タイトル: | 特許公報(B2)_非芳香族6員環状構造化合物の構造異性体の同定方法 |
出願番号: | 2000327230 |
年次: | 2006 |
IPC分類: | G01N 24/08,G01N 24/12,G01R 33/32 |
及川 雅人 楠本 正一 安達 清治 JP 3735767 特許公報(B2) 20051104 2000327230 20001026 非芳香族6員環状構造化合物の構造異性体の同定方法 独立行政法人科学技術振興機構 503360115 宮本 晴視 100110168 及川 雅人 楠本 正一 安達 清治 20060118 G01N 24/08 20060101AFI20051221BHJP G01N 24/12 20060101ALI20051221BHJP G01R 33/32 20060101ALI20051221BHJP JPG01N24/08 510PG01N24/12 510CG01N24/02 530K G01N 24/00-24/14 G01R 33/20-33/64 JICSTファイル(JOIS) Dusan Uhrin et.al,Sensitivity- and Gradient-Enhanced Hetero(ω1) Half-Filtered TOCSY Experiment for Measuring ...,JOURNAL OF MAGNETIC RESONANCE,1998年,Vol.130,pp.155-161 U.Wollborn et.al,Measurement of Heteronuclear Long-Range Coupling Constants from Inverse Homonuclear 2D NMR Spectra,JOURNAL OF MAGNETIC RESONANCE,1992年,Vol.98,pp.142-146 3 2002131255 20020509 13 20030930 田中 洋介 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、環構成原子数が6であり、該構成原子の炭素原子が電気的により陰性な置換基を有する非芳香族化合物、例えばアルドヘキソピラノース類やそのアミノ糖などの類縁体を代表とするあらゆる糖ピラノース類、イノシトール(inositol)、キニ酸(quinic acid:1,3,4,5−テトラヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸)、それにコンデュリトール(conduritol)などのHETLOC二次元NMRスペクトルチャート上のF1方向に145〜175Hz隔てて現れる相関ピークのペアのF2方向のズレより求められるnJC,H値の正負の符号(傾き係数の符号が対角ピーク群の方向と同じ場合を正、違う場合を負とする。)、特にアルドヘキソピラノース類の立体構造異性体の構造を、アルドヘキソースのC1H2、C2H1、C2H3、C3H2、C3H4、C4H3、C4H5、C5H4に関する2JC,Hの正負の符号をHETLOC二次元NMRスペクトルから求め、2JC2,H1の場合は−3Hz以上か−5Hz以下かを表すること(イノシトールなど糖化合物の1位に相当するアセタール構造を有さない化合物においては、すべての値を正負の符号を2値化できる)により同定する方法に関する。【0002】【従来の技術】糖類の構造解析には質量分析が有効であり広く用いられているが、同じ分子量のアルドヘキソピラノースを区別するためには酵素による基質特異的な消化やNMRによる詳細な解析が必要とされている。ただ、NMRによる解析は酵素消化に比べて非破壊的である点で有利である。このNMR解析では3JHHカップリング定数を手がかりにする方法と、1H−1H間のNOE〔核オーバーハウザー効果(nuclear Overhauser effect)〕に基づく方法があるが、前者では3.5〜4.0ppmのシグナルの密集領域に含まれる1Hシグナルの完全帰属が必要な上にそのシグナルの分裂パターンを解析してJスピン結合定数を読みとらなければならない欠点がある。後者においては、小さな環状化合物においては、距離情報を一義的に解釈できるようになってきており、立体配座の予測が可能であることから、立体構造の構造解析への利用が一般化して来ているが、(1)一般にNOEシグナルは強度が10%以下に減少するため、ある特定のNOEシグナルがチャート上にある/ないといった定性的な議論に陥りがちとなり客観的な判断が難しい。(2)したがって、必ずしもNOEのみで構造が決定できない、(3)よって、3JHHスピン結合定数のような隣り合う1H−1Hの相対的な配置に関するNMR情報の解析が別途必要になる、等の欠点がある。【0003】1969年にCasuおよびPerlinによりD−グルコース上の2JC2,H1値が報告されて以来、糖類の2JC,H カップリング定数の絶対値(正負の符号については関心が持たれていない)、特に2JC1,H2の値がしばしば報告されてきた。 1988年にはMorat等によって、メチル−2,3,4,6−テトラ−O−アセチルアルドヘキソピラノシドの2JC,Hについて完全なセットが報告されているがこれは絶対値であり、正負については関心が持たれていない。 2JC,H値の正負については、Perlin等およびBockにより、それぞれグルコース誘導体の2JC2,H1、2JC4,H5および2JC5,H4値の正負、およびガラクトース誘導体の2JC2,H3、2JC3,H2および2JC3,H4の正負の報告がある以外、1980年代まではあまり関心が持たれていなかった。【0004】前記のように、糖のNMRの研究から、2JC、H値が正負の符号を伴って与えられることは以前から知られていた。ところが、糖のnJC、H値は天然存在比の13C量 (1.1%) では測定が困難であった。それでも選択的異種核2D−Jスペクトルを用いたnJC、H値の解析が報告されているが、報告のNMR測定法では正負を決定することがスペクトルの解像度から不可能である。一方、13Cで位置特異的に標識した糖を用いる研究もなされ、そこでは標識された位置のnJC、H値はプロトン二重照射法やクロスピーク置換(cross peak displacement)法によって符号とともに求めることが可能であることが示されている。90年代に入り、13Cで標識することなしに感度よくnJC、H値を求めることが可能なHETLOC法(Hetero half-filtered total correlation spectroscopy)が開発された。この方法によると分裂したシグナルのズレの方向によって値の正負(傾き係数の符号が対角ピーク群と同じ場合を正、異なる場合を負とする。)を決定することも可能である。しかしながら、同じ分子量のアルドヘキソピラノース類の識別を、各立体構造異性体の全体の2JC,H値に基づいて系統的に行うという試みは報告されていなかった。【0005】【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、環構成原子数が6であり、該環構成原子の炭素原子が電気的により陰性な置換基を有する非芳香族の環状構造を有する化合物の立体構造異性体を検出(帰属)する新規なNMR測定法、特にピラノース環を有する糖の立体構造異性体を検出する方法を提供することである。本発明者等は、環構成原子数が6の環を構成し、電気的により陰性な置換基を持つ炭素原子は、立体配座が1つに安定しており、それに対応したnJC、H値を一義的に与えることを見出し、該環状構造に含まれる全てのnJC、H値を測定し、特に各nJC、H値の正負の組み合わせを対応する立体構造異性体のデータとして蓄積した。そして、未知の試料のHETLOC二次元NMRスペクトル、特に、F2軸(炭素と遠隔スピン結合している水素に関連:横軸)を4k以上(4000ポイント以上)×F1軸(炭素に直結する水素に関連:縦軸)を512ポイント以上の条件で集めて作成し(2k×256のデータを得、両軸を二倍にゼロファイリングすることによって得る。)た該スペクトルにおいてF1方向に145Hz〜175Hz隔たったペアとなるnJC、HスペクトルのF2方向のズレの正負の組み合わせを作成し、該組み合わせを立体構造異性体の前記蓄積データと対比することにより、その構造が決定できることを発見し、前記本発明の課題を解決した。【0006】例えば、アルドヘキソピラノースのピラノース環上の炭素および水素のC1H2、C2H1、C2H3、C3H2、C3H4、C4H3、C4H5、C5H4の8つの対の2JC,Hの値を前記HETLOCなどの二次元NMRスペクトルで全て求めて、2JC,H(Hz)インデックス(一覧表:蓄積データ)を作り、未知の試料の測定されたHETLOCの二次元NMRスペクトルより求めた2JC,H値を前記インデックスと対比し適合させて相当する糖の構造を決定することができることを見出した。【0007】更に、前記アルドヘキソピラノースのピラノース環上の炭素および水素の2JC,Hの値の正負に関しては、2つ以上の環が結合した化合物においても2JC,Hの絶対値に違いがあるものの、やはり立体構造異性体の識別を可能とすることを見出した。また、145Hz〜175Hz隔たったペアの特定ができない場合でも、HETLOC二次元NMRスペクトルのF1軸側のスペクトルのファミリー情報、および分裂したピークのF2側シフト値とそのシグナルの正しい化学シフト値との関係から2JC,Hの値の正負を得ることができるから、立体異性体の構造を特定できる情報を確実に得ることができる。【0008】【課題を解決するための手段】本発明は、環構成原子数が6であり、該構成原子の炭素原子が電気的により陰性な置換基を有する非芳香族の環状構造化合物の立体構造異性体を検出する方法において、3以下の結合により隔てられた炭素−水素核間Jカップリング定数nJC,H(nは2または3)を求めるために、前記環を構成する炭素と3以下の結合により隔てられた水素とのスピン結合情報のみが2次元チャート上に現れるように混合時間を設定してHETLOC二次元NMRスペクトルを測定し、そのチャート上においてF1軸方向に145〜175Hz隔てたペアとなる相関ピークのF2軸方向のズレの正負の符号または符号を含む数値として得たnJC,H値を、特に2JC2,H1の場合は−3Hz以上か−5Hz以下かを判断して、nJC,Hインデックス(それぞれの立体構造異性体における前記8つのnJC,H値の正負符号の組み合わせ)に従い適合させて行う前記環構成原子数が6の化合物の立体構造異性体の構造決定方法である。好ましくはHETLOC二次元NMRスペクトルチャートにおいてF1方向に145〜175Hz隔てた一対の相関ピークのペアおよび/または一次元1H?NMRスペクトルをnJC,H値の相関ピークのズレの正負符号の判断の補助とすることを特徴とする前記環構成原子数が6の化合物の立体構造異性体の構造決定方法であり、より好ましくは、磁化移動を3つの結合を介して選択的に行うために15〜20秒の混合時間をHETLOC測定のために適用し、さらに観測1JC,H値を160Hzに設定することによりnJC,H値の値情報を有する8つのHETLOC相関ピークのほぼすべてを観察可能にしたことを特徴とする前記環構成原子数が6の化合物の構造決定方法である。【0009】【本発明の実施の態様】本発明をより詳細に説明する。A.ここでは、環構成原子数が6であり、該構成原子の炭素原子がより電気的に陰性な置換基を有する非芳香族の環状構造化合物として、アルドヘキソピラノース化合物の立体構造異性体の識別法、換言すればそれら異性体の構造決定法について説明するが、他の前記環状構造化合物に適用できる。電気的に陰性な置換基としては、酸素、窒素、硫黄、ハロゲンなどの原子を含む官能基を挙げることができる。【0010】B.アルドヘキソピラノース化合物の立体構造異性体のそれぞれについてのnJC,Hインデックス(それぞれの異性体における前記8つのnJC,H値の正負の符号の組み合わせ)を蓄積するために各異性体を含む試料のHETLOC二次元NMRスペクトルチャートを作成する。該チャートの作成に使用するNMR測定装置は、商品名Lambda〔日本電子(株)社製;Jeol NM−500〕で、パルスシーケンスとしてはHETLOC(M. Kurz,P.Schmieder,H.Kessler, Angew.Chem.Int.Ed.Engl.1991,30,1329−1331)、対角ピーク消去HETLOC(U. Wollborn, D. Leibfritz,J.Magn.Reson.1992,98,142-146)、高感度HETLOC(D. Uhrin, G. Batta, V. J. Hruby, P. N. Barlow, K. E. Koever,,J.Magn.Reson.1998,130,155-161)を用い、スピン混合時間の条件を15〜20ms(ミリ秒)に設定し、更に、HETLOC二次元NMRスペクトルのF2(ファイリング2;横軸)は4096ポイント、そして、F1(ファイリング1;縦軸)は512ポイントの条件で求めた。この条件においては解像度は0.7Hzより小さい。【0011】図1は、α−およびβ-グルコースのHETLOCスペクトルである。図1の領域A〜Cのスペクトルを拡大したものを、図2〜4に示す。図1において、左下から右上に向かっての鎖線は、対角ピーク群を結んだ直線であり、F1方向に145〜175Hz隔てたピークのペアがこの鎖線の勾配と同じ方向にズレている場合を正、反対の方向にずれている場合を負とする。例えば図3の2JC1,H2は、ズレは対角ピークの勾配に対して反対方向であるから負である。【0012】HETLOCスペクトルは、1Hシグナルの帰属をベースに分析される。ピラノース環上の8つの2JC、H値の決定のために必要なHETLOC相関ピーク(F1方向に145〜175Hz隔てたペア)は、通常すべて観察できるが、それらのいくつかが、対角ピーク(diagonal peak)のような他の信号と重なってしまうことがある。このような場合には、一次元1H−NMRからそのピークの正しい化学シフトを求め、それとHETLOC相関ピークの対の残りの一つとの差値(Hz)とから注目する2JC、H値を決定することができる。それを図3のβ−グルコースの2JC1,H2を例に説明する。H1(F2)−H2(F1)の相関シグナルに相当する2つのピークのうち、上半分のピーク(ピークA)の化学シフト1633.4Hzと一次元1H−NMRスペクトルにおける同一ピーク(ピークC)の化学シフト1630.2Hzとの差値3.2Hzを2倍することにより2JC1,H2の絶対値(約6.4Hz)が得られる。ピークAとピークBとの関係から決定されるべきその正負の符号は、ピークAとピークCとの関係から負であることがわかる。このようにして、糖の立体構造異性体のそれぞれについて8つの2JC、H値が決定される。【0013】図5〜図8(ガラクトース−1〜ガラクトース−4)には、α−およびβ−ガラクトースのHETLOCスペクトルを示す。また、図9〜図13(マンノース−1〜マンノース−5)には、α−およびβ−マンノースのHETLOCスペクトルを示す。これらのスペクトルにおいて縦軸はF1であり、横軸はF2である。【0014】前記HETLOCスペクトルからのグルコース、ガラクトース、およびマンノースの2JC、H値は図14にまとめられ、2JC1,H2以外の値を正(■)、および負(□)の2値に変換した表示を図15にまとめた。また、2JC1,H2値の場合は-3Hz以上か−5Hz以下かを判断し、前者を■、後者を□として2値化する。【0015】前記図15の表示(インデックス)に基づくアルドヘキソピラノースの構造決定方法のフローの一態様を図16に示す。このフローは糖化合物が有する8個の2JC、H値をすべて用いるのではなく、なるべく少ない2JC、H値数によってそれぞれの区別が可能となることを目的に作成した。HETLOCスペクトルの解析は、〔解析開始ピークの指定〕から始まる。これは2JC1、H2値の情報を与えるピークで、H1(F1)-H2(F2)の相関ピークに相当し、たとえばβ−グルコースの該ピークは図3のα,βのペアーである。H1は通常δ4.5−4.7(β-グリコシドの場合)もしくはδ5−5.2(α-グリコシドの場合)に現れるのでこの〔解析開始ピークの指定〕は容易である。この2JC1、H2値は環内酸素と環外グリコシド酸素による影響を受けるため、ひとつの酸素官能基からの影響しか受けない他の2JC、H値とは異なり配座の違いに基づく値のしきい値は0 Hzとならない。本発明者らが行った検討の限りでは、β配置のGlc型およびGal型では−5Hz以下となり、それらの糖のα配置のものとMan型の糖では−3Hz以上の値を与えることが明らかとなっている。−5〜−3Hzの値はなかったのでこの範囲をしきい値にした。もし与えられた未知試料がα−グルコース構造を含むならば、そのHETLOCスペクトルから求められる2JC1、H2値は−3Hz以上となるので、図16の開始ピークの指定の直後にまず右側に行く。注目する炭素にひとつの酸素官能基しか結合していないC1以外の2JC、H値は相対的な配置によって正か負のいずれかの値をととる。したがってそれ以降の2JC、H値の解析は正負の符号に基づきフロー上を移動する。すなわち2JC2,H1値およびそれに続く2JC2,H3、2JC3,H2値、2JC3,H4値、2JC4,H3値、2JC4,H5値、そして2JC5,H4値は全て負であるから、全て左側に行き、左からグルコースβ、イドースβ、ガラクトースβ、アロースβ、グルコースα、イドースα、ガラクトースα、アルトロースα、アロースα、マンノースα、タロースα、アルトロースβ、マンノースβ、およびタロースβのそれぞれについての2値のインデックスのうち左から4番目のGlcαの2値の標準的な組み合わせ(インデックス)に到達することによりその未知試料がα−グルコース構造を含むと決定される。HETLOCにはもともとHOHAHAによる磁化移動に由来する各水素間のつながりの情報が含まれているので、H1(F1)−H2(F2)が特定できれば以上に示したような残りの相関ピークの同定は可能である場合が多い。これもHETLOC測定法が本発明において重要な役割を果たしているポイントである。【0016】【実施例】ここでは、前記アルドヘキソピラノース化合物の立体構造異性体の2JC、H値のインデックスが、更に二糖類にも適用できることを示すものであるが、前記インデックスの適用範囲は、このようなものに限定されるなく、オリゴ化合物においても適用できる。【0017】実施例1前記図17には、スクロースを構成するα−グルコース残基の2JC、H値セットが記載されている。すなわち2JC1,H2値は−3Hz以上だから■、そのほかの、2JC2,H1値、2JC2,H3値、2JC3,H2値、2JC3,H4値、2JC4,H3値、2JC4,H5値、および2JC5,H4値は、全て負であるから□であり、図15のGlcαの立体配置に帰属される。図18は、スクロースのHETLOCスペクトルを示す。図19〜21は図18の領域A〜Cの拡大図である。【0018】実施例2ここではラクトースの、2−1,Gal(β)−Glc(α)型における、Gal(β)構造、2−2,Gal(β)−Glc(α)型におけるGlc(α)構造、2−3,Gal(β)−Glc(β)型におけるGal(β)構造、2−4,Gal(β)−Glc(β)型におけるGlc(β)構造の2JC、H値をHETLOC測定により解析した例を示す。それぞれの糖残基の2JC、H値を図17に示す。これらの値から、2値データを作成するとそれぞれ以下のようになり、いずれも図15に示した単糖類の2JC、Hインデックスに一致することが分かる。2−1:□■□□□■■■ (→図6のGalβに一致)2−2:■□□□□□□□ (→図6のGlcαに一致)2−3:□■□□□■■■ (→図6のGalβに一致)2−4:□■□□□□□□ (→図6のGlcβに一致)以上のことから、二糖類を構成する糖残基についても本発明を用いれば正しく帰属できることが理解される。【0019】【発明の効果】以上述べたように、本発明の立体構造異性体の帰属の決定方法を用いれば、HETLOCスペクトルから前記環構成原子数が6であり、該構成原子の炭素原子が電気的により陰性な原子を含む置換基を有する非芳香族の環状構造化合物の立体構造異性体の帰属を容易に解析することができるという優れた効果がもたらされる。【図面の簡単な説明】【図1】 α−およびβ-グルコースのHETLOCスペクトル【図2】 図1のA領域の拡大図【図3】 図1のB領域の拡大図【図4】 図1のC領域の拡大図【図5】 α−およびβ−ガラクトースのHETLOCスペクトルの一部【図6】 α−およびβ−ガラクトースのHETLOCスペクトルの一部【図7】 α−およびβ−ガラクトースのHETLOCスペクトルの一部【図8】 α−およびβ−ガラクトースのHETLOCスペクトルの一部【図9】 α−およびβ−マンノースのHETLOCスペクトルの一部【図10】 α−およびβ−マンノースのHETLOCスペクトルの一部【図11】 α−およびβ−マンノースのHETLOCスペクトルの一部【図12】 α−およびβ−マンノースのHETLOCスペクトルの一部【図13】 α−およびβ−マンノースのHETLOCスペクトルの一部【図14】 ガラクトース、グルコース、およびマンノースの2JC、H値【図15】 アルドヘキソピラノース化合物の立体構造異性体の2JC、H値を■、□の2値に変換した表示【図16】 図15の表示(インデックス)をもとに作成したアルドヘキソピラノース化合物の構造決定フローの一態様【図17】 α−ラクトース、β−ラクトースおよびスクロースを構成するβ−ガラクトース、α−グルコース、β−グルコース残基の2JC、H値【図18】 スクロースのHETLOCスペクトル【図19】 図18のA領域の拡大図【図20】 図18のB領域の拡大図【図21】 図18のC領域の拡大図 環構成原子数が6であり、該構成原子の炭素原子がそれよりも電気的に陰性な置換基を有する非芳香族の環状構造化合物の立体構造異性体を検出する方法において、3以下の結合により隔てられた炭素−水素核間Jカップリング定数nJC,H(nは2または3)を求めるために、前記環を構成する炭素と3以下の結合により隔てられた水素とのスピン結合情報のみが二次元チャート上に現れるように混合時間を設定し測定をしてHETLOC二次元NMRスペクトルチャートを作り、該チャート上のF2(ファイリング2;横軸)軸方向に145〜175Hz隔てたペアとなる相関ピークのF1(ファイリング2;縦軸)軸方向のズレより得たnJC,H値の正負符号または正負符号および絶対値をnJC,Hインデックスに従い適合させて行う前記環構成原子数が6の化合物の立体構造異性体の構造決定方法。 HETLOC二次元NMRスペクトルチャートにおいてF1軸方向に145〜175Hz隔てた相関ピークのペアのF2軸方向のズレの大きさによって与えられるnJC,H値および/またはそのnJC,H値の情報を含む相関ピークのズレの方向によって与えられるnJC,H値の正負の符号を判断の補助情報とすることを特徴とする請求項1に記載の前記環構成原子が6の化合物の立体構造異性体の構造決定方法。 3つの結合によって隔てられた水素間での磁化移動を選択的に行うために15〜20秒の混合時間をHETLOC測定のために適用し、さらに必要な相関ピークのすべてをもれなく観測するために観測1JC、H値を160Hzに設定したことを特徴とする請求項1または2に記載の環構成原子数が6の化合物の構造決定方法。