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タイトル:特許公報(B2)_アミノポリカルボン酸塩、その製造法及びその用途
出願番号:2000084702
年次:2010
IPC分類:C07C 229/24,B01J 45/00,C07C 227/08,C07C 227/42,C09K 3/00


特許情報キャッシュ

青木 雅裕 原 靖 JP 4423733 特許公報(B2) 20091218 2000084702 20000322 アミノポリカルボン酸塩、その製造法及びその用途 東ソー株式会社 000003300 青木 雅裕 原 靖 20100303 C07C 229/24 20060101AFI20100210BHJP B01J 45/00 20060101ALI20100210BHJP C07C 227/08 20060101ALI20100210BHJP C07C 227/42 20060101ALI20100210BHJP C09K 3/00 20060101ALI20100210BHJP JPC07C229/24B01J45/00 ZC07C227/08C07C227/42C09K3/00 108C C07C 229/24 C07C 229/76 C07C 227/08 CAplus(STN) REGISTRY(STN) JSTPlus(JDreamII) JMEDPlus(JDreamII) JST7580(JDreamII) JCHEM(JDreamII) 特開平07−064260(JP,A) 特開昭61−215359(JP,A) 特開平10−207022(JP,A) Bulletin of the Chemical Society of Japan,Vol.46,p.844-847 (1973). 7 2001261622 20010926 7 20070221 安田 周史 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、キレート剤として有用な生分解性アミノポリカルボン酸に関する。【0002】【従来の技術】従来、キレート剤としては、ポリアクリル酸やポリマレイン酸等の電解質ポリマー、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)やニトリロトリ酢酸等のアミノカルボン酸塩、又はトリポリリン酸ナトリウム等のポリリン酸塩が使用されてきた。しかしながら、これら従来のキレート剤はいずれも生分解性が低く、近年、環境に対する悪影響が懸念されるようになってきた。このため、生分解性を有する種々のキレート剤が提案されている。【0003】例えば、特開平5−72695号公報にはN,N’−アルキレンジアミンジコハク酸、特開平8−165271号公報には2−ヒドロキシ−1,3−プロパンジアミンポリカルボン酸、特開平9−87675号公報には不飽和アミノカルボン酸、特開平9−124567号公報には2,2’−ジメチルイミノ二酢酸誘導体、特開平8−188549号公報にはグリセリン誘導体、特開平8−92197号公報には2−スルホエチルアミノカルボン酸、特開平7−89913号公報にはアスパラギン酸誘導体が開示されている。また、特開平7−64260号公報にはジエチレントリアミン−N,N"−ジマロン酸又はその鉄(III)錯塩が開示されている。【0004】【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来提案されてきた生分解性を有するこれらのキレート剤は、キレート化能力が低い、安定性が低い等の問題があり、工業的に満足できるものではなかった。【0005】例えば、特開平7−64260号公報に記載されているジエチレントリアミン−N,N"−ジマロン酸は、安定性が非常に低く、純度良く単離することができないため、工業的に使用することが困難である。また同公報には、その鉄(III)錯塩についても記載されているが、この化合物は鉄錯塩になっているため、カルシウムイオン等をキレート化する力が無い。さらに、同公報は、鉄錯塩を漂白剤として使用することについて記載するのみであり、その他の塩の記載や、それらのキレート剤としての使用例については何ら開示されていない。【0006】また同公報には、ジエチレントリアミン−N,N"−ジマロン酸の製造法について、Bull.Chem.Soc.Japan.,46,844(1973)に記載されているエチレンジアミン−N,N’−ジマロン酸の製造法に準じて合成することができる旨記載されている。したがって、ジエチレントリアミン−N,N"−ジマロン酸の鉄(III)錯塩製造時の中間物質としてはジエチレントリアミン−N,N"−ジマロン酸が用いられることになり、このジエチレントリアミン−N,N"−ジマロン酸は不安定で、純度良く取り出す事が出来ないものであるため、工業的に満足できるものではなかった。【0007】本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、従来提案されていたキレート剤よりキレート化能及び安定性の高い生分解性キレート剤を提供することである。【0008】【課題を解決するための手段】本発明者は、アミノポリカルボン酸系キレート剤について鋭意検討した結果、高いキレート化能を示す下記一般式(1)で示されるアミノポリカルボン酸塩がマロン酸エステルおよびジエチレントリアミンから容易に誘導でき、しかも安定であるという新規な事実を見い出し、本発明を完成させるに至った。【0009】【化2】【0010】(式中、M1、M2、M3及びM4は各々独立して水素原子又はカチオンを表す。ただし、M1、M2、M3及びM4が全て水素原子になることはない。)すなわち、本発明は、上記一般式(1)で示されるアミノポリカルボン酸のアルカリ金属塩、ジエチレントリアミンとマロン酸エステル誘導体を反応させることを特徴とする上記一般式(1)で示されるアミノポリカルボン酸の製造法、及び一般式(1)で示されるアミノポリカルボン酸のアルカリ金属塩を有効成分として含有する生分解性キレート剤である。【0011】以下に本発明をさらに詳細に説明する。【0012】本発明のアミノポリカルボン酸塩は上記一般式(1)で示される化合物である。【0013】上記一般式(1)において、M1、M2、M3及びM4は各々独立して水素原子又はカチオンを表す。ここで重要なのは、M1、M2、M3及びM4が全て水素原子になることはないことである。全てを水素原子にすると、安定性が著しく低下する。なおカチオンとしてはアルカリ金属イオンが好ましいが、アンモニウムイオンを使用することもできる。【0014】本発明のアミノポリカルボン酸のアルカリ金属塩は、結晶の形で単離される。この結晶は安定であり、工業的にも取り扱うことが容易である。【0015】本発明の方法において、上記一般式(1)で示されるアミノポリカルボン酸のアルカリ金属塩は、一分子のジエチレントリアミン及び二分子のマロン酸エステル誘導体から得られる。マロン酸エステル誘導体にはマロン酸のメチレン部分に脱離基を有するものが使用できるが、好ましいのはハロゲン化マロン酸エステルである。ハロゲン化マロン酸エステルはマロン酸エステルから容易に誘導することができる。ハロゲン化マロン酸エステルの製造方法としては特に限定するものではないが、例えば、マロン酸エステルのハロゲン化を行うのがもっとも容易である。ハロゲン化の際にはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素のいずれを用いても差支えないが、取扱いの容易さから塩素および臭素を用いるのが好ましい。【0016】本発明の方法において、マロン酸エステル誘導体とジエチレントリアミンの反応は、加熱しても良いし、反応液が固結しない程度の低温、または室温で行っても良い。【0017】本発明の方法において使用されるマロン酸エステル誘導体の量については特に限定するものではないが、ジエチレントリアミンに対して2〜4倍モルの添加が好ましい。2倍モル未満を添加した場合、ジエチレントリアミンに1分子のマロン酸エステルが付加した反応中間体が生成し、反応生成物中に混入することになるし、4倍モル以上の添加は工業的に不利である。【0018】本発明の方法において添加方法は特に限定されないが、ジエチレントリアミンのアルカリ水溶液中にマロン酸エステル誘導体を滴下してもよいし、アルカリ水溶液中にジエチレントリアミンおよびマロン酸エステル誘導体を同時に添加してもよい。【0019】本発明の方法において、マロン酸エステル誘導体とジエチレントリアミンの反応はアルカリ水溶液中で実施する。反応液のpHは7以上であれば良いが、好ましくはpH8〜14の間で反応するのが好ましい。アルカリとしては、特に限定するものではないが水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムのような水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウムのような炭酸塩、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウムのような炭酸水素塩、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化リチウムのような酸化物、金属ナトリウム、金属カリウム、金属リチウムのような金属等水に溶かしたり、水と反応してアルカリ性を示すものなら問題なく使用できる。加えるアルカリの量は反応中に生成するハロゲンを捕捉し、尚且つエステルを加水分解するためにマロン酸エステル誘導体に対して1倍モル以上、特に2〜4倍モル以上の添加が好ましい。【0020】本発明の方法において、生成したアミノポリカルボン酸のアルカリ金属塩は晶析、あるいは再結晶により容易に精製できる。晶析する場合は、アミノポリカルボン酸のアルカリ金属塩の水溶液にアルコール等の貧溶媒を添加する。また再結晶の場合は、水と相溶性のあるアルコール等の貧溶媒と水を混合した溶液中で行う。これらの場合、水と相溶性があれば、アルコールに限らず使用することができるが、最も安価なアルコールが工業的には有利である。アルコールを例示すると、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、グリセリン等が使用できるが、水との相溶性の良いメタノール、エタノール、プロパノールが好ましい。【0021】本発明の方法において、得られたアミノポリカルボン酸のアルカリ金属塩はキレート剤として使用することができる。キレート剤としては、アミノポリカルボン酸のアルカリ金属塩だけを使用しても良いし、他の剤と併用しても良い。【0022】本発明のキレート剤は、種々の金属イオンをキレート化することができる。金属イオンとしてはアルカリ金属(例えばリチウム、ナトリウム、カリウム等)のイオン、アルカリ土類金属(例えばカルシウム、マグネシウム、バリウム等)のイオン、金属(例えばAl,Cr,Mo,W,Mn,Ru,Os,Co,Rh,Ir,Fe,Ni,Pd,Pt,Cu,Ag,Au,Zn,Cd,Hg等)のイオンを挙げることができる。【0023】キレート剤は、水中の金属をキレート化することができ、繊維・染色用薬剤、写真用薬剤、紙パルプ漂白剤、石鹸、洗剤用ビルダー、スケール防止剤、金属表面処理用錯化剤、分析用金属イオン隠蔽剤等に広く使用することができる。このキレート剤は、生分解性を有し、エチレンジアミン四酢酸の様な従来のキレート剤が環境にかけていた負荷を軽減することができる。本発明のキレート剤の具体的な使用方法、使用量はそれぞれの用途に応じて異なるため一概には言えないが、原則的にはそれぞれの用途における一般的な使用方法と大幅に異なることは無い。ただし本発明のキレート剤は、その優れた機能、効果の故に従来に無い使用例が期待でき、また、同程度の効果の達成に対して使用量の削減が可能であることは言うまでも無い。【0024】【発明の効果】本発明によれば、環境問題が生じないほどの生分解性を有し、従来提案されてきた生分解性キレート剤に比べて極めてキレート化能が高いアミノポリカルボン酸のアルカリ金属塩を提供することができる。【0025】【実施例】以下、本発明を実施例にて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。【0026】製造例1四塩化炭素27.3gにマロン酸ジエチル16.0gを加え、室温、攪拌下、臭素16.4gを滴下した。滴下終了後、80℃まで加熱し、1時間還流を行うことにより反応で生成した臭化水素を取り除いた。得られた反応液を5%炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、四塩化炭素を留去した後、蒸留操作を行うことで19.1g(収率80.0%)の臭化マロン酸ジエチルを得た。【0027】実施例1ジエチレントリアミン5.2g、水酸化ナトリウム18.0g、水70.5gを入れたガラス製ナス型フラスコに攪拌、氷冷下、臭化マロン酸ジエチル35.9gを滴下した。滴下終了時のpHは13.3であった。この反応液に希塩酸を加えpH4.0にしたところ白色の2ナトリウム塩の結晶が析出した。この結晶に水酸化ナトリウムを加えて、水に溶解させた後、メタノールを加えると、収率28.7%で白色の四ナトリウム塩結晶が析出した。【0028】式(1)で示されるアミノポリカルボン酸のナトリウム塩1H−NMR:CH2(δ2.40−2.60ppm、dd)CHCOO(δ3.48ppm、s)13C−NMR:CH2(δ50.2ppm)CH2(δ52.2ppm)CH(δ74.4ppm)COO(δ181.6ppm)このアミノポリカルボン酸の四ナトリウム塩を50℃で二週間保存し、安定性試験を実施したところ、純度の低下は見られなかった。【0029】次にこのアミノポリカルボン酸ナトリウム塩の1mmol/l水溶液に1mmol/lの塩化カルシウム水溶液を当量添加した。pH10.0におけるカルシウムイオン濃度をカルシウムイオン電極で測定し、カルシウムイオンの安定度定数pKCa2+を求めた。25℃におけるpKCa2+は4.4であった。【0030】さらに、このアミノポリカルボン酸ナトリウム塩を30mg/lの濃度にし、これに100mg/lの濃度の活性汚泥を添加し、25℃で二週間生分解性試験を実施した。その結果、アミノポリカルボン酸は70%が分解された。【0031】比較例1実施例1で得られた2ナトリウム塩の結晶を再度水に溶解し、希塩酸で酸析することでアミノポリカルボン酸を得た。【0032】このアミノポリカルボン酸を50℃で保存したところ、1日後に脱炭酸を起こして分解し、アミノポリカルボン酸は残存していなかった。【0033】比較例2市販の生分解性キレート剤(N,N’−エチレンジアミンジコハク酸三ナトリウム塩)の1mmol/l水溶液に1mmol/lの塩化カルシウム水溶液を等量添加した。pH10におけるカルシウムイオン濃度をカルシウムイオン電極で測定し、カルシウムイオンの安定度定数pKCa2+を求めた。25℃におけるpKCa2+は3.8であった。【0034】比較例3市販のキレート剤(エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム塩)の1mmol/l水溶液に1mmol/lの塩化カルシウム水溶液を等量添加した。pH10におけるカルシウムイオン濃度をカルシウムイオン電極で測定し、カルシウムイオンの安定度定数pKCa2+を求めた。25℃におけるpKCa2+は6.6であった。このキレート剤の生分解性試験を実施例1と同条件で実施したところ、ほとんど分解されなかった。【0035】比較例4実施例1で得られたアミノカルボン酸のナトリウム塩を水に溶解し、硝酸鉄(III)を加えて1mmol/lのアミノカルボン酸鉄(III)錯塩を調製した。この水溶液に1mmol/lの塩化カルシウム水溶液を等量添加した。pH10におけるカルシウムイオン濃度をカルシウムイオン電極で測定し、カルシウムイオンのキレート化安定度定数pKCa2+を求めたがキレート化安定度定数は示さなかった。【0036】【発明の効果】本発明は安定性に優れ、キレート化能力の高い新規な生分解性キレート剤を提供するものであり、極めて有意義である。 下記一般式(1)で示されるアミノポリカルボン酸のアルカリ金属塩。(式中、M1、M2、M3及びM4は各々独立して水素原子又はアルカリ金属を表す。ただし、M1、M2、M3及びM4が全て水素原子になることはない。) ジエチレントリアミンとマロン酸エステル誘導体を反応させることを特徴とする請求項1に記載のアミノポリカルボン酸のアルカリ金属塩の製造法。 マロン酸エステル誘導体がハロゲン化マロン酸エステルであることを特徴とする請求項2に記載の製造法。 アルカリ水溶液中で、マロン酸エステル誘導体とジエチレントリアミンを反応させることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の製造法。 請求項1に記載のアミノポリカルボン酸塩の水溶液にアルコールを加えて晶析することを特徴とするアミノポリカルボン酸のアルカリ金属塩の製造法。 請求項1に記載のアミノポリカルボン酸のアルカリ金属塩を水及びアルコールの混合溶媒中で再結晶することを特徴とするアミノポリカルボン酸のアルカリ金属塩の製造法。 請求項1に記載のアミノポリカルボン酸のアルカリ金属塩を有効成分として含有することを特徴とする生分解性キレート剤。


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