タイトル: | 特許公報(B2)_4−ヒドロキシビフェニル誘導体の製造方法 |
出願番号: | 2000291501 |
年次: | 2010 |
IPC分類: | C07C 253/30,C07C 37/50,C07C 39/15,C07C 255/53,C07B 61/00 |
阿久津 光男 川原 真樹 JP 4521955 特許公報(B2) 20100604 2000291501 20000926 4−ヒドロキシビフェニル誘導体の製造方法 株式会社ADEKA 000000387 羽鳥 修 100076532 阿久津 光男 川原 真樹 JP 1999368014 19991224 20100811 C07C 253/30 20060101AFI20100722BHJP C07C 37/50 20060101ALI20100722BHJP C07C 39/15 20060101ALI20100722BHJP C07C 255/53 20060101ALI20100722BHJP C07B 61/00 20060101ALN20100722BHJP JPC07C253/30C07C37/50C07C39/15C07C255/53C07B61/00 300 C07C 253/30 C07C 37/50 C07C 39/15 C07C 255/53 C07B 61/00 CA/REGISTRY(STN) 特表平11−504898(JP,A) 米国特許第4521345(US,A) J.Chem.Soc.,Chem.Commun,1988年 2月 1日,p203-204 Chemistry Letters,1998年,p931-932 CHECHULINA,I.N. et al.,Zhurnal Obshchei Khimii,1988年,58(5),p.1075-1079 BREWIS,M. et al.,Chemistry--A European Journal,1988年,14(9),p.1633-1640 4 2001240586 20010904 8 20070604 品川 陽子 【0001】【産業上の利用分野】本発明は、4−ヒドロキシビフェニル誘導体の製造方法に関する。より詳細には、2,6−置換フェノール誘導体とハロゲン化ベンゼン誘導体をカップリングさせた後に、2,6−置換フェノール由来の置換基を脱離させることによる4−ヒドロキシビフェニル誘導体を得るための製造方法に関する。この4−ヒドロキシビフェニル誘導体は、ビフェニル構造を誘導する中間体として有用であり、各種有機薬品、液晶化合物の原料として特に有用である。【0002】【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来から、4−ヒドロキシビフェニル誘導体を合成する方法としては、4−ヒドロキシビフェニルを原料とし、まず適当な置換基で水酸基を保護した後、臭素を作用させて4’位を臭素化し、保護した置換基を外す工程を経た後、4’位の臭素を他の置換基に置換する方法が知られている。例えば、4’位の臭素をシアノ基に置換するときにはシアン化銅を用いることによって目的の化合物を合成することができる。しかし、これらの合成方法では臭素を用いるため作業性が悪いこと、廃液に臭素が混入するため処理が困難なこと、工程数が多いためコストが高いこと等が問題となる。【0003】また、上記問題を解決するため、ベンゼン環同士のカップリング反応による合成も行われている。例えば、Chemistry Letters 1998 p931 〜932 (The Chemical Society of Japan )にパラジウム触媒を用いた合成法が報告されている。【0004】しかしながら、この方法では高価なパラジウム触媒を用いることから、コストが高くなり好ましくない。【0005】従って、本発明の目的は、安全かつ低コストの4−ヒドロキシビフェニル誘導体の製造方法を提供することにある。【0006】【課題を解決するための手段】即ち、本発明によれば、 下記一般式(1)で表される4−ヒドロキシビフェニル誘導体の製造方法であって、第一工程として、塩基の存在下、下記一般式(2)で表される2,6−置換フェノール誘導体と、下記一般式(3)で表されるハロゲン化ベンゼン誘導体とをカップリング反応させて、下記一般式(4)で表される中間体を得た後、第二工程として、酸発生物質の存在下、該中間体化合物の置換基R4 及びR5 を脱離させることにより、上記一般式(1)で表される化合物を得ることを特徴とする4−ヒドロキシビフェニル誘導体の製造方法が提供される。【化5】(式中、R1 、R2 、R3 は、同一でも異なってもよく、水素原子、フッ素原子、R’が水素原子或いは炭素原子数1〜12の炭化水素である−CH2 −R’、ニトロ基、シアノ基、アルデヒド基又はR”が炭素原子数1〜12の炭化水素基である−CO−R”基を表す)【化6】(式中、R4 、R5 は、同一でも異なってもよく、炭素数3〜10の二級又は三級のアルキル基、炭素数4〜10の二級又は三級のアルケニル基、炭素数8〜18のアラルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基を表す)【化7】(式中、Xは、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表す)【化8】【0007】【発明の実施の形態】以下、上記要旨をもってなる本発明についてさらに詳細に説明する。【0008】上記一般式(1)のR1 、R2 、R3 中の炭素原子数1〜12の炭化水素基R’としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第二ブチル、第三ブチル、アミル、イソアミル、第二アミル、第三アミル、ヘキシル、ペプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、フェニル、ベンジル、フェネチル、2−フェニルプロパン−2−イル、トリル、ビニル、アリル、ブテニル、イソブテニル等が挙げられ、R”としては、R’と同様の基が挙げられる。【0009】上記一般式(2)において、R4 、R5 で表される炭素数3〜10の二級又は三級のアルキル基としては、例えば、イソプロピル、第二ブチル、第三ブチル、第三アミル、ペンタン−2−イル、第三アミル、ヘキサン−2−イル、ヘキサン−3−イル、ヘプタン−3−イル、第三オクチル、1−メチルペンチル、第三オクチル等が挙げられ、炭素数4〜10の二級又は三級のアルケニル基としては、例えば、ブテン−2−イル、ペンテン−2−イル、ヘキセン−2−イル、1,1−ジメチルヘキセン−1−イル等が挙げられ、炭素数8〜18のアラルキル基としては、例えば、フェネチル、2−フェニルプロパン−2−イル等が挙げられ、炭素数3〜10のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、4−第三ブチルシクロヘキシル等が挙げられる。これらの中でも炭素数3〜10の二級又は三級のアルキル基は、第二工程の時に脱離しやすいので好ましい。【0010】本発明の4−ヒドロキシビフェニル誘導体の製造方法の第一工程で用いられる塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、カリウム−t−ブトキシド、リチウムメトキシド、リチウムエトキシド等が挙げられ、その使用量はモル比で前記一般式(3)で表されるハロゲン化ベンゼン誘導体1に対して1〜10が好ましく、1〜5がより好ましい。溶媒としては、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、スルホラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられ、これらは、一種類又は二種類以上混合して用いられる。また、反応温度は、使用する溶媒によるが60℃以上が好ましく、反応時間が短縮できるので100℃以上がより好ましい。【0011】また、必要に応じて公知の四級アンモニウムハライド、四級アンモニウムハイドロサルフェート、四級アンモニウムアセテート、四級ホスホニウムハライド、四級ホスホニウムハイドロサルフェート、四級ホスホニウムアセテート等の相間移動触媒を用いることもできる。【0012】本発明の4−ヒドロキシビフェニル誘導体の製造方法の第二工程においては、酸発生物質として触媒を用いることが好ましく、該触媒としては、例えば、パラトルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ベンゼンジスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸等のアリールスルホン酸類や硫酸、燐酸、りんタングステン酸、りんモリブデン酸、ケイタングステン酸、ケイモリブデン酸、活性白土、強酸性樹脂触媒等の酸性触媒、上記酸性触媒のエステル、上記酸性触媒と塩基との塩、三臭化アルミニウム、三塩化アルミニウム、三臭化ガリウム、三塩化ガリウム、三塩化鉄、五塩化アンチモン、四塩化錫、四塩化チタニウム、二塩化亜鉛、二塩化マグネシウム等のルイス酸等が挙げられ、これらは一種類又は2種類以上混合で用いてもよく、その使用量はモル比で前記一般式(4)で表される中間体化合物1に対して0.01〜1.0が好ましく、0.1〜0.5がより好ましい。溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、フェノール、アニソール、クレゾール、エチルフェノール、フェノキシエタノール、キシレノール、グアヤコール、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族系溶媒、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、パラフィン系溶媒等の脂肪族系溶媒が挙げられ、これらは一種類又は二種類以上混合して用いられる。また、反応温度は、使用する溶媒によるが、60℃以上が好ましく、反応時間が短縮できるので150℃以上がより好ましい。【0013】また、本発明の4−ヒドロキシビフェニル誘導体の製造方法において、反応触媒及び反応溶媒の種類及び使用量、2,6−置換フェノールとハロゲン化ベンゼン誘導体との反応割合、反応温度、反応時間等の反応条件は、製造する化合物により適宜設定される。【0014】【実施例】以下、実施例を示して、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。【0015】〔実施例1〕4−ヒドロキシ−4’−シアノビフェニルの合成;2000mlの4つ口フラスコに、2,6−ジ−t−ブチルフェノール82.4g、p−クロロベンゾニトリル55.2g、t−ブトキシカリウム49.2g、スルホラン720g、テトラブチルアンモニウムハイドロサルフェート12.0gを仕込み、窒素気流下、オイルバスで内温が150℃になるように加熱した。8時間後減圧してスルホランを留去した後、トルエン600gに溶解し、塩酸水溶液でpHが中性になるまで洗浄した。トルエン層を取り、トルエンを留去した後、残留物をヘキサン500gで再結晶して、中間体である4−(4’−シアノフェニル)−2,6−ジ−t−ブチルフェノール90.0gを得た(収率72.9%)。以下に分析結果を示す。 H−NMR測定結果:(シフト;ピーク形状;プロトン数)(1.48;s;18)、(5.40;s;1)、(7.40;s;2)、(7.45〜7.83;m;4)CHN元素分析結果:(C%:H%:N%)(82.0:8.2:4.6) 理論値(82.04:8.20:4.55)【0016】中間体である4−(4’−シアノフェニル)−2,6−ジ−t−ブチルフェノール20g、トルエン300g、表1に記載の各触媒を上記中間体に1モルに対して0.25モル、500mlの4つ口フラスコに仕込み、トルエン還流下で4時間反応させた。濾過して触媒を除き、トルエンを留去した残留物をメタノール50gから再結晶して4−ヒドロキシ−4’−シアノビフェニルを得た。結果(収量及び収率)を表1に示す。尚、得られた化合物の分析結果は、NMRではすべて同じであり、CHN元素分析ではほぼ一致した。 1H−NMR測定結果:(シフト;ピーク形状;プロトン数)(5.42;s;1)、(7.36〜7.51;m;4)、(7.52〜7.83;m;4)CHN元素分析結果:(C%:H%:N%)(80.0〜79.7:4.5〜4.7:7.2〜7.3)理論値(80.0:4.65:7.17)【0017】【表1】【0018】〔実施例2〕3,5−ジフルオロ−4−シアノ−4’−ヒドロキシビフェニルの合成;2000mlの4つ口フラスコに、2,6−ジ−t−ブチルフェノール82.4g、2,6−ジフルオロ−4−ブロモベンゾニトリル87.2g、t−ブトキシカリウム49.2g、N−メチル−2−ピロリドン800g、テトラブチルアンモニウムブロミド12.0gを仕込み、窒素気流下、オイルバスで内温が150℃になるように加熱した。10時間後減圧してN−メチル−2−ピロリドンを留去した後、トルエン600gに溶解し、塩酸水溶液でpHが中性になるまで洗浄した。トルエン層を取り、トルエンを留去した後、残留物をヘキサン600gで再結晶して、中間体である4−(3’、5’−ジフルオロ−4’−シアノフェニル)−2,6−ジ−t−ブチルフェノール96.8gを得た(収率56.09%)。以下に分析結果を示す。 1H−NMR測定結果:(シフト;ピーク形状;プロトン数)(1.50;s;18)、(5.39;s;1)、(7.41;s;2)、(7.66;s;2)CHN元素分析結果:(C%:H%:N%)(73.5:6.7:4.1) 理論値(73.44:6.75:4.08)【0019】中間体である4−(3’、5’−ジフルオロ−4’−シアノフェニル)−2,6−ジ−t−ブチルフェノール20g、IP1620(脂肪族混合溶媒)120g、表2記載の各触媒を上記中間体に1モルに対して0.25モル(ナフタレンジスルホン酸は0.125モル)、200mlの4つ口フラスコに仕込み、溶媒還流下で4時間反応させた。希アルカリ水で水洗、pHを6〜7に調整した後、溶媒を留去した。残留物をメタノール50gから再結晶して3,5−ジフルオロ−4−シアノ−4’−ヒドロキシビフェニルを得た。結果(収量及び収率)を表2に示す。尚、得られた化合物の分析結果は、NMRではすべて同じであり、CHN元素分析ではほぼ一致した。 1H−NMR測定結果:(シフト;ピーク形状;プロトン数)(5.39;s;1)、(7.33〜7.64;m;4)、(7.70;s;2)CHN元素分析結果:(C%:H%:N%)(67.4〜67.6:3.1〜3.0:6.2〜6.0)理論値(67.53:3.05:6.06)【0020】【表2】【0021】【発明の効果】本発明の製造方法によれば、安全かつ低コストの4−ヒドロキシビフェニル誘導体を得ることができる。 下記一般式(1)で表される4−ヒドロキシビフェニル誘導体の製造方法であって、第一工程として、塩基の存在下、下記一般式(2)で表される2,6−置換フェノール誘導体と、下記一般式(3)で表されるハロゲン化ベンゼン誘導体とをカップリング反応させて、下記一般式(4)で表される中間体を得た後、第二工程として、酸発生物質の存在下、該中間体化合物の置換基R4 及びR5 を脱離させることにより、上記一般式(1)で表される化合物を得ることを特徴とする4−ヒドロキシビフェニル誘導体の製造方法。(式中、R1 、R2 、R3 は、同一でも異なってもよく、水素原子、フッ素原子、R’が水素原子或いは炭素原子数1〜12の炭化水素である−CH2 −R’、ニトロ基、シアノ基、アルデヒド基又はR”が炭素原子数1〜12の炭化水素基である−CO−R”基を表す)(式中、R4 、R5 は、同一でも異なってもよく、炭素数3〜10の二級又は三級のアルキル基、炭素数4〜10の二級又は三級のアルケニル基、炭素数8〜18のアラルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基を表す)(式中、Xは、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表す) 上記一般式(1)において、R1 〜R3 の少なくとも一つが、シアノ基である請求項1記載の製造方法。 上記一般式(2)において、R4 、R5 が、炭素数3〜10の二級又は三級のアルキル基である請求項1又は2記載の製造方法。 上記酸発生物質が、酸性触媒、酸性触媒のエステル化合物、酸性触媒と塩基との塩、ルイス酸から選ばれる触媒である請求項1、2又は3記載の製造方法。