タイトル: | 特許公報(B2)_1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンの製造方法 |
出願番号: | 2000052842 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | C07C 17/35,C07C 17/383,C07C 23/08 |
山田 俊郎 金 伊男 間瀬 隆信 関屋 章 JP 4271822 特許公報(B2) 20090306 2000052842 20000229 1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンの製造方法 独立行政法人産業技術総合研究所 301021533 日本ゼオン株式会社 000229117 内田 幸男 100070792 山田 俊郎 金 伊男 間瀬 隆信 関屋 章 20090603 C07C 17/35 20060101AFI20090514BHJP C07C 17/383 20060101ALI20090514BHJP C07C 23/08 20060101ALI20090514BHJP JPC07C17/35C07C17/383C07C23/08 C07B31/00〜C07B63/04 C07C1/00〜C07C409/44 CAplus(STN) CASREACT(STN) REGISTRY(STN) JSTPlus(JDreamII) JST7580(JDreamII) JAPICDOC(JDreamII) 国際公開第99/033771(WO,A1) 国際公開第97/043233(WO,A1) 米国特許第03024290(US,A) 米国特許第03567788(US,A) 2 2001240568 20010904 8 20050809 (出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成10年度新エネルギー・産業技術総合開発機構 有害塩素系溶剤等を代替する新規環状化合物の革新的製造技術の研究開発委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受けるもの) 安藤 達也 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンの新規な製造方法に関する。さらに詳しくは、クロロフルオロシクロペンテンの混合物を出発原料として、これを金属フッ化物によりフッ素化する1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンの製造方法に関する。【0002】【従来の技術】1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンは、分子量228.5、常圧下での沸点56℃の公知物質であり、従来よりその製造方法が知られている。【0003】1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンの製造方法としては、例えば、米国特許3,024,290号公報には、オートクレーブ中でN,N−ジメチルホルムアミドを反応溶媒として、1,2−ジクロロヘキサフルオロシクロペンテン(原料)をフッ化カリウムと90℃で5時間反応させると、反応系中の原料が消失して、1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンとパーフルオロシクロペンテン(すなわちオクタフルオロシクロペンテン)の混合物が生成すると記載されている。また、この反応を140℃で、さらに5時間継続すると、生成物はパーフルオロシクロペンテンだけになると記載されており、反応条件を選択することにより1,2−ジクロロヘキサフルオロシクロペンテンから1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンが製造できることが報告されている。【0004】また、米国特許3,567,788号公報には、事前に水分の共沸留去操作を施して完全に無水の状態にしたフッ化カリウムを用いて、N,N−ジメチルホルムアミド中で1,2−ジクロロヘキサフルオロシクロペンテンと反応させると、パーフルオロシクロペンテンと共に1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンが生成することが報告されている。同公報の実験例には、反応生成物を蒸留精製した結果、48%のパーフルオロシクロペンテンおよび41%の1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンが得られたと記載されている。【0005】さらに、WO99/33771号公報には、−CCl=CCl−基を含有する炭素数4以上の化合物をフッ素化剤と反応させて−CCl=CF−基を含有する化合物とし(第一工程)、これを貴金属触媒の存在下に水素化して−CH2−CHF−基を有する化合物に変換(第二工程)する方法が提案されている。この第一工程のフッ素化反応については、非プロトン性極性溶媒に芳香族炭化水素を添加した混合溶媒中で反応を行うこと、反応は蒸留塔を装備した反応釜中で行い、かつ連続的に生成物を反応系外へ抜出しながら行うことなどが記載されている。【0006】さらにまた、同公報には前記第一工程の実験例として、1,2−ジクロロヘキサフルオロシクロペンテンを原料として、各種の反応溶媒の存在下にフッ化カリウムと反応させて、目的とする1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンを反応中に系外に抜き出す合成方法がいくつか報告されている。【0007】すなわち、極性溶媒であるN,N−ジメチルホルムアミド中で反応させると、反応系外に抜出した粗生成物中の1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンが98.8%、パーフルオロシクロペンテンが1.2%となったことが記載される。一方、N,N−ジメチルホルムアミドと非極性溶媒であるトルエンの混合溶媒中で反応させた場合には、反応系外に抜出した粗生成物中には1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンが98.8%、パーフルオロシクロペンテンが0.2%、1,2−ジクロロヘキサフルオロシクロペンテン(原料)が1.0%含まれていたと記載されている。【0008】かかる従来の1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンの製造方法は、いずれも1,2−ジクロロヘキサフルオロシクロペンテンを原料として用いている。また、該原料化合物は、パークロロシクロペンタジエンを出発原料として公知の方法により、塩素原子をフッ素化して製造されている。【0009】【発明が解決しようとする課題】しかしながら、パークロロシクロペンタジエンから1,2−ジクロロヘキサフルオロシクロペンテンを得る置換反応は、逐次反応で進行するために複雑な反応組成となり、生成する1,2−ジクロロヘキサフルオロシクロペンテンの精製が難しく、従って、高純度な1,2−ジクロロヘキサフルオロシクロペンテンを得て、これを原料として用い1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンを製造する方法は、コスト高になるという問題があった。また、純度が低い1,2−ジクロロヘキサフルオロシクロペンテンを原料として、金属フッ化物と反応させて1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンを得ようとすると、反応組成が複雑となるため、目的物の単離精製が極めて困難になるという問題があった。【0010】このような従来技術の問題点に鑑み、本発明の目的は、原料として高純度な1,2−ジクロロヘキサフルオロシクロペンテンを用いることなく、工業的有利に、しかも精製が容易な1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンを製造する方法を提供することにある。【0011】【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の目的を達成すべく、1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンの製造方法について鋭意検討を重ねた結果、各種のクロロフルオロシクロペンテンの混合物を用いても、特定の反応条件を採用することにより、1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンと2種類の副生成物が特異的に得られること、そして1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンとこれら2種類の副生成物の分離精製が容易であることを見出して、本発明を完成するに至った。【0012】かくして、本発明によれば、極性溶剤と非極性溶剤からなる混合溶剤系の存在下に、少なくとも2種の上記式1で表わされるクロロフルオロシクロペンテンの混合物と金属フッ化物を反応せしめて該クロロフルオロシクロペンテン混合物をフッ素化し、反応により副生する上記式4で表わされる1,3−ジクロロ−2,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテンおよび上記式3で表わされる1,4−ジクロロ−2,3,3,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテンを粗生成物から除去することを特徴とする上記式2で表わされる1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンの製造方法が提供される。少なくとも2種のクロロフルオロシクロペンテンの混合物は、5〜95重量%の1,2−ジクロロヘキサフルオロシクロペンテンを含有することが好ましい。【0013】【発明の実施の形態】(クロロフルオロシクロペンテンの混合物)本発明の製造方法においては、少なくとも2種の前記式1で表わされるクロロフルオロシクロペンテンの混合物が反応原料として用いられる。クロロフルオロシクロペンテンは、シクロペンテン骨格を有し、2つの不飽和結合炭素(1位および2位)のそれぞれに塩素原子が1つ置換し、残る3つの飽和結合炭素(3位、4位および5位)に水素原子が結合せず、フッ素原子がx個(x=3〜6)結合し、塩素原子が(6−x)個結合していれば特に限定されない。【0014】かかるクロロフルオロシクロペンテンとしては、例えば、1,2−ジクロロヘキサフルオロシクロペンテン、1,2,3−トリクロロペンタフルオロシクロペンテン、1,2,4−トリクロロペンタフルオロシクロペンテン、1,2,3,4−テトラクロロテトラフルオロシクロペンテン、1,2,3,3,4−ペンタクロロトリフルオロシクロペンテンなどが挙げられる。【0015】これらのクロロフルオロシクロペンテンは、2種以上の混合物として用いられる。混合割合は特に限定されないが、混合物の全重量に基づいて1,2−ジクロロヘキサフルオロシクロペンテンの含量が好ましくは5〜95重量%であり、より好ましくは10〜93重量%、特に好ましくは20〜90重量%である。原料混合物の製造方法は特に限定されず、例えば、パークロロシクロペンタジエンを出発原料として公知の方法で製造することができる。【0016】(金属フッ素化物)本発明で用いられる金属フッ化物としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属などのフッ化物が挙げられる。好ましくはアルカリ金属フッ化物である。アルカリ金属フッ化物の具体例としては、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化リチウムなどが挙げられる。なかでもフッ化カリウムが好ましい。これらの金属フッ化物は単独で使用してもよく、または2種以上組合せて使用してもよい。【0017】金属フッ化物の使用量は、原料として用いるクロロフルオロシクロペンテンの混合物中に存在する塩素原子の合計(モル原子換算)を、該原料のモル数で割った値から、目的生成物中に残される塩素原子の最小値である1を差し引いた数値を1当量とした場合に、好ましくは1.1〜2.0倍当量、より好ましくは1.2〜1.5倍当量である。なお、本発明の方法では、原料混合物に対して過剰量の金属フッ化物を用いても、フッ素置換反応が過度に進行し難いので、完全フッ素化物であるパーフルオロシクロペンテンの副生は極めて微量である。【0018】(反応溶剤)本発明において使用される反応溶媒は、極性溶剤と非極性溶剤の混合溶剤であることが必須である。極性溶剤としては、通常、非プロトン性極性溶剤が用いられる。かかる非プロトン性極性溶剤の具体例としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、スルホランなどが挙げられる。【0019】非極性溶剤としては、通常、前記極性溶剤と相溶性がある炭化水素系溶剤が用いられる。かかる非極性溶剤の具体例としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、デカリンなどの脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン(オルト、メタ、パラ)、エチルベンゼン、t−ブチルベンゼンなどの芳香族炭化水素などが挙げられるが、芳香族炭化水素が好ましい。これらの極性溶剤と非極性溶剤の組合わせは、特に限定されないが、N,N−ジメチルホルムアミドとトルエンの組合わせが好ましい。【0020】使用する極性溶剤と非極性溶剤の量比(体積比)は、特に限定されないが、極性溶剤の使用量を1体積部としたとき、非極性溶剤の使用量は、通常0.5〜1.5体積部であり、好ましくは0.8〜1.2体積部である。非極性溶剤の使用量が過度に少ないとパーフルオロシクロペンテンが副生し易くなる。また非極性溶剤の使用量が過度に多すぎると反応速度が遅くなる。極性溶剤と非極性溶剤とからなる混合溶剤の使用量は、前記フッ化金属100重量部に対して、通常、100〜1,000重量部、好ましくは120〜600重量部、より好ましくは150〜300重量部である。【0021】(フッ素化反応)フッ素化反応の反応温度は、20〜200℃の範囲で適宜選択できるが、50〜150℃が好ましく、80〜130℃がより好ましい。反応時間は、通常0.5〜30時間、好ましくは2〜20時間である。反応方法および装置は、特に限定されないが、バッチ方式または原料を連続的に反応容器へ供給し、反応生成物を反応容器から抜出す連続方式が採用される。【0022】バッチ方式で反応を行う場合は、反応終了後、工業的に通常用いられる蒸留装置により精製操作を施して、目的とする1−クロロヘプタフルオロシクロペンテン(式2)の留分(沸点56℃)と、反応により特異的に副生する1,3−ジクロロヘキサフルオロシクロペンテン(式4)および1,4−ジクロロヘキサフルオロシクロペンテン(式3)を含む留分(沸点約89℃)を別々に単離することができる。【0023】また、連続方式で反応を行う場合は、精留塔を装備した反応容器を用い、金属フッ化物を分散させた反応溶剤中で反応させることが好ましい。この際には、精留塔の塔頂部より目的とする1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンの留分と、反応により特異的に副生する1,3−ジクロロヘキサフルオロシクロペンテンおよび1,4−ジクロロヘキサフルオロシクロペンテンを含む留分を別々に得ることができる。【0024】このように本発明の製造方法によると、目的物と特異的に副生する化合物の沸点が大きく異なるので、反応粗生成物から副生物である1,3−ジクロロヘキサフルオロシクロペンテンおよび1,4−ジクロロヘキサフルオロシクロペンテンを除去して、目的とする1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンを得ることができる。【0025】本発明の方法で製造される1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンは、洗浄剤または溶剤として用いられる1,1,2,2,3,3,4−ヘプタフルオロシクロペンタン、新しいエッチング剤として注目されているオクタフルオロシクロペンテンなどの5員環構造を有する含フッ素化合物の合成中間体として有用である。【0026】【実施例】以下に実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によってその範囲を限定されるものではない。なお、ガスクロマトグラフィー(GC)分析はHitachi263−70を使用した。カラムはGLサイエンス社製のNeutrabond Capillary Column(長さ60m、内径2.5mm)を用いた。キャリアーガスとして窒素を100ml/分の流量で流した。スプリット比は100とした。【0027】実施例1滴下ロート、精留塔、温度計および撹拌装置を装備した3リットルの4つ口フラスコに、窒素気流下においてフッ化カリウム597.0g(10.3モル)およびN,N−ジメチルホルムアミド480mlとトルエン720mlの混合液を仕込んだ。滴下ロートには、55.5%の1,2−ジクロロヘキサフルオロシクロペンテン、31.4%のトリクロロペンタフルオロシクロペンテン類および12.5%のテトラクロロテトラフルオロシクロペンテンからなる原料混合物を1580.0g(6.22モル)仕込んだ。精留塔塔頂部に備え付けたジムロート冷却器に−10℃の冷媒を流し、−70℃に冷却した留分トラップを冷却器の出口部に接続した。【0028】フラスコを油浴に浸し、内容物を攪拌しながら加熱した。フラスコ内温度が130℃に昇温後、5時間にわたって継続的に前記原料混合物を滴下した。反応開始から2時間経過後、精留塔塔頂部の温度が目的物の沸点(56℃)になって安定した。その時点から塔頂部の温度が110℃まで上昇するまでの間(反応開始から約13時間)、断続的に反応生成物の抜き出しを行った結果、2種類の留分が得られた。【0029】各留分をGC分析したところ、沸点56℃の留分1は、目的とする1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンであった(977.1g、4.28モル、収率68.8%)。沸点約89℃の留分2は、副生成物の1,3-ジクロロヘキサフルオロシクロペンテンおよび1,4−ジクロロヘキサフルオロシクロペンテン(262.2g、1.07モル、収率17.2%)と、原料混合物中に含まれていた1,2−ジクロロヘキサフルオロシクロペンテン(26.6g、0.11モル、回収率1.7%)の混合物であった。【0030】比較例1実施例1において反応溶媒として用いたN,N−ジメチルホルムアミドとトルエンからなる混合液の全量をN,N−ジメチルホルムアミドに代えたほかは、実施例1と同様に反応および生成物の抜き出しを行なった。得られた2種類の留分をGC分析した結果、沸点56℃の留分1は、目的とする1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンは33%に過ぎず、その余はGC分析のピーク位置から3位、4位または5位の飽和結合炭素に塩素が1つ置換したと推定される蒸留で分離不可能な異性体の混合物であった。また、沸点が約89℃の留分2は、未反応物である1,2−ジクロロヘキサフルオロシクロペンテン30%を含む多くの異性体混合物であった。【0031】実施例2実施例1と同様に反応容器にフッ化カリウム500.0g(8.6モル)およびN,N−ジメチルホルムアミド500mlとトルエン500mlの混合液を仕込んだ。滴下ロート内には、72.1%の1,2−ジクロロヘキサフルオロシクロペンテン、20.7%のトリクロロペンタフルオロシクロペンテン類および5.4%のテトラクロロテトラフルオロシクロペンテン類からなる原料混合物を1498.0g(6.0モル)仕込んだ。【0032】実施例1と同様に反応させて得られた2種類の留分をGC分析した結果、沸点56℃の留分1は、目的とする1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンであった(1105.9g、4.8モル、収率80.7%)。沸点約89℃の留分2は、副生成物の1,3-ジクロロヘキサフルオロシクロペンテンおよび1,4−ジクロロヘキサフルオロシクロペンテン(151.9g、0.62モル、収率10.3%)であった。なお、この留分2のGC分析では、原料混合物中に含まれていた1,2−ジクロロヘキサフルオロシクロペンテンのピークは認められなかった。【0033】実施例3実施例1と同様に反応容器にフッ化カリウム550.0g(9.5モル)、N,N−ジメチルホルムアミド450mlとトルエン675mlの混合液を仕込んだ。滴下ロート内には、86.3%の1,2−ジクロロヘキサフルオロシクロペンテン、8.1%のトリクロロペンタフルオロシクロペンテン類からなる原料混合物を2083.1g(8.5モル)仕込んだ。【0034】実施例1と同様に反応させて得られた2種類の留分をGC分析した結果、沸点56℃の留分1は、目的とする1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンであった(1751.6g、7.65モル、収率89.1%)。沸点約89℃の留分2は、副生成物の1,3-ジクロロヘキサフルオロシクロペンテンおよび1,4−ジクロロヘキサフルオロシクロペンテン(22.5g、0.09モル、収率1.1%)であった。なお、この留分2のGC分析では、原料混合物中に含まれていた1,2−ジクロロヘキサフルオロシクロペンテンのピークは認められなかった。【0035】実施例4実施例3のトルエンをp−キシレンに代え、生成物の反応系外への抜き出し温度(精留塔の塔頂部温度)の範囲を56〜138℃に変更したほかは、実施例3と同様に操作した。得られた2種類の留分をGC分析した結果、沸点56℃の留分1は、目的とする1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンであった(1699.1g、7.42モル、収率86.4%)。沸点約89℃の留分2は、副生成物の1,3-ジクロロヘキサフルオロシクロペンテンおよび1,4−ジクロロヘキサフルオロシクロペンテン(47.3g、0.19モル、収率2.3%)であった。なお、この留分2のGC分析では、原料混合物中に含まれていた1,2−ジクロロヘキサフルオロシクロペンテンのピークは認められなかった。【0036】【発明の効果】本発明の方法によって、少なくとも2種のクロロフルオロシクロペンテンの混合物と金属フッ化物とを反応せしめると、目的とする1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンとともに、1,3−ジクロロ−2,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテンおよび1,4−ジクロロ−2,3,3,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテンが特異的に副生するが、目的化合物とこれら2種類の副生物とは容易に精製分離することができる。従って、高純度の目的物が工業的有利に得られる。 極性溶剤と非極性溶剤からなる混合溶剤系の存在下に、少なくとも2種の下記式1で表わされるクロロフルオロシクロペンテンの混合物と金属フッ化物を反応せしめて該クロロフルオロシクロペンテン混合物をフッ素化し、反応により副生する下記式4で表わされる1,3−ジクロロ−2,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテンおよび下記式3で表わされる1,4−ジクロロ−2,3,3,4,5,5−ヘキサフルオロシクロペンテンを粗生成物から除去することを特徴とする下記式2で表わされる1−クロロヘプタフルオロシクロペンテンの製造方法。(式1中のxは3〜6の整数である) 前記クロロフルオロシクロペンテンの混合物が、5〜95重量%の1,2−ジクロロヘキサフルオロシクロペンテンを含有することを特徴とする請求項1記載の製造方法。