生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_クロロメチルスチレン類の製造方法
出願番号:1999252565
年次:2009
IPC分類:C07C 17/25,C07C 22/04,B01J 31/26,C07B 61/00


特許情報キャッシュ

野元 栄吾 合戸 広 氏川 典久 中村 知之 JP 4362903 特許公報(B2) 20090828 1999252565 19990907 クロロメチルスチレン類の製造方法 日本軽金属株式会社 000004743 成瀬 勝夫 100082739 中村 智廣 100087343 小泉 雅裕 100085040 野元 栄吾 合戸 広 氏川 典久 中村 知之 20091111 C07C 17/25 20060101AFI20091022BHJP C07C 22/04 20060101ALI20091022BHJP B01J 31/26 20060101ALI20091022BHJP C07B 61/00 20060101ALN20091022BHJP JPC07C17/25C07C22/04B01J31/26 XC07B61/00 300 C07C 17/25 C07C 22/04 欧州特許第00345478(EP,B1) 特開平11−171804(JP,A) 特開昭50−012005(JP,A) 4 2001072622 20010321 7 20060417 野口 勝彦 【0001】【発明の属する技術分野】この発明は、イオン交換樹脂、導電性樹脂、酸化還元樹脂、感光性樹脂等の機能性樹脂の製造原料として、更には、水溶性光硬化性エラストマーや水中分散型でポリマー結合タイプの光増感剤等の用途にも有用なクロロメチルスチレン類の製造方法に係り、特に、α−クロロエチルベンジルクロライド類を液相で脱塩化水素して高収率でクロロメチルスチレン類を製造することができるクロロメチルスチレン類の製造方法に関する。【0002】【従来の技術】従来、クロロメチルスチレン類の製造方法としては、例えば、▲1▼クロロエチルベンジルクロライドを高温下に気相熱分解させて脱塩化水素を行う方法(米国特許第 792,860号明細書)や、▲2▼脱塩化水素触媒として活性アルミナや酸化ニッケル、硫酸カルシウム等を使用して、クロロエチルベンジルクロライドを気相熱分解させて脱塩化水素を行う方法(米国特許第 792,859号明細書)等が提案されている。【0003】しかしながら、これらの方法では、▲1▼においては、420〜700℃の高温下に気相熱分解させることが必要であり、また、▲2▼においては、脱塩化水素触媒を使用して気相熱分解温度を比較的低くしているが、この場合でも200〜420℃の温度が必要であり、いずれの場合も高温下での気相反応となるため反応装置に特殊な材質が要求される等設備費が嵩むほか、エネルギーコストも嵩むため経済的ではなく、工業的には満足できる方法とはいえない。【0004】そこで、低温条件下におけるクロロメチルスチレン類の製造方法としては、フェネチルブロマイドをパラホルムアルデヒドと塩化水素でクロロメチル化し、次いでアルコール溶媒中で水酸化カリウムにより脱臭化水素を行う方法(ヨーロッパ特許第 345,478号明細書)等が知られている。【0005】しかしながら、この方法では、臭素化に用いる臭素が比較的高価で、しかも、クロロメチルフェネチルブロマイドが催涙性を有して工業的に取扱い難いという問題があり、更に、脱臭化水素反応で多量に副生する臭化カリウム等の臭化塩の処理も工業的には大きな負担になる。【0006】【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者らは、このような従来の方法における問題点のないクロロメチルスチレン類の製造方法について鋭意検討した結果、α−クロロエチルベンジルクロライド類に第3級アルコールの金属塩からなる金属アルコキシドを第3級アルコール及び相間移動触媒の存在下に反応させることにより、液相法によって容易にα−クロロエチルベンジルクロライド類の脱塩化水素を行うことができ、その結果、クロロメチルスチレン類を高収率で製造できることを見出し、本発明を完成した。【0007】従って、本発明の目的は、α−クロロエチルベンジルクロライド類を、液相法により脱塩化水素して高収率でクロロメチルスチレン類を製造する方法を提供することにある。【0008】【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、α−クロロエチルベンジルクロライド類に第3級アルコールの金属塩からなる金属アルコキシドを第3級アルコール及び相間移動触媒の存在下に反応させて脱塩化水素を行う、クロロメチルスチレン類の製造方法である。【0009】本発明において、原料として用いるα−クロロエチルベンジルクロライド類としては、クロロエチル基に対するクロロメチル基の置換位置に応じて、 o-(α−クロロエチル)ベンジルクロライド、 m-(α−クロロエチル)ベンジルクロライド、又は p-(α−クロロエチル)ベンジルクロライドの異性体が存在し、製造目的であるクロロメチルスチレン類に応じて、o-( α−クロロエチル)ベンジルクロライド、 m-(α−クロロエチル)ベンジルクロライド、又は p-(α−クロロエチル)ベンジルクロライド、若しくはこれらの混合物が用いられる。このうち、特に p-(α−クロロエチル)ベンジルクロライドは、これを用いて製造されるp-クロロメチルスチレンが非イソシアネート系レンズ材料用モノマー、カチオン系イオン交換樹脂、改質的ポリマーの成分(光硬化性エラストマー、光増感剤)等の用途に重要であることから、このp-クロロメチルスチレンを製造する目的で p-(α−クロロエチル)ベンジルクロライドが好適に用いられる。【0010】ちなみに、このα−クロロエチルベンジルクロライド類を製造する方法としては、例えば以下のような方法で行うことができる。先ず、p-メチルスチレン等のメチルスチレン類を原料とし、塩化水素ガスや塩酸を用いて、メチルスチレン類のビニル基に塩化水素を付加させてα−クロロエチルトルエン類を製造する。なお、この塩化水素付加反応は、好ましくは、トリフェニルホスフィンオキサイド〔(C6H5)3P=O〕等の鉄のマスキング剤の存在下に行うのがよい。また、この塩化水素ガスによる塩化水素付加反応は、通常、反応温度が0〜100℃であり、原料のメチルスチレン類が液体なので無溶媒で行ってもよいほか、四塩化炭素、塩化メチレン、クロロホルム等の反応溶媒を用いてもよく、更に、塩化水素ガスそのまま用いてもよいほか、窒素等の不活性ガスで希釈してもよい。【0011】次に、上記塩化水素付加反応で得られたα−クロロエチルトルエン類を、塩素ガスを用いて光塩素化することにより、メチル基に塩素を導入して、α−クロロエチルベンジルクロライド類を製造する。このα−クロロエチルトルエン類の光塩素化反応は紫外線照射下に行われ、その光源としては例えば高圧又は中圧水銀等が好適に用いられる。なお、このα−クロロエチルトルエン類の光塩素化反応においては、高濃度の塩素ガスをそのまま用いてもよいが、窒素等の不活性ガスで希釈して用いてもよく、また、必要によりアゾビスイソブチロニトリル等のラジカル反応開始剤の存在下に行ってもよい。また、このα−クロロエチルトルエン類の光塩素化反応の反応温度については、0〜120℃の範囲であるのがよく、また、反応終点については、原料のα−クロロエチルトルエン類が塩素化される転化率が30〜80モル%範囲内にある時点であるのがよい。【0012】本発明方法においては、α−クロロエチルベンジルクロライド類の脱塩化水素反応において、脱塩化水素剤として第3級アルコールの金属塩からなる金属アルコキシドを用い、この金属アルコキシドを溶解するための溶媒として第3級アルコールを用い、また、反応触媒として相間移動触媒を用いる。【0013】ここで用いる金属アルコキシドとしては、例えばカリウム−t-ブトキサイド(t-BuOK)、ナトリウム−t-ブトキサイド(t-BuONa)等を挙げることができる。なお、第3級アルコールの金属塩以外の水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等の通常の塩基を用いると、クロロメチル基の急速な加水分解が進行し、目的生成物であるクロロメチルスチレン類が得られず、また、第1級又は第2級アルコールの金属塩であると、塩基性が弱く、脱塩化水素反応が進行しない。この金属アルコキシドの使用量は、通常、反応基質に対して当量以上必要であり、目的物の収率向上という観点から、好ましくは2〜3当量である。第3級アルコールの金属塩の使用量を3当量より多くしても効果は少なく、経済的に不利になる。【0014】また、本発明方法において、上記金属アルコキシドを溶解するための溶媒として用いる第3級アルコールとしては、例えば2-メチル−2-プロパノール(t-ブタノール)、2-メチル−2-ブタノール等を挙げることができる。この第3級アルコールに溶解された金属アルコキシドは解離してアルコキシドイオンを発生し、このアルコキシドイオンが脱塩素化反応をしかける。ここで、第1級又は第2級アルコールを溶媒として使用すると、クロロメチル基への溶媒付加が起こり、目的生成物であるクロロメチルスチレン類の収率が下がる。【0015】なお、通常、上記溶媒として使用する第3級アルコールと、脱塩化水素剤の金属アルコキシドを形成する第3級アルコールとは、互いに異なる種類の物であってもよいが、好ましくは同じ種類(例えば、2-メチル−2-プロパノールとカリウム−t-ブトキシド)であるのがよく、これにより、脱塩化水素反応によって同じアルコールが生成する。【0016】この溶媒としての第3級アルコールの使用量は、金属アルコキシドの使用量にもよるが、通常は、原料であるα−クロロエチルベンジルクロライド類に対して重量比で5〜10である。第3級アルコールの使用量が、α−クロロエチルベンジルクロライド類に対して重量比で5より少ないと、金属アルコキシドを溶解することができず、また、10より多くても多量の溶媒を使用するだけで、経済的に不利となる。【0017】 本発明方法では、α-クロロエチルベンジルクロライド類が金属アルコキシドの溶媒である第3級アルコールに溶解しないため、相間移動触媒を使用する。この相間移動触媒としては、例えば、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラプロピルアンモニウムクロライド、テトラプロピルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド等の第四級アンモニウム塩が挙げられる。【0018】この相間移動触媒の使用量は、原料であるα−クロロエチルベンジルクロライド類に対して重量比で0.01〜0.05程度である。この使用量がα−クロロエチルベンジルクロライド類に対して重量比で0.01より少ないと脱塩化水素化速度が遅くなり、また、0.05より多くても脱塩化水素化速度の向上は認められない。【0019】 また、α-クロロエチルベンジルクロライド類の脱塩化水素反応の反応速度を更に向上させるため、亜硝酸ナトリウム等を助触媒として用いることが好ましい。この助触媒の使用量は、相間移動触媒である第四級アンモニウム塩に対して、通常、重量比(助触媒/相間移動触媒)で1/10〜1/5である。【0020】更に、本発明方法において、α−クロロエチルベンジルクロライド類の脱塩化水素反応は、反応温度が0〜80℃、好ましくは0〜30℃の範囲で好適に進行する。この反応温度が0℃より低いと反応速度が遅くなり、また、80℃より高いと生成したクロロメチルスチレン類が重合してしまい、収率が低下するという欠点がある。【0021】なお、本発明方法では、α−クロロエチルベンジルクロライド類の脱塩化水素反応は、通常の大気中で行うことができるが、生成したクロロメチルスチレン類の重合防止の観点から好ましくは、窒素気流下で行う。また、α−クロロエチルベンジルクロライド類の脱塩化水素反応において、生成したクロロメチルスチレン類の重合を抑制するという目的で、必要に応じて、t-ブチルカテコール、Q1300〔和光純薬(株)製〕等の重合禁止剤を添加することができる。【0022】【発明の実施の形態】以下、実施例及び比較例に基づいて、本発明の好適な実施の形態を具体的に説明する。本発明は、これら実施例に限定されるものではない。【0023】実施例1コンデンサー、排ガス除去装置、冷却装置を備えた反応容器にα−クロロエチルベンジルクロライド4.6g(0.0245モル)、テトラブチルアンモニウムブロマイド0.1g、亜硝酸ナトリウム0.034gを仕込み、反応温度を30℃に保ちながら攪拌下にカリウム−t-ブトキシド8.2gを溶かした2-メチル−2-プロパノール(62g)溶液を30分間かけて滴下した。滴下終了後、得られた反応物は冷水を添加して反応を止めた。この反応液を液液分離した後、有機相の溶媒をエバポレーターにより留去させた。得られた反応生成物をガスクロマトグラフィーで分析した結果、クロロメチルスチレンは74.0GC%であった(転化率97.6モル%)。【0024】実施例2α−クロロエチルベンジルクロライド4.6g(0.0245モル)、カリウム−t-ブトキシド5.4gを使用した以外は、実施例1と同様にして反応生成物を得た。得られた反応生成物をガスクロマトグラフィーで分析した結果、クロロメチルスチレンは54.5GC%であった(転化率93.1モル%)。【0025】実施例3反応温度を50〜60℃で行った以外は、実施例1と同様にして反応生成物を得た。得られた反応生成物をガスクロマトグラフィーで分析した結果、クロロメチルスチレンは53.8GC%であった(転化率99.8モル%)。【0026】実施例4カリウム−t-ブトキシド5.4g、2-メチル−2-プロパノール(23.0g)を使用した以外は、実施例1と同様にして反応生成物を得た。得られた反応生成物をガスクロマトグラフィーで分析した結果、p-クロロメチルスチレンは35.0GC%であった(転化率88.2モル%)。【0027】実施例5相間移動触媒としてテトラブチルアンモニウムブロマイドに代えて、テトラエチルアンモニウムブロマイド0.1gを使用した以外は、実施例1と同様にして反応生成物を得た。得られた反応生成物をガスクロマトグラフィーで分析した結果、p-クロロメチルスチレンは73.5GC%であった(転化率96.4モル%)。【0028】比較例1コンデンサー、排ガス除去装置、冷却装置を備えた反応容器に p-(α−クロロエチル)ベンジルクロライド4.6g(0.0245モル)を仕込み、反応温度を30℃に保ちながら攪拌下に水酸化カリウム4.1gを溶かしたメタノール(62.0g)溶液を30分間かけて滴下した。滴下終了後、得られた反応物は冷水を添加して反応を止めた。この反応液を液液分離した後、有機相の溶媒をエバポレーターにより留去させた。得られた反応生成物をガスクロマトグラフィーで分析した結果、クロロメチルスチレンは生成していなかった。【0029】比較例2メタノールに代えて、2-メチル−2-プロパノール(62.0g)を使用した以外は、比較例1と同様にして反応生成物を得た。得られた反応生成物をガスクロマトグラフィーで分析した結果、クロロメチルスチレンは生成していなかった。【0030】比較例3水酸化カリウムに代えて、カリウム−t-ブトキシド5.4gを使用した以外は、比較例2と同様にして反応生成物を得た。得られた反応生成物をガスクロマトグラフィーで分析した結果、クロロメチルスチレンは生成していなかった。【0031】【発明の効果】 本発明によれば、原料のα-クロロエチルベンジルクロライド類と金属アルコキシドとを溶媒中で反応せしめてα-クロロエチルベンジルクロライド類の脱塩化水素を行うという液相法により、クロロメチルスチレン類を高収率で比較的安価に製造することができ、クロロメチルスチレン類を工業的に有利に製造することができる。 o-(α-クロロエチル)ベンジルクロライド、m-(α-クロロエチル)ベンジルクロライド、及びp-(α-クロロエチル)ベンジルクロライドから選ばれた1種又は2種以上の混合物からなるα-クロロエチルベンジルクロライド類に第3級アルコールの金属塩からなる金属アルコキシドを第3級アルコール及び相間移動触媒の存在下に反応させて脱塩化水素を行うことを特徴とするクロロメチルスチレン類の製造方法。 α-クロロエチルベンジルクロライド類がp-(α-クロロエチル)ベンジルクロライドであり、p-クロロメチルスチレンを製造する請求項1に記載のクロロメチルスチレン類の製造方法。 相間移動触媒が第四級アンモニウム塩である請求項1又は2に記載のクロロメチルスチレン類の製造方法。 相間移動触媒と共に助触媒として亜硝酸ナトリウムを用いる請求項1〜3のいずれかに記載のクロロメチルスチレン類の製造方法。


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る