生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_エステル化反応用不均一系触媒
出願番号:2000184173
年次:2009
IPC分類:B01J 27/18,C07B 61/00,C07C 67/08,C07C 69/02


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三村 拓 貝田 純 福岡 紀明 服部 泰幸 JP 4330765 特許公報(B2) 20090626 2000184173 20000620 エステル化反応用不均一系触媒 花王株式会社 000000918 古谷 聡 100087642 古谷 馨 100063897 溝部 孝彦 100076680 持田 信二 100091845 三村 拓 貝田 純 福岡 紀明 服部 泰幸 JP 1999198520 19990713 20090916 B01J 27/18 20060101AFI20090827BHJP C07B 61/00 20060101ALI20090827BHJP C07C 67/08 20060101ALI20090827BHJP C07C 69/02 20060101ALI20090827BHJP JPB01J27/18 ZC07B61/00 300C07C67/08C07C69/02 B01J 21/00-38/74 WPI JSTPlus(JDreamII) JST7580(JDreamII) Science Direct 特開平10−156180(JP,A) 特開平09−268156(JP,A) 6 2001079413 20010327 7 20061201 岡田 隆介 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、エステル化反応用不均一系触媒及びそれを用いた脂肪酸エステルの製法に関する。【0002】【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】脂肪酸とアルコールからエステル化反応を行う場合、硫酸、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属酸化物、酸化スズ、テトライソプロポキシチタン等の均一系触媒が使用されている。【0003】一方、反応後の触媒成分の分離の面から不均一系触媒が検討されている。例えば、酢酸等の低級カルボン酸と、アミルアルコール等のアルコールとのエステル化反応に、オルトリン酸アルミニウムが使用されている(Bull. Soc. Chim. Belg.,第97巻(1)、第17頁)が、エステル化活性が満足すべき水準ではなかった。【0004】本発明の課題は、高い活性を有する、エステル化反応用の不均一系触媒を提供することにある。【0005】【課題を解決するための手段】本発明は、オルトリン酸アルミニウムを含有し、細孔直径が6〜100nmである細孔容量が0.46ml/g以上であって、かつ0.40mmol/g以上の酸量を有するエステル化反応用不均一系触媒、及びこの不均一系触媒の存在下、原料脂肪酸と原料アルコールとを反応させる脂肪酸エステルの製法である。【0006】【発明の実施の形態】本発明の触媒の調製法は、沈殿法が好ましい。具体的には、水溶性アルミニウム塩、例えば、硝酸塩、塩化物、硫酸塩と、オルトリン酸を混合させた水溶液に、アンモニア水などのアルカリを滴下させることによって沈殿が得られる。本発明の触媒を得るためには、アルカリの滴下による最終pHを4〜10にすることが好ましく、5〜9にすることがより好ましい。さらに、沈殿生成の液温は、低く保つことが好ましい。具体的には、50℃以下が好ましく、30℃以下がより好ましい。【0007】得られた沈殿を、濾過、水洗、乾燥、焼成等の処理を行うことで本発明の触媒を得ることができる。焼成は、触媒活性向上の観点から、150℃以上の温度で0.1時間以上行うことが好ましいが、1000℃を超える高温での焼成は、細孔容量及び酸量を減少させるため、それ以下の温度での焼成が好ましい。【0008】触媒の組成は、アルミニウム原子とリン原子の原子比が1:3〜1:0.1の範囲が好ましく、触媒活性上は、1:1.2〜1:0.2の範囲が特に好ましい。【0009】本発明の触媒は、反応基質分子(原料脂肪酸と原料アルコール)の拡散を考慮すると、特に拡散速度の遅い液相反応においては、細孔直径が6nm未満のミクロ孔よりも、細孔直径が6〜100nmである細孔の方が反応の進行上重要であり、細孔直径が6〜100nmである細孔容量を0.46ml/g以上とすることが、所望のエステル化反応活性を発揮する上で必要であり、好ましくは0.5ml/g以上、更に好ましくは0.60ml/g以上である。上限については特に制限はないが、実際的には、1.5ml/g以下であり、1.0ml/g以下が実施しやすい。よって望ましい具体的範囲として、0.5〜1.5ml/gが挙げられる。【0010】また、本発明の触媒は、酸量を0.40mmol/g以上有することがエステル化反応活性の点から必要であり、好ましくは0.5mmol/g以上、更に好ましくは0.60mmol/g以上である。上限については特に制限はないが、実際的には、2.0mmol/g以下であり、1.6mmol/g以下がより実施しやすい。よって、望ましい具体的範囲として、0.5〜2.0mmol/gが挙げられる。【0011】このように、本発明は、特定の細孔径の細孔容量と酸量の関係がエステル化反応に重要であること、並びにその具体的実現手段を見出したのである。【0012】触媒の形態は、粉末のまま原料に分散させて用いることもできるし、或いは成形して使用することもできる。成形の際に適当なバインダーを使用しても良い。粉末で使用する場合には、反応後に濾過によって触媒を反応液から分離するが、成形触媒として用いる場合には、反応塔に充填して連続反応を行うことが可能である。【0013】エステル化反応は原料脂肪酸と原料アルコールとを本発明の触媒の存在下に反応させることにより行われる。使用する原料脂肪酸と原料アルコールに、特に制約はないが、原料脂肪酸として、炭素原子を1〜22個含む直鎖或いは分岐鎖を持つ脂肪族カルボン酸又は芳香族カルボン酸或いはそれらの混合物、例えば、動植物油等の天然油脂由来の脂肪族カルボン酸が用いられる。より具体的には、酢酸、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸等のカルボン酸或いはジカルボン酸を例示することができる。【0014】また、原料アルコールとして、炭素原子を1〜22個含む直鎖或いは分岐鎖を持つ1価アルコール或いは多価アルコールが用いられ、より具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、オクタノール、ステアリルアルコール等の1価脂肪族アルコール、ベンジルアルコール等の1価芳香族アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の多価アルコールを例示することができる。【0015】エステル化の方法は、例えば、原料脂肪酸と原料アルコールを、本発明の触媒を充填した反応塔に連続的に供給する方法、反応槽で回分式に反応させる方法等がある。また、反応進行により水が発生するため、これを連続的或いは間欠的に分離除去することは反応時間の短縮の上で有利である。具体的なプロセスの例としては、原料脂肪酸と原料アルコールを液相条件下、連続的に固定床反応塔に供給し、反応する、特開平10−81647号記載の方法や、液状の原料脂肪酸とガス状の原料アルコールを気液向流及び/又は気液並流で、連続的に固定床反応塔に供給し、反応する、特許2707063号記載の方法等が挙げられる。【0016】本発明の触媒は耐熱性に優れ、400℃以上でも安定である。従って使用する反応温度条件に特に制約はない。また、原料脂肪酸や原料アルコール等に対して不溶性であり、活性成分の溶出が起きないため、反応は気相系のみならず液相系で行うことができる。【0017】【実施例】[細孔容量]島津製作所製水銀圧入式細孔分布測定装置(ポアサイザ9320)を用いて測定した。[酸量]日本ベル社製昇温脱離スペクトル装置を用い、0.05gの試料を減圧下400℃で前処理し、50℃でアンモニアを10分間吸着させ、50℃で4時間減圧処理することにより、物理吸着しているアンモニアを除去した後、10℃/minで600℃まで昇温し、アンモニア脱離スペクトルを測定した。この脱離スペクトルを、予め酸量がわかっている触媒学会の参照触媒JRC-Z5-25Hの脱離スペクトルと比較することにより、触媒の酸量を求めた。【0018】実施例1(触媒調製)硝酸アルミニウム(0.3mol)とオルトリン酸(0.3mol)の水溶液に、25℃で、pHが7になるまでアンモニア水を滴下することにより得た沈殿を、400℃で3時間焼成して、触媒Aを得た。【0019】触媒Aは細孔直径6〜100nmの細孔容量が0.62ml/gであり、酸量が1.02mmol/gであった。【0020】実施例2(エステル化反応)ラウリン酸(酸価280KOH-mg/g)153.4gと、ポリエチレングリコール(重量平均分子量450)345g、触媒A 12.5gを、常圧、窒素流通下で、留出してくる水を脱水管を用いて除去しつつ、200℃で2時間反応を行い、酸価1.1KOH-mg/gのポリエチレングリコールラウリン酸エステルを得た。【0021】実施例3(エステル化反応)ステアリン酸(酸価205KOH-mg/g)547.0gと、触媒A 13.7gの混合物に常圧、窒素流通下で、ブタノールを滴下しながら、また留出してくる水を脱水管で除去しながら、185℃で反応を行った。ブタノールの滴下量は、反応開始後4時間は51g/hr、その後2時間は74g/hrとした。反応は6時間で終了し、酸価0.03KOH-mg/gのステアリン酸ブチルエステルを得た。【0022】比較例1(触媒調製)硝酸アルミニウム(0.3mol)とオルトリン酸(0.3mol)の水溶液に、90℃で、pHが7になるまでアンモニア水を滴下することにより得た沈殿を、400℃で3時間焼成して、触媒Bを得た。【0023】触媒Bは細孔直径6〜100nmの細孔容量が0.72ml/gであり、酸量が0.26mmol/gであった。【0024】比較例2(触媒調製)硝酸アルミニウム(0.3mol)とオルトリン酸(0.3mol)の水溶液に、25℃で、pHが3になるまでアンモニア水を滴下することにより得た沈殿を、400℃で3時間焼成して、触媒Cを得た。【0025】触媒Cは細孔直径6〜100nmの細孔容量が0.44ml/gであり、酸量が1.18mmol/gであった。【0026】比較例3(エステル化反応)触媒Aの代わりに触媒Bを用いる以外は実施例2と同様に反応を行った結果、酸価が30.4KOH-mg/gのポリエチレングリコールラウリン酸エステルを得た。【0027】比較例4(エステル化反応)触媒Aの代わりに触媒Cを用いる以外は実施例2と同様に反応を行った結果、酸価が21.9KOH-mg/gのポリエチレングリコールラウリン酸エステルを得た。【0028】比較例5(エステル化反応)均一系触媒として、酸化マグネシウム0.1gを使用し、反応温度を、反応速度上有利な230℃としたこと以外は、実施例2と同じ方法で反応を行った結果、酸価が11.4KOH-mg/gのポリエチレングリコールラウリン酸エステルを得た。【0029】実施例4(触媒調製)硝酸アルミニウム(0.3mol)とオルトリン酸(0.3mol)の水溶液に、40℃で、pHが7になるまでアンモニア水を滴下することにより得た沈殿を、400℃で3時間焼成して、触媒Dを得た。【0030】触媒Dは細孔直径6〜100nmの細孔容量が0.49ml/gであり、酸量が0.93mmol/gであった。【0031】実施例5(エステル化反応)ラウリン酸とミリスチン酸の混合物(酸価270KOH-mg/g)160gと、メタノール124g、触媒A4gを、オートクレーブ密閉下、180℃で3時間反応させた。この時の無触媒下での反応分を除いた、触媒による反応速度を下記式により求めた(酸価に対して一次反応で計算)。結果を表1に示す。【0032】触媒反応速度[1/hr]=(1/3)×ln{(AV0h−AVe)/(AV3h−AVe)}−(1/3)×ln{(AVN0h−AVe)/(AVN3h-AVe)}ここで、AV0hは触媒存在下での反応における0時間目の反応液の酸価(KOH-mg/g)、AV3hは触媒存在下での反応における3時間目の反応液の酸価(KOH-mg/g)、AVeは反応平衡時の酸価(KOH-mg/g)、AVN0hは無触媒反応における0時間目の反応液の酸価(KOH-mg/g)、AVN3hは無触媒反応における3時間目の反応液の酸価(KOH-mg/g)である。【0033】実施例6(エステル化反応)触媒Aの代わりに触媒Dを用いる以外は実施例5と同様に反応を行い、同様に反応速度を求めた。結果を表1に示す。【0034】比較例6(エステル化反応)触媒Aの代わりに触媒Bを用いる以外は実施例5と同様に反応を行い、同様に反応速度を求めた。結果を表1に示す。【0035】比較例7(エステル化反応)触媒Aの代わりに触媒Cを用いる以外は実施例5と同様に反応を行い、同様に反応速度を求めた。結果を表1に示す。【0036】【表1】【0037】実施例7(触媒調製)硝酸アルミニウム(0.3mol)とオルトリン酸(0.3mol)の水溶液に、40℃で、pHが7になるまでアンモニア水を滴下することにより得た沈殿を、110℃で乾燥し、粉砕した。この粉砕物に対して、アルミナゾルを10%添加し、1.5mmφの押し出し成形を行った後、400℃で3時間焼成して、成形触媒Eを得た。【0038】成形触媒Eは細孔直径6〜100nmの細孔容量が0.51ml/gであり、酸量が0.79mmol/gであった。【0039】実施例8(エステル化反応)成形触媒Eを反応塔に充填し、ラウリン酸とミリスチン酸の混合物(酸価270KOH-mg/g)とメタノールとの固定床連続反応を行った。反応条件は、温度200℃、系内圧力1.0MPa、メタノール/脂肪酸モル比5/1[mol/mol]、LHSV 0.5[1/hr]とした。【0040】反応塔から出た液を水洗し、メタノール及び水を除去することにより、97.1%の収率で脂肪酸メチルエステルを得た。【0041】実施例9(エステル化反応)成形触媒Eを反応塔に充填し、ラウリン酸とミリスチン酸の混合物(酸価270KOH-mg/g)とメタノールとの固定床連続反応を行った。反応は、まず温度200℃、系内圧力1.0MPa、メタノール/脂肪酸モル比3/1[mol/mol]、LHSV 2[1/hr]の条件下で行い、反応塔から出た液からメタノール及び水を留去することにより、88.1%の収率で、脂肪酸メチルエステルを得、続いて、得られた粗脂肪酸メチルエステルを、温度200℃、系内圧力1.0MPa、メタノール/(脂肪酸及び脂肪酸メチルエステル)のモル比3/1[mol/mol]、LHSV 2[1/hr]の条件下反応させた。反応塔から出た液からメタノール及び水を留去することにより、99.7%の収率で脂肪酸メチルエステルを得た。【0042】【発明の効果】本発明によれば、原料脂肪酸、原料アルコール及び生成したエステルへ触媒成分の溶出が起きない不均一系触媒を用いることにより、生成物と触媒の分離を容易に行いながら、脂肪酸とアルコールから高品質のエステルを高収率で製造することができる。 オルトリン酸アルミニウムを含有し、細孔直径が6〜100nmである細孔容量が0.46ml/g以上であって、かつ0.40mmol/g以上の酸量を有するエステル化反応用不均一系触媒。 細孔直径が6〜100nmである細孔容量が0.5ml/g以上である請求項1記載のエステル化反応用不均一系触媒。 0.5mmol/g以上の酸量を有する請求項1又は2記載のエステル化反応用不均一系触媒。 オルトリン酸アルミニウムのアルミニウム原子とリン原子の原子比が1:3〜1:0.1の範囲である請求項1〜3のいずれかに記載のエステル化反応用不均一系触媒。 請求項1〜4のいずれかに記載の不均一系触媒の存在下、原料脂肪酸と原料アルコールとを反応させる脂肪酸エステルの製法。 原料脂肪酸が天然油脂由来の脂肪族カルボン酸である請求項5記載の脂肪酸エステルの製法。


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