タイトル: | 特許公報(B2)_高甘味度甘味料含有組成物 |
出願番号: | 2000184723 |
年次: | 2012 |
IPC分類: | A61K 31/525,A61K 47/22,A61K 9/02,A23L 1/302 |
田辺 光徳 木田 隆生 JP 4889846 特許公報(B2) 20111222 2000184723 20000620 高甘味度甘味料含有組成物 キリンフードテック株式会社 502118328 青山 葆 100062144 田中 光雄 100081422 田辺 光徳 木田 隆生 20120307 A61K 31/525 20060101AFI20120216BHJP A61K 47/22 20060101ALI20120216BHJP A61K 9/02 20060101ALI20120216BHJP A23L 1/302 20060101ALN20120216BHJP JPA61K31/525A61K47/22A61K9/02A23L1/302 A61K 31/525 A61K 47/22 CA/BIOSIS/MEDLINE/WPIDS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) 特開平08−208520(JP,A) 2 2002003380 20020109 8 20070531 森井 隆信 【0001】【発明の属する技術分野】本発明はリボフラビン含有組成物、さらに詳しくは、リボフラビンの溶解性および苦味を改善した、飲食品(動物用飼料も含む)、医薬品(医薬部外品、獣医薬品も含む)、化粧料として有用な組成物に関する。【0002】【従来の技術】ビタミンB2として知られるリボフラビンおよびその誘導体は、水に難溶性であるため、従来、ニコチン酸アミド、レシチン等の界面活性剤、アルカリ性物質等の溶解補助剤を用いて溶解し、再結晶化を防ぐ必要があった(Journal of the American Chemical Society, Vol. 69, 1064-1065 (1947); Journal of Pharmaceutical Sciences, Vol. 85, No. 9, 951-954 (1996); 特開平10−29941号)。また、リボフラビンやその誘導体は特有の苦味を持っていることから、食品、医薬、口腔用化粧料に使用する場合、この苦味を抑えるために、油脂や被覆剤で被覆するなどした製剤などにする必要があった。【0003】【発明が解決しようとする課題】本発明は、溶解補助剤を使用することなく、リボフラビンやその誘導体の溶解性を向上させ、また、被覆することなく苦味を抑制することを目的とする。【0004】【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究した結果、リボフラビンやその誘導体とアセスルファムKを共存させることにより、リボフラビンやその誘導体の溶解度を向上させ、再結晶化を防止させ、苦味を除去させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、【0005】(1) リボフラビンまたはその誘導体と、アセスルファムKとを含有してなるリボフラビン含有組成物、(2) 飲食品添加用の組成物である上記(1)記載の組成物、(3) 飲食品である上記(1)記載の組成物、(4) 医薬品配合用の組成物である上記(1)記載の組成物、(5) 医薬である上記(1)記載の組成物、(6) 化粧料添加用の組成物である上記(1)記載の組成物、(7) 化粧料である上記(1)記載の組成物、(8) リボフラビン1重量部に対し、アセスルファムK5.0重量部以上を含有する上記(1)〜(7)いずれか1項記載の組成物、(9) リボフラビン1重量部に対し、アセスルファム5.0〜238重量部を含有する上記(8)記載の組成物、(10) さらに、他の高甘味度甘味料を含有する上記(1)〜(9)いずれか1項記載の組成物、(11) 他の高甘味度甘味料がステビア、ステビア抽出物、アスパラテーム、スクラロース、ソーマチンおよびグリチルリチンからなる群から選択される1種以上の甘味料である上記(10)記載の組成物、(12) リボフラビンまたはその誘導体を、アセスルファムKと共存させることを特徴とするリボフラビンの溶解性改善方法、および(13) リボフラビンまたはその誘導体を、アセスルファムKと共存させることを特徴とするリボフラビンの苦味抑制方法、を提供するものである。本発明の組成物は、ビタミンB2源および/または甘味料として、飲食品、医薬品、医薬部外品、化粧料(特に、口腔用化粧料)、動物用飼料、獣医薬品等の製造における添加剤もしくは原料として使用でき、また、これら両成分を直接配合して製造した飲食品、医薬品、医薬部外品、化粧料(特に、口腔用化粧料)、動物用飼料、獣医薬品等自体とすることができる。【0006】【発明の実施の形態】本発明で用いるリボフラビンおよびその誘導体は、ビタミンB2として使用されるものいずれでもよく、例えば、リボフラビン、リボフラビンリン酸エステル、リボフラビン酪酸エステル、フラビンモノヌクレオチド、フラビンアデニンジヌクレオチドなどいずれでもよい。アセスルファムKは公知の甘味料であり、その製造法等については、例えば、特公昭59−7711号に記載されている。本発明においては、これら公知のアセスルファムKのいずれも使用することができる。通常、本発明の組成物においては、リボフラビン1重量部に対して、アセスルファムKを5.0重量部以上、好ましくは5.0〜238重量部、さらに好ましくは10〜80重量部の割合で用いる。組成物のリボフラビンまたはその誘導体と、アセスルファムKの含有量は、個々の組成物の用途に応じて適宜選択することができる。【0007】また、組成物の甘味の質を向上させるため、さらに他の高甘味度甘味料を適宜の量で併用してもよい。このような高甘味度甘味料の例としては、ステビア、ステビア抽出物、アスパラテーム、スクラロース、ソーマチン、グリチルリチン等が挙げれら、これらは1種以上を併用することができる。これらの高甘味度甘味料はいずれも公知であり、例えば、ステビアは、南米原産菊科植物Stevia rebaudiana BERTONIの葉部から抽出、精製され、その甘味成分はジテルペン配糖体であるステビオサイドおよびレバウディオサイド類である。また、これらにグルコースを酵素で糖転移させた酵素処理物もある。本発明においては、Stevia rebaudiana BERTONIの葉乾燥物の粉砕物ならびに上記の抽出物、精製物および酵素処理物のいずれをもステビアとして用いることができ、それらを単独または組み合わせて使用してもよい。アスパルテームは、ジペプチド形の甘味料として公知の甘味料である。スクラロースとしては、市販のスクラロースのいずれも使用することができる。【0008】本発明の組成物は、所定の成分を自体公知の方法により混合、分散、溶解等して、錠剤形、粉末状、顆粒状、シロップ、カプセル状、注射剤、錠形、粉末状、顆粒状、シロップ、カプセル状等の形態にすることができる。他の配合成分は特に限定するものではなく。例えば、以下のような成分を、単独で、あるいは適宜組み合わせて配合できる。(1)その他のビタミン類:ビタミンB1(チアミン塩酸塩、チアミン硝酸塩、ジベンゾイルチアミン、ジベンゾイルチアミン塩酸塩など)、ビタミンCおよびそのNa塩、Ca塩、ビタミンB6、ビタミンB12、パントテン酸カルシウム、ニコチン酸アミド、葉酸など。(2)賦形剤:単糖類(例、L−アラビノース、D−キシロース、D−2−デオキシリボース、D−リボース、D−およびL−ガラクトース、D−グルコース、D−マンノース、D−フルクトース、L−ソルボース、L−フコース、L−ラムノース、D−グルコサミンなど)、二糖類(例、セルビオース、ゲンチオビオース、イソマルトース、コージビオース、ラクトース、還元ラクトース、ラミナリビオース、マルトース、メリビオース、ニゲロース、ソホロース、スクロース、パラチノース、α,α−トレハロースなど)、糖アルコール(例、D−ソルビトール、D−マンニトール、ガラクチトール、エリスリトール、マルチトール、ラクチトール、パラチニットなど)可溶性および不溶性多糖類(例、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、エチルセルロースなど)、有機酸類(例、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、マレイン酸、グルコン酸、グルコン酸ナトリウム、グルコン酸カリウム、フマル酸、D−ガラクチュロン酸、D−グルクロン酸、D−マンヌロン酸、L−アスコルビン酸(ビタミンC)、D−イソアスコルビン酸、これらのナトリウム塩、アラニン、グリシン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、システイン、シスチン、メチオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、アルギニン、フェニルアラニン、チロシン、ヒスチジン、トリプトファン、プロリン、オキシプロリン、グルタミンなど)、無機塩類(例、第一リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、珪酸類(珪酸、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム)、酸化チタン、炭酸カルシウムなど)など。(3)結合剤:高分子結合剤(例、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、デキストリン、プルラン、α化デンプン、糊化化工デンプン、アラビアガム、ゼラチンなど)ならびに上記の単糖類、二糖類、糖アルコール、可溶性および不溶性多糖類など。(4)滑沢剤:ステアリン酸類(ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム)、ショ糖脂肪酸エステル、硬化油脂、不溶性多糖類(トウモロコシ澱粉など)。(5)崩壊剤:天然および合成高分子など。(6)その他、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドンなど。特に、上記(1)〜(5)は粉末、顆粒、錠剤の剤形の組成物の製造の際、とりわけ、(1)は加工食品に、また、(4)〜(5)は医薬品等に用いる。通常、組成物全量に対して、賦形剤は、0.1〜99.0重量%、好ましくは10.0〜70.0重量%、結合剤は、0.20〜10.0重量%、好ましくは0.6〜5.0重量%、滑沢剤は、0.1〜5.0重量%、好ましくは0.5〜3.0重量%、崩壊剤は、0.1〜20.0重量%、好ましくは0.3〜8.0重量%の割合で使用する。【0009】かくして得られた本発明の組成物は、ビタミンB2源および/または甘味料として、飲食品、医薬品、医薬部外品、化粧料(特に、口腔用化粧料)、動物用飼料、獣医薬品等の製造における添加剤もしくは原料として使用できる。また、上記の成分を直接配合して製造した飲食品、医薬品、医薬部外品、化粧料(特に、口腔用化粧料)、動物用飼料、獣医薬品等も本発明の組成物に包含される。例えば、本発明の組成物は、ビタミンB2の特性を活かして、飲食品や医薬品の着色および栄養強化を目的として使用できる。飲食品としては、例えば、錠剤形、粉末状、顆粒状、シロップ、カプセル状等の健康食品、パン類、菓子類クッキー、ビスケットなどの穀類加工品、牛乳、ヨーグルト、アイスクリームなどの乳製品類、炭酸飲料、清涼飲料、果汁入り清涼飲料、果汁入り飲料、薬系ドリンクなどの飲料、漬物類:たくわん漬などが挙げられる。医薬品としては、注射剤および錠形、粉末状、顆粒状、シロップ、カプセル状の医薬組成物が挙げられる。特に限定するものではないが、着色目的で使用する場合、本発明の組成物は、液体系で、0.0001〜0.0010重量%、粉末系で、0.01〜1.00重量%の割合で添加できる。また、強化目的で使用する場合は、食品添加物公定書解説書等に記載される強化食品の標準的なリボフラビン量となるように添加することができる。【0010】【実施例】以下に試験例および実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。試験例1リボフラビンの溶解度におよぼすアセスルファムKの添加効果実験材料武田薬品工業(株)製局方リボフラビンおよび武田薬品工業(株)製食品添加物用アセスルファムKを使用した。実験方法リボフラビン0.04gおよびアセスルファムK0.01、0.05、0.1、1、5、10、27gをそれぞれ100mLメスフラスコに精密に量り、約80mLの蒸留水を加え、水浴中、60℃で15分間加温した。冷後、蒸留水を加えながら正確に100mLとし、試料液とした。この試料液を25℃で一昼夜放置した後、3000r.p.m.で10分間遠心分離し、その上澄み液をメンブランフィルターで濾過し、濾液を適宜蒸留水で希釈し、以下に示したHPLC条件にてリボフラビンを定量した。HPLC条件カラム:CAPCELL Pak C18SG120 4.6mmφ×cm(SHISEIDO製)カラム温度:40℃流速:1.2mL/分検出波長:270nm注入量:10mL希釈液:0.01M リン酸バッファー:アセトニトリル=3:1結果(1)溶解性表1および図1にアセスルファムKの添加量とリボフラビンの溶解量の関係を示した。アセスルファムKの添加量が高くなるに従い、リボフラビンの溶解度が増した。特に、0.5重量%以上添加した場合、顕著に溶解度が増した。【0011】【表1】リボフラビンの溶解度(25℃)【0012】(2)リボフラビンの溶解後の結晶析出の有無表1の検液を25℃で1週間保存し、肉眼観察したところ、アセスルファムK添加区ではリボフラビンの結晶の析出は認められなかった。アセスルファムK無添加検体は極微に認めた。(3)リボフラビンの苦味マスキングの有無表1の検液のうち、25℃で、社内実験研究関係者5名によりプロファイル法で官能検査した。官能検査はアセスルファムK無添加検体とアセスルファムK1%添加区までの3検体と比較したところ、アセスルファムKの添加量が多くなるに従い、リボフラビン特有の苦味が少なくなった。【0013】実施例1レモンキャンディー以下の配合により、常法に従ってレモンキャンディーを得た。【0014】実施例2以下の配合により、常法に従ってチューイングガムを得た。【0015】【発明の効果】本発明によれば、アセスルファムKを共存させることにより、リボフラビンの溶解性が向上し、再結晶化が防止できかつ、苦味が除去でき、ステビア等の高甘味度甘味料を併用することによって甘味質を向上させることもできる。【図面の簡単な説明】【図1】 アセスルファムKの添加量と、リボフラビンの水への溶解量(25℃)の関係を示すグラフである。 リボフラビン、リボフラビンリン酸エステル、リボフラビン酪酸エステル、フラビンモノヌクレオチドおよびフラビンアデニンジヌクレオチドからなる群から選択される1種以上のリボフラビンまたはその誘導体を、アセスルファムKと共存させることを特徴とするリボフラビンの水への溶解性改善方法。 リボフラビン、リボフラビンリン酸エステル、リボフラビン酪酸エステル、フラビンモノヌクレオチドおよびフラビンアデニンジヌクレオチドからなる群から選択される1種以上のリボフラビンまたはその誘導体1重量部に対して、アセスルファムK5重量部以上を共存させることを特徴とする請求項1記載のリボフラビンの水への溶解性改善方法。