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タイトル:特許公報(B2)_再構築受精卵の作製方法及びそれを用いたトランスジェニック胚の作製方法
出願番号:2000232041
年次:2011
IPC分類:A01K 67/02,A01K 67/027,C12N 5/10,C12N 15/09


特許情報キャッシュ

小西 正人 青柳 敬人 舟橋 弘晃 岡部 勝 JP 4845073 特許公報(B2) 20111021 2000232041 20000731 再構築受精卵の作製方法及びそれを用いたトランスジェニック胚の作製方法 全国農業協同組合連合会 000201641 国立大学法人 岡山大学 504147243 谷川 英次郎 100088546 小西 正人 青柳 敬人 舟橋 弘晃 岡部 勝 JP 1999217831 19990730 20111228 A01K 67/02 20060101AFI20111208BHJP A01K 67/027 20060101ALI20111208BHJP C12N 5/10 20060101ALI20111208BHJP C12N 15/09 20060101ALI20111208BHJP JPA01K67/02A01K67/027C12N5/00 102C12N15/00 A C12N 5/00 A01K 67/02, 67/027 C12N 5/00 BIOSIS/MEDLINE/WPIDS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) 国際公開第97/011094(WO,A1) 特開平06−014945(JP,A) Science, vol.280, pp.1256-1258 (1998) Developmental Biology, vol.118, pp.9-18 (1986) 蛋白質 核酸 酵素,vol.40(14), pp.2001-2006 (1995) 7 2001103867 20010417 9 20070730 長井 啓子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、所望の遺伝子を発現する形質転換動物を作出することができる、全能性を有する再構築受精卵の作製方法及びそれを用いたトランスジェニックの胚の作製方法に関する。【0002】【従来の技術】形質転換動物を作出するための方法の1つとして、前核期受精卵前核への組換えDNAのマイクロインジェクション法がある。この方法を用いた場合、形質転換動物を得る確率は、マウスをはじめその他の家畜においても約1%と言われている。しかしながら、得られた動物はトランスジェニック細胞と非トランスジェニック細胞がランダムに混在したモザイク状態にある。しかも、トランスジェニック細胞が生殖系列の細胞に入っているかどうかはわからない。また、全ての細胞がトランスジェニック細胞から成る形質転換動物を得るためには、生殖系列にトランスジェニック細胞が含まれた雌雄動物を交配して産子を得た後、形質転換動物か否か確かめる必要がある。マウスとは違い、妊娠期間が比較的長く、多胎動物が少ない家畜種においては、形質転換動物を得る時間と費用は莫大なものとなる。【0003】一方、トランスジェニック細胞確認のためのリポーターにはβガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、βグルクロニダーゼ等があるが、これらはいずれも酵素である。従って、その検出には、酵素の基質を作用させたり、酵素を抽出したり、細胞を固定するような、細胞に対する化学的又は機械的処理が必要になり、基本的には生細胞での観察には不向きである。【0004】【発明が解決しようとする課題】前核期受精卵前核への組換えDNAのマイクロインジェクションにより作出した受精卵は、トランスジェニック細胞と非トランスジェニック細胞がランダムに混在したモザイク状態である。これは、遺伝子の注入時期(S期以前と以降)による外来遺伝子の取り込み時期(第1細胞周期と第2細胞周期)に起因するものと考えられている。トランスジェニック細胞のみから構成される受精卵を作出できれば、それを受卵雌に移植することによりトランスジェニック細胞のみから成る形質転換動物を得ることが可能となる。これを達成するためには、トランスジェニック細胞と非トランスジェニック細胞の判別を生きた状態で、細胞に悪影響を与えることなく、簡易かつ迅速に行う手法と、特にトランスジェニック細胞核を用いてトランスジェニック細胞のみから成る再構築胚を作出する手法が重要である。【0005】従って、本発明の目的は、簡易かつ効率的に、所望の遺伝子を発現できる、全能性を有するトランスジェニック再構築受精卵の作製方法及びそれを用いたトランスジェニック胚の作製方法を提供することである。【0006】【課題を解決するための手段】本願発明者らは、鋭意研究の結果、発現させようとする所望の遺伝子を組み込んだベクターに、宿主細胞に化学的又は機械的処理を行うことなく宿主細胞を生かしたまま検出可能なリポーター遺伝子をさらに組み込み、このような組換えベクターを受精卵にマイクロインジェクションし、該リポーター遺伝子を発現している細胞を選択し、該細胞の核を取り出して、別の除核卵子に核移植することにより、簡易かつ効率的に、前記所望の遺伝子を発現し分化できる、全能性を有するトランスジェニック再構築胚を作出することができることを見出し本発明を完成した。【0007】 すなわち、本発明は、宿主細胞内における発現が、宿主細胞に化学的又は機械的処理を行うことなく宿主細胞を生かしたまま検出可能なリポーター遺伝子と、所望の遺伝子とを宿主細胞内で発現し得る組換えDNAを、マイクロインジェクションにより前核期にある非ヒト由来の受精卵の前核へ注入し、さらに受精卵の体外培養を継続し、前記リポーター遺伝子を発現している細胞を選択し、非ヒト由来の除核卵子に前記選択された細胞の核を核移植することを含む、再構築受精卵の作製方法を提供する。さらに、本発明は、上記本発明の方法により再構築受精卵を作製し、該再構築受精卵を培養して胚とし、前記リポーター遺伝子を発現している胚を選択する工程をさらに含む、トランスジェニック胚の作製方法を提供する。【0008】【発明の実施の形態】 上記のように、本発明の方法では、宿主細胞内における発現が、宿主細胞に化学的又は機械的処理を行うことなく宿主細胞を生かしたまま検出可能なリポーター遺伝子と、所望の遺伝子とを宿主細胞内で発現し得る組換えDNAを、マイクロインジェクションにより前核期にある非ヒト由来の受精卵の前核へ注入する。ここで、「化学的処理」とは、細胞に酵素の基質等を作用させたり、細胞を固定したりする、細胞に何らかの化学物質を作用させる処理を意味し、また、「機械的処理」とは、細胞から酵素等を抽出したりする、細胞に直接接触することを含む処理を意味する。「宿主細胞内における発現が、宿主細胞に化学的又は機械的処理を行うことなく宿主細胞を生かしたまま検出可能なリポーター遺伝子」の好ましい例として、緑色蛍光タンパク質(green fluorescent protein, GFP)遺伝子を挙げることができる。GFPとしては、Aequorea victoria由来のものがよく知られており、その塩基配列及びクローニング法は公知である(Science 1994, 263:802-805; GenBank Accession No. U53602)。また、例えば和光純薬工業株式会社から完全長GFP遺伝子が市販されているので、このような市販のGFP遺伝子を利用することができる。また、GFP遺伝子の発現を高めたenhanced GFP(EGFP)のcDNA配列及びそのクローニング方法も公知であり(Ikawa M. et al., FEBS Letters 1995; 375:125-128)、このようなEGFP遺伝子を用いることもできる。【0009】上記組換えDNAは、さらに、再構築受精卵から得られるトランスジェニック動物の細胞中で発現させようとする所望の遺伝子を含む。このような所望の遺伝子の例としては、組織プラスミノーゲン・アクチベーター、ヒト血清アルブミン、βラクトアルブミン、プロテインC、フィブリノーゲン、アンチトロンビンIII、第VIII因子、第IX因子、Decay accelerating factor (DAF, CD59), Membrane cofactor protein (MCP CD46)等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。【0010】上記組換えDNAは、上記リポーター遺伝子と上記所望の遺伝子の両者を宿主細胞内で発現することができるものであり、動物細胞中で発現する発現ベクターに上記リポーター遺伝子と所望の遺伝子を組み込むことにより調製することができる。動物細胞中で発現する発現ベクターは周知であり、例えばアデノウイルスベクターやレトロウイルスベクターのような動物細胞用ベクターを挙げることができる。これらのベクターは市販されているので、市販品を用いることができる。これらの発現ベクターは、動物細胞内で機能する少なくとも1個のプロモーターを含んでおり、上記リポーター遺伝子及び所望の遺伝子は、該プロモーターの下流に挿入する。この場合、リポーター遺伝子及び所望の遺伝子のいずれを上流側に挿入してもよいし、また、各遺伝子を異なるプロモーターの下流にそれぞれ挿入してもよい。また、所望の遺伝子の産物とリポーター遺伝子の産物との融合タンパク質が、各産物の活性を維持するのであれば、両遺伝子のフレームが合った融合物を挿入して、融合タンパク質として発現させることも可能である。【0011】本発明の方法では、上記の組換えDNAを、前核期受精卵の前核にマイクロインジェクションする。ここで「前核期」とは、受精後、卵に由来する一倍体の核と、精子に由来する一倍体の核が別々に存在している時期を意味する。また、本発明の方法において、上記組換えベクターをマイクロインジェクションする「前核」は、卵に由来する雌性前核であってもよいし、精子に由来する雄性前核であってもよいが、雄性前核が好ましい。マイクロインジェクションは、前核期に行うので、受精処理後12〜22時間経過後に行うことが好ましい。前核は、受精卵を遠心分離することにより可視化することができ、マイクロインジェクションは、マイクロマニピュレーター、マイクロインジェクター、インジェクションピペット及び顕微鏡を用いた周知の方法により行うことができる。【0012】マイクロインジェクション後、さらに受精卵の体外培養を継続し、好ましくは桑実期(8〜32細胞期胚)の段階で、リポーター遺伝子を発現している細胞を選択する。リポーター遺伝子を発現しているか否かは、該リポーター遺伝子の性質に基づいて調べることができる。例えば、リポーター遺伝子がGFP遺伝子の場合には、該遺伝子が発現しているか否かは、細胞に可視光域(好ましくは波長490 nm付近)の励起光を照射し、蛍光が発生するか否かを観察することにより調べることができ、細胞に何らの化学的又は機械的処理を行うことなく調べることができる。【0013】 次いで、リポーター遺伝子が発現している細胞の核を非ヒト由来の除核卵子に対して核移植する。核移植の手法自体は公知であり、例えばAoyagi Y. et al., Theriogenology 1994; 41:157に記載されている。【0014】上記核移植により、全能性(すなわち、完全な動物を形成する能力)を有し、リポーター遺伝子及び所望の遺伝子を発現する再構築受精卵を得ることができる。【0015】このようにして得られた再構築受精卵は、通常の体外受精卵と同様な周知の方法に従い、体外培養を続けた後、哺乳動物ならば雌の子宮に着床させて妊娠、出産させることにより、所望の遺伝子を発現するトランスジェニック動物を得ることができる。また、再構築受精卵由来細胞を継代培養することによって、所望の遺伝子を発現するトランスジェニック細胞株を樹立することができる。なお、体外受精後の受精卵から動物を出産させる方法は、例えば、Konishi M. et al., J. Vet. Med. Sci. 1996; 58(9):893-896に記載されている。なお、上記方法により作製した再構築受精卵は、必ずしもリポーター遺伝子を発現しているとは限らないので、再構築受精卵を胚になるまで培養した後、該胚がリポーター遺伝子を発現しているか否かを調べ、全細胞がリポーター遺伝子を発現しているものを選択して、選択された胚から常法に従い形質転換動物または形質転換細胞株を作出する。この場合、胚がリポーター遺伝子を発現しているか否かの判定は、特に限定されないが、胚が桑実期胚以降の時期に行うことが好ましい。なお、このようにして得られるトランスジェニック動物またはトランスジェニック細胞株は、前記所望の遺伝子を発現するものである。このようなトランスジェニック動物またはトランスジェニック細胞株が一旦得られれば、体細胞クローニング法により、所望の遺伝子を発現するトランスジェニック動物を多数生産することが可能になる。また、導入された所望の遺伝子は、通常の遺伝子同様、メンデル遺伝するので、子孫にも伝わる。従って、所望の遺伝子を発現するトランスジェニック動物の雌雄が一旦得られれば、それらを両親として、所望の遺伝子を発現するトランスジェニック動物を増殖させることができる。【0016】【実施例】以下、本発明を実施例に基づきさらに具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。【0017】実施例1(1) 組換えベクターの構築CMV-IEエンハンサー、ニワトリβ−アクチンプロモーター、β−アクチンイントロン、ウサギβ−グロビンポリアデニレーションシグナルを含むpCX発現ベクター(Niwa et al., Gene 1991;108:193-199)のEcoRI部位に、EcoRIで切り出したEGFP cDNA(Ikawa M. et al., 上掲)を挿入し、pCX発現ベクターのSalI及びBamHI部位で切断して、マイクロインジェクション用の組換えベクターpCX-EGFPを構築した。【0018】(2) 受精卵前核へのGFP遺伝子含有組換えベクターのマイクロインジェクション屠場より採取したウシ卵子を、5%の子牛血清(CS)を添加した、卵培養用培地であるTCM-199(25 mM HEPES-buffered TCM-199 with Earl's salts, GIBCO BRL, Life Technology Inc.より市販)中で39℃で約22時間成熟培養を行った。その後、ウシ凍結精液を用いて公知の方法(Parrish et al., Biol. Reprod. 1996; 54:100-110)に準じて体外受精を行った。体外受精後はTCM-199 + 5%CS中で39℃で体外培養を継続した。体外受精開始12時間目以降に、順次卵子を培地から取り出して卵丘細胞を除去した後、遠心分離(13000G x 10分間)により前核を可視化した。次に、倒立顕微鏡、マイクロマニピュレーター、マイクロインジェクター及びインジェクションピペットを用いて雄性前核へ上記組換えベクターをマイクロインジェクションした。なお、マイクロインジェクションに用いた溶液は、10 mM Tris-HCl (0.2 mM EDTA加)緩衝液中に上記組換えベクターを360 ng/μlの濃度で含むものである。【0019】(3) トランスジェニック細胞をドナー細胞とした核移植上記マイクロインジェクション後、受精卵をTCM-199 + 5%CS中で39℃でさらに培養し、5日目の受精卵に蛍光装置付き倒立顕微鏡下(200倍)で励起光(波長490nm)を照射してGFP遺伝子の発現の有無を確認した。GFP発現の有無は、励起光を照射することにより緑色蛍光が発生するか否かにより調べた。その結果、5.8%の胚に発現が認められたものの、すべてモザイク状の発現胚であった(下記表1)。【0020】次いで、GFPを発現している6個の発現胚から核を取り出し、一方、(2)と同様にして熟成培養を行った卵子から核を除去し、上記GFP発現細胞から取り出した核を核移植した。【0021】このようにして作出された、核移植後の再構築受精卵をTCM-199 + 5%CS中で39℃でさらに培養し、核移植6日目に上記と同様にしてGFP遺伝子の発現の有無を調べた。その結果、核移植6日目において21.3%(19個)が桑実胚に発育し、4.5%(4個)にGFPの発現が見られた(下記表2)。なお、GFP遺伝子を含む組換えDNAのマイクロインジェクション後の胚発育率及び核移植後の胚発育率において、対照区(体外受精由来桑実胚をドナー細胞とした核移植)と有意な差は認められなかった。【0022】【表1】表1 GFP遺伝子を含む組換えDNAのマイクロインジェクション後5日目における発育胚数(%)及びGFPの発現胚数(%)*: 遠心分離後マイクロインジェクションしなかった区**: 体外受精後、そのまま体外培養を行った区【0023】【表2】表2 GFP発現胚をドナー胚とした核移植における再構築胚の発育率及びGFP発現率【0024】表1から明らかなように、GFP遺伝子を含む組換えDNAのマイクロインジェクションがその後の胚発育に及ぼす影響は認められなかった。また、GFPの発現胚の確認は励起光を照射するだけで簡便かつ迅速に判定することができた。【0025】表2に示すとおり、GFP発現胚をドナー胚として核移植を行った場合、発育率に対照区と差はなかった。また、全ての発現胚において、発現胚では全ての細胞でGFPが発現していることが確認できた。【0026】実施例2 所望の遺伝子としてネオマイシン耐性遺伝子を発現する再構築受精卵の作製GFP遺伝子と、ネオマイシン耐性遺伝子(文献及び入手先:K.R. Thomas and M.R. Capecchi, 1987,, Site-directed Mutagenesis by Gene Targeting In Mouse Embryo-derived Stem Cells. Cell 51:503-512, Stratagene社から市販のものを入手)を発現する組換えベクターを作製した。すなわち、HSV-TK(herpes simplex virus-thymidine kinase)のプロモーターに繋いだMC1-NeoというStratagene社から市販されているネオマイシン耐性付与用遺伝子を、実施例1で作製したpCX-EGFPベクターのSal Iサイトに片側が潰れるように挿入した(図1参照。図1中pAはポリAシグナル)。【0027】得られた組換えベクターを実施例1と同様にしてマイクロインジェクションした。252個の前核期受精卵に上記の遺伝子をマイクロインジェクションした結果,19個(7.5%)のGFP遺伝子を発現した桑実胚が得られた。さらに,GFPを発現している桑実胚をドナー胚として核移植を行った。細胞融合(142個)の確認できたなかから,7日目に19個(13.3%)の再構築受精卵(桑実胚〜胚盤胞)が発育した。【0028】その後,励起光により全ての細胞でGFPの発現を確認した胚をネオマイシン耐性遺伝子発現の有無を確認するために使用した。【0029】核移植後7日目に得られたGFP発現再構築受精卵にネオマイシン耐性遺伝子も組み込まれているか否かを確認するため、再構築受精卵を体外で8日間培養して細胞を増殖させた後、ネオマイシン(GENETICIN; GIBCO BRL, Cat No. 10131-035)添加培地でネオマイシン耐性の有無を調べた。受精卵の培養にはES細胞培地(Journal of Reproduction and Development 1996; 42: j29-j33)、にStem Cell Factor (SIGMA s9915) , Fibroblast Growth Factor-Basic (SIGMA f0291), Murine Leukemia Inhibitory Factor (GIBCO BRL 13275-011) を加えたものを用いた。上記培地を50μlのドロップとし、マウスフィーダー細胞の単層上にて受精卵を8日間培養し、8日目からネオマイシンを添加(400μg/ml)してさらに16日目まで培養を継続した。なお、対照区としてGFPおよびネオマイシン耐性遺伝子が導入されていないウシ再構築受精卵および通常のウシ体外受精卵を用いた。結果は下記表3のとおりであった。【0030】【表3】表3.GFP遺伝子が組み込まれた再構築受精卵由来の培養細胞のネオマイシン耐性試験.(各区おのおの2ドロップ)GFP(+)胚:2代目細胞 継代8日目でG418添加(光ったGFP-NT胚).GFP(-)胚:2代目細胞 継代8日目でG418添加(光らなかったGFP-NT胚).対照区:体外受精胚 2代目細胞 継代5日目でG418添加.* ネオマイシン添加濃度.**培地交換.ア:円形化細胞を認めるが少数.+:円形化細胞明瞭.++:円形化細胞多数(約1/3以上).+++:円形化細胞ほぼすべて.(上述の円形化細胞は死滅細胞である。)【0031】以上の結果から,再構築受精卵においてGFPの発現と同時にネオマイシン耐性遺伝子の発現も同時に証明することができた。【0032】【発明の効果】本発明によれば、GFP遺伝子等の、宿主細胞に化学的又は機械的処理を行うことなく宿主細胞を生かしたまま検出可能なリポーター遺伝子をマーカーとしてウシ等の家畜等の受精卵前核に組換えDNAをマイクロインジェクションし、桑実胚に発育した段階で胚にダメージを与えることなく迅速かつ簡易に、モザイク状の発現胚の中からトランスジェニックドナー細胞を選抜できる。また、選抜したドナー細胞を用いた核移植により全能性が有り、全ての細胞がトランスジェニック細胞から成る再構築受精卵を作出することが可能になる。この手法により作出した再構築受精卵を受卵雌に移植することにより、形質転換動物を生産する時間及び経費の大幅な軽減が可能となる。【図面の簡単な説明】【図1】本発明の実施例2で作製した、所望の遺伝子としてネオマイシン耐性遺伝子を発現する組換えベクターの構造を示す図である。 宿主細胞内における発現が、宿主細胞に化学的又は機械的処理を行うことなく宿主細胞を生かしたまま検出可能なリポーター遺伝子と、所望の遺伝子とを宿主細胞内で発現し得る組換えDNAを、マイクロインジェクションにより前核期にある非ヒト由来の受精卵の前核へ注入し、さらに受精卵の体外培養を継続し、前記リポーター遺伝子を発現している細胞を選択し、非ヒト由来の除核卵子に前記選択された細胞の核を核移植することを含む、再構築受精卵の作製方法。 前記リポーター遺伝子は、緑色蛍光タンパク質遺伝子であり、前記細胞の選択は、細胞に励起光を照射して蛍光を発する細胞を選択することにより行われる請求項1記載の方法。 前記選択される細胞は、桑実胚の段階にある細胞である請求項1又は2記載の方法。 前記受精卵及び前記除核卵子は同種の哺乳動物由来である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法。 前記哺乳動物は家畜である請求項4記載の方法。 前記家畜は、ウシ、ブタ、ヤギ、ヒツジ又はウサギである請求項5記載の方法。 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の方法により再構築受精卵を作製し、該再構築受精卵を培養して胚とし、前記リポーター遺伝子を発現している胚を選択する工程をさらに含む、トランスジェニック胚の作製方法。


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