タイトル: | 特許公報(B2)_ナフタレンジカルボン酸ジメチルの回収方法 |
出願番号: | 1999321197 |
年次: | 2007 |
IPC分類: | C07C 67/03,C07C 67/56,C07C 69/76 |
森 泰三 中島 実 長谷川 英雄 JP 3888813 特許公報(B2) 20061208 1999321197 19991111 ナフタレンジカルボン酸ジメチルの回収方法 帝人ファイバー株式会社 302011711 三原 秀子 100099678 森 泰三 中島 実 長谷川 英雄 20070307 C07C 67/03 20060101AFI20070215BHJP C07C 67/56 20060101ALI20070215BHJP C07C 69/76 20060101ALI20070215BHJP JPC07C67/03C07C67/56C07C69/76 A C07C 67/03 C07C 67/56 C07C 69/76 特開平11−302443(JP,A) 特開平07−196578(JP,A) 特開昭48−061446(JP,A) 特開昭48−062732(JP,A) 特公昭43−002088(JP,B1) 特開昭50−082028(JP,A) 特開昭48−061447(JP,A) 特開平11−124432(JP,A) 特開昭50−112329(JP,A) 特開平07−002738(JP,A) 7 2001139517 20010522 10 20030217 吉良 優子 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は重合体からモノマーを回収する方法に関し、さらに詳しくは、アルキレンナフタレンジカルボキシレート単位を含む重合体を含有するポリエステル屑から、ナフタレンジカルボン酸ジメチルを高純度かつ高収率で回収し、且つ回収時に発生する廃棄物量も少ない、ナフタレンジカルボン酸ジメチルの回収方法に関する。【0002】【従来の技術】ポリエチレンナフタレート(以下、PENと略称することもある。)系ポリエステルはポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略称することもある。)系ポリエステルに比べて耐熱性、機械的特性が優れており、繊維、フィルム、プラスチック用途の高機能性材料として注目されているが、その原料となる2,6−ナフタレンジカルボン酸および/またはその誘導体が高価であること、PEN系ポリエステルはその重合工程、あるいは糸状、フィルム状に成形する過程において不良品、屑等が発生しやすいこと等から、これらの不良品や屑、さらには使用後の製品(以下、これらを総称して、単に廃棄ポリエステルと略称することもある。)を回収し、再利用することが経済的に好ましく、さらには地球環境対策上の観点から必要である。【0003】しかしながら、これら回収した廃棄ポリエステルの中には染料、難燃材、一般ゴミおよび他のプラスチックが混入しており、そのまま溶融成形し再利用することは困難なことが多く、これら回収したポリエステル屑から該ポリエステルの原料である2,6−ナフタレンジカルボン酸および/またはその誘導体をモノマーの形で分別回収することが好ましい。【0004】PETやPENといったポリエステルから、その原料を回収する方法としては、ポリエステルをメタノールで直接解重合する方法やポリエステルをエチレングリコールで解重合した後、メタノールを用いてエステル交換する方法などが知られている。【0005】しかしながら、前者の方法でPEN系ポリエステルからナフタレンジカルボン酸ジメチルを回収する場合(特表平3−504379号公報)は、メタノールで直接解重合するため、反応温度を高くせざるを得ず、設備費用が高価なものになる、収率が低いなどの問題点があった。【0006】また、後者の方法では、エステル交換の反応温度を大気圧におけるメタノールの沸点付近にすると適当な反応速度で高収率かつ設備コストも安く原料を回収できることが知られている。この方法を用いてPET系ポリエステルからは温和な条件で操作性の良いテレフタル酸ジメチルを回収できる方法(特公昭43−2088号公報等)が提案されている。しかしながら、該公報に記載されている条件でPEN系ポリエステルからナフタレンジカルボン酸ジメチルを回収した場合、回収されるナフタレンジカルボン酸ジメチルは微細な結晶を形成し、分離及び洗浄等の単位操作を実施することが困難となる。【0007】また、温和な条件で反応を進行させるためには、多量の触媒が必要であるが、該添加触媒量に比例してリサイクル困難な副生成物が生成するという問題点もある。さらに、特開平10−218984号公報にて提案されているようにエステル交換反応時の反応温度を高温にするとナフタレンジカルボン酸ジメチル結晶は大きくなる反面、不純物量が増加、且つ析出してくる結晶の量が減少して、最終的にナフタレンジカルボン酸ジメチル収率が低くなるばかりではなく、該公報にて提案されているように190℃〜290℃の温度、該反応温度におけるアルコールの蒸気圧下にて反応を実施する場合に、アルコールとしてメタノールを用いると反応圧力が3〜17MPa程度の高圧になるため保守や安全面で問題がある。特にメタノールの臨界温度である240℃を越える場合には安全面に特別留意した設備が必要になり設備費用も高くなるという問題が生じる。【0008】【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記従来技術が有していた問題点を解消し、アルキレンナフタレンジカルボキシレート単位を含む重合体を含有するポリエステル屑から、ナフタレンジカルボン酸ジメチルを高純度かつ高収率で回収し、且つ回収時に発生する廃棄物量も少ない、ナフタレンジカルボン酸ジメチルの回収方法を提供することにある。【0009】【課題を解決するための手段】本発明者は、このような上記従来技術が有していた問題を解決するためにポリエチレンナフタレートからナフタレンジカルボン酸ジメチルを高収率で回収し、分別精製する方法について鋭意検討を重ね、本発明を完成するに至った。【0010】 即ち、本発明の目的は、 アルキレンナフタレンジカルボキシレート単位を含む重合体からナフタレンジカルボン酸ジメチルを回収するに際し、下記(a)〜(b)の各工程を逐次的に通過させることを特徴とする、ナフタレンジカルボン酸ジメチルの回収方法により達成することができる。(a)アルキレンナフタレンジカルボキシレート単位を含む重合体と、アルキレングリコールとを用いて、アルキレングリコール1重量部あたりのアルキレンナフタレンジカルボキシレート単位重量が0.5〜10重量部となるような解重合反応生成物を調製する工程。(b)工程(a)で調製した解重合反応生成物と、メタノールをアルキレンナフタレンジカルボキシレート単位を含む重合体1重量部あたり2〜25重量部用い、80〜150℃の温度、該温度におけるメタノールの蒸気圧からなる反応圧力下にて、アルコール分解および/またはエステル交換反応させた後、固液分離操作を実施することによりナフタレンジカルボン酸ジメチルを得る工程。【0011】【発明の実施の形態】本発明においては、アルキレンナフタレンジカルボキシレート単位を含む重合体をアルキレングリコールを用いて、アルキレングリコール1重量部あたりのアルキレンナフタレンジカルボキシレート単位重量が0.5〜10重量部となるような解重合反応生成物を調製することが必要である。【0012】該ジカルボキシレートが0.5重量部未満であると、エステル交換反応時に、反応平衡状態がナフタレンジカルボン酸ジメチルが減少する方向へ移動する、多量の触媒が必要になる、といった問題が有り好ましくない。一方、10重量部を越えると解重合が不十分となり、アルコール分解および/またはエステル交換反応させる工程の反応温度や圧力を高くしなければならない。【0013】ここで、使用するアルキレングリコール量は解重合させることができる限り、任意の条件をいずれも採用してもよいが、アルキレンナフタレンジカルボキシレート単位を含む重合体1重量部に対して0.1〜2重量部であることが好ましい。即ち、この範囲にあると、アルキレングリコールの留去量が少量もしくは留去しなくても、目標とする解重合反応生成物を得ることができる。【0014】本発明における解重合反応操作は、アルキレングリコールとアルキレンナフタレンジカルボキシレートとの存在比が上記の範囲となるように解重合させることができる限り、任意の条件をいずれも採用してもよいが、196〜280℃の反応温度で、該反応温度におけるアルキレングリコールの蒸気圧下にて実施すれば、適度な反応速度、比較的温和な反応条件で解重合が実施できるので好ましい。【0015】本発明において、解重合反応操作、アルコール分解および/またはエステル交換反応においては触媒を用いてもよく、該触媒としてはアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の単体、水酸化物、酸化物、炭酸塩および酢酸塩;亜鉛、錫、チタン、アンチモン、マンガン、コバルトあるいは鉛の酸化物および酢酸塩等を挙げることができ、これらの化合物は単独または2種類以上を併用してもよい。【0016】解重合触媒の反応系内への添加量は、アルキレンナフタレンジカルボキシレート単位を含む重合体1重量部あたり0.05重量部以下であることが好ましく、さらに無触媒であることが好ましい。【0017】なお、解重合反応条件として、240〜280℃の温度、無触媒下と設定したときには、得られるナフタレンジカルボン酸ジメチルの純度を高めることができるので特に好ましい。【0018】本発明の回収方法ではこの解重合の段階でアルキレンナフタレンジカルボキシレート単位を含む重合体を完全に単量体まで解重合する必要はなく、多量体を含んでいても、最終的に純度の高いナフタレンジカルボン酸ジメチルを得ることが可能である。【0019】次に、上述の解重合操作によって得られたアルキレングリコール分解物にメタノールを接触させてアルコール分解および/またはエステル交換反応を行うが、この反応は80〜150℃の温度、該温度におけるメタノールの蒸気圧下にて実施する必要がある。【0020】即ち、80℃未満ではナフタレンジカルボン酸ジメチルのメタノールに対する溶解度が低いため、再結晶による分離、洗浄などの単位操作が容易に実施できる形状のナフタレンジカルボン酸ジメチルを得ることが困難になる。一方、150℃を越えると、反応条件が高圧になり設備費も高くなるとともに、ナフタレンジカルボン酸ジメチルの収率も低下傾向となる、といった問題が生じる。【0021】 さらに、この反応で用いるメタノールの量はアルキレンナフタレンジカルボキシレート単位を含む重合体1重量部あたり2〜25重量部とすることが必要である。この範囲にあると、エステル交換反応の平衡がナフタレンジカルボン酸ジメチル発生側に大きく移動し、かつメタノールに溶解するナフタレンジカルボン酸ジメチル量も少ないので、さらに純度の高いナフタレンジカルボン酸ジメチルの結晶を高収率で得ることができる。【0022】メタノールを用いるアルコール分解および/またはエステル交換反応に使用する触媒の量は、アルキレンナフタレンジカルボキシレート単位を含む重合体1重量部あたり0.01重量部〜0.05重量部と設定することが好ましい。【0023】また、前記の解重合反応開始から完結までの任意の段階で、アルキレングリコールおよびこれに同伴して蒸発する成分(以下、軽沸と略称することもある。)を反応系外に留去する場合には、触媒の使用量をさらに削減でき、アルキレンナフタレンジカルボキシレート単位を含む重合体1重量部あたり0.001重量部〜0.01重量部と設定すると触媒の使用量に比例して副生成する塩の発生量を削減できるため、さらに好ましい。【0024】触媒使用量がこの範囲にあれば、適度な反応速度が得られ、かつ副反応の進行も少ない。特に、反応温度の高い解重合工程への触媒の添加量は少なくし、アルコール分解および/またはエステル交換反応工程における触媒量を多くする方が、副生成物の発生は格段に抑制される。【0025】本発明の回収方法はバッチ式だけではなく、例えばアルキレンナフタレンジカルボキシレート単位を含む重合体とアルキレングリコールとを解重合槽に連続的に供給しつつ、該アルキレングリコールにより解重合された溶液をエステル交換反応槽にメタノールとともに連続的に供給し、ナフタレンジカルボン酸ジメチルが溶解したメタノール溶液を連続的に系外に出して冷却した後、固液分離操作することによって、連続的にナフタレンジカルボン酸ジメチルの結晶を得ることも可能であるが、得られた結晶をさらに高純度にするために、例えば蒸留や再結晶等の精製操作を付加してもよい。【0026】本発明においては、アルキレンナフタレンジカルボキシレート単位として、エチレンナフタレンジカルボキシート、ブチレンナフタレンジカルボキシート等を挙げることができるが、通常はエチレンナフタレンジカルボキシレートである。【0027】本発明において用いるアルキレングリコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジチレングリコール等を挙げることができるが、なかでも、リサイクルした原料から、再度重合する際に副産物として生成し、かつ沸点が比較的低く留去しやすいエチレングリコールを用いることが好ましい。【0028】【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれにより何ら限定を受けるものではない。なお、実施例中に記載したナフタレンジカルボン酸ジメチル濃度は高速液体クロマトグラフ((株)日立製作所製:カラム「リクロスフェア100RP−18」使用)を用いて測定を行い、また、固液分離の容易さについては、下記の判定基準に従った。◎ ・・・ 大きな結晶が得られ、容易に固液分離ができるもの○ ・・・ 大きな結晶を得ることはできないが、固液分離に支障はないもの。× ・・・ 結晶が微細で、固液分離操作に困難を伴うもの。【0029】[実施例1]PEN200gに炭酸ナトリウム2.0gおよびエチレングリコール25gを加え、ヒーターの温度を230℃一定として反応温度196〜230℃(反応圧力:大気圧)、全還流の条件下、8.0時間反応させた。次にこの反応プロダクト(A)から45.0gを採取して、これに炭酸ナトリウム0.4gおよびメタノール240gを加え、攪拌機付きオートクレーブにて130℃、密閉系の条件下(反応圧力:0.7MPa)にて2.0時間反応させた。反応終了後から放冷し温度が室温になってから、この反応プロダクト(B)を取り出した。反応プロダクト(B)は分離するのが容易な大きな結晶を含有しており、これを濾過により固液分離し、ケークと濾液とをそれぞれ得た。このケークを乾燥させてメタノールを蒸発分離した結果、ナフタレンジカルボン酸ジメチルを主成分とする粗結晶36.1g(濃度=99.1重量%、収率=89.5mol%)が得られた。【0030】[実施例2]PEN180gにエチレングリコール180gを加え、攪拌機付きオートクレーブにて260℃、無触媒、密閉系の条件下(反応圧力:約0.6MPa)、1.0時間反応させた。反応終了後、軽沸ならびにEGを157.5g留去した。次に、オートクレーブ内の反応プロダクト(C)から45.0gを採取して、これに炭酸ナトリウム0.1gおよびメタノール240gを加え、攪拌機付きオートクレーブにて130℃、密閉系の条件下(反応圧力:0.7MPa)にて2.0時間反応させた。反応終了後から放冷し温度が室温になってから、この反応プロダクト(D)を取り出した。反応プロダクト(D)は分離するのが容易な大きな結晶を含有しており、これを濾過により固液分離し、ケークと濾液とをそれぞれ得た。このケークを乾燥させてメタノールを蒸発分離した結果、ナフタレンジカルボン酸ジメチルを主成分とする粗結晶37.8g(濃度=98.8重量%、収率=92.6mol%)が得られた。【0031】[実施例3]PEN180gにエチレングリコール180gを加え、攪拌機付きオートクレーブにて260℃、無触媒、密閉系の条件下(反応圧力:約0.6MPa)、1.0時間反応させた。反応終了後、軽沸ならびにEGを134.3g留去した。次に、オートクレーブ内の反応プロダクト(E)から24.6gを採取して、これに炭酸ナトリウム0.1gおよびメタノール240gを加え、攪拌機付きオートクレーブにて130℃、密閉系の条件下(反応圧力:0.7MPa)にて2.0時間反応させた。反応終了後から放冷し温度が室温になってから、この反応プロダクト(F)を取り出した。反応プロダクト(F)は分離するのが容易な大きな結晶を含有しており、これを濾過により固液分離し、ケークと濾液とをそれぞれ得た。このケークを乾燥させてメタノールを蒸発分離した結果、ナフタレンジカルボン酸ジメチルを主成分とする粗結晶18.8g(濃度=99.0重量%、収率=94.1mol%)が得られた。【0032】[比較例1]PEN180gに炭酸ナトリウム2gおよびエチレングリコール90gを加え、ヒーターの温度を230℃一定として反応温度196〜230℃(反応圧力:大気圧)、全還流の条件下、8.0時間反応させた。次にこの反応プロダクトから90gを採取して、炭酸ナトリウム1gおよびメタノール120gを加え、攪拌機付きオートクレーブにて200℃、密閉系の条件下(反応圧力:約4MPa)にて2.0時間反応させた。反応終了後から放冷し温度が室温になってから、この反応プロダクトを取り出した。反応プロダクトを濾過により固液分離し、ケークと濾液をそれぞれ得た。このケークを乾燥させてメタノールを蒸発分離した結果、ナフタレンジカルボン酸ジメチルを主成分とする粗結晶42g(濃度=85重量%、収率=59mol%)が得られた。【0033】[比較例2]PEN20gにエチレングリコール80gを加え、攪拌機付きオートクレーブにて260℃、無触媒、密閉系の条件下(反応圧力:約0.6MPa)、1.0時間反応させた。反応終了後、炭酸ナトリウム0.1gおよびメタノール180gを加え、攪拌機付きオートクレーブにて130℃、密閉系の条件下(反応圧力:0.7MPa)にて2.0時間反応させた。反応終了後から放冷し温度が室温になってから、この反応プロダクトを取り出し、濾過により固液分離してケークと濾液とをそれぞれ得た。得られたケークを乾燥させてメタノールを蒸発分離した結果、粗結晶6.9g(濃度=1.5重量%、収率=0.5mol%)が得られ、このケークはエステル交換反応が充分進行していないことが判明した。【0034】[比較例3]PEN180gにエチレングリコール180gを加え、攪拌機付きオートクレーブにて260℃、無触媒、密閉系の条件下(反応圧力:約0.6MPa)、1.0時間反応させた。反応終了後、軽沸ならびにEGを157.5g留去した。次に、オートクレーブ内の反応プロダクト(G)から45.0gを採取して、これに炭酸ナトリウム0.1gおよびメタノール240gを加え、攪拌機付きオートクレーブにて200℃、密閉系の条件下(反応圧力:4MPa)にて2.0時間反応させた。反応終了後から放冷し温度が室温になってから、この反応プロダクト(H)を取り出した。反応プロダクト(H)は分離するのが容易な大きな結晶を含有しており、これを濾過により固液分離し、ケークと濾液をそれぞれ得た。このケークを乾燥させてメタノールを蒸発分離した結果、ナフタレンジカルボン酸ジメチルを主成分とする粗結晶35.5g(濃度=98.2重量%、収率=86.4mol%)が得られた。【0035】[比較例4]PEN153.6gに炭酸ナトリウム1.1gおよびエチレングリコール245.8gを加え、攪拌機付きオートクレーブにて230℃、密閉系の条件下(反応圧力:0.16MPa)にて2.0時間反応させた。次にこの反応プロダクトに炭酸ナトリウム3.1gおよびメタノール707.3gを加え、65℃、大気圧の条件下にて2.0時間反応させた。反応終了後,このプロダクトを濾過により固液分離し、ケークと濾液をそれぞれ得た。このケークを乾燥させてメタノールを蒸発分離した結果、ナフタレンジカルボン酸ジメチルを主成分とする粗結晶138.4g(濃度=99.1重量%、収率=88.6mol%)が得られた。【0036】【表1】【0037】【発明の効果】本発明の回収方法によれば、アルキレンナフタレンジカルボキシレート単位を含む重合体を含有するポリエステル屑から分離、洗浄などの単位操作を実施しやすい形状のナフタレンジカルボン酸ジメチルを温和な条件で高収率、高純度で回収することが可能になる。 アルキレンナフタレンジカルボキシレート単位を含む重合体からナフタレンジカルボン酸ジメチルを回収するに際し、下記(a)〜(b)の各工程を逐次的に通過させることを特徴とする、ナフタレンジカルボン酸ジメチルの回収方法。(a)アルキレンナフタレンジカルボキシレート単位を含む重合体と、アルキレングリコールとを用いて、アルキレングリコール1重量部あたりのアルキレンナフタレンジカルボキシレート単位重量が0.5〜10重量部となるような解重合反応生成物を調製する工程。(b)工程(a)で調製した解重合反応生成物と、メタノールをアルキレンナフタレンジカルボキシレート単位を含む重合体1重量部あたり2〜25重量部用い、80〜150℃の温度、該温度におけるメタノールの蒸気圧からなる反応圧力下にて、アルコール分解および/またはエステル交換反応させた後、固液分離操作を実施することによりナフタレンジカルボン酸ジメチルを得る工程。 工程(a)において、解重合反応開始から完結までの任意の段階で、アルキレングリコールおよびこれに同伴して蒸発する成分を反応系外に留去して、アルキレングリコール1重量部あたりのアルキレンナフタレンジカルボキシレート単位重量が0.5〜10重量部となるように解重合反応生成物を調整する、請求項1記載の回収方法。 工程(b)において、得られたナフタレンジカルボン酸ジメチルに対して、さらに精製操作を行う、請求項1記載の回収方法。 工程(a)における解重合反応を無触媒で実施する、請求項1記載の回収方法。 工程(b)において、アルコール分解および/またはエステル交換反応触媒を、アルキレンナフタレンジカルボキシレートを含む重合体単位1重量部あたり0.001〜0.01重量部用いる、請求項1記載の回収方法。 アルキレンナフタレンジカルボキシレート単位がエチレンナフタレンジカルボキシレートである、請求項1記載の回収方法。 アルキレングリコールがエチレングリコールである、請求項1記載の回収方法。