タイトル: | 特許公報(B2)_ポリカーボネートジオールアクリレート化合物の製造方法 |
出願番号: | 1999329315 |
年次: | 2008 |
IPC分類: | C08G 63/85,C08G 63/64,C07C 68/06,C07C 69/96,C07B 61/00,B01J 31/02 |
杉瀬 良二 柏木 公一 金子 孝芳 JP 4029535 特許公報(B2) 20071026 1999329315 19991119 ポリカーボネートジオールアクリレート化合物の製造方法 宇部興産株式会社 000000206 杉瀬 良二 柏木 公一 金子 孝芳 20080109 C08G 63/85 20060101AFI20071213BHJP C08G 63/64 20060101ALI20071213BHJP C07C 68/06 20060101ALI20071213BHJP C07C 69/96 20060101ALI20071213BHJP C07B 61/00 20060101ALN20071213BHJP B01J 31/02 20060101ALN20071213BHJP JPC08G63/85C08G63/64C07C68/06 ZC07C69/96 ZC07B61/00 300B01J31/02 101X C08G 63/00-64/42 C07C 1/00-409/44 B01J 31/02 C07B 61/00 CA(STN) CASREACT(STN) REGISTRY(STN) 特開平04−208251(JP,A) 特開平03−294334(JP,A) 特開昭63−297369(JP,A) 特開平03−239711(JP,A) 特開2000−319381(JP,A) 4 2001151730 20010605 9 20050812 中野 孝一 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、ポリカーボネートジオールとアクリル酸エステル化合物から、ポリカーボネートジオールアクリレート化合物(ポリカーボネートジオールの末端水酸基がアクリル酸エステル化合物でアクリレート化された化合物)を製造する方法に関する。ポリカーボネートジオールアクリレート化合物は、インキ、塗料、コーティング材料、接着剤、光硬化性樹脂、架橋剤、電解質材料、その他の樹脂などの原料として有用な化合物である。【0002】【従来の技術】ポリカーボネートジオールアクリレート化合物を製造する方法としては、ポリカーボネートジオールとアクリル酸をp−トルエンスルホン酸等のプロトン酸触媒の存在下で反応させる方法(特開昭63−297369号公報、特開平4−208251号公報)が知られている。【0003】しかし、この方法では、得られるポリカーボネートジオールアクリレート化合物が茶色に着色するという製品の品質に係る大きな問題があった。更に、反応後にプロトン酸触媒を除去しようとする場合、塩基で中和して食塩水で洗浄する操作が行われるが、食塩水洗浄時の相分離が容易ではなく操作性が非常に悪くなるという問題や、製品中に食塩が持ち込まれて製品の品質低下を引き起こすという問題もあった。また、製品中にプロトン酸触媒を残存させる場合には、製品の劣化を起こしやすいという問題があった。【0004】ポリカーボネートジオールアクリレート化合物を製造する方法として、ポリカーボネートジオールとアクリル酸ハライド又はアクリル酸無水物を反応させる方法(特開平11−140176号公報)も知られている。しかし、この方法では、アクリル酸ハライドやアクリル酸無水物の製造自体が容易ではなく、更に反応後の後処理で多量の塩基を使用しなければならないという問題があった。【0005】【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記のような問題を解決して工業的に好適なポリカーボネートジオールアクリレート化合物(ポリカーボネートジオールの末端水酸基がアクリル酸エステル化合物でアクリレート化された化合物)の製造方法を提供することを課題とする。即ち、本発明は、入手しやすい原料を使用して、着色のない高品質のポリカーボネートジオールアクリレート化合物を容易に製造できる、ポリカーボネートジオールアクリレート化合物の製造方法を提供することを課題とする。【0006】【課題を解決するための手段】本発明の課題は、式(1)で表されるポリカーボネートジオールと式(2)で表されるアクリル酸エステル化合物を、触媒存在下、生成するアルコールを抜き出しながら反応させることを特徴とするポリカーボネートジオールアクリレート化合物の製造方法によって解決される。【0007】【化3】(式中、R1は炭素数2〜25のアルキレン基を表し、nは1〜50の整数を表す。)【0008】【化4】(式中、R2は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R3は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数7〜10のアラルキル基、又は炭素数6〜10のアリール基を表す。)【0009】【発明の実施の形態】本発明で使用されるポリカーボネートジオールは前記式(1)で表される。但し、式(1)において、R1は炭素数2〜25(好ましくは2〜15)のアルキレン基を表し、nは1〜50の整数を表す。このポリカーボネートジオールとしては、公知の方法であればどのような方法で製造されたものでも差し支えない。例えば、式(1)のR1に相当する炭素数4〜25(好ましくは4〜15)のアルキレン基を有する脂肪族2価アルコール(HO−R1−OH)と炭酸エステル(炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジブチル、炭酸ジフェニル等)とのエステル交換反応、炭素数2〜25(好ましくは2〜15)のアルキレン基を有する環状炭酸エステルの開環重合、或いは前記脂肪族2価アルコールとクロロギ酸エステル又はホスゲンとの反応などにより製造されたものを使用することができる。これらの中では、前記の炭素数4〜25(好ましくは4〜15)のアルキレン基を有する脂肪族2価アルコールと炭酸エステルとのエステル交換反応によって製造されたポリカーボネートジオールが好ましい。【0010】前記脂肪族2価アルコールを構成するアルキレン基(R1)は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数7〜10のアラルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子等)などを置換基として1個以上有していてもよい。これら置換基は連結して環を形成していてもよい。また、アルキレン基(R1)はその炭素原子が環を形成していてもよく、内部(両末端を除く)の炭素原子が1個以上の酸素原子又は硫黄原子で置換されていてもよい。【0011】前記脂肪族2価アルコールとしては、例えば、次のような化合物を挙げることができる。即ち、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2,4−ヘプタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール等のアルキレン基がトリメチレン基であるものや、【0012】1,4−ブタンジオール等のアルキレン基がテトラメチレン基であるものや、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオール等のアルキレン基がペンタメチレン基であるものや、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール等のアルキレン基がヘキサメチレン基であるものや、【0013】1,7−ヘプタンジオール等のアルキレン基がヘプタメチレン基であるものや1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオールのアルキレン基がオクタメチレン基であるものや、【0014】1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,20−エイコサンジオールや、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、シクロヘキサン−1,4−ジエタノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、2,7−ノルボルナンジオール等のアルキレン基が有する置換基が環を形成しているものや、【0015】ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のアルキレン基の内部の炭素原子が酸素原子で置換されているものや、【0016】2,5−テトラヒドロフランジメタノール、1,4−ビス(ヒドロキシエトキシ)シクロヘキサン等のアルキレン基の内部の炭素原子が酸素原子で置換されていると共にアルキレン基が有する置換基が環を形成しているもの、などが挙げられる。【0017】本発明で使用されるポリカーボネートジオールにおいて、アルキレン基(R1)は同一であっても異なっていてもよい。即ち、ポリカーボネートジオールを、脂肪族2価アルコールと炭酸エステルとのエステル交換反応や、脂肪族2価アルコールとクロロギ酸エステル又はホスゲンとの反応で得る場合、脂肪族2価アルコールは同一であっても2種以上の異なっているものであってもよい。また、ポリカーボネートジオールを環状炭酸エステルの開環重合で得る場合、環状炭酸エステルは同一であっても2種以上の異なっているものであってもよい。【0018】また、本発明で使用されるポリカーボネートジオールを前記のような方法で得る場合、脂肪族2価アルコールに、p−キシリレンジオール、p−テトラクロロキシリレンジオール、1,4−ビス(ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、2,2−ビス[(4−ヒドロキシエトキシ)フェニル]プロパン等の芳香族ジオール化合物や、1,1,1−トリメチロールエタン、1,1,1−トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール等の多価アルコールを、全ジオール化合物(脂肪族2価アルコール+芳香族ジオール化合物+多価アルコール)中の25重量%以下、好ましくは20重量%以下、更に好ましくは15重量%以下含有させて使用してもよい。【0019】本発明で使用されるアクリル酸エステル化合物としては、前記式(2)において、R2が水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基(メチル基、エチル基等)で、R3が、炭素数1〜10のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、炭素数7〜10のアラルキル基(ベンジル基、フェネチル基等)、又は炭素数6〜10のアリール基(フェニル基、トリル基等)であるものが挙げられる。R3(アルキル基、アラルキル基、又はアリール基)は各種異性体を含む。【0020】前記アクリル酸エステル化合物としては、例えば、次のような化合物を挙げることができる。即ち、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ペンチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸シクロペンチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステルや、【0021】メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ペンチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロペンチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェニル等のメタクリル酸エステルなどが挙げられる。【0022】この中では、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸ブチルが好ましく、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチルが更に好ましい。【0023】アクリル酸エステル化合物の使用量は、ポリカーボネートジオール1モルに対して0.5〜60モル、更には1.5〜30モルであることが好ましい。なお、ポリカーボネートジオールのモル数は、NMR(末端水酸基価)より求めた平均分子量より計算される(例えば、高分子大辞典,1094頁,丸善)。【0024】本発明で使用される触媒はエステル交換触媒であれば特に制限されない。エステル交換触媒としては、例えば、チタン、スズ、アルミニウム、亜鉛、銅、ニッケル、鉄等の金属の化合物や、塩酸、硫酸、リン酸、p−トルエンスルホン酸、カチオン性イオン交換樹脂等のプロトン酸や、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の無機塩基、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド等の有機塩基などを挙げることができる。【0025】前記金属の化合物としては、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラブトキシチタン、テトラフェノキシチタン等の炭素数4〜40のアルコキシ基又はアリールオキシ基を有する有機チタン化合物や、ジブチルスズオキシド、ジフェニルスズオキシド、ジブチルスズアセテート、ジブチルスズラウレート、2−エチルヘキサン酸スズ等の炭素数2〜40のアルキル基、アリール基、又はアシルオキシ基を有する有機スズ化合物や、トリイソプロポキシアルミニウム等の炭素数3〜30のアルコキシ基を有する有機アルミニウム化合物や、塩化亜鉛、酢酸亜鉛等の亜鉛の無機酸塩又は有機酸塩や、塩化第二銅、酢酸銅等の銅の無機酸塩又は有機酸塩や、塩化ニッケル、酢酸ニッケル等のニッケルの無機酸塩又は有機酸塩や、塩化第二鉄等の鉄の無機酸塩などが挙げられる。【0026】これら触媒の中では、前記の有機チタン化合物、有機スズ化合物、有機アルミニウム化合物が好ましいが、前記有機チタン化合物が更に好ましい。触媒の使用量は触媒種や反応条件等により異なるが、ポリカーボネートジオール1モルに対して、触媒が0.00001〜0.3モル、更には0.0001〜0.2モル、特に0.001〜0.1モルの割合であることが好ましい。なお、触媒は単独でも複数でも使用できる。【0027】ポリカーボネートジオールとアクリル酸エステル化合物との反応は、例えば、蒸留装置を備えた反応器を使用して、生成するアルコールを蒸留により反応系外に抜き出しながら行われる。このとき、反応温度は反応が進行し原料や生成物が分解しない範囲であればよく、通常は40〜250℃、好ましくは50〜200℃、更に好ましくは60〜180℃である。反応圧力は反応が進行する条件であれば特に制限されず、常圧、加圧、減圧、いずれの条件でもよい。反応雰囲気は大気下であってもよいが、ヘリウム、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下又は気流下であることが好ましい。なお、反応時間は反応条件等により異なるが、通常は0.1〜100時間の範囲である。【0028】なお、前記反応で反応系外に抜き出されるアルコールはアクリル酸エステル化合物に由来し、式(3)で表されるものである。【0029】【化5】(式中、R3は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数7〜10のアラルキル基、又は炭素数6〜10のアリール基を表す。)【0030】前記反応は重合防止剤を共存させて行うことが好ましい。重合防止剤は通常に使用されるものであれば特に限定されず、例えば、フェノール、クレゾール、ヒドロキノン、t−ブチルヒドロキノン、p−メトキシフェノール(メトキノン)、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、フェノチアジンなどが使用できる。重合防止剤の使用量は、ポリカーボネートジオール1モルに対して0.000001〜0.05モル、更には0.000002〜0.03モルであることが好ましい。【0031】また、前記反応は必要に応じて溶媒を使用して行うことが好ましい。溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、シクロデカン、シクロドデカン、石油エーテル等の脂肪族炭化水素や、ジクロロエタン、クロロホルム等の脂肪族ハロゲン化炭化水素や、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン等の芳香族炭化水素や、クロロベンゼン、クロロトルエン等の芳香族ハロゲン化炭化水素などが使用される。これら溶媒では、芳香族炭化水素、芳香族ハロゲン化炭化水素が好ましく、中でもトルエン、キシレンが更に好ましい。溶媒の使用量は、ポリカーボネートジオール1gに対して50g以下、更には0.01〜40g、特に0.05〜30gであることが好ましい。【0032】反応終了後、本発明では、触媒を失活させることが好ましい。この触媒失活は、塩基、水、リン酸エステル(リン酸ジブチル等)、リン酸等の少なくとも一種の失活剤を反応液に添加することにより行われる。触媒として、前記の有機チタン化合物、有機スズ化合物、又は有機アルミニウム化合物を使用した場合、水、リン酸エステル、リン酸のうち少なくとも一種の失活剤で失活させることが好ましいが、中でも水で失活させることが特に好ましい。失活剤のうち、塩基は、前記プロトン酸を失活させる場合に使用することが好ましい。【0033】前記失活剤の添加量は、触媒1モルに対して1〜5000モル、更には2〜2000モルであることが好ましい。また、触媒を失活させる際の温度は20〜130℃、更には30〜120℃、特に50〜110℃でありことが好ましい。その際の時間は他の条件により異なるが、通常0.01〜20時間程度である。【0034】触媒失活の後、不溶物は濾過又は遠心分離等により除去することが好ましい。その後、生成したポリカーボネートジオールアクリレート化合物(ポリカーボネートジオールの末端水酸基がアクリル酸エステル化合物でアクリレート化された化合物)は、反応液中の低沸点成分(アクリル酸エステル化合物や溶媒等)を常圧又は減圧蒸留により除去して得ることができる。なお、低沸点成分の除去は触媒失活の前であってもよい。【0035】低沸点成分を蒸留で除去する際の温度はアクリル酸エステル化合物や溶媒等により異なるが、通常、バス温が20〜120℃であればよい。必要であれば、微量の残存低沸点成分や、ポリカーボネートジオールアクリレート化合物の低分子量成分を除去するため、減圧下、120〜250℃、好ましくは120〜200℃の高温で蒸留を行ってよい。回収された溶媒やアクリル酸エステル化合物は、必要に応じて精製して再使用することができる。【0036】【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、ポリカーボネートジオール及びポリカーボネートジオールアクリレート化合物の平均分子量はNMRより求めた。【0037】実施例1蒸留装置を取り付けた内容積500mlのガラス製フラスコに、ポリカーボネートジオール(UH−CARB200N;平均分子量1986;宇部興産製)99.3g(0.05モル)、アクリル酸メチル21.52g(0.25モル)、ヒドロキノン0.034g(0.30ミリモル)、テトラブトキシチタン0.17g(0.50ミリモル)、及びトルエン250gを入れ、常圧下、窒素気流中、バス温130〜140℃で9時間加熱攪拌した。この間、メタノールを含む液を蒸留で留出させた。【0038】反応後、反応液に水3.0gを添加してバス温90℃で2時間攪拌した。次いで、不溶物を吸引濾過で除去し、トルエンを減圧下/120℃で留去し、低沸点成分(アクリル酸メチル、残存トルエン等)を50〜20mmHg/バス温120〜190℃で留去して、無色透明のポリカーボネートジオールアクリレート化合物105.1gを得た。このものは、NMRより、末端アクリレート化率(原料ポリカーボネートジオールの末端水酸基がアクリレート化された割合)が93.0%で、平均分子量が2144であった。【0039】実施例2実施例1と同様の反応器に、ポリカーボネートジオール(UH−CARB100;平均分子量1001;宇部興産製)100.1g(0.10モル)、アクリル酸メチル43.05g(0.50モル)、ヒドロキノン0.034g(0.30ミリモル)、テトラブトキシチタン0.17g(0.50ミリモル)、及びトルエン200gを入れ、常圧下、窒素気流中、バス温120〜140℃で6.5時間加熱攪拌した。この間、メタノールを含む液を蒸留で留出させた。【0040】反応後、実施例1と同様に操作して、無色透明のポリカーボネートジオールアクリレート化合物117.0gを得た。このものは、NMRより、末端アクリレート化率(原料ポリカーボネートジオールの末端水酸基がアクリレート化された割合)が96.9%で、平均分子量が1194であった。【0041】実施例3トルエンに代えてキシレン250gを使用し、バス温130〜160℃で6.5時間加熱攪拌したほかは、実施例1と同様に反応を行った。反応後、実施例1と同様に操作して、無色透明のポリカーボネートジオールアクリレート化合物87.5gを得た。このものは、NMRより、末端アクリレート化率(原料ポリカーボネートジオールの末端水酸基がアクリレート化された割合)が94.4%で、平均分子量が1785であった。【0042】比較例1ディーンスターク型の水分離器を取り付けた内容積500mlのガラス製フラスコに、ポリカーボネートジオール(UH−CARB200N;平均分子量1994;宇部興産製)99.7g(0.05モル)、アクリル酸14.4g(0.20モル)、メトキノン0.034g(0.30ミリモル)、p−トルエンスルホン酸一水和物1.90g(10.0ミリモル)、及びトルエン250gを入れ、400〜350mmHgの減圧下、窒素気流中、バス温110℃で6時間加熱攪拌した。この間、反応で生成する水を分離した。【0043】反応後、そのまま圧力を200〜20mmHgまで下げて残存しているアクリル酸やトルエンを除去し、ポリカーボネートジオールアクリレート化合物87.5gを得た。このものは茶色に着色していた。なお、NMRより、末端アクリレート化率(原料ポリカーボネートジオールの末端水酸基がアクリレート化された割合)が95.0%で、平均分子量が2140であった。【0044】【発明の効果】本発明により、工業的に好適なポリカーボネートジオールアクリレート化合物(ポリカーボネートジオールの末端水酸基がアクリル酸エステル化合物でアクリレート化された化合物)の製造方法を提供することができる。即ち、本発明により、入手しやすい原料を使用して、着色のない高品質のポリカーボネートジオールアクリレート化合物を容易に製造することができる。 式(1)で表されるポリカーボネートジオールと式(2)で表されるアクリル酸エステル化合物を、触媒存在下、生成するアルコールを抜き出しながら反応させることを特徴とするポリカーボネートジオールアクリレート化合物の製造方法。(式中、R1は炭素数2〜25のアルキレン基を表し、nは1〜50の整数を表す。)(式中、R2は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R3は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数7〜10のアラルキル基、又は炭素数6〜10のアリール基を表す。) 触媒が、アルコキシ基若しくはアリールオキシ基を有する有機チタン化合物、アルキル基、アリール基、若しくはアシルオキシ基を有する有機スズ化合物、又はアルコキシ基を有する有機アルミニウム化合物である、請求項1記載のポリカーボネートジオールアクリレート化合物の製造方法。 重合防止剤を共存させて反応を行う、請求項1記載のポリカーボネートジオールアクリレート化合物の製造方法。 反応終了後に触媒を失活剤で失活させる、請求項1記載のポリカーボネートジオールアクリレート化合物の製造方法。