タイトル: | 特許公報(B2)_新規ハロゲン化剤 |
出願番号: | 2000106605 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | C07C 17/16,C07C 22/04,C07B 39/00,C07D 235/24 |
園田 寛 後藤 謙一 福村 考記 成瀬 純子 林 秀俊 及川 英明 JP 4390964 特許公報(B2) 20091016 2000106605 20000407 新規ハロゲン化剤 三井化学株式会社 000005887 中島 淳 100079049 加藤 和詳 100084995 西元 勝一 100085279 福田 浩志 100099025 園田 寛 後藤 謙一 福村 考記 成瀬 純子 林 秀俊 及川 英明 20091224 C07C 17/16 20060101AFI20091203BHJP C07C 22/04 20060101ALI20091203BHJP C07B 39/00 20060101ALI20091203BHJP C07D 235/24 20060101ALI20091203BHJP JPC07C17/16C07C22/04C07B39/00 CC07D235/24 C07C 17/16 C07B 39/00 C07C 22/04 C07D 235/24 CA(STN) 特開平04−308538(JP,A) 特開昭59−025375(JP,A) 特開平09−067299(JP,A) 特開2000−001477(JP,A) 特開昭62−298541(JP,A) 特開昭53−015303(JP,A) 3 2001288119 20011016 8 20060614 松澤 優子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、新規なハロゲン化剤及びその製造方法と使用に関する。【0002】【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】有機化合物のハロゲン化反応については、古くから多くの方法が知られている。ハロゲン化剤として一般的に使用されるものには、ハロゲン化水素、ハロゲンの燐化合物、ハロゲンの硫黄化合物、ハロゲン単体等があるが、これらは腐食性や毒性が高く、取扱には特殊な装置や技術を必要とするものが多い。したがって、取扱や安全性、または反応選択性等の面から、現在も各種ハロゲン化試剤の開発研究が続けられている。【0003】これら従来技術の問題点を克服するハロゲン化剤として1,3−ジアルキル−2−ハロゲノイミダゾリニウムハロゲニド類が挙げられる(特公昭59−25375号公報)。1,3−ジアルキル−2−ハロゲノイミダゾリニウムハロゲニド類は、従来のハロゲン化剤と比較すると、腐食性や毒性は低く、汎用化合物から容易に製造することが可能である。また、アルコールやカルボン酸を温和な反応条件下でハロゲン化することが可能であり、官能基選択性を有するハロゲン化剤としても使用することができる(特開平4−308538号公報、特開平9−67299号公報)。さらに、ハロゲン化剤として反応に使用した後は、その原料である1,3−ジアルキルイミダゾリジノンとして容易に回収再利用できるため工業的にも有用な化合物である。【0004】しかしながら、1,3−ジアルキル−2−ハロゲノイミダゾリニウムハロゲニド類は吸湿性が高いため、取り扱いや保存は、不活性気体雰囲気下で行うなど、出来る限り水分と接触しないように注意を払うことが要求される。更に、高温域(140℃付近)では熱安定性を持たないので、使用温度が制限される等の問題点がある。このように、1,3−ジアルキル−2−ハロゲノイミダゾリニウムハロゲンイド類は、反応性の面では、官能基選択性を有しており、非常に有用ではあるが、取り扱いや保存安定性の面、及び熱安定性の面では、改良の余地は残されている。【0005】本発明の目的は、上記の問題点を克服するために、技術的かつ経済的に一段と改善された工業的ハロゲン化剤を提供することである。【0006】【問題を解決するための手段】本発明者等は、これらの課題を解決するために鋭意検討を行った結果、一般式(1)【0007】【化4】(式中、X1、X2は同一でも異なっていてもよく、ハロゲン原子を示す。但し、X1、X2が共にフッ素原子である場合を除く。R1〜R2は、炭素数1〜4の低級アルキル基を表し、同一でも異なっていてもよい。)で表される化合物が、アルコール性水酸基の選択的な、新規ハロゲン化剤として優れていること、更にハロゲン化反応における使用が極めて安全、熱安定性も良好で、且つ容易に行えることを見いだした。【0008】即ち、本発明は、以下の1)〜3)に示す通りである。1)一般式(1)【0009】【化5】(式中、X1、X2は同一でも異なっていてもよく、ハロゲン原子を示す。但し、X1、X2が共にフッ素原子である場合を除く。R1〜R2は、炭素数1〜4の低級アルキル基を表し、同一でも異なっていてもよい。)で表されるハロゲン化剤。2)一般式(1)で表されるハロゲン化剤が、式(2)【0010】【化6】で表わされる2−クロロ−1,3−ジメチルベンズイミダゾリウム−クロリドである1)記載のハロゲン化剤。3)式(2)【化7】で表される2−クロロ−1,3−ジメチルベンズイミダゾリウム−クロリド。【0014】【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。本発明のハロゲン化剤は一般式(1)【0015】【化8】(式中、X1、X2は同一でも異なっていてもよく、ハロゲン原子を示す。但し、X1、X2が共にフッ素原子である場合を除く。R1〜R2は、炭素数1〜4の低級アルキル基を表し、同一でも異なっていてもよい。)で表される化合物である。【0016】一般式(1)の式中、X1、X2はハロゲン原子を表し、同一でも異なっていても良い。但しX1、X2が共にF原子である場合を除く。X1とX2の組み合わせ例としては、Cl−Cl、Cl−Br、Cl−I、Br−Br、Br−I、I−I、F−Cl、F−Br、F−Iが具体的に挙げられる。好ましいハロゲン化剤は、一般式(2)で表される2−クロロ−1,3−ジメチルベンズイミダゾリウム−クロリドである。【0017】Aは、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルコキシ基を表し、好ましい具体例としてメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基等の低級アルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基が挙げられる。一般式(1)中、R1及びR2は、置換または無置換のアルキル基を表し、これらは同一でも異なっていても良い。好ましい例としてメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基等の低級アルキル基が挙げられる。【0018】本発明の一般式(1)で表されるハロゲン化剤は、例えば、1,3−ジアルキル−ベンズイミダゾール−2−オン類を塩素化剤、または臭素化剤を用いて塩素化、または臭素化することによって、または塩素化、臭素化によって得られたそれぞれの化合物とハロゲンのアルカリ金属塩とを、無反応性の溶媒中で、ハロゲン交換を行なわせることによって製造することができる。【0019】原料の1,3−ジアルキル−ベンズイミダゾール−2−オン類は、一般式(5)【0020】【化9】で表されるベンズイミダゾール−2−オン類と、一般に使用されているアルキル化剤、例えばヨードメタン、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸等を反応させて製造することができる。【0021】一般式(1)で表されるハロゲン化剤を使用して、 一般式(3)【0022】【化10】(式中、R3は置換または無置換の、飽和または不飽和のアルキル基、飽和または不飽和のアラルキル基を示す。)で表されるアルコール性水酸基を有する化合物のハロゲン化反応を行なうことができる。【0023】一般式(3)中、R3は、置換または無置換の、飽和または不飽和のアルキル基、飽和または不飽和のアラルキル基であり、反応に利用できるアルコール性水酸基を有する化合物の例としては、例えば以下のようなものが挙げられる。【0024】メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、2−メチル−1−ブタノール、n−アミルアルコール、ネオアミルアルコール、イソアミルアルコール、n−ヘキシルアルコール、2−メチル−1−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、n−ヘプチルアルコール、n−オクチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、n−ノニルアルコール、3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノール、n−デシルアルコール、n−ウンデシルアルコール、n−ドデシルアルコール、アリルアルコール、メタリルアルコール、クロチルアルコール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、シンナミルアルコール、プロパギルアルコール等の第一級アルコール;およびイソプロピルアルコール、sec−ブチルアルコール、sec−アミルアルコール、sec−イソアミルアルコール、1−エチル−1−プロパノール、4−メチル−2−ペンタノール、1−メチルヘキシルアルコール、1−エチルペンチルアルコール、1−メチルヘプチルアルコール、シクロヘキシルアルコール、2−メチルシクロヘキサノール、3−メチルシクロヘキサノール、4−メチルシクロヘキサノール、sec−フェネチルアルコール等の第二級アルコール;およびtert−ブチルアルコール、tert−アミルアルコール、1−メチルシクロヘキサノール、α−テルピネオール等の第三級アルコール等のアルコールが挙げられる。しかし、これらに限定されるものではない。【0025】ハロゲン化反応をおこなう場合、一般式(1)で表されるハロゲン化剤の使用量はアルコール性水酸基に対して、通常1当量以上あればよい。反応によって生成するハロゲン化合物は一般式(4)【0026】【化11】(式中、R3、X2は前記と同じ意味を示す。)で表される。【0027】反応溶媒は、反応基質や反応試剤、または生成物と反応しない溶媒であれば特に制限は無いが、好ましくはアセトニトリル、ジクロロメタン、エチレンジクロリド、グライム、ジグライム、ジメチルホルムアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ベンゼン、トルエン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ヘキサン等である。反応溶媒は、反応試剤と反応基質を効率よく攪拌できる量があればよい。好ましくは、反応試剤に対して通常1〜5倍である。【0028】反応温度は、通常−40℃〜150℃、好ましくは−20〜100℃である。反応温度は、通常0.5〜5時間程度あればよい。生成物は蒸留等により、反応混合物から容易に取り出すことができる。【0029】実際の反応形態の例としては、水分の無い乾燥した溶媒中に、一般式(1)で表されるハロゲン化剤とアルコール化合物を装入し、攪拌しながら適当な温度で、数時間反応をおこなう方法を挙げることができる。アルコール化合物の装入については、滴下して装入する方法が更に好ましい。【0030】さらに、反応に際して、悪影響を与えないものであれば、生成するハロゲン化水素捕捉剤として、三級アミンなどの塩基を添加しても良い。【0031】また、一般式(1)で表されるハロゲン化剤は、反応終了後には対応するウレアとして回収可能である。【0032】【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、実施例中に示す各ハロゲン化剤の濃度は、各ハロゲン化剤をアニリンと反応させて誘導体化した後、高速液体クロマトグラフィー法(以下HPLC法と略す)によって測定した。またハロゲン原子は硝酸銀滴定法により求めた。【0033】合成例11,3−ジメチルベンズイミダゾール−2−オン(DMBI)の合成ベンズイミダゾール 100gとジメチルホルムアミド 400gを攪拌器、温度計、冷却コンデンサーを備えた1Lの反応容器に装入し、攪拌しながら溶解した。次に、攪拌を続けながらターシャリブトキシカリウム 50gを装入して30分間19〜40℃で保持した。次に、ヨードメタン63.15gを徐々に装入して30分間保持した。この間反応温度は30〜60℃に保った。さらに、3回、交互にターシャリブトキシカリウム 50gとヨードメタン63.15gの装入を繰り返した後、反応を終了した。反応マスに水400mlとジクロロメタン400mlを加えて攪拌抽出を行なった。分液してジクロロメタン層を水洗した後、脱水、ジクロロメタン留去と行なって粗 DMBI 92.5gを得た。最後に、四塩化炭素で再結晶精製を行ない、精 DMBI 88gを得た(GC純度99%、収率73%)。【0034】実施例12−クロロ−1,3−ジメチルベンズイミダゾリウム−クロリド(CDMBI)の合成上記合成で得たDMBI 45gとモノクロロベンゼン 175gを反応容器に入れ、ホスゲンによる塩素化反応を行なった。反応温度 100℃、反応時間 15時間。反応終了後、濾過・洗浄・乾燥と行ない、CDMBIの白色結晶 35gを得た(純度 100% 、取り出し収率 58%)。得られたCDMBIの物性値は以下の通りである。Cl分分析値 32.7%(計算値 32.3%)、FABMS:118((M−Cl)+),397((2×M−Cl)+)1H−NMR(δ,ppm,DMSO溶媒,TMS基準,21.8℃) : 4.05(s,6H,−CH3 ×2),7.72(q,2H,−CH×2),8.10(q,2H,−CH×2)13C−NMR(δ,ppm,DMSO溶媒,DMSO基準,22.4℃) :32.73(−CH3×2),113.18(−CH×2),126.73(−CH×2),131.17(−CH×2),141.38(−C−Cl×2)IRスペクトルを図1に示す。【0035】実施例2ベンジルクロリドの合成温度計、攪拌器、冷却コンデンサー付きの小型反応容器に実施例1で合成したCDMBI1.232g(1.074mmol)とアセトニトリル 10mlとベンジルアルコール 0.116g(1.072mmol)を装入し、80℃、1時間反応させた。反応終了後のGC及びGC−MS測定により、ベンジルクロリド 0.0824g(0.763mmol)の生成を確認した。【0036】【発明の効果】本発明の化合物は、アルコール性水酸基を有する有機化合物に対して、安全で取扱が容易な、更に熱安定性も良好で、高選択性の新規ハロゲン化剤である。また、その製造から使用までが、なんら特殊な技術を必要とすることなく、経済的かつ、工業的に使用可能である。【図面の簡単な説明】【図1】 実施例1で、合成した2−クロロ−1,3−ジメチルベンズイミダゾリウム−クロリド(CDMBI)のIRスペクトルである。 一般式(1)(式中、X1、X2は同一でも異なっていてもよく、ハロゲン原子を示す。但し、X1、X2が共にフッ素原子である場合を除く。R1〜R2は、炭素数1〜4の低級アルキル基を表し、同一でも異なっていてもよい。)で表されるハロゲン化剤。 一般式(1)で表されるハロゲン化剤が、式(2)で表わされる2−クロロ−1,3−ジメチルベンズイミダゾリウム−クロリドである請求項1記載のハロゲン化剤。 式(2)で表わされる2−クロロ−1,3−ジメチルベンズイミダゾリウム−クロリド。