生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_ヨヒンビン作用増強剤、強壮剤、及び腸管内容物滞留促進剤
出願番号:1999315234
年次:2010
IPC分類:A61K 31/475,A61K 31/05,A61P 1/12,A61P 1/14,A61P 15/10,C07D 459/00


特許情報キャッシュ

柴田 高 安宅 弘司 JP 4456702 特許公報(B2) 20100212 1999315234 19991105 ヨヒンビン作用増強剤、強壮剤、及び腸管内容物滞留促進剤 大幸薬品株式会社 391003392 蔦田 璋子 100059225 蔦田 正人 100076314 柴田 高 安宅 弘司 20100428 A61K 31/475 20060101AFI20100408BHJP A61K 31/05 20060101ALI20100408BHJP A61P 1/12 20060101ALI20100408BHJP A61P 1/14 20060101ALI20100408BHJP A61P 15/10 20060101ALI20100408BHJP C07D 459/00 20060101ALN20100408BHJP JPA61K31/475A61K31/05A61P1/12A61P1/14A61P15/10C07D459/00 A61K 31/475 A61K 31/05 A61P 1/12 A61P 1/14 A61P 15/10 C07D 459/00 CA/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) 国際公開第99/001132(WO,A1) 特開昭61−260010(JP,A) 5 2001131069 20010515 12 20060510 櫛引 明佳 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、ヨヒンビン作用増強剤、強壮剤、及び腸管内容物滞留促進剤に関するものであり、詳しくは、クレオソート又はグアヤコール、4−エチルグアヤコール、クレオゾール、オルトクレゾール、パラクレゾール等のクレゾール類、フェノールやキシレノール類等のフェノール誘導体などのクレオソート構成成分もしくはこれらを有効成分として2種以上を含有する混合物(以下、「クレオソート又はその構成成分」ともいう)からなるヨヒンビン作用増強剤、ヨヒンビンとクレオソート又はその構成成分よりなる強壮剤、及びヨヒンビンあるいはヨヒンビンとクレオソートまたはその構成成分とを含有する腸管内容物滞留促進剤に関する。【0002】【従来の技術と発明が解決しようとする課題】従来、クレオソートは、腸内殺菌剤又は腸内殺菌に基づく止瀉薬、去痰剤として用いられてきた。【0003】即ち、クレオソートは、医薬品製造指針(日本公定書協会編)1988年版第240頁の胃腸薬製造承認基準において、V欄の止瀉薬の区分中1項の殺菌剤として収載されている。また、伊藤宏著「薬理学」((株)蛍光堂、1983年1月5日改訂第6版発行)第416頁にも、クレオソートは、腸内防腐に用いるほか、吸入適応により去痰作用を示す旨記載されている。日本薬局方でも、去痰、腸内異常醗酵、食中毒などに用いる旨記載されている。ザ・ユナイテッド・ステーツ・ディスペンサトリー(The United States Dispensatory)、27th ed.(1973)、第355頁にも、クレオソートは、外用として殺菌剤、内用として去痰剤として使用される旨記載されている。【0004】本発明者は、上記の如く腸内殺菌剤又は腸内殺菌作用に基づく止瀉薬や去痰剤として使用されてきたクレオソートの新たな用途を見い出すべく、その薬理作用について研究した結果、クレオソートおよびその構成成分がヨヒンビンの作用を増強するといった、従来の知見からは予想もつかない薬理作用を具備している事実を見い出した。本発明は、この知見に基づき完成されたものである。【0005】【課題を解決するための手段】請求項1に記載のヨヒンビン作用増強剤は、ヨヒンビンの作用を増強する薬剤であって、(a)クレオソート、又は(b)グアヤコール、4−エチルグアヤコール、クレオゾール、オルトクレゾール、パラクレゾール等のクレゾール類、フェノールやキシレノール類等のフェノール誘導体などのクレオソート構成成分もしくはこれらを有効成分として2種以上を含有する混合物、よりなる。【0006】請求項2に記載のヨヒンビン作用増強剤は、ヨヒンビンの強壮作用を増強する薬剤であって、クレオソート、又はグアヤコール、4−エチルグアヤコール、クレオゾール、オルトクレゾール、パラクレゾール等のクレゾール類、フェノールやキシレノール類等のフェノール誘導体などのクレオソート構成成分もしくはこれらを有効成分として2種以上を含有する混合物よりなる。【0007】請求項3に記載のヨヒンビン作用増強剤は、(A)ヨヒンビン、及び(B)クレオソート、又はグアヤコール、4−エチルグアヤコール、クレオゾール、オルトクレゾール、パラクレゾール等のクレゾール類、フェノールやキシレノール類等のフェノール誘導体などのクレオソート構成成分もしくはこれらを有効成分として2種以上を含有する混合物よりなるものである。【0008】請求項4に記載の腸管内容物滞留促進剤は、腸管の内容物を当該腸管内部にて滞留せしめる腸管内容物滞留促進剤であり、 ヨヒンビンを含有してなるものである。【0009】請求項5に記載のヨヒンビン作用増強剤は、請求項4に記載の腸管内容物滞留促進剤におけるヨヒンビンの腸管内容物滞留促進作用を増強するヨヒンビン作用増強剤であって、クレオソート、又はグアヤコール、4−エチルグアヤコール、クレオゾール、オルトクレゾール、パラクレゾール等のクレゾール類、フェノールやキシレノール類等のフェノール誘導体などのクレオソート構成成分もしくはこれらを有効成分として2種以上を含有する混合物よりなるものである。【0010】請求項6に記載の腸管内容物滞留促進剤は、腸管の内容物を当該腸管内部にて滞留せしめる腸管内容物滞留促進剤であり、(A)ヨヒンビン、及び(B)クレオソート、又はグアヤコール、4−エチルグアヤコール、クレオゾール、オルトクレゾール、パラクレゾール等のクレゾール類、フェノールやキシレノール類等のフェノール誘導体などのクレオソート構成成分もしくはこれらを有効成分として2種以上を含有する混合物よりなる。【0011】【発明の実施の形態】ヨヒンビンヨヒンビン(yohimbin)は、西アフリカ産の高木であるヨヒンベ(Pausinystalia yohimbe)の樹皮に含まれているアルカロイドの1種で催淫作用などの強壮作用がある。すなわち、例えば、勃起中枢を刺激し、生殖器血管を拡張せしめ、局部海綿体の充血を促進させる。一般的に1〜5mg/回を服用する。【0012】なお、本発明者によるヨヒンビンの研究によって、今回はじめてヨヒンビンに大腸運動抑制作用(腸管内容物滞留促進作用)があるという興味深い事実が発見された。【0013】クレオソートクレオソートそのものは、従来から公知であり、グアヤコール、4−エチルグアヤコール、クレオゾール、オルトクレゾール、パラクレゾール等のクレゾール類、フェノールやキシレノール類等のフェノール誘導体などを含有する。クレオソートは、日本薬局方(第13改正)、米国のナショナル フォーミュラリー(National Formulary)XII等に収載されている。当該クレオソートは、ブナ、カシ、モミジ、マツ等の樹木、特に広葉樹から得られる木タールを蒸留し、分留により200〜230℃程度(760mmHg)の留分を集めて得られるいわゆるウッドクレオソートで(木クレオソート)あり、石炭タールから得られるクレオソートとは明確に区別されているものである(緒方規男、馬場達也著、リサーチ コミュニケーションズ イン ケミカル パソロジー アンド ファーマコロジー、66刊、411頁〜423頁、1989(N. Ogata and T. Baba, Res. Commun. Chem. Pathol. Pharmacol. 66, 411423, 1989))。上記文献等にも記載されているように、本発明の薬剤の有効成分であるクレオソートは、前述したようにグアヤコール(約20〜35%)、クレオゾール(約15〜25%)のほか、フェノール、クレゾール類、キシレノール類等の各種フェノール誘導体を含有する混合物であり、特徴的な煙臭及び舌を焼くような味を有する無色〜淡黄色の液体で、比重1.064以上を有する。【0014】作用クレオソートまたはその構成成分は、ヨヒンビン作用を顕著に増強させるので、両者を併用することにより強力なヨヒンビン作用を得ることができる。また、クレオソートまたはその構成成分を併用することにより、ヨヒンビンの投薬量を減らすことができ、副作用予防に効果が期待できる。【0015】例えば、前述したように、今回はじめてヨヒンビンが大腸運動抑制作用(腸管内容物滞留促進作用)をもつことが発見された。クレオソートまたはその構成成分は、このヨヒンビンの大腸運動抑制作用(腸管内容物滞留促進作用)に対する増強作用があることから、両者を併用することにより、あるいはヨヒンビン単独により、ヒト、及びその他の動物において、腸管内容物滞留作用を促進あるいは腸液の吸収を促進する必要がある諸症状、例えば、過敏性(大)腸症候群、腹部不快感、腹部膨満感、脱水症状の治療に有効である。【0016】ところで、坐薬を投与した際、坐薬の挿入が刺激となって腸管の蠕動運動が亢進されて当該坐薬が肛門から排出され、これにより坐薬のバイオアベイラビリティー(生物学的利用率)が大きく低下するという問題があった。しかし、本発明の薬剤は、腸管内容物滞留促進活性を保有していることにより、坐薬使用時に本発明の薬剤を併用すれば、当該坐薬を腸管内にて滞留させることが可能となり(坐薬の排出(脱落)を防止することが可能となり)、バイオアベイラビリティーを顕著に向上させることができる。【0017】クレオソートまたはその構成成分は、ヨヒンビンの催淫作用等の強壮作用をも増強することから、両者を併用することにより、ヒト、及びその他の動物において、例えば、精力減退、性的不能症、男子精腺機能低下症(類宦官症)、食欲減退、意欲減退の治療に有効である。【0018】形態、及びその他(添加剤など)本発明においては、上記クレオソート又はその構成成分および/またはヨヒンビンが一般的な医薬製剤の形態で用いられる。すなわち、薬学的に許容され、通常使用される賦形剤ないし希釈剤を用いて常法に従い調製され、治療目的に応じて各種の形態とすることができる。その代表的なものとしては、錠剤、丸剤、散剤、カプセル剤、顆粒剤、内服液剤等の経口投与に適した剤形、注射剤等の血管内投与、筋肉内投与、皮下又は皮内投与等に適した剤形及び坐剤等の直腸内投与に適した剤形等を挙げることができる。【0019】錠剤、顆粒剤、散剤の形態に調製する際には、従来公知の担体を広く使用でき、例えば、乳糖、白糖、ブドウ糖、澱粉、結晶セルロース等の賦形剤、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ゼラチン、トラガント、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム等の結合剤、例えば、澱粉、カルボキシメチルセルロース、炭酸カルシウム等の崩壊剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ステアリン酸等の滑沢剤が使用できる。錠剤には、必要に応じて、通常の剤皮を施すこともでき、例えば、糖衣錠、フィルムコーティング錠等とすることができ、さらに二層錠、多層錠としてもよい。また、顆粒剤や散剤も通常の剤皮を施すことができる。【0020】丸剤の形態に調製するには、やはりこの分野で従来から公知の各種担体を用いることができ、例えば、甘草末、ブドウ糖、小麦粉等の賦形剤、例えば、グリセリン、水シロップ、アラビアゴム、トラガント、ゼラチン等の結合剤、薬用酵母、アロールート、ラミナリア末等の崩壊剤等が使用される。【0021】カプセル剤の形態に調製するには、この分野で従来から公知の各種担体、例えば、乳糖、オリーブ油、大豆油等の賦形剤が使用される。【0022】内用液剤は、水性又は油性懸濁液、溶液、シロップ、その他の形態であってもよい。このような液体製剤には、普通に用いられる添加剤、例えば、懸濁化剤、例えば、ソルビットシロップ、メチルセルロース、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、乳化剤、例えば、レシチン、モノオレフィン酸ソルビタン、アラビアゴム等が使用できる。【0023】注射剤の形態に調製するには、組成物は、懸濁液、溶液、油性又は水性ビヒクル中の乳液のような形態であってもよく、懸濁化剤、安定化剤及び分散剤のような処方剤を含んでいてもよい。【0024】坐剤の形態に調製するには、従来公知の担体を広く使用できる。例えば、カカオ脂、グリセロゼラチン、マクロゴール等の基剤が使用できる。坐剤には必要に応じて乳化剤、懸濁化剤が使用できる。更に本発明の薬剤には、必要に応じて着色剤、香味剤等を添加することもできる。【0025】本発明の薬剤中に有効成分として含有されるクレオソート又はその構成成分の量は特に制限されず、製剤の形態等に応じて適宜選択すればよいが、一般には、製剤全重量の0.2〜60%程度が好ましい。【0026】本発明のヨヒンビン作用増強剤(クレオソート又はその構成成分)の投薬量は、患者の性別、年齢、体重、症状の程度等により適宜選択されるが、一般に、経口投与及び直腸内投与の場合には、成人に対し、有効成分であるクレオソート又はその構成成分を1日当たり体重1kgに対して1〜500mg程度、好ましくは2〜100mg程度、より好ましくは2〜25mg程度とすればよい。注射剤として非経口的に投与する場合は、同じく成人に対し、有効成分であるクレオソート又はその構成成分を1日当たり体重1kgに対して0.2〜300mg程度、好ましくは0.2〜50mg程度、より好ましくは0.5〜5mg程度とすればよい。なお、これらを1日2〜4回程度に分けて投薬してもよい。【0027】【実施例】本発明の一実施例を以下に説明するが、本発明はこれによって限定するものではない。【0028】1)ヨヒンビンの腸管内容物滞留促進作用の確認およびその増強試験(1)40匹のCD1マウス(オス、6週齢、体重18〜30g)を1週間飼育し、馴化後、1群10匹の4群(A群、B群、C群およびD群)にそれぞれ振り分けた。【0029】各群のマウスに対し、下記[表1]に示すように、第1投与としてヨヒンビン(25mg/kg体重,10ml/kg体重)または生理食塩水(10ml/kg体重)を強制的に胃内投与し、その30分後、第2投与として、クレオソート(2mg/kg体重,10ml/kg体重)または生理食塩水(10ml/kg体重)を胃内投与した。【0030】その20分後に、直径3mmのガラスビーズをマウスの肛門から深さ2cmのところまでガラス棒で挿入した。そして、マウスがガラスビーズを排出してしまう時間(ガラスビーズ排出時間)を計測した。結果を[表1]に併記するとともに図1に示す。【0031】【表1】直腸内へ挿入されたガラスビーズによる直腸の拡張刺激は、当該直腸部からの求心性神経、さらには仙髄における反射中枢を介し、大腸の蠕動運動を亢進させる。A群におけるガラスビーズ排出時間から、直腸に挿入されたガラスビーズは8.0±1.5分後に自然排出されることがわかる。【0032】C群は、A群と比べることにより、ガラスビーズの排出時間が延長している。これにより、ヨヒンビンに、今まで知られていなかった大腸運動抑制作用(腸管内容物滞留促進作用)が認められる。【0033】C群とD群との比較により、ガラスビーズ排出時間は、ヨヒンビン単独投与の場合(13.6±1.7分)よりも、クレオソートと併用した場合(29.9±0.3分)の方が延びている(延長されてる)ことが明瞭に示されている。これにより、クレオソートに、ヨヒンビンのガラスビーズ排出時間の延長効果(すなわち、腸管内容物滞留促進効果)が認められる。【0034】なお、A群であるコントロール(8.0±1.5分)に比して、B群であるクレオソート単独投与の場合は、10.2±1.4分と延長効果がみられるので、クレオソート自身にもガラスビーズの排出時間を延長させる効果(すなわち腸管内容物滞留促進効果)があると考えられるが、クレオソート+ヨヒンビン併用系によるガラスビーズ排出時間延長効果は、上述したクレオソート単独投与による効果の程度およびヨヒンビン単独投与による効果の程度のいずれよりも遙かに大きいので、両者(クレオソート+ヨヒンビン)併用の効果は単なる相和効果ではなく、相乗効果があるものと考えられる。【0035】2)ヨヒンビンの腸管内容物滞留促進作用の確認およびその増強試験(2)上記実施例のD群におけるヨヒンビンの投薬量を、0mg/kg,0.2mg/kg,1.0mg/kg,5.0mg/kg,25mg/kgと変化させながら、クレオソートのヨヒンビン作用増強効果をみた。結果を図2に示す。【0036】図2から、クレオソートは、ヨヒンビン投薬量が0.2mg/kgというごく少量から増強作用が確認できる。これは、ヨヒンビンの投薬量を少なくしても、所望の効果が発揮されることを意味し、当該ヨヒンビンの副作用を防ぎながらヨヒンビンの薬理作用を十分に期待することができることを意味する。なお、ヨヒンビン投薬量が1mg/kg以上から、クレオソートのヨヒンビン作用増強効果が非常に顕著に現れていることがわかる。【0037】3)ヨヒンビン作用(強壮作用[催淫作用])の増強試験(1)(飼育条件)Wister系(9〜10週齢、300〜350g)を温度19〜25℃、湿度40〜70%、換気回数15〜17回/時間及び照明時間12時間/日に設定した飼育室でアルミニウム製ゲージに1ゲージあたり5匹(雄雌は分ける)のラットを入れ飼育した。その間、固形飼育及び上水道水を自由に摂取させた。【0038】(雌ラットの準備)雌ラットには、発情させるためにoestradiol valerianate(4μg/ラット)を皮下注射し、その44時間後にprogesterone(2mg/ラット)を皮下注射した。【0039】(雄ラットへの投薬とその後の性行動観察)雌ラットへのprogesterone投与3.5時間後、かつ照明サイクルが暗くなって2.5時間後に、雄ラットに対して[表2]のごとく、第1回目の経口投与として生理食塩水またはヨヒンビンを与え、その0.5時間後に、第2回目の経口投与として生理食塩水またはクレオソートを与えた。【0040】その後、円筒形の観察用ゲージに移し(1ラット/ゲージ)雄ラットの性行動を30分間観察した。観察する交尾行動の項目としては次の▲1▼と▲2▼である。【0041】▲1▼ 雌ラットをゲージに入れてから雄のラットが最初の挿入を行なうまでの時間(IL:Intomission Latency)▲2▼ 馬乗り(マウント)の回数なお、各群の雄ラットの数は10匹とした。【0042】【表2】結果を[表2]に併記するととともに、図3と図4に示す。【0043】上記した[表2]、図3及び図4から分かるように、クレオソートの単独投与では強壮作用を示さなかったが、併用投与のクレオソートはヨヒンビンの強壮作用に対し、有意にその作用を増強した。【0044】4)ヨヒンビン作用(強壮作用[催淫作用])の増強試験(2)上記実施例(強壮作用[催淫作用])の増強試験(1)における第2回投与のクレオソート投薬量を、下記[表3]に示したとおり、0mg/kg(生理食塩水),0.08mg/kg,0.4mg/kg,2mg/kg,10mg/kgと変化させながら、当該クレオソートのヨヒンビン作用増強効果の変化をみた。結果を[表3]に併記するとともに、図5および図6に示す。なお、第1回目のヨヒンビン投薬量は0mg/kg(生理食塩水)および5mg/kgに固定して行なった。観察する交尾行動の項目としては上記▲1▼と▲2▼の通りである。【0045】【表3】上記した[表3]、図5及び図6から分かるように、併用投与のクレオソートはヨヒンビンの強壮作用に対して有意にその作用を増強した。特に、クレオソート投薬量0.4〜10mg/kgの範囲でその増強作用が顕著である。【0046】なお、上記の通り、クレオソートはヨヒンビン作用を増強させたが、このヨヒンビン作用の増強は、当該クレオソートの構成成分である4−エチルグアヤコール、オルトクレゾール、及びフェノールでも確認済みである。【0047】【発明の効果】ヨヒンビンの強壮作用(催淫作用など)がクレオソートまたはそのその構成成分によって増強されることから、両者を併用することによって、ヒト、及びその他の動物において、例えば、精力減退、性的不能症、男子精腺機能低下症(類宦官症)、食欲減退、意欲減退の治療に非常に有効である。【0048】また本発明により、ヨヒンビンの作用、例えば、新たに発見された腸管内容物滞留促進作用を非常に強力に増大させることができるので、例えばヒト及びその他の動物において、腸液の吸収を促進するための時間かせぎを行なう必要がある諸症状、例えば過敏性(大)腸症候群、腹部不快感、腹部膨満感、脱水症状の治療に有効である。【0049】坐薬を投与した際、坐薬の挿入によって腸管の蠕動運動が亢進されて当該坐薬が肛門から排出され、これにより坐薬のバイオアベイラビリティー(生物学的利用率)が大きく低下するという問題があるが、本発明により、坐薬使用時に、当該坐薬を腸管内にて比較的長い間滞留させることが可能となるので(坐薬の排出(脱落)を防止することが可能となるので)、バイオアベイラビリティーを顕著に向上させることができる。【0050】なお、前述したように、ヨヒンビン自身にも腸管内容物滞留促進作用が存することから、当然、ヨヒンビン単独使用によっても上記したような効能・効果が得られる。【図面の簡単な説明】【図1】ヨヒンビンの腸管内容物滞留促進効果を示すとともに、クレオソートがこの効果を増強することを示したグラフ図である。【図2】ヨヒンビン投薬量を変化させて行なったクレオソートのヨヒンビン増強効果を示したグラフ図である。【図3】クレオソートのヨヒンビン作用(強壮作用[催淫作用])増強効果を示したグラフ図であり、IL(Intomission Latency)時間の変化を示した図である。【図4】クレオソートのヨヒンビン作用(強壮作用[催淫作用])増強効果を示したグラフ図であり、マウント(Mounting)回数の変化を示した図である。【図5】クレオソートの投薬量を変化させて行なったヨヒンビン作用(強壮作用[催淫作用])増強効果を示したグラフ図であり、IL(Intomission Latency)時間の変化を示した図である。【図6】クレオソートの投薬量を変化させて行なったヨヒンビン作用(強壮作用[催淫作用])増強効果を示したグラフ図であり、マウント(Mounting)回数の変化を示した図である。 ヨヒンビンの作用を増強する薬剤であって、クレオソートよりなることを特徴とするヨヒンビン作用増強剤。 ヨヒンビンの強壮作用を増強する薬剤であって、クレオソートよりなることを特徴とするヨヒンビン作用増強剤。 (A)ヨヒンビン、及び(B)クレオソートよりなることを特徴とする強壮剤。 ヨヒンビンの腸管内容物滞留促進作用を増強するヨヒンビン作用増強剤であって、クレオソートよりなることを特徴とするヨヒンビン作用増強剤。 腸管の内容物を当該腸管内部にて滞留せしめる腸管内容物滞留促進剤であり、(A)ヨヒンビン、及び(B)クレオソートよりなることを特徴とする腸管内容物滞留促進剤。


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