生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_フレーム式原子吸光分光光度計
出願番号:2000093389
年次:2008
IPC分類:G01N 21/31


特許情報キャッシュ

西垣 日出久 JP 4151192 特許公報(B2) 20080711 2000093389 20000330 フレーム式原子吸光分光光度計 株式会社島津製作所 000001993 小林 良平 100095670 西垣 日出久 20080917 G01N 21/31 20060101AFI20080828BHJP JPG01N21/31 610B G01N 21/00-21/01 G01N 21/17-21/74 JSTPlus(JDreamII) JST7580(JDreamII) 特開平07−120382(JP,A) 特開平05−126730(JP,A) 特開昭56−079239(JP,A) 特開昭60−205237(JP,A) 特開昭61−122724(JP,A) 1 2001281138 20011010 6 20060703 横井 亜矢子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、霧化した試料液をフレーム中に導入して試料を原子化するフレーム式原子吸光分光光度計に関する。【0002】【従来の技術】原子吸光分光光度計では、試料を原子蒸気化する必要がある。原子化の方法には、化学炎を用いるフレーム法と化学炎を用いないフレームレス法とがある。フレーム式原子吸光分光光度計では、それぞれ別個に供給される燃料ガスと助燃ガスとをチャンバ内部で混合し、これをバーナのスリット開口から噴出させて燃焼させることによりフレームを作成するようにしている。【0003】このようなフレーム式原子吸光分光光度計では、目的元素によって、その分析に最適な燃料ガス及び助燃ガスの種類や燃料ガスの流量、バーナの高さ(垂直方向位置)が相違する。そのため、それぞれの測定元素に応じてこれらのパラメータを適宜変更する必要がある。具体的には、燃料ガスとしてはアセチレン(C2H2)ガスが最も広く利用されており、助燃ガスとしては空気が利用されることが多いが、フレーム中で強固な酸化物を生成するような元素(アルミニウム、チタンなど)を分析する場合には、更に温度が高く還元性雰囲気の強いフレームを作成することができる一酸化二窒素(N2O)を助燃ガスとして利用する。【0004】一酸化二窒素−アセチレン混合ガスは燃焼速度が非常に速いため、この混合ガスに直接点火したり、或いは消火時に一酸化二窒素とアセチレンの供給を同時に停止すると逆火を生ずる。そこで、一酸化二窒素−アセチレンフレームを用いる際は、まず逆火の危険の少ない空気−アセチレン混合ガスをバーナに供給して点火し、アセチレンの流量を多くした後に空気を一酸化二窒素に切り替えるという手順で一酸化二窒素−アセチレンフレームを作成していた。【0005】この点火時の手順において、アセチレンの流量が増えたことを確認するために、従来は光センサ等を用いてフレームの発光量が増加したことを検出するという方法をとっていた(特公昭60−22291号公報)。【0006】【発明が解決しようとする課題】上記従来の方法では、検出された光強度値が予め定めた一定の基準値を超えた場合にアセチレンの流量が増えたと判断していた。しかし、空気−アセチレン混合ガスの初期流量(特にアセチレンの流量)が多い場合には、初期状態で既に光強度値が大きく、前記基準値を超えていることがある。この場合には、アセチレンの流量をそれ以上増加させてもそれを検出することができず、一酸化二窒素への切り替えができない。【0007】本発明はこのような課題を解決するために成されたものであり、その目的とするところは、助燃ガスとして一酸化二窒素を用いる場合に、点火時の空気−アセチレンから一酸化二窒素−アセチレンへの切り替えを常に確実に行うことのできるフレーム式原子吸光分光光度計を提供することにある。【0008】【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために成された本発明に係るフレーム式原子吸光分光光度計は、燃料ガスと第2助燃ガスとの混合ガスによるフレームを作成する前に燃料ガスと第1助燃ガスとの混合ガスで点火を行うフレーム式原子吸光分光光度計において、a)フレームからの光の量を検出する光量検出手段と、b)バーナに供給される燃料ガス、第1助燃ガス及び第2助燃ガスの流れをそれぞれ独立に制御するガス制御手段と、c)点火時のフレームからの光量と、燃料ガス又は/及び第1助燃ガスの流量を変化させた後の光量との差に基づき、第1助燃ガスから第2助燃ガスへの切り替えを行う燃焼制御手段と、を備えることを特徴としている。【0009】【発明の実施の形態】上記の例では第1助燃ガスが空気であり、第2助燃ガスが一酸化二窒素であるが、第2助燃ガスと燃料ガスとの混合ガスの燃焼速度が速いために予め燃焼速度の遅い第1助燃ガスでフレームを作成しておく必要があるという場合一般に、本発明を用いることができる。【0010】まず、第1助燃ガスと燃料ガスの混合ガスを所定の初期流量でバーナに供給し、点火する。燃焼制御手段は、この時点で測定されるフレームからの光量を初期光量として記憶しておく。【0011】燃焼速度が速くなる第2助燃ガスに切り替える前に、燃料ガスの流量を増加しなければならない。そこで燃焼制御手段は、燃料ガスの流量を増加させるとともに、その時点での検出光量を初期光量と比較し、その差が所定値以上であるか否かを判断する。この差が所定値以上でない場合は、燃料ガスの流量を更に増加させる。差が所定値以上となった時点で、助燃ガスを第1助燃ガスから第2助燃ガスに切り替える。これにより、逆火を伴うことなく、助燃ガスの切り替えが安全に行われる。【0012】なお、第2助燃ガスに切り替える前に、燃料ガスばかりではなく第1助燃ガスの流量も変化させた方が好ましい場合、或いはその必要がある場合には、燃焼制御手段は燃料ガスに加えて第1助燃ガスの流量も変化させる。【0013】【実施例】本発明の一実施例であるフレーム式原子吸光分光光度計の概略構成を図1に示す。光源11からは目的元素の共鳴線を含む輝線スペクトルを有する光が放出され、この光がバーナ12のフレーム13を通過する。図示していないが、バーナ12の近傍にはフレーム13に微細液滴試料を供給するための試料供給装置が設けられており、光源11からの光はフレーム13により原子化された試料を通過し、その際に試料の種類に応じた波長で、試料の量に応じた量の吸収を受ける。通過した光は分光器14で分光され、目的元素による吸収度が最も高い輝線(通常は共鳴線)に対応する特定波長の光が取り出される。この特定波長の光は光検出器15に導入され、入射した光量に応じた検出信号が取り出されて信号処理部16に入力される。本装置全体を制御する制御部22は、この検出信号を基に特定波長光に対する吸光度を算出し、更に所定の演算処理を行うことにより定量分析を実行する。使用者は、入力装置221を通じて制御部22に指示を与え、表示装置222により分析結果等を見る。【0014】フレーム13を作成するためのバーナ12には、燃料ガスであるアセチレンガス(C2H2)を充填したアセチレンボンベ18、第1助燃ガスである空気を充填した空気ボンベ19、第2助燃ガスである一酸化二窒素(N2O)を充填した一酸化二窒素ボンベ20が接続され、アセチレンボンベ18には初期供給用の電磁弁181と増量用電磁弁182の2個の電磁弁が並列に、そして、空気ボンベ19と一酸化二窒素ボンベ20の助燃ガスボンベにはそれぞれ1個の電磁弁191、201が設けられている。【0015】バーナ12の近傍にはまた、フレーム13から発光される光の量を測定するための光センサ17が設けられている。【0016】助燃ガスとして一酸化二窒素を用いる場合、制御部22は図2のような手順で点火のための制御を行う。まず、電磁弁181と電磁弁191を所定の開度で開け、所定混合比のアセチレンと空気をバーナ12に供給して(ステップS31)、点火する(S32)。フレーム13が安定した時点で、フレーム13からの光量A0を測定し(S33)、メモリに記憶しておく。【0017】次に、増量用電磁弁182を所定の初期開度で開け、アセチレンの供給量を増加する(S34)。これにより、フレーム13は大きくなり、光量を増す。制御部22は、そのときのフレーム13の光量A1を測定し(S36)、メモリに記憶しておいた初期光量A0との差(A1−A0)を計算する。そして、その差が所定の基準値Ar以上であるか否かを判定する(S37)。光量差(A1−A0)が未だ基準値Arに達していない場合は、S34に戻ってアセチレンガスの供給量を更に増加する。【0018】こうしてアセチレンガスの流量を増加してゆくうちに光量差(A1−A0)が基準値Arに達した時点で、一酸化二窒素用電磁弁201を所定の開度で開け(S38)、空気用電磁弁191を閉じる(S39)。これにより、逆火を引き起こすことなく安全に、一酸化二窒素−アセチレンフレームを作成することができる。【0019】その後は前記のように、そのフレーム13中に試料を導入して分析を行う(S40)。【0020】なお、上記ステップS34からS37の繰り返しの中でアセチレンの供給量を増加させる間、バーナ12へのアセチレンの流量が所定の限界流量以上であるか否かを判定する(S35)。ここで、アセチレンの流量が限界流量に達した場合(このとき、光量差(A1−A0)は未だ基準値Arに達していない)、警報を出す、或いはバーナ12への燃料ガス及び助燃ガスの供給を停止する等の異常処理を行う(S41)。【0021】【発明の効果】本発明に係るフレーム式原子吸光分光光度計では、従来の装置とは異なり、第1助燃ガスを用いたフレームの初期状態におけるフレームからの光量と、該フレームに供給する燃料ガス及び/又は第1助燃ガスの流量を増加させた後の該光量との差に基づき、第1助燃ガスから第2助燃ガスへの切り替えを行う。このため、最初から燃料ガス(及び/又は第1助燃ガス)の流量が多く、フレームからの光量が多い場合であっても、燃料ガス(及び/又は第1助燃ガス)の流量の増加を確実に検出することができ、第2助燃ガスへの切り替えを確実に行うことができる。【0022】また、逆に、燃料ガス(及び/又は第1助燃ガス)の流量を増加したにも拘わらずフレームからの光量が対応して相当量増加しないという場合には、何らかの異常が生じていると判断することができ、それを使用者に警告し、或いは対応した適切な措置を自動的に取ることができる。【図面の簡単な説明】【図1】 本発明の一実施例であるフレーム式原子吸光分光光度計の全体構成図。【図2】 実施例のフレーム式原子吸光分光光度計で一酸化二窒素−アセチレンフレームを作成する際の点火手順を示すフローチャート。【符号の説明】11…光源12…バーナ13…フレーム14…分光器15…光検出器16…信号処理部17…フレーム用光センサ18…アセチレンボンベ19…空気ボンベ20…一酸化二窒素ボンベ181、191、201…電磁弁182…増量用電磁弁22…制御部221…入力装置222…表示装置 燃料ガスと第2助燃ガスとの混合ガスによるフレームを形成する前に燃料ガスと第1助燃ガスとの混合ガスで点火を行うフレーム式原子吸光分光光度計において、a)フレームからの光の量を検出する光量検出手段と、b)バーナに供給される燃料ガス、第1助燃ガス及び第2助燃ガスの流れをそれぞれ独立に制御するガス制御手段と、c)点火時のフレームからの光量と、燃料ガス又は/及び第1助燃ガスの流量を変化させた後の光量との差に基づき、第1助燃ガスから第2助燃ガスへの切り替えを行う燃焼制御手段と、を備えることを特徴とするフレーム式原子吸光分光光度計。


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