タイトル: | 特許公報(B2)_マイクロエマルジョン |
出願番号: | 1999357520 |
年次: | 2011 |
IPC分類: | B01J 13/00,C08L 83/06,A61K 8/06,A61K 8/891 |
ランドール・マイロン・ヒル エリック・ウィリアム・ケイラー ラリー・ダニエル・ライアン ジェイムズ・アレグザンダー・シラス JP 4644328 特許公報(B2) 20101210 1999357520 19991216 マイクロエマルジョン ダウ コーニング コーポレーション 590001418 DOW CORNING CORPORATION 曾我 道治 100110423 池谷 豊 100071629 古川 秀利 100084010 鈴木 憲七 100094695 福井 宏司 100087985 望月 孜郎 100077975 ランドール・マイロン・ヒル エリック・ウィリアム・ケイラー ラリー・ダニエル・ライアン ジェイムズ・アレグザンダー・シラス US 09/213512 19981217 20110302 B01J 13/00 20060101AFI20110209BHJP C08L 83/06 20060101ALI20110209BHJP A61K 8/06 20060101ALI20110209BHJP A61K 8/891 20060101ALI20110209BHJP JPB01J13/00 AC08L83/06A61K8/06A61K8/891 B01J 13/00 A61K 8/00-8/99 A61Q 1/00-99/00 C08L 83/04 特開平04−266811(JP,A) 特開昭62−141029(JP,A) 特開平07−097455(JP,A) 特開平10−265577(JP,A) 特開平09−183901(JP,A) 特開平04−103631(JP,A) 特開平04−103632(JP,A) 特開平06−056623(JP,A) 4 2000212445 20000802 10 20061004 ▲高▼岡 裕美 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、シリコーンおよび水を含有する単一相の形態の組成物である。特に、本組成物は、2つ以上の非混和性の液体、即ちシリコーンと水と界面活性剤(単数または複数)の、単一または一相の、透明な、熱力学的に安定な混合物である。本組成物は、15〜75℃の範囲の温度で安定である。【0002】 本発明は、構成成分を混合するための機械的エネルギーがほとんど無くても形成される光学的に清澄な単一相シリコーンマイクロエマルジョンである。特に、水、短鎖線状メチルシロキサンおよび非イオン性界面活性剤と陽イオン性界面活性剤の組合せの三成分組成物は、併合して、手で振って静かに混合するかまたは磁気攪拌子で攪拌すると、光学的に清澄な一相シリコーンマイクロエマルジョンを自発的に提供する。【0003】【従来の技術】エマルジョン、特にシリコーンエマルジョンは不透明で、濁っていて、放置すると分離する傾向がある、ということは十分実証されている(米国特許第4,999,398号)。これに対比して、マイクロエマルジョンは、それらが熱力学的に安定であり、そして典型的エマルジョン小滴より小さい平衡微細構造を含有するために、望ましい。したがって、その生成物は無期限に安定であり、光学的に清澄であり得る。【0004】本明細書中で用いる場合、エマルジョンまたはマクロエマルジョンという用語は、100〜1,000ナノメートル(0.1〜1.0μm/1,000〜10,000オングストロームÅ)の範囲の直径を有する、小滴の形態での、一方の物質中のもう一方の非混和性液体の混合物を意味する。これに対比して、マイクロエマルジョンとは、2つ以上の非混和性液体と1つ以上の界面活性剤および補助界面活性剤の、単一または一相の透明な、熱力学に安定な混合物を意味する。【0005】混乱を避けるために、マイクロエマルジョンという用語は、非常に小さい構造サイズおよび屈折率適合によって透明である組成物を含めた、水、油および界面活性剤を含有するあらゆる透明な組成物を記載するために文献中で用いられてきた、ということに留意すべきである。しかしながら、構成成分の付加の順序、それらの重合または高エネルギー混合が関与する時を考慮すると、どの型の組成物が実際に作られているかは、調製物の詳細からほとんど常に明らかである。【0006】マイクロエマルジョンは、それらが、典型的には500ナノメートルのオーダーである可視光線の波長より小さい構造を有するために、清澄または透明である。さらに、マイクロエマルジョンは、その用語が本明細書中で用いられる場合は、油および界面活性剤単層または水および界面活性剤単層から成る自発的自己集合性集合体である構造を含有する。水と油から成ることを示す別個の領域が存在するけれども、該領域は自発的に自己集合する分子集合体から成るため、その系は当然一相として記載される。【0007】マイクロエマルジョンは、水中に分散される油小滴(O/W)、油中に分散される水小滴(W/O)を含有し得るか、あるいはそれらは二連続構造またはその他の構造の形態であり得る。それらはマイクロエマルジョンとあらゆる過剰な富油相または富水相との間の超低界面張力を特徴とする。【0008】マイクロエマルジョンは、(i)それが油、水および界面活性剤を含有し、(ii)油に対して高濃度の界面活性剤が存在し、(iii)系が光学的に清澄であり、(iv)相が遠心分離により分離せず、そして(v)系が自発的に生じるという、その固有の特徴のいくつかにより認識される。【0009】したがって、本発明の目的に関しては、エマルジョンは100ナノメートル(0.1μm/1,000オングストロームÅ)より大きい平均直径を有する構造を含有するが、一方マイクロエマルジョンは100ナノメートル(0.1μm/1,000オングストロームÅ)未満、好ましくは50ナノメートル(0.05μm/500オングストロームÅ)未満の平均直径を有する構造を含有すると考えられる。清澄度または透明度は、分散相の構造サイズにより多大に制御される。光の散乱は、構造サイズによる。したがって、本発明の清澄なまたは透明な組成物は、後述するように、裸眼で見た場合に小滴または構造を有さない単一相である。【0010】さらに、エマルジョンは経時的に分離する固有の不安定系として認識される。これに対比して、本発明のマイクロエマルジョンは自発的に生じ、無期限に安定である。構成成分の付加の順序はそれらの生成に影響を及ぼさず、一相マイクロエマルジョンを生じさせるには、それらの安定性の温度範囲で単に手で振るだけで十分である。【0011】これらの自発的に生成される単一相清澄マイクロエマルジョンは、身体ケアの活舞台で特別な価値を有する。三成分系の環状メチルシロキサン成分の独特の揮発特性のために、それは単独で用いられ、またはその他の化粧品液と配合されて、種々の店頭販売用身体ケア製品を生成し得る。【0012】したがって、それは、乾いた感触を残し、蒸発時に皮膚を冷却しないため、制汗剤および消臭剤中の担体として有用である。それは平滑であり、スキンクリーム、スキンケアローション、モイスチャライザー、フェイシャルトリートメント剤、例えばニキビまたは皺除去剤、身体および顔面用清浄剤、浴用油、香料、オーデコロン、サッシェ、サンスクリーン剤、プレシェーブおよびアフターシェーブローション、ひげ剃り石鹸ならびにひげ剃り用泡剤の特性を改良する。それは、ヘアシャンプー、ヘアコンディショナー、ヘアスプレー、ムース、パーマネント剤、脱毛剤およびキューティクルコート剤中に用いて、光沢および乾燥時間を増強し、コンディショニング効果を提供し得る。化粧品中で、それは、メークアップ剤、着色化粧品、ファンデーション、頬紅、口紅、アイライナー、マスカラ、油分除去剤、着色化粧品除去剤および白粉中の顔料のための均展剤および展着剤として機能する。それは油溶性および水溶性物質、例えばビタミンのための送出系として有用である。スティック、ゲル、ローション、エアゾールおよびロールオン製品に混入されると、三成分組成物は乾いた、絹のように滑らかな使い心地を付与する。【0013】さらに、これらの自発的に生成される清澄一相マイクロエマルジョンは、例えば(i)清澄性、(ii)非常に小さい構造サイズ、(iii)超低界面張力、(iv)単一均質流体中の水および油の特性を併合する能力、(v)保存性、そして(vi)調製の容易性といった種々の好都合で且つ有益な性質を示すため、それらは織物仕上げのようなその他の活舞台において広範な用途を有する。【0014】【発明が解決しようとする課題】 本発明の目的は、(i)水、(ii)短鎖線状メチルシロキサン、および(iii)非イオン性界面活性剤と陽イオン性界面活性剤の組合せを単に併合することにより単一相清澄マイクロエマルジョンを生成することである。【0015】これは、清澄生成物が、清澄性を達成するために必要な小構造サイズを得るために従来必要とされた高剪断を用いずに作製され得るため、意義がある。【0016】これらの単一相清澄マイクロエマルジョンは、それらが混合および剪断用具によるエネルギーを必要としないという意味で、自発的に生成する。したがって、タービン、インペラー、コロイドミル、ホモジナイザーまたは音波処理機は、これらの系を生成するのに必要でない。適量の三成分を適切な容器に付加し、容器を手で振ることが必要なだけである。もちろん、構成成分はより多くのエネルギーにより混合され、剪断され得るし、清澄単一相系は依然として得られるが、しかしこのような付加的エネルギー使用からは利点は生じない。【0017】【課題を解決するための手段】 本発明は、ある種の界面活性剤の混合物を用いて、シリコーン油の熱力学的に安定した光学的に透明なマイクロエマルジョンを作製する。好ましい界面活性剤は、任意に陽イオン性の一尾または二尾(single or double tailed)第四級アンモニウム塩界面活性剤と任意に組合せたエトキシル化アルコール界面活性剤である。これらの単一相系を生成するのに必要な界面活性剤の総濃度は低く、界面活性剤の混合物は、適切なマイクロエマルジョン相の温度ウインドウを制御するようあつらえられ得る。【0018】 請求項1の発明は、15〜75℃で、(i)1〜60重量%の、式(CH3)3SiO{(CH3)2SiO}ySi(CH3)3(式中、yは0〜5である)を有する短鎖線状メチルシロキサンおよび40〜99重量%の水の割合で単一相組成物中に存在する、40〜95重量%の、前記短鎖線状メチルシロキサンおよび前記水;ならびに(ii)1〜40重量%の陽イオン性界面活性剤および60〜99重量%の非ケイ素原子含有非イオン性界面活性剤の割合で単一相組成物中に存在する、5〜60重量%の、前記陽イオン性界面活性剤および前記非イオン性界面活性剤;を含有する単一相組成物を含むマイクロエマルジョンであって、前記短鎖線状メチルシロキサンが50ナノメーター未満の平均直径を有する小滴として単一相組成物中に存在するマイクロエマルジョンである。 請求項2の発明は、前記非イオン性界面活性剤は、式R−(OCH2CH2)aOH(式中、Rは炭素数8〜20の脂肪炭化水素残基であり、そしてaは1〜100である)のアルコールエトキシレートである、請求項1に記載のマイクロエマルジョンである。 請求項3の発明は、前記陽イオン性界面活性剤は、式R'R''R'''R''''N+X-(式中、R'、R''、R'''およびR''''は炭素数12〜30のアルキル基、あるいは獣脂、ヤシ油またはダイズに由来するアルキル基であり、そしてXはハロゲンである)の第四級アンモニウム塩である請求項1または2に記載のマイクロエマルジョンである。 請求項4の発明は、前記陽イオン性界面活性剤は、式R'R''N+(CH3)2X−(式中、R'およびR''は炭素数12〜30のアルキル基、あるいは獣脂、ヤシ油またはダイズ由来のアルキル基であり、そしてXはハロゲンである)を有する請求項3に記載のマイクロエマルジョンである。 本発明の独特の且つ新規の特徴は、少量の界面活性剤の混合物を用いたシリコーン油のマイクロエマルジョンを自発的に調製するその能力、ならびにある温度範囲内のその安定性である。前記の三成分系の構成成分の賢明な選択は、安定な組成物の温度範囲を提供する。【0019】これは、このような界面活性剤を用いたシリコーン油のマイクロエマルジョンの調製のための有効な方法の最初の実際的立証であると思われる。従来の考えは、このような一相安定混合物を生成するには多量のエトキシル化アルコール界面活性剤が必要であるというものである。しかしながら、本発明の一実施態様によれば、第四級アンモニウム界面活性剤の付加は、重量%を基礎にして4つのうちの1因子によりこのようなマイクロエマルジョンを生成するのに必要な界面活性剤の全体量を低減し、それにより商業的目的のためのより実行可能なアプローチを提供する。【0020】前記のように、これらのマイクロエマルジョンは多数の身体ケア用途に有用であるが、しかし特に消臭剤またはスキンケアローションとして有用であり、それらは脂溶性香料を送出するために用い得る。さらに、マイクロエマルジョンは、織物仕上げに、そしてコンディショニングシャンプー中の添加剤として用いるためのシリコーン油の非常に小さい、即ち50nmより小さい小滴の供給源として用い得る。それらは、シリコーン油の希釈のために典型的に用いられるより揮発性の溶媒の代替物も提供する。そして、それらは単一相として存在するために、マイクロエマルジョンは処理が非常に容易であることが判明した。【0021】 本発明の組成物は、ある温度領域内で、即ち15〜75℃で安定であり、これはそれらの調製物中に利用される界面活性剤の混合物によっている。特定の当該物の温度範囲を提供するために、安定性のこの領域は、界面活性剤の注意深い選択により変え得る。しかしながら、組成物はすべて、0℃より低い温度で不安定になる。【0022】【発明の実施の形態】 本発明のマイクロエマルジョンは、水(A)、シリコーン油(B)および界面活性剤(C)の熱力学的に安定な三成分等方性混合物である。特に該マイクロエマルジョンは、このような系に関する三成分図の単一相中に存在する組成物である。【0023】 したがって、水(A)、シリコーン油(B)および界面活性剤(C)の三成分混合物に関する典型的温度−組成物相図は、y軸変数として摂氏で表される温度を有し、それはx軸変数に関してγとして表される界面活性剤の重量%を有する。【0024】これらの型の図は、一般に、αが(油の重量)/(油の重量+水)x100と定義される組成物を示す。したがって、等量の油および水は、α=50である。その他の図は、50から変化するαに関して存在する。このような図は、温度および組成物の関数として三成分系の相挙動の進行を描く、各三成分系の相プリズム図から得ることができる。【0025】温度−組成物相図は、少なくとも4つの領域に分けられ得る。一相領域、三相領域および1対の二相領域が存在する。【0026】本発明の当該領域である一相領域では、界面活性剤(C)は油(B)および水(A)のすべてを単一平衡マイクロエマルジョン相中に可溶化する。この可溶化を成し遂げるのに必要な界面活性剤(C)の最低量は、界面活性剤濃度γminで生じる。γは、γ=C/A+B+Cと定義される。この関係において、γminは特定の界面活性剤(C)の有効性を示す。【0027】 本発明の三成分組成物は、(i)水、(ii)短鎖線状メチルシロキサンおよび(iii)非イオン性界面活性剤と陽イオン性界面活性剤の組合せを含有する。3つの構成成分を組合せて、その他の物質を付加せずに、清澄な一相組成物を生成し得る。【0028】したがって、組成物は、塩、補助界面活性剤、モノヒドロキシアルコール、ならびにジオールおよびトリオール、例えばエチレングリコールおよびグリセロールのような非必須成分を含入してもしなくても、調製される。このような非必須成分を排除する能力は、それが、昔は清澄なまたは透明な物質に達するためにしばしば頼っていた屈折率適合の必要性をなくするので、特に有益且つ好都合である。【0029】3つの構成成分は、任意の所定の付加順序で組合せられる。熱は溶解性を増強し、表面張力を低下させ、そして粘度を低減するが、しかしその適用は必要でない。ほとんどの場合、室温(20〜25℃/68〜77゜F)で十分である。【0030】 三成分組成物の油成分は、式(CH3)3SiO{(CH3)2SiO}ySi(CH3)3(式中、yは0〜5である)を有する短鎖線状メチルシロキサンである。【0032】いくつかの適切な短鎖線状メチルシロキサンは、沸点100℃で、粘度0.65mm2/sで、式Me3SiOSiMe3を有するヘキサメチルジシロキサン(MM)、沸点152℃で、粘度1.04mm2/sで、式Me3SiOMe2SiOSiMe3を有するオクタメチルトリシロキサン(MDM)、沸点194℃で、粘度1.53mm2/sで、式Me3SiO(Me2SiO)2SiMe3を有するデカメチルテトラシロキサン(MD2M)、沸点229℃で、粘度2.06mm2/sで、式Me3SiO(Me2SiO)3SiMe3を有するドデカメチルペンタシロキサン(MD3M)、沸点245℃で、粘度2.63mm2/sで、式Me3SiO(Me2SiO)4SiMe3を有するテトラデカメチルヘキサシロキサン(MD4M)、そして沸点270℃で、粘度3.24mm2/sで、式Me3SiO(Me2SiO)5SiMe3を有するヘキサデカメチルヘプタシロキサン(MM)である。【0033】前記のように、組成物は非イオン性界面活性剤を含有する。非イオン性界面活性剤は、非ケイ素原子含有非イオン性乳化剤であるべきである。本発明に最も好ましいのは、アルコールエトキシレートR−(OCH2CH2)aOH、特に脂肪アルコールエトキシレートである。このような脂肪アルコールエトキシレートは、それらの分子中に、炭素数8〜20の脂肪炭化水素残基R、例えばラウリル(C12)、セチル(C16)およびステアリル(C18)に結合される特性基−(OCH2CH2)aOHを含有する。「a」は1〜100の値を有し得るが、典型的には12〜40である。【0034】本発明に用いるのに適した非イオン性界面活性剤のいくつかの例は、ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(2)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(10)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(20)セチルエーテル、ポリオキシエチレン(2)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(10)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(21)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(100)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(2)オレイルエーテルおよびポリオキシエチレン(10)オレイルエーテルである。【0035】これらのそしてその他のこのような脂肪アルコールエトキシレートは、例えばアルフォニック(商品名)、ブリジ(商品名)、ゲナポール(商品名)、ネオドール(商品名)、サーフォニック(商品名)およびトリコール(商品名)といった種々の名称で市販されており、容易に入手可能である。【0036】 本組成物は、非イオン性界面活性剤の他に、陽イオン性界面活性剤も含有する。本発明に有用な陽イオン性界面活性剤としては、正に荷電した分子中に第四級アンモニウム親水性部分を含有する化合物、例えば第四級アンモニウム塩R'R''R'''R''''N+X−が挙げられる。最も好ましいのは、ジアルキルジメチルアンモニウム塩R'R''N+(CH3)2X−(式中、R'、R''、R'''およびR''''は炭素数12〜30のアルキル基、あるいは例えば獣脂、ヤシ油またはダイズ由来のアルキル基を示し、Xはハロゲン、例えば塩素または臭素を表す)である。【0037】用いられる代表的な第四級アンモニウム塩は、ジドデシルジメチルアンモニウムブロミド(DDAB)、ジヘキサデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジヘキサデシルジメチルアンモニウムブロミド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジエイコシルジメチルアンモニウムクロリド、ジドコシルジメチルアンモニウムクロリド、ジココナツジメチルアンモニウムクロリド、ジ獣脂ジメチルアンモニウムクロリドおよびジ獣脂ジメチルアンモニウムブロミド(DTAB)である。【0038】これらのそしてその他のこのような第四級アンモニウム塩は、例えば商品名アドゲン、商品名アルクアッド、商品名トマーおよび商品名バリクアットといった種々の名称で市販されており、容易に入手可能である。【0039】 本発明の組成物は、40〜95重量%の短鎖線状メチルシロキサンおよび水を含有する。短鎖線状メチルシロキサンおよび水は、1〜60重量%の短鎖線状メチルシロキサンおよび40〜99重量%の水の割合で単一相組成物中に存在する。【0040】 組成物は、5〜60重量%の界面活性剤も含有する。界面活性剤は非イオン性界面活性剤と陽イオン性界面活性剤の組合せを包含する。陽イオン性界面活性剤および非イオン性界面活性剤は、1〜40重量%の陽イオン性界面活性剤および60〜99重量%の非イオン性界面活性剤の割合で、単一相組成物中に存在する。【0041】 単一相組成物中の短鎖線状メチルシロキサンは、最も好ましくは、清澄性を提供するために、50ナノメートル未満の平均構造または小滴直径を有する。光学的清澄性を確定するために用いられる判定基準は、一相マイクロエマルジョンを充填した直径2cmの瓶を通して裸眼で文章を読むことができるか否かである。【0042】例えば、教科書Microemulsions Theory and Practice, Edited by Leon M. Prince, Academic Press, Inc., Pages 7-10, New York(1977)で述べられているように、「マイクロエマルジョンの視覚的認識は、軽々しくなされるべきでない。実際、マイクロエマルジョン化学者は、この業界では注意深く自身を訓練する必要がある。人工光源よりむしろ日光の使用が推奨される。青色光での光学顕微鏡の分解能限界は0.1μmにすぎず、したがって0.14μmより小さい小滴は観察できないため、眼の方が顕微鏡よりよい。」【0043】【実施例】 以下の実施例において、実施例1〜2、4〜7及び9〜10は参考例である。 実施例1 50部の脱イオン水、50部のオクタメチルシクロテトラシロキサンおよび92.3部のエトキシル化アルコール界面活性剤R−(OCH2CH2)aOH(式中、RはC8H17であり、aは3である)を容器に単に付加することにより、43〜50℃の範囲の温度で自発的に、光学的に清澄な単一相組成物を生成させた。混合物を静かに攪拌した。【0044】実施例250部の脱イオン水、50部のデカメチルシクロペンタシロキサンおよび127.3部のエトキシル化アルコール界面活性剤R−(OCH2CH2)aOH(式中、RはC8H17であり、aは3である)を容器に単に付加することにより、51〜61℃の範囲の温度で自発的に、光学的に清澄な単一相組成物を生成させた。混合物を静かに攪拌した。【0045】実施例350部の脱イオン水、50部のデカメチルテトラシロキサンおよび150部のエトキシル化アルコール界面活性剤R−(OCH2CH2)aOH(式中、RはC8H17であり、aは3である)を容器に単に付加することにより、55〜66℃の範囲の温度で自発的に、光学的に清澄な単一相組成物を生成させた。混合物を静かに攪拌した。【0046】実施例450部の脱イオン水、50部のオクタメチルシクロテトラシロキサンおよび66.7部のエトキシル化アルコール界面活性剤R−(OCH2CH2)aOH(式中、RはC12H25であり、aは5である)を容器に単に付加することにより、69〜73℃の範囲の温度で自発的に、光学的に清澄な単一相組成物を生成させた。混合物を静かに攪拌した。【0047】実施例550部の脱イオン水、50部のオクタメチルシクロテトラシロキサンおよび51部のエトキシル化アルコール界面活性剤R−(OCH2CH2)aOH(式中、RはC12H25であり、aは3である)を容器に単に付加することにより、15〜35℃の範囲の温度で自発的に、光学的に清澄な単一相組成物を生成させた。混合物を静かに攪拌した。【0048】実施例650部の脱イオン水、50部のオクタメチルシクロテトラシロキサン、15.9部のエトキシル化アルコール界面活性剤R−(OCH2CH2)aOH(式中、RはC8H17であり、aは3である)および1.7部の第四級アンモニウム塩陽イオン性界面活性剤ジドデシルジメチルアンモニウムブロミドを容器に単に付加することにより、66〜73℃の範囲の温度で自発的に、光学的に清澄な単一相組成物を生成させた。混合物を静かに攪拌した。【0049】実施例750部の脱イオン水、50部のオクタメチルシクロテトラシロキサン、18部のエトキシル化アルコール界面活性剤R−(OCH2CH2)aOH(式中、RはC12H25であり、aは3である)および4部の第四級アンモニウム塩陽イオン性界面活性剤ジドデシルジメチルアンモニウムブロミドを容器に単に付加することにより、48〜70℃の範囲の温度で自発的に、光学的に清澄な単一相組成物を生成させた。混合物を静かに攪拌した。【0050】実施例850部の脱イオン水、50部のデカメチルテトラシロキサン、30.8部のエトキシル化アルコール界面活性剤R−(OCH2CH2)aOH(式中、RはC12H25であり、aは3である)および4.3部の第四級アンモニウム塩陽イオン性界面活性剤ジドデシルジメチルアンモニウムブロミドを容器に単に付加することにより、61〜66℃の範囲の温度で自発的に、光学的に清澄な単一相組成物を生成させた。混合物を静かに攪拌した。【0051】実施例990部の塩化ナトリウムの5%水溶液、10部のオクタメチルシクロテトラシロキサンおよび17.6部のエトキシル化アルコール界面活性剤R−(OCH2CH2)aOH(式中、RはC12H25であり、aは5である)を容器に単に付加することにより、35〜43℃の範囲の温度で自発的に、光学的に清澄な単一相組成物を生成させた。混合物を静かに攪拌した。【0052】実施例1095部の塩化ナトリウムの1%水溶液、5部のオクタメチルシクロテトラシロキサン、10部のエトキシル化アルコール界面活性剤R−(OCH2CH2)aOH(式中、RはC12H25であり、aは5である)および1.1部の第四級アンモニウム塩陽イオン性界面活性剤ジドデシルジメチルアンモニウムブロミドを容器に単に付加することにより、63〜71℃の範囲の温度で自発的に、光学的に清澄な単一相組成物を生成させた。混合物を静かに攪拌した。【0053】【発明の効果】 本発明は、構成成分を混合するための機械的エネルギーがほとんど無くても形成される光学的に清澄な単一相シリコーンマイクロエマルジョンである。特に、水、短鎖線状メチルシロキサンおよび非イオン性界面活性剤と陽イオン性界面活性剤の組合せの三成分組成物は、併合して、手で振って静かに混合するかまたは磁気攪拌子で攪拌すると、光学的に清澄な一相シリコーンマイクロエマルジョンを自発的に提供する。 15〜75℃で、(i)1〜60重量%の、式(CH3)3SiO{(CH3)2SiO}ySi(CH3)3(式中、yは0〜5である)を有する短鎖線状メチルシロキサンおよび40〜99重量%の水の割合で単一相組成物中に存在する、40〜95重量%の、前記短鎖線状メチルシロキサンおよび前記水;ならびに(ii)1〜40重量%の陽イオン性界面活性剤および60〜99重量%の非ケイ素原子含有非イオン性界面活性剤の割合で単一相組成物中に存在する、5〜60重量%の、前記陽イオン性界面活性剤および前記非イオン性界面活性剤;を含有する単一相組成物を含むマイクロエマルジョンであって、前記短鎖線状メチルシロキサンが50ナノメーター未満の平均直径を有する小滴として単一相組成物中に存在するマイクロエマルジョン。 前記非イオン性界面活性剤は、式R−(OCH2CH2)aOH(式中、Rは炭素数8〜20の脂肪炭化水素残基であり、そしてaは1〜100である)のアルコールエトキシレートである、請求項1に記載のマイクロエマルジョン。 前記陽イオン性界面活性剤は、式R'R''R'''R''''N+X−(式中、R'、R''、R'''およびR''''は炭素数12〜30のアルキル基、あるいは獣脂、ヤシ油またはダイズに由来するアルキル基であり、そしてXはハロゲンである)の第四級アンモニウム塩である請求項1または2に記載のマイクロエマルジョン。 前記陽イオン性界面活性剤は、式R'R''N+(CH3)2X−(式中、R'およびR''は炭素数12〜30のアルキル基、あるいは獣脂、ヤシ油またはダイズ由来のアルキル基であり、そしてXはハロゲンである)を有する請求項3に記載のマイクロエマルジョン。