タイトル: | 特許公報(B2)_N保護Nアルキル化アミノ酸の製造法 |
出願番号: | 2000182933 |
年次: | 2010 |
IPC分類: | C07C 269/06,C07C 271/22,B01J 31/12,C07B 61/00 |
竹中 圭司 亀山 直孝 古川 喜朗 JP 4438184 特許公報(B2) 20100115 2000182933 20000619 N保護Nアルキル化アミノ酸の製造法 ダイソー株式会社 000108993 竹中 圭司 亀山 直孝 古川 喜朗 20100324 C07C 269/06 20060101AFI20100304BHJP C07C 271/22 20060101ALI20100304BHJP B01J 31/12 20060101ALI20100304BHJP C07B 61/00 20060101ALN20100304BHJP JPC07C269/06C07C271/22B01J31/12 ZC07B61/00 300 C07C 269/06 C07C 271/22 特表平09−504303(JP,A) 特開平08−277242(JP,A) 特開昭63−280079(JP,A) 特開平06−179681(JP,A) 3 2002003463 20020109 6 20061011 安田 周史 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は医薬、農薬、生理活性物質などの光学活性化合物の合成中間体として有用なN保護Nアルキル化アミノ酸製造法に関する。【0002】【従来の技術および発明が解決しようとする課題】従来の方法として、アミノ酸に存在するカルボン酸をメチル基またはエチル基で予め保護してカルボン酸エステルとした状態で、アルキル化剤としてヨウ化アルキルや硫酸ジアルキルを反応させる方法(Coldmann, I.; Middleton, M. L.; Taylor, P. L., J. Chem. Soc., Perkin Trans 1, 1997, 2951., Yokoyama, Y.; Kondo, K.; Mitsuhashi, M.; Murakami, Y., Tetrahedron Lett, 1996, 37, 9309.)が知られる。しかし、これらの方法は予めカルボン酸部位をエステル化してNアルキル化を行った後にエステルを切断するという複雑な工程が必要である。加えて、アルキル化剤としてヨウ化アルキルを用いた場合には、その取り扱いの困難性が作業上問題となる(国際公開WO95/32180)。【0003】また別法として、カルボン酸部位を遊離の状態で反応を行う方法もあるが、反応後カルボン酸部位がエステル化され、後処理としての加水分解が必要となる(Blaser, D.; Ko, S. Y., J. Org. Chem., 1991, 56, 6230., Ramanjulu, J. M.; Joullie, M. M.; Li, W.-R., Synth. Commun., 1997, 27, 3259.)。【0004】ところで、遊離カルボキシル基を有するN保護Nアルキル化アミノ酸が簡便に合成できるというのは、とりわけペプチド化学の分野においては非常に重要である。【0005】これに対し、塩基としてアルカリ金属t-ブトキシドを、アルキル化剤としてジメチル硫酸をそれぞれ使用し、かつ、カルボン酸部位を遊離の状態でNアルキル化を行う方法が報告されている(WO95/12574)。しかし、該方法によると試薬を多段回投入するなど煩雑な操作が必要であるのみならず、使用に供するアルカリ金属t-ブトキシドが高価である等、大量合成には不向きである。加えて、反応を収率よく行うためには比較的多量の水を添加する必要がある。【0006】【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題に鑑み、簡便にかつ高収率でN保護Nアルキル化アミノ酸を得る方法を見出し本発明を完成した。【0007】即ち、本発明は、下記式(1)で表わされるN保護アミノ酸を、【化3】(式中、R1はアルキル基、アリール基およびアラルキル基から選ばれた基、R2は水素又はアルキル基、アリール基およびアラルキル基から選ばれた基、R3は水素若しくはアルキル基、アリール基およびアラルキル基から選ばれた基であるか又はたんぱく質アミノ酸の側鎖若しくはその誘導体をそれぞれ意味する。また、nは0または1を意味する。)エーテル系溶媒中、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水素化物の存在下、硫酸ジアルキルとを反応させることを特徴とする、下記式(2)で表されるN保護Nアルキル化アミノ酸の製造法に関する。【化4】(式中、R1、R2、R3およびnは前掲と同じものを意味する。R4はアルキル基を意味する。)【0008】本発明に用いられるN保護アミノ酸において、R1はアルキル基、アリール基およびアラルキル基から選ばれた基である。ここで、アリール基およびアラルキル基は置換されたものであってもよい。メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル、sec-ブチル基、tert-ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基がアルキル基として、フェニル基、o-トリル基、m-トリル基、p-トリル基、o-クロロフェニル基、m-クロロフェニル基、p-クロロフェニル基がアリール基として、ベンジル基、o-メチルベンジル基、m-メチルベンジル基、p-メチルベンジル基がアラルキル基として、それぞれ例示される。特にベンジル基又はtert-ブチル基が好ましい。【0009】R2は水素又はアルキル基、アリール基およびアラルキル基から選ばれた基である。ここで、アリール基およびアラルキル基は置換されたものであってもよい。メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル、sec-ブチル基、tert-ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などがアルキル基として、フェニル基、o-トリル基、m-トリル基、p-トリル基、o-クロロフェニル基、m-クロロフェニル基、p-クロロフェニル基などがアリール基として、ベンジル基、o-メチルベンジル基、m-メチルベンジル基、p-メチルベンジル基などがアラルキル基として、それぞれ例示される。【0010】R3は水素又はアルキル基、アリール基およびアラルキル基から選ばれた基であるか、或いはたんぱく質アミノ酸の側鎖若しくはその誘導体である。アルキル基、アリール基およびアラルキル基は置換されたものであってもよい。メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メトキシメチル基、トリメチルシリルオキシメチル基、tert-ブチルオキシメチル基、ベンジルオキシメチル基、1-メトキシエチル基、1-トリメチルシリルオキシエチル基、1-(tert-ブチルオキシ)エチル基、1-ベンジルオキシエチル基、2-メトキシエチル基、2-トリメチルシリルオキシエチル基、2-(tert-ブチルオキシ)エチル基、2-ベンジルオキシエチル基などがアルキル基として、フェニル基、o-トリル基、m-トリル基、p-トリル基、o-クロロフェニル基、m-クロロフェニル基、p-クロロフェニル基などがアリール基として、ベンジル基、o-メチルベンジル基、m-メチルベンジル基、p-メチルベンジル基、o-メトキシベンジル基、m-メトキシベンジル基、p-メトキシベンジル基、o-(tert-ブチルオキシ)ベンジル基、m-(tert-ブチルオキシ)ベンジル基、p-(tert-ブチルオキシ)ベンジル基、o-(トリメチルシリルオキシメチル)ベンジル基、m-(トリメチルシリルオキシメチル)ベンジル基、p-ト(トリメチルシリルオキシメチル)ベンジル基、o-(ベンジルオキシメチル)ベンジル基、m-(ベンジルオキシメチル)ベンジル基、p-(ベンジルオキシメチル)ベンジル基などがアラルキル基として、それぞれ例示される。【0011】ここで、上述した以外で、メチルチオメチル基、ベンジルチオメチル基、トリチルチオメチル基、カルボキシメチル基、ベンジルオキシカルボニルメチル基、tert-ブチルオキシカルボニルメチル基、2-カルボキシエチル基、2-(ベンジルオキシカルボニル)エチル基、2-(tert-ブチルオキシカルボニル)エチル基などがたんぱく質アミノ酸の側鎖またはその誘導体として、それぞれ例示される。【0012】また、R4はアルキル基であるが、メチル基またはエチル基が好ましく、中でもメチル基が最も好ましい。【0013】本発明おいてはエーテル系溶媒が用いられる。ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、t-ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシメタン、ジエトキシメタン、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシエタンが好ましく、更に好ましくは1,2-ジメトキシエタンである。【0014】使用するアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水素化物としては、水素化ナトリウム、水素化リチウム、水素化カリウム、水素化カルシウム、水素化マグネシウム、等を好ましく用いることができるが、水素化ナトリウムが最も好ましい。これら水素化物の添加量は原料であるN保護アミノ酸に対し2〜10当量が好ましく、更に好ましくは2〜5当量である。【0015】使用される硫酸ジアルキルは、硫酸ジメチルまたは硫酸ジエチルが良く、特に硫酸ジメチルが好ましい。硫酸ジアルキルの量は原料に対して1〜5当量が好ましく、更に好ましくは1〜3当量である。【0016】本発明では、反応系における水の存在は必ずしも必要ではないが、微量の水を添加することで反応を促進することができる。添加する水の量は使用する塩基の0.1〜50mol%が好ましく、更に好ましくは0.1〜20mol%であり、最も好ましくは0.1〜10mol%である。水の添加による反応の促進の機構については必ずしも定かではないが、反応活性種であるジアニオンの溶解度の向上および/または仮にエステルが生成したとしても迅速な加水分解によるラセミ化の防止などの理由による効果ではないかと考えられる。【0017】反応温度は-40℃から溶媒の還流温度までの間で行うことができるが、好ましくは-10℃〜40℃である。また、本反応は不活性の保護ガス中で行うのが好ましく、例えばヘリウム、アルゴン、窒素が例示される。【0018】本発明における反応は選択性が高いので、簡便な操作で高い化学純度の目的物を収率よく得ることができる。従って、反応によって得られたN保護Nアルキル化アミノ酸は一般的な分離方法、例えば蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の方法で精製可能である。【0019】光学活性な原料を使用すれば、顕著なラセミ化は起こらず、光学純度を損なうことなく目的物が合成できる。【0020】【発明の実施の形態】以下、実施例において、N保護Nアルキル化アミノ酸の合成を示すが、本発明はこれら実施例に限られたものではない。なお、実施例で使用する各種N保護アミノ酸および目的物であるN保護Nアルキル化アミノ酸の略号の正式名称を次に示す。Z-L-Val :N−ベンジルオキシカルボニル−L−バリンBoc-L-Val:N−tert-ブチルオキシカルボニル−L−バリンZ-L-Phe:N−ベンジルオキシカルボニル−L−フェニルアラニンZ-N-Me-L-Val:N−ベンジルオキシカルボニル−N-メチル−L−バリンBoc-NMe-L-Val:N−tert-ブチルオキシカルボニル−N-メチル−L−バリンBoc-NMe-L-Phe:N−ベンジルオキシカルボニル−N-メチル−L−フェニルアラニン【0021】【実施例】実施例160% NaH 10 g(250mmol)を1,2-ジメトキシエタン(DME)150 mL(水分0.1%wt/v)に懸濁し、氷浴下Z-L-Val 30.0 g (119mmol) をDME 65 mLに溶解したものを1hかけて滴下を行った。発泡が無くなった後、内温を20℃に上昇させジメチル硫酸 18.1 g(143mmol)をゆっくり滴下した。滴下終了とほぼ同時に原料は消失した。メタノール-水を加え失活させた後トルエンで抽出を行いトルエン層を分離除去した。水層を塩酸で酸性にしトルエンで抽出を行った。この有機層を濃縮し残渣にヘキサンを加え固体を沈殿させ、目的物であるZ-N-Me-L-Val 37 gを得た。収率85%、 [α]D24 -85.0 (c 1.0, MeOH)【0022】実施例2実施例1においてZ-L-Val30g(119mmol)のかわりにBoc-L-Val25.9g(119mmol)を用いたところBoc-NMe-L-Val22.3gを得た。収率81%、[α]D24-49.0(c1.0,MeOH)実施例3実施例1においてZ-L-Val30g(119mmol)のかわりにZ-L-Phe35.6g(119mmol)を用いたところZ-NMe-L-Phe31.3gを得た。収率84%、[α]D24-65.0(c1.0,MeOH) 下記式(1)で表わされるN保護アミノ酸を、(式中、R1はアルキル基、アリール基およびアラルキル基から選ばれた基、R2は水素又はアルキル基、アリール基およびアラルキル基から選ばれた基、R3は水素若しくはアルキル基、アリール基およびアラルキル基から選ばれた基であるか又はたんぱく質アミノ酸の側鎖若しくはその誘導体をそれぞれ意味する。また、nは0または1を意味する。)1,2-ジメトキシエタン中、水素化ナトリウムの存在下、硫酸ジアルキルと反応させる、下記式(2)で表されるN保護Nアルキル化アミノ酸の製造法において、1,2-ジメトキシエタンが、水素化ナトリウムに対して、0.1〜20mol%の水を含有することを特徴とする製造法。(式中、R1、R2、R3およびnは前掲と同じものを意味する。R4はアルキル基を意味する。) 硫酸ジアルキルが硫酸ジメチルであることを特徴とする請求項1に記載の製造法。 R1がベンジル基またはtert-ブチル基であることを特徴とする請求項1又は2に記載の製造法。