生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_吉草酸酢酸プレドニゾロン及び塩基性局所麻酔薬を配合した外用剤
出願番号:1999249423
年次:2013
IPC分類:A61K 31/573,A61K 9/06,A61K 9/10,A61K 31/167,A61K 31/47,A61K 47/12


特許情報キャッシュ

高橋 洋明 横田 和義 内野 泰秀 櫻井 英知 畠山 勇生 JP 5307309 特許公報(B2) 20130705 1999249423 19990903 吉草酸酢酸プレドニゾロン及び塩基性局所麻酔薬を配合した外用剤 ゼリア新薬工業株式会社 000108339 特許業務法人アルガ特許事務所 110000084 有賀 三幸 100068700 高野 登志雄 100077562 中嶋 俊夫 100096736 村田 正樹 100117156 山本 博人 100111028 高橋 洋明 横田 和義 内野 泰秀 櫻井 英知 畠山 勇生 20131002 A61K 31/573 20060101AFI20130912BHJP A61K 9/06 20060101ALI20130912BHJP A61K 9/10 20060101ALI20130912BHJP A61K 31/167 20060101ALI20130912BHJP A61K 31/47 20060101ALI20130912BHJP A61K 47/12 20060101ALI20130912BHJP JPA61K31/573A61K9/06A61K9/10A61K31/167A61K31/47A61K47/12 A61K45/00 A61K31/00 A61K9/00 A61K47/00 JSTPlus/JMEDPlus(JDream2) CiNii 医薬中央雑誌WEB 特開平5−286860(JP,A) 特開平7−188027(JP,A) 特開昭61−118315(JP,A) 特開昭59−139315(JP,A) 特開平7−304669(JP,A) 特開平11−29482(JP,A) 特開昭61−167614(JP,A) 医薬品研究(1980年)第11巻 第2号 p.216−227 2 2001072603 20010321 7 20060630 2011005647 20110314 内藤 伸一 川口 裕美子 大久保 元浩 本発明は、吉草酸酢酸プレドニゾロン及び塩基性局所麻酔薬を配合してなる外用剤に関し、詳しくは、吉草酸酢酸プレドニゾロンを長期間安定に配合することのできる、吉草酸酢酸プレドニゾロン及び塩基性局所麻酔薬を配合した外用剤に関する。 近年、アトピー性皮膚炎に代表される皮膚疾患が蔓延し、その治療薬の研究も急速に進歩している。これらの炎症を伴う皮膚疾患にはステロイド薬が適用されている。 吉草酸酢酸プレドニゾロンは、皮膚表面の患部で抗炎症効果の高いステロイドとして働き、体内に吸収されると分解されその副作用が弱くなる、所謂アンテドラッグステロイド薬として湿疹、皮膚炎、かぶれ、あせも、ただれ、蕁麻疹などの外用治療薬として汎用されている。 また、患部の痛み、かゆみ、ほてり等を抑えることを目的として局所麻酔薬が外用剤に配合され使用されている。 アトピー性皮膚炎に代表される皮膚疾患の治療薬としては、湿疹、皮膚炎、かぶれ、あせも、ただれ、蕁麻疹などの皮膚疾患に加え、患部の痛み、かゆみ、ほてりなどを伴う疾患を1剤で治療できる外用剤が望まれており、ステロイド薬と局所麻酔薬を同時に配合した外用剤の調製が試みられているが、吉草酸酢酸プレドニゾロンと塩基性局所麻酔薬とを同時に配合した外用剤は今まで知られていなかった。発明が解決しようとする課題 しかしながら、吉草酸酢酸プレドニゾロンと塩基性局所麻酔薬とを同時に配合した外用剤を調製した場合、製剤中の吉草酸酢酸プレドニゾロンが経時的に不安定となり、特に剤形を製剤中の水分含量が比較的高いクリーム剤、乳剤等とした場合に顕著に経時的に不安定となるため、吉草酸酢酸プレドニゾロンと塩基性局所麻酔薬とを同時に配合した安定な外用剤の調製は極めて困難であった。課題を解決するための手段 本発明者は、上記事実に鑑み鋭意検討した結果、吉草酸酢酸プレドニゾロンと塩基性局所麻酔薬を配合した外用剤を特定のpHに調整することにより、外用剤中の吉草酸酢酸プレドニゾロンを経時的に安定化できることを見出し、本発明を完成した。 即ち、本発明は、吉草酸酢酸プレドニゾロン及び塩基性局所麻酔薬を同時に配合した外用剤を精製水で10倍に希釈したときの懸濁液のpHを3〜7の範囲とすることによって、吉草酸酢酸プレドニゾロンを安定化した外用剤及びその安定化方法を提供するものである。本発明の外用剤は吉草酸酢酸プレドニゾロンのもつ湿疹、皮膚炎、かぶれ、あせも、ただれ、蕁麻疹などの皮膚疾患治療作用及び局所麻酔薬のもつ患部の痛み、かゆみ、ほてりなどを伴う疾患の治療作用を併せ持つ、長期間保存が可能な外用剤として有用である。 本発明の外用剤は、軟膏剤、乳剤、クリーム剤があげられ、水中油型製剤、油中水型製剤のいずれも含む。この中でも特にクリーム剤、乳剤が好ましい。 本発明の外用剤に使用される塩基性局所麻酔薬は、リドカイン、ジブカイン、テトラカイン、オキシジブカイン、ブピバカイン、メピバカイン、プロピトカイン、パラブチルアミノ安息香酸ジエチルアミノエチルなどであり、その中でもリドカイン、ジブカイン、テトラカインが好ましく、特に好ましいのはリドカインである。 本発明の外用剤に使用される基剤は、ワセリン、プラスチベース、パラフィン、流動パラフィン、軽質流動パラフィン、サラシミツロウ、ベヘニルアルコール、ステアリルアルコール、セタノール、ステアリン酸、ベヘニン酸、シリコーン油などの油脂性基剤;水、マクロゴール、エタノール、メチルエチルケトン、綿実油、オリーブ油、落花生油などの溶剤;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールなどの非イオン性界面活性剤又はラウリル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウムなどのイオン性界面活性剤などの乳化剤;ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、コロイド性含水ケイ酸アルミニウム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、トラガントガム、グアーガム、ゼラチン、アラビアゴム、アルギン酸、アルブミンなどの増粘剤;オキシベンゾン、ジブチルヒドロキシトルエン、エデト酸ナトリウムなどの安定化剤;ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、尿素、ショ糖、エリスリトール、ソルビトールなどの保湿剤;パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、デヒドロ酢酸ナトリウム、p−クレゾールなどの防腐剤であり、剤形に応じて適宜選択して使用する。 本発明の外用剤は精製水で10倍に希釈したときの懸濁液がpH3〜7であるように調整することができるが、pH調整するためには、クエン酸、乳酸、リン酸、リンゴ酸、酒石酸、酢酸、ソルビン酸、塩酸などの酸又はそれらのナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩などの水溶性の酸又はそれらの塩の1種又は2種以上を使用する。好ましくはクエン酸、乳酸、リンゴ酸である。酸又はそれらの塩の配合量は、本発明の目的を達成できる量であればよく、外用剤全組成物に対して0.01〜10重量%が好ましく、特に0.1〜5重量%が好ましい。 吉草酸酢酸プレドニゾロンと塩基性局所麻酔薬の配合比率は、吉草酸酢酸プレドニゾロン1重量部に対して塩基性局所麻酔薬0.1〜100重量部、好ましくは3〜20重量部である。 本発明の外用剤は、次の通り調製される。 例えば、クリーム剤又は乳剤は、吉草酸酢酸プレドニゾロン、リドカインなどの親油性成分及びクエン酸、乳酸、リンゴ酸などの親水性成分を適当な基剤に別々に加温溶解し、後者を前者に添加し、ホモミキサーなどを用いて攪拌しながら乳化し、それを常温まで冷却して製する。 本発明の外用剤には吉草酸酢酸プレドニゾロンと塩基性局所麻酔薬のほか次の薬効成分を配合することができる。例えば、ブフェキサマク、ジクロフェナック、ケトプロフェン、インドメタシン、グリチルレチン酸などの消炎鎮痛剤;塩酸ジフェンヒドラミン、塩酸ジフェニルピラリン、マレイン酸クロルフェニラミンなどの抗ヒスタミン剤;酸化亜鉛などの収斂剤;イソプロピルメチルフェノール、塩酸クロルヘキシジンなどの殺菌剤;アスコルビン酸ナトリウム、塩酸ピリドキシン、トコフェロール、酢酸トコフェロールなどのビタミン剤;クロタミトンなどの鎮痒剤;トルナフタート、ビホナゾール、硝酸ミコナゾールなどの抗真菌剤;塩酸ナファゾリンなどの血管収縮剤;アラントインなどの創傷治癒剤;メントール、ボルネオール、カンフル、ハッカ油などの清涼化剤などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。 かくして得られた本発明の外用剤は、優れた経時的安定性を有するため、長期間の保存でも製剤中の吉草酸酢酸プレドニゾロンが不安定とならず、安定な吉草酸酢酸プレドニゾロン及び塩基性局所麻酔薬を配合した製剤を提供することが可能である。 以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例1 吉草酸酢酸プレドニゾロン0.15g、リドカイン2g、パラオキシ安息香酸プロピル0.1g、ポリオキシエチレン(2)セチルエーテル3.9g、ポリオキシエチレン(23)セチルエーテル3.1g、セタノール9g、パラフィン8g、軽質流動パラフィン2.5g及びラノリン3.5gを加温して溶解した。この溶液に、クエン酸1.5g、エデト酸ナトリウム0.5g及びキサンタンガム0.3gを溶解した熱水を加えて100gとし、次いでホモミキサーを用いて乳化し、常温まで冷却してクリーム剤(水中油型)を得た。なお、本クリーム剤を精製水で10倍に希釈し、攪拌した懸濁液のpHは4.3であった。実施例2 吉草酸酢酸プレドニゾロン0.15g、リドカイン1g、パラオキシ安息香酸メチル0.1g、パラオキシ安息香酸プロピル0.1g、白色ワセリン25g、ステアリルアルコール20g、ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油4g及びモノステアリン酸グリセリン1gを加温して溶解した。この溶液に、90%乳酸0.6g、アラントイン1g、エデト酸ナトリウム0.5g及びプロピレングリコール12gを溶解した熱水を加えて100gとし、次いで実施例1と同様の操作を行いクリーム剤(水中油型)を得た。なお、本クリーム剤を精製水で10倍に希釈し、攪拌した懸濁液のpHは5.4であった。実施例3 吉草酸酢酸プレドニゾロン0.15g、リドカイン0.5g、パラオキシ安息香酸メチル0.025g、パラオキシ安息香酸プロピル0.015g、ステアリルアルコール2.5g及び軽質流動パラフィン25gを加温して溶解した。この溶液に、リンゴ酸0.3g、エデト酸ナトリウム0.5g、ラウリル硫酸ナトリウム1g及びグリセリン10gを溶解した熱水を加えて100gとし、次いでホモミキサーを用いて乳化し、常温まで冷却して乳剤(水中油型)を得た。なお、本乳剤を精製水で10倍に希釈し、攪拌した懸濁液のpHは6.0であった。実施例4 吉草酸酢酸プレドニゾロン0.15g、リドカイン3g、酢酸トコフェロール0.5g、パラオキシ安息香酸エチル0.1g、パラオキシ安息香酸ブチル0.1g、白色ワセリン40g、セタノール10g、サラシミツロウ5g、セスキオレイン酸ソルビタン(ソルビタンセスキオレイン酸エステル)5g及びラウロマクロゴール(ポリオキシエチレン(8)ラウリルエーテル)0.5gを加温して溶解した。この溶液に、クエン酸1g、リンゴ酸0.7g及びエデト酸ナトリウム0.5gを溶解した熱水を加えて100gとし、次いで実施例1と同様の操作を行いクリーム剤(油中水型)を得た。なお、本クリーム剤を精製水で10倍に希釈し、攪拌した懸濁液のpHは4.0であった。比較例 実施例1〜4において、各クリーム剤及び乳剤のpHを変動させた製剤を製造し、それを比較例とした。比較例1 実施例1において、クエン酸を添加しないこと以外は同様の操作を行い、精製水で10倍に希釈し、攪拌した懸濁液のpHが8.8であるクリーム剤を得た。比較例2 実施例2において、90%乳酸を添加しないこと以外は同様の操作を行い、精製水で10倍に希釈し、攪拌した懸濁液のpHが8.5であるクリーム剤を得た。比較例3 実施例3において、リンゴ酸を添加しないこと以外は同様の操作を行い、精製水で10倍に希釈し、攪拌した懸濁液のpHが8.2である乳剤を得た。比較例4 実施例4において、クエン酸及びリンゴ酸を添加しないこと以外は同様の操作を行い、精製水で10倍に希釈し、攪拌した懸濁液のpHが9.0であるクリーム剤を得た。吉草酸酢酸プレドニゾロンの安定性試験 各実施例及び比較例で製造した製剤を50℃及び40℃相対湿度75%にて、それぞれ一定期間保存し、吉草酸酢酸プレドニゾロンの定量を行った。試験結果を表1及び表2に示した。 なお、吉草酸酢酸プレドニゾロンの定量は下記に示す条件の高速液体クロマトグラフ法によって実施した。 検出器:紫外吸光光度計(測定波長:243nm) カラム:TSKゲルODS−80TS(東ソー(株)製) 移動相:メタノール・水(10:3)混液 表1及び表2から明らかなように、実施例の製剤は比較例の製剤よりも製剤中の吉草酸酢酸プレドニゾロンが安定であることが確認された。発明の効果 本発明の外用剤は、吉草酸酢酸プレドニゾロンのもつ湿疹、皮膚炎、かぶれ、あせも、ただれ、蕁麻疹などの皮膚疾患治療作用及び局所麻酔薬のもつ患部の痛み、かゆみ、ほてりなどを伴う疾患の治療作用を併せ持つ、長期間の保存が可能な外用剤として有用である。 吉草酸酢酸プレドニゾロンと、リドカイン、ジブカイン及びテトラカインから選ばれる塩基性局所麻酔薬と、クエン酸、乳酸、リンゴ酸又はこれらの塩とを配合してなるクリーム剤又は乳剤であって、当該クリーム剤又は乳剤を精製水で10倍に希釈したときの懸濁液のpHが4.0〜6.0であり、吉草酸酢酸プレドニゾロンと塩基性局所麻酔薬の配合比率が、吉草酸酢酸プレドニゾロン1重量部に対して塩基性局所麻酔薬3〜20重量部であることを特徴とするクリーム剤又は乳剤。 吉草酸酢酸プレドニゾロンと、リドカイン、ジブカイン及びテトラカインから選ばれる塩基性局所麻酔薬と、クエン酸、乳酸、リンゴ酸又はこれらの塩とを配合してなるクリーム剤又は乳剤を、精製水で10倍に希釈したときの懸濁液のpHが4.0〜6.0になるように調整し、吉草酸酢酸プレドニゾロンと塩基性局所麻酔薬の配合比率を、吉草酸酢酸プレドニゾロン1重量部に対して塩基性局所麻酔薬3〜20重量部とすることを特徴とする、クリーム剤又は乳剤中の吉草酸酢酸プレドニゾロンの安定化方法。


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る