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タイトル:特許公報(B2)_殺菌消毒剤、抗菌性薬剤及び抗菌性材料
出願番号:1999353397
年次:2004
IPC分類:7,A01N33/12,A01N25/02,A61K31/14,A61P31/04


特許情報キャッシュ

宮本 英和 牧野 公博 JP 3542940 特許公報(B2) 20040409 1999353397 19991213 殺菌消毒剤、抗菌性薬剤及び抗菌性材料 日華化学株式会社 000226161 内山 充 100075351 宮本 英和 牧野 公博 20040714 7 A01N33/12 A01N25/02 A61K31/14 A61P31/04 JP A01N33/12 A01N25/02 A61K31/14 A61P31/04 7 CA(STN) REGISTRY(STN) 特表平08−510722(JP,A) 米国特許第03778476(US,A) 6 2001163710 20010619 13 20010416 吉住 和之 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、殺菌消毒剤、抗菌性薬剤及び抗菌性材料に関する。さらに詳しくは、本発明は、皮膚刺激、発赤、肌荒れや皮膚感作などの皮膚障害がなく、低濃度でも有効な殺菌及び抗菌効果を有する殺菌消毒剤、抗菌性薬剤及び抗菌性材料に関する。【0002】【従来の技術】従来から一般的に使用されている界面活性剤系殺菌消毒剤、ビグアニド系殺菌消毒剤、フェノール系殺菌消毒剤などは、短時間、すなわち、数十秒間の菌との接触により殺菌作用を示すように常用濃度が設定されている。例えば、界面活性剤系殺菌消毒剤としては、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ジデシルジメチルアンモニウム塩、アルキル(C12〜C18)トリメチルアンモニウム塩、塩酸アルキルポリアミノエチルグリシンなどが挙げられ、これらの殺菌消毒剤の医療機関における常用濃度は0.2重量%であって、水溶液又はエタノール溶液として使用されている。この常用濃度において、界面活性剤系殺菌消毒剤は皮膚を刺激しやすく、肌荒れや発赤、皮膚感作などの皮膚障害が起こることが報告されており、安全上使用濃度の低下が望まれているが、皮膚障害を起こさない程度にまで使用濃度を下げると、安全な殺菌効果は得られない。さらに、界面活性剤系殺菌消毒剤は、緑膿菌に対する殺菌効果が弱いという欠点も有している。そこで、十分な殺菌作用を示す濃度においても皮膚障害の少ない殺菌消毒剤の使用が試みられている。例えば、各種の文献[Rembaum,A.:Appl.Polym.Symp.,22,299(1973)、Vucetic,J.J.,Vandjel,V.H.,Janic,M.D.:Glas.Hem.Drus.Beograd,42,289(1977)、Ikeda,T.,Yamaguchi,H.Tazuke,S.:J.Bioact.Comp.Polym.,5,31(1990)]などに記載されている第4級アンモニウム塩系のカチオンポリマーは、抗菌性を有し、界面活性剤系殺菌消毒剤の数十倍の濃度で使用しても、皮膚刺激、発赤、肌荒れや皮膚感作などの皮膚障害は起こらない。しかし、これらのカチオンポリマーは、界面活性剤系殺菌消毒剤の常用濃度と同濃度で使用した場合、短時間の接触による殺菌効果は界面活性剤系殺菌消毒剤よりも劣り、短時間接触での殺菌効果を得るために濃い濃度で使用すると、粘着性が非常に強く残って使用に耐えがたいという問題がある。このような状況から、皮膚障害が少なく低濃度でも有効な殺菌効果を示す殺菌消毒剤及び抗菌性薬剤が求められている。【0003】【発明が解決しようとする課題】本発明は、皮膚刺激、発赤、肌荒れや皮膚感作などの皮膚障害がなく、低濃度でも有効な殺菌及び抗菌効果を有し、かつ緑膿菌に対しても優れた効果を発揮する殺菌消毒剤、抗菌性薬剤及び抗菌性材料を提供することを目的としてなされたものである。【0004】【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、主鎖中にヘテロアルキレン構造を有する高重合度の第4級アンモニウムポリマーが、従来の殺菌消毒剤の常用濃度以上でも皮膚障害を起こさず、塩化ベンザルコニウムと同程度以上の殺菌効果を有し、さらに、従来の界面活性剤系殺菌消毒剤を、皮膚障害を起こさない程の低濃度で併用することにより、菌体との短時間接触においても十分な殺菌効果を発揮することを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、(1)一般式[1]で表されるカチオンポリマーを含有することを特徴とする殺菌消毒剤(眼科用液剤及びコンタクトレンズ用液剤を除く)。【化5】(ただし、式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基若しくはヒドロキシアルキル基又は炭素数2〜4のアルケニル基であり、R2は炭素数2〜10のアルキレン基であり、R3はヘテロ原子が酸素である炭素数2〜6のヘテロアルキレン基であり、A-はアニオンであり、nは40〜117である。)、(2)カチオンポリマーの重量平均分子量が、10,000〜32,000である第1項記載の殺菌消毒剤(眼科用液剤及びコンタクトレンズ用液剤を除く)、(3)界面活性剤系殺菌消毒剤を含有する第1項又は第2項記載の殺菌消毒剤(眼科用液剤及びコンタクトレンズ用液剤を除く)、(4)一般式[1]で表されるカチオンポリマーを含有することを特徴とする抗菌性薬剤(眼科用液剤及びコンタクトレンズ用液剤を除く)、【化6】(ただし、式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基若しくはヒドロキシアルキル基又は炭素数2〜4のアルケニル基であり、R2は炭素数2〜10のアルキレン基であり、R3はヘテロ原子が酸素である炭素数2〜6のヘテロアルキレン基であり、A-はアニオンであり、nは40〜117である。)、(5)一般式[1]で表されるカチオンポリマーを含有することを特徴とする抗菌性材料、【化7】(ただし、式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基若しくはヒドロキシアルキル基又は炭素数2〜4のアルケニル基であり、R2は炭素数2〜10のアルキレン基であり、R3はヘテロ原子が酸素である炭素数2〜6のヘテロアルキレン基であり、A-はアニオンであり、nは40〜117である。)、及び、(6)一般式[1]で表されるカチオンポリマーを塗布してなることを特徴とする抗菌性材料、【化8】(ただし、式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基若しくはヒドロキシアルキル基又は炭素数2〜4のアルケニル基であり、R2は炭素数2〜10のアルキレン基であり、R3はヘテロ原子が酸素である炭素数2〜6のヘテロアルキレン基であり、A-はアニオンであり、nは40〜117である。)、を提供するものである。さらに、本発明の好ましい態様として、(7)界面活性剤系殺菌消毒剤と一般式[1]で表されるカチオンポリマーとの配合比が、1,000:1,000以下である第3項記載の殺菌消毒剤、及び、(8)界面活性剤系殺菌消毒剤が、塩化ベンザルコニウムである第3項記載の殺菌消毒剤、を挙げることができる。【0005】【発明の実施の形態】本発明の殺菌消毒剤及び抗菌性薬剤は、一般式[1]で表されるカチオンポリマーを含有するものであり、本発明の抗菌性材料は、一般式[1]で表されるカチオンポリマーを含有し又は塗布してなるものである。【化9】一般式[1]において、R1は炭素数1〜4のアルキル基若しくはヒドロキシアルキル基又は炭素数2〜4のアルケニル基であり、4個のR1はすべて同一であっても異なっていてもよく、R2は炭素数2〜10のアルキレン基であり、R3は炭素数2〜6のヘテロアルキレン基又はヒドロキシル基を有するヘテロアルキレン基であり、A−はアニオンであり、nは40〜500である。炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基などを挙げることができる。炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、1−メチル−1−ヒドロキシエチル基、1−メチル−2−ヒドロキシエチル基などを挙げることができる。炭素数2〜4のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基などを挙げることができる。炭素数2〜10のアルキレン基に特に制限はなく、直鎖状のアルキレン基と分岐を有するアルキレン基のいずれをも用いることができる。このようなアルキレン基としては、例えば、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、2−エチルヘキサメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基などを挙げることができる。炭素数2〜6のヘテロアルキレン基又はヒドロキシル基を有するヘテロアルキレン基に特に制限はないが、ヘテロ原子が酸素又はイオウであることが好ましい。このようなヘテロアルキレン基としては、例えば、メチレンオキシメチレン基、メチレンオキシエチレン基、エチレンオキシエチレン基、エチレンオキシメチレンオキシエチレン基、メチレンチオメチレン基、メチレンチオエチレン基、エチレンチオエチレン基などを挙げることができる。ヒドロキシル基を有するヘテロアルキレン基としては、式[2]で表される1−ヒドロキシ−3−オキサペンチレン基、式[3]で表される1,4−ジヒドロキシ−2−オキサブチレン基などを挙げることができ、ヒドロキシル基は1つであっても、2つ以上であっても良い。−CH(OH)CH2OCH2CH2− …[2]−CH(OH)OCH2CH(OH)− …[3]【0006】A−で表されるアニオンとしては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グルコン酸、乳酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸、酒石酸などの一価又は多価カルボン酸に由来するアニオン、酸性リン酸エステルアニオン、アルキル硫酸エステルアニオン、ハロゲンアニオン、リン酸アニオン、硫酸アニオン、硝酸アニオンなどを挙げることができる。一般式[1]におけるnは、カチオンポリマーの平均重合度である。カチオンポリマーの平均分子量を測定し、繰り返し単位の分子量で除することにより、平均重合度nを求めることができる。nが40未満であると、十分な殺菌効果を得ることが困難となるおそれがある。nが500を超えると、カチオンポリマーの粘度が高くなり、作業性が不良となるおそれがある。本発明の殺菌消毒剤は、人体に有害な病原微生物を死滅させ、感染を防止する薬剤である。本発明の抗菌性薬剤は、微生物の増殖を阻止する薬剤である。一般式[1]で表されるカチオンポリマーとしては、例えば、ポリ[オキシエチレン(ジメチルイミニオ)プロピレン(ジメチルイミニオ)エチレンジクロライド]、ポリ[オキシエチレン(ジメチルイミニオ)エチレン(ジメチルイミニオ)エチレンジクロライド]、ポリ[オキシメチレンオキシエチレン(ジメチルイミニオ)プロピレン(ジメチルイミニオ)エチレンジクロライド]、ポリ[オキシメチレンオキシエチレン(ジメチルイミニオ)エチレン(ジメチルイミニオ)エチレンジクロライド]などを挙げることができる。本発明において、一般式[1]で表されるカチオンポリマーの重量平均分子量は、10,000〜50,000であることが好ましく、11,000〜40,000であることがより好ましい。重量平均分子量が10,000未満であると、十分な殺菌効果を得ることが困難となるおそれがある。重量平均分子量が50,000を超えると、カチオンポリマーの粘度が高くなり、作業性が不良となるおそれがある。【0007】一般式[1]で表されるカチオンポリマーは、低濃度でも有効な殺菌性、抗菌性を示し、眼粘膜に対する刺激が少なく安全性が高いために、眼科用液剤、例えば、点眼液の防腐剤などとして好適に使用することができる。一般式[1]で表されるカチオンポリマーの製造方法に特に制限はなく、例えば、一般式[4]で表されるテトラアルキルジアミンと一般式[5]で表されるジクロロヘテロアルキレン化合物とを反応させることにより製造することができる。【化10】Cl−R3−Cl …[5]一般式[4]において、R1は炭素数1〜4のアルキル基若しくはヒドロキシアルキル基又は炭素数2〜4のアルケニル基であり、4個のR1はすべて同一であっても異なっていてもよく、R2は炭素数2〜10のアルキレン基である。一般式[5]において、R3は炭素数2〜6のヘテロアルキレン基又はヒドロキシル基を有するヘテロアルキレン基である。一般式[4]で表される化合物としては、例えば、テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチルプロピレンジアミン、テトラエチルエチレンジアミン、テトラキス(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、テトラアリルエチレンジアミンなどを挙げることができる。一般式[5]で表される化合物としては、例えば、ジ(クロロメチル)エーテル、ビス(2−クロロエチル)エーテル、ジ(クロロメチル)ホルマール、ビス(2−クロロエチル)ホルマール、ビス(2−クロロエチル)スルフィドなどを挙げることができる。一般式[4]及び一般式[5]で表される化合物は、1種を単独で用いることができ、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。【0008】本発明の殺菌消毒剤は、短時間すなわち数十秒間の接触での殺菌効果を向上させるために、界面活性剤系殺菌消毒剤を添加することができる。界面活性剤系殺菌消毒剤と一般式[1]で表されるカチオンポリマーとの配合比は、1,000:1,000以下であることが好ましく、5:1,995〜500:1,500であることがより好ましい。界面活性剤系殺菌消毒剤と一般式[1]で表されるカチオンポリマーの配合比が1,000:1,000を超えると、皮膚刺激、発赤、肌荒れなどの皮膚障害を引き起こすおそれがある。本発明の殺菌消毒剤に含有させる界面活性剤系殺菌消毒剤としては、例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ジデシルジメチルアンモニウム塩、アルキル(C12〜C18)トリメチルアンモニウム塩などのカチオン界面活性剤系殺菌消毒剤、塩酸アルキルポリアミノエチルグリシンなどの両性界面活性剤系殺菌消毒剤などを挙げることができる。これらの界面活性剤系殺菌消毒剤は、1種を単独で用いることができ、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。本発明の殺菌消毒剤及び抗菌性薬剤は、例えば、手の殺菌消毒のために使用されるほか、各種の製品へ添加又は塗布することにより、殺菌効果を付与するのみならず、細菌、真菌、原生動物などの微生物の増殖を抑制する抗菌効果を得ることもできる。本発明の抗菌性材料としては、例えば、天然樹脂や、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂などの合成樹脂などに、一般式[1]で表されるカチオンポリマーや、該カチオンポリマーを含有する溶液を練り込んだ材料や、これらの樹脂を使用した成形材に、一般式[1]で表されるカチオンポリマーや、該カチオンポリマーを含有する溶液を塗布した材料などを挙げることができる。成形材としては、例えば、板、壁、シートなどを挙げることができる。【0009】【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。なお、カチオンポリマーの重合平均分子量は、水系ゲル・パーミエーション・クロマトグラフ(GPC)[東ソー(株)、HLC−8120GPC]を用いて測定し、ポリエチレングリコールに換算して求めた。また、殺菌効果の評価は、下記の方法にしたがって行った。(1)試験菌黄色ぶどう状球菌(Staphyrococcus aureus(略称S.aureus)ATCC 6538P)、メチシリン耐性黄色ぶどう状球菌(MRSA IID 1677)、メチシリン耐性黄色ぶどう状球菌(MRSA 臨床分離株)、大腸菌(Escherichia coli(略称E.coli)IFO 3301)、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae(略称K.pneumoniae)IFO ATCC 4352)、緑膿菌(Pseudomonus aeruginosa(略称P.aeruginosa)IFO 3080)、セラチア菌(Serratia marcescens(略称S.marcescens)臨床分離株)の7種の菌を試験菌として用いた。(2)試験菌液の調製試験菌1白金耳を、ソイビーン・カゼイン・ダイジェスト(SCD)培地8mLに接種し、37℃で18時間培養したのち、この培養液1mLをSCD培地で10倍希釈した。さらに、この希釈液2mLをSCD培地100mLに接触させ、37℃でP.aeruginosaは4時間、他の菌は2時間培養し、試験菌液とした。試験菌液には、1mLあたり106〜108個の生菌数が含まれる。(3)操作生理食塩水を用いて殺菌消毒剤組成物の2倍希釈列を調製し、各希釈液を10mLずつ試験管に分注し、オートクレーブ滅菌を行ったのち、試験菌液を0.1mLずつ添加混合した。菌と殺菌消毒剤組成物を1分間接触させたのち、この接種液を、予め滅菌した3本のSCD−LP(レシチン・ポリソルベート)培地(各9mL)に0.1mLずつ添加混合した。これを37℃で20時間培養したのち、培地の濁りの有無を判定した。培地が透明であれば菌の発育を認めないとして−、濁れば菌が発育したとして+とし、3本のうち2本以上の判定を採用した。−判定がついた最小濃度を最小殺菌濃度(MBC)とした。さらに、皮膚刺激性試験は、下記の方法により行った。すなわち、殺菌消毒剤0.02mLをろ紙上に置き、男性、女性各5人ずつ(男性A〜E及び女性F〜Jとする)の左上腕屈側に閉鎖法で貼付した。貼付30分後及び24時間後に、一次刺激性を4段階で判定した。判断基準は下記の通りとした。判定基準−:陰性(反応なし)。±:紅斑のみ。+:紅斑に加えて、湿潤又は丘疹が生じる。++:紅斑、浮腫、丘疹又は小水疱が顕著にみられる。【0010】実施例1水50g、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−プロピレンジアミン25g及びビス(2−クロロエチル)エーテル27gを混合し、90℃で25時間反応させたのち、水19gを加えてカチオンポリマーの濃度を40重量%に調整した。得られたカチオンポリマー、ポリ[オキシエチレン(ジメチルイミニオ)プロピレン(ジメチルイミニオ)エチレンジクロライド]の重量平均分子量は11,500であり、一般式[1]におけるnの値は42であった。このカチオンポリマー溶液について、最小殺菌濃度を求めた。実施例2水50g、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−プロピレンジアミン25g及びビス(2−クロロエチル)エーテル27gを混合し、95℃で30時間反応させたのち、水19gを加えてカチオンポリマーの濃度を40重量%に調整した。得られたカチオンポリマー、ポリ[オキシエチレン(ジメチルイミニオ)プロピレン(ジメチルイミニオ)エチレンジクロライド]の重量平均分子量は32,000であり、一般式[1]におけるnの値は117であった。このカチオンポリマー溶液について、最小殺菌濃度を求めた。実施例3水50g、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−プロピレンジアミン23g及びビス(2−クロロエチル)ホルマール37.5gを混合し、105℃で20時間反応させたのち、未反応のジ(2−クロロエチル)ホルマールを分層除去し、水30.5gを加えてカチオンポリマーの濃度を40重量%に調整した。得られたカチオンポリマー、ポリ[オキシメチレンオキシエチレン(ジメチルイミニオ)プロピレン(ジメチルイミニオ)エチレンジクロライド]の重量平均分子量は13,000であり、一般式[1]におけるnの値は43であった。このカチオンポリマー溶液について、最小殺菌濃度を求めた。【0011】実施例4実施例1で得られた濃度40重量%のカチオンポリマー水溶液と、40重量%塩化ベンザルコニウム水溶液を、重量比1999:1で配合し殺菌消毒剤を調製した。この殺菌消毒剤について、最小殺菌濃度を求めた。実施例5実施例1で得られた濃度40重量%のカチオンポリマー水溶液と、40重量%塩化ベンザルコニウム水溶液を、重量比1500:500で配合し殺菌消毒剤を調製した。この殺菌消毒剤について、最小殺菌濃度を求めた。実施例6実施例1で得られた濃度40重量%のカチオンポリマー水溶液と、40重量%塩化ベンザルコニウム水溶液を、重量比1000:1000で配合し殺菌消毒剤を調製した。この殺菌消毒剤について、最小殺菌濃度を求めた。実施例7実施例2で得られた濃度40重量%のカチオンポリマー水溶液と、40重量%塩化ベンザルコニウム水溶液を、重量比1999:1で配合し殺菌消毒剤を調製した。この殺菌消毒剤について、最小殺菌濃度を求めた。実施例8実施例2で得られた濃度40重量%のカチオンポリマー水溶液と、40重量%塩化ベンザルコニウム水溶液を、重量比1500:500で配合し殺菌消毒剤を調製した。この殺菌消毒剤について、最小殺菌濃度を求めた。実施例9実施例2で得られた濃度40重量%のカチオンポリマー水溶液と、40重量%塩化ベンザルコニウム水溶液を、重量比1000:1000で配合し殺菌消毒剤を調製した。この殺菌消毒剤について、最小殺菌濃度を求めた。【0012】比較例1水50g、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−プロピレンジアミン25g及びビス(2−クロロエチル)エーテル27gを混合し、60℃で72時間反応させたのち、水19gを加えてカチオンポリマーの濃度を40重量%に調整した。得られたカチオンポリマー、ポリ[オキシエチレン(ジメチルイミニオ)プロピレン(ジメチルイミニオ)エチレンジクロライド]の重量平均分子量は7,500であり、一般式[1]におけるnの値は27であった。このカチオンポリマー溶液について、最小殺菌濃度を求めた。比較例2水50gとジメチルアミン15gとの混合液に、水冷却下でエピクロロヒドリン32gを滴下し、40℃で15時間反応させ、次いで、90℃で4時間反応させたのち、水20.5gを加えてカチオンポリマーの濃度を40重量%に調整した。得られたカチオンポリマー、ポリ[2−ヒドロキシエチレン(ジメチルイミニオ)メチレンクロライド]の重量平均分子量は10,500であり、平均重合度は76であった。このカチオンポリマー溶液について、最小殺菌濃度を求めた。比較例3水50g、テトラメチルエチレンジアミン25g及びビス(2−クロロエチル)エーテル31gを混合し、70℃で60時間反応させたのち、水34gを加えてカチオンポリマーの濃度を40重量%に調整した。得られたカチオンポリマー、ポリ[オキシエチレン(ジメチルイミニオ)エチレン(ジメチルイミニオ)エチレンジクロライド]の重量平均分子量は7,500であり、平均重合度は29であった。このカチオンポリマー溶液について、最小殺菌濃度を求めた。比較例4塩化ベンザルコニウムの40重量%水溶液を調整した。この水溶液について、最小殺菌濃度を求めた。実施例1〜9及び比較例1〜4の結果を、第1表に示す。【0013】【表1】【0014】【表2】【0015】実施例1〜3で得られたカチオンポリマー溶液は最小殺菌濃度が低く、良好な殺菌性を有し、特にMRSA(IID 167)とMRSA(臨床分離株)に対しては、従来優れた殺菌消毒剤として使用されている比較例4の塩化ベンザルコニウム以上の殺菌効果を示している。さらに、実施例1〜2で得られたカチオンポリマー溶液と塩化ベンザルコニウムを含有する実施例4〜9の殺菌消毒剤は、すべての試験菌に対し、最小殺菌濃度が塩化ベンザルコニウムの最小殺菌濃度と同等又はそれ以下であり、優れた殺菌効果を示している。これに対して、一般式[1]で表される構造を有していても重合度が低い比較例1及び比較例3のカチオンポリマー、重合度は高いが主鎖にヘテロアルキレン基を有しない比較例2のカチオンポリマーは、いずれも最小殺菌濃度が高く、殺菌効果が劣っている。実施例10実施例2で得られたカチオンポリマーの0.2重量%水溶液を調製し、皮膚刺激性試験を行った。実施例11実施例8で得られた殺菌消毒剤を希釈して、実施例2で得られたカチオンポリマー0.15重量%及び塩化ベンザルコニウム0.05重量%を含有する水溶液を調製し、皮膚刺激性試験を行った。比較例5塩化ベンザルコニウムの0.2重量%水溶液を調製し、皮膚刺激性試験を行った。実施例10〜11及び比較例5の結果を、第2表に示す。【0016】【表3】【0017】実施例10の一般式[1]で表されるカチオンポリマーを含有する殺菌消毒剤では、皮膚障害は全く認められないのに対して、比較例5の塩化ベンザルコニウムでは、顕著な皮膚障害が認められる。実施例11で試験した殺菌消毒剤は、一般式[1]で表されるカチオンポリマーと塩化ベンザルコニウムを重量比1500:500で含有しているが、この殺菌消毒剤でも、皮膚障害は全く認められない。【0018】【発明の効果】本発明の殺菌消毒剤は、殺菌消毒剤の常用濃度0.2重量%においても塩化ベンザルコニウムのような皮膚障害がなく、しかも従来の殺菌消毒剤よりも優れた殺菌効果を発揮する。 一般式[1]で表されるカチオンポリマーを含有することを特徴とする殺菌消毒剤(眼科用液剤及びコンタクトレンズ用液剤を除く)。(ただし、式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基若しくはヒドロキシアルキル基又は炭素数2〜4のアルケニル基であり、R2は炭素数2〜10のアルキレン基であり、R3はヘテロ原子が酸素である炭素数2〜6のヘテロアルキレン基であり、A-はアニオンであり、nは40〜117である。) カチオンポリマーの重量平均分子量が、10,000〜32,000である請求項1記載の殺菌消毒剤(眼科用液剤及びコンタクトレンズ用液剤を除く)。 界面活性剤系殺菌消毒剤を含有する請求項1又は請求項2記載の殺菌消毒剤(眼科用液剤及びコンタクトレンズ用液剤を除く)。 一般式[1]で表されるカチオンポリマーを含有することを特徴とする抗菌性薬剤(眼科用液剤及びコンタクトレンズ用液剤を除く)。(ただし、式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基若しくはヒドロキシアルキル基又は炭素数2〜4のアルケニル基であり、R2は炭素数2〜10のアルキレン基であり、R3はヘテロ原子が酸素である炭素数2〜6のヘテロアルキレン基であり、A-はアニオンであり、nは40〜117である。) 一般式[1]で表されるカチオンポリマーを含有することを特徴とする抗菌性材料。(ただし、式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基若しくはヒドロキシアルキル基又は炭素数2〜4のアルケニル基であり、R2は炭素数2〜10のアルキレン基であり、R3はヘテロ原子が酸素である炭素数2〜6のヘテロアルキレン基であり、A-はアニオンであり、nは40〜117である。) 一般式[1]で表されるカチオンポリマーを塗布してなることを特徴とする抗菌性材料。(ただし、式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基若しくはヒドロキシアルキル基又は炭素数2〜4のアルケニル基であり、R2は炭素数2〜10のアルキレン基であり、R3はヘテロ原子が酸素である炭素数2〜6のヘテロアルキレン基であり、A-はアニオンであり、nは40〜117である。)


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