タイトル: | 特許公報(B2)_テトラヒドロピラニル−4−スルホネートの製法 |
出願番号: | 1999351712 |
年次: | 2007 |
IPC分類: | C07D 309/12 |
原田 勝正 西野 繁栄 島 秀好 西村 実 弘津 健二 JP 3959584 特許公報(B2) 20070525 1999351712 19991210 テトラヒドロピラニル−4−スルホネートの製法 宇部興産株式会社 000000206 原田 勝正 西野 繁栄 島 秀好 西村 実 弘津 健二 20070815 C07D 309/12 20060101AFI20070726BHJP JPC07D309/12 C07D 309/00-40 CAplus(STN) REGISTRY(STN) Tetrahedron,Vol.53, No.33,pp.11449-11464,(1997) Tetrahedron,Vol.42, No.15,pp.4333-4342,(1986) 1 2001163867 20010619 5 20030117 ▲高▼岡 裕美 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、テトラヒドロピラニル-4-スルホネートの製法に関する。テトラヒドロピラニル-4-スルホネートは、スルホニル基の脱離性を利用して、種々の化合物にテトラヒドロピラニル基を導入することが出来る有用な化合物である。【0002】【従来の技術】従来、3-ブテン-1-オールからテトラヒドロピラニル-4-スルホネートを製造する方法としては、例えば、硫酸の存在下、3-ブテン-1-オールとホルマリンとを反応させて、収率76%でテトラヒドロピラニル-4-オールを合成し(Chem.Ber.,88,1053(1955))、次いで、塩基の存在下、テトラヒドロピラニル-4-オールとメタンスルホン酸クロライドとを反応させて、収率35%でテトラヒドロピラニル-4-メタンスルホネートを合成する(J.Chem.Soc.,1952,910)等のように、テトラヒドロピラニル-4-オールを経由して二工程で製造する方法が知られていた。【0003】【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、即ち、入手が容易な3-ブテン-1-オールから、煩雑な操作を必要とすることなく、簡便な方法にて一工程でテトラヒドロピラニル-4-スルホネートを高収率で製造することが出来る、工業的に有利なテトラヒドロピラニル-4-スルホネートの製法を提供するものである。【0004】【課題を解決するための手段】本発明の課題は、3-ブテン-1-オールに、ホルムアルデヒド誘導体及び有機スルホン酸を反応させることを特徴とする、テトラヒドロピラニル-4-スルホネートの製法によって解決される。【0005】【発明の実施の形態】本発明の反応において使用する原料の3-ブテン-1-オールは、1,4-ブタンジオールの脱水反応(例えば、Bull.Chem.Soc.Jpn.,54,1585(1981))やブタジエンのモノエポキシ化反応とそれに続く還元反応(例えば、WO9936379)によって容易に合成が可能な化合物である。【0006】本発明の反応において使用するホルムアルデヒド誘導体としては、ホルムアルデヒドの水溶液又はホルムアルデヒドの重合体が挙げられるが、例えば、ホルマリン、パラホルムアルデヒド、トリオキサンが好適に使用される。【0007】前記ホルムアルデヒド誘導体の使用量は、原料の3-ブテン-1-オールに対して、好ましくは1.0〜5.0倍モル、更に好ましくは1.1〜2.0倍モルである(ホルムアルデヒド換算)。これらのホルムアルデヒド誘導体は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。【0008】本発明の反応において使用する有機スルホン酸としては、例えば、メタンスルホン酸等のアルキルスルホン酸類;ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、p-ブロモベンゼンスルホン酸等のアリールスルホン酸類が挙げられる。【0009】前記有機スルホン酸の使用量は、原料の3-ブテン-1-オールに対して、好ましくは1.0〜5.0倍モル、更に好ましくは1.1〜3.0倍モルである。【0010】本発明の反応は、溶媒の存在下又は非存在下において行われる。使用される溶媒としては、例えば、水;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素類;クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチル等の有機酸エステル類;テトラヒドロピラン、ジイソプロピルエーテル等のエーテル類が挙げられるが、好ましくは芳香族炭化水素類、更に好ましくは、ベンゼン、トルエン、特に好ましくはトルエンが使用される。【0011】前記溶媒の使用量は、3-ブテン-1-オール1gに対して好ましくは0〜50ml、更に好ましくは0〜10mlである。これらの溶媒は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。【0012】本発明の反応は、原料の3-ブテン-1-オール、ホルムアルデヒド誘導体及び有機スルホン酸を液相で接触させるのが好ましく、例えば、不活性ガスの雰囲気にて、3-ブテン-1-オールとホルムアルデヒド誘導体の混合液に、有機スルホン酸を滴下して、加熱攪拌する等の方法によって、常圧下又は加圧下で行われる。その際の反応温度は、好ましくは10〜80℃、更に好ましくは20〜60℃である。【0013】なお、最終生成物であるテトラヒドロピラニル-4-スルホネートは、例えば、反応終了後に溶媒を留去した後、蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィー等による一般的な方法によって精製される。【0014】【実施例】次に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。【0015】実施例1攪拌装置、温度計及び滴下漏斗を備えた10mlガラス製フラスコに、3-ブテン-1-オール1.00g(13.9mmol)及び37重量%ホルマリン水溶液(和光純薬社製)1.35g(16.6mmol)を加え、窒素雰囲気下、攪拌しながらメタンスルホン酸2.66g(27.7mmol)をゆるやかに滴下し、25℃で3時間反応させた。反応終了後、得られた反応液を高速液体クロマトグラフィーにより分析したところ、テトラヒドロピラニル-4-メタンスルホネートが1.65g(収率66%)生成していた。【0016】実施例2実施例1と同様な反応装置に、3-ブテン-1-オール1.00g(13.9mmol)、92重量%パラホルムアルデヒド(三井東圧化学社製)0.50g(15.3mmol)及びトルエン5mlを加え、窒素雰囲気下、攪拌しながらメタンスルホン酸3.99g(41.5mmol)をゆるやかに滴下し、25℃で3時間反応させた。反応終了後、得られた反応液を高速液体クロマトグラフィーにより分析したところ、テトラヒドロピラニル-4-メタンスルホネートが2.15g(収率86%)生成していた。【0017】実施例3実施例1と同様な反応装置に、3-ブテン-1-オール1.00g(13.9mmol)、トリオキサン0.50g(5.6mmol;ホルムアルデヒド換算で16.8mmol)及びトルエン5mlを加え、窒素雰囲気下、攪拌しながらメタンスルホン酸2.66g(27.7mmol)をゆるやかに滴下し、25℃で3時間反応させた。反応終了後、得られた反応液を高速液体クロマトグラフィーにより分析したところ、テトラヒドロピラニル-4-メタンスルホネートが2.13g(収率85%)生成していた。【0018】実施例4攪拌装置及び温度計を備えた50mlガラス製フラスコに、3-ブテン-1-オール1.00g(13.9mmol)、92重量%パラホルムアルデヒド(三井東圧化学社製)0.50g(15.3mmol)、p-トルエンスルホン酸一水和物5.23g(27.5mmol)及びトルエン5mlを加え、窒素雰囲気下、攪拌しながら55℃で2時間反応させた。反応終了後、得られた反応液を高速液体クロマトグラフィーにより分析したところ、テトラヒドロピラニル-4-p-トルエンスルホネートが2.32g(収率65%)生成していた。【0019】実施例5攪拌装置、温度計及び滴下漏斗を備えた300mlガラス製フラスコに、3-ブテン-1-オール40.0g(0.55mol)、92重量%パラホルムアルデヒド(三井東圧化学社製)21.6g(0.66mol)及びトルエン200mlを加え、窒素雰囲気下、攪拌しながらメタンスルホン酸85.3g(0.89mol)をゆるやかに滴下し、55℃で2時間反応させた。反応終了後、得られた反応液に飽和食塩水100mlを加え、酢酸エチル200mlで三回抽出した。次いで、有機層を分離し、飽和炭酸カリウム水溶液50mlで二回洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過後、減圧下で濃縮し、薄黄色固体として純度86%(高速液体クロマトグラフィーによる面積百分率)のテトラヒドロピラニル-4-メタンスルホネート84.3gを得た(収率73%)。テトラヒドロピラニル-4-メタンスルホネートの物性値は、CI-MS(m/e);181(M+1)、1H-NMR(CDCl3);1.88ppm(2H,m)、2.04ppm(2H,m)、3.04ppm(3H,s)、3.55ppm(2H,m)、3.95ppm(2H,m)、4.90ppm(1H,m)であった。【0020】実施例6攪拌装置、温度計及び滴下漏斗を備えた200mlガラス製フラスコに、3-ブテン-1-オール20.0g(0.28mol)、92重量%パラホルムアルデヒド(三井東圧化学社製)10.8g(0.33mol)及びトルエン100mlを加え、窒素雰囲気下、攪拌しながらp-トルエンスルホン酸84.4g(0.44mol)をゆるやかに滴下し、55℃で3時間反応させた。反応終了後、得られた反応液に飽和食塩水50mlを加え、酢酸エチル100mlで三回抽出した。次いで、有機層を分離し、飽和炭酸カリウム水溶液50mlで二回洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過後、減圧下で濃縮し、無色固体として純度93%(高速液体クロマトグラフィーによる面積百分率)のテトラヒドロピラニル-4-p-トルエンスルホネート49.4gを得た(収率64%)。テトラヒドロピラニル-4-p-トルエンスルホネートの物性値は、CI-MS(m/e);257(M+1)、1H-NMR(CDCl3);1.7〜1.9ppm(4H,m)、2.45ppm(3H,s)、3.47ppm(2H,m)、3.87ppm(2H,m)、4.69ppm(1H,m)、7.34ppm(2H,d,J=8.2Hz)、7.80ppm(2H,d,J=8.2Hz)であった。【0021】【発明の効果】本発明により、入手が容易な3-ブテン-1-オールから、煩雑な操作を必要とすることなく、簡便な方法にて一工程でテトラヒドロピラニル-4-スルホネートを高収率で製造することが出来る、工業的に有利なテトラヒドロピラニル-4-スルホネートの製法を提供することが出来る。 3-ブテン-1-オールに、ホルムアルデヒド誘導体及び有機スルホン酸を反応させることを特徴とする、テトラヒドロピラニル-4-スルホネートの製法。