生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_ジェル状化粧料
出願番号:2000150951
年次:2005
IPC分類:7,A61K7/00,A61K7/15


特許情報キャッシュ

中口 修 山口 あゆみ JP 3660560 特許公報(B2) 20050325 2000150951 20000523 ジェル状化粧料 株式会社マンダム 390011442 清原 義博 100082072 中口 修 山口 あゆみ 20050615 7 A61K7/00 A61K7/15 JP A61K7/00 W A61K7/00 C A61K7/00 J A61K7/00 R A61K7/00 U A61K7/15 7 A61K 7/00 - 7/50 特開平05−320038(JP,A) 特開平06−256183(JP,A) 特開平05−229926(JP,A) 5 2001335429 20011204 9 20030320 榊原 貴子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明はジェル状化粧料に関し、さらに詳しくは、水又は水を含む製剤と共に使用した際に発熱して温感熱を生じるジェル状化粧料に関し、その目的は、水又は水を含む製剤との混合により肌に適した温感熱を長時間持続して生じることができるジェル状化粧料を提供することにある。【0002】【従来の技術】肌に温感熱を与えることにより各種効果、例えば、血行促進による疲労回復、新陳代謝の活発化、毛穴の拡張による汚れの除去効率の向上など、様々な効果を得ることができる。またシェービング時に温感熱により髭等の体毛を軟化させた場合は、剃り味、剃刀運びの向上などの効果を得ることもできる。このために、従来から皮膚に適用した際に発熱することができる洗顔料、パック剤、シェービング剤などの温感化粧料が各種創出されている。【0003】このような温感化粧料においては、従来から肌に対する安全性や発熱の穏やかさといった面から、発熱の手段として水和熱を利用するものであり、水和熱を生じる物質としては、アルコール類や多価アルコール類等が用いられてきた。アルコール類や多価アルコール類等を水和熱を生じる物質として用いた例としては、特開平6−80534号公報に、アルコール及びソルビットエーテルを含有し、水と混合した際に発熱する温感化粧料が開示されている。また、特開平6−100411号公報には、平均重合度が200〜1000のポリエチレングリコール、活性化ゼオライト、ポリエチレングリコールに対して難溶性の親水性高分子化合物を含有し、水と混合した際に発熱する温感化粧料が開示されている。ポリエチレングリコールに対して難溶性の親水性高分子化合物としては、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、カラーギナン、キサンタンガム、ゼラチン、デキストリン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等が例示されている。【0004】しかしながら、上記したようなソルビットエーテルや活性化ゼオライト或いはポリエチレングリコールに対して難溶性の親水性高分子化合物を用いた温感化粧料の場合、肌に塗布した際に、ざらつき感が生じ、使用感に劣るといった問題点が存在した。【0005】しかも、発熱の手段としてアルコール類や多価アルコール類を用いた温感化粧料の場合、アルコール類や多価アルコール類は水と容易に混合してしまうために、短時間で発熱が終了し、肌に対して長時間持続して温感熱を付与することができないという問題点も存在した。しかしながら、発熱の手段としてアルコール類や多価アルコール類の水和熱を利用することは、肌に対する安全性の面から最も好ましい手段である。そこで、発熱の手段としてアルコール類や多価アルコール類を用いた場合においても長時間持続して温感熱を付与することができるように、増粘剤を配合することが行われている。これは、増粘剤を配合して高粘度の温感化粧料とすることにより、アルコール類や多価アルコール類と、水との混合速度が減少するからである。【0006】増粘剤の配合が行われている例としては、特開平11−12126号公報に、グリセリン又はジグリセリンと、増粘剤としてアニオン性高分子化合物を配合した温感化粧料が開示されている。また、特開平5−229926号公報には、グリセリン及び高重合度のポリオキシエチレンオキシドと、増粘剤としてアニオン性高分子化合物を配合した温感化粧料が開示されている。【0007】【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の増粘剤を配合した温感化粧料においても、以下に示すような問題が存在した。即ち、増粘剤、特に製品安定性に優れた増粘剤であるカルボキシビニルポリマーを配合して高粘度の温感化粧料を調製する場合、発熱量の大きいポリエチレングリコールを使用することができないために、上記した引用例のように発熱量の小さいグリセリンが用いられている。この理由は、ポリエチレングリコールに対するカルボキシビニルポリマー等の増粘剤の溶解度に問題があり、高粘度の温感化粧料とすることができず、たとえ溶解したとしても、ポリエチレングリコール中においては、十分な粘度を得ることができないからである。【0008】そこで、本発明者らは鋭意研究を続けたところ、ポリエチレングリコールに加え、グリセリンを配合することにより、カルボキシビニルポリマー等の増粘剤により高粘度の化粧料を調製することができ、このために、長時間持続して発熱することができることを見いだし本発明の完成に至った。【0009】【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、40〜65重量%のポリエチレングリコール、20〜45重量%のグリセリン、カルボキシビニルポリマー、及びエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコールから選択される1種以上が配合されてなることを特徴とするジェル状化粧料に関する。請求項2に係る発明は、前記ポリエチレングリコールの数平均分子量が200〜600であることを特徴とする請求項1記載のジェル状化粧料 に関する。請求項3に係る発明は、塩基性化合物が配合されてなることを特徴とする請求項1又は2記載のジェル状化粧料 に関する。請求項4に係る発明は、前記塩基性物質が、トリエタノールアミン及び/又はジイソプロパノールアミンからなることを特徴とする請求項3記載のジェル状化粧料 に関する。請求項5に係る発明は、水又は水を含む製剤と共に使用することにより、発熱することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載のジェル状化粧料 に関する。【0010】【発明の実施の形態】本発明に係るジェル状化粧料は、ポリエチレングリコールとグリセリン並びにカルボキシビニルポリマーが必須成分として配合されている。これは、発熱量の大きいポリエチレングリコールを含有した温感化粧料において、グリセリンを加えることにより、従来は不可能と考えられていたカルボキシビニルポリマーにより増粘してジェル状に調製することが可能となり、このために長時間持続して温感熱を生じることができるからである。以下、本発明に係るジェル状化粧料について詳述する。【0011】本発明に係るジェル状化粧料には、第一の必須成分としてポリエチレングリコールが配合される。これは、ポリエチレングリコールから生じる水和熱量が、この他の水和熱を生じる物質に比べて大きいからである。尚、ポリエチレングリコールの数平均分子量は特に限定されないが、200〜600であることが好ましい。これは、200未満では十分な発熱量が得られない場合があり、また600より大きい場合でも同様に十分な発熱量が得られないことがあるために、いずれの場合も好ましくないからである。【0012】ポリエチレングリコールの配合量は、化粧料全量中、40〜75重量%、好ましくは40〜65重量%となるように調製することが好ましい。これは、ポリエチレングリコールの配合量が40重量%未満の場合は、発熱量の大きいポリエチレングリコールの配合量が減少するために、水と混合した際に良好な温感熱を得ることができず、また75重量%を超えて配合すると、後述するグリセリンの配合量が相対的に減少するために、増粘剤の配合による増粘が良好に行われないために、いずれの場合も好ましくないからである。【0013】本発明に係るジェル状化粧料では、第二の必須成分として、増粘剤であるカルボキシビニルポリマーが配合される。これは、カルボキシビニルポリマーは増粘効果が高く、製品安定性に優れ、しかも、増粘後の使用感にも優れるからである。カルボキシビニルポリマーは、カルボキシル基を有する水溶性ポリマーであり、主にアクリル酸の重合体である。カルボキシビニルポリマーの配合量は、化粧料全量中、0.3〜1.0重量%、より好ましくは0.5〜0.7重量%となるように調製することが好ましい。これは、0.3重量%未満の場合では、十分な粘度が得られず、また1.0重量%より多く配合すると、溶解せずに析出する場合があるために、いずれの場合も好ましくないからである。【0014】増粘剤であるカルボキシビニルポリマーは、白色の酸性粉末であり、その1%水溶液のpHは約3である。カルボキシビニルポリマーは、塩基性化合物を用いて中和することにより、粘性の異なる様々な粘液を調製することができる。この際に用いられる塩基性化合物は特に限定されず、トリエタノールアミン、モノエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリエチルアミン、水酸化ナトリウムなどを例示することができる。特に、トリエタノールアミンやジイソプロパノールアミンを用いることが好ましい。塩基性化合物の配合量は特に限定されず、化粧料の粘度が好適な範囲内となるように適宜調整すればよいが、通常の場合、化粧料全量中、0.1〜1.5重量%、より好ましくは0.3〜1.0重量%となるようにするとよい。【0015】本発明に係るジェル状化粧料では、第三の必須成分としてグリセリンが配合される。従来、発熱量の大きいポリエチレングリコールを用いた温感化粧料に、増粘剤としてカルボキシビニルポリマーを配合することは不可能であった。これは、ポリエチレングリコールに対するカルボキシビニルポリマーの溶解度に問題があり、たとえ溶解したとしてもポリエチレングリコール中で増粘効果を発揮することはできず、このために、カルボキシビニルポリマーにより増粘することは困難であったからである。これに対して、本発明ではグリセリンを配合することにより、ポリエチレングリコールを配合した化粧料において、カルボキシビニルポリマーを用いて増粘、即ち、ジェル状に調製することが可能となった。【0016】グリセリンの配合量は特に限定されないが、化粧料全量中、20〜55重量%、好ましくは25〜45重量となるように調製することが好ましい。これは、グリセリンの配合量が20重量%未満の場合、増粘剤の配合による増粘が良好に行われないために、温感熱の持続性に劣るとともに、肌への付着性にも劣るために、また55重量%を超えて配合すると、相対的に発熱量の大きいポリエチレングリコールの配合量が減少するために、水と混合した際に良好な温感熱を得ることができず、いずれの場合も好ましくないからである。【0017】本発明に係るジェル状化粧料においては、所望により、カルボキシビニルポリマーの溶解性の助剤として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコールの群から選択される1種又は2種以上を配合することができる。この配合量は特に限定されないが、化粧料全量中、30重量%以下となるようにするとよい。【0018】尚、本発明においては、ポリエチレングリコール及びグリセリンの発する熱量を調整する目的として、この他のアルコール類、多価アルコール類、例えば、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、sec−ブタノール、tet−ブタノール、ベンジルアルコール、ベンジルオキシメタノール、ベンジルオキシエタノール、メチルカルビトール、エチルカルビトール、プロピルカルビトール、ブチルカルビトール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジプロピレングリコール、イソプロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンテングリコール、ヘキシレングリコール、ソルビトール、ポリプロピレングリコール等を本発明の効果が損なわれない範囲内において適宜任意に配合することができる。【0019】この他、本発明に係るジェル状化粧料に配合することができる成分としては、油脂、ロウ類、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル類、シリコーン油等の油性原料、アルコール、各種界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、pH調整剤、金属イオン封鎖剤、防腐剤、抗菌剤、保湿剤、清涼剤、天然エキス、色素、香料等を適宜任意に配合することができる。【0020】本発明に係るジェル状化粧料の剤型は特に限定されず、通常の化粧料に温感を持たせることで使用時の皮膚や頭皮等に対する各種効果を期待することができるものであればよい。例えば、洗浄剤、洗顔料、スキンケア化粧料、毛髪化粧料、ボディ化粧料、シェービング化粧料等を例示することができる。また、本発明に係るジェル状化粧料を使用するには、水又は水を含む製剤と混合して用いる。水又は水を含む基剤と混合することにより、ポリエチレングリコール及びグリセリンにより温感熱を生じるさせることができる。尚、水又は水を含む基剤と混合せず、直接皮膚に塗布して使用することも可能である。この場合は、皮膚中或いは皮膚上の水分により温感熱を生じさせることができる。【0021】【実施例】以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。(実施例及び比較例の試料の調製)後記表1に示される組成に従い、実施例1〜2、比較例1〜5の各試料を調製した。尚、後記表1中の数値の単位は重量%であり、また、「PEG」とはポリエチレングリコールのことである。【0022】(試験例1;水と混合したときの温感試験)十円玉大の上記調製した実施例1〜2、比較例1〜5を手のひらにとり、1mlの水を加えて、専門パネラー8名の腕に塗り、温感の程度を以下の5段階で官能評価して、その平均値を求めた。<評価基準>1・・・弱い2・・・やや弱い3・・・どちらとも言えない4・・・やや強い5・・・強い平均値が1以上2未満の場合は×(劣っている)、2以上3.5未満の場合は○(優れている)、3.5以上の場合は◎(非常に優れている)とし、後記表1にその結果を示す。【0023】(試験例2;温感の持続性試験)上記した試験例1の評価の際、同時に、温感の持続性について、以下の基準に従い評価した。<評価基準>1・・・ない2・・・あまりない3・・・どちらとも言えない4・・・ややある5・・・ある平均値が1以上2未満の場合は×(劣っている)、2以上3.5未満の場合は○(優れている)、3.5以上の場合は◎(非常に優れている)とし、後記表1にその結果を示す。【0024】(試験例3;肌に対する付着性試験)上記した試験例1の評価の際、同時に、各試料の肌に対する付着性を以下の評価基準に従い評価した。<評価基準>1・・・悪い2・・・やや悪い3・・・どちらとも言えない4・・・ややよい5・・・よい平均値が1以上2未満の場合は×(劣っている)、2以上3.5未満の場合は○(優れている)、3.5以上の場合は◎(非常に優れている)とし、後記表1にその結果を示す。【0025】(試験例4;肌に対する違和感の試験)上記した試験例1の評価の際、同時に、各試料を肌に伸ばした際の違和感(ざらつき、だま等)を以下の評価基準に従い評価した。<評価基準>1・・・ある2・・・ややある3・・・どちらとも言えない4・・・あまりない5・・・ない平均値が1以上2未満の場合は×(劣っている)、2以上3.5未満の場合は○(優れている)、3.5以上の場合は◎(非常に優れている)とし、後記表1にその結果を示す。【0026】【表1】【0027】表1の結果の通り、本発明に係るジェル状化粧料は、水又は水を含有する製剤と混合して皮膚に適用した際に、肌に適度な温感を長時間持続して発生することができる。しかも肌に適用した際に、肌への付着性に優れ、しかも肌に対してざらつきやだま等の違和感を与えることがなく、使用性に優れたジェル状化粧料である。【0031】【発明の効果】本発明に係るジェル状化粧料は、発熱量の大きいポリエチレングリコールを用いた温感熱を発生する化粧料において、ポリエチレングリコールに加えてグリセリンを併用することにより、従来は溶解性の面から不可能と考えられてきたカルボキシビニルポリマーによる増粘が可能となり、このために、肌に適度な温感熱を長時間持続して生じることができ、しかも肌に対して違和感を全く与えることがない使用性に優れたジェル状化粧料とすることができるという、優れた効果を奏することができる。 40〜65重量%のポリエチレングリコール、25〜45重量%のグリセリン、カルボキシビニルポリマー、及びエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコールから選択される1種以上が配合されてなることを特徴とするジェル状化粧料。 前記ポリエチレングリコールの数平均分子量が200〜600であることを特徴とする請求項1記載のジェル状化粧料。 塩基性化合物が配合されてなることを特徴とする請求項1又は2記載のジェル状化粧料。 前記塩基性物質が、トリエタノールアミン及び/又はジイソプロパノールアミンからなることを特徴とする請求項3記載のジェル状化粧料。 水又は水を含む製剤と共に使用することにより、発熱することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載のジェル状化粧料。


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