化安定性が高く、温度−粘度特性が良好であり、老化安定性が高いことである。特定の用途では、所望の作動媒質との混和性が良好でなければならない。作動媒質は、例えば純粋な炭化水素、フルオロクロロカーボンまたはフルオロカーボンとすることができる。エステルはまた、低温挙動(安定性、流動点)および熱安定性(引火点)に関して最適化することができる。用途に応じて必要とされるプラスチック、金属または塗料コーティングなどの接触する物質との適合性のために別な要件が必要とされる。エステル油は通常、良好な高圧能力および耐荷能力を有している。【0004】芳香族ポリカルボン酸のエステル油はそれ自体知られている。欧州特許出願第0157583−A2号は、直鎖および/または分岐の第一級アルコール、特にC8からC10のアルコールから合成したトリメリト酸エステルの使用について記述している。欧州特許出願第0157583−A2号によれば、分岐アルコールのみを使用すると、粘度が望ましくないほど高くなり酸化安定性が低くなる。【0005】本発明の目的は、優れた潤滑剤特性を持つにも関わらず、粘度、粘度−温度特性および高温安定性に関し、特に酸化安定性および加水分解安定性に関し、特に負荷耐性に関して、特別な要件に適合するエステル油が得られるようにすることである。【0006】本発明は、カルボキシル基を3個または4個有する芳香族ポリカルボン酸のエステルに関する。本発明のエステルおよびその混合物は下記の構造で表すことができる。【0007】【化3】【0008】上式中、nは3から4の整数を表し、Rは下記の構造を有するC12からC40の炭化水素部分を表し、【0009】【化4】【0010】ただし、R’は非分岐のC6からC37の炭化水素残基を表し、R”はC1からC20の炭化水素部分を表し、ここで、R、R’、R”は各nについて異なっていてもよい。【0011】本発明のエステルは、好ましくは、トリメリト酸、トリメシン酸および/またはピロメリト酸のエステルである。トリメリト酸は1,2,4−ベンゼンカルボン酸としても知られており、下記の構造を有する。【0012】【化5】【0013】トリメシン酸も同様に芳香族トリカルボン酸であり、1,3,5−トリカルボン酸としても知られている。【0014】【化6】【0015】ピロメリト酸は1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸としても知られており、下記の構造を有する。【化7】【0016】上記の酸は、任意選択により五酸化バナジウムまたはマンガン触媒などの触媒の存在下で、適切に置換されたポリアルキルベンゼンから酸化により得ることができる。トリメリト酸エステルおよびピロメリト酸エステルが特に好ましい。アルコール基は2−アルキル分岐を有している。対応のアルキルアルカン−1−オールはグルベ反応、例えば、オキソ合成により得られる。【0017】【化8】【0018】アルコール基のアルキル基(R)は、好ましくはC12からC36の炭化水素残基であり、特に好ましくはC12からC28の炭化水素残基であり、R’はC6からC26の炭化水素残基であり、特にC6からC22の炭化水素残基であり、R”はC1からC18の炭化水素残基であり、特にC3からC16の炭化水素残基である。いずれの炭化水素残基も好ましくは飽和残基であり、R”は好ましくは非分岐(直鎖)炭化水素である。【0019】これらのエステルは、互いに独立して、270℃を超える引火点(DIN ISO 2592)、マイナス40℃未満、好ましくはマイナス45℃未満の凝固点、100を超える粘度指数(DIN ISO 2909)を有しているのが好ましい。【0020】本発明のエステルおよびこのようなエステルを含む組成物は、潤滑剤または潤滑剤添加物、化粧品添加物、または動力伝達用作動液として使用する。工業用歯車、金属加工用の潤滑剤(例えば、圧延油)として、プラスチックまたは繊維を加工するためのトランスミッション液および/または冷却用潤滑剤(冷蔵庫用油)として使用する。【0021】本発明のエステルは、無水物または芳香族ポリカルボン酸から特に容易に得ることができるが、酸から直接合成することもできる。エステル化は通常、チタン酸アルキルエステルなどの触媒を添加して、脱水により実施する。【0022】本発明のエステルは、他のエステル、特に、例えばネオペンチルポリオールまたはシリコーンと組み合わせて潤滑剤として使用することができる。同様に、本発明のエステル油はそれ自体作動媒質として、または他の作動媒質と組み合わせて、例えば、作動液として使用することができる。【0023】本発明のエステル油は良好な特性を持つが、摩耗改善剤、粘度指数改善剤、抗酸化剤、高圧用添加剤、腐食防止剤、分散剤または金属不活化剤などの添加物を加えると好都合である。【0024】(実施例)下記の2−アルキルアルカン−1−オールを遊離体(エダクト)として使用した。【0025】【表1】Isofol(R)はRWE-DEA AG fur Mineraloel und Chemie (RWE-DEA Mineral Oil and Chemistry Compnay)の登録商標である。上記のアルコールはCondea Chemie GmbH (Condea Chemical Co.)の製品として市販されている。【0026】2−アルキルアルカン−1−オールトリメリト酸エステル10mol%過剰な対応のアルコールを用い、触媒としてチタン酸イソプロピルを0.15重量%加え、170℃の温度で、高収量で、無水トリメリト酸をエステル化した。単離後、無色無臭の液体が得られた。この生成物は下記のように特徴づけることができる。【0027】【表2】「T」の後の数字は出発物質として使用したIsofol(R)の番号を表し、アルコール基の炭素数を示している。Tはトリメリト酸エステルを表す。*はウベローデによるものであり、+は40℃での測定値である。【0028】2−アルキルアルカン−1−オールピロメリト酸エステル10mol%過剰な対応のアルコールを用い、触媒としてチタン酸イソプロピルを0.15重量%加え、170℃〜180℃の温度で、高収量で、無水ピロメリト酸をエステル化した。この生成物は下記のように特徴づけることができる。【0029】【表3】「P」の後の数字は出発物質として使用したIsofol(R)の番号を表し、アルコール基の炭素数を示している。Pはピロメリト酸エステルを表す。*はウベローデによるものであり、+は40℃での測定値である。 下記のエステルであり、上式中、nは3を表し、Rは下記の構造を有するC12からC28の炭化水素残基を表し、ただし、R’は非分岐のC6からC22の炭化水素残基を表し、R''はC3からC16の炭化水素残基を表し、さらに、R、R’、R''は各nについて異なっていてもよく、酸基がトリメリト酸であるエステル。 R’およびR''が飽和炭化水素残基である請求項1記載のエステル。 R''が非分岐の炭化水素残基である請求項1記載のエステル。 請求項1から3のいずれか一項に記載のエステルの他に、他の芳香族カルボン酸エステルを含まない組成物。 請求項1から3のいずれか一項に記載のエステルまたは請求項4に記載の組成物の、潤滑剤または潤滑剤添加物としての使用。 請求項1から3のいずれか一項に記載のエステルまたは請求項4に記載の組成物の、作動液としての使用。