生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_ヒドロキシアルカンスルホン酸脂肪酸エステル類
出願番号:1999343507
年次:2010
IPC分類:C11D 1/12,C07C 309/12


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武捨 清 JP 4439055 特許公報(B2) 20100115 1999343507 19991202 ヒドロキシアルカンスルホン酸脂肪酸エステル類 株式会社ADEKA 000000387 曾我 道治 100110423 池谷 豊 100071629 古川 秀利 100084010 鈴木 憲七 100094695 望月 孜郎 100077975 武捨 清 20100324 C11D 1/12 20060101AFI20100304BHJP C07C 309/12 20060101ALI20100304BHJP JPC11D1/12C07C309/12 C11D 1/00 C07C 309/00 CA/REGISTRY(STN) 西独国特許第00767071(DE,B) 特開平05−279699(JP,A) 特開平05−125014(JP,A) 特開平04−011602(JP,A) 特開平04−011601(JP,A) 特表平09−505572(JP,A) 特開平07−061962(JP,A) 特開平04−154754(JP,A) 2 2001158770 20010612 8 20061027 前田 憲彦 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、加水分解安定性に優れたヒドロキシアルカンスルホン酸脂肪酸エステル類に関する。【0002】【従来の技術】イセチオン酸(2−ヒドロキシエタンスルホン酸)等のヒドロキシアルカンスルホン酸脂肪酸エステルのナトリウム塩は、耐硬水性が石鹸に比べて格段に優れており、皮膚に対してはマイルドであり、その泡の性質は豊満感がある。又、合成石鹸又は複合石鹸の素材として、成型時に比較的熱可塑性がある等の特徴があり、合成石鹸、複合石鹸、シャンプー、ボディシャンプー等の成分、繊維精練剤や染色助剤等として古くから使用されている。又、イセチオン酸ヤシ油由来脂肪酸エステルのアンモニウム塩は、ナトリウム塩と比べて格段に水溶性が良く、経口毒性も低くほぼ無害であり、生分解性にも優れているので今後期待される界面活性剤の一つである。【0003】【発明が解決しようとする課題】このように、数々の優れた特性を有するイセチオン酸脂肪酸エステル塩であるが、分子内にエステル基を有することから、加水分解しやすいという問題点がある。特に、イセチオン酸脂肪酸エステル塩を洗浄剤等として使用する場合は、通常、水溶液の状態で使用することが殆どであり、このような水溶液はアルカリ性条件下で使用することも多い。従って、アルカリ性条件等の下においても加水分解に対する安定性に優れたヒドロキシアルカンスルホン酸脂肪酸エステル塩が求められていた。即ち、本発明の目的は、加水分解安定性に優れたヒドロキシアルカンスルホン酸脂肪酸エステル類を提供することにある。【0004】【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、下記の一般式(1)XO−R1−SO3M (1){式中、Xは、下記の一般式(2)【0005】【化2】【0006】(式中、R2及びR3はアルキル基またはアルケニル基を表わし、一般式(2)で表わされる基の炭素数が6〜24である。)で表わされる基を表わし、R1はエチレン基を表わし、Mはまたはアンモニアもしくはトリエタノールアミン由来のアンモニウムを表わす。}で表わされるヒドロキシアルカンスルホン酸脂肪酸エステル類からなる水系又は油系界面活性剤である。【0007】【発明の実施の形態】本発明は、ヒドロキシアルカンスルホン酸と前記一般式(2)で表わされる特定の分枝構造を有する脂肪酸とのエステルであり、このようなエステルは、加水分解に対する安定性に優れ、界面活性剤として極めて有用性が高い。【0008】一般式(1)において、R1はアルキレン基を表わし、好ましくは炭素数2〜4のアルキレン基である。R1としてはエチレン基が最も好ましい。R1がエチレン基である場合、一般式(1)で表わされる化合物は、イセチオン酸脂肪酸エステル類(アシル化イセチオン酸類)である。【0009】又、一般式(1)において、Xは一般式(2)で表わされる2位に分枝鎖を有するアシル基である。一般式(2)において、R2及びR3は鎖状炭化水素基を表わす。鎖状炭化水素基としては、直鎖状炭化水素基又は分枝鎖状炭化水素基のいずれでもよく、例えば、アルキル基、アルケニル基等が挙げられる。【0010】アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、2級ブチル、ターシャリブチル、ペンチル、イソペンチル、2級ペンチル、ネオペンチル、ターシャリペンチル、ヘキシル、2級ヘキシル、ヘプチル、2級ヘプチル、オクチル、2―エチルヘキシル、2級オクチル、ノニル、2級ノニル、デシル、2級デシル、ウンデシル、2級ウンデシル、ドデシル、2級ドデシル、トリデシル、イソトリデシル、2級トリデシル、テトラデシル、2級テトラデシル、ヘキサデシル、2級ヘキサデシル、ステアリル、イコシル、ドコシル、テトラコシル、トリアコンチル、2―ブチルオクチル、2―ブチルデシル、2―ヘキシルオクチル、2―ヘキシルデシル、2―オクチルデシル、2―ヘキシルドデシル、2―オクチルドデシル、2―デシルテトラデシル、2―ドデシルヘキサデシル、2―ヘキサデシルオクタデシル、2―テトラデシルオクタデシル、モノメチル分枝―イソステアリル等が挙げられる。【0011】アルケニル基としては、例えば、ビニル、アリル、プロペニル、ブテニル、イソブテニル、ペンテニル、イソペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、テトラデセニル、オレイル等が挙げられる。【0012】一般式(2)で表わされるアシル基としては、具体的には、2−エチルヘキサノイル、イソオクタノイル、イソノナノイル、イソデカノイル、イソトリデカノイル、イソパルミトイル、イソステアロイル、イソベヘノイル等が挙げられる。一般式(2)で表わされる基の炭素数は6〜24が好ましく、8〜20がより好ましい。一般式(2)で表わされるアシル基を有する本発明のヒドロキシアルカンスルホン酸脂肪酸エステル類は、従来のラウロイル化イセチオン酸塩やオレイロイル化イセチオン酸塩等と比べて、加水分解安定性が格段に向上している。【0013】又、一般式(1)において、Mは水素原子、金属原子又はアンモニウムを表わす。金属原子としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属原子、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属原子(但し、アルカリ土類金属原子は通常2価であるから、1/2)等が挙げられ、アンモニウムとしては、例えば、アンモニアのアンモニウム;メチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、(イソ)プロピルアミン、ジ(イソ)プロピルアミン等のアルキルアミンのアンモニウム;モノエタノールアミン、N−メチルモノエタノールアミン、N−エチルモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、アミノエチルエタノールアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン等のアルカノールアミンのアンモニウム等が挙げられる。【0014】これらの中でも、Mがアンモニウムであると、一般式(1)で表わされるヒドロキシアルカンスルホン酸脂肪酸エステル塩が粘度の低い液状となるため、配合性、起泡性、水溶性に優れたものとなり、界面活性剤等として使用する場合は特に好ましい。特に、アルカノールアミンのアンモニウムであると、他のアンモニウムに比べて一般式(1)で表わされるヒドロキシアルカンスルホン酸脂肪酸エステル塩を水溶液又は水−水溶性有機溶媒溶液とした場合の粘度が低く、水溶性が非常に良好となる。【0015】一般式(1)で表わされるヒドロキシアルカンスルホン酸脂肪酸エステル類の製造方法は特に限定されない。通常は、イセチオン酸等のヒドロキシアルカンスルホン酸又はその塩と、一般式(2)で表わされる基に水酸基が結合した脂肪酸又はその低級アルキルエステルとを、必要に応じて触媒の存在下に、常法によりエステル化反応又はエステル交換反応させた後、必要に応じて塩基で中和乃至pH調整をすることにより得ることができる。ヒドロキシアルカンスルホン酸又はその塩は、水溶液として反応に使用することができる。溶媒である水は、エステル化反応をする際に減圧するので同時に留去することができる。【0016】原料であるヒドロキシアルカンスルホン酸又はその塩としては、メルカプトエタノールを過酸化水素で酸化して得られるイセチオン酸が最も好ましい。これは、イセチオン酸がフリーの酸として得られるため、エステル化後に所望の塩基で中和することができるので、塩の対イオンを所望のものに選択できるという利点がある。【0017】ヒドロキシアルカンスルホン酸又はその塩と、前記脂肪酸又はその低級アルキルエステルとの反応温度は特に限定されないが、50〜130℃程度であることが好ましい。あまり低温であると、反応速度が遅くなって効率的でなくなり、あまり高温であると副反応が起こって生成物が着色したり臭いが発生する可能性があるためである。ヒドロキシアルカンスルホン酸又はその塩に対する前記脂肪酸又はその低級アルキルエステルとの仕込みモル比は、0.95〜1.10が好ましい。脂肪酸又はその低級アルキルエステルの仕込み量が多すぎると、反応終了後も水不溶性の脂肪酸又はその低級アルキルエステルが残存し、ヒドロキシアルカンスルホン酸脂肪酸エステル類水溶液の透明化温度が上昇する原因となってしまう。又、仕込み量が少なすぎると、エステル化反応が不完全となる。【0018】尚、ヒドロキシアルカンスルホン酸又はその塩と、前記脂肪酸又はその低級アルキルエステルとを反応させる際、ヒドロキシアルカンスルホン酸又はその塩は、水溶液として反応に使用する場合が多い。そのため、脂肪酸又はその低級アルキルエステルと単に混合するのみでは、相互溶解せず不均一反応となってしまう。これを防いで均一系で反応を行うために、予め生成物であるヒドロキシアルカンスルホン酸脂肪酸エステル類を適当量添加してから反応を行うと、反応系が均一系となって反応時間の短縮を図ることができる。この場合、ヒドロキシアルカンスルホン酸脂肪酸エステル類の添加量は、ヒドロキシアルカンスルホン酸又はその塩と、脂肪酸又はその低級アルキルエステルとの合計量に対して5〜20重量%が好ましい。【0019】このようにしてヒドロキシアルカンスルホン酸脂肪酸エステルを得た後、必要に応じて塩基で中和してヒドロキシアルカンスルホン酸脂肪酸エステル塩とすることができる。塩基は、極性溶媒に溶解してヒドロキシアルカンスルホン酸脂肪酸エステルと混合することが好ましい。この際、ヒドロキシアルカンスルホン酸脂肪酸エステルの加水分解を防ぐために、局所的に高pHとならないように十分に攪拌することが必要である。塩基としては、前記一般式(1)のMから得られるものと同一のものが挙げられ、極性溶媒としては、例えば、水、低級アルコール、グリコール類、グリセリン又はこれらの混合物等が挙げられる。このようにして得られたヒドロキシアルカンスルホン酸脂肪酸エステル塩溶液のpHは、エステル基の加水分解を防止するために好ましくは6.0〜8.0、より好ましくは6.5〜7.0に調整することが良い。【0020】尚、得られたヒドロキシアルカンスルホン酸脂肪酸エステル塩溶液に着色や臭気の問題がある場合は、過酸化水素処理が有効である。例えば、30重量%過酸化水素水溶液をヒドロキシアルカンスルホン酸脂肪酸エステル塩溶液に0.01〜1.0重量%添加し、50〜100℃で処理することにより、着色と臭気の問題が改善されることがある。【0021】本発明のヒドロキシアルカンスルホン酸脂肪酸エステル塩は、優れた起泡力と良好な泡質を有し且つ加水分解に対する安定性に優れているため、アニオン性界面活性剤として各種の用途に使用することができる。例えば、水等の極性溶媒に溶解、乳化、分散させて、合成石鹸、複合石鹸、シャンプー、ボディシャンプー、ヘアーリンス、ヘアーコンディショナー、ヘアートリートメント、洗顔料、台所用洗剤、食器用洗浄剤、衣服用洗剤、住居用洗剤、金属表面洗浄剤、樹脂成形品用洗浄剤等として使用することができる。その他、乳化剤、分散剤、離型剤、繊維処理剤、消泡剤、繊維精練剤、染色助剤、防錆剤、潤滑剤、防曇剤、艶だし剤、ウレタンフォーム等の整泡剤、塗料用添加剤、帯電防止剤、滑剤、樹脂の内部潤滑剤、樹脂改質剤として使用することができる。又、油溶性界面活性剤として、鉱油等に溶解させてエンジンオイル等の潤滑油用防錆剤、清浄分散剤等として使用することができる。何れの用途に使用する場合でも、本発明のヒドロキシアルカンスルホン酸脂肪酸エステル塩は、加水分解安定性に優れるので都合が良い。【0022】【実施例】以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。尚、以下の実施例中、%は特に記載が無い限り重量基準である。【0023】尚、以下の製造例中、脂肪酸の反応率の分析は、カルボニル炭素に隣接したメチン基又はメチレン基のシグナルが、脂肪酸とエステルとでは異なることから両者のシグナル強度比から求めた。イセチオン酸の反応率は、2つのメチレン基のシグナルがイセチオン酸とエステルとでは異なることから、両者のシグナル強度比から求めた。例えば、脂肪酸が2,2,4,8,10,10−ヘキサメチルウンデカン−5−カルボン酸の場合は、メチン基のシグナルは、脂肪酸の場合はδ1.96ppm付近に、エステルではδ2.04ppm付近に出現する。又、イセチオン酸水溶液中に存在する副生物である2,2’−ジチオジエタノール及びそのスルホキシドは、13C−NMRを用いて標準添加法により定量し、硫酸はイオンクロマトグラフ法より求めた。【0024】(製造例1)メルカプトエタノールを過酸化水素で酸化することにより、70.1%イセチオン酸水溶液を得た。尚、この水溶液中に含まれる副生物である2,2’−ジチオジエタノール及びそのスルホキシドは、水溶液に対して合計で0.5%であった。又、同じく硫酸は0.1%以下であった。このイセチオン酸水溶液135g(0.75モル)と、2,2,4,8,10,10−ヘキサメチルウンデカン−5−カルボン酸213g(0.75モル)を4つ口フラスコに取り、窒素気流下100℃まで昇温した。100℃で30分間保持してから、発泡状況を考慮しつつ徐々に減圧した。減圧開始から2時間かけて15mmHg(2kPa)以下に達した。以後、反応温度を徐々に120℃まで上昇させ、5〜15mmHg(0.67〜2kPa)の減圧にて4時間保持し、溶媒としての水及びエステル化によって生成した水を減圧除去し、ヒドロキシアルカンスルホン酸脂肪酸エステルを得た。脂肪酸を基準とするエステル化率は95%、イセチオン酸を基準とするエステル化率は94%であった。次いで、得られたヒドロキシアルカンスルホン酸脂肪酸エステルに、固形分濃度が30%となるように塩基と水−エタノール(3:1)溶液を加えてpH調整し、ヒドロキシアルカンスルホン酸脂肪酸エステル塩の水−エタノール溶液を得た。尚、塩基としては、下記の表1の実施例1に示すようにアンモニア又はトリエタノールアミンを用い、同表に示す初期pHの値に調整した。【0025】(製造例2)製造例1で使用したイセチオン酸水溶液126g(0.7モル)、2−n−ヘプチルウンデカン酸199g(0.7モル)、及び予め合成したイセチオン酸−2−n−ヘプチルウンデカン酸エステル35g(イセチオン酸水溶液及び脂肪酸の合計量に対して11%)を4つ口フラスコに取り、窒素気流下100℃まで昇温した。100℃から、発泡状況を考慮しつつ徐々に減圧した。減圧開始から30分間かけて15mmHg(2kPa)以下に達した。以後、反応温度を徐々に120℃まで上昇させ、5〜15mmHg(0.67〜2kPa)の減圧にて3時間保持し、溶媒としての水及びエステル化によって生成した水を減圧除去し、ヒドロキシアルカンスルホン酸脂肪酸エステルを得た。脂肪酸を基準とするエステル化率は91%、イセチオン酸を基準とするエステル化率は92%であった。次いで、得られたヒドロキシアルカンスルホン酸脂肪酸エステルに、固形分濃度が31%となるように塩基と水−エタノール(3:1)溶液を加えてpH調整し、ヒドロキシアルカンスルホン酸脂肪酸エステル塩の水−エタノール溶液を得た。尚、塩基としては、下記の表1の実施例2に示すようにトリエタノールアミンを用い、同表に示す初期pHの値に調整した。【0026】(製造例3)製造例1で使用したイセチオン酸水溶液126g(0.7モル)、及び2−n−ヘキシルデカン酸179g(0.7モル)を4つ口フラスコに取り、窒素気流下100℃まで昇温した。100℃で30分間保持してから、発泡状況を考慮しつつ徐々に減圧した。減圧開始から1時間かけて15mmHg(2kPa)以下に達した。以後、反応温度を徐々に120℃まで上昇させ、5〜15mmHg(0.67〜2kPa)の減圧にて4時間保持し、溶媒としての水及びエステル化によって生成した水を減圧除去し、ヒドロキシアルカンスルホン酸脂肪酸エステルを得た。脂肪酸を基準とするエステル化率は96%、イセチオン酸を基準とするエステル化率は94%であった。次いで、得られたヒドロキシアルカンスルホン酸脂肪酸エステルに、固形分濃度が30%となるように塩基と水−エタノール(4:1)溶液を加えてpH調整し、ヒドロキシアルカンスルホン酸脂肪酸エステル塩の水−エタノール溶液を得た。尚、塩基としては、下記の表1の実施例3に示すようにトリエタノールアミンを用い、同表に示す初期pHの値に調整した。【0027】(比較例1)製造例1で使用したイセチオン酸水溶液126g(0.7モル)、及びラウリン酸140g(0.7モル)を4つ口フラスコに取り、窒素気流下100℃まで昇温した。100℃で30分間保持してから、発泡状況を考慮しつつ徐々に減圧した。減圧開始から1時間かけて15mmHg(2kPa)以下に達した。このまま、5〜15mmHg(0.67〜2kPa)の減圧にて2時間保持し、溶媒としての水及びエステル化によって生成した水を減圧除去し、ヒドロキシアルカンスルホン酸脂肪酸エステルを得た。脂肪酸を基準とするエステル化率は97%、イセチオン酸を基準とするエステル化率は96%であった。次いで、得られたヒドロキシアルカンスルホン酸脂肪酸エステルに、固形分濃度が30%となるように塩基と水を加えてpH調整し、ヒドロキシアルカンスルホン酸脂肪酸エステル塩の水溶液を得た。尚、塩基としては、下記の表1の比較例1に示すようにアンモニア又はトリエタノールアミンを用い、同表に示す初期pHの値に調整した。【0028】(比較例2)製造例1で使用したイセチオン酸水溶液129g(0.72モル)、オレイン酸225g(0.79モル)及び予め合成したイセチオン酸オレイン酸エステル35g(イセチオン酸水溶液及び脂肪酸の合計量に対して10%)を4つ口フラスコに取った。混合物は攪拌と共に均一になった。混合物を窒素気流下70℃まで昇温した。70℃に達したら直ちに発泡状況を考慮しつつ徐々に減圧した。減圧開始から1時間かけて15mmHg(2kPa)以下に達した。このまま、5〜15mmHg(0.67〜2kPa)の減圧にて4時間保持し、溶媒としての水及びエステル化によって生成した水を減圧除去し、ヒドロキシアルカンスルホン酸脂肪酸エステルを得た。脂肪酸を基準とするエステル化率は94%、イセチオン酸を基準とするエステル化率は91%であった。次いで、得られたヒドロキシアルカンスルホン酸脂肪酸エステルに、固形分濃度が30%となるように塩基と水−エタノール(4:1)溶液を加えてpH調整し、ヒドロキシアルカンスルホン酸脂肪酸エステル塩の水−エタノール溶液を得た。尚、塩基としては、下記の表1の比較例2に示すようにトリエタノールアミンを用い、同表に示す初期pHの値に調整した。【0029】以上で製造したそれぞれのヒドロキシアルカンスルホン酸脂肪酸エステル塩溶液について、60℃の恒温槽に28日間放置し、初期及28日間の放置後のエステル化率を測定してエステル化率の変化を求めた。又、40℃、0.25%水溶液の条件でロスマイルス法によって起泡力(発泡直後及び5分後の泡立ちの高さ、mm)を測定した。これらの結果を表1に示す。【0030】【表1】【0031】本発明のヒドロキシアルカンスルホン酸脂肪酸エステル塩は、直鎖脂肪酸とのエステル化によって得られる従来公知のヒドロキシアルカンスルホン酸脂肪酸エステル塩と同等以上の気泡性を有すると同時に、これらに比べて優れた加水分解に対する安定性を示す。【0032】【発明の効果】本発明の効果は、加水分解安定性に優れた特定の構造の分枝脂肪酸部分を有するヒドロキシアルカンスルホン酸脂肪酸エステル類を提供したことにある。 下記の一般式(1) XO−R1−SO3M (1){式中、Xは、下記の一般式(2)(式中、R2及びR3はアルキル基またはアルケニル基を表わし、一般式(2)で表わされる基の炭素数が6〜24である。)で表わされる基を表わし、R1はエチレン基を表わし、Mはアンモニアもしくはトリエタノールアミン由来のアンモニウムを表わす。}で表わされるヒドロキシアルカンスルホン酸脂肪酸エステル類からなる水系又は油系界面活性剤。 Mが、エタノールアミンのアンモニウムである請求項1に記載のヒドロキシアルカンスルホン酸脂肪酸エステル類からなる水系又は油系界面活性剤。


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