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タイトル:特許公報(B2)_フッ化物単結晶の検査方法
出願番号:2000240839
年次:2010
IPC分類:G01N 21/27,G02B 1/02,G03F 7/20,H01L 21/027,H01S 3/00


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塩澤 正樹 JP 4419291 特許公報(B2) 20091211 2000240839 20000809 フッ化物単結晶の検査方法 株式会社ニコン 000004112 四宮 通 100096770 塩澤 正樹 20100224 G01N 21/27 20060101AFI20100204BHJP G02B 1/02 20060101ALI20100204BHJP G03F 7/20 20060101ALI20100204BHJP H01L 21/027 20060101ALI20100204BHJP H01S 3/00 20060101ALI20100204BHJP JPG01N21/27 ZG02B1/02G03F7/20 502G03F7/20 521H01L21/30 515DH01S3/00 F G01N 21/17-21/61 G02B 1/02 特開平10−001310(JP,A) 特開2000−081367(JP,A) 特開平11−211613(JP,A) 特開平10−330114(JP,A) 特開2000−119098(JP,A) 特開平11−083676(JP,A) 特開2000−216459(JP,A) 4 2002055046 20020220 21 20070524 尾崎 淳史 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、200nm以下の波長の光、例えばArFエキシマレーザ、F2レーザ、固体レーザ等を光源とする装置、例えば投影露光装置、CVD装置、レーザ加工装置などの光学系に用いられるレンズ、プリズム、プレート等の光透過性の光学部材に関し、特にフッ化物単結晶からなる光学部材に関するものである。【0002】また、本発明は、このような光学部材に用いられるフッ化物単結晶の検査方法、更には投影露光装置に関するものである。【0003】【従来の技術】LSIなどの半導体デバイスでは高集積化が進み、光を用いた露光が行われている。光リソグラフィー工程では、投影露光装置を用い、マスク上に描かれたパターンをレンズでウエハ上に転写する方法が主に行われている。一般に、転写パターンの解像力はレンズの開口数、および露光する光の波長の逆数に、それぞれ比例して向上する。しかし、レンズの開口数を上げるには大口径のレンズが必要となり製造に限界がある。そこで、光リソグラフィーの解像力を向上させるためには、光源の波長を短くすることが有効である。【0004】このため、これまでg線(436nm)やi線(365nm)を光源とする露光装置が使用されてきたが、現在ではKrFエキシマレーザー(248nm)を光源とする露光装置が広く使用されている。さらに、真空紫外光であるArFエキシマレーザ(193.4nm)が搭載された露光装置が実用化され始めている。最近では、さらに波長の短いF2レーザ(157.6nm)を光源とした露光装置も期待されている。【0005】g線やi線を光源とする露光装置では、レンズ材料として光学ガラスが使用されてきた。しかし、300nm以下の紫外域の光源に対しては、光透過性の観点から、光学ガラスはもはやレンズ材料として使用できない。この領域の光に対しては合成石英ガラスやフッ化物結晶が使用できる。たとえば、KrFエキシマレーザーの露光装置では、大きな口径が得やすいなどの利点から合成石英ガラスが使用されている。【0006】200nm以下の波長域(真空紫外波長域)の光に対しても、合成石英ガラスとフッ化物結晶が使用できると考えられている。特に光透過性に優れたフッ化カルシウム結晶等のフッ化物結晶が注目されるようになっている。【0007】160nm以下の領域では、合成石英ガラスであっても光透過性に不足があるため使用できなくなり、フッ化カルシウム結晶などのフッ化物結晶だけが使用可能であるとされている。たとえば、F2レーザーを光源とした露光装置にはフッ化カルシウム結晶やフッ化バリウム結晶が期待されており、特にフッ化カルシウム結晶が実用的であると考えられている。【0008】露光装置で使用される光学材料には、光透過性に優れていること、複屈折が小さく大口径であること、という品質が要請されている。フッ化物結晶についても同様である。【0009】まず、光透過性に優れていることという要請に関してであるが、これは一般に、光学材料内部に起因する散乱や吸収による透過損失が少ないものほど良いといわれている。【0010】吸収による透過損失は、光エネルギーが電子遷移によって熱エネルギーに変わり、レンズ等の屈折率分布を変動させたり変形を引き起こすことがあり、結像特性そのものに直接大きな影響を与えるといわれている。【0011】一方、散乱による透過損失は、結像特性そのものに直接大きな影響を及ぼすことはないといわれている。すなわち、もし光学材料に非常に強い散乱があれば、散乱により発生した微弱な迷光が像のコントラストを低下させることもあり得る。しかし、散乱の場合、入射した光のエネルギーが材料内部で熱エネルギーに変化することはあまりないため、結像特性そのものに直接大きな影響をおよぼすことはないといわれている。【0012】光学ガラスやプラスチックなどでは、レーリー散乱などの散乱が存在することが知られているが、この散乱でさえ吸収に比べると非常に小さいので、透過損失の大半は吸収損失であると考えられている。さらに、結晶であるフッ化物結晶では、このようなレーリー散乱は本質的に存在しないといわれている。【0013】そこで、従来は、フッ化物結晶における透過損失は、吸収損失のみであって、散乱損失は含まないものと考えられていた。【0014】このように、従来は、フッ化物結晶における透過損失は、結像特性に直接大きな影響を及ぼす吸収損失のみであって、散乱損失は含まないものと考えられていた。【0015】光透過性に優れたフッ化物結晶を得ることは、詳細は後述するが、製造工程の一部で透過率を基準とした検査に基づく選別操作を行うことで可能である。透過率は分光光度計などで測定して得られる値であり、光透過性の定量表現である。【0016】次に、複屈折が小さく大口径であることという要請に関してであるが、これを満たすには、一般に単結晶であることが必要である。つまり、単に口径が大きなだけでは不十分である。単結晶の集合体のことを多結晶という。もしフッ化物結晶が単結晶ではなく、多結晶であるとすると、隣接する単結晶の界面に歪が残留し、大きな複屈折を示す。また、その界面付近の屈折率分布が不連続になるなどしてレンズ等を構成した場合に結像性能が不十分となる。したがって、露光装置で使用される光学材料には、多結晶のフッ化物結晶ではなく、フッ化物単結晶が用いられる。【0017】フッ化物単結晶は、普通ブリッジマン法で製造されている。たとえば、フッ化物単結晶のうちのひとつであるフッ化カルシウム単結晶の製造方法は、「結晶成長ハンドブック(1995年9月1日初版1刷発行P583)」の中で、ブリッジマン・ストックバーガー法(B−S法)として紹介されている。そこで開示されている内容の概要は、以下のとおりである。【0018】ブリッジマン法とは、炉内に設定された温度勾配中をルツボが降下することによって、ルツボ中の融液を結晶化させる方法である。ルツボ、ヒータ、断熱材、ベルジャ、排気機構、降下機構からなる結晶成長炉を用いる。また、フッ化カルシウム単結晶の成長には、ブリッジマン法だけでなく、引き上げ法やゾーンメルト法での成長も可能であると示されている。【0019】このようにして製造された塊をインゴットと呼ぶ。インゴットの一部を円柱状などの部材として切り出すか、あるいはさらに適当な間隔で輪切りにするなどして円柱状などの部材として切り出す。このような部材は、研磨加工やコーティングを施して、レンズなどの光学部材とする。さらに、光学設計に従って、レンズ群などを形成し光学系とする。【0020】以下、露光装置の光学部材の材料として用いるフッ化物単結晶として、フッ化カルシウム単結晶の製造方法について説明する。このフッ化カルシウム単結晶を製造する工程は、おもに次の3つの工程▲1▼〜▲3▼からなる。先に述べたブリッジマン法による単結晶化は、下記工程▲2▼に当たる。【0021】工程▲1▼:原料を脱酸素化して前処理品を得る工程、工程▲2▼:結晶成長させ単結晶のインゴットを得る工程、工程▲3▼:複屈折を低減させるために熱処理を行い熱処理品を得る工程【0022】まず、前記工程▲1▼について述べる。【0023】紫外や真空紫外域で使用されるフッ化カルシウム単結晶をブリッジマン法で製造する場合、原料に天然のフッ化カルシウムを使用することはなく、人工合成の高純度の粉末の原料を使用する。このような原料であっても原料のみを融解して結晶化すると白濁して失透する傾向を示すため、スカベンジャーとよばれる試薬を添加して加熱することにより、白濁を防止する処置を施す。含有する不純物と化学反応し、これを取り除く作用をする添加物質のことを、一般にスカベンジャーという。【0024】フッ化カルシウム単結晶を製造するための代表的なスカベンジャーとしては、フッ化鉛が挙げられる。フッ化鉛は、フッ化カルシウム単結晶中に含まれる不純物である酸素と反応して酸化鉛となる。生成した酸化鉛は高温で揮発するため、フッ化カルシウム単結晶から酸素を取り除くことができる。白濁による失透は、フッ化カルシウム単結晶に含まれる酸素が原因であると考えられているため、この酸素を除去することにより失透を防止することができる。【0025】原料とスカベンジャーとを反応させる手順を説明すると、スカベンジャーと混合された粉末原料を黒鉛製などの清浄な容器に充填し、十分な真空排気のもとフッ化カルシウム融点程度まで温度を上げ脱酸素化反応を進める。その後は、室温まで降温し前処理品とする。【0026】次に、前記工程▲2▼について述べる。【0027】結晶成長の方法には、一般に、融液の固化、溶液からの析出、気体からの析出、固体粒子の成長、に大別できることが広く知られている。中でもよく行われているのは、前記工程▲1▼により得た前処理品をいったん融解し、融液から固化させることにより結晶成長させる方法である。融液から固化させることにより結晶成長を進める方法のひとつが、ブリッジマン法である。【0028】前述したようにブリッジマン法とは、融点より高い温度に制御された高温部(上部)と融点より低い温度に制御した低温部(下部)からなる温度分布中を、上部から下部へと融液(容器)を引き下げて結晶化させる方法である。以下、ブリッジマン法でフッ化カルシウム単結晶を成長させる手順を説明する。【0029】前記工程▲1▼により得た前処理品を黒鉛製などの清浄な容器に充填し、真空排気が可能なブリッジマン装置の所定の位置に設置する。十分な真空排気のもと、通電加熱などの加熱手段により、前処理品の温度を上昇させ融解させる。融点に到達した後は、温度の安定を待って数時間程度経過させた後に結晶化(引下げ)を開始する。引下げは1時間あたり0.1mmから5mm程度の速度で行う。引下げが進み融液すべてが結晶化したら、室温まで徐冷してインゴットとして取り出す。【0030】この工程▲2▼により得られたインゴットの一部を切断し、強力な照度の集光灯を利用して内部を肉眼で観察する。この観察の結果、内部に光を散乱するような微小粒(微小な粒状に見えるもの)が存在することがある。この微小粒は、結晶の欠陥等であると考えられる。微小粒が生ずる原因は不明であるが、温度の揺らぎなど結晶成長時の条件の変動によるものと思われる。【0031】このような微小粒ではないが、このような微小粒に類するものとして、光学ガラスの泡や異物がある。光学ガラスの泡や異物を測定する方法は日本光学硝子工業会規格(JOGIS)にあり、いずれも光学ガラス中に存在する泡や異物の直径と個数を測定して分類するものである。実際の使用にあたって、光学ガラスの泡や異物がどのような影響をおよぼすのかは、不明である。【0032】フッ化カルシウム単結晶についても同様で、前記微小粒が光学的にどのような影響を持つのかはわかっていない。前述したような肉眼観察を行って、あまり大量の微小粒がなければ、インゴットを適切な形状に切断し、さらにまるめ加工などの成型加工を行って部材とし、前記工程▲3▼へ進む。【0033】次に、前記工程▲3▼について述べる。【0034】熱処理する際の部材(前記工程▲2▼の後にインゴットから切り出されて成型加工された部材)は、あらかじめ形状と大きさ共に、目的とする光学部材と同程度に加工されている。たとえば光学レンズが目的の場合には薄い円柱状であり、その口径と厚さは光学レンズにあわせて決められることが多い。熱処理する際の雰囲気は、酸素や水分を避けると良いとされている。また、熱処理する際の雰囲気は、フッ化カルシウムと高温でむやみに反応しない方が良い。このため、熱処理は、真空雰囲気、不活性ガス雰囲気、あるいはフッ素雰囲気で行われる。熱処理する際の温度は1000℃程度である。まず、部材の温度を室温から徐々に上昇させ、たとえばその1000℃程度の一定温度で1日程度保持する。その後徐々に温度を降下させ、室温まで徐冷する。【0035】熱処理中は温度むらがないことが必要であるため、部材は熱伝導性の良好な黒鉛製などの容器に収容される。この容器の周囲に加熱手段を設ける。室温まで降温したら部材を取り出す。このように熱処理が完了した部材(熱処理品)は、十分に徐歪され、複屈折性が低減されている。【0036】以上説明した工程▲1▼〜▲3▼により、露光装置の光学部材の材料として用いるフッ化カルシウム単結晶が完成する。しかしながら、このようにして製造されたフッ化カルシウム単結晶が常に所望の特性を有しているとは限らない。【0037】そこで、従来は、次のような方法で、フッ化カルシウム単結晶を検査していた。【0038】すなわち、前述したように前記工程▲2▼により得たインゴットから前記部材を得たが、同じインゴットから、前記部材とは別に小さな成形品を製作する。この成型品から、透過率を測定する際の被測定物として、テストピースと呼ばれるサンプルを製作する。つまり、光学材料向けの円柱状部材とは別に、それと同一のインゴットからテストピースを製作する。テストピースは、普通、分光光度計などの測定装置の試料室内に設置することが可能なような適切な大きさと形状に成形加工されている。また、テストピースの向かい合う平行な2面は、鏡面状に研磨しておく。【0039】このようなテストピースの透過率を測定することによって、製造されたフッ化カルシウム単結晶の部材の光透過性を定量評価することができる。そこで、その光透過性が所定水準を満たしているか否かを判定することによって、当該部材を検査していた。すなわち、所定水準を満たしている場合には、当該テストピースと同じインゴットから得た前記部材は露光装置の光学部材の材料として適すると評価する一方、所定水準を満たしていない場合には、当該テストピースと同じインゴットから得た部材は、不適であると評価し露光装置の光学部材の材料として用いない。【0040】光透過性の具体的な水準については、以下のとおりであった。つまり、光透過性は可能な限り高いことが良いとされているため、使用する光の波長において、フッ化カルシウム単結晶の部材の光路1cmあたりの内部透過率が99.8%以上であるか否かが、露光装置の光学部材の材料として使用可能であるか否かを判定する基準とされていた。たとえば、フッ化カルシウム単結晶をArFエキシマレーザを光源とした露光装置を構成するレンズ等の光学部材に使用しようとする場合、このような短い波長であるにもかかわらず、波長193.4nmにおける内部透過率が99.8%/cm以上のものを選別して採用していたのである。【0041】ここで内部透過率について説明する。内部透過率とは表面での反射などを含まない、材料自体の透過率のことを指し、材料の透過損失がまったくない場合には百分率で100%と示し、材料がまったく光を通さない場合には百分率で0%となる。内部透過率が99.8%/cmであるとは、光路1cmあたりの透過損失が0.2%であることと同じである。ただし、透過損失が吸収による透過損失であるのか、あるいは散乱による透過損失であるのかは、この透過率測定結果から判別することはできない。【0042】内部透過率は、表面での反射を含んだ透過率から算出して求めることができる。分光光度計から測定して得られる透過率Tは、表面での反射を含んでいる。透過率Tと内部透過率τとは、下記の数1の関係があることから、透過率Tから内部透過率τへの換算は容易である。ただし、数1中のRは反射率であり、雰囲気の屈折率n0と被測定物の屈折率nSによって下記の数2により決まる。なお、内部透過率が100%(τ=1)であるとした場合、反射含みの透過率Tは、反射率Rによって決まり、理論透過率T0と呼ばれることもある。その場合、理論透過率T0は下記の数3により表される。【0043】【数1】T={(1−R)2τ}/(1−R2τ2)【0044】【数2】R={(n0−nS)/(n0+nS)}2【0045】【数3】T0={(1−R)2}/(1−R2)【0046】ここで、内部透過率に関する測定誤差の見積を行う。通常反射率Rは約0.04程度、内部透過率τは約1程度であることから、Rは1やτと比較して十分に小さい。反射含み透過率Tの実測で発生する測定誤差の程度は、そのまま内部透過率τの誤差に伝播するとみなして良い。【0047】これは、内部透過率99.8%/cmなどの精密な検査を行うには、0.1%の桁で検討を行うことが必要であることはいうまでもないが、反射含み透過率Tについても同様に0.1%の桁で精密な透過率の測定を行う必要があることを示している。【0048】このような測定を分光光度計で行おうとする場合には、波長スキャンによる分光透過率を測定するのではなくて、目的とする波長に固定して透過率を測定する定点測定が行われている。【0049】以上説明したフッ化カルシウム単結晶の従来の検査方法を、図4にフローチャートとして示した。従来の検査方法を図4に即して簡単に説明すると、まず、当該露光装置で目的とする波長での前記テストピースの反射含み透過率を分光光度計で実測し、実測された反射含み透過率を前記数1及び数2に従って換算することにより、テストピースの内部透過率Aを測定する(ステップS1)。次に、この内部透過率Aが99.8%/cm以上であるか否かを判定し(ステップS2)、99.8%/cm以上である場合には、当該テストピースと同じインゴットから得た前記部材は当該露光装置の光学部材の材料として適すると評価し(ステップS3)、99.8%/cm未満である場合には、当該テストピースと同じインゴットから得た部材は、当該露光装置の光学部材の材料として適さないと評価し(ステップS4)、検査を終了する。【0050】検査の結果、「適」の場合には、もとのインゴットから採取した部材は紫外光露光装置を構成する光学部材に好適な材料として、研磨加工やコーティングを施してレンズなどの光学部材を製作する。「不適」の場合、もとのインゴットは、当該紫外光露光装置の光学部材には用いず、不良品として処分される。【0051】ArFエキシマレーザを光源とした露光装置を目的したフッ化カルシウム単結晶についていえば、波長193.4nmでの内部透過率は99.4〜100.0%/cm程度である。これらすべてを露光装置の光学部材に使用することはなく、光学部材に使用しているのはこれらのうちの一部である。【0052】【発明が解決しようとする課題】前述したように、従来の検査方法では、内部透過率が99.8%/cm以上であるという光透過性に関する非常に高い水準を設定することにより、真空紫外光を用いた露光装置の所望の光学特性を確保していた。【0053】しかしながら、このように高い水準を設定していたため、製造したフッ化カルシウム単結晶のうち前記水準を満たさずに不良品して処分されるものの率がかなり高く、歩留りが低かった。このため、予定数量の未達により露光装置の生産計画を乱したり、フッ化カルシウム単結晶を製造するための装置への設備投資の増大を引き起こすなどの問題があった。【0054】そこで、フッ化カルシウム単結晶の検査基準を内部透過率99.8%/cmより低く設定することが考えられる。しかし、むやみに検査基準を低くすると、その検査に合格したフッ化カルシウム単結晶であっても、当該フッ化カルシウム単結晶による光学部材を使用した露光装置おいて所望の光学特性が得られないという事態を招く場合がある。【0055】以上の説明では、材料がフッ化カルシウム単結晶である場合を例に挙げて説明し、また、その材料を用いた光学部材を露光装置に使用する場合を例に挙げて説明したが、前述した説明は、材料がフッ化カルシウム単結晶以外の他のフッ化物単結晶である場合や、フッ化物単結晶を用いた光学部材を露光装置以外の200nm以下の波長の光を光源とする種々の装置に使用する場合についても、同様である。【0056】本発明は、前述した事情に鑑みてなされたもので、フッ化物単結晶の歩留りを向上させることができ、しかも、フッ化物単結晶を用いた光学部材を使用する装置において所望の光学特性が得られないという事態を招くことがないフッ化物単結晶の検査方法を提供することを目的とする。【0057】また、本発明は、従来の検査方法に従えば不良品として処分されていたようなフッ化物単結晶でありながら、本来的に十分な特性を有しているフッ化物単結晶を用いた光学部材及び投影露光装置を提供することを目的とする。【0058】【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明の第1の態様によるフッ化物単結晶の検査方法は、200nm以下の特定波長の光を透過する光学部材に用いられるフッ化物単結晶の検査方法であって、第一の波長α(nm)と第二の波長β(nm)とがα≦200≦βでかつ(β−α)≧15の関係にある場合において、前記フッ化物単結晶の前記第一の波長αでの内部透過率A(%/cm)と前記フッ化物単結晶の前記第二の波長βでの内部透過率B(%/cm)とから、C=A+(100−B)の式により得られる値C(%/cm)が、99.8%/cm以上であるか否かを判定する段階を含み、前記値Cが99.8%/cm以上であることを必要条件として、当該フッ化物単結晶を前記光学部材の材料として適すると評価するものである。【0059】前記フッ化物単結晶は、フッ化リチウム単結晶(LiF)、フッ化マグネシウム単結晶(MgF2)、フッ化カルシウム単結晶(CaF2)、フッ化ストロンチウム単結晶(SrF2)、フッ化バリウム単結晶(BaF2)を含む。【0060】前記第一の波長αは前記特定波長と一致させてもよいし、必ずしも一致させなくてもよい。【0061】前記値C(%/cm)が99.8%/cm以上であるか否かの判定は、予め求めた値Cが99.8%/cm以上であるか否かを直接的に判定することにより行ってもよいし、その判定と等価である判定、例えば、B−A≦0.2%/cmであるか否かの判定を行うことにより、行ってもよい。後者の場合、必ずしも値Cを求める必要はない。【0062】前記第一の波長αは140nm以上であってもよい。前記第二の波長βは200nm以上であってもよい。また、前記第二の波長βは400nm以下であってよい。【0063】以上の点は、後述する本発明の各態様についても同様である。【0064】本発明の第2の態様によるフッ化物単結晶の検査方法は、前記第1の態様において、前記内部透過率Aが99.6%/cm以上であるか否かを判定する段階を含み、前記内部透過率Aが99.6%/cm以上であることを必要条件として、当該フッ化物単結晶を前記光学部材の材料として適すると評価するものである。【0065】なお、本発明では、前記第2の態様において99.6%/cmを99.7%/cmに置き換えたものとしてもよい。【0066】本発明の第3の態様によるフッ化物単結晶の検査方法は、前記第一の波長αが193.4nm又は157.6nmであるものである。【0067】ArFエキシマレーザを光源とする装置においてフッ化物単結晶を使用する場合には、前記第3の態様のように、その光源光の波長に合わせて第一の波長αを193.4nmとすることが好ましい。この場合、第二の波長βは、例えばi線の波長365.1nmとすることができる。また、F2レーザを光源とする装置においてフッ化物単結晶を使用する場合には、前記第3の態様のように、その光源光の波長に合わせて第一の波長αを157.6nmとすることが好ましい。この場合、第二の波長βは、例えば248.3nmとすることができる。これらの点は、後述する第8の態様についても同様である。【0068】本発明の第4の態様によるフッ化物単結晶の検査方法は、前記第1乃至第3のいずれかの態様において、前記フッ化物単結晶がフッ化カルシウム単結晶であるものである。【0069】本発明の第5の態様による光学部材は、フッ化物単結晶からなり200nm以下の特定波長の光を透過する光学部材であって、第一の波長α(nm)と第二の波長β(nm)とがα≦200≦βでかつ(β−α)≧15の関係にある場合において、前記フッ化物単結晶の前記第一の波長αでの内部透過率A(%/cm)が99.8%/cm未満であり、前記内部透過率Aと前記フッ化物単結晶の前記第二の波長βでの内部透過率B(%/cm)とから、C=A+(100−B)の式により得られる値C(%/cm)が、99.8%/cm以上であるものである。なお、本発明では、前記第5の態様において、前記内部透過率Aは99.7%/cm未満であってもよい。【0070】本発明の第6の態様による光学部材は、前記第5の態様において、前記内部透過率Aが99.6%/cm以上であるものである。【0071】本発明の第7の態様による光学部材は、前記第5又は第6の態様において、前記フッ化物単結晶が粒径10μm以上500μm以下の微小粒を含有するものである。【0072】本発明の第8の態様による光学部材は、前記第5乃至第7のいずれかの態様において、前記第一の波長αが193.4nm又は157.6nmであるものである。【0073】本発明の第9の態様による光学部材は、前記第5乃至第8のいずれかの態様において、前記フッ化物単結晶がフッ化カルシウム単結晶であるものである。【0074】本発明の第10の態様による光学部材は、前記第9の態様において、前記フッ化カルシウム単結晶に含有されるバリウムが0.02ppm未満、セリウムが0.01ppm未満、鉄が0.1ppm未満、マンガンが0.02ppm未満、鉛が0.1ppm未満、イットリウムが0.01ppm未満であるものである。【0075】本発明の第11の態様による投影露光装置は、光源からの所定の波長の光をパターンが形成されたマスク上に導き、該マスク上のパターンを基板上に投影露光する投影露光装置において、前記第5乃至第10のいずれかの態様による光学部材を含む光学系を備えたものである。【0076】【発明の実施の形態】[本発明の原理]【0077】本発明の実施の形態の説明に先立って、本発明の原理について説明する。【0078】以下、フッ化物単結晶としてフッ化カルシウム単結晶を例に挙げて説明するが、他のフッ化物単結晶についても同様である。また、フッ化物単結晶を用いたレンズ等の光学部材を使用する装置として露光装置を例に挙げて説明するが、他の装置についても同様である。【0079】従来は、露光装置で使用する光源の波長、すなわち目的とする波長単一でフッ化カルシウム単結晶の精密な透過率測定を実施してきたのであるが、本発明では、従来の単一波長での精密な透過率測定に加えて、これよりも長い別の波長で精密な透過率を測定する。【0080】本来目的とする真空紫外光の特定波長(たとえばArFエキシマレーザの波長やF2レーザの波長)を第一の波長α(nm)、これよりも長い紫外光の特定波長をβ(nm)とする。第一の波長αの選定は、露光装置でどういった光源を使用するのかで決まる。ただし、第一の波長αは必ずしも露光装置の光源の波長と一致している必要はない。本発明では、200nm以下の波長域である真空紫外波長域の光を光源とする装置を対象とするため、第一の波長αは200nm以下に選定される。第二の波長βは、フッ化カルシウム単結晶の性質と透過率測定装置の性能によって選定する必要があるが、後で詳細に説明するが、実質的に透過率測定装置の性能によって選定して良い。【0081】ここで、透過率測定装置について説明する。透過率測定装置の種類の中に分光光度計がある。このような装置には、測定する波長域やそれに対応した測定雰囲気によって、真空紫外分光光度計、紫外分光光度計、可視分光光度計、赤外分光光度計などがある。本発明では、波長域から、真空紫外分光光度計と紫外分光光度計が対象となる。【0082】紫外分光光度計のひとつであるバリアン社製のCary5(商品名)などでは、少なくとも185nmから400nm程度の範囲で透過率の測定ができる。また、真空紫外分光光度計のひとつであるアクトン社製のCAMS(商品名)などでは、少なくとも140nmから200nm程度の範囲で透過率の測定ができる。【0083】露光装置で使用しようとする第一の波長αについては、このような装置で透過率が測定可能な真空紫外領域に属するものとして、140〜200nmに設定すればよい。また、第一の波長αよりも長い第二の波長βについても、最大400nm程度を考えておけば良い。勿論、適当な分光光度計を用いれば、第二の波長βは400nmより長い波長に設定してもよい。【0084】しかし、第一の波長αと第二に波長βとがあまり接近していると、別の波長で測定するという意義がなくなるので、少なくとも、測定する光の半値幅(通常1〜5nm程度)の3倍程度以上、したがって目安として15nm程度以上は離れていた方が良い。なお、第二の波長βによる透過率測定の存在理由とその効果については、後ほどフッ化カルシウム単結晶の性質の観点から説明する。【0085】上記の理由から、第一の波長α(nm)と、これよりも長い第二の波長β(nm)は、α≦200、β≧α+15となるように設定される。また、特に限定されるわけではないが、140≦α、β≦400とすればよい。【0086】第一の波長αと第二の波長βの2波長での透過率を測定するにあたっては、同一の測定装置を用いる必要は特にないが、測定精度など性能上に問題がなければ、同一装置で測定を行っても構わない。【0087】目的とする波長が真空紫外光のうちArFエキシマレーザの波長193.4nmである場合、第一の波長αをたとえば193.4nmに設定し、第二の波長βをたとえば250nmや350nmなどに選定する。【0088】また、目的とする波長が真空紫外光のうちF2レーザの波長157.6nmである場合、第一の波長αをたとえば157.6nmに設定し、第二の波長βをたとえば200nm、250nmあるいは350nmなどに選定する。【0089】ここで、フッ化カルシウム単結晶の性質について述べる。前述したように、従来は、フッ化物結晶における透過損失は吸収損失のみであって散乱損失は含まないものと考えられていた。しかし、以下に詳述するように、本発明者の研究の結果、フッ化物結晶における透過損失は、吸収損失のみならず、散乱損失(特に、前記微小粒による散乱損失)も含んでいると考えられることが判明した。【0090】本発明者は、前述した3つの工程▲1▼〜▲3▼により、実際にフッ化カルシウム単結晶を製造した。このとき、後述するように、前記工程▲1▼の後に得られた前処理品、前記工程▲2▼の後に得られたインゴット、及び前記工程▲3▼の後に得られた熱処理品から、それぞれ透過率測定用のテストピースを製作した。【0091】すなわち、粉末原料にスカベンジャーを添加して加熱することにより白濁を防止する処置を施した。スカベンジャーの種類としてはフッ化鉛を用いた。スカベンジャーと混合された粉末原料を黒鉛製などの清浄な容器に充填し、十分な真空排気のもとフッ化カルシウム融点程度まで温度を上げ脱酸素化反応を行った。その後は、室温まで降温し前処理品とした。前処理品を黒鉛製などの清浄な容器に充填し、真空排気が可能なブリッジマン装置の所定の位置に設置した。十分な真空排気のもと、通電加熱などの加熱手段により、前処理品の温度を上昇させ融解させた。融点に到達した後は、すぐに引下げによる結晶化を開始するよりも温度の安定を待って、数時間程度経過させた後に結晶化を開始した。引下げは1時間あたり2mmの速度で行った。引下げが進み融液すべてが結晶化したら、室温まで徐冷してインゴットとして取り出した。インゴットから切り出した部材を熱伝導性の良好な黒鉛製の容器に収容した。この容器の周囲に加熱手段を設け、熱処理を行った後、室温まで降温し部材を取り出した。【0092】発明者はこれら前処理品、インゴット、熱処理品のそれぞれから透過率測定用のテストピースを製作した。テストピースの向かい合う平行2面は、鏡面状に精度良く研磨し、平行度は10秒程度以下、表面粗さはRMS表示で0.25nm程度以下とした。湿式洗浄などを施すことによって、テストピースの表面を清浄な状態にすることが望ましい。そのような清浄な表面は純水のぬれ性が非常に良く、接触角は2°程度以下となる。【0093】前処理品には、波長204nmを中心とした明瞭な吸収帯がみられた。これはスカベンジャーとして添加した鉛成分が微量に残留しているためである考えられる。ArFエキシマレーザの波長193.4nmでの内部透過率は98.0%/cm以下となることが多く、吸収による大きな影響がみられる。【0094】これに対しインゴットと熱処理品には明瞭な吸収帯はなかった。インゴットにおける波長193.4nmでの内部透過率は、99.4〜100.0%/cm程度となる。前処理品に明瞭な吸収帯がみられたのにもかかわらず、インゴットでは見られなかったのは、結晶成長が行われる際の偏析効果によって不純物である鉛成分の取り込みが防止されているためであると考えられる。鉛に限らず他不純物も同様な効果で取り込みが防止されているものと考えられる。こうして得られたインゴットは純度の高いフッ化カルシウムとなり、不純物含有量は低減され、発光分析や質量分析などの分析法で不純物を定量することは、もはや難しい領域となっている。熱処理の工程(工程▲3▼)においては、鉛成分その他の不純物が取り込まれることがないため、インゴットに限らず、熱処理品にも明瞭な吸収帯が見られなかったものと考えられる。【0095】以上から、フッ化カルシウム単結晶における吸収原因が、含有する微量不純物によるものと考えた。【0096】波長193.4nmでの内部透過率が99.8%/cm以上と比較的良好なものだけではなく、99.4〜100.0%/cmと狭いながらも範囲を持っているのは、上記したような不純物が、極微量ではあるが依然として残留していることが一因であると考えた。【0097】そこで、以下のように、さらに高純度化したフッ化カルシウム単結晶を製造して、極微量ではあるが依然として残留していると推察した不純物を低減するように試みた。【0098】人工合成の高純度原料の純度についてであるが、たとえば真空紫外用途の中には、バリウム0.02ppm未満、セリウム0.01ppm未満、鉄0.1ppm未満、マンガン0.02ppm未満、鉛0.1ppm未満、イットリウム0.01ppm未満といった高い品質が保証されたフッ化カルシウム単結晶の粉末原料が販売されているので、これを使用した。このように高純度な原料であっても、やはり原料のみを融解して結晶化すると白濁して失透するため、スカベンジャーを添加して加熱することにより白濁を防止する処置を施した。スカベンジャーの種類としてはフッ化鉛の他にフッ化銅、フッ化銀、フッ化亜鉛などを用いた。スカベンジャーと混合された粉末原料を黒鉛製などの清浄な容器に充填し、十分な真空排気のもとフッ化カルシウム融点程度まで温度を上げ脱酸素化反応を進める。その後は、室温まで降温し前処理品とした。前処理品を黒鉛製などの清浄な容器に充填し、真空排気が可能なブリッジマン装置の所定の位置に設置した。十分な真空排気のもと、通電加熱などの加熱手段により、前処理品の温度を上昇させ融解させた。融点に到達した後は、すぐに引下げによる結晶化を開始するよりも温度の安定を待って、数時間程度経過させた後に結晶化を開始した。引下げは1時間あたり1mmの速度で行った。引下げが進み融液すべてが結晶化したら、室温まで徐冷してインゴットとして取り出した。【0099】発明者はこれら前処理品、インゴット、熱処理品のそれぞれからも、前述したテストピースと同様に、透過率測定用のテストピースを製作した。それらのテストピースの内部透過率は99.5〜100.0%/cmであり、範囲は狭まった。透過損失で表記すれば0.0〜0.5%/cmを示す。このように内部透過率は向上する方向であるが、依然として内部透過率の低いものがあった。【0100】そこで、本発明者は、このような透過損失が、単に不純物に起因する吸収だけによるものではなく、前述した微小粒にもよるのではないかと推察した。微小粒であっても、0.0〜0.5%/cm、つまり0.1%/cmの水準で検討すべき小さな透過損失には、相対的に少なからぬ関与があるのではないかと推定したのである。【0101】その場合、微小粒による影響は散乱であり吸収ではないと考えられるので、微小粒が存在して一見内部透過率が低いと思われていたフッ化カルシウム単結晶であっても、実は光学部材に使用できるのではないかと考えた。もし光学部材への使用を試みた場合に重要な点は、それら微小粒の許容量であり、またそれを測定する検査方法である。前述した日本光学硝子工業会規格の測定では泡や異物の直径や個数などの計数にとどまっていて、泡や異物の存在した場合の光学的影響に関して言及するものではなかったので不十分である。これに対し、本発明者は、微小粒が存在したフッ化カルシウム単結晶の光透過性そのものに着眼した。【0102】前述したようにして製造した純度の高いフッ化カルシウム単結晶においては、200nm以上の波長領域では、吸収による透過損失は検知されない程度まで小さい。そこで、仮に200nm以上の波長領域で透過損失が検知されたとしたら、それは吸収によるものではなく、微小粒による散乱によるものではないかと推定した。この推定を検討するために、複数のインゴットを作り、それぞれのインゴットから製作したテストピースの透過率を測定した。【0103】測定の再現性についていえば、0.1%の桁で検討を行うには±0.05%かあるいは±0.05%よりも良好であることが必要である。測定の再現性については、統計的な処理を行って評価しておくと良い。たとえば、透過率測定装置に試料を設置しない状態(ブランク)の透過率を多数回測定して標準偏差σを求めておく。あるいは、実際に試料の透過率を多数回測定して標準偏差σを求めておいても良い。【0104】第一の波長αにはArFエキシマレーザの波長193.4nmをとり、この波長での内部透過率をA(%/cm)とした。この波長を測定するには、透過率測定の再現性に優れているという理由から紫外分光光度計を用いた。【0105】また、第二の波長にはHgによるi線の波長365.1nmをとり、この波長での内部透過率をB(%/cm)とした。この波長での測定にも紫外分光光度計を用いたが、第二の波長βを波長365.1nmにとったのは、この付近における透過率測定の再現性が極めて良好なためである。【0106】A=100.0%/cmのときB=100.0%/cmであった。A=99.9%/cmのときB=99.9〜100.0%/cmの範囲であった。A=99.8%/cmのときにはB=99.8〜100.0%/cmにあった。同様にA=99.7%/cmのときB=99.7〜99.9%/cm、A=99.6%/cmのときB=99.6〜99.8%/cm、A=99.5%/cmのときB=99.5〜99.7%/cmという結果が得られた。【0107】しかし、光学ガラスなどで良く知られているレーリー散乱のように、透過損失には極端な波長依存性がみられない。散乱源の大きさと光の波長が同程度の場合にレーリー散乱であれば波長の4乗に反比例する。短い波長でより多くの透過損失を発現するのであるが、フッ化カルシウムの場合そういった極端な波長依存性がみられない。これは、微小粒の大きさが光の波長よりも十分に大きいので、微小粒が光を遮蔽しているような現象であると考えることができる。【0108】実際、光の波長は140nmから400nmであるのに対して、顕微鏡で観察した微粒子の直径は約10μmから500μm程度であるので、波長の50倍から2500倍程度の大きさである。このような微粒子による影響は、もはや波長にはよらず一定とみなして良いはずである。【0109】そこで、第二の波長βにおける透過損失(100−B)はそういった微小粒によるものとして、これが第一の波長αにおいても同程度に影響していると考えた。つまり、第一の波長αにおける微小粒による透過損失も(100−B)となる。【0110】したがって、第一の波長αにおける透過損失(100−A)は、微小粒による透過損失(100−B)と、微小粒によらない透過損失との和に等しいので、微小粒によらない透過損失を便宜上(100−C)とおくと、下記の数4の関係が成り立つ。数4を下記の数5のように変形すると、実測可能なAとBによってCを示すことができる。【0111】【数4】100−A=(100−B)+(100−C)【0112】【数5】C=A+(100−B)【0113】この数5によって算出される透過率C(%/cm)は、微小粒による影響を除いた正味の透過率である。したがって、この透過率Cが99.8%/cm以上であるフッ化カルシウム単結晶であれば、内部透過率Aが99.8%/cmより小さいフッ化カルシウム単結晶であっても、内部透過率Aが99.8%/cm以上であるフッ化カルシウム単結晶と同様に、200nm以下の特定波長の光を透過する光学部材に用いることができ、その光学部材を用いた露光装置の結像特性等が劣るようなことはない。なお、このように微小粒による透過損失を除外して正味の透過率Cを問題とすれば良い理由は、前述したように、微小粒による透過損失が吸収損失ではなく散乱損失であり、散乱損失は、熱エネルギーへ変化することがほとんどなく結像特性等には大きな影響を及ぼすことがないからである。【0114】ただし、露光装置で使用される第一の波長α(nm)における透過率A(%/cm)そのものがあまりに低いと、レンズ群全体としての照度低下を引き起こすおそれがある。レンズ全体の光路長にもよるが、たとえばフッ化カルシウム単結晶を基材としたレンズを10枚程度使用したとすると、少なくとも内部透過率Aは99.6%/cm以上であることが望ましい。【0115】[第1の実施の形態]【0116】前述した原理に従った本発明の第1の実施の形態によるフッ化物単結晶の検査方法について、図1を参照して説明する。図1はこの検査方法を示すフローチャートである。【0117】この検査方法では、まず、前述したように、本来目的とする真空紫外光の特定波長に応じて第一の波長α(nm)をα≦200となるように決定した後、第二の波長β(nm)を(β−α)≧15となるように決定する(ステップS11,S12)。【0118】次に、前述した従来の検査方法と同様に、検査対象のフッ化物単結晶のテストピースを用意する。このテストピースを用いて、当該フッ化物単結晶の第一の波長αでの反射含み透過率を分光光度計等で実測し、実測された反射含み透過率を前記数1及び数2に従って換算することにより、当該フッ化物単結晶の第一の波長αでの内部透過率Aを測定する(ステップS13)。【0119】次いで、前記テストピースを用いて、当該フッ化物単結晶の第二の波長βでの反射含み透過率を分光光度計等で実測し、実測された反射含み透過率を前記数1及び数2に従って換算することにより、当該フッ化物単結晶の第二の波長βでの内部透過率Bを測定する(ステップS14)。【0120】その後、ステップS13,14で得た内部透過率A,Bから、前記数5に従って値C(%/cm)を算出する(ステップS15)。【0121】次に、ステップS15で算出した値Cが99.8%/cm以上であるか否かを判定し(ステップS16)、99.8%/cm以上である場合には、当該テストピースと同じインゴットから得た当該フッ化物単結晶の部材は当該露光装置等のレンズ等光学部材の材料として適すると評価し(ステップS17)、99.8%/cm未満である場合には、当該テストピースと同じインゴットから得たフッ化物単結晶の部材は、当該露光装置等のレンズ等光学部材の材料として適さないと評価し(ステップS18)、検査を終了する。【0122】本実施の形態によれば、前記値Cが99.8%以上である場合に「適」と評価するので、内部透過率Aが99.8%で以上である場合に「適」と評価する前記従来の検査方法に比べて検査基準が緩和されている。したがって、本実施の形態によれば、フッ化物単結晶の歩留りが向上する。その結果、予定数量の未達により露光装置の生産計画を乱したり、フッ化カルシウム単結晶を製造するための装置への設備投資の増大を引き起こすなどの問題が、解消される。【0123】また、本実施の形態によれば、前述した原理に従っているので、前記従来の検査方法と同様に、フッ化物単結晶を用いた光学部材を使用する露光装置等の装置において所望の結像特性などの光学特性が得られないという事態を招くこともない。【0124】[第2の実施の形態]【0125】図2は、本発明の第2の実施の形態によるフッ化物単結晶の検査方法を示すフローチャートである。図2において、図1中のステップと同一又は対応するステップには同一符号を付し、その重複する説明は省略する。【0126】本実施の形態が前記第1の実施の形態と異なる所は、検査対象のフッ化物単結晶の第一の波長αでの内部透過率Aが99.6%以上であるか否かを判定するステップS20が追加され、内部透過率Aが99.6%未満であればステップS18で不適と評価され、内部透過率Aが99.6%以上であることも条件として「適」と評価される点のみである。【0127】既に説明したように、第一の波長αでの内部透過率Aがあまりに低いと、照度低下が大きくなり、好ましくない。これに対し、本実施の形態によれば、内部透過率Aが99.6%以上であることも必要条件として「適」と評価されるので、そのような照度低下が抑えられ、好ましい。【0128】[第3の実施の形態]【0129】本発明の第3の実施の形態による光学部材は、前記第1又は第2の実施の形態による検査方法により適すると評価されるフッ化物単結晶のうち、第一の波長αでの内部透過率Aが99.8%未満であるフッ化物単結晶(すなわち、従来の検査方法によれば不良品とされるフッ化物単結晶)からなるものである。【0130】このようなフッ化物単結晶は、前述した原理により初めて、十分な特性を有することが判明したものである。このようなフッ化物単結晶は、従来は、レンズ等の光学部材に構成される前に不良品として処分されていたものであり、このようなフッ化物単結晶からなる光学部材は存在しなかった。【0131】前記第3の実施の形態による光学部材において、前記フッ化物単結晶が粒径10μm以上500μm以下の微小粒を含有していてもよい。これは、顕微鏡で観察された微粒子の直径が約10μmから500μm程度であり、本発明では、前記原理に関して説明したように、微小粒による影響を除いた正味の透過率を問題とするためである。【0132】また、前記第3の実施の形態による光学部材において、フッ化物単結晶がフッ化カルシウム単結晶であり、フッ化カルシウム単結晶に含有されるバリウムが0.02ppm未満、セリウムが0.01ppm未満、鉄が0.1ppm未満、マンガンが0.02ppm未満、鉛が0.1ppm未満、イットリウムが0.01ppm未満であってもよい。このように不純物濃度が少ないと、前記原理に関して説明したように、フッ化カルシウム単結晶における吸収原因が含有する微量不純物によるものと考えられることから、吸収損失が小さくなるので、好ましい。【0133】[第4の実施の形態]【0134】図3は、本発明の第4の実施の形態による投影露光装置の基本構造を示す図である。【0135】本実施の形態による露光装置は、表面3aに置かれた感光剤7を塗布した基板8(これら全体を単に「基板W」と呼ぶ。)を置くことのできるウェハーステージ3,露光光として用意された波長の真空紫外光を照射し、基板W上に用意されたマスクのパターン(レチクルR)を転写するための照明光学系1,照明光学系1に露光光を供給するための光源100,基板W上にマスクRのパターンのイメージを投影するためのマスクRが配された最初の表面P1(物体面)と基板Wの表面と一致させた二番目の表面(像面)との間に置かれた投影光学系5、を含む。照明光学系1は、マスクRとウェハーWとの間の相対位置を調節するための、アライメント光学系110も含んでおり、マスクRは、ウェハーステージ3の表面に対して平行に動くことのできるレチクルステージ2に配置される。レチクル交換系200は、レチクルステージ2にセットされたレチクル(マスクR)を交換し運搬する。レチクル交換系200は、ウェハーステージ3の表面3aに対してレチクルステージ2を平行に動かすためのステージドライバーを含んでいる。投影光学系5は、スキャンタイプの露光装置に応用されるアライメント光学系を持っている。【0136】そして、本実施の形態による露光装置は、前記第3の実施の形態による光学部材(例えば、光学レンズ)を使用したものである。具体的には、図3に示した本露光装置は、照明光学系1の光学レンズ9及び投影光学系5の光学レンズ10のうちのいずれか一方又は両方として、前記第3の実施の形態による光学レンズが用いられている。なお、図3中、300はウェハーステージ3を制御するステージ制御系、400は装置全体を制御する主制御部である。【0137】この露光装置では、前記第3の実施の形態による光学部材が用いられているので、当該光学部材の歩留りが良いことから装置全体としてのコストダウンを図ることができるとともに、十分な結像特性等を確保することができる。【0138】【実施例】[実施例1]【0139】以下、ArFエキシマレーザを光源とする露光装置に使用する光学部材に用いるためにフッ化カルシウム単結晶を製造し、このフッ化カルシウム単結晶を本発明による検査方法により検査し、その検査結果が「適」であった例について説明する。【0140】人工合成の高純度原料の純度についてであるが、バリウム0.02ppm未満、セリウム0.01ppm未満、鉄0.1ppm未満、マンガン0.02ppm未満、鉛0.1ppm未満、イットリウム0.01ppm未満が保証されたフッ化カルシウム単結晶の粉末原料を使用した。【0141】スカベンジャーとしてフッ化銀1モル%を粉末原料に加え、良く撹拌混合した。混合された粉末原料を黒鉛製の清浄な容器に充填した。真空排気を行い、0.01Paより良好な真空度のもと、フッ化カルシウムの融点1400℃まで温度を上げ、脱酸素化反応を進めた。その後は、室温まで降温し前処理品として取り出した。【0142】前処理品を黒鉛製の清浄なルツボに充填した。これをブリッジマン装置の所定の位置に設置した。十分な真空排気により真空度が0.01Paに到達したら、通電加熱により、前処理品の温度を上昇させ融解させた。ルツボ下部の温度が融点に到達したら、8時間経過させた後に引下げによる結晶化を開始した。引下げは1時間あたり1mmの速度で行った。引下げが進み融液すべてが結晶化したら、室温まで徐冷してインゴットとして取り出した。【0143】このインゴットから透過率測定用のテストピースを製作した。テストピースの向かい合う平行2面は鏡面状に精度良く研磨した。平行度は5〜10秒、表面粗さはRMS表示で0.10〜0.15nmであった。また、透過率測定直前に湿式洗浄を施すことによって表面を清浄な状態にした。【0144】第一の波長αにはArFエキシマレーザの波長193.4nmをとり、この波長αでの内部透過率をA(%/cm)とした。A=99.7%/cmであった。この波長αでの透過率を測定するには、透過率測定の再現性に優れているという理由から、紫外分光光度計Cary5を用いた。ブランクの透過率測定の再現性は、3σ=0.03%と良好であった。【0145】また、第二の波長βには波長365.1nmをとり、この波長βでの内部透過率をB(%/cm)とした。B=99.9%/cmであった。この波長βでの透過率の測定にも紫外分光光度計Cary5を用いたが、第二の波長βとした波長365.1nmにおけるブランク透過率測定の再現性は、3σ=0.01%と極めて良好であった。【0146】A=99.7%/cm、B=99.9%/cmによって、前記数5に従って算出される透過率C(%/cm)は、C=99.8%/cmであった。Cが99.8%/cm以上であり、Aが99.6%/cm以上であるため、前記図1に示す検査方法及び前記図2に示す検査方法のいずれによっても、「適」と評価された。【0147】そこで、このインゴットから切り出した部材を熱伝導性の良好な黒鉛製の容器に収容した。この容器の周囲に加熱手段を設け、熱処理を行った後、室温まで降温し部材を取り出した。このフッ化カルシウム単結晶の熱処理された部材を使用して光学部材としての光学レンズを作製し、このレンズをArFエキシマレーザを光源とする露光装置の照明光学系1及び投影光学系5において使用したところ、所望の結像特性が得られないというようなことがなく、特に問題はなかった。【0148】なお、本実施例で製造したフッ化カルシウム単結晶は、Aが99.8%/cm未満であるため、前述した従来の検査方法によれば、不良品と評価されることになる。【0149】[実施例2]【0150】ArFエキシマレーザを光源とする露光装置に使用する光学部材に用いるためにフッ化カルシウム単結晶を製造し、このフッ化カルシウム単結晶を本発明による検査方法により検査し、その検査結果が「不適」であった例について説明する。【0151】本実施例においても、前記実施例1と全く同じ材料を用い、全く同じ製造条件に設定して、実施例1とは別に、フッ化カルシウム単結晶を製造した。また、前記実施例1と同じく、インゴットから実施例1のテストピースと同様の透過率測定用のテストピースを製作した。【0152】そして、このテストピースを用いて、実施例1と同じく、第一の波長αにはArFエキシマレーザの波長193.4nmをとり、第二の波長βには波長365.1nmをとり、第一の波長αでの内部透過率A(%/cm)と第二の波長βでの内部透過率B(%/cm)を、実施例1と同じ分光光度計を用いて測定した。【0153】実施例1と同じくA=99.7%/cmであったが、実施例1と異なりB=100.0%/cmであった。これらによって前記数5に従って算出される透過率C(%/cm)は、C=99.7%/cmであった。Cが99.8%/cm未満であるため、前記図1に示す検査方法及び前記図2に示す検査方法のいずれによっても、「不適」と評価された。【0154】したがって、実施例2で製造したフッ化カルシウム単結晶は、ArFエキシマレーザを光源とする露光装置に使用する光学部材には、採用しない。【0155】しかしながら、以下のテストを行った。すなわち、実施例2で製作したインゴットから切り出した部材を熱伝導性の良好な黒鉛製の容器に収容した。この容器の周囲に加熱手段を設け、熱処理を行った後、室温まで降温し部材を取り出した。このフッ化カルシウム単結晶の熱処理された部材を使用して光学部材としての光学レンズを作製し、このレンズをArFエキシマレーザを光源とする露光装置において使用したところ、補正不可能な収差が発生してしまい結像できなかった。【0156】[実施例3]【0157】F2レーザを光源とする露光装置に使用する光学部材に用いるためにフッ化カルシウム単結晶を製造し、このフッ化カルシウム単結晶を本発明による検査方法により検査し、その検査結果が「適」であった例について説明する。【0158】本実施例においても、前記実施例1と全く同じ材料を用い、全く同じ製造条件に設定して、実施例1とは別に、フッ化カルシウム単結晶を製造した。また、前記実施例1と同じく、インゴットから実施例1のテストピースと同様の透過率測定用のテストピースを製作した。【0159】第一の波長αにはF2レーザの波長157.6nmをとり、この波長での内部透過率をA(%/cm)とした。A=99.7%/cmであった。この波長αでの透過率を測定するには、透過率測定の再現性に優れているという理由から真空紫外分光光度計CAMSを用いた。ブランクの透過率測定の再現性は3σ=0.05%と良好であった。【0160】また、第二の波長には波長248.3nmをとり、この波長での内部透過率をB(%/cm)とした。B=99.9%/cmであった。この波長βでの透過率の測定には紫外分光光度計Cary5を用いたが、第二の波長βとした波長248.3nmにおけるブランク透過率測定の再現性は3σ=0.03%と良好であった。【0161】A=99.7%/cm、B=99.9%/cmによって、前記数5に従って算出される透過率C(%/cm)はC=99.8%/cmであった。Cが99.8%/cm以上であり、Aが99.6%/cm以上であるため、前記図1に示す検査方法及び前記図2に示す検査方法のいずれによっても、「適」と評価された。【0162】そこで、このインゴットから切り出した部材を熱伝導性の良好な黒鉛製の容器に収容した。この容器の周囲に加熱手段を設け、熱処理を行った後、室温まで降温し部材を取り出した。このフッ化カルシウム単結晶の熱処理された部材を使用して光学部材としての光学レンズを作製し、このレンズをF2レーザを光源とする露光装置の照明光学系1及び投影光学系5において使用したところ、所望の結像特性が得られないというようなことがなく、特に問題はなかった。【0163】なお、本実施例で製造したフッ化カルシウム単結晶は、Aが99.8%/cm未満であるため、前述した従来の検査方法によれば、不良品と評価されることになる。【0164】[実施例4]【0165】ArFエキシマレーザを光源とする露光装置に使用する光学部材に用いるためにフッ化カルシウム単結晶を製造し、このフッ化カルシウム単結晶を前記図1に示す検査方法及び前記図2に示す検査方法により検査し、それらの検査結果が「適」と「不適」に分かれた例について説明する。【0166】本実施例においても、前記実施例1と全く同じ材料を用い、全く同じ製造条件に設定して、実施例1とは別に、フッ化カルシウム単結晶を製造した。また、前記実施例1と同じく、インゴットから実施例1のテストピースと同様の透過率測定用のテストピースを製作した。【0167】そして、このテストピースを用いて、実施例1と同じく、第一の波長αにはArFエキシマレーザの波長193.4nmをとり、第二の波長βには波長365.1nmをとり、第一の波長αでの内部透過率A(%/cm)と第二の波長βでの内部透過率B(%/cm)を、実施例1と同じ分光光度計を用いて測定した。【0168】実施例1と異なり、A=99.7%/cm、B=99.6%/cmであった。これらによって前記数5に従って算出される透過率C(%/cm)は、C=99.9%/cmであった。Cが99.8%/cm以上、Aが99.6%/cm未満であるため、前記図1に示す検査方法によれば「適」、前記図2に示す検査方法によれば「不適」と評価された。【0169】以下のテストを行った。すなわち、実施例4で製作したインゴットから切り出した部材を熱伝導性の良好な黒鉛製の容器に収容した。この容器の周囲に加熱手段を設け、熱処理を行った後、室温まで降温し部材を取り出した。このフッ化カルシウム単結晶の熱処理された部材を使用して光学部材としての光学レンズを作製し、このレンズをArFエキシマレーザを光源とする露光装置において使用したところ、結像特性の点では問題はなかったが、照度が若干低下していた。このように照度は若干低下するものの、露光装置として必ずしも大きな問題になる程度のものではなかった。【0170】以上、本発明の各実施の形態及び各実施例について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。【0171】【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、フッ化物単結晶の歩留りを向上させることができ、しかも、フッ化物単結晶を用いた光学部材を使用する装置において所望の光学特性が得られないという事態を招くことがないフッ化物単結晶の検査方法を提供することができる。【0172】また、本発明によれば、従来の検査方法に従えば不良品として処分されていたようなフッ化物単結晶でありながら、本来的に十分な特性を有しているフッ化物単結晶を用いた光学部材及び投影露光装置を提供することができる。【図面の簡単な説明】【図1】本発明の第1の実施の形態による検査方法を示すフローチャートである。【図2】本発明の第2の実施の形態による検査方法を示すフローチャートである。【図3】本発明の第4の実施の形態による投影露光装置の基本構造を示す図である。【図4】従来の検査方法を示すフローチャートである。【符号の説明】1 照明光学系2 レチクルステージ3 ウェハーステージ5 投影光学系100 光源 200nm以下の特定波長の光を透過する光学部材に用いられるフッ化物単結晶の検査方法であって、 第一の波長α(nm)と第二の波長β(nm)とがα≦200≦βでかつ(β−α)≧15の関係にある場合において、前記フッ化物単結晶の前記第一の波長αでの内部透過率A(%/cm)と前記フッ化物単結晶の前記第二の波長βでの内部透過率B(%/cm)とから、C=A+(100−B)の式により得られる値C(%/cm)が、99.8%/cm以上であるか否かを判定する段階を含み、 前記値Cが99.8%/cm以上であることを必要条件として、当該フッ化物単結晶を前記光学部材の材料として適すると評価することを特徴とするフッ化物単結晶の検査方法。 前記内部透過率Aが99.6%/cm以上であるか否かを判定する段階を含み、前記内部透過率Aが99.6%/cm以上であることを必要条件として、当該フッ化物単結晶を前記光学部材の材料として適すると評価することを特徴とする請求項1記載のフッ化物単結晶の検査方法。 前記第一の波長αが193.4nm又は157.6nmであることを特徴とする請求項1又は2記載のフッ化物単結晶の検査方法。 前記フッ化物単結晶がフッ化カルシウム単結晶であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のフッ化物単結晶の検査方法。


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