生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_アセトアルデヒドの測定方法
出願番号:2000228332
年次:2005
IPC分類:7,G01N5/02,G01N30/48


特許情報キャッシュ

平山 和子 野田 和俊 長縄 竜一 JP 3612588 特許公報(B2) 20041105 2000228332 20000728 アセトアルデヒドの測定方法 愛媛県 592134583 池浦 敏明 100074505 独立行政法人産業技術総合研究所 301021533 池浦 敏明 100074505 平山 和子 野田 和俊 長縄 竜一 20050119 7 G01N5/02 G01N30/48 JP G01N5/02 A G01N30/48 P 7 G01N 5/00-5/04 G01N 30/00-30/96 JICSTファイル(JOIS) 特開平11−240916(JP,A) 特開平04−101648(JP,A) 特開平03−087634(JP,A) 特開平05−312709(JP,A) 特開平11−044625(JP,A) 平山和子、亀岡啓,分子インプリンヒング法によるリゾチーム鋳型の合成及びその水晶振動式センサーへの応用,分析化学,日本,日本分析化学会,2000年 1月 5日,第49巻、第1号,p.29−33 2 2002039934 20020206 7 20000728 ▲高▼見 重雄 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、測定雰囲気中の他物質の影響を受けることなく、かつ温度、湿度の影響を補償し、検出対象物質であるアセトアルデヒドだけを、簡便迅速に、かつ連続的に測定することのできるアセトアルデヒドの測定方法である。【0002】【従来の技術】従来、気体中及び溶液中のアセトアルデヒドの高感度分析には、主にクロマトグラフ法が、また現場での作業環境の監視等には、より簡便な検知管法も使われている。クロマトグラフ法でのアセトアルデヒド物質の分析は、操作が煩雑で時間を要するため、熟練した技術者が行ってきた。一方、現場で実施可能な簡易検出法としては、発色試薬の呈色反応を利用した検知管法が用いられてきたが、干渉物質の影響を受けやすく、また変色を測定者が目視する際に誤差を生じやすい。さらに、気体中あるいは溶液中の測定には、それぞれ専用の測定機器をそろえる必要があった。また、公知既存の二分子膜を利用した水晶振動子による測定法も、対象ガスだけを測定することは難しく、そのガスの物理化学的特性の似たものまでも測定してしまうという問題があった。さらに、温度、湿度の影響を受けやすく、その補償をおこなった測定はなかった。近年、物理化学的特性や分子構造の似たものを分離・吸着する素材として、分離・吸着したい分子の形状鋳型をもつ物質が報告されている。これは目的の物質共存下でモノマーと架橋剤をラジカル重合することにより目的の物質の形状を写し取った鋳型をもつ重合膜を形成させるものであるが、クロマトグラフ用担体として用いるのが一般的であった。【0003】【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、アセトアルデヒドを検出対象物質とし、この検出対象物質の形状の鋳型を有する鋳型重合膜を測定用素子とし、検出対象物質の形状の鋳型をもたない重合膜を参照用素子として用いることにより、気相中および液相中で、温度、湿度の影響を補償してアセトアルデヒドを高精度で測定する方法を提供することをその課題とする。【0004】【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに到った。即ち、本発明によれば、気相中又は液相中のアセトアルデヒドを測定する方法において、アセトアルデヒドの形状の鋳型を有する鋳型重合膜からなる測定用素子と、アセトアルデヒドの形状の鋳型を持たない以外は前記鋳型重合膜と実質的に同じ組成の非鋳型重合膜からなる参照用素子との組合わせをアセトアルデヒド測定手段として用いることからなり、該重合膜はメタクリル酸アルキルエステルとジビニル化合物とを、該メタクリル酸アルキルエステル1モル当り、該ジビニル化合物1〜12モルの割合でビニル重合させて形成した重合膜であることを特徴とするアセトアルデヒドの測定方法が提供される。【0005】【発明の実施の形態】本発明においては、液相中又は気相中の検出対象物質としてのアセトアルデヒドを測定するための手段として、アセトアルデヒドの形状の鋳型を有する鋳型重合膜からなる測定用素子と、アセトアルデヒドの形状の鋳型の形状を持たない以外は前記鋳型重合膜と実質的に同じ組成の重合膜からなる参照用素子との組合わせを用いる。前記鋳型重合膜は、アセトアルデヒドの分子形状に対応する鋳型を有する不溶性重合膜からなる。この鋳型重合膜を製造するには、ビニルモノマーとその架橋剤を含むモノマー混合溶液を作り、この溶液にアセトアルデヒドを溶解させ、更に重合開始剤を加え、これを液膜状に成形し、加熱重合させて不溶性重合膜とする。次に、この重合膜を水中で繰り返し洗浄して、アセトアルデヒドを溶出除去する。このようにして得られる重合膜は、その表面にアセトアルデヒドの形状の鋳型を有するものである。一方、前記アセトアルデヒドの形状の鋳型を持たない以外は、実質的に同じ組成の非鋳型重合膜は、前記不溶性重合膜の製造方法において、アセトアルデヒドをモノマー混合溶液に溶解させない以外は同様にして製造することができる。【0006】前記ビニルモノマーとしては、メタクリル酸メチル等のメタクリル酸アルキルエステルが用いられる。この場合、そのアルキル基としては、炭素数1〜6、好ましくは1〜3のアルキル基が用いられる。前記架橋剤としては、2つのビニル基を持つ従来公知の各種ジビニル化合物が用いられる。このようなジビニル化合物としては、エチレングリコールジメタクリレートやジビニルベンゼン等が用いられる。このジビニル化合物としては、前記ビニル化合物と同族の化合物を用いるのが好ましい。架橋剤の使用割合は、ビニルモノマー1モル当り、1〜12モル、好ましくは1〜2モルの割合である。【0007】前記重合開始剤としては、ビニル重合に用いられている慣用のもの、通常、過酸化ラウロイル、過酸化ベンゾイル、クメンヒドロパーオキサイド等の有機過酸化物や、2,2−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物が用いられる。この重合開始剤の使用割合は、ビニルモノマー100重量部当り、通常、5〜30重量部、好ましくは8〜20重量部の割合である。前記アセトアルデヒド使用量は、ビニルモノマー100重量部当り、4〜40重量部、好ましくは5〜10重量部の割合である。【0008】本発明の鋳型重合膜の製造においては、前記各成分を含む混合溶液を膜状体に保持して重合処理するが、この場合、重合溶媒を用いることができる。このような重合溶媒としては、蒸発除去の容易なもの、例えば、沸点50〜110℃のもの、好ましくはクロロホルムが用いられる。【0009】本発明で用いる好ましい鋳型及び非鋳型の重合膜は、メタクリル酸メチルとエチレングリコールジメタクリレートとからなり、該エチレングリコールジメタクリレートの割合が、メタクリル酸メチル1モル当り、0.5〜12モル、好ましくは1〜2モルの割合であるモノマー混合物の重合体からなる不溶性重合膜である。【0010】本発明の鋳型及び非鋳型の重合膜(以下、単に重合膜とも言う)は、それ単独で素子として用いることができるが、通常は、支持体上に付着支持させて用いられる。重合膜を単独で用いる場合、その厚さは1〜100μm、好ましくは10〜30μmである。その形状は特に制約されず、円形状、多角形状等の任意の形状であることができる。その大きさは、その測定雰囲気等に応じて適宜選定される。重合膜を支持体上に付着支持させて用いる場合、その重合膜の厚さは、0.01〜10μm、好ましくは0.01〜0.1μmである。支持体としては、プラスチック、ガラス、セラミックス、金属等の各種の固体から形成されるものが用いられる。本発明では、基体の形状は、特に制約されず、板体状、球体状、ペレット状、円柱状、中空体状、ハニカム体状等の各種の形状であることができる。その大きさは、測定雰囲気等に応じて適宜選定される。【0011】本発明による鋳型重合膜は液相又は気相中に含まれるアセトアルデヒドのみを選択的に捕捉し、それ自体で又は基体に付着支持させた状態でアセトアルデヒド測定用素子として利用することができる。そして、この素子に捕捉されたアセトアルデヒド量を測定することにより、その液相又は気相中のアセトアルデヒド濃度を知ることができ、また、その測定を連続的に行うことにより、その濃度変化を知ることができる。鋳型重合膜に捕捉されたアセトアルデヒドの質量は、アセトアルデヒドを定量するための従来公知の物理的方法や化学的方法により測定することができる。【0012】本発明においては、前記重合膜は、例えば、水晶振動子表面の少なくとも一部、例えば、片面又は両面に付着支持させることが好ましい。このような重合膜を表面に有する水晶振動子は、その重合膜がアセトアルデヒドを捕捉したときに、その捕捉したアセトアルデヒドの質量に応じてその振動周波数を変化させるという特性を有する。従って、その重合膜を有する水晶振動子をアセトアルデヒド測定用素子として用い、その振動周波数を出力信号として測定することにより、気体中や液体中のアセトアルデヒド濃度及びその変化を連続的に測定することができる。この場合、アセトアルデヒドの形状の鋳型を有しない非鋳型重合膜を用いた以外は同様にして作製した実質的に同一組成の重合膜を表面に有する水晶振動子を参照用素子として同様に用いることにより、測定雰囲気中の温度や湿度等の影響を補償して、簡便迅速にアセトアルデヒドのみの濃度及び濃度変化を測定することができる。なお、前記で用いる測定用素子に用いる水晶振動子及び参照用素子に用いる水晶振動子としては、好ましくは実質的に同一特性を有するものを用いる。【0013】【実施例】次に本発明を実施例により更に詳細に説明する。【0014】実施例1ビニル基を持ったモノマー、すなわちメタクリル酸メチル0.5ml、架橋剤、すなわちエチレングリコールジメタクリレート10ml、及びクロロホルム1mlを混合し、モノマー混合溶液を調製する。このモノマー混合溶液にアセトアルデヒド0.2mlを溶解し、さらに重合開始剤として過酸化ラウロイル50mgを加えて、水晶振動子上に一定量を滴下した。これをガラスチューブオーブン中にて、90℃で5時間加熱した。重合反応後、純水中で5回以上洗浄してアセトアルデヒドを前記複合体から溶出除去した。こうして水晶振動子を支持体とし、その表面にアセトアルデヒドの形状の鋳型を有する重合体膜で被覆された測定用素子Aを得る。次に、アセトアルデヒドを用いないこと以外は同様の操作を行い、アセトアルデヒドの形状の鋳型をもたない重合体膜で被覆された参照用素子Bを得る。そして、作製した前記測定素子Aを用いて、アセトアルデヒドの濃度検出・識別能力試験を行った。すなわち、濃度0.2ml/10mlのアセトアルデヒドとアセトンをそれぞれ鋳型重合膜を被覆した水晶振動子を設置した体積20mlのリン酸緩衝液を入れたセル中に滴下し、一定温度で自然拡散させた際の水晶振動子の周波数変化量から、アセトアルデヒドが鋳型重合膜に吸着した量を求めた。ここで調製した測定用素子Aは、アセトアルデヒドに対する鋳型を持っており、アセトアルデヒドを選択的に吸着するが、その測定精度を高めるには、アセトアルデヒド以外の物質の影響や温度の影響を除外する必要がある。この場合の測定用素子Aの周波数変化量は、アセトアルデヒドと温度の影響を受けた出力となっており、そこから、アセトアルデヒド形状の鋳型をもたない重合体膜で被覆された参照素子Bにおけるアセトアルデヒドの影響は受けずに温度の影響のみを受けた状態の周波数変化量を差し引くことによって、鋳型に適合した吸着物質だけの吸着量を求めることができる。それぞれの溶液の添加量と周波数変化量の関係を図1に示す。この図から、分子構造が似たものを添加しても、その影響は現れずアセトアルデヒドの濃度だけを検知することができることがわかる。【0015】実施例2ビニル基を持ったモノマー、すなわちメタクリル酸メチル0.05ml、架橋剤、すなわちエチレングリコールジメタクリレート1.37ml、及びクロロホルム2.5mlを混合し、モノマー混合溶液を調製する。このモノマー混合溶液にアセトアルデヒド0.01m1を溶解し、さらに重合開始剤として過酸化ラウロイル10mgを加えて、水晶振動子上に一定量を滴下する、これに1.0kW高出力高圧水銀灯を光源とする紫外線を10分間照射後、一晩放置する。重合反応後、純水中で5回以上洗浄してアセトアルデヒドを前記複合体から溶出除去する。この方法によって水晶振動子を支持体とし、その表面にアセトアルデヒドの形状の鋳型を有する重合体膜からなる測定用素子A−2を得る。次に、アセトアルデヒドを用いないこと以外は同様の操作を行い、アセトアルデヒドの形状の鋳型をもたない重合体膜で被覆された参照用素子B−2を得る。そして、作製した前記測定素子B−2を用いて、ガス濃度検出識別能力試験を行った。すなわち、0.1mlのアセトアルデヒド、アセトン、クロロホルム、トリクロロエチレンをそれぞれ流量200ml/minで、合成空気気流中に注入一定温度で自然気化させたものを、水晶振動子を設置したセル中に流したときの水晶振動子測定用素子A−2の周波数変化量から、アセトアルデヒドの形状の鋳型を有する重合膜に吸着したアセトアルデヒド量を求めた。ここで調製した素子A−2は、アセトアルデヒドに対する鋳型を持っており、アセトアルデヒドを選択的に吸着するが、その測定精度を高めるには、アセトアルデヒド以外の物質の影響や温度、湿度の影響を除外する必要がある。この場合の測定用素子A−2の周波数変化量は、アセトアルデヒドとアセトアルデヒド以外の物質の影響や温度、湿度の影響をうけた出力となっており、そこから、アセトアルデヒド形状の鋳型をもたない重合体膜で被覆された参照素子B−2におけるアセトアルテヒドの影響は受けずに、アセトアルデヒド以外の物質の影響や温度、湿度の影響のみを受けた状態の周波数変化量を差し引くことによって、アセトアルデヒドだけの吸着量を求めることが可能となる。【0016】【発明の効果】本発明の方法によれば、気相中及び液相中のアセトアルデヒドの濃度及び濃度変化を連続的に測定することができる。本発明では、特に、アセトアルデヒドの形状の鋳型重合膜を表面に有する水晶発振子を測定用素子として用いるとともに、アセトアルデヒドの形状の鋳型を有しない以外は前記鋳型重合膜と実質的に同じ組成の非鋳型重合膜を表面に有する水晶発振子を参照用素子として用いることにより、温度や湿度等の影響を補償してアセトアルデヒド濃度を0.1ppm程度の高感度で測定することができる。本発明は、アセトアルデヒド分析における省力化、分析精度の向上及び分析コストの低減等に大きく寄与するものである。【図面の簡単な説明】【図1】溶液中でのアセトアルデヒド、アセトン添加量に対する測定用素子と参照用素予の周波数変化量の差である。 気相中又は液相中のアセトアルデヒドを測定する方法において、アセトアルデヒドの形状の鋳型を有する鋳型重合膜からなる測定用素子と、アセトアルデヒドの形状の鋳型を持たない以外は前記鋳型重合膜と実質的に同じ組成の非鋳型重合膜からなる参照用素子との組合わせをアセトアルデヒド測定手段として用いることからなり、該重合膜はメタクリル酸アルキルエステルとジビニル化合物とを、該メタクリル酸アルキルエステル1モル当り、該ジビニル化合物1〜12モルの割合でビニル重合させて形成した重合膜であることを特徴とするアセトアルデヒドの測定方法。 該アセトアルデヒドの形状の鋳型を有する鋳型重合膜及び該アセトアルデヒドの形状の鋳型を有しない非鋳型重合膜が、実質的に同じ特性を有する水晶振動子表面の少なくとも一部に形成されている請求項1のアセトアルデヒドの測定方法。


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