生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_メタクリル酸エステルの製造法
出願番号:2000188612
年次:2010
IPC分類:C07C 67/03,C07B 61/00,C07C 67/56,C07C 67/58


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小林 明洋 JP 4591733 特許公報(B2) 20100924 2000188612 20000623 メタクリル酸エステルの製造法 日立化成工業株式会社 000004455 小林 明洋 20101201 C07C 67/03 20060101AFI20101111BHJP C07B 61/00 20060101ALI20101111BHJP C07C 67/56 20060101ALI20101111BHJP C07C 67/58 20060101ALI20101111BHJP JPC07C67/03C07B61/00 300C07C67/56C07C67/58 C07B 31/00-63/04 C07C 1/00-409/44 CAplus/REGISTRY(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) 特開昭49−135916(JP,A) 特開平09−003004(JP,A) 3 2002003444 20020109 7 20070328 高橋 直子 【0001】【産業上の利用分野】本発明は、メタクリル酸エステルの製造法に関する。【0002】【従来の技術】メタクリル酸エステルの製造法については種々の方法が提案されている。例えば、▲1▼酸触媒の存在下にメタクリル酸と相当するアルコールとを反応させ生成する水を系外に除去する方法(脱水反応)、▲2▼メタクリル酸メチルと相当するアルコールとを反応させ生成するメタノールを除去する方法(エステル交換反応)などが一般的である。【0003】▲1▼の脱水反応による方法は、反応後に触媒の硫酸やパラトルエンスルホン酸等の強酸及び過剰のメタクリル酸を除去するため、中和・水洗による多量の廃水が生じ、また工程も長くなるという欠点がある。▲2▼のエステル交換反応による方法は、▲1▼の方法に比べると廃水は少ないが、通常触媒に使用されるチタンアルコキシドを除去するため加水分解により不溶化濾過することが一般的であり、やはり廃水の生成が避けられず、また触媒の加水分解物の濾過性が悪く工程が長い欠点があった。【0004】従来より、上記▲2▼のチタンアルコキシドを用いたエステル交換法のプロセスの改良は検討されており、例えば特公昭57−24775号公報には、水でチタンアルコキシドを加水分解した後、活性炭を加えて凝集させて濾別する方法が提案されている。しかし、この方法でも本質的に水を加えることによる廃水の生成は避けられず、また水分を含んだ水酸化チタンが生成するため、濾過性も十分改良されてはいない。【0005】さらに、チタン以外の金属、例えばアルカリ金属や錫、鉛等を触媒に使用する方法が数多く提案されているが、アルカリを触媒に用いた場合は副生成物の生成が避けられないこと、また他の金属はいずれも毒性やコスト上等の問題点があった。【0006】【発明が解決しようとする課題】本発明は、アルコールとメタクリル酸メチルとを、チタンテトラアルコキシドを触媒としてエステル交換反応により、該アルコールのメタクリル酸エステルを製造するに際し、触媒として用いたチタンテトラアルコキシドを加水分解せずに(水を用いずに)不溶化させ、廃水を生成させず、かつ不溶化した触媒を迅速に濾別により除去できるメタクリル酸エステルの製造法を提供するにある。【0007】【課題を解決するための手段】 すなわち本発明は、アルコールとメタクリル酸メチルとを、チタンテトラアルコキシドを触媒としてエステル交換反応により、該アルコールのメタクリル酸エステルを製造するに際し、合成後の反応液を、エチレングリコール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール及びジペンタエリスリトールから選ばれる1又は2以上の多価アルコールで処理するメタクリル酸エステルの製造法に関する。【0008】チタンテトラアルコキシドを触媒として用いたエステル交換反応によるエステル化の方法としては、一般的に行われているアルコールとメタクリル酸メチルとを、チタンテトラアルコキシド及び重合禁止剤の存在下で反応させ、生成するメタノールを系外に除去することにより行うことができる。【0009】本発明においてエステルの原料として用いるアルコールとしては、例えばn−ブタノール、イソブタノール、2−エチルヘキサノール、イソデシルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、ステアリルアルコール、シクロヘキサノール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ベンジルアルコール、フェノキシエタノール、ジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノール、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとのブロック共重合体ジオール、ポリテトラメチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、デカンジオール、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物、トリメチロールエタンエチレンオキサイド付加物、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド付加物、トリシクロ[5.2.1.02.6 ]デセノール、トリシクロ[5.2.1.02.6 ]デカノール、トリシクロ[5.2.1.02.6 ]デセニルオキシエタノール、トリシクロ[5.2.1.02.6 ]デカニルオキシエタノール、トリシクロ[5.2.1.02.6 ]デセニルオキシプロパノール、トリシクロ[5.2.1.02.6 ]デカニルオキシプロパノール、ポリエチレングリコールモノトリシクロ[5.2.1.02.6 ]デセニルエーテル、ポリエチレングリコールモノトリシクロ[5.2.1.02.6 ]デカニルエーテル、ポリプロピレングリコールモノトリシクロ[5.2.1.02.6 ]デセニルエーテル、ポリプロピレングリコールモノトリシクロ[5.2.1.02.6 ]デカニルエーテル等が挙げられる。【0010】本発明では、メタクリル酸メチル/アルコールのOH基が当量比で2/1以上になるように配合することが好ましく、2/1〜5/1になるように配合することがより好ましい。メタクリル酸メチルが少なすぎると反応速度が低下し、多すぎても利点はなくかえって経済性に劣る場合がある。【0011】触媒として用いるチタンテトラアルコキシドとしては、チタンテトラメトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラn−プロポキシド、チタンテトラn−ブトキシド、テトラキス(2−エチルヘキシルオキシ)チタン、テトラステアリルオキシチタン等が挙げられるが、取り扱い上の安定性と触媒としての活性との点からは、チタンテトライソプロポキシド及びチタンテトラn−ブトキシドが好ましい。【0012】触媒の使用量は、メタクリル酸メチルとアルコールの合計量に対して通常0.01〜5.0重量%の範囲である。少なすぎると反応の進行が遅くなり、逆にこれより多い場合でも、特に利点はなく不経済である。チタンテトラアルコキシドは、良く知られているように水分や湿気で徐々に失活するため、反応系内の水分は少なく制御することが好ましく、反応中を通して反応液中の水分を500ppm以下に保つことが好ましい。アルコールとメタクリル酸メチルとを仕込んだ後、混合物をリフラックスさせ、水分をメタクリル酸メチルと共に系外に除去し、内容物の水分が500ppm以下になったところで触媒のチタンテトラアルコキシドを添加して反応させることにより、比較的容易に水分を管理することが可能である。【0013】反応に際しては、重合禁止剤を添加することが重合防止のため効果的である。重合禁止剤としては、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ハイドロキノン、BHT(t−ブチルヒドロキシトルエン)、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、フェノチアジン等が使用できる。これらの重合禁止剤の使用量は、メタクリル酸エステルに対して通常10〜10,000ppm程度である。また、必要により分子状酸素を反応液に導入しながら反応させてもよい。分子状酸素としては、例えば空気が好適に使用可能である。分子状酸素の使用量としては、反応器の形状や攪拌動力などによっても影響を受けるが、アルコール1モルに対して5〜500ml/min(空気として25〜2,500ml/min)の速度で吹き込むことができる。なお、上述の水分管理のため、空気等を吹き込むときは乾燥空気を用いることが好ましい。【0014】また、エステル交換反応に際しては、反応に関与しない不活性なものであれば、適宜溶媒を使用することもできる。例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、シクロヘキサン等の炭化水素類やジオキサン等のエーテル類などを挙げることができる。エステル交換反応は、常圧又は減圧下で60〜130℃で行うのが好ましい。【0015】また、エステル交換反応の形態としては、メタクリル酸エステルとアルコールをエステル交換反応によりメタクリル酸エステルを製造する当業者間で一般的に知られている方法を採用することが出来る。この方法では、アルコールの転換率を高めるため、副生するメタノールと原料のメタクリル酸メチル又は上述したような溶媒を共沸蒸留することにより、副生するメタノールを系外に留去しながら合成を行うのが好ましい。このため、反応装置としては、精留塔の付いた回分式反応槽が使用される。【0016】反応の進行は必要により反応器内の反応液の組成分析(ガスクロ、液クロ、滴定分析等)、または留出するメタノール量などによって確認することができる。所望の反応率になったところで、加熱を終了し冷却することによって反応を終了することができる。反応終了後、多価アルコールを添加することにより、触媒として用いたチタンテトラアルコキシドを加水分解せずに(水を用いずに)不溶化させ、廃水を生成させず、かつ迅速に不溶化した触媒を濾別により除去することができる。【0017】本発明で用いる多価アルコールは、OH基と他のOH基との間の炭素鎖が炭素数3以下の構造を含み、かつ(分子量)÷(OH基数)が45以下の多価アルコールが好ましい。好ましくは、エチレングリコール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール及びジペンタエリスリトールであり、これらは、単独で又は組み合わせて用いることができる。【0018】多価アルコールの使用量は、チタンテトラアルコキシドの1モル当たり、OH基の当量数を3〜10の範囲にすることが好ましい。これより少ないと、触媒が十分に不溶化せず、また、これより多いと多価アルコールが製品のメタクリル酸エステルに混入し、製品の品質に不都合を生じる。多価アルコールによる処理は、メタクリル酸エステルの反応液に多価アルコールを加え、攪拌等によってよく混合し、必要により加熱することによって行われる。処理温度は50℃〜100℃の範囲が好ましい。これより低いと触媒が十分に不溶化せず、これより高いとエステルの重合等の不都合が生じやすい。また、処理時間としては1分〜10時間の範囲で行われるが、好ましくは5分〜5時間の範囲である。1分より短いと触媒が十分に不溶化できないし、10時間より長くても特に利点はない。【0019】反応液を上述の多価アルコールで処理後、未反応のメタクリル酸メチルを減圧加熱下に除去し、濾過により不溶化した触媒の除去を行うが、いずれを先に行っても構わない。すなわち、反応終了後、未反応のメタクリル酸メチルを減圧加熱下に除去後、濾過により不溶化した触媒を除去してもよいし、反応終了後、濾過により不溶化した触媒を除去した後に未反応のメタクリル酸メチルを減圧加熱下に除去してもよい。濾過の際には濾過助剤を使用することができる。濾過助剤としては、通常ケイソウ土などが使用され、使用量はメタクリル酸エステルに対し、0.05〜5.0重量%の範囲とすることが好ましい。濾過の方法としては、減圧吸引濾過、加圧濾過、常圧自然濾過などのいずれの方法でもよい。【0020】本発明によるこれらの製造工程により、アルコールとメタクリル酸メチルとを、チタンテトラアルコキシドを触媒としてエステル交換反応により該アルコールのメタクリル酸エステルを製造するに際し、触媒として用いたチタンテトラアルコキシドを加水分解せずに(水を用いずに)不溶化させ、廃水を生成させず、かつ不溶化した触媒を迅速に濾別により除去できるメタクリル酸エステルを製造することができる。【0021】【実施例】以下、実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。[実施例1]攪拌機、温度計、空気導入管及び精留塔(15段)を取り付けた1リットルのフラスコに、ラウリルアルコール(分子量186)279g(1.5モル)、メタクリル酸メチル500g(5モル)、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.5g、を仕込み、乾燥空気を50ml/minの速度で吹き込みながら加熱攪拌し、系内の水分をメタクリル酸メチルと共に留出させた。系内の水分をカール−フィッシャー法で分析し、250ppmとなったところでチタンテトライソプロポキシド1.5g(0.0053モル)を仕込み、エステル交換反応させた。はじめ、反応混合物を加熱還流し、精留塔の塔頂温度はメタクリル酸メチルの沸点である100℃付近であったが、反応の進行と共に、メタノールとメタクリル酸メチルの共沸混合物の沸点に近づいたので、塔頂温度が64〜66℃の範囲になるように還流比を調節してメタノールをメタクリル酸メチルとの共沸物として留去しながら反応を行った。【0022】反応開始後、2.5時間経過した頃から塔頂温度が上昇し始め約90℃まで上昇したのでそれに合わせて還流比を徐々に大きくし、最終的には15にして反応を続けた。反応開始後、4時間目の反応液をガスクロ分析したところ、原料のラウリルアルコールが目的化合物であるラウリルメタクリレートに対して0.7%(面積%)となったので反応を終了した。【0023】反応終了後、ペンタエリスリトール(分子量136)1.5g(OH基0.044当量;(OH基当量数)÷(チタンテトライソプロポキシドモル数)=8.3)を加え、80℃で30分攪拌し、触媒を不溶化した。引き続き不溶化触媒を含む反応液をロータリーエバポレーターに移し、残存メタクリル酸メチルが全体の0.5重量%になるまで浴温80℃で減圧下にメタクリル酸メチルを留去した。回収したメタクリル酸メチルは純度99.9%以上で水分含有量が100ppm以下であり、そのまま再使用できる品質のものであった。【0024】次に、ケイソウ土(昭和化学工業社製ラジオライト900;以下も同じ)を厚み約5mm敷き詰めた直径60mm、孔径4ミクロンの濾紙を用いて、減圧吸引濾過を行ない、透明なラウリルメタクリレート370g(収率97%)を得た。濾過に要した時間は17分であった。【0025】[比較例1]実施例1と全く同様に合成反応を行った後、反応液に10重量%食塩水80gを加えて60℃で30分間攪拌した。静置後、内容物を分液ロートに移し不溶化した触媒(水酸化チタン)の分散した水層を抜き出した。抜き出した廃水は87gであり、微量のメタクリル酸メチルが溶け込んでいた。引き続き抜き出しきれなかった不溶化触媒を含む反応液をロータリーエバポレーターに移し、残存メタクリル酸メチルが全体の0.5重量%になるまで浴温80℃で減圧下にメタクリル酸メチルを留去した。回収したメタクリル酸メチルはガスクロ純度は99.9%以上であったが水分を0.8%も含有しており、そのままでは再利用できない品質のものであった。【0026】次に、ケイソウ土(昭和化学工業社製ラジオライト900;以下も同じ)を厚み約5mm敷き詰めた直径60mm、孔径4ミクロンの濾紙を用いて、減圧吸引濾過を行った。透明なラウリルメタクリレート350g(収率92%)を得た。濾過に要した時間は1時間15分であった。【0027】【発明の効果】実施例から明らかなように、本発明により、触媒として用いたチタンテトラアルコキシドを加水分解せずに(水を用いずに)不溶化させ、廃水を生成させず、かつ不溶化した触媒を迅速に濾別により除去できるメタクリル酸エステルを製造することができる。 アルコールとメタクリル酸メチルとを、チタンテトラアルコキシドを触媒としてエステル交換反応により、該アルコールのメタクリル酸エステルを製造するに際し、合成後の反応液を、エチレングリコール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール及びジペンタエリスリトールから選ばれる1又は2以上の多価アルコールで処理することを特徴とするメタクリル酸エステルの製造法。 多価アルコールの使用量がチタンテトラアルコキシドのモル数に対して、OH基の当量数が3〜10の範囲である請求項1に記載のメタクリル酸エステルの製造法。 エステル交換反応後、合成後の反応液を多価アルコールで処理し析出する不溶物を濾過により除去することを特徴とする請求項1又は2に記載のメタクリル酸エステルの製造法。


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