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タイトル:特許公報(B2)_イソプロピルアルコールの製造方法
出願番号:2000320214
年次:2009
IPC分類:C07C 29/145,C07C 29/80,C07C 31/10,C07B 61/00


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小野 有三 JP 4321838 特許公報(B2) 20090612 2000320214 20001020 イソプロピルアルコールの製造方法 三井化学株式会社 000005887 苗村 新一 100076613 最上 正太郎 100075247 小野 有三 20090826 C07C 29/145 20060101AFI20090806BHJP C07C 29/80 20060101ALI20090806BHJP C07C 31/10 20060101ALI20090806BHJP C07B 61/00 20060101ALN20090806BHJP JPC07C29/145C07C29/80C07C31/10C07B61/00 300 C07C 29/145 C07C 29/80 C07C 31/10 C07B 61/00 実開昭61−086439(JP,U) 特開昭62−077338(JP,A) 特公昭31−003412(JP,B1) 特開平09−103670(JP,A) 特開平03−133941(JP,A) 3 2002128716 20020509 6 20070911 服部 智 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、イソプロピルアルコールの製造方法に関し、詳しくは、アセトンと水素を気相で反応させ、しかもエネルギーの低減化を計るなどの高純度イソプロピルアルコールの経済的な製造方法に関する。イソプロピルアルコールは有機合成の重要な中間体であり、また、工業上重要な溶媒でもある。【0002】【従来の技術】イソプロピルアルコールは、一般溶剤としても使われるが、IC基盤の洗浄剤や、消毒液としても多く使われており、高純度品が要求されている。製品純度としては、一般的には99.9重量%以上の物が市販されている。【0003】イソプロピルアルコールを製造する方法として近年広く利用されている方法は、プロピレンの水和法である。濃硫酸を触媒としてオレフィンを水和する方法は古くから知られていたが、この場合硫酸による腐食という問題がある。【0004】最近では、強酸性のイオン交換樹脂を用いた気液混相の水和反応、あるいは強酸性の固体酸を触媒に用いた気相水和反応、さらには担体にヘテロポリ酸、無機酸を担持した触媒を用いた気相接触反応による水和が広く行われている。【0005】イソプロピルアルコールを製造する方法として古くからアセトンのカルボニル基を水添する方法も知られている。例えば、水素化アルミニウムリチウム、水素化ホウ素ナトリウム等の試薬を用いた還元方法、あるいは水素ガスを用いた接触還元方法である。【0006】水素ガスを用いる方法としては、例えば、液相でラネーニッケル触媒の存在化に水素化反応を行う方法(特開平3−141235号公報)や酸化銅・酸化クロム触媒を用いる気相水素化反応を行う方法(特開平3-41038)等が提案されている。【0007】製造プロセスに関するものとしては、液相水素化反応法ではトリクルベッド方式で反応を行う方法(特開平2-270829)や、反応収率向上の為に反応混合物の入部を反応器に循環する方法(特開平3-133941)が提案されている。【0008】また、気相水素化反応方法における製造プロセスに関し、USP2,456,187(1948)には、多管式反応器を用いてアセトンの蒸発と生成したイソプロピルアルコールの分離を別々に行っており、アセトン蒸発装置とイソプロピルアルコール分離装置といった2種類の設備が必要となり、また、エネルギー面においても、イソプロピルアルコールの分離のために循環水素ガスを一旦冷却しなければならない等、設備コストの増大と循環水素ガスのエネルギーなどが有効に活用されていなかった。【0009】【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記課題に鑑み、アセトンの気相水素化反応におけるイソプロピルアルコールの製造設備の低減を図り、しかもエネルギーを効率的に活用できるイソプロピルアルコールの製造プロセスを提供することにある。【0010】【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を解決すべく製造設備の低減とエネルギーの効率的な活用について鋭意検討した結果、反応器流出ガスのエネルギーを有効に活用することにより、経済的かつ効率の良いイソプロピルアルコールが製造できることを見出し、本発明を完成させるに至ったものである。すなわち、本発明は、アセトンと水素を気相反応させてイソプロピルアルコールを製造する方法において、反応器流出ガスを原料アセトン及び/又は回収アセトンと接触させてアセトンを気化させることにより、生成したイソプロピルアルコールを液化せしめることを特徴とするイソプロピルアルコールの製造方法である。【0011】【発明の実施の形態】本発明のアセトンと水素を気相で反応させて得た反応器流出ガスのエネルギーを有効に活用するイソプロピルアルコールの製造方法であり、このイソプロピルアルコールは一般に蒸留精製されて製品となる。【0012】本発明の水素化反応における触媒は、Cu−Cr系の酸化物触媒、ラネーNi触媒、ラネーCu触媒、Pt、Pd、Ru等の貴金属触媒が挙げられ、一般的に用いられているものがそのまま適用できる。【0013】原料であるアセトンは、例えばクメン法フェノールプラントによる副生やプロピレンの直接酸化法等により製造される粗アセトンでも良いが、高純度のイソプロピルアルコールを製造するには、分離除去の困難な不純物含有量の少ないものの方が製品品質面からは好ましい。【0014】原料アセトンを水素化する為の水素としては、特別純度の高い水素を使用する必要はなく、例えば、エチレン製造プラントで発生するメタンを含む水素やエタンや窒素等の不純物を含む水素でも使用可能である。【0015】ここで水素とアセトンのモル比は、通常に1.1〜5の範囲である。モル比が1.1未満では、アセトンの転化率が低下するばかりか、イソプロピルアルコールへの選択率も低下し副生物が多くなる。また、モル比が5を越えると、未反応水素を回収して循環使用する動力が増大することから好ましくない。【0016】本発明に用いる反応器としては、一般的な充填層反応器、多管式反応器、移動床反応器、懸濁気泡塔反応器、攪拌槽式懸濁反応器等が用いられる。また、反応温度及び圧力は、特に規定ははしないが、一般的に言って、気相反応では、60〜200℃、0.1〜1MPa−G、圧力が0.1MPa−G未満では反応速度が低下し、また1MPaを越えると反応器の耐圧が高くなり経済的でない。【0017】本発明における好ましい態様としては、反応器流出ガスと原料アセトン及び/又は回収アセトンを向流接触させて、蒸留精製を平行して行う事で、液化したイソプロピルアルコール中へのアセトンの混入を極力減らす事ができる。さらに好ましくは、反応器供給ガスと熱交換を行って後の反応器流出ガスを、原料アセトン及び/又は回収アセトンと接触させる事により、一層エネルギーの有効活用が図れる。【0018】本発明をさらに理解すべく、一実施例である図1を用いてプロセスの流れに沿って詳細に説明する。反応器1より出た反応器流出ガスは、イソプロピルアルコール、未反応アセトン、反応副生物、未反応水素及びメタン等の水素ガス中の不純物等よりなる。該反応器流出ガスは、後述の熱交換器2で反応器供給ガスと熱交換した後気液接触装置3に至り、該装置3上部より供給される原料アセトン及び/又は回収アセトンと接触してアセトンの気化と生成したイソプロピルアルコールの液化が行われる。この気液接触装置3では、好ましい態様として前記接触操作と同時に蒸留精製を行うことで、気相アセトン中へのイソプロピルアルコールや反応副生物の同伴を押さえ、しかも液相イソプロピルアルコール中へのアセトンの混入を最小限に押さえることができ、設備費とエネルギーの低減を図ることが可能となる。ここで蒸留操作の還流量は、気液接触装置3の頂部に付設または別途設置されたコンデンサー(分縮器)4により制御される。【0019】コンデンサー(分縮器)4により制御されて、気液接触装置3頂部から流出する気化した原料アセトン及び水素ガスやメタン等の不純物からなる反応器供給ガスは循環ガスとして、ブロアー、コンプレッサー等のガス循環設備6により昇圧された後、メークアップ水素と共に反応器1に循環される。この時好ましくは、反応器流出ガスと熱交換器2にて熱交換して後、反応器1に循環され、一方、反応器流出ガスは気液接触装置3に供給する事で更にエネルギーの効率化が図れる。【0020】また、気液接触装置3の留出ガスの一部は、冷却器(ノックアウトコンデンサー)5にて更に冷却されて、アセトン等の常温で液体の物質を凝縮分離して後、水素、メタン等の非凝縮性ガスが一部系外にパージされる。このパージ量は、特に規定はないが、量が多いと水素ロスが多くなり、また、少なすぎると、循環ガス中への蓄積量が多くなり、ガス循環の機器費と動力費が大となる。これらを考慮の上、使用する水素ガス中に含まれる不純物量に応じて適正な循環量が決定される。アセトン・他よりなる凝縮液は、コンデンサー(分縮器)4及び又は気液接触装置3に戻される。ここで冷却器5は、気液接触装置3やコンデンサー4と分離されていても良いし、同装置と一体となっていても良い。一方、気液接触装置3で液化したイソプロピルアルコールを主成分とする液混合物は、続く精製工程(図示せず)に送られ、蒸留精製されて高純度のイソプロピルアルコールが得られる。【0021】本願の様にアセトンと水素を原料とする場合の一般的な蒸留精製の例としては、まず未反応のアセトンを分離回収する。分離回収されたアセトンは、上述の気液接触装置3及び又はコンデンサー(分縮器)4に供給されて、気化し、反応原料として循環ガスと共に反応器1に戻される。次いで、イソプロピルアルコール混合液は続いて水分の除去、さらには近沸点化合物や高沸点化合物を分離する事により、高純度のイソプロピルアルコールが得られる。これらの蒸留操作は、バッチ蒸留であっても良いが、効率的には、複数の反応器からなる連続蒸留方式が採用される。【0022】【実施例】以下に本発明を実施例により更に詳細に説明する。尚、実施例に記載した組成分析は、島津製作所製GC−14A(検出器:FID、カラム:DB−WAX)ガスクロマトグラフィーを使用し、Heをキャリアガスとして測定した。【0023】実施例1内径27.2mm、長さ4000mmのステンレス製反応器に酸化銅・酸化クロム触媒を1.5L充填し、触媒を水素で還元した。続いて反応器流出ガスの循環を行い、水素を所定流量になる様に調節した。なお、今回は3.7モル%のメタンを含むと水素を使用し、流量はメタン込みで毎時54モルとした。続いて気化したアセトンを毎時26モル供給し、温度110℃、入り口圧力0.25MPa−Gで反応を開始した。反応器流出ガスは熱交換器を経て後、気液接触装置としての理論段数10段の蒸留塔に供給された。本蒸留塔では、塔上部より供給された原料アセトンと気液接触して、アセトンは気化し、イソプロピルアルコールは液化すると共に、蒸留精製されて塔頂及び塔底より流出した。塔底温度75℃、塔頂圧力0.18MPa−Gとし、また還流比は、塔上部に付けられたコンデンサー(分縮器)にてコントロールした。また、塔頂からの流出蒸気の一部は、系内でのメタン蓄積防止の為、ノックアウトコンデンサー(冷却器)で5℃まで冷却してアセトン等の凝縮成分を除去して後に系外に排出された。ここでの系外への排出量は、反応器供給ガス中の水素とメタンのモル比が1:1となる様に排出ガス量をコントロールした。【0024】蒸留塔を出たアセトン、水素及びメタンを主成分とする反応器供給ガスは、メークアップ水素と混合され、かつ熱交換器にて反応器流出ガスとの熱交換で35℃から110℃に予熱されて後に、反応器に循環される。【0025】この時の反応成績は、アセトン転化率99%、イソプロピルアルコール選択率99%であった。また、反応器出口温度は130℃で、反応器供給ガスの予熱源及び、原料アセトンの蒸発精製を行う蒸留塔の熱源として有効活用された。また、反応器供給ガス中のイソプロピルアルコールは0.2モル%と少なく、かつ、蒸留塔塔底液中のアセトン濃度は0.15重量%であった。【0026】【発明の効果】本発明の原料アセトンと反応生成物である反応器流出ガスとを接触してアセトンの気化と生成したイソプロピルアルコールの液化や蒸留精製を平行して行い、しかも反応器流出ガスとの熱交換により反応器供給ガスの余熱を行う事により、設備費とエネルギーの低減を図ることができ、産業上優位である。【図面の簡単な説明】【図1】本発明の理解を助ける為のイソプロピルアルコールの製造における一実施例を示すフローズである。【符号の説明】1.反応器2.熱交換器3.気液接触装置(蒸留塔)4.コンデンサー(分縮器)5.冷却器(ノックアウトコンデンサー)6.ガス循環設備7.反応器供給ガスライン8.原料アセトン/回収アセトン供給口9.水素供給口10.イソプロピルアルコール混合液11.排出ガス アセトンと水素を気相反応させてイソプロピルアルコールを製造する方法において、反応器流出ガスを原料アセトン及び/又は回収アセトンと接触させてアセトンを気化させることにより、生成したイソプロピルアルコールを液化せしめることを特徴とするイソプロピルアルコールの製造方法。 反応器流出ガスと原料アセトン及び/又は回収アセトンを向流接触させながら、蒸留精製を平行して行う請求項1記載の方法。 反応器供給ガスと熱交換を行って後の反応器流出ガスを、原料アセトン及び/又は回収アセトンと接触させる事を特徴とする請求項1又は2記載の方法。


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