タイトル: | 特許公報(B2)_化粧用微細樹脂粒子 |
出願番号: | 2000371571 |
年次: | 2005 |
IPC分類: | 7,A61K7/00,A61K7/035,A61K7/42,A61K7/48,C08K5/00,C08L101/00 |
中村 憲司 久山 貞迪 生駒 正人 西田 武志 JP 3610301 特許公報(B2) 20041022 2000371571 20001206 化粧用微細樹脂粒子 株式会社タイキ 591254958 根上工業株式会社 390028048 三中 菊枝 100077654 三中 英治 100082681 中村 憲司 久山 貞迪 生駒 正人 西田 武志 20050112 7 A61K7/00 A61K7/035 A61K7/42 A61K7/48 C08K5/00 C08L101/00 JP A61K7/00 J A61K7/035 A61K7/42 A61K7/48 C08K5/00 C08L101/00 7 A61K 7/00-7/50 A61K 9/00-9/72 特開平11−206448(JP,A) 特開平02−035964(JP,A) 特開平07−096166(JP,A) 特開平08−325117(JP,A) 特開平08−208454(JP,A) 特開平09−052847(JP,A) 特開昭62−012707(JP,A) 特開昭52−083921(JP,A) 2 2002173410 20020621 14 20020719 福井 悟 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、機能性薬剤を含有する樹脂粒子、特に化粧品または化粧用具に使用するのに適した樹脂粒子に関するものである。【0002】【従来の技術】従来、化粧用塗布具では、特公平7−95964号公報により、機能性薬剤を内包した粉粒体を用いる技術が知られている。【0003】一方、ゴムスポンジからなる化粧用塗布具においては、使用していくうちに塗布具に含まれている加硫促進剤などが銅イオンと反応して銅塩となって変色し黒ずんでしまう。そのため、高級な化粧用塗布具ではこの原因物質を除去するために酸化または酸処理を行うことが多い。しかし、特公平7−95964号公報の粉粒体をゴムラテックスに混入して発泡、成型したものに酸化または酸処理を施すと、粉粒体中の機能性薬剤が分解したり、酸化または酸処理に用いた処理剤を除去するために洗浄する際に機能性薬剤が脱落したりして、その所望の機能を失うことがあった。【0004】その改良技術として、特開平11−206448号公報において、機能性薬剤をポリアクリル酸エステル樹脂またはポリウレタン樹脂からなる中実の球形粒子に含有させて、耐洗濯性や耐薬剤性を向上する技術が提案されている。本発明の発明者が鋭意研究したところ、この機能性薬剤〔例えば、ZPT(抗菌剤)〕を含有する樹脂微粒子を用いた場合には、機能性薬剤の耐洗濯性、耐薬剤性は向上するが、洗濯処理や薬剤処理により一旦低下した機能効果が復元するまで1ケ月程度の長期間を要することが分かった。洗濯処理や薬剤処理により、機能効果が復元するまで1ケ月程度の長期間を要するのでは、その間、化粧用塗布具を製品として出荷できないと言う問題が生ずる。また、使用により化粧用塗布具が汚れると、使用者(消費者)は塗布具を揉み洗いするが、このような場合も塗布具表面の薬効が失われ、機能効果が復元するまでに長期間を要することが分かった。【0005】【発明が解決しようとする課題】更に、本発明の発明者が鋭意研究したところ、機能性薬剤が粉末である場合は機能性薬剤を単独で樹脂に添加したのでは、機能性薬剤が樹脂粒子からブリードアウトし難いという問題が生じ、また、機能性薬剤が液体である場合は機能性薬剤が樹脂粒子からブリードアウトし過ぎるという問題が生じることが分かった。本発明はこのような問題を解決し、樹脂粒子に含有された機能性薬剤を適量ブリードでき、しかも機能性薬剤の薬効を持続的に徐放できるような化粧用樹脂粒子を提供することを目的とする。すなわち、機能性薬剤単独ではブリードし難い場合にも順調にブリードさせることができ、或いは機能性薬剤がブリードし過ぎる場合はブリードを抑制できるような化粧用樹脂粒子を提供することを目的とする。【0006】【課題を解決するための手段】本発明によれば、ポリアクリル酸系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂またはシリコーン系樹脂からなる粒子であり、該樹脂粒子は、水中油滴重合が可能なモノマー、プレポリマーまたは樹脂液を、懸濁重合または懸濁架橋させて生成された中実の樹脂粒子であり、機能性薬剤を1〜50%、および該機能性薬剤が前記樹脂粒子からブリードし難い場合は順調にブリードアウトさせるための剤または該機能性薬剤が前記樹脂粒子からブリードし過ぎる場合はブリードアウトを抑制するための剤を1〜40%含有しており、該樹脂粒子が略球形で、5〜100μmの大きさであり、前記機能性薬剤が前記樹脂粒子からブリードし難い場合は順調にブリードアウトさせるための前記剤または該機能性薬剤が前記樹脂粒子からブリードし過ぎる場合はブリードアウトを抑制するための前記剤が、低分子ポリエチレン、パラフィン、トリグリセライド、シリカ粉末または天然岩石粉末であることを特徴とする化粧用微細樹脂粒子により前記目的を達成した。なお、本明細書中に用いられる%は質量%である。【0007】前記樹脂粒子における機能性薬剤は、抗菌防黴剤、サンスクリーン剤、酸化防止剤、老化防止剤、ホルモン剤、ビタミン剤、肌の保湿剤、抗ヒスタミン剤、平滑剤または昆虫の忌避剤であり、これらのうちの1種類を使用することもできるし、2種類以上を組み合わせて使用することもできる。前記樹脂粒子において、機能性薬剤が前記樹脂粒子からブリードし難い場合は順調にブリードアウトさせるための剤または該機能性薬剤が前記樹脂粒子からブリードし過ぎる場合はブリードアウトを抑制するための剤を、以下、本明細書中ではブリード調整剤と称する。ブリード調整剤は、低分子ポリエチレン、パラフィン、トリグリセライド、シリカ粉末または天然岩石粉末であり、これらのうちの1種類を使用することもできるし、2種類以上を組み合わせて使用することもできる。【0008】本発明における樹脂粒子は、水中油滴重合(以下、懸濁重合という。)または水中油滴架橋反応(以下、懸濁架橋という。)により製造することができる。すなわち、懸濁安定剤を含む水中に、機能性薬剤とブリード調整剤と、水中油滴重合が可能なモノマー、水中油滴架橋反応が可能なプレポリマー、または樹脂液とを添加、攪拌して懸濁液とし、そして懸濁重合または懸濁架橋によって、略球形の樹脂粒子を生成させる。本発明においては、懸濁安定剤の種類、その濃度、攪拌回転数などを調節することにより、粒子径が5〜100μmの略球状で、機能性薬剤とブリード調整剤とを含有する樹脂粒子とする。【0009】【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。本発明の化粧用微細樹脂粒子は、ポリアクリル酸系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂またはシリコーン系樹脂からなる粒子であり、この樹脂粒子が機能性薬剤および該機能性薬剤のブリード性を調整するブリード調整剤を含有している。この樹脂粒子は略球形で、5〜100μmの大きさの微細な粒子である。本発明の化粧用樹脂微粒子は、NBR、ポリウレタン、シリコーン等の発泡体からなる化粧用塗布具の製造時に発泡体原料に混入することができる。このようにすると機能性薬剤の薬効を有する化粧用塗布具が得られ、その塗布具における薬効は樹脂粒子から薬剤が徐々にブリードアウトされるので、持続性があり、洗濯に対しても耐久性がある。【0010】また、本発明の化粧用微細樹脂粒子は、あぶらとり紙、紙白粉、化粧用パック剤、またはクレンジング等の化粧料を含浸した化粧用ウェットティッシュなどに付着または混入して用いることができる。【0011】本発明に係る樹脂粒子の製造は次のように行う。まず、懸濁安定剤を含む水中に、機能性薬剤と、ブリード調整剤と、原料樹脂(以下、懸濁重合が可能なモノマー、懸濁架橋が可能なプレポリマー、または樹脂液を原料樹脂という。)とを添加、攪拌して、機能性薬剤とブリード調整剤とが混合分散した懸濁液とする。その際、懸濁安定剤の種類、その濃度、攪拌回転数などを調節することにより、目的の粒径の懸濁液とする。次いで、この懸濁液を加温して反応を開始させ、その後、懸濁重合または懸濁架橋により樹脂粒子を生成させる。その後、これを固液分離し、洗浄により粒子に付着している懸濁安定剤を取り除いて、乾燥させる。これにより、機能性薬剤とブリード調整剤とを内部に含有した所望粒径の略球状の本発明の樹脂粒子が得られる。上述のように、懸濁安定剤の量、種類等を調整することによって樹脂の粒径を所望の大きさに設定することが可能であるが、大きさを揃える別の方法として、懸濁液をあまり精密に調整せずに樹脂粒子を生成し、この樹脂粒子を乾燥させた後に大きさによって振るい分けしてもよい。【0012】本発明に係る上記樹脂粒子の製造を行うに際し、上記原料樹脂と機能性薬剤とブリード調整剤との混合物の100重量部を用いるとすると、水200〜800重量部に対して懸濁安定剤0.1〜20重量部を溶解または分散させ、その液中に上記100重量部の混合物を投入し、分散粒子が所定の粒度になるように攪拌速度を調整しながら攪拌し、この粒度調整を行った後に液温を30〜90℃に昇温し、1〜8時間反応させる。【0013】本発明の樹脂粒子の製造に用いるのに適した原料としては、ポリイソシアネートプレポリマー(ポリウレタン系樹脂の原料)、アクリル系モノマー(ポリアクリル酸系樹脂の原料)、スチレン系モノマー(ポリスチレン系樹脂の原料)、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、もしくはシリコーン樹脂がある。または、それらの複数の共重合体ないしは混合物がある。【0014】また、本発明において用いる機能性薬剤としては、例えば次のようなものである。抗菌防黴剤としては、ZPT(Zinc Pryithione)、TBZ(Zinc Tiabendazol)、パラアミノ安息香酸等である。保湿剤としては、スクワラン(Squalene:2,6,10,15,19,23,Hexamethyl 2,6,10,14,18,22,tetracosahexane) 等である。サンスクリーン剤としては、エスカロール507(4−dimethylaminobenzoicacid)、エスカロール506(Glyceryl p−aminobenzoate)、パラソル1789(4−t−butyl−4’−Methoxy−Dibenzoylmethane)、パラソルMCX(2−Ethylhexyl−3(4−Methoxyphenyl−propenoate)) 等である。酸化防止剤または老化防止剤としては、BHT(ブチルハイドロキシトルエン)、BHA(ブチルハイドロキシアニゾール)、MBI(メルカプトベンズイミダゾール)等である。ビタミン類としては、油に混合しやすいビタミン誘導体のアスコルビゲン、ビタミンA、ビタミンB2、ビタミンD1〜D4、ビタミンE、ビタミンK1〜K6、ビタミンL、ビタミンU等である。昆虫の忌避剤としては、デイート(Deet:N,N−Diethyl−3−methylbenzamide)等である。平滑剤としては、粘度が1〜200mm2/sのシリコーン油である。【0015】本発明のブリード調整剤としては、低分子ポリエチレン、パラフィン(46℃〜70℃の融点を持つパラフインワックスまたは流動性パラフイン)、トリグリセライド、シリカ粉末、天然岩石粉末である。これらのうちの1種類を使用することもできるし、2種類以上を組み合わせて使用することもできる。ブリード剤を用いることにより、洗濯処理や薬剤処理により短期間に機能性が復元する。本発明における機能性薬剤およびブリード調整剤の含有量は、使用する原料樹脂により異なるが、樹脂粒子が機能性薬剤を1〜50%およびこの機能性薬剤のブリード性を調整するブリード調整剤を1〜40%含有している。【0016】本発明の樹脂粒子は、前記原料樹脂のいずれかと機能性薬剤とブリード調整剤とを混合して混合物とし、原料樹脂を懸濁重合または懸濁架橋することによって得られる。混合物とするに際して、必要に応じて有機溶剤を混入して希釈してもよい。この希釈用有機溶剤により、投入する樹脂の粘度を調整することができる。ここで用いる希釈用有機溶剤は、樹脂を溶解し、且つ反応を阻害しないものであればよく、例えば、トルエン、キシレンなどの炭化水素系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤、あるいは、エチレングリコールジエチルエーテルなどのエーテル系溶剤等を挙げることができるが、これらに限るものではない。これらの有機溶剤は1種または2種以上を組合せて使用することができる。【0017】懸濁系の安定性は、懸濁安定剤の種類、量および使用する樹脂の種類によって決まり、一般に懸濁安定剤の量が多くなると安定性は増すが粒径が小さくなる傾向があり、且つ懸濁液の粘度が上がり、固液分離、洗浄が困難になる。懸濁安定剤の量が少なく、懸濁系の粘度が低いと、機能性薬剤は樹脂の中に入りにくくなるが、粒径の大きなものが得られる。そのため、懸濁安定剤の濃度としては、使用する懸濁安定剤によっても異なるが、水100重量部に対して0.1〜20重量部が好ましい。【0018】本発明の樹脂粒子の製造において使用する懸濁安定剤として特に代表的なものを例示すると、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、ゼラチン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩などの水溶性高分子やリン酸カルシウム、炭酸カルシウムなどの無機系懸濁剤が挙げられる。ただし、これらに限定されるものではない。これらの懸濁安定剤は、その1種または2種以上を組合せて使用することができる。【0019】また、上記懸濁安定剤と併用して懸濁助剤を使用することも可能である。この懸濁助剤としては、一般に知られている陽イオン系、陰イオン系、あるいはノニオン系界面活性剤が使用できる。その添加量としては、使用する懸濁助剤により異なるが、水100重量部に対して0.001〜10重量部が好ましい。【0020】反応終了後、懸濁液の粘度を下げて固液分離作業を容易にし、且つ樹脂粒子の洗浄をし易くするために、酵素など(懸濁安定剤を分解するセルロース分解酵素、ポリビニルアルコール分解酵素等)の試薬等で懸濁液を処理してもよい。【0021】また、懸濁重合または懸濁架橋の反応前に攪拌回転数を調整することによっても、得られる樹脂粒子の粒径を変えることができる。一般的に懸濁系の粘度が同じ場合、攪拌回転数を低くすると大きな粒径の樹脂粒子が得られ、攪拌回転数を高くすると小さな粒径の樹脂粒子が得られる。ただし、あまりに攪拌回転数を低くすると、機能性薬剤、ブリード調整剤が樹脂と分離して反応系の底に沈んでしまう可能性がある。【0022】次に、本発明の樹脂粒子の製造において用いられる原料樹脂についてその種類を詳しく説明する。本発明の樹脂粒子の製造において使用するアクリル系モノマー、より具体的にはラジカル重合可能なアクリル系不飽和モノマーとして特に代表的なものを例示する。アクリル酸、アクリル酸の誘導体、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、N−メチロールアクリルアミド、あるいはメタクリル酸、メタクリル酸の誘導体、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ペンチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリロニトリル、メタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等が挙げられる。ただし、これらに限定されるものではない。これらアクリル系不飽和モノマーは、1種または2種以上を組合せて使用することができる。【0023】本発明の樹脂粒子の製造において使用するスチレン系モノマー、より具体的にはラジカル重合可能なスチレン系不飽和モノマーとして特に代表的なものを例示する。スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、エチルスチレン、ジメチルスチレン、ブチルスチレン等のアルキルスチレン、p−クロルスチレン等が挙げられる。ただしこれらに限定されるものではない。これらスチレン系不飽和モノマーは、1種または2種以上を組合せて使用することができる。【0024】本発明において、ラジカル重合可能なアクリル系不飽和モノマーまたはスチレン系不飽和モノマーとの架橋剤として使用することのできる多官能性不飽和モノマーとして特に代表的なものを例示すると、ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、グリコールとメタクリル酸あるいはアクリル酸との反応生成物、例えば、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、等が挙げられる。ただしこれらに限定されるものではない。【0025】これら多官能性不飽和モノマー(架橋剤)は、1種または2種以上を組合せて使用することができる。また、これら多官能性不飽和モノマー(架橋剤)の使用割合は、ラジカル重合可能なアクリル系不飽和モノマーまたはスチレン系不飽和モノマー100重量部に対して0.1〜40重量部が好ましい。【0026】前記ラジカル重合可能なアクリル系不飽和モノマーの重合またはアクリル系不飽和モノマーと多官能性不飽和モノマー(架橋剤)との共重合、およびスチレン系不飽和モノマーの重合またはスチレン系不飽和モノマーと多官能性不飽和モノマー(架橋剤)との共重合には、一般的に用いられるラジカル重合開始剤を使用することができる。【0027】本発明の樹脂粒子の製造において使用するラジカル重合開始剤としては、一般にラジカル重合に用いられる過酸化物系やアゾ化合物系の開始剤がある。より具体的には、過酸化物系の開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、ブチルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルイソブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等が挙げられる。【0028】アゾ化合物系開始剤としては、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)、2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2′アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等が挙げられる。ただしこれらに限定されるものではない。【0029】これらラジカル重合開始剤は、1種または2種以上を組合せて使用することができる。また、これらラジカル重合開始剤の使用割合は、ラジカル重合可能な不飽和モノマー100重量部に対して0.1〜10重量部が好ましい。【0030】本発明の樹脂粒子の製造において使用することができるポリイソシアネートプレポリマーとは、イソシアネート、またはジイソシアネートとポリオールとの反応物であって末端に反応性のイソシアネート基を有するもの、を指す。ポリオールは、内容的にはポリエステル系、ポリエーテル系、アクリルポリオール系のいずれでもよく、また、イソシアネートのタイプも、黄変タイプ、無黄変タイプ、難黄変タイプを問わない。例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、もしくは、p−フェニレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート等の各種の芳香族ジイソシアネート類などをはじめ、1,5−テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、4−シクロヘキシレンジイソシアネート、あるいはイソホロンジイソシアネート、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、またはダイマー酸ジイソシアネートの如き、各種の脂肪族ジイソシアネート類、ないしは脂環式ジイソシアネート類でもよい。2官能末端イソシアネートウレタンプレポリマーを使用した場合は、熱可塑性ウレタン粒子が得られ、2官能以上の末端イソシアネートウレタンプレポリマーを使用すると3次元架橋したウレタン粒子が得られる。これらイソシアネート類は、1種または2種以上を組合せて使用することができる。【0031】本発明で使用できるポリオールとして特に代表的なものを例示すると、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、あるいは水添ビスフェノールAなどのような、種々のジオール化合物類、またはポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンテトラメチレングリコール、もしくはポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン・ブロック共重合体の如き、各種のポリエーテルグリコール類を挙げることができる。水酸基を3官能以上有するポリオールとして特に代表的なものを例示すると、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ソルビトールまたはトリスヒドロキシエチルイソシアヌレート等が挙げられる。ただし、これらに限定されるものではない。【0032】また、上掲されたような各種の多価アルコール類と、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフランエチルグリシジルエーテル、プロピルグリシジルエーテル、ブチルグリジルエーテル、またはアリルグリシジルエーテルなどとの開環重合反応によって得られる形の、いわゆる変性エーテルポリオール類、あるいは、上掲されたような各種の多価アルコールの少なくとも1種と、ε−カプロラクトン、γ−バレロラクトン、もしくは3−メチル−γ−バレロラクトンの如き、各種のラクトン類との重縮合反応によって得られる形の、いわゆるラクトン変性ポリエステルポリオール類が挙げられる。【0033】これらポリオール類は、1種または2種以上を組合せて使用することができる。【0034】本発明の樹脂粒子の製造において使用することのできる、イソシアネートと水酸基との反応に用いられる触媒として、特に代表的なものを例示する。ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジ(2−エチルヘキソエート)、テトラ−n−ブチル錫、2−エチルヘキソエート鉛、オクテン酸亜鉛、チタン酸2−エチルヘキシル、等が挙げられる。ただし、これらに限定されるものではない。【0035】本発明の樹脂粒子の製造において用い得るエポキシ樹脂とは、一般的なエポキシ樹脂を指し、具体的にはビスフェノールA、ビスフェノールF、フェノールノボラック等のフェノール類のグリシジルエーテルや水に溶けにくいアルコール類のグリシジルエーテル、フタル酸等のグリシジルエーテルなどから重合されるホモポリマーやコポリマー、またはそれらの混合物であるが、これらに限定されない。【0036】好ましくは、これらの樹脂と一般的な硬化剤と組み合わせて架橋したエポキシ樹脂が用いられる。一般的な硬化剤とは、ジエチレントリアミンやトリエチレンテトラミン等の脂肪族ポリアミン類、ジアミノジフェニルメタン等の芳香族ポリアミン類、ポリアミドアミン類、酸無水物等があるが、これらに限定されるものではない。エポキシ樹脂と硬化剤の反応の触媒としては、前記に掲げたイソシアネートと水酸基の反応に用いられる触媒を使用すればよい。【0037】本発明の樹脂粒子の製造において用い得るシリコーン樹脂とは、ジクロロシラン類の加水分解、縮合によって得られるシリコーンレジンや、一般的に液状シリコーンゴムといわれるものや生ゴム(またはミラブル型シリコーンゴム)といわれるもの、またはそれらの変性物として硬化剤で架橋したシリコーンポリマーである。【0038】【実施例】以下に本発明の樹脂粒子について実施例に基いて製造方法を説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。【0039】〔実施例1〕懸濁安定剤溶液として、クラレ(株)製のポバール220の2.0%水溶液を用い、樹脂粒子組成として、メタクリル酸メチル/エチレングリコールジメタクリレート/ZPT/PA/シリカ2=54/6/25/10/5重量部からなるモノマー混合物を用いた。ここで使用したZPTは、Zinc Pryithione で、抗菌剤である。PAとは融点が52℃の日石三菱石油(株)製のソフトパラフイン1号であり、これにZPTを溶解させる。シリカ2とは鈴木油脂工業(株)製の商品名がE−2C球状多孔質となった特殊なシリカであり、粒子径の範囲が0.5から3.0μm、比表面積が350から500m2/gの特性を持ったものであり、ZPTを含んだソフトパラフイン(PA)をこのシリカ2に含浸させることにより、ブリード調整剤の役目をする。重合開始剤としてABN−Vを使った。ABN−Vは日本ヒドラジン(株)製のアゾ化合物系開始剤である。【0040】以下に上記モノマー混合物による合成手法を示す。攪拌機を備えたガラス製2Lの四口丸底フラスコに上記懸濁安定剤溶液600gを仕込み、30℃で、ステンレス製の攪拌翼により250rpm で攪拌しつつ、上記モノマー混合物300gとABN−V0.6gを投入し、懸濁液を作成した。それを30℃で10分間攪拌した後、攪拌継続下に反応系内を55℃まで昇温させ、2時間一定に保って反応させた(反応はN2 ガス雰囲気中で行った)。その後、次亜塩素酸ナトリウム5gを加え、0.5時間攪拌し、ポバール220を分解して低粘度化した後、室温(約25℃)まで冷却した。次いで、反応物を固液分離し、水で充分に洗浄した後、乾燥機を用いて70℃で12時間乾燥し、平均粒子径30μmの抗菌防黴剤含有アクリル樹脂粒子を得た。【0041】〔実施例2〕懸濁安定剤溶液として、BASF社製のPVPK−90の2.5%水溶液を用い、樹脂粒子組成として、スチレン/ZPT/流動パラフィン=65/25/10重量部からなるモノマー混合物を用いた。流動パラフィンはZPTの溶剤であり、ブリード調整剤である。以下に上記モノマー混合物による合成手法を示す。攪拌機を備えたガラス製2Lの四口丸底フラスコに上記懸濁安定剤溶液600gを仕込み、30℃で、ステンレス製の攪拌翼により200rpm で攪拌しつつ、上記モノマー混合物300gとナイパーBW9gとを投入し、懸濁液を作成した。なお、ここで使用したナイパーBWは日本油脂(株)製の過酸化物系重合開始剤である。前記懸濁液を30℃で10分間攪拌した後、攪拌継続下に反応系内を80℃まで昇温させ、6時間一定に保って反応させた後、室温(約25℃)まで冷却した。なお、反応はN2ガス雰囲気中で行った。次いで、反応物を固液分離し、水で充分に洗浄した後、乾燥機を用いて70℃で12時間乾燥し、平均粒子径25μmの抗菌剤含有ポリスチレン樹脂粒子を得た。【0042】〔実施例3〕懸濁安定剤溶液として、実施例1に使用したポバール220の2.0%水溶液を使用した。樹脂粒子組成として、ポリイソシアネートプレポリマー/MCX/シリカ粉末/トルエン=60/20/10/10重量部からなるモノマー混合物を用いた。MCXとは商品名がパラソル−MCXでGivaudan−Roure SA(スイス)製の液状のサンスクリーン剤である。シリカ粉末はサンスクリーン剤に対するブリード調整剤である。以下に上記モノマー混合物による合成手法を示す。攪拌機を備えたガラス製2Lの四口丸底フラスコに上記懸濁安定剤溶液600gを仕込み、30℃で、ステンレス製の攪拌翼により250rpm で攪拌しつつ、上記モノマー混合物300gを投入し、懸濁液を作成した。それを30℃で10分間攪拌した後、攪拌継続下に反応系内を60℃まで昇温させ、2時間一定に保って反応させた。その後、次亜塩素酸ナトリウム5gを加え、0.5時間攪拌し、ポバール220を分解して低粘度化した後、100℃でトルエン分留する。その後、室温(約25℃)まで冷却した。次いで、反応物を固液分離し、水で充分に洗浄した後、乾燥機を用いて60℃で12時間乾燥し、平均粒子径40μmのサンスクリーン剤含有ウレタン樹脂粒子を得た。【0043】〔実施例4〕懸濁安定剤溶液として、松本油脂製薬(株)製のマーポローズ90MP−4000の1.0%水溶液を用い、樹脂粒子組成として、デスモジュールN3400とプラクセル312との反応によって得られたイソシアネートプレポリマー/W320/トルマリン/トルエン=50/20/5/20重量部からなるプレポリマー混合物を用いた。ここで、デスモジュールN3400は、住友バイエルウレタン(株)製のイソシアネート、プラクセル312は、ダイセル化学(株)製のポリオールである。また、W320は川口化学(株)製の粉末状の老化防止剤アンテージであり、トルエンに溶解してから、トルマリンに吸着含浸させる。BT−11は触媒で、アデカ(株)製のジブチル錫ジラウレートである。トルマリンは電気石といわれている鉱石(天然岩石の一種)であり、その粉末が老化防止剤に対してブリード調整剤の役目を果たす。【0044】以下に上記プレポリマー混合物による合成手法を示す。攪拌機を備えたガラス製2Lの四口丸底フラスコに上記懸濁安定剤溶液600gを仕込み、30℃で、ステンレス製の攪拌翼により250rpm で攪拌しつつ、上記プレポリマー混合物350gを投入し、懸濁液を作成した。それを30℃で60分間攪拌した後、攪拌継続下に反応系内を60℃まで昇温させ、2時間一定に保った。さらに、反応液を100℃に昇温させ、共沸によってトルエンを除いた後、室温(約25℃)まで冷却した。次いで、反応物を固液分離し、水で充分に洗浄した後、乾燥機を用いて70℃で12時間乾燥し、平均粒子径60μmの老化防止剤含有ポリウレタン樹脂粒子を得た。【0045】〔実施例5〕懸濁安定剤溶液として、信越化学(株)製のメトローズ90SH−100の3.0%水溶液を用い、樹脂粒子組成として、トルエン/MEK/バイロン−200/コロネートHX/ZPT/流動パラフィン=48/12/40/10/15/15重量部からなるプレポリマー混合物を用いた。プレポリマー混合物の10ppm を添加した。ここで、バイロン−200は、東洋紡績(株)製のポリエステル、コロネートHXは、日本ポリウレタン(株)製のイソシアネート、MEKとはメチルエチルケトンのことである。【0046】以下に上記プレポリマー混合物による合成手法を示す。攪拌機を備えたガラス製2Lの四口丸底フラスコに上記懸濁安定剤溶液600gを仕込み、30℃で、ステンレス製の攪拌翼により250rpm で攪拌しつつ、上記の樹脂混合物400gを投入し、懸濁液を作成した。これを30℃で60分間攪拌した後、攪拌継続下に反応系内を60℃まで昇温させ、2時間一定に保って反応させた。さらに、反応液を100℃に昇温し、共沸によってトルエン、MEKを除いた後、室温(約25℃)まで冷却した。次いで、反応物を固液分離し、水で充分に洗浄した後、乾燥機を用いて70℃で12時間乾燥し、平均粒子径80μmの抗菌剤含有ポリエステル樹脂粒子を得た。【0047】〔実施例6〕懸濁安定剤溶液として、信越化学(株)製のメトローズ90SH−100の3.0%水溶液を用い、樹脂粒子組成として、ビスフェノールA型液状エポキシ/脂肪族ポリアミン硬化剤/ZPT/トリグリセライド/トルエン/MIBK=45/10/25/10/5/5重量部からなる混合物を用いた。ここで使用したビスフェノールA型液状エポキシと脂肪族ポリアミン硬化剤とは、住友化学(株)製のスミーエポキシELA115とスミキュア−AFとであり、MIBKはメチルイソブチルケトンのことである。トリグリセライドは液状物で、ZPTの溶剤であり、ZPTに対するブリード調整剤である。【0048】以下に上記樹脂混合物による合成手法を示す。攪拌機を備えたガラス製2Lの四口丸底フラスコに上記懸濁安定剤溶液600gを仕込み、30℃で、ステンレス製の攪拌翼により250rpm で攪拌しつつ、上記の樹脂混合物300gを投入し、懸濁液を作成した。これを30℃で10分間攪拌した後、攪拌継続下に反応系内を60℃まで昇温させ、6時間一定に保って反応させた。さらに、反応液を100℃に昇温し、共沸によってトルエン、MIBKを除いた後、室温(約25℃)まで冷却した。次いで、反応物を固液分離し、水で充分に洗浄した後、乾燥機を用いて70℃で12時間乾燥し、平均粒子径80μmの抗菌剤含有エポキシ樹脂粒子を得た。【0049】〔実施例7〕懸濁安定剤溶液として、実施例1に使用したポバール220の2.0%水溶液を用い、樹脂粒子組成として、液状シリコーン樹脂/硬化剤/ZPT/低分子ポリエチレン/トルエン=50/5/25/10/10重量部からなる樹脂混合物を用いた。ここで使用した液状シリコーン樹脂は、東芝シリコーン(株)のTSE3032A、硬化剤は、東芝シリコーン(株)のTSE3032Bである。低分子ポリエチレンにZPTを溶解混和させると、ZPTが樹脂粒子において移動し易くなるので、低分子ポリエチレンがブリード調整剤の役目を行う。【0050】以下に上記樹脂混合物による合成手法を示す。攪拌機を備えたガラス製2Lの四口丸底フラスコに上記懸濁安定剤溶液600gを仕込み、30℃で、ステンレス製の攪拌翼により250rpm で攪拌しつつ、上記の樹脂混合物300gを投入し、懸濁液を作成した。それを30℃で10分間攪拌した後、攪拌継続下に反応系内を60℃まで昇温させ、5時間一定に保って反応させた。その後、次亜塩素酸ナトリウム5gを加え、0.5時間攪拌し、ポバール220を分解して低粘度化した後、室温(約25℃)まで冷却した。次いで、反応物を固液分離し、水で充分に洗浄した後、乾燥機を用いて70℃で12時間乾燥して、平均粒子径90μmの抗菌剤含有シリコーン樹脂粒子を得た。【0051】〔実施例8〕実施例2で得られた平均粒子径25μmの抗菌剤含有ポリスチレン樹脂粒子を、次に示すダンロップ法によるNBRラテックス配合処方中に添加して発泡スポンジを製造した。ダンロップ法の配合:Nipol #531B[NBRラテックス 日本ゼオン(株)製] 70部Nipol #531 [NBRラテックス 日本ゼオン(株)製] 30部トリメンベース(50%乳液)(凝固助剤) 0.65部活性硫黄(40%乳液) 1.65部促進剤MZ(50%乳液) 1.65部酸化防止剤(50%乳液) 0.65部老防W300/400(50%乳液) 0.65部実施例2のスチレン樹脂粒子 2.1部このスポンジを防汚処理として過酸化水素の0.03%水溶液中に含浸して40℃、20分間処理し、水洗、乾燥した。このスポンジは処理直後でも大腸菌に対するハロー試験で1.5mm以上の幅のハローが得られたが、1週間後にはハロー幅は3.5mm迄増加し、抗菌作用効果が復元した。なお、ここで言うハロー試験は、試験片として織物の代わりに前記スポンジを使用して、JISのL1902−1990 の繊維製品の抗菌性試験方法に準じて行った。【0052】〔比較例1〕実施例8の配合おいて使用した実施例2のスチレン樹脂粒子2.1部の代わりに、抗菌剤ZPT0.6部を使用し、それ以外は実施例8と同様にして、発泡スポンジを製造した。このスポンジを過酸化水素の0.03%水溶液中に含浸して40℃、20分間処理し、水洗、乾燥した。このスポンジは大腸菌に対するハロー試験の結果、処理直後および1週間後ともにはハローが出なかった。【0053】〔比較例2〕樹脂組成としてスチレン/ZPT=75/25重量部からなるモノマー混合物を用いた以外は実施例2と同様にして平均粒子径25μmの抗菌剤含有ポリスチレン樹脂粒子を得た。この樹脂粒子2.1部を実施例8の配合において使用した実施例2のスチレン樹脂粒子2.1部の代わりに使用し、それ以外は実施例8と同様にして、発泡スポンジを製造した。このスポンジを過酸化水素の0.03%水溶液中に含浸して40℃、20分間処理し、水洗、乾燥した。このスポンジは処理直後でも大腸菌に対するハロー試験で1.5mm幅のハローが得られたが、1週間後もハロー幅は同程度であり、6週間後になってもハロー幅は2.3mm迄しか増加しなかった。【0054】〔実施例9〕実施例3により得られた平均粒子径40μmのサンスクリーン剤含有ウレタン樹脂粒子を使用して下記処方の塗布液を製造した。カオリン 20.0部酸化亜鉛 5.9部群青 0.59部ベントナイト 0.20部カルボキシメチルセルロースナトリウム 0.24部メタリン酸ナトリウム 0.20部デヒドロ酢酸ナトリウム 0.12部モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン 0.10部実施例3のサンスクリーン剤含有ウレタン樹脂粒子 3.5部イオン交換水 69.15部計 100.0部20g/m2の薄葉紙に上記塗布液を25g/m2で塗布し、その後乾燥して、45mm×55mmの大きさにカットし、これを60枚にまとめてブックレット型にセットして、紙白粉とした。この紙白粉を肌に塗布すると、本発明の樹脂粒子によりすべすべ感が得られると共に、サンスクリーン機能を有するものであった。【0055】〔実施例10〕実施例3で得られた平均粒子径40μmのサンスクリーン剤含有ウレタン樹脂粒子を用いて下記処方のパック剤塗布液とした。[成分A]ポリアクリル酸ナトリウム 10.0部水酸化アルミニウム 0.2部モノイソステアリン酸ソルビタン 1.0部ジプロピレンクリコール 1.0部グリセリン 20.0部防腐剤 適量実施例3のサンスクリーン剤含有ウレタン樹脂粒子 3.0部[成分B]ソルビット液(70%) 7.5部酒石酸 0.6部アロエエキス 0.05部精製水 適量合計 100部ここで成分Aおよび成分Bを混合して一定の時間後に塗布するように設定された塗布機によってポリエステル不織布に塗布しポリエステルフイルムに貼り合わせる。次いで一定時間放置して塗布液が凝固してパック層が生成したら、不織布の層とパック層と勾玉状に打抜いて目元パック用シートとした。このシートをパックとして15分間程度貼着して用いた場合は適度に皮膚にサンスクリーン剤を供給可能であり、わずかに皮膚に残留する微細樹脂粒子が極めてすべすべ感を与えることができた。【0056】【発明の効果】本発明の化粧用樹脂粒子によれば、樹脂粒子に含有された機能性薬剤を適量ブリードでき、しかも機能性薬剤の薬効を持続的に徐放できる。すなわち、機能性薬剤が粉末である場合などは機能性薬剤を単独で樹脂に添加したのでは、機能性薬剤が樹脂粒子からブリードアウトし難いが、本発明によれば、機能性薬剤と一緒にブリード調整剤を使用することにより、例えば、粉末状機能性薬剤を溶剤の役目をするブリード調整剤と一緒に添加することにより、順調にブリードアウトさせることができる。或いは、機能性薬剤が液体である場合などはそのまま機能性薬剤を樹脂に添加したのでは、機能性薬剤が樹脂粒子からブリードアウトし過ぎるが、本発明によれば、例えば粉末状のブリード調整剤に液状機能性薬剤を含浸させることにより、ブリードアウトを抑制し、適量のブリードアウトとすることができる。また、本発明によれば、粉末状機能性薬剤を溶剤に溶解してから、粉末状のブリード調整剤に機能性薬剤含有の溶剤を含浸させることにより、適量のブリードアウトとすることができる。このように、機能性薬剤のブリードアウトの量を適量とできるので、機能性薬剤の薬効を持続的に徐放できる。【0057】また、本発明によれば、樹脂粒子中に機能性薬剤を含有させることにより、粒子内部に存在する機能性薬剤を酸またはアルカリ処理から保護して分解しないようにすると共に、洗濯処理や薬剤処理した後に、一時的に消失していた機能性薬剤の薬効を短期間に回復できる。すなわち、機能性薬剤を含有する樹脂粒子は酸化または還元されたり或いは洗濯されたりした場合には樹脂粒子の表面に存在する機能性薬剤は分解されたり、洗い落とされたりするため、その機能(薬効)を減少したり、失ってしまうが、樹脂粒子の内部に封入された機能性薬剤は失われ難い。しかし、そのままでは、機能性薬剤が自然にブリードアウトして再び樹脂粒子の表面に現れて、機能効果が復元するまで1ケ月程度の長期間を要してしまう。このため、本発明によれば、樹脂粒子中にブリード調整剤を含有させることにより、樹脂粒子内部の機能性薬剤を素早く樹脂粒子の表面までブリードアウトさせて、洗濯処理や薬剤処理により一時的に消失していた機能性薬剤の薬効を短期間に回復させることができる。【0058】本発明の樹脂粒子は耐水性や分散性に優れており、5〜100μmの微細なる球体粒子であるので、化粧料や化粧用具に添加し易い。しかも、化粧料に添加した場合は、微細な球体粒子が含まれるため、皮膚に塗布する際に極めてすべり易さを感じさせると共に、塗布後にもすべすべ感を与えることできる。また、本発明の樹脂粒子は、懸濁重合または懸濁架橋によって製造され、液状および不定形状の機能性薬剤を、樹脂により略球形に被包するようにしているので、機能性薬剤を直接に化粧用油剤や樹脂材料に添加した場合と異なって、異物質の混入による化粧用油剤や樹脂材料の変色、変質、低下を防止することができる。【0059】本発明の樹脂粒子はあぶらとり紙、化粧用パック剤、ウェットティッシュ等の化粧用具に用いることができる。特に、液状または乳液状の化粧料を不織布等に含浸させた化粧用ウェットティッシュに本発明の樹脂粒子を用いると、機能性薬剤の種類を選定することにより幅広い用途が得られる。例えば、昆虫の忌避剤を含有した樹脂粒子をウェットティッシュに付着させ、このウェットティッシュで皮膚を拭うことにより、従来のウェットティッシュのような皮膚の汚れ落としだけでなく、樹脂粒子が肌に付着するので蚊などの虫避け効果を同時に得ることができる。また、抗菌防黴剤、サンスクリーン剤、酸化防止剤、老化防止剤等を含有した本発明の微細樹脂粒子を化粧用具(例えばスポンジパフ)に含ませることにより、化粧用具の防汚性や抗菌、防黴性、耐光変色防止、耐NOx ガス変色防止、耐SOx ガス変色防止等の効果を向上させることができる。本発明によれば、化粧用具を防汚処理や滅菌処理をするために酸化、還元したりして機能性薬剤の効果が一旦は薄れても、樹脂球状粒子の内部に残留している薬剤がブリードして表面にあらわれて、再び薬剤の機能を比較的短時間で回復させることができる。そのため、従来のように防汚処理や滅菌処理した後、長期間にわたり製品を出荷できないと言う問題がなくなる。本発明の樹脂粒子は、懸濁重合または懸濁架橋という簡単な手段によって、安定して再現性よく製造することができる。また、懸濁重合または懸濁架橋により製造できるので、樹脂粒子の粒度の揃った樹脂粒子を簡単に得られる。 ポリアクリル酸系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂またはシリコーン系樹脂からなる粒子であり、該樹脂粒子は、水中油滴重合が可能なモノマー、プレポリマーまたは樹脂液を、懸濁重合または懸濁架橋させて生成された中実の樹脂粒子であり、機能性薬剤を1〜50%、および該機能性薬剤が前記樹脂粒子からブリードし難い場合は順調にブリードアウトさせるための剤または該機能性薬剤が前記樹脂粒子からブリードし過ぎる場合はブリードアウトを抑制するための剤を1〜40%含有しており、該樹脂粒子が略球形で、5〜100μmの大きさであり、前記機能性薬剤が前記樹脂粒子からブリードし難い場合は順調にブリードアウトさせるための前記剤または該機能性薬剤が前記樹脂粒子からブリードし過ぎる場合はブリードアウトを抑制するための前記剤が、低分子ポリエチレン、パラフィン、トリグリセライド、シリカ粉末または天然岩石粉末であることを特徴とする化粧用微細樹脂粒子。 前記機能性薬剤が、抗菌防黴剤、サンスクリーン剤、酸化防止剤、老化防止剤、ホルモン剤、ビタミン剤、保湿剤、抗ヒスタミン剤、平滑剤または昆虫の忌避剤であることを特徴とする請求項1記載の化粧用微細樹脂粒子。