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タイトル:特許公報(B2)_アンモニア中の水分濃度の測定方法、測定装置、水分が低減されたアンモニアの製造方法およびその用途
出願番号:2000346044
年次:2006
IPC分類:G01N 21/35,H01L 21/205


特許情報キャッシュ

伊藤 泰蔵 林田 英樹 小菅 靖浩 石垣 文靖 JP 3818051 特許公報(B2) 20060623 2000346044 20001114 アンモニア中の水分濃度の測定方法、測定装置、水分が低減されたアンモニアの製造方法およびその用途 昭和電工株式会社 000002004 柿沼 伸司 100118740 伊藤 泰蔵 林田 英樹 小菅 靖浩 石垣 文靖 JP 1999351585 19991210 20060906 G01N 21/35 20060101AFI20060817BHJP H01L 21/205 20060101ALI20060817BHJP JPG01N21/35 AH01L21/205 G01N 21/00-21/61 G01N 1/00- 1/44 G01J 3/00- 3/52 H01L 21/205;21/31;21/365;21/469 特許ファイル(PATOLIS) 特開平10−281988(JP,A) 特開昭61−095229(JP,A) 特開平05−157689(JP,A) 国際公開第96/039265(WO,A1) 特表平11−507004(JP,A) 特表平11−509980(JP,A) 特開平09−142833(JP,A) 特開平08−008185(JP,A) 特開平11−302013(JP,A) 8 2001228085 20010824 11 20030709 横井 亜矢子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明はアンモニア中の水分濃度、特に半導体製造用、例えばGaN系化合物半導体を製造するための原料に用いられる高純度アンモニア中の微量水分濃度を赤外分光法を用いて測定する方法、赤外測定装置、水分含有量が低減されたアンモニアの製造方法、水分含有量が低減されたアンモニアおよびそのアンモニアを用いて製造された半導体窒化膜ならびにIII-V族化合物半導体に関する。【0002】【従来の技術】半導体製造用原料ガスの水分はデバイスの特性に大きく影響することが知られており、特に青色発光素子のひとつであるGaN結晶の製造には低水分濃度のアンモニアが必要である。従来からアンモニア中の水分濃度を測定する方法は種々提案されており、特にアンモニア中の低濃度水分を測定する方法として(1)ガスクロマトグラフ法(GC法)、(2)熱分解露点法、(3)レーザー分光法、(4)赤外分光法が知られている。【0003】特開平9−142833号公報には、アンモニア中の水分を反応剤であるカルシウムカーバイドと反応させ、発生するアセチレンをGC法で検出する方法が記載されている。この方法では、水分以外に、反応するカルシウムカーバイド中の有機不純物も検出されるため、高純度で安定化されたカルシウムカーバイドが必要であるが、現状では入手困難という問題がある。またGC法では、サンプル供給のための切り替えコックやアンモニアを検出器に入る前に除去するためのバックフラッシュ用コックがあり、配管内面の水分吸着が大きくなり、数ppm以下の分析は精度が低下して実用的ではない。【0004】SEMIスタンダード(SEMI C3、12−94)あるいは特開平8−201370号公報には、熱分解露点法が記載されている。熱分解露点法は、アンモニアを、1000℃近傍の高温下でNi触媒あるいは貴金属触媒により窒素と水素に分解させ、露点計により水分を測定する方法である。この方法ではガス中の酸素が水素と反応して水分を生成するため、水分量を過大に計測するおそれがある。酸素は原料ガス中に含まれているばかりでなく、高温にさらされている触媒、配管材の酸化物の水素還元によっても水分が生成する。このため1ppm以下の水分を測定する場合には精度の信頼性が低下する。また可燃性であるアンモニアを1000℃以上の高温にすることは危険であり、大がかりな安全設備が必要となるため簡便な方法とはいえない。【0005】第五回半導体製造国際シンポジューム(1996、UCS/IEEE/SEMI共催)の予稿集(321ページ)にはレーザー分光法が記載されている。レーザー分光法は、近赤外領域の水分吸収を計測するうえで、水分がアンモニアの吸収域の近傍に存在するため波長の高分解能が必要であるが、現状ではガス分子間の相互作用により分離できない。このため、水分が無視できるほど少ないアンモニアガスを参照ガスとして必要とするが、これまで参照ガスとして用いることができる水分が少ない高純度アンモニアを簡便に用意することができなかった。【0006】赤外分光法はアンモニアの吸収帯が広いため、特に100ppm以下の水分濃度を測定する場合には、弱いアンモニアの吸収でも水の吸収の近傍に存在する場合が多いため、アンモニアと水分の吸収との分離が難しいという問題があった。また赤外分光法では、前記レーザー分光法と同様、水分が無視できるほど少ないアンモニアガスを参照ガスとして必要とするが、これまで入手困難であった。以上のように、従来知られているアンモニア中の水分濃度を測定する方法では、特にアンモニア中の低濃度水分を測定する場合には種々問題があり、更なる改善が望まれていた。【0007】【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような背景の下になされたものであって、本発明が解決しようとする課題は、アンモニア中の水分濃度を測定する方法において、特にアンモニア中の低濃度水分を測定できる赤外分光法を用いた測定方法、赤外測定装置、水分含有量が低減されたアンモニアの製造方法、水分含有量が低減されたアンモニアおよびそのアンモニアを用いて製造された半導体窒化膜ならびにIII-V族化合物半導体を提供することにある。【0008】【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、アンモニア中の水分濃度を赤外分光法を用いて測定する方法において、先ず、水分濃度が10ppm以下である液化アンモニアの気相部の水分が極めて少なく、参照ガスとして用いることができることを見出した。さらに、アンモニアガスを一定の流量で多重反射長光路セルに導入し、アンモニアと水分の赤外吸収が重ならない波数で測定する方法と液化アンモニアを気化する気化器と流量調整器を備えた赤外測定装置を用いれば前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明は以下の(1)〜(23)に示されるアンモニア中の水分濃度を赤外分光法を用いて測定する方法、赤外測定装置、水分含有量が低減されたアンモニアの製造方法、水分含有量が低減されたアンモニアおよびそのアンモニアを用いて製造された半導体窒化膜ならびにIII-V族化合物半導体に関する。【0009】(1)アンモニア中の水分濃度を赤外分光法を用いて測定する方法において、測定波数として4000cm-1〜3500cm-1、3100cm-1〜2600cm-1または2400cm-1〜1900cm-1の範囲にある波数を用いることを特徴とするアンモニア中の水分濃度の測定方法。(2)前記測定波数が、3600、3609、3612、3619、3629、3634、3649、3656、3670、3675、3688、3691、3701、3709、3712、3719、3722、3727、3732、3736、3741、3744、3749、3752、3756、3759、3766、3770、3779、3785、3796、3801、3807、3816、3821、3826、3831、3835、3837、3840、3843、3854、3862、3865、3870、3874、3880、3885、3891、3894、3899、3902および3904cm-1(変動幅±1cm-1)からなる群より選ばれる1種以上である上記(1)に記載のアンモニア中の水分濃度の測定方法。(3)前記測定波数が、3801、3807、3816、3821、3837および3854cm-1(変動幅±1cm-1)からなる群より選ばれる1種以上である上記(1)または(2)に記載のアンモニア中の水分濃度の測定方法。(4)前記アンモニアが液化アンモニアを気化させたものである上記(1)〜(3)のいずれかに記載のアンモニア中の水分濃度の測定方法。(5)前記アンモニア中の水分濃度が10ppm以下である上記(1)〜(4)のいずれかに記載のアンモニア中の水分濃度の測定方法。【0010】(6)前記アンモニア中の水分濃度が1ppm以下である上記(5)に記載のアンモニア中の水分濃度の測定方法。(7)前記アンモニア中の水分濃度が0.1ppm以下である上記(5)または(6)に記載のアンモニア中の水分濃度の測定方法。(8)アンモニアガスを多重反射長光路セルに導入する上記(1)〜(7)のいずれかに記載のアンモニア中の水分濃度の測定方法。(9)アンモニアガスを前記多重反射長光路セルに0.1〜5L/minの流量で導入する上記(1)〜(8)のいずれかに記載のアンモニア中の水分濃度の測定方法。(10)赤外光路長を1〜40mになるように多重反射させる上記(1)〜(9)のいずれかに記載のアンモニア中の水分濃度の測定方法。【0011】(11)水分濃度が10ppm以下である液化アンモニアの気相部を参照ガスとして用いる上記(1)〜(10)のいずれかに記載のアンモニア中の水分濃度の測定方法。(12)赤外分光器、長光路ガスセル、流量調整器および気化器を備え、気化器で気化したアンモニアガスを流量調整器に送り、流量調整器からアンモニアガスを一定の流速で長光路ガスセルに導入し、赤外分光器により長光路ガスセル中のアンモニアの水分を測定する赤外測定装置。(13)前記長光路ガスセルの容量が0.1〜5Lである上記(12)に記載の赤外測定装置。(14)前記流量調整器により長光路ガスセルに導入するアンモニアガスの流量が、0.1〜5L/minである上記(12)または(13)に記載の赤外測定装置。(15)次の2つの工程を含むことを特徴とする水分含有量が低減されたアンモニアの製造方法。(1)粗アンモニアを蒸留する工程(2)上記(1)〜(11)のいずれかに記載の測定方法を用いてアンモニア中の水分濃度を測定する工程【0012】(16)次の2つの工程を含むことを特徴とする水分含有量が低減されたアンモニアの製造方法。(1)粗アンモニアを、金属、金属酸化物およびゼオライトからなる群から選ばれる少なくとも1種の精製剤と接触させて精製する工程(2)上記(1)〜(11)のいずれかに記載の測定方法を用いてアンモニア中の水分濃度を測定する工程(17)水分含有量が1ppm以下である上記(15)または(16)に記載のアンモニアの製造方法。(18)水分含有量が0.1ppm以下である上記(17)に記載のアンモニアの製造方法。(19)水分含有量が1ppm以下である水分含有量が低減されたアンモニア。(20)水分含有量が0.1ppm以下である上記(19)に記載の水分含有量が低減されたアンモニア。【0013】(21)上記(15)〜(18)のいずれかに記載の製造方法により得られる水分含有量が低減されたアンモニアを用いて製造された半導体窒化膜。(22)上記(15)〜(18)のいずれかに記載の製造方法により得られる水分含有量が低減されたアンモニアを用いて製造されたIII-V族化合物半導体。(23)III-V族化合物半導体がGaN、InxGa1-xN、BxGa1-xN、AlxGa1-xN、InxAlyGa1-x-yN、GaNpAs1-p、GaNpAsqP1-p-q、InxGa1-xNpAs1-p(ただし、x,y,p,qはそれぞれ0<x,y,p,q<1を満たす数)である上記(22)に記載のIII-V族化合物半導体。【0014】すなわち、本発明は、「水分濃度が10ppm以下である液化アンモニアの気相部を参照ガスとして用い、アンモニアを一定の流量で多重反射長光路セルに導入し、アンモニアと水分の赤外吸収が重ならない波数で水分の赤外吸収強度を測定してアンモニア中の水分濃度を測定する方法」、「温度制御可能な気化器と一定流量のガスをガスセルに導入する流量調整器を備え、ガスと液の両方のアンモニア中の水分を測定できる赤外測定装置」、「粗アンモニアを精製する工程と前記の測定方法を用いて水分濃度を測定する工程を含む水分含有量が低減されたアンモニアの製造方法」、「水分含有量が1ppm以下である水分含有量が低減されたアンモニア」及び「前記の水分含有量が低減されたアンモニアを用いて製造された半導体窒化膜およびIII-V族化合物半導体」である。【0015】【発明の実施の形態】前述したように、赤外分光法でアンモニア中の水分を測定する場合、水分が無視できるほど少ないアンモニアガスを参照ガスとして必要とする。そこで、本発明者らはこの目的を達成するため、液化アンモニアの気相と液相に分配される水分の気液分配係数を測定したところ、気相濃度/液相濃度=0.1〜0.01であり、極めて小さい値であることが判明した。これまで水分が10ppm以下の濃度領域での液化アンモニアの気液分配係数を報告しているものはなかったが、この結果から液相水分濃度が極めて低いアンモニアの気相部は、水分がほとんど無視できるほど少ないアンモニアガスであり、本発明の赤外分光法において参照ガスとして用いることができることが分かった。【0016】このとき水分濃度を求めるために使用する検量線は、前記の水分濃度の極めて低いアンモニアガスと水分濃度が0.5〜2ppmの窒素をそれぞれ50%ずつ混合し、4000cm-1〜3500cm-1、3100cm-1〜2600cm-1または2400cm-1〜1900cm-1の範囲から選ばれる測定波数での赤外吸収強度と水分濃度との相関を求め、検量線とした。ここで簡便的にアンモニアガスの水分濃度を求めるために、窒素100%ガスの水分濃度検量線から求めた値を補正換算してもよい。【0017】測定波数は、アンモニアの赤外吸収波数と水分の赤外吸収波数を詳細に調べたところ、4000cm-1〜3500cm-1、3100cm-1〜2600cm-1または2400cm-1〜1900cm-1の範囲にアンモニアの影響が小さい、赤外吸収が重ならない水分の赤外吸収波数があることが分かり、これらの範囲にある波数の1つ以上を用いて赤外吸収強度を測定する。特に波数が、3600、3609、3612、3619、3629、3634、3649、3656、3670、3675、3688、3691、3701、3709、3712、3719、3722、3727、3732、3736、3741、3744、3749、3752、3756、3759、3766、3770、3779、3785、3796、3801、3807、3816、3821、3826、3831、3835、3837、3840、3843、3854、3862、3865、3870、3874、3880、3885、3891、3894、3899、3902および3904cm-1(変動幅±1cm-1)からなる群より選ばれる1種以上であることがよく、好ましくは、3801、3807、3816、3821、3837および3854cm-1(変動幅±1cm-1)からなる群より選ばれる1種以上であることがよい。【0018】アンモニアガスは、多重反射長光路セルに導入して赤外吸収強度を測定する。本発明の赤外測定装置では、気化装置を有するため、液化アンモニアでも分析することができる。測定するアンモニアの水分濃度は、10ppm以下の微量水分の測定に好適に用いることができる。多重反射長光路セルにアンモニアガスを導入する際は、流量調整器を用いてアンモニアガスの流量を調整する。流量は一定で、0.1〜5L/minがよく、好ましくは0.5〜3L/minがよく、0.1L/min未満の流量では測定結果に再現性が得られず、5L/minより流量が多いと測定環境を汚染するので好ましくない。また、赤外光は感度を上げるために多重反射させるが、光路長としては、1m〜40mの範囲とすることがよく、好ましくは2m〜30mの範囲がよく、さらに好ましくは4m〜20mの範囲とすることにより、感度が飛躍的に向上し、好ましい感度が得られる。【0019】以下に図1に示す装置概略図を利用して、本発明のアンモニア中の水分濃度の測定方法および赤外測定装置について説明する。図1に示す装置は赤外分光装置であり、水分吸収強度を測定する赤外分光器1とアンモニアガスを導入する長光路ガスセル2、液化アンモニアを気化させる気化装置3、測定試料ボンベ9を接続する連結管4、参照ガスボンベ10を接続する連結管5、配管を清浄化させるための窒素を乾燥させる水分吸着筒6、赤外分光器を清浄化させるための窒素を乾燥させる水分吸着筒7、流量計8を備えている。【0020】アンモニア中の水分を測定するには連結管4に測定試料ボンベ9を、連結管5に参照ガスボンベ10を連結し、吸着筒6を通した乾燥窒素を連結管4、5に流し、流量計8で一定流量になるように、図3に示す流量調整器19を調整し、配管を30分以上乾燥させる。次に乾燥窒素を長光路ガスセル2に導入し、窒素中の水分が1ppm以下になるまでガスセル2内を乾燥させる。その後乾燥窒素を停止し、参照ガスボンベからアンモニアガスをガスセル2に導入する。このときの流量は窒素と同様に流量調整器19により一定流量に調整する。参照ガスを60分以上流し、ガスセル2内のガスを置換した後に赤外吸収スペクトルを測定し、その結果を赤外分光器1のバックグランドとする。【0021】次に参照ガスの流通を停止し、連結管4に接続した測定試料ボンベ9からアンモニアガスあるいは液化アンモニアを流す。アンモニアガスの場合には、ガスの流量は流量調整器19により一定流量に調節し、液化アンモニアの場合には、恒温槽17を40℃〜150℃に設定し、加熱された気化器18を流れる液化アンモニアが気化した後、ガスを一定流量に調節する。どちらの場合も参照ガスの測定時と同じ流量で、ガスセル中を60分以上流通させてガスセル2内のガスを置換した後に水分吸収強度を測定する。【0022】図3は、液化アンモニアの水分を測定する際に使用する気化装置3を示す。液化アンモニアを、恒温槽17を用いて40〜150℃に加熱したSUS製の気化器18(1/4”〜1/16”径、長さ0.5m〜5m)に導入し、加熱されてガス化した後は、流量調整器19で流量調整する。ガスの流量は0.1L/min〜5L/minがよい。【0023】図4は参照ガスをバックグランドにして、2種類の水分濃度(1.7ppm、0.3ppm)の液化アンモニアを気化装置3を用いて気化させ、10mの光路長のガスセルに2L/minの流速でアンモニアガスを導入して分析した結果である。この結果から、特に測定波数に3801±1cm-1、3807±1cm-1、3816±1cm-1、3821±1cm-1、3837±1cm-1または3854±1cm-1を用いるとよいことが分かる。【0024】次に、水分含有量が低減されたアンモニアの製造方法について説明する。本発明の水分含有量が低減されたアンモニアの製造方法は、粗アンモニアを精製する工程と、前記の測定方法を用いて水分濃度を測定する工程を含むことを特徴とし、本発明の水分含有量が低減されたアンモニアの製造方法を用いて製造することができるアンモニアの水分含有量は1ppm以下であり、好ましくは0.1ppm以下である。【0025】精製工程に供される粗アンモニアとしては公知の工業的製法で製造されるものを用いることができ、その水分含有量に特に制限はないが、100〜1000ppmであることが好ましい。また、アンモニアの精製工程に用いる方法としては、例えば蒸留を用いることができ、蒸留方法としては、水分含有量を低減することができれば、単蒸留、精密蒸留のいずれの方法でもよく、また回分法、連続法のいずれの方法も用いることができる。【0026】さらに、アンモニアの精製工程に用いる方法として、粗アンモニアを、ジルコニウム、バリウム、カルシウムなどの金属またはそれらの金属酸化物、鉄とマンガンとの合金、ゼオライトなどの精製剤と接触させる方法を用いることができる。これらの精製剤は1種を単独で用いてもよいが、2種以上を任意の割合で混合して使用してもよく、アンモニア中の水分を反応除去または吸着除去することによりアンモニアを精製することができる。精製剤と接触させる方法はアンモニアを気相で接触させる方法が好ましく、回分法、連続法などを用いて精製することができるが、水分含有量を低減することができればいずれの方法を用いてもよい。【0027】次に本発明の半導体窒化膜について説明する。前述したように、本発明の製造方法を用いれば、水分含有量が低減されたアンモニアを製造することができ、水分含有量が1ppm以下であるアンモニアを用いることにより半導体窒化膜を製造することができる。すなわち、化学的気相成長法(CVD法)により窒化膜を製造するための窒素源の原材料ガスとして水分含有量が低減されたアンモニアを使用することができる。その際、アンモニアガスと反応して窒化膜を形成させる原料ガスとしては、シリコン、チタン、アルミニウム、タンタル、タングステン等の化合物を使用することができる。【0028】窒化膜の代表的な製造方法としては高温熱CVD法、プラズマCVD法、光CVD法が挙げられ、窒化膜の利用目的によって製造方法を選択することができる。例えば、高温熱CVD法により該アンモニアガスとシリコンの水素化物あるいはハロゲン化物のガスとの反応により、シリコン窒化膜を製造することができる。これらの窒化膜を形成する際に、低水分のアンモニアを使用することにより、Si−H及びN−Hの形でSi及びNに結合したSixNyHzの形態を低減することができ、半導体の性能を向上させることができる。【0029】また、上記の水分含有量が低減されたアンモニアを用いて、以下の例に示すようにIII-V族化合物半導体を製造することができる。先ず、サファイア基板を反応室内に収容して支持部に支持させ、反応室を真空排気した後、ヒーターを用いてサファイア基板を好ましくは400℃に加熱する。次いで、容器内に収容したトリメチルガリウムなどの有機ガリウム、トリメチルアルミニウムなどの有機アルミニウムをそれぞれ導入管を通してH2ガスとともに反応室内に導入する。同時に、充填容器から供給されたアンモニアガスを、導入管を通して反応室内に導入し、これら有機ガリウムガス、有機アルミニウムガス、アンモニアガスを原料としてAlxGa1-xNからなるバッファ層をサファイア基板の表面に形成する。【0030】次いで、基板の温度をおよそ1150℃に昇温し、上記有機ガリウム、有機アルミニウム、アンモニアガスとともに供給されたシランなどのSi化合物を導管を通して反応室内に供給し、バッファ層上にn型クラッド層を形成する。次いで、上記有機ガリウム、有機アルミニウム、アンモニアガスとともに、容器から供給されたジメチル亜鉛などのZn化合物を導管を通して反応室内に供給して、n型クラッド層の上に活性層を形成する。さらに、上記有機ガリウム、有機アルミニウム、アンモニアガスとともに、容器から供給されたビスシクロペンタジエニルマグネシウムなどのMg化合物を導管を通して反応室内に供給して、活性層上にp型クラッド層を形成する。その後、上記のようにして作成されたエピタキシャルウェーハを反応室から取り出して、上記n型およびp型クラッド層上に電極を設けてGaN系化合物半導体素子を得る。【0031】上記の実施形態の1つとして例示した製造方法によれば、得られるGaN系化合物半導体素子は、輝度等の発光特性に優れたものとなる。このため、製造歩留まりの向上をはかることが可能となる。上記の製造例によって作製されたGaN系化合物半導体素子が発光特性に優れたものとなるのは、上記アンモニアの水分含有量を1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下に低減することにより、このアンモニアを原料として形成されるn型およびp型クラッド層、活性層に混入する酸素量を低く抑えることができ、これらのGaN系化合物半導体からなる層の結晶性が劣化するのを防ぐことができるためであると考えられる。【0032】尚、上記の実施形態では上記アンモニアを原料としてAlxGa1-xNを主成分とする、n型およびp型クラッド層、活性層を形成する方法を例示したが、本発明はこれに限らず、上記アンモニアを、III族元素としてGa、In、Al、B、V族元素としてN、As、Pを含む、例えばGaN、InGaN、BGaN、AlGaN、InGaAlN、GaNAs、GaNAsP、InGaNAsなどのIII-V族化合物からなる層を基板上に形成するIII-V族化合物半導体の製造に用いることができる。【0033】【実施例】以下、実施例を用いてさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。(実施例)水分含有量が300ppmの粗アンモニアを、下記の条件で連続蒸留精製した。得られた液化アンモニアの液相の水分含有量を赤外分光法を用いて下記の条件で測定したところ、0.1ppmであった。(1)蒸留条件粗アンモニア導入量 21kg/hr高沸点成分缶出液量 3kg/hr精製アンモニア留出量 18kg/hr還流比 2蒸留塔内圧力 0.64MPa(2)水分測定条件測定装置 NICOLET社製 MAGNA IR560 SPECTROMETRE測定波数 3801cm-1、3807cm-1、3816cm-1、3821cm-1、3854cm-1アンモニアガス流量 2L/min光路長 10m気化温度 80℃参照ガス 精製アンモニア留出液の気相部参照ガス流量 2L/min【0034】【発明の効果】以上説明したように、本発明のアンモニア中の水分を測定する方法および装置によれば、波数を4000cm-1〜3500cm-1、3100cm-1〜2600cm-1または2400cm-1〜1900cm-1の範囲にある1種以上の波数を用いることにより、アンモニアガスは勿論、液化アンモニアであっても温度制御して気化させることにより、10ppm以下の低濃度領域の水分分析を簡便に行うことができる。また、アンモニア中の水分除去の評価や水分濃度がデバイス特性に与える影響を評価することが可能となり、製造工程での生産性の向上が期待できる。また、本発明の製造方法により得られる水分含有量が低減されたアンモニアを用いれば半導体の性能を向上させることができ、また、発光特性に優れた化合物半導体を製造することができる。【図面の簡単な説明】【図1】 本発明のアンモニア中の水分濃度を測定する赤外分光装置である。【図2】 図1に示す長光路ガスセルの断面図である。【図3】 図1に示す気化装置である。【図4】 本発明の方法により測定したアンモニア中の水分の赤外吸収スペクトルである。【符号の説明】1 赤外分光器2 長光路ガスセル3 気化装置4,5 連結管6 配管パージガス乾燥器7 赤外分光器パージガス乾燥器8 流量表示器9 測定試料ボンベ10 参照ガスボンベ11 赤外光反射ミラー12 鋭筒13 ガス導入口バルブ14 ガス排気口バルブ15 赤外光入口窓16 赤外光出口窓17 恒温槽18 気化器19 流量調整器 下記の工程1及び工程2を経て製造された水分量1ppm以下のアンモニアを原料として使用して、化学的気相成長法で窒化膜を製造することを特徴とする半導体窒化膜の製造方法。工程1 蒸留を含む粗アンモニアの精製工程。工程2 水分濃度を10ppm以下にした精製アンモニア留出液の気相部を取り出して参照ガスとして用い、前記参照ガスを長光路ガスセルに一定流量で導入して測定された赤外吸収強度をバックグラウンドとし、工程1で精製されたアンモニアを前記長光路ガスセルに前記参照ガスの測定時と同じ流量で流通させて赤外吸収強度を測定して、工程1で精製されたアンモニアの水分量を測定する工程。 下記の工程1及び工程2を経て製造された水分量1ppm以下のアンモニアを原料として使用して、III−V族化合物半導体を製造する方法。工程1 蒸留を含む粗アンモニアの精製工程。工程2 水分濃度を10ppm以下にした精製アンモニア留出液の気相部を取り出して参照ガスとして用い、前記参照ガスを長光路ガスセルに一定流量で導入して測定された赤外吸収強度をバックグラウンドとし、工程1で精製されたアンモニアを前記長光路ガスセルに前記参照ガスの測定時と同じ流量で流通させて赤外吸収強度を測定して、工程1で精製されたアンモニアの水分量を測定する工程。 III−V族化合物半導体がGaN、InxGa1−xN、BxGa1−xN、AlxGa1−xN、InxAlyGa1−x−yN、GaNpAs1−p、GaNpAsqP1−p−q、InxGa1−xNpAs1−p(ただし、x,y,p,qはそれぞれ0<x,y,p,q<1を満たす数)である請求項2に記載の方法。 前記工程2の赤外吸収強度の測定波数として4000cm−1〜3500cm−1、3100cm−1〜2600cm−1または2400cm−1〜1900cm−1の範囲にある波数を用いることを特徴とする請求項1乃至3に記載の方法。 前記工程2の赤外吸収強度の測定波数が、3600、3609、3612、3619、3629、3634、3649、3656、3670、3675、3688、3691、3701、3709、3712、3719、3722、3727、3732、3736、3741、3744、3749、3752、3756、3759、3766、3770、3779、3785、3796、3801、3807、3816、3821、3826、3831、3835、3837、3840、3843、3854、3862、3865、3870、3874、3880、3885、3891、3894、3899、3902および3904cm−1(変動幅±1cm−1)からなる群より選ばれる1種以上である請求項1乃至3に記載の方法。 前記工程2の赤外吸収強度の測定波数が、3801、3807、3816、3821、3837および3854cm−1(変動幅±1cm−1)からなる群より選ばれる1種以上である請求項1乃至3に記載の方法。 工程1及び工程2を経て製造されたアンモニアの水分量が0.1ppm以下である請求項1乃至3に記載の方法。 工程1が、粗アンモニアを金属、金属酸化物およびゼオライトからなる群から選ばれる少なくとも1種の精製剤と接触させて精製する工程を含むことを特徴とする請求項1乃至7に記載の方法。


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