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タイトル:特許公報(B2)_ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩の製造方法
出願番号:1999339723
年次:2009
IPC分類:C07C 303/24,C07C 305/10,C11D 1/29


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宮本 茂之 楠見 智勝 山田 博之 畑山 善生 愛宕 泰治 JP 4271319 特許公報(B2) 20090306 1999339723 19991130 ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩の製造方法 花王株式会社 000000918 古谷 聡 100087642 古谷 馨 100063897 溝部 孝彦 100076680 持田 信二 100091845 宮本 茂之 楠見 智勝 山田 博之 畑山 善生 愛宕 泰治 20090603 C07C 303/24 20060101AFI20090514BHJP C07C 305/10 20060101ALI20090514BHJP C11D 1/29 20060101ALN20090514BHJP JPC07C303/24C07C305/10C11D1/29 C07C 303/00 C07C 305/00 C11D 1/00 CAplus(STN) 特開昭64−019055(JP,A) 特開平08−206482(JP,A) 特開平07−247258(JP,A) 特開平01−135761(JP,A) 1 2001151746 20010605 8 20051117 前田 憲彦 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は 1,4−ジオキサン含量の少ないPOEアルキルエーテル硫酸塩の製造方法に関する。【0002】【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】POEアルキルエーテル硫酸塩は、液体洗浄剤、シャンプー、医薬・化粧品用界面活性剤として広く一般に使用されている。【0003】その中で炭素数8〜20の直鎖又は分枝鎖のアルキル基を有し、エチレンオキシドの付加モル数が1〜20を基体とするPOEアルキルエーテル硫酸塩〔一般式;RO-(C2H4O)n-SO3M〕が特に大量に使用されている。【0004】その製法としては、天然アルコール又は合成アルコールのエチレンオキシド付加物、即ちPOEアルキルエーテルをクロルスルホン酸或いは不活性ガスで希釈したガス状三酸化硫黄で硫酸化する方法が主に用いられており、得られた硫酸化物を苛性ソーダ、苛性カリ、アンモニア、アルカノールアミン等で中和して一般に25〜40%の溶液として製造され、市販されている。【0005】ところが上述の方法によるPOEアルキルエーテル硫酸塩の製造においては、常に硫酸化時に副生物として1,4−ジオキサンが生成する事が知られていた。また、その生成量は硫酸化方法、硫酸化条件により異なるが、工業的規模で製造したPOEアルキルエーテル硫酸塩中には、クロルスルホン酸法の場合POEアルキルエーテル硫酸塩当たり100〜500ppm、ガス状三酸化硫黄法の場合300〜3000ppm含有されていた。【0006】1,4−ジオキサンについては、20数年前より毒物学的な研究がなされている。それによれば、動物実験において極端に高い投与量で初めて健康上の障害が観察された。従ってPOEアルキルエーテル硫酸塩の加工及び使用に際しては直接の危険性は全く起こり得ないであろうが、界面活性剤の製造者或いは使用者において、でき得る限り1,4−ジオキサン含量の少ないPOEアルキルエーテル硫酸塩の製造法の開発に関心が持たれていた。【0007】低ジオキサン含量のPOEアルキルエーテル硫酸塩の製造法としては、硫酸化物を中和して得られる中和物(硫酸塩)溶液を共沸蒸留することによって1,4−ジオキサンを低減させる方法が提案されている(特開昭57-116062)が、水を多量にトッピングしなければならず、時間的、エネルギー的に不利であり、本来、硫酸化条件で、より低減し得る条件を見出すのが本筋である。即ち、ガス状三酸化硫黄による薄膜硫酸化反応においては、1,4−ジオキサンの副生は避けることは出来ないが、いかに少なく副生を抑え、本来のPOEアルキルエーテルの硫酸化反応を達成するかに尽きる。【0008】【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは、POEアルキルエーテルを不活性ガスで希釈したガス状三酸化硫黄で硫酸化する際の硫酸化条件と1,4−ジオキサンの副生について原点に立ち返り、各反応工程について解析、検討を行った。【0009】不活性ガスで希釈したガス状の三酸化硫黄による薄膜式硫酸化法でのPOEアルキルエーテル硫酸塩の一般的な製造フローは図1の通りであり、SO3ガスとPOEアルキルエーテルが薄膜で接触する薄膜式反応器1、次いで不活性ガスと硫酸化物を分離する気液分離器2、分離された硫酸化物が常に一定位置に保持するための硫酸化物チャンバー3、次いで連続中和設備4より構成されている。尚、図中5は熱交換器、6はPOEアルキルエーテル硫酸塩貯槽である。薄膜式硫酸化反応器の形式、全体的な設備フローは必ずしも図1と同様である必要はない。【0010】POEアルキルエーテルの三酸化硫黄による硫酸化反応において、副生する1,4−ジオキサンを抑制する技術に関する文献は今まで知られていない。そこで原点に立ち返り、硫酸化条件と1,4−ジオキサンの副生に関して詳細に検討を行ったところ、最高反応温度、気液分離後の硫酸化物の温度及び滞留時間、反応モル比とジオキサン生成量との関係について、それぞれ図2,3, 4の結果が得られ、1,4−ジオキサンの副生に関する下記の知見が得られた。▲1▼ 薄膜硫酸化時の反応温度が70℃を超えると極端に1,4−ジオキサンの副生が増加するという事(図2)▲2▼ 気液分離後の硫酸化物の温度とその滞留時間により1,4−ジオキサンの副生が増加するという事(図3)▲3▼ 更に 1,4−ジオキサンの副生の一番大きな因子として反応モル比〔SO3/RO-(C2H4O)n-H〕が影響する事即ち、反応モル比が1.0を超えると、反応温度、滞留時間に関係なく1,4−ジオキサンが生成する(図4)。【0011】ところで従来の薄膜硫酸化条件は、POEアルキルエーテルの硫酸化反応率を96%以上に確保する為に反応モル比〔SO3/RO-(C2H4O)n-H〕が1.0〜1.05、好ましくは1.01〜1.03でコントロールされており、また薄膜硫酸化時の最高反応温度80℃位、気液分離後の硫酸化物温度40〜60℃、且つ硫酸化物が中和されるまでの滞留時間4〜30分内で行われていた。この様な硫酸化条件下で要求される反応率、色相の品質が確保されていた。【0012】しかしながら、ジオキサンの副生という観点から検討してみると、この従来の条件下ではPOEアルキルエーテル硫酸塩当たり1,4−ジオキサンが300〜3000ppm副生しており、より少なくしたいという要求には全く応えられていない。【0013】そこで前述した知見をもとに、更に鋭意研究を行った結果、反応から中和前までの工程を特定の条件、即ち反応モル比〔SO3/RO-(C2H4O)n-H〕0.95〜1.0、好ましくは0.96〜0.99、薄膜硫酸化時の最高温度70℃以下、好ましくは45〜60℃、気液分離後の硫酸化物の温度40℃以下、好ましくは25〜35℃、且つ硫酸化物が中和されるまでの滞留時間を3分以内、好ましくは1分以内で行い、次いで硫酸化物を中和する事により、POEアルキルエーテル硫酸塩当たり1,4−ジオキサンの副生が100ppm以下、更には50ppm以下という驚くべき成果が達成出来ることを見出し、本発明を完成した。【0014】即ち本発明は、一般式 RO-(C2H4O)n-H(式中、Rは炭素数8〜20の直鎖又は分枝鎖のアルキル基、nは1〜20の数) で示されるPOEアルキルエーテルをガス状三酸化硫黄にて薄膜硫酸化し気液分離の後、中和するPOEアルキルエーテル硫酸塩の製造方法において、三酸化硫黄とPOEアルキルエーテルとの反応を反応モル比〔SO3/RO-(C2H4O)n-H〕0.95〜1.0で行うと共に、薄膜硫酸化時の最高反応温度を70℃以下、気液分離後の硫酸化物温度を40℃以下、且つ硫酸化物が中和されるまでの滞留時間を3分以内とすることを特徴とするPOEアルキルエーテル硫酸塩の製造方法を提供するものである。【0015】本発明で用いる三酸化硫黄を希釈する不活性ガスは、価格的に窒素及び空気が用いられるが、工業的には主に空気が用いられている。SO3ガス濃度としては、通常1.5〜4.0容量%が使用される。【0016】一方、POEアルキルエーテルは下記一般式で示される化合物が挙げられる。【0017】RO-(C2H4O)n-H式中、Rは炭素数8〜20の直鎖又は分枝鎖のアルキル基であり、nは1〜20である。【0018】これらの化合物は高級アルコールをアルカリ又は酸触媒の存在下にエチレンオキシドを付加することにより製造される。アルキル基は単一であっても混合であってもよい。【0019】POEアルキルエーテルとガス状の三酸化硫黄との反応において、ジオキサンの副生に一番大きく影響を与える反応モル比〔SO3/RO-(C2H4O)n-H〕とPOEアルキルエーテルの硫酸化反応率の関係は、一般的に図5に示す様な関係にある。反応モル比1.0までは反応モル比と反応率は直線関係にあり、反応モル比1.01〜1.03の所で最高反応率が達成される。反応モル比1.05以上となると副反応が起こり油分が副生し、見掛け上、反応率の低下が起こるばかりか、POEアルキル硫酸塩の色相及びニオイの劣化が起きる。従って経済性の点から最高反応率が達成出来る反応モル比として、従来は1.0〜1.05、更には1.01〜1.03にコントロールされてきたが、ジオキサンの副生に関しては決して好ましい反応モル比ではなかった。ジオキサンの副生を抑える為には今回の検討結果より、ごく僅かの反応率の低下をきたすが、反応モル比0.95〜1.0、好ましくは0.96〜0.99でコントロールした方が良いというわけである。この程度の反応率の低下は、活性剤としての性能に影響するものではないが、反応モル比が0.95モル未満となるとPOEアルキル硫酸塩中の未反応POEアルキルエーテル含量の増加から活性剤としての性能面への影響(配合品の物性変化等)が起こる為、0.95モル未満での管理は好ましくない。【0020】ジオキサン副生の因子である薄膜式硫酸化反応での最高反応温度の調整並びに気液分離後の硫酸化物温度の調整は、薄膜式反応器に供給されるPOEアルキルエーテルの温度、供給量、SO3ガスのガス濃度、ガス温度、反応熱を除去する為の冷却水の温度、流量を各々変え、最適化する事によって達成される。【0021】気液分離後の滞留時間については、従来は1,4−ジオキサンの副生が考慮された設計となっておらず、硫酸化物が中和されるまでの滞留時間が4〜30分となっていた。【0022】ジオキサンの生成は前述の如く硫酸化物を放置する事によって生成する。従ってより早く中和し、1,4−ジオキサンが生成しない硫酸塩の型に変える必要がある事から、気液分離後の硫酸化物は出来るだけ滞留しない工業的設備とした方が好ましい。1,4−ジオキサンの副生量がPOEアルキル硫酸塩当たり100ppm以下を達成する為には3分以内、好ましくは1分以内が良い。【0023】【実施例】以下本発明の実施例を示すが、本発明がこれらの実施例に限定されるものではない。【0024】実施例1及び比較例1C12,C14を主体とする(平均炭素数12.8) 天然アルコールのPOEアルキルエーテル(平均分子量=330、平均EO付加モル数3)を薄膜式硫酸化反応器(内径14mmφ、長さ4m) を使用してSO3濃度2容量%(空気にて希釈)、反応モル比〔SO3/RO-(C2H4O)n-H〕0.95〜1.05、薄膜硫酸化時の最高反応温度50〜80℃で反応を行い、気液分離後の硫酸化物温度30〜50℃、硫酸化物の滞留時間1〜10分に各々変えて得た硫酸化物を水酸化ナトリウム水溶液中に滴下し、水溶液のpHが7〜9となる様中和した。この中和物の有効成分、未反応のPOEアルキルエーテルを既知法で分析した。この分析値よりPOEアルキルエーテルの硫酸化反応率を計算した。1,4−ジオキサンは GC-Mass法で測定しPOEアルキルエーテル硫酸塩に換算した。結果は表1にまとめた。【0025】【表1】【0026】実施例2及び比較例2C12を主体とするC12,C13を含む合成オキソアルコールのPOEアルキルエーテル(平均分子量=369、平均EO付加モル数4)を用いた他は、実施例1及び比較例1と同様に行った。結果は表2にまとめた。【0027】【表2】【図面の簡単な説明】【図1】 薄膜硫酸化設備概略図である。【図2】 最高反応温度とジオキサン生成量との関係を示すグラフである。【図3】 硫酸化物の滞留時間とジオキサン生成量との関係を示すグラフである。【図4】 反応モル比とジオキサン生成量との関係を示すグラフである。【図5】 反応モル比と硫酸化反応率の関係を示すグラフである。 一般式 RO-(C2H4O)n-H(式中、Rは炭素数8〜20の直鎖又は分枝鎖のアルキル基、nは1〜20の数)で示されるポリオキシエチレン(以下POEと略す)アルキルエーテルをガス状三酸化硫黄にて薄膜硫酸化し気液分離の後、中和するPOEアルキルエーテル硫酸塩の製造方法において、三酸化硫黄とPOEアルキルエーテルとの反応を反応モル比〔SO3/RO-(C2H4O)n-H〕0.95〜0.99で行うと共に、薄膜硫酸化時の最高反応温度を45〜70℃、気液分離後の硫酸化物温度を25〜40℃、且つ硫酸化物が中和されるまでの滞留時間を3分以内とすることを特徴とするPOEアルキルエーテル硫酸塩の製造方法。


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