生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_パルプスラリーのオンライン測色方法
出願番号:2000092599
年次:2005
IPC分類:7,G01N33/34,D21F7/00,G01J3/50


特許情報キャッシュ

角 幸嗣 JP 3646615 特許公報(B2) 20050218 2000092599 20000330 パルプスラリーのオンライン測色方法 日本製紙株式会社 000183484 河澄 和夫 100074572 角 幸嗣 20050511 7 G01N33/34 D21F7/00 G01J3/50 JP G01N33/34 D21F7/00 Z G01J3/50 7 G01N 33/34 G01J 3/50 D21F 1/00〜13/12 実公平07−018983(JP,Y2) 実開平4−71158(JP,U) 特開平10−82696(JP,A) 実開平1−70899(JP,U) 2 2001281241 20011010 6 20020508 山村 祥子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、紙製造工場において、着色紙を製造する際に、その原料となるパルプスラリーの色調整に関する発明である。【0002】【従来の技術】着色紙は、白色パルプに染料を混入し、所望の色に着色した原料パルプを抄紙機で抄くことにより製造される。抄造された着色紙の色を所望どおりの色に合わせるためには、原料パルプの色が製品である着色紙の標準見本色と相関するように、パルプ、染料、その他の填料を調合しなければならない。着色紙を抄造する場合、標準見本色ごとに、上記調合割合が決められており、その調合割合に基づいて、原料パルプを調合するのであるが、パルプ繊維の質の相違に基づく着色の難易、パルプ濃度の変動、着色剤のロットによる着色効果のむら等があるので、決められた調合割合どおりに調合しても、標準見本との間に色調の差が生じることが多々ある。原料パルプに古紙パルプを用いる場合、古紙の色や繊維構造によっても変わりやすい。【0003】従って、製紙工場では、着色紙を抄く前に、着色紙製造に用いるパルプスラリーを基に手抄きにより抄いた着色紙と標準見本色とを絶えず照合しながら、原料パルプの色調整を行っているのが現状であり、これら色調整作業は、熟練した作業者が経験に基づき、目視により色調差を判断し、調整している。ところが、熟練者といえども、個々人により、色調の判断に差があるばかりでなく、作業効率もよくないという問題点があった。【0004】【発明が解決しようとする課題】作業効率改善の面から、手抄き紙を省略し、着色剤を配合したパルプスラリーの色をそのパルプスラリーによって製造されるべき着色紙の標準見本色に合わせる試みも行われている。ところが、紙は乾燥しており、パルプスラリーは水を含んでいるため、パルプスラリーとそのパルプスラリーを用いて抄造した紙の色調とは必ずしも一致しないので、熟練者といえども、色合わせが極めて困難な作業である。【0005】上述した熟練者の経験による判断に代えて、測色器を用いて、機械装置により客観的に色調を判断させる方法も採用されているが、その場合、パルプスラリーのサンプルを頻繁に採取、測色して、紙の色と照合しなければならないので、人手を要することに変りなく、また、測色値が紙の平滑性、光沢、パルプの透明度等の影響を受けやすいため、測色誤差が大きく、実用化に問題があった。【0006】【課題を解決するための手段】本発明は、以下に述べる手段で、従来熟練者の目に頼っていた測色作業を、機械により行うことと、さらに、その測色作業をオンラインで行うことにより、測色の精度を向上させるとともに、作業の合理化を計ろうとするものである。本発明の概要を図面によって説明する。図1は、オンラインで行う場合の測色装置の配置図であり、図2は本発明の測色方法の説明図である。原料パルプは、配合箱内で染料、サイズ剤等の薬品を添加され、続いてミキシングチェストで攪拌され、均一に混合されて、ポンプによりマシンチェストに移送される。そして、マシンチェストから抄紙機のスクリーン工程、抄紙機へと送られ、紙に抄かれる。なお、ミキシングチェストで配合されたパルプスラリーは、抄造される前に、必要に応じて、紙の抄造に適したパルプ濃度に希釈される。【0007】本発明では、配合されたパルプスラリー(以下、ミキシングチェスト以降を流れる配合パルプを配合前の原料パルプと区別するため、パルプスラリーという)の試料を抄紙機の前の工程から採取して測色する。即ち、図1の場合であれば、ミキシングチェストからマシンチェストに送るパルプスラリー配管からスラリー循環配管を分枝し、さらに、図2のように、前記スラリー循環配管1から分枝した測色用分枝管内2を流れるパルプスラリーの色を連続的に測色しようとするものである。測色をオンラインでなくオフラインで行う場合は、採取した試料を試料バケット等の容器に入れ、測定用分枝配管を用いて循環させ、試料の流れを安定させてから測色する。【0008】図2おいて、Aは測色器、円内のGは測色部で、パルプスラリーは下から上に向けて管内を流れる。測色部Gは、パルプスラリーの色を測色できるよう、ガラス等の透明材料からなる部分である。測色器Aは、測色部Gを照明するキセノンランプ等の照明装置を含み、パルプスラリーを照明光で照射し、ガラス等の透明材料を透過してその反射光を受光し、パルプスラリーを測色する。パルプスラリーを下から上に向けて流す理由は、紙の不透明度を増す為にパルプスラリー中に混入したタルク、カオリン等の無機顔料が淀まないようにするためである。【0009】測色器Aは、例えば、3刺激値直読タイプの測色器を用いることができる。3刺激値直読タイプの測色器は、人の目に対応する3原色X,Y,Z(赤、緑、青)の光に対応した感覚の3つのセンサーで、被測定物に照射した光の反射光を測定し、その値を基に、マイクロコンピューターで演算し、マンセル表色系等の表色系の色で表示する測色器である。3刺激値直読タイプの測色器の外に、広く用いられている分光測色器等の測色器も本発明で用いることができる。3は、測色用分枝管2内を流れるパルプスラリーの流速を流速計を見ながら所定の速度にコントロールする流量調整バルブである。流速計、流量調整バルブ3はいずれも、過剰な圧力による測色部の透明部分の破損を防ぐため、測色部の上流側に設けられている。【0010】上述の装置を用いて、種々の実験を行った結果、紙の測色値とパルプスラリーの測色値との間に、95%以上の相関係数で相関させるには、パルプ濃度、流速が極めて重要であることが判明した。パルプ濃度(パルプスラリー重量とパルプスラリー内の乾燥パルプとの重量比)は、通常、抄紙機で紙を抄く場合は、0.5〜1.2%であるが、測色する際には、紙を抄くときよりも高い3〜5%が適当である。測色器は、測色対象物に光を照射し、その反射光を分析することにより測色するので、パルプ濃度を3%以下にすると、照射光の反射率が低く、紙の色との相関性が低くなる。【0011】また、5%以上とすると、パルプスラリーの流れがよくなく、ミキシングチェストからマシンチェストにパルプスラリーを送る際に、パイプ内に詰まる等の障害が発生する。抄紙機直前で、抄紙に適したパルプ濃度0.5〜1.2%に希釈する際にも、余りパルプ濃度の高いパルプスラリーは希釈に手間がかかる。従って、測色パルプ濃度を3〜5%の範囲が適当であり、特に3〜4%のパルプ濃度が、測色及び、ポンプ輸送、希釈の面から適している。従って、図1において、ミキシングチェストでは、パルプ濃度を3〜4%に調整し、マシンチェスト前で、水を加えてパルプスラリーを薄めることが望ましい。【0012】パルプスラリーを測色する場合、パルプスラリーの流速もまた重要である。本発明では、パルプ濃度3〜5%のパルプスラリーを用い、流速を様々に変えてパルプスラリーを測色し、標準見本色の紙の色と相関性を確かめた結果、測色部でのパルプスラリーの流速が0.8m/秒〜4m/秒とすることにより、最も相関性が良くなることを突き止めた。流速が0.8m/秒よりも小さいと、測色部でのパルプスラリーの流れに淀みが生じ、測色値のバラツキが大きくなり、紙の色との相関性が不安定になることも判明した。また、淀みが生じると、測色部Gの透明部分が汚染され、頻繁に透明部分をクリーニングしなければならないという欠点が生じることも分かった。【0013】パルプスラリーの流速を4m/秒以上にすると、淀みは無くなるが、層流が生じ、部分的に流速が異なり、0.8m/秒以下の流速の場合と同様に、測色値のバラツキが大きくなり、紙の色との相関性が低下する。流速の変動もまた測色値がバラつきの原因となり、0.1m/秒の流速変動でも測色値が大きく変動する。上記流速条件下で95%以上の相関性を得るには、測色中は常に±0.1m/秒以内の変動範囲に流速を管理する必要があることも判明した。【0014】従って、本発明では、図2のごとく、測色部の上流に流速計と流量調整バルブ3を設け、流速計で測色部におけるパルプスラリーの流速を監視しながら、流速をコントロールし、所定の流速に制御できるようにした。勿論、流速計と流量調整バルブ3を電気的に連携させ、流速計で検知した流速が所定の流速より僅かでも増減した場合、流量調整バルブ3が自動的に開き又は絞られ、適正流速に戻す自動流速制御装置を設けてもよい。流速の変動は、そのまま相関係数の大小に影響する。熟練者の目視による従来技術の測色精度を本発明の測定方法による相関係数に置き換えるてみると、0.9以上の相関係数であることから、従来技術よりも高い精度の測色データを得たい場合、±0.1m/秒以内の流速変動範囲に流速を管理する必要がある。【0015】次ぎに、上記測色装置を用いてパルプスラリーの色を測定し、標準見本色の紙の色と色合わせを行う方法の一例を述べる。先ず、標準色見本色とする紙の製造に用いるパルプスラリーを図2に示す実機の測色用分枝管の測色部に0.8〜4m/秒の流速にて通し、その色を測色するとともに、そのパルプスラリーによって抄造された標準見本色の紙を測色し、両者の測色データを得る。そして、前記測色データとともに、そのパルプスラリーのパルプ、染料、その他の薬品の配合割合等の詳細を銘柄別配合要領書に登録しておく。標準見本色の紙の測色には、パルプスラリーの測色に用いる測色器と異なる測色器を用いてもよいが、できるだけ、同じものを用いることが望ましい。【0016】上記登録された標準見本色の紙を製造する際は、銘柄別配合要領書に基づいて、原料パルプと染料その他の薬品を配合し、実機の測色用分枝管2の測色部Gにパルプスラリーを流し、パルプスラリーを測色する。そして、そのパルプスラリーの測色データと上記標準見本色のパルプスラリーの測色データとの差異が許容される限度、例えば、相関係数0.95以上に収まるまで、パルプスラリーをスラリー循環パイプに循環させながら、ミキシングチェストに染料又はパルプを追加投入し、色合わせをする。前記差異が所定限度内に収まったら。パルプスラリーをマシンチェストに送り、抄造する。そして、抄造された紙から紙片をサンプリングして測色し、標準見本の測色データと照合し、差異があれば、次の配合ロットにおいてその差異を解消すべく、染料等の配合比を変更する。【0017】【発明の実施の形態】パルプスラリーと標準見本の紙とは、形態が異なるので、光の反射率等が同一の照射条件に設定することは困難であり、従って、測色データは通常一致しないが、両者に相関関係があれば、パルプスラリーの測色値を管理することにより、着色紙の色を管理することができる。本発明の場合、先に述べたとおり、パルプ濃度3〜5%、測色部におけるパルプスラリーの流速0.8〜4m/秒とその許容変動範囲0.1m/秒であれば、測定誤差の原因となるパルプスラリーの淀みや層流の発生を防止でき、両者の測色データがよく相関する。従って、パルプスラリーの測色データと標準見本色の測色データと比較して、測色値の相関係数が所定の値よりも大きいか小さいかにより、所定の見本色どおりの色調の紙が製造できるかどうかを判断できる。なお、測色部の分枝管は、図2のごとく、前後部分よりも断面積を小さくしておくと、その部分での流速が速くなり、淀みが生じにくくなるので、図2のごとく測色部の断面積を小さくしておくことが望ましい。【0018】同一の試料でも、測色条件が異なると測色値が異なる場合があるから、頻繁に測色器を校正する必要がある。校正には、通常硫酸バリウム等の安定した鉱物を圧着した白色面を標準白色面として用いるが、頻繁に校正作業を行うのも面倒なので、図1に示すように、自動的に校正する自動校正装置を用いることもできる。ただし、長期使用により、測色部の透明部分が汚染された場合については、自動校正装置により校正できないから、定期的にガラス管内に洗浄液を流し、クリーニングする等の処置が必要である。【0019】測色部の材料はガラス以外に、透明プラスチックも使用できるが、プラスチックは汚染されやすいうえ、洗浄に用いる薬品によっては損傷を受けることがあるので、プラスチック材料を選択するときは、どのような洗浄薬品を用いるべきかを予め確認しておく必要がある。【0020】【発明の効果】従来、着色紙の色合わせ作業は、熟練者による目視に頼っていたので、手間がかかる上、作業者の熟練度による差が大きかった。本発明は、パルプスラリー移送配管から測色用配管を分枝し、該分枝管に透明な測色部を設け、一定範囲内の流速でパルプスラリーを流して測色することにより、パルプスラリーの測色値と標準見本色の紙との測色値が相関させることができた。その結果、オンラインで、着色紙の製品の色とその原料であるパルプスラリーとの色合わせを人手をかけずに、しかも高精度で行うことができるようになった。【図面の簡単な説明】【図1】 測色装置の配置図【図2】 測色方法の説明図【符号の説明】1 スラリー循環配管2 測色用分枝管3 流量調整バルブA 測色器G 測色部 着色紙のパルプスラリーを測色する方法であって、透明材料からなる測色部を有する管内の測色部にパルプ濃度3〜5%のパルプスラリーを、0.8〜4.0m/秒の流速で流し、測色器で前記透明材料を透過してパルプスラリーを測色することを特徴とするパルプスラリーの測色方法。 パルプスラリーの流速を±0.1m/秒以内の変動範囲の流速で流すことを特徴とする請求項1に記載のパルプスラリーの測色方法。


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