タイトル: | 特許公報(B2)_エチレンの1,2−ジクロロエタンへのオキシ塩素化用触媒 |
出願番号: | 1999307271 |
年次: | 2005 |
IPC分類: | 7,B01J27/122,B01J35/10,C07B61/00,C07C17/156,C07C19/045 |
フランチェスコ カサグランデ マリネラ マレンタッチ JP 3690949 特許公報(B2) 20050624 1999307271 19991028 エチレンの1,2−ジクロロエタンへのオキシ塩素化用触媒 サッド チェミ エムティー エス.アール.エル. 598053282 SUD CHEMIE MT S.r.l. 野河 信太郎 100065248 フランチェスコ カサグランデ マリネラ マレンタッチ EP 98830680.9 19981110 20050831 7 B01J27/122 B01J35/10 C07B61/00 C07C17/156 C07C19/045 JP B01J27/122 Z B01J35/10 301J C07B61/00 300 C07C17/156 C07C19/045 7 B01J 21/00-37/36 C07C 19/045 特開平02−225429(JP,A) 特開昭62−216643(JP,A) 特開昭61−293552(JP,A) 特開昭50−082001(JP,A) 特開平08−038903(JP,A) 10 2000140641 20000523 9 20010501 大工原 大二 【発明の属する技術分野】この発明は、エチレンの1,2-ジクロロエタンへのオキシ塩素化用触媒に関する。【0001】【従来の技術および発明が解決しようとする課題】エチレンの1,2-ジクロロエタンへのオキシ塩素化用に一般的に用いられている触媒は、アルミナのような不活性の多孔性酸化物の担体で支持された塩化銅(II)からなる。【0002】触媒は、好ましくは固定床で用いられる。塩化エチルおよび酸化炭素のような副産物の生成を引き起こす反応を抑制するために、塩化銅(II)を塩化カリウムのような促進剤と混合して用いる。【0003】塩化セシウムと塩化カリウムの混合物もまた、触媒活性の負の効果を示さずに、副産物生成を抑制するために用いられてきた(欧州特許出願第62320号)。【0004】ドイツ特許第2356549号で知られているものは、エチレンのオキシ塩素化による1,2-ジクロロエタンの製造法であり、担体をCuCl2.3Cu(OH)2水溶液およびHClで含浸し、次に熱して、その結果CuCl2を形成することにより得られた触媒系を用いたものである。【0005】【課題を解決するための手段】かくして、本発明によれば、活性成分としてオキシ塩化銅(II)Cu(OH)Clからなるエチレンの1,2-ジクロロエタンへのオキシ塩素化用触媒が提供される。【0006】また、本発明によれば、酸化的塩素化反応が請求項2から10のいずれか1つに記載の触媒顆粒を充填した固定床反応器において行われる、酸素または酸素を含有するガスおよび塩酸を用いるエチレンの1,2-ジクロロエタンへのオキシ塩素化方法が提供される。【0007】【発明の実施の形態】本出願者は、いまや思いがけなく、オキシ塩化銅(II)Cu(OH)Clが、エチレンの1,2-ジクロロエタンへのオキシ塩素化用の高度に効果的な触媒であることを見出し、これは、選択性および転化の点において、塩化銅(II)(CuCl)または、式Cu2(OH)3Clのヒドロオキシ塩化銅(II)のような塩化銅(II)や他の銅化合物より高い能力を提供するものである。触媒の選択性は、高度な転化を行っても依然として高いままである。【0008】塩化カリウムのような促進剤の添加は、触媒活性を減じることなく、さらに選択性を改善する。塩化カリウムは、塩化マグネシウムおよび/または塩化セシウム、あるいは他の希土類塩化物との混合物において用いられてよく; 0.05:1〜1.2:1のオキシ塩化銅(II)に対するK/Cu比で使用される。【0009】オキシ塩化銅(II)は、室温またはやや室温以上の温度で、湿気の存在下においてCuCl2を空気で酸化することにより調製する。実際、塩化銅(II)は転化してCu(OH)Clを生じるまで、湿った空気と接触させておく。【0010】固定床上で使用するために,オキシ塩化銅(II)はアルミナのような多孔性不活性酸化物上で支持されている。【0011】アルミナを使用するのが好ましく、また、80重量%以上のアルミナを含有するシリカとアルミナの混合物を使用するのがより好ましい。【0012】実際、ケイ酸アルミニウムとベーマイトの混合物から調製した担体の使用により、触媒の選択性を減じることなく触媒活性をかなり改善させることを見出し、これはこの発明の他の面を表すものである。【0013】ベーマイトとケイ酸アルミニウムの重量比は、好ましくは60:40〜90:10である。【0014】担体として用いることが可能なアルミナは、一般に、200m2/g以上、好ましくは240〜300m2/gの表面積(BET)と、0.5〜0.65cm3/gの多孔度を有し;50Aより短い半径の細孔の容積は、0.4〜0.55cm3/gである。【0015】ベーマイトおよびケイ酸アルミニウムから得たアルミナ/シリカ混合物は、アルミナより表面積が大きい。ベーマイトおよびケイ酸アルミニウムの重量が80:20である混合物から得た担体の場合、面積は約290m2/gで、多孔度は、0.6cm3/gである。【0016】担体触媒は、一般に130〜200m2/gの表面積を有する。【0017】多孔性担体上でのオキシ塩化銅(II)の含浸は、オキシ塩化物水溶液を基質の細孔容積より少ない量、例えば、容積の90%と等しいものを用いて行うものとする。【0018】基質上で固定されたオキシ塩化物の量は、銅として表すと、1〜10重量%、好ましくは5〜6重量%である。【0019】担体は顆粒形態であり、その幾何学的形状は球形から円筒状固体、貫通孔を有する円筒状のもの、あるいは突出部に貫通孔をもつ突出円筒状の細孔を有するものまでの範囲におよぶ。【0020】3つまたはそれ以上の突出部を有する突出円筒形状で、顆粒の軸に実質上平行であり、互いに関して実質上等距離で平行である軸を持つ貫通孔を有するものを用いることが好ましい。【0021】顆粒は、3つの突出部において貫通孔を有する3つの突出断面を有するものが好ましい。この種類の担体の顆粒の表面積と容積との比は、少なくとも2.4cm-1である。【0022】顆粒の高さは3〜10mmであり、好ましくは4〜7mmである。外接する円周半径は、2〜5mmである。貫通孔を備えた突出部を3又はそれ以上有する円筒状顆粒は、欧州特許第591572号に記載されているが、その説明についてはこの中の引用として含めるものとする。【0023】突出および有孔の顆粒は、好ましくは、滑剤を用いて金型および押抜き型の表面に塗布して圧縮タブレット成形することにより製造される。【0024】ステアリン酸マグネシウムおよびステアリン酸のような固体滑剤を使用するのが好ましい。【0025】突出部および貫通孔を有する円筒状顆粒の形状における触媒の使用は、圧力荷重の損失を著しく減らし、触媒活性および選択性を改良させるものである。【0026】通常は固体円筒状形態をもつ触媒を使用した場合、三段階であったがこれの代わりに、突出部および有孔形状の触媒を使用することにより、一段階でオキシ塩素化反応を行うことが可能である。【0027】一段階方法について、塩酸について過剰のエチレンを用いる。これにより、エチレンの高い比熱のため反応選択性が改善される。【0028】使用されうる反応器は、一般的に管の束からなる管型形式であり、管は20〜40mmの直径を有しており、互いに連結し、冷却ジャケットにも結合している。【0029】エチレン、塩酸および空気または酸素からなる気体混合物は、反応器の下部から頂部まで供給される。【0030】反応温度は、通常210〜350℃であり、滞留時間は1〜6秒である。反応器の触媒の充填は、一段階方法の場合、多数の層中で底部から上方へ触媒密集濃度を増加させて行う。【0031】三段階の方法の場合、第三段階の反応器においてもっとも高い触媒濃度で行うものとする。【0032】以下に実施例を説明するが、これはこの発明を制限するものではない。【0033】【実施例】担体の製造工業用ベーマイト(比表面積=331m2/g;細孔容積=1.59cm3/g)をステアリン酸と混合し、粒状化することにより100〜600ミクロンの粒径の粉末を得る。3つの突出部および5x5mmの3つの貫通孔を有する円筒状顆粒を得るため、粉末を圧縮タブレット成形する。次に、顆粒を空気流で450℃、4時間か焼する。【0034】ベーマイトを工業用シリカ-アルミナ(30重量%のSiO2を含有)と80:20の重量比で混合して担体を調製した。使用するシリカ-アルミナは、約470m2/gの比表面積であり、1.37cm3/gの細孔容積を有する。タブレット成形およびか焼担体における最終シリカ濃度は、約7重量%である。【0035】触媒の製造銅塩および促進剤(KCl)を含む含浸溶液を調製し、完成した触媒において、最終Cu濃度が5〜6%で、Kとして表した場合、促進剤の濃度が0.5〜2%となるように製造する。含浸に用いる水溶液の容積は、担体の細孔全容積の約90%と等しい。塩が全溶解に達するには、使用する銅塩の溶解度にしたがって、HClを可変量(1〜30g HCl /100gの溶液)を添加することにより行う。【0036】溶液をベンチュリ型の噴霧器を用いてジャーに含まれる担体上に噴霧し、担体表面に最適条件で段階的に完全照射することができる割合に変えることとする。その後触媒を150℃で12時間乾燥する。【0037】オキシ塩素化反応触媒活性を決定するため、内径26.6mmおよび高さ1300mmのニッケル製の管型反応器をシリコーン油の恒温槽に設置して用いた。触媒は以下の底部-上部充填分布にしたがい充填した。--第一層、250mm厚、グラファイトからなる;--第二層、800mm厚、触媒のみからなる。【0038】試薬の気流を、反応器の底部から上方に通過させるが、以下の成分の流速にしたがうものとする:エチレン:232 NI/h塩化水素:71 NI/hO2:19 NI/hN2:422 NI/h恒温槽の温度は、210℃とする;供給圧を1.5気圧および接触時間を1.6秒とする。【0039】実施例1触媒をオキシ塩化銅(II)から製造する。塩化カリウムを促進剤として用いる。担体はアルミナにより構成される。触媒の特性およびその活性のデータを表1に記載する。【0040】実施例1-3の比較これら実施例に用いる触媒は、塩化銅(II)、ヒドロオキシ塩化銅(II)(Cu2(OH)3Cl)および塩化銅(II)から製造する。塩化カリウムを促進剤として用いる;担体はアルミナにより構成される。【0041】実施例2-3これら実施例に用いる触媒はアルミナおよびアルミナとシリカアルミナの混合物で支持されたオキシ塩化銅(II)からなり、これはベーマイトとケイ酸アルミニウムとの80:20の重量比による混合物から得られるものである。触媒の特性およびその触媒活性のデータを表2に記載する。【0042】【表1】【0043】触媒は5〜6%Cuおよび0.8%K(重量%)を含有。EC-塩化エチルEDC-1,2-ジクロロエタンホットスポット-反応器内で測定される最高温度【0044】【表2】【0045】触媒は5〜6%Cuおよび0.8%K(重量%)を含有。EC-塩化エチルEDC-1,2-ジクロロエタンホットスポット-反応器内で測定される最高温度【0046】【発明の効果】オキシ塩化銅(II)Cu(OH)Clが、エチレンの1,2-ジクロロエタンへのオキシ塩素化用の高度に効果的な触媒であることを見出し、これは、選択性および転化の点において、塩化銅(II)(CuCl)または、式Cu2(OH)3Clのヒドロオキシ塩化銅(II)のような塩化銅(II)や他の銅化合物より高い能力を提供するものであることが示された。 活性成分としてオキシ塩化銅(II)Cu(OH)Clと、促進剤として塩化カリウムからなるエチレンの1,2-ジクロロエタンへのオキシ塩素化用触媒。 オキシ塩化銅(II)が不活性多孔性酸化物で支持されている請求項1に記載の触媒。 オキシ塩化銅(II)がアルミナまたは80重量%以上のアルミナを含有するアルミナ−シリカ混合物からなる担体で支持されている請求項2に記載の触媒。 アルミナ-シリカ混合物がケイ酸アルミニウムと混合したベーマイトから得られ、200m2/g以上の表面積を有する請求項3に記載の触媒。 130m2/g〜200m2/gの表面積を有する請求項3または4に記載の触媒。 オキシ塩化銅(II)が、銅として表した場合、1〜10重量%の量で支持されている請求項2から5のいずれか1つに記載の触媒。 オキシ塩化銅(II)が、塩化マグネシウムおよび/または塩化セシウムから形成される促進剤との混合物において用いられる請求項1から6のいずれか1つに記載の触媒。 塩化カリウムが0.05:1〜1.2:1のオキシ塩化銅(II)に対するK/Cu比で用いられる請求項1に記載の触媒。 酸化的塩素化反応が請求項2から8のいずれか1つに記載の触媒顆粒を充填した固定床反応器において行われる、酸素または酸素および塩酸を含有するガスを用いるエチレンの1,2-ジクロロエタンへのオキシ塩素化方法。 化学量論量の塩酸に関して過剰なエチレンを用いてオキシ塩素化反応が一段階方法で行われる請求項9に記載の方法。