生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_クロロ蟻酸アリールエステルの製造方法
出願番号:2000157699
年次:2010
IPC分類:C07C 68/02,C07C 69/96,B01J 31/02,C07B 61/00


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河村 昌治 大亀 央 青木 良和 島田 繁 JP 4588171 特許公報(B2) 20100917 2000157699 20000529 クロロ蟻酸アリールエステルの製造方法 保土谷化学工業株式会社 000005315 河村 昌治 大亀 央 青木 良和 島田 繁 20101124 C07C 68/02 20060101AFI20101104BHJP C07C 69/96 20060101ALI20101104BHJP B01J 31/02 20060101ALI20101104BHJP C07B 61/00 20060101ALN20101104BHJP JPC07C68/02 AC07C69/96 AB01J31/02 102ZC07B61/00 300 C07C 68/02 C07C 69/96 米国特許第05616771(US,A) 特公昭49−013784(JP,B1) 特開昭48−014648(JP,A) 2 2001335540 20011204 6 20070528 安田 周史 【0001】【発明の属する技術分野】本発明はヒドロキシ基含有アリール化合物とホスゲンを反応させて得られるクロロ蟻酸アリールエステルの製造法に関するものである。更に詳しくは反応性の低いヒドロキシ基含有アリール化合物とホスゲンの反応において高収率で高純度のクロロ蟻酸アリールエステルを生成する効率的な触媒に関するものである。【0002】【従来の技術】クロロ蟻酸アリールエステルは高反応性の修飾剤として、医薬や農薬等の用途で広く使用されている。脂肪族アルコールは一般に無触媒でもホスゲンと反応し、相当するクロロギ酸エステルを生成するの対して、ヒドロキシ基含有アリール化合物は反応性が低く、反応進行には触媒存在下でかなりの高温を必要とする。この反応において、触媒は単に反応速度的な面だけでなく不純物生成においても大きな影響を及ぼすことが知られており、触媒の選定を中心に広く検討されている。【0003】たとえば、EP−743298では、単環の環状ウレアを触媒とし、フェノール類に60〜180℃でホスゲンを反応させる方法が提案されているが、触媒活性が低く、EP−542117および特公昭62−61581では、フェノールとホスゲンの反応において、有機リン系化合物を触媒として用いる方法が提案されているが、排水上問題がある。また、特公昭51−33897では、N,N−ジアルキル化酸アミド、具体的にはN,N,N’,N’−テトラメチルウレア(以下TMUと略称する)を触媒とし、70〜130℃でホスゲンを導入し反応させる方法が提案されている。TMUはヒドロキシ基含有化合物とホスゲンの反応における触媒活性は比較的高いが、反応中にTMUがホスゲンと反応し、N,N−ジメチルカルバモイルクロライドを生成すると共に、更に共存するヒドロキシ含有アリール化合物との反応物を副生し、医薬品用途向け製品の製造法としては問題が残っており、EP−32245では、フェノール類とホスゲンの反応において、4級アンモニウム塩を触媒として用いる方法が提案されているが、特公昭51−33897同様副生物の生成が多い。【0004】【発明が解決しようとする課題】本発明は前記のような従来技術に伴う問題点を解決しようとするものであり、具体的な課題はヒドロキシ基含有アリール化合物とホスゲンの反応によるクロロ蟻酸アリールエステルの製造方法において、第1に副生不純物が少なく高純度製品が得られることであり、第2に反応中における触媒の安定性が良好で、触媒のリサイクルが可能であり、第3に高収率である、高品質クロロ蟻酸アリールエステルの効率的な製造方法を提供することにある。【0005】【課題を解決するための手段】本発明者等は前記課題を解決するために種々の検討を行い、本発明を完成させた。すなわち、本発明はヒドロキシ基含有アリール化合物とホスゲンとを下記一般式(1)で表されるウレア化合物を触媒として反応させることを特徴とするクロロ蟻酸アリールエステルの製造方法である。【化2】(式中、R1,R2は同一であっても異なっていても良く、炭素数2〜炭素数5のアルキレン基、または1個もしくは2個のメチル基または1個のエチル基を側鎖に有する炭素数2〜炭素数5のアルキレン基、または−CH2CH(R3)OCH(R3)CH2−で示されるアルキレンエーテル基を表す。ただし、R3は水素原子、メチル基またはエチル基を表す。)【0006】本発明の触媒は上記一般式(1)で示されるもので特に限定されないが、具体的な例としてはモルホリン、2,6−ジメチルモルホリン、ピロリジン、2,4−ジメチルピロリジン、2,5−ジメチルピロリジン、ピペリジン、2−エチルピペリジン、3,5−ジメチルピペリジン、2,6−ジメチルピペリジン等の環状アミンの1種以上とホスゲンを反応して得られるウレア化合物が挙げられる。特に好ましい触媒は下記化学式(2)で示されるN,N‘−カルボニルジモルホリン(以下CDMと略称する)である。【化3】【0007】本発明のこれらの触媒は繰り返し使用が可能であり、反応物を単蒸留することにより不純物の少ない高品質のクロロ蟻酸アリールエステルが高収率で得られる。【0008】本発明の実施におけるヒドロキシ基含有アリール化合物に対する触媒の使用量は0.005〜0.050倍モルである。特に好ましくは0.010〜0.030倍モルである。本発明のヒドロキシ基含有アリール化合物の具体例としてはフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、キシレノール、4−クロロフェノール、ハイドロキノン、レゾルシン、4−ニトロフェノール、1−ナフトール、2−ナフトール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、4,4’−メチレンビスフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’−シクロヘキシリデン−ビスフェノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルサルファイド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン等が挙げられる。【0009】本発明で使用するホスゲンは通常ガス状で導入されるが、液状で滴下反応にしてもよい。ホスゲンの代わりにホスゲンダイマーやホスゲントリマーを常法により分解して使用することもできる。本発明の実施におけるヒドロキシ基含有アリール化合物に対するホスゲンの使用量は1.1〜6.0倍モルである。【0010】本発明は好ましくは無溶剤で実施されるが、使用するヒドロキシ基含有アリール化合物の融点が高い場合には溶剤中で行うことができる。使用できる溶剤としてはホスゲンに不活性な有機溶剤を用いることが出来るが、例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル等のエステル系、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系を使用する事ができる。【0011】本発明による反応は50〜180℃、特に好ましくは70〜150℃の温度範囲で実施される。50℃以下では反応終了迄に長時間を要し、180℃以上の高温反応ではカーボネート化合物が副生しやすく好ましくない。反応時間は反応温度やホスゲン導入速度により変化するが通常3〜40時間である。【0012】【発明の実施の形態】本発明に係わるクロロ蟻酸アリールエステル製造法につき、クロロ蟻酸フェニルエステルを具体例として説明する。反応器にフェノールを添加して融解し、これに本発明の触媒であるCDMを添加して溶解後、90〜120℃でホスゲンガスを反応系に導入し反応させる。フェノールの消失をガスクロマトグラフィーで確認した後、窒素を通気し系内の残存ホスゲンを除去する。ついで、減圧蒸留により精製したクロロ蟻酸フェニルエステルを得る。本発明の触媒であるCDMはホスゲンとコンプレックスを生成し、クロロ蟻酸フェニルエステルの蒸留条件では留出せず、一部副生したジフェニルカーボネートと共に触媒活性を保持したまま蒸留残として反応器に残る。このため2回目以降の反応は触媒を添加することなしにフェノールを仕込み、ホスゲンガスを反応系に導入し反応させることができる。本発明を実施例でさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。純度分析は島津製作所のガスクロマトグラフィー(型式:GC−7A)を、構造解析は日本電子製NMR(型式:JMX400)を用いて行った。【0013】[触媒の製造例]N,N’−カルボニルジモルホリン(CDM)の製造法撹拌機、ガス導入菅、内部温度計、コンデンサーを取付けたフラスコにモルホリン34.85g、トルエン139.4gを仕込み混合した。21〜33℃で撹拌しながらガス導入管よりホスゲンガスを9.89gを1.5時間かけて吹き込み反応させた。モルホリン塩酸塩の白色結晶が析出したスラリー液を更に60〜65℃で1時間撹拌し、ホスゲンが無いことを確認した後濾過した。濾液を減圧下で蒸留しトルエン137gを留出させた後、水冷し結晶を析出させた。ついで結晶を濾過し、トルエンで洗浄した後に、乾燥し白色結晶を収率81.5%で得た。白色結晶のmpは142.3〜144.1℃で、NMR分析によりN,N’−カルボニルジモルホリン構造である事を確認した。N,N’−カルボニルビス(2,6−ジメチルモルホリン)の製造法CDMの製造例においてモルホリンの代わりに2,6一ジメチルモルホリン46.07gを使用する以外は同様な操作で反応し、白色結晶を得た。白色結晶のmpは104.2〜105.5℃で、NMR分析によりN,N’−カルボニルビス(2,6−ジメチルモルホリン)構造である事を確認した。【0014】〔実施例1〕攪拌機、ガス導入管、内部温度計、コンデンサーを取付けたフラスコに融解したフェノール75.29g(0.8モル)及びN,N’−カルボニルジモルホリン(CDM)3.84g(フェノールに対して0.024倍モル)を仕込み、120℃に加温した。次に攪拌下、120℃でガス導入管からホスゲンガスを0.316mol/時間の速度で反応装置に吹き込み反応させた。反応経過はガスクロマトグラフィー(以下GCと略す)でフェニルクロロホーメート(以下PCFと略す)の生成量とフェノールの消失量を分析し、フェノール量が0.2%(GCピーク面積比)以下となった時点を反応終点とした。反応の進行とともに反応液は無色から淡黄色〜淡褐色に着色した。反応終点迄に8.5時間を要し、導入したホスゲン量は合計で265.9g(2.69mol)であった。次いで反応液を90〜100に保持しながら窒素ガスを流し、系内の塩化水素及びホスゲンを逸散させた。ホスゲン検知紙でホスゲンの無いことを確認した後に単蒸留装置を取り付け、90〜130℃/100〜30mmHgの減圧下で蒸留を行い、無色透明液体を110.5g(得率88.2%)得た。GC分析によるPCF純度は99.95%(GCピーク面積比)で、他に微量のフェノール、ジフェニルカーボネートが認められた。【0015】〔実施例2〕実施例1の蒸留残査に融解したフェノール75.29g(0.8モル)を仕込み、120℃に加温した。次からの操作は実施例1と同様に撹拌下、120℃で、ガス導入管からホスゲンガスを0.336mol/時間の速度で反応装置に吹き込み、GC分析でフェノール量が0.2%以下になるまで反応させた。反応終点迄に10時間を要し、導入したホスゲン量は322.4g(3.36mol)であった。系内の塩化水素及びホスゲンを窒素で逸散後に90〜130℃/100〜30mmHgの減圧下で蒸留を行い、無色透明液体を115.6g(得率92.3%)得た。GC分析によるPCF純度は99.94%(GCピーク面積比)で、他に微量のフェノール、ジフェニルカーボネートが認められた。【0016】〔実施例3〕実施例2の蒸留残査に融解したフェノール75.29g(0.8モル)を仕込み、120℃に加温した。次からの操作は実施例1と同様に攪拌下、120℃で、ガス導入管からホスゲンガスを0.354mol/時間の速度で反応装置に吹き込み、GC分析でフェノール量が0.2%以下になるまで反応させた。反応終点迄に12時間を要し、導入したホスゲン量は420.6g(4.25mol)であった。系内の塩化水素及びホスゲンを窒素で逸散後に90〜130℃/100〜30mmHgの減圧下で蒸留を行い、無色透明液体を115.0g(得率91.8%)得た。GC分析によるPCF純度は99.94%(GCピーク面積比)で、他に微量のフェノール、ジフェニルカーボネートが認められた。【0017】〔実施例4〕実施例1のN,N’−カルボニルジモルホリンの代わりにN,N’−カルボニルビス(2,6−ジメチルモルホリン)4.92g(フェノールに対して0.024倍モル)を使用した他は実施例1と同様に反応した結果、反応終点迄に要した時間は7.5時間、導入したホスゲン量は250.1g(2.53mol)であった。90〜130℃/100〜30mmHgの減圧蒸留で無色透明液体109.7g(得率87.6%)を得た。GC分析によるPCF純度は99.94%(GCピーク面積比)で、他に微量のフェノール、ジフェニルカーボネートが認められた。【0018】〔比較例〕実施例1のN,N’−カルボニルジモルホリンの代わりにN,N,N’,N’−テトラメチルウレア(以下TMUと略す)2.23g(フェノールに対して0.024倍モル)を使用した以外は実施例1と同様に反応した結果、反応終点迄に要した時間は9時間、導入したホスゲン量は281.3g(2.844mol)であった。90〜130℃/100〜30mmHgの減圧蒸留で無色透明液体108.0g(得率86.2%)を得た。GC分析によるPCF純度は99.25%(GCピーク面積比)で、他にTMUがホスゲンにより分解し副生するN,N’−ジメチルフェニルカーバメート0.455%(GCピーク面積比)、ジフェニルカーボネート0.152%(GCピーク面積比)、微量のフェノール他が認められた。なお、TMU触媒はホスゲンにより分解し、フェノールと反応した触媒作用を持たないN,N’−ジメチルフェニルカーバメートを生成するため、繰り返し使用は困難なことが確認された。【0019】【発明の効果】本発明のクロロ蟻酸アリールエステルの製造方法は、触媒の繰り返し反応が可能な効率的な製造方法であり、かつ得られたクロロ蟻酸アリールエステルは非常に高純度であり、工業的価値は高い。 ヒドロキシ基含有アリール化合物とホスゲンとを、下記一般式(1)で示されるウレア化合物を触媒として反応させることを特徴とするクロロ蟻酸アリールエステルの製造方法。(式中、R1,R2は同一であっても異なっていても良く、炭素数2〜炭素数5のアルキレン基、または1個もしくは2個のメチル基または1個のエチル基を側鎖に有する炭素数2〜炭素数5のアルキレン基、または−CH2CH(R3)OCH(R3)CH2−で示されるアルキレンエーテル基を表す。ただし、R3は水素原子、メチル基またはエチル基を表す。) 前記一般式(1)で表されるウレア化合物が、モルホリン、2,6−ジメチルモルホリン、ピロリジン、2,4−ジメチルピロリジン、2,5−ジメチルピロリジン、ピペリジン、2−エチルピペリジン、3,5−ジメチルピペリジンおよび2,6−ジメチルピペリジンから選ばれた1種以上の環状アミンとホスゲンを反応して得られるウレア化合物である、請求項1記載のクロロ蟻酸アリールエステルの製造方法。


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