生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_ペニシリン結晶及びその製造法
出願番号:2000244288
年次:2006
IPC分類:C07D 499/00


特許情報キャッシュ

島林 昭裕 河原 一郎 JP 3743822 特許公報(B2) 20051202 2000244288 20000811 ペニシリン結晶及びその製造法 大塚化学ホールディングス株式会社 000206901 大鵬薬品工業株式会社 000207827 三枝 英二 100065215 掛樋 悠路 100076510 小原 健志 100086427 中川 博司 100090066 舘 泰光 100094101 斎藤 健治 100099988 藤井 淳 100105821 関 仁士 100099911 中野 睦子 100108084 島林 昭裕 河原 一郎 20060208 C07D 499/00 20060101AFI20060119BHJP JPC07D499/00 C07D499/00 CA(STN) REGISTRY(STN) 特開平01−132588(JP,A) 特開平01−135787(JP,A) 特開昭64−006283(JP,A) 特開昭64−042486(JP,A) 特表平08−505645(JP,A) 1 2002053581 20020219 11 20000811 渡辺 仁 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、ペニシリン結晶及びその製造法に関する。更に詳しくは、本発明は、2−メチル−2−トリアゾリルメチルペナム−3−カルボン酸ジフェニルメチルエステルの結晶及びその製造法に関する。【0002】【従来の技術】2−メチル−2−トリアゾリルメチルペナム−3−カルボン酸ジフェニルメチルエステル(以下特に断らない限り「TMPB」と略記する)は、式【0003】【化2】【0004】で表されるタゾバクタムを合成するための中間体として有用な化合物である。【0005】タゾバクタム等のβ−ラクタマーゼ阻害剤は、それ自体の抗菌活性は極めて弱く、単独では抗菌剤として使用されることはないが、細菌が産出する各種のβ−ラクタマーゼと不可逆的に結合してその活性を阻害する作用を有している。【0006】このため、β−ラクタマーゼ阻害剤は、通常、β−ラクタマーゼに不活性化される既存の各種抗生剤と併用され、β−ラクタマーゼ産生菌に対しても該各種抗生剤本来の抗菌作用を発揮させることができる(最新抗生物質要覧、第10版、酒井克治著、第113頁)。【0007】タゾバクタムは、3位に1,2,3−トリアゾリルメチル基を有する化学構造の化合物であり、合成の際には、TMPB、2−メチル−2−トリアゾリルメチルペナム−3−カルボン酸p−ニトロベンジルエステル等の合成中間体を経由することが不可欠である。とりわけTMPBを用いると、工業的に簡易且つ安価な方法により、高純度のタゾバクタムを高収率で得ることができる。【0008】従来TMPBは、例えば、特公平7−121949号公報に記載の方法に従い、2−クロロメチル−2−メチルペナム−3−カルボン酸ジフェニルメチルエステルと1,2,3−トリアゾールとを塩基の存在下溶媒中にて反応させた後、溶媒を留去し、塩化メチレンで抽出し、塩化メチレンを留去し、必要に応じて得られる残渣をシリカゲルカラム等を用いたクロマトグラフィーに付することにより製造されている。ここで、溶媒としては、アセトン、アセトニトリル等の有機溶媒又はこれらの有機溶媒と水との混合溶媒が使用されている。【0009】しかしながら、該公報に記載の方法で得られるTMPBを含む固形物は、その分子内に求核反応性を有する1,2,3−トリアゾール骨格を有することから不安定であり、例えば室温で保管すると自己分解を起して品質が著しく低下するという欠点がある。通常、医薬品の中間体には、長期間に亘って高純度を維持し、常温保存等の温和且つ経済的な条件下で分解、変質等を起すことなく、安定に取扱いできることが望まれているため、上記方法で得られるTMPB含有固形物は、医薬品中間体としては好ましくない。【0010】また、特開平8−53462号公報、特にその実施例3によれば、2−メチル−2−アミノメチルペナム−3−カルボン酸ジフェニルメチルエステルと2,2−ジクロロアセトアルデヒド−p−トルエンスルホニルヒドラゾンとを室温下にメタノール中で反応させ、反応混合物を濃縮し、残渣を塩化メチレンに溶解して濾過し、濾液を濃縮し、残渣を酢酸エチルとヘキサンとの混合溶媒(1:1)で結晶化することにより、TMPBを87%の収率で製造している。【0011】しかしながら、このような方法で得られるTMPBの粉末は明確なX線粉末回折パターンを有しておらず、アモルファスである。このTMPB粉末は、上記TMPB含有固形物と同様に不安定であり、室温で長期間保存すると分解して品質低下を起すのを免れることができない。【0012】【発明が解決しようとする課題】本発明は、安定性に優れ、室温で長期間保存しても分解して品質低下を起す虞れのないTMPB物質を提供することを課題とする。【0013】【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、従来のTMPB含有固形物及びアモルファス粉末とは異なった特性を有する、2−メチル−2−トリアゾリルメチルペナム−3−カルボン酸ジフェニルメチルエステルの結晶を得ることに成功し、ここに本発明を完成するに至った。【0014】本発明によれば、モノクロメーターを通したλ=1.5418Åの銅放射線で得られるX線粉末回折パターンで下記格子面間隔にピークを有することを特徴とする2−メチル−2−トリアゾリルメチルペナム−3−カルボン酸ジフェニルメチルエステルの結晶(以下この結晶を「ペニシリン結晶」という)が提供される。【0015】d(格子面間隔)9.026〜9.9777.192〜7.9496.056〜6.6944.810〜5.3174.662〜5.1534.509〜4.9844.193〜4.6354.120〜4.5544.043〜4.4473.801〜4.2013.602〜3.9813.421〜3.7813.031〜3.350本発明によれば、式【0016】【化3】【0017】〔式中、Phはフェニル基を示す。〕で表される2−メチル−2−トリアゾリルメチルペナム−3−カルボン酸ジフェニルメチルエステルを含む溶液を濃縮し、濃縮液を酢酸エステル類で希釈し、この希釈液をヘキサン類又はヘキサン類と酢酸エステル類とを含む溶媒と混合して、2−メチル−2−トリアゾリルメチルペナム−3−カルボン酸ジフェニルメチルエステルを晶析させることを特徴とするペニシリン結晶の製造法が提供される。【0018】本発明のペニシリン結晶は、結晶分子内に求核反応性を有する1,2,3−トリアゾール骨格を有しているにも拘わらず、1年以上の長期間にわたって室温で保存しても、分解や変質等を起すことなく安定であり、高純度を維持し、タゾバクタム等の医薬品の合成中間体として極めて有用である。【0019】本発明のペニシリン結晶を用いれば、純度99.9%以上のタゾバクタムを91%以上の高収率で製造することができる。【0020】【発明の実施の形態】本発明のTMPBは、式【0021】【化4】【0022】〔式中、Phは前記に同じ。〕で表される。【0023】本発明のペニシリン結晶は、TMPBの結晶から構成され、上記に示すX線粉末回折スペクトルのピークを有するものであるが、その一例としては、下記に示すX線粉末回折スペクトルを有するものを挙げることができる。【0024】本発明において、X線粉末回折スペクトルの測定は、株式会社リガク製のRINT2000/PCを用いて行った。【0025】本発明のペニシリン結晶は、TMPBを含む溶液を濃縮し、濃縮液を酢酸エステル類で希釈し、この希釈液をヘキサン類又はヘキサン類と酢酸エステル類とを含む溶媒と混合することにより製造できる。【0026】TMPBを含む溶液は、例えば、特公平7−121949号公報等に記載の公知の方法に従って調製できる。例えば、2−ハロメチル−2−メチルペナム−3−カルボン酸ジフェニルメタンエステルと1,2,3−トリアゾールとを溶媒中にて反応させた反応溶液を本発明のTMPBを含む溶液として使用してもよいし、或いは上記反応溶液から溶媒を留去し、得られる残渣を塩化メチレン等の適当な溶媒に溶解した溶液を本発明のTMPBを含む溶液として使用してもよい。【0027】2−ハロメチル−2−メチルペナム−3−カルボン酸ジフェニルメタンエステルと1,2,3−トリアゾールとを反応させるに当たり、1,2,3−トリアゾールの使用量は、2−ハロメチル−2−メチルペナム−3−カルボン酸ジフェニルメタンエステル1モルに対して通常1〜40倍モル当量程度、好ましくは15〜35倍モル当量程度とすればよい。反応溶媒としては、アセトン、アセトリトリル、塩化メチレン等の有機溶媒又はこれらの有機溶媒と水との混合溶媒が使用される。反応溶媒の使用量は特に制限されず、上記原料化合物2種を容易に溶解でき且つ反応に支障をきたさない量を適宜選択すればよい。この反応系には、塩基を存在させてもよい。塩基としては公知のものを使用でき、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、炭酸バリウム、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属炭酸塩、炭酸銀、炭酸銅等の銅族金属炭酸塩、酸化銅、酸化銀等の銅族金属酸化物、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化バリウム等のアルカリ土類金属酸化物、酸化亜鉛、酸化水銀等の亜鉛族金属酸化物、酸化アルミニウム、酸化タリウム等のアルミニウム族金属酸化物、シリカゲル、酸化錫、酸化鉛等の炭素族金属酸化物、酸化鉄、酸化コバルト、酸化ニッケル等の鉄族金属酸化物、水酸化銅、水酸化銀等の銅族金属水酸化物、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の有機アミン、陰イオン交換樹脂等を挙げることができる。これら塩基は1種を単独で使用でき又は必要に応じて2種以上を併用できる。塩基の使用量は特に制限されないが、2−ハロメチル−2−メチルペナム−3−カルボン酸ジフェニルメタンエステル1モルに対して、通常0.5〜2倍モル当量程度とすればよい。本反応は、通常0〜60℃程度、好ましくは室温〜40℃程度の温度下に行われる。【0028】TMPBを含む溶液の濃縮は、通常該TMPB含有溶液の液量が濃縮前の1/5〜1/2程度になるまで行えばよい。濃縮方法は特に制限されず公知の方法が採用でき、例えば、25〜80kPa程度の減圧下に濃縮すればよい。【0029】次いで、TMPB含有溶液の濃縮液(以下単に「濃縮液」という)に酢酸エステル類を加え、希釈液を得る。この時、後の工程の操作を簡便化する目的で、酢酸エステル類と共に他の溶媒を添加してもよい。【0030】酢酸エステル類としては公知のものを使用でき、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等の低級アルコール類と酢酸とのエステル類等を挙げることができる。これらの中でも、酢酸エチルが好ましい。酢酸エステル類は1種を単独で使用でき、また2種以上を併用できる。酢酸エステル類の使用量は特に制限されないが、濃縮液中に残存する有機溶媒100容量に対し、通常40〜240容量程度、好ましくは50〜150容量程度とすればよい。【0031】酢酸エステル類と共に添加する他の溶媒は特に制限はないが、濃縮液中に残存する溶媒と同種のものであることが好ましい。酢酸エステル類と共に他の溶媒を添加する場合、濃縮液中の残存溶媒と添加する他の溶媒との合計量100容量に対し、前記と同じ体積割合の酢酸エステル類を使用すればよい。【0032】なお、後の晶析工程での晶析率を向上させ、目的物である本発明ペニシリン結晶の収量を更に増加させるために、希釈液を繰り返し濃縮及び希釈してもよい。濃縮は前記と同様に行えばよい。2度目以降の希釈は、濃縮液に酢酸エステル類及び必要に応じて他の溶媒を添加することにより行われる。その際、濃縮液中には通常酢酸エステル類とそれ以外の溶媒とが残存している点に留意し、得られる希釈液中に、他の溶媒100容量に対して酢酸エステル類100〜800容量、好ましくは200〜600容量が含まれるようにすればよい。【0033】このようにして得られる希釈液をヘキサン類又はヘキサン類と酢酸エステル類とを含む溶媒と混合することにより、本発明のTMPB結晶からなるペニシリン結晶が晶析する。ヘキサン類としては公知のものを使用でき、例えば、n−ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等を挙げることができる。これらの中でも、n−ヘキサンが好ましい。酢酸エステル類としては前記と同様のものが使用でき、やはり酢酸エチルが好ましい。ヘキサン類及び酢酸エステル類はそれぞれ1種を単独で使用でき又は2種以上併用できる。【0034】ヘキサン類及び酢酸エステル類の使用量は特に制限されず、広い範囲から適宜選択すればよいが、ヘキサン類は、希釈液中の酢酸エステル類以外の溶媒100容量に対して通常100〜500容量程度、好ましくは150〜300容量程度(いずれも体積比)添加すればよい。酢酸エステル類は、希釈液中の酢酸エステル類以外の溶媒100に対して、通常100〜800容量程度、好ましくは200〜600容量程度添加すればよい。【0035】晶析の際の温度条件は特に制限されないが、晶析率を向上させ、ひいては本発明のペニシリン結晶の収量を増加させることを考慮すると、通常20℃以上、好ましくは22〜40℃程度で晶析を行うのがよい。【0036】晶析するTMPB結晶は、例えば、濾過、有機溶媒による洗浄、減圧乾燥等の公知の分離手段に従って、混合物中から容易に単離精製できる。有機溶媒による洗浄に使用される有機溶媒としては、例えば、酢酸エステル類、ヘキサン類、これらの混合溶媒等を挙げることができる。酢酸エステル類とヘキサン類とを混合する場合、その混合比は特に制限されないが、通常体積比で50:50程度にすればよい。減圧乾燥は、25〜40℃程度の温度下及び30〜0.1kPa程度の減圧下に行われる。【0037】本発明のペニシリン結晶は、下記反応式に示す方法等の公知の方法に従って、β−ラクタマーゼ阻害剤であるタゾバクタムに導くことができる。【0038】【化5】【0039】〔式中Phは上記に同じ。〕【0040】【実施例】以下に実施例及び参考例を挙げ、本発明を具体的に説明する。【0041】実施例11リットルのナス型フラスコに、2−メチル−2−トリアゾリルメチルペナム−3−カルボン酸ジフェニルメチルエステル約15gを含む塩化メチレン溶液300mlを入れ、減圧下に濃縮を行った。濃縮により留去された塩化メチレンは、−10〜−20℃の冷媒を還流させたコンデンサ内を通して液体として回収し、回収液体量が約210mlになった時点で、酢酸エチル43mlを添加した。更に、回収される有機溶媒の液量が約60mlに達するまで濃縮を続けた。この濃縮液をガスクロマトグラフィーで分析し、塩化メチレン量が10ml、酢酸エチル量が40mlとなるように塩化メチレン及び酢酸エチルを添加した。この希釈液に、その液温を22℃以上に保持しながらn−ヘキサン24mlを添加することにより、2−メチル−2−トリアゾリルメチルペナム−3−カルボン酸ジフェニルメチルエステルの結晶が析出した。【0042】この析出物を加圧下に濾取し、酢酸エチル/n−ヘキサン(体積比50:50)の混合溶剤40mlにて洗浄し、約40℃で減圧乾燥を行い、2−メチル−2−トリアゾリルメチルペナム−3−カルボン酸ジフェニルメチルエステルの結晶9.5gを製造した。【0043】この結晶について、モノクロメーターを通したλ=1.5418Åの銅放射線で得られるX線粉末回折パターンを測定したところ、下記の格子面間隔に強いピークを有していた。【0044】1H−NMR(CDCl3)δ:1.22(s,3H)、3.18(d,J=16Hz,1H)、3.68(dd,J=4.16Hz,1H)、4.59(m,2H)、4.86(s,1H)、5.42(d,J=4Hz,1H)、6.90(s,1H)、7.32(s,10H)、7.74(s,2H)。【0045】比較例11リットルのナス型フラスコに、2−メチル−2−トリアゾリルメチルペナム−3−カルボン酸ジフェニルメチルエステル15gを含む塩化メチレン溶液300mlを入れ、減圧下に濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけて再度濃縮し、固形物残渣を得た。このものは、NMRスペクトルから2−メチル−2−トリアゾリルメチルペナム−3−カルボン酸ジフェニルメチルエステルであることが確認されたが、モノクロメーターを通したλ=1.5418Åの銅放射線で得られるX線粉末回折パターンを測定したところ、明確なX線粉末回折パターンを有していなかった。【0046】比較例21リットルのナス型フラスコに、2−メチル−2−トリアゾリルメチルペナム−3−カルボン酸ジフェニルメチルエステル約15gを含む塩化メチレン溶液300mlを入れ、減圧下に濃縮した後、酢酸エチル:n−ヘキサン=1:1の混合溶媒で結晶化させ、2−メチル−2−トリアゾリルメチルペナム−3−カルボン酸ジフェニルメチルエステルの粉末結晶を得た。この結晶について、モノクロメーターを通したλ=1.5418Åの銅放射線で得られる粉末X線回折パターンを測定したところ、明確なX線粉末回折パターンを有しておらず、アモルファスであった。【0047】実施例2比較例1で得られた固形物残渣18gを、塩化メチレン280mlに溶解し、1リットルのナス型フラスコに入れ、以下実施例1と同様に操作し、2−メチル−2−トリアゾリルメチルペナム−3−カルボン酸ジフェニルメチルエステルの結晶9.5gを製造した。この結晶について、モノクロメーターを通したλ=1.5418Åの銅放射線で得られる粉末X線回折パターンを測定したところ、下記の格子面間隔に強いピークを有していた。【0048】参考例1実施例1のTMPB結晶、比較例1のTMPB含有固形物残渣及び比較例2のTMPB粉末結晶10gを、それぞれ試験管に入れ、密封して室温で1年間保存した後、その純度を調べたところ、実施例1:96%、比較例1:76%、比較例2:48%であった。【0049】参考例2塩化メチレン240mlの入った1リットルの四頚フラスコに2−メチル−2−トリアゾリルメチルペナム−3−カルボン酸ジフェニルメチルエステルを加え溶解した。これに90%酢酸水溶液120mlと過マンガン酸カリウム20gとを添加し、42℃付近にて3時間攪拌した。次いで、塩化メチレン340mlと水180mlとを加え、5℃まで冷却し、35%過酸化水素24mlを泡立ちに注意しながら滴下した。有機層を分取し、2%重亜硫酸ナトリウム水溶液で洗浄後、水洗した。有機層を乾燥し、減圧下に塩化メチレンを留去することにより、油状物が37.4g得られた。【0050】1リットルのナス型フラスコに2−メチル−2−トリアゾリルメチルペナム−3−カルボン酸1,1−ジオキシドジフェニルメチルエステルのアモルファス30gを秤とり、塩化メチレン580mlを加えて溶解した。減圧下に塩化メチレンの濃縮を行い、約420mlの塩化メチレンを留去した時点で、400mlのメタノールを添加し、更に濃縮を続け約200mlの塩化メチレンとメタノールの混合溶剤を留去した。5℃以下で1時間撹拌することにより、2−メチル−2−トリアゾリルメチルペナム−3−カルボン酸1,1−ジオキシドジフェニルメチルエステルが結晶体として析出した。このものを減圧濾過、メタノール洗浄を行った後、約40℃で減圧乾燥を行うと2−メチル−2−トリアゾリルメチルペナム−3−カルボン酸1,1−ジオキシドジフェニルメチルエステルの結晶体が28.5g得られた。【0051】得られた2−メチル−2−トリアゾリルメチルペナム−3−カルボン酸1,1−ジオキシドジフェニルメチルエステル(TAZB)10gを、50〜55℃に加温したm−クレゾール80mlに加え、その温度を維持しながら2時間反応させた。反応終了後、メチルイソブチルケトン240mlを加え、0〜5℃に冷却した。これに水23ml、炭酸水素ナトリウム2.3gを加えて抽出した。有機層には更に水12ml、炭酸水素ナトリウム0.7gを加えて再度抽出した。2度の抽出で分取した水層を合わせて、メチルイソブチルケトン18mlで洗浄し、0〜5℃に冷却し、6規定塩酸を加えてpH=1に調整した。析出物を濾取し、少量の冷水で洗浄し乾燥すると、タゾバクタムの白色結晶が得られた。純度99.9%。収率95%(TAZB基準)。 モノクロメーターを通したλ=1.5418Åの銅放射線で得られるX線粉末回折パターンで下記格子面間隔にピークを有する2−メチル−2−トリアゾリルメチルペナム−3−カルボン酸ジフェニルメチルエステル結晶の製造方法であって、式〔式中、Phはフェニル基を示す。〕で表される2−メチル−2−トリアゾリルメチルペナム−3−カルボン酸ジフェニルメチルエステルを含む溶液を濃縮し、濃縮液を酢酸エステル類で希釈し、この希釈液をヘキサン類又はヘキサン類と酢酸エステル類とを含む溶媒と混合して、2−メチル−2−トリアゾリルメチルペナム−3−カルボン酸ジフェニルメチルエステルを晶析させる方法。 d(格子面間隔) 9.026〜9.977 7.192〜7.949 6.056〜6.694 4.810〜5.317 4.662〜5.153 4.509〜4.984 4.193〜4.635 4.120〜4.554 4.043〜4.447 3.801〜4.201 3.602〜3.981 3.421〜3.781 3.031〜3.350


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