生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_口腔用組成物
出願番号:1999318396
年次:2009
IPC分類:A61K 8/19,A61K 8/20,A61K 8/24,A61K 8/25,A61Q 11/00


特許情報キャッシュ

杉山 眞次 土井 信幸 江尻 茂之 石井 良和 JP 4257002 特許公報(B2) 20090206 1999318396 19991109 口腔用組成物 日本ゼトック株式会社 391066490 中村 稔 100059959 大塚 文昭 100067013 熊倉 禎男 100082005 宍戸 嘉一 100065189 竹内 英人 100096194 今城 俊夫 100074228 小川 信夫 100084009 村社 厚夫 100082821 西島 孝喜 100086771 箱田 篤 100084663 杉山 眞次 土井 信幸 江尻 茂之 石井 良和 20090422 A61K 8/19 20060101AFI20090402BHJP A61K 8/20 20060101ALI20090402BHJP A61K 8/24 20060101ALI20090402BHJP A61K 8/25 20060101ALI20090402BHJP A61Q 11/00 20060101ALI20090402BHJP JPA61K8/19A61K8/20A61K8/24A61K8/25A61Q11/00 A61K8/00-8/99,A61Q1/00-99/00 特開昭56−073015(JP,A) 特開昭62−249917(JP,A) 特開昭62−067013(JP,A) 特開昭54−046845(JP,A) 特開平01−299211(JP,A) 特開平05−163125(JP,A) 特開平09−241138(JP,A) 4 2001131039 20010515 21 20061109 澤田 浩平 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、保存安定性に優れ、且つ嗜好性、使用感に優れた口腔用組成物に関する。【0002】【従来の技術】従来より、練歯磨等の口腔用組成物にヒドロキシアパタイト等のアパタイト類を配合することにより、歯面の再石灰化や歯垢の吸着除去効果を付与することが知られている。一方ヒドロキシアパタイト等のアパタイト類を含有する練歯磨剤は、状態が硬くなり易く、経時的に外観が粗くなり、液分離を起こすなど、十分な保存安定性が得られないという問題がある。このような経時安定性を改善するために、例えばマグネシウム塩の配合が提案されるが、漱ぎ感や後味といった嗜好性、使用感については充分でない、という問題点がある。そこで、アパタイト類を配合した口腔用組成物において、保存安定性を損なうことなく、嗜好性、使用感を向上させることが望まれる。【0003】【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、アパタイト類を配合しながらも、保存安定性を損なうことなく、且つ優れた嗜好性、使用感を発揮する口腔用組成物を提供することにある。【0004】【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、アパタイト類を含有する口腔用組成物において、マグネシウム塩、並びにゼオライト類及び/又は含水アルミニウムケイ酸塩類を組み合わせて配合することで、高温で長期保存した場合でも硬くならず、外観上の滑らかさを維持し、液分離も起こさず、且つ嗜好性、使用感についても優れた口腔用組成物が得られることを見出した。従って、本発明は、ヒドロキシアパタイト、フルオロアパタイト、炭酸アパタイト、第三リン酸カルシウム、第四リン酸カルシウム及び第八リン酸カルシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する口腔用組成物であって、少なくとも1種のマグネシウム塩を0.05〜10質量%、並びにゼオライト類及び含水アルミニウムケイ酸塩類からなる群より選ばれる少なくとも1種を0.1〜20質量%含有することを特徴とする口腔用組成物に関する。【0005】【発明の実施の形態】以下、本発明につき詳述する。本明細書中でいう口腔用組成物とは、練歯磨剤、液状歯磨剤などの歯磨剤類、トローチ剤、クリーム剤、軟膏剤、添付剤、マウスウォッシュ、口中清涼剤、洗口剤、チューインガム又はうがい液などを含む。本発明に用いるアパタイトとは、ヒドロキシアパタイト、フルオロアパタイト、炭酸アパタイト、第三リン酸カルシウム、第四リン酸カルシウム及び第八リン酸カルシウムを意味する。本明細書中では、ヒドロキシアパタイト、フルオロアパタイト、炭酸アパタイト、第三リン酸カルシウム、第四リン酸カルシウム及び第八リン酸カルシウムを総称してアパタイト類と称する。それぞれ以下の化学式によって表される。ヒドロキシアパタイト:Ca10(PO4)6(OH)2フルオロアパタイト:Ca10(PO4)6F2炭酸アパタイト:CO3Ap第三リン酸カルシウム:Ca3(PO4)2第四リン酸カルシウム:Ca4O(PO4)2第八リン酸カルシウム:Ca8(PO4)6・5H2Oこれらの中では、ヒドロキシアパタイトと第三リン酸カルシウムが好ましく使用される。【0006】これらのアパタイト類は、歯や骨の主成分(無機成分)であり、生体親和性に優れた極めて安全性の高い素材である。このため、ヒドロキシアパタイトや第三リン酸カルシウムなどは生体材料として人工関節や人工歯根などにも用いられる。また、ヒドロキシアパタイトは、カルシウムイオン、リン酸イオン、水酸化物イオンの位置が様々な微量元素と置換することが知られており、水酸化物イオンがフッ素イオンに置換したものがフルオロアパタイトとなり、結晶内に炭酸イオンが取り込まれると炭酸アパタイトになる。アパタイト類は一般に合成品が用いられており、本発明においてもこのような市販の合成品を用いることができる。これらは特に限定されるものではないが、白色の水性懸濁液若しくは粉末の状態で供給され、その平均粒子径は1〜70μmである。【0007】本発明の口腔用組成物におけるヒドロキシアパタイト、フルオロアパタイト、炭酸アパタイト、第三リン酸カルシウム、第四リン酸カルシウム及び第八リン酸カルシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の含有量は、口腔用組成物の全質量に基づいて0.1〜50質量%が適当であり、好ましくは1〜30質量%である。この量は0.1質量%に満たないと期待される歯面の再石灰化や、歯垢の吸着除去効果が発揮されず、一方50質量%を超えると含有量に見合った効果が得られない場合がある。【0008】本発明で使用するマグネシウム塩としては、ピロリン酸マグネシウム、第二リン酸マグネシウム及び第三リン酸マグネシウムなどから少なくとも1種を選択して使用することができる。マグネシウム塩は、食品や歯磨剤などに配合されるリン酸水素カルシウムのヒドロキシアパタイトへの転化を抑制する目的で使用されており、市販されているものがある。本発明においては、これらの市販品を用いることができる。マグネシウム塩の口腔用組成物の全質量に対する含有量は、0.05〜10質量%であり、好ましくは0.1〜5質量%である。0.05質量%未満では期待される効果が発揮されず、10質量%を越えると含有量に見合った効果が得られず、使用性を損ねる場合がある。【0009】本発明に用いられるゼオライトは、歯磨剤、化粧品をはじめ、洗剤用ビルダー、工業用触媒、紙用材料、塗料、樹脂などに広く一般的に使用されるものであり、本発明においてはこれらに使用されている市販品を用いることができる。また本発明に用いられるゼオライト類については、天然ゼオライトでも合成ゼオライトでもよく、例えば天然ゼオライトについては、ジスモンデイン、ワイラカイト、ローモンタイト、ユガワラナイト、シャバサイト、ガローナイト、ゴビンサイト、モルデナイト及びアナルサイムなどが挙げられる。また合成ゼオライトについては、ゼオライトA、ゼオライトX、ゼオライトY、合成モルデナイト、ZSM−5、ZSM−11などがある。また、これらゼオライト中に含有するアルミニウムの一部がその他の3価の金属などに置き換わったメタロシリケートでもよく、例えばフェリシリケート、チタノシリケート、ガロシリケート、ジンコシリケート、ボロシリケートなどがある。更にはゼオライト中のシリコンの一部がその他の4価の原子に置き換わったゼオライト類似物でもよく、例えばアルミノフォスフェートなどがある。これらの中では、ゼオライトA、モルデナイト、ZSM−5、ジンコシリケートが好適である。本発明に用いられるゼオライト類の口腔用組成物の全質量に対する含有量は、0.1〜20質量%であり、好ましくは0.5〜10質量%である。0.1質量%未満では、期待される効果が発揮されない。一方20質量%を超えても含有量に見合った効果が得られず使用性を損ねる場合がある。【0010】本発明に用いられる含水アルミニウムケイ酸塩類は、歯磨剤、化粧品をはじめ、塗料、顔料、吸着剤、分散安定化剤などに広く一般的に使用されるものであり、本発明においてはこれらに使用されている市販品を用いることができる。本発明に用いられる含水アルミニウムケイ酸塩類としては、カオリナイト、ハロイサイト、パイロフィライト、セリサイト、モンモリロナイト、クロライト、イライト、ウランウンモ、ベントナイト、ラポナイトなどがあり、これらの中では、モンモリロナイト、ベントナイトが好適である。本発明に用いられる含水アルミニウムケイ酸塩類の口腔用組成物全質量に対する含有量は、0.1〜20質量%であり、好ましくは0.5〜10質量%である。0.1質量%未満では、期待される効果が発揮されない。一方20質量%を超えても含有量に見合った効果が得られず使用性を損ねる場合がある。【0011】本発明の口腔用組成物にはその種類に応じて、上記成分に加えて、必要により以下の成分を通常の使用量の範囲内で配合することができる。<研磨剤>シリカゲル、沈降性シリカ、火成性シリカ、含水ケイ酸、無水ケイ酸、等のシリカ系研磨剤、第二リン酸カルシウム二水和物、第二リン酸カルシウム無水和物、ピロリン酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、合成樹脂系研磨剤などが挙げられ、これらのうち1種または2種以上を併用して用いることができる。上記研磨剤の配合量は、組成物全体に対して3〜60質量%が好ましく、より好ましくは10〜45質量%である。【0012】<湿潤剤>グリセリン、濃グリセリン、ジグリセリン、ソルビット、マルチトール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、キシリトール等の多価アルコール等の1種または2種以上を使用することができる。<粘結剤>カラギーナン(ι、λ、κ)、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、カルシウム含有アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸アンモニウム等のアルギン酸塩及びその誘導体、ポリビニルピロリドン、キサンタンガム、グァーガム、ゼラチン、寒天、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウムなどが挙げられ、これらのうち1種または2種以上を併用して用いることができる。【0013】<発泡剤>ラウリル硫酸ナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、アルキルスルホコハク酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸モノグリセリンスルホン酸ナトリウム、α-オレフィンスルホン酸ナトリウム、、N-アシルグルタメート等のN-アシルアミノ酸塩、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、マルチトール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を併用して用いることができる。【0014】<甘味剤>サッカリンナトリウム、アスパルテーム、ステビオサイド、ステビアエキス、パラメトキシシンナミックアルデヒド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、ペリラルチン等。<防腐剤>メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン等のパラベン類、安息香酸ナトリウム、フェノキシエタノール、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン等。【0015】<香料成分>l-メントール、アネトール、メントン、シネオール、リモネン、カルボン、メチルサリシレート、エチルブチレート、オイゲノール、チモール、シンナミックアルデヒド、トランス-2-ヘキセナールなどの中から1種または2種以上を併用して用いることができる。これらの成分は単品で配合してもよいが、これらを含有する精油等を配合してもよい。また、上記香料成分に加え、脂肪族アルコールやそのエステル、テルペン系炭化水素、フェノールエーテル、アルデヒド、ケトン、ラクトン等の香料成分、精油を本発明の効果を妨げない範囲で配合してもよい。上記香料の配合量は、組成物全体に対して0.02〜2質量%とすることが好ましい。【0016】<有効成分>塩化リゾチーム、モノフルオロホスフェート、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、ヒノキチオール、アスコルビン酸、クロルヘキシジン塩類、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノール、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ビサボロール、酢酸トコフェロール、ε−アミノカプロン酸、トラネキサム酸、アルミニウムヒドロキシルアラントイン、乳酸アルミニウム、ジヒドロコレステロール、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸塩類、銅クロロフィリン塩、塩化ナトリウム、グァイアズレンスルホン酸塩、デキストラナーゼ、塩酸ピリドキシンなどを1種または2種以上を配合することができる。<その他>青色1号等の色素、酸化チタン等の顔料、ジブチルヒドロキシトルエン等の酸化防止剤、エデト酸塩等のキレート剤、チャエキス、チャ乾留液、プロポリスエキス、グルタミン酸ナトリウム等の矯味剤など。【0017】本発明の口腔用組成物は、常法に準じて製造できるものであり、製法は特に限定されるものではない。また、得られた練歯磨剤等の組成物は、アルミニウムチューブ、ラミネートチューブ、ガラス蒸着チューブ、プラスチックチューブ、プラスチックボトル、エアゾール容器等に充填されて使用することができる。【0018】【発明の効果】本発明の口腔用組成物は、従来アパタイト類を配合した口腔用組成物に見られる、硬くなる、粗くなる、また液分離を起こすといった経時的変化が防止されており優れた保存安定性を発揮するとともに、嗜好性、使用感に優れたものである。【0019】【実施例】以下、実験例及び実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例に示す%は質量%を意味する。表1及び2に示す処方(単位:質量%)にて各種練歯磨剤を常法に準じて調製した。<安定性試験>上記の練歯磨き剤をアルミニウムチューブに充填した後、50℃で2ヶ月保存した。これらの保存品につき、下記の評価基準に基づいて、練歯磨の安定性の官能評価を行った。「評価基準」練歯磨剤の安定性:チューブからの押し出し易さ、中身の外観、練歯磨からの液分離を触覚及び目視により官能的に評価した。◎・・・・・非常に安定性が良い。○・・・・・ほぼ安定性が良い。△・・・・・やや安定性が悪い。×・・・・・非常に安定性が悪い。【0020】<モニター試験>モニター10名により下記の評価基準に基づいて、各種練歯磨剤の使用感についての官能評価を行った。「評価基準」1)歯みがき実感:歯が磨けたか否かを、感覚で評価。4点・・・・・十分に磨けた感じがした。3点・・・・・概ね磨けた感じがした。2点・・・・・やや磨けた感じが乏しい。1点・・・・・非常に磨けた感じが乏しい。【0021】2)漱ぎ感:歯みがき終了後の漱ぎ感について、感覚で評価。4点・・・・・十分に漱げた感じがした。3点・・・・・概ね漱げた感じがした。2点・・・・・やや漱ぎ感が乏しい。1点・・・・・非常に漱ぎ感が乏しい。3)後味:歯みがき後の後味について、感覚で評価。4点・・・・・苦味がなくスッキリしている。3点・・・・・ほとんど苦味がない。2点・・・・・やや苦味が残る。1点・・・・・苦味が残る。なお、評価については、10名の平均値を求め、下記の4段階で行った。4<◎≦33<○≦22<△≦11<×≦0結果を表1及び表2に併せて示す。【0022】【表1】【0023】【表2】【0024】以上の実験結果から、本発明による練歯磨剤は経時安定性に優れ、且つ嗜好性、使用感についても優れていることが判る。また下記に示す実施例9〜24の練歯磨剤についても上記の実験を行ったところ、全て上記と同様な結果が得られた。以下、実施例9〜24の練歯磨剤の組成を示す。配合量の単位は質量%である。【0025】【実施例9】【0026】【実施例10】【0027】【実施例11】【0028】【実施例12】【0029】【実施例13】【0030】【実施例14】【0031】【実施例15】【0032】【実施例16】【0033】【実施例17】【0034】【実施例18】【0035】【実施例19】【0036】【実施例20】【0037】【実施例21】【0038】【実施例22】【0039】【実施例23】【0040】【実施例24】 ヒドロキシアパタイト、フルオロアパタイト、炭酸アパタイト及び第三リン酸カルシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する口腔用組成物であって、ピロリン酸マグネシウム、第二リン酸マグネシウム及び第三リン酸マグネシウムからなる群から選ばれる少なくとも1種のマグネシウム塩を口腔用組成物の全質量に基づいて0.05〜10質量%、並びにゼオライト類及び含水アルミニウムケイ酸塩類からなる群より選ばれる少なくとも1種を0.1〜20質量%含有することを特徴とする口腔用組成物(但し、リン酸水素カルシウムを含む場合を除く)。 さらに無水ケイ酸及び/又は含水ケイ酸を含有する、請求項1記載の口腔用組成物。 さらにモノフルオロホスフェート、フッ化ナトリウム及びフッ化カリウムから選ばれる少なくとも1種を含有する、請求項1又は2記載の口腔用組成物。 歯磨剤である請求項1〜3のいずれか1項記載の口腔用組成物。


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